(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037800
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230309BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230309BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20230309BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G15/00 446
G03G15/00 480
B41J11/42
B65H7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144587
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】藤原泰宏
【テーマコード(参考)】
2C058
2H072
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C058AB08
2C058AB16
2C058AC08
2C058AE02
2C058AE08
2C058AE13
2C058AF17
2C058AF19
2C058GB14
2C058GB31
2C058GD09
2H072AA02
2H072AA05
2H072AA16
2H072AA22
2H072AA29
2H072AB07
2H072AB19
2H072AB22
2H072AB28
2H072CA01
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2H072CB09
2H072EA01
2H072JA02
2H270KA32
2H270LA70
2H270LA75
2H270LC11
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2H270LC22
2H270MB33
2H270MC56
2H270MD02
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2H270MD26
2H270MH04
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2H270NE14
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
2H270ZD01
3F048AA01
3F048AB01
3F048AB05
3F048AB07
3F048AB08
3F048AB09
3F048AB10
3F048BA05
3F048BA14
3F048BB02
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3F048CC11
3F048DA06
3F048EA01
3F048EA07
3F048EA11
3F048EA15
3F048EB11
3F048EB37
(57)【要約】
【課題】画像形成装置のダウンタイムの更なる低減を図る。
【解決手段】像担持体2用の画像形成部と、画像を中間転写体16に転写する一次転写部19と、画像を用紙に転写する二次転写部20と、中間転写体16をクリーニングするクリーニング部21と、用紙を給送する給送部と、二次転写部20に用紙を給送する給送時間が所定時間を超えるか否か判断する判断部108と、給送時間が所定時間を超えるとき、画像と用紙の位置が二次転写部で合うように画像形成と用紙給送タイミングを制御するリトライ制御部107とを有し、給送時間が所定時間を超えるとき、像担持体への画像形成が中断され、その後再開され、クリーニング部で除去される中断画像と再形成される画像間の白紙部の画像間距離が、二次転写部の離間時間とプロセス線速の積であり、中断画像の二次転写部の通過時に二次転写部が中間転写体から離間される、画像形成装置100により解決される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に画像を形成する画像形成部と、
前記像担持体上に形成された画像を中間転写体に転写する一次転写部と、
前記中間転写体に転写された画像を記録媒体に転写する二次転写部と、
前記中間転写体をクリーニングするクリーニング部と、
前記記録媒体が収納される収納部から前記二次転写部に前記記録媒体を給送する給送部と、
前記二次転写部に前記記録媒体を給送する給送時間が所定時間を超えるか否か判断する判断部と、
前記給送時間が前記所定時間を超えるとき、前記像担持体に形成されている前記画像と前記記録媒体との位置が前記二次転写部において合うように、前記画像形成部における前記像担持体への前記画像の形成タイミングと、前記給送部における前記記録媒体の給送タイミングを制御するリトライ制御部と、を有する画像形成装置において、
前記給送時間が前記所定時間を超えるとき、前記像担持体への画像形成が中断され、その後、前記像担持体への画像形成が再開され、
前記クリーニング部において除去される中断画像と、前記中間転写体上に再形成される画像の間の白紙部の画像間距離が、前記二次転写部の前記中間転写体からの離間時間とプロセス線速の積であり、
前記中断画像が前記二次転写部を通過するとき、前記二次転写部は前記中間転写体から離間される、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記給送時間が前記所定時間を超えるとき、前記像担持体への画像形成が中断され、前記中間転写体上の画像が前記クリーニング部において除去される前に、前記像担持体への画像形成が再開される、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において用紙搬送に遅延が発生した場合、用紙の搬送を中断し、画像を再送する技術(リトライ制御)が既に知られている。
【0003】
しかし、従来のリトライ制御では、再形成し再送する画像と、先行して画像形成された中断画像の間の距離(画像間距離)を規定していなかった。
【0004】
特許文献1には、ジャム用紙の除去に要するダウンタイムの発生を防ぎ、かつ、用紙の浪費を防止するために、給送時間が所定時間を超えるときに、画像を再送するリトライ制御が開示されている。
【0005】
しかしながら、再送する画像と、先行して画像形成された中断画像との間の距離(画像間距離)を規定していないため、依然としてダウンタイムが長くなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、画像形成装置のダウンタイムの更なる低減を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、像担持体に画像を形成する画像形成部と、前記像担持体上に形成された画像を中間転写体に転写する一次転写部と、前記中間転写体に転写された画像を記録媒体に転写する二次転写部と、前記中間転写体をクリーニングするクリーニング部と、前記記録媒体が収納される収納部から前記二次転写部に前記記録媒体を給送する給送部と、前記二次転写部に前記記録媒体を給送する給送時間が所定時間を超えるか否か判断する判断部と、前記給送時間が前記所定時間を超えるとき、前記像担持体に形成されている前記画像と前記記録媒体との位置が前記二次転写部において合うように、前記画像形成部における前記像担持体への前記画像の形成タイミングと、前記給送部における前記記録媒体の給送タイミングを制御するリトライ制御部と、を有する画像形成装置において、前記給送時間が前記所定時間を超えるとき、前記像担持体への画像形成が中断され、その後前記像担持体への画像形成が再開され、前記クリーニング部において除去される中断画像と、前記中間転写体上に再形成される画像の間の白紙部の画像間距離が、前記二次転写部の前記中間転写体からの離間時間とプロセス線速の積であり、前記中断画像が前記二次転写部を通過するとき、前記二次転写部は前記中間転写体から離間される、ことを特徴とする画像形成装置により解決される。
【発明の効果】
【0008】
画像形成装置のダウンタイムを更に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る画像形成制御装置の機能構成を示す図である。
【
図4】プリンタ100での通常印刷時(a)とリトライ制御時(b)のタイミングチャートを示す図である。
【
図5】プリンタ100での通常印刷時(a)、リトライ制御(先行画像クリーニング後の再送)(b)及びリトライ制御(先行画像クリーニング前の再送)(c)の印刷動作を示す概略図である。
【
図6】リトライ制御(先行画像クリーニング前再送)(a)、及びリトライ制御(先行画像クリーニング後の再送)(b)の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[画像形成装置の構成]
先ず、本実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、紙、OHPシート、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体を「記録媒体」とし、この記憶媒体に現像剤やインクを付着させて画像形成を行う装置である。なお、以下の説明において、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を記録媒体に付与することも該当する。また、「シート状体」とは紙(用紙)に限らず、OHPシート、布帛なども含み、現像剤やインクを付着させることができる媒体を意味し、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものも含む。以下の実施形態ではシート状体を「用紙P」として説明する。また各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【0011】
図1は、本発明に係る画像形成制御装置を備える画像形成装置の実施形態を示す構成図であって、複数の像担持体2が並行に配設されたタンデム型のカラーレーザープリンタ(以下、単に「プリンタ100」という)の一例を示す構成図である。
図1に示すように、プリンタ100の内部には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための画像形成部(作像装置)として、4つのプロセスユニット1C、1M、1Y、1Kが配設されている。4つのプロセスユニット1(C、M、Y、K)は、トナーの色が異なる点以外はいずれもほぼ同じ構成である。以下の説明では、便宜上、構成部材を示す番号の後ろに作像する画像のトナー色に対応させてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)を添え字として付すことにする。なお、一般的な説明の場合は、これらの添え字は適宜省略する。
【0012】
図1に示す様に、プロセスユニット1(C、M、Y、K)はそれぞれドラム状の像担持体2(2C、2M、2Y、2K)を備える。この4個の像担持体2は、画像形成部内の中間転写ベルト16の移動方向において等間隔で離間させて並列に配設されている。像担持体2のそれぞれは、プリンタ100の動作時に、駆動源から駆動が伝達されることにより、対向する中間転写ベルト16の搬送方向と同じ方向に周面が回転する。像担持体2には、プロセスユニット1内部にてレーザ光を用いた作像プロセスによりトナー像が形成される。
【0013】
像担持体2の下部には転写装置15が配設されている。この転写装置15は無端状の中間転写ベルト16を有し、中間転写ベルト16の一端が従動ローラ17に巻き掛けられ、他端は転写駆動ローラ18に巻き掛けられている。そして駆動源によって駆動される転写駆動ローラ18が回転することによって中間転写ベルト16が矢印Aの方向に走行し、各像担持体2の表面が、中間転写ベルト16の上面に接触するようになっている。中間転写体である中間転写ベルト16の内周部には各像担持体2に対向して、一次転写部である4つの一次転写ローラ19(C、M、Y、K)が設けられている。
【0014】
中間転写ベルト16の右端部付近の外周部には、クリーニング部を構成するベルトクリーニング装置21が設けられている。ベルトクリーニング装置21は、中間転写ベルト16の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る装置である。
【0015】
中間転写ベルト16の外周において、転写駆動ローラ18と中間転写ベルト16を挟んで対向する位置に、二次転写部を構成する二次転写ローラ20が設けられている。二次転写ローラ20は、転写駆動ローラ18と対向する位置で中間転写ベルト16に当接し、二次転写部としての二次転写ニップを形成している。二次転写ニップでは、中間転写ベルト16と二次転写ローラ20の間に記録媒体である用紙Pを通過させながら、二次転写バイアスを印加することで中間転写ベルト16上に形成され担持されているトナー画像を用紙Pに対し、静電的に転写する。
【0016】
給紙トレイ30は、その内部空間に、複数枚の用紙Pを積層して収納する収納部である。給紙トレイ30の内部空間の底面には、用紙Pを積層状態で載せるための底板46が配設されている。底板46は、長手方向の一方の端部が支軸によって回動自在に支持され、他方の端部が上下方向に揺動可能とされている。そして、底板46はバネなどの付勢部材により、常時上方に付勢されている。
【0017】
底板46が揺動する端部側の給紙トレイ30には、回転部材としての給紙ローラ47が配設されている。この給紙ローラ47は給紙トレイ30に積層状態で載置された用紙Pの束の最上部に当接し、この最上部の用紙Pを繰り出すことができる。給紙ローラ47は用紙Pを所定の方向に給送できればよいので、必ずしもローラの形態である必要はない。例えば、給紙ローラ47に代えて、2つのローラ間に掛け渡した無端状の回転ベルトを使用してもよい。
【0018】
給紙ローラ47の給送方向下流には、用紙Pの先端を検知可能なレジストセンサ31が配設されている。また、レジストセンサ31よりも給送方向下流には、用紙Pを一旦停止させる媒体待機部であるレジストローラ対32が配設されている。レジストローラ対32は、中間転写ベルト16の直近上流側に位置し、中間転写ベルト16に担持されるトナー像と、用紙先端位置とを転写部において精度良く合わせるために、用紙Pを一旦停止させて一時的に弛ませる。レジストローラ対32は、中間転写ベルト16上に形成されて担持されているトナー像が、二次転写ニップ部で用紙Pに転写される直前に、一旦停止させていた用紙Pを所定のタイミングで二次転写ニップ部に送り出す。給紙トレイ30と、給紙ローラ47と、レジストローラ対32とによって給送部が構成される。
【0019】
二次転写ローラ20と転写駆動ローラ18による二次転写ニップ部よりもさらに給送方向上流には、定着装置34が配設されている。定着装置34は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、この定着ローラ34aに対して所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bと、を備えている。なお、定着装置34は、無端状の回転ベルトを採用したものや、IH加熱方式など他の構成であってもよい。
【0020】
[プリンタの基本動作]
次に、プリンタ100の基本動作について説明する。
図1において、プリンタ制御部からの給送開始信号によって給紙トレイ30の給紙ローラ47が回転すると、給紙トレイ30の底板46上に積載された用紙Pの最上部の用紙Pのみがその下側の用紙Pから分離されて送り出される。
【0021】
用紙Pの先端がレジストセンサ31で検知されると、その給送タイミングをトリガとしてレジストローラ対32の二次転写ニップ部において所定の弛みが形成されるまで用紙Pを送って、用紙Pの先端スキューを補正する。
【0022】
次に、プリンタ100の作像動作を説明する。像担持体2Kに作像された可視像が、像担持体2Kと同期して移動する中間転写ベルト16の表面に対し、プラスに帯電された一次転写ローラ19Kによる転写作用を受けて一次転写される。このような潜像形成、現像、一次転写の各動作は、すべてのプロセスユニット1(C、M、Y、K)で画像データと対応してタイミングをとって順次行われ、中間転写ベルト16の表面上に、シアンC、マゼンタM、イエローY、及びブラックKの各色トナー画像が順次重なり合った4色トナー画像が担持される。この4色トナー画像は、矢印Aの方向に表面移動する中間転写ベルト16と共に搬送される。
【0023】
各色トナー画像が中間転写ベルト16に転写されると、レジストローラ対32と給紙ローラ47が駆動を開始し、中間転写ベルト16に転写されたトナー画像とのタイミングが合うように用紙Pが転写位置である二次転写ローラ20に給送される。なお、レジストローラ対32と給紙ローラ47の駆動開始は必ずしも同時である必要はない。また、レジストローラ対32、給紙ローラ47の他に用紙Pを給送する給送ローラがあってもよい。二次転写ローラ20はプラスに帯電されており、この二次転写ローラ20の二次転写ニップ部によって、送られてきた用紙Pに中間転写ベルト16上のトナー画像が転写される。中間転写ベルト16の表面の残留トナーや異物は次の作像・転写工程のためにベルトクリーニング装置21によって除去される。
【0024】
トナー画像を転写された用紙Pは転写後、定着装置34へと送られる。定着装置34に送り込まれた用紙Pは、定着ローラ34aと加圧ローラ34b間に挟まれ、その未定着トナー画像が加熱・加圧されて用紙Pに定着される。
【0025】
[画像形成装置のハードウェア構成]
次に、
図2を用いて本実施形態に係る画像形成装置の制御系を司るハードウェア構成について説明する。
図2に示す画像形成装置のハードウェア構成は、プリンタ100に適用されるものを例示している。
【0026】
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成制御装置は、UART(Universal Asychronous Receiver Transmitter)57、CPU(Central Processing Unit)58、ROM(Read Only Memory)59、RAM(Random Access Memory)60、NVRAM(NonVolatie Random Access Memory)61、操作パネルI/F62、I/O65及び画像処理IC66が、システムバス64を介して相互に接続されている。ROM59、RAM60、NVRAM61は、本実施形態に係るプリンタ100の記憶部を構成している。
【0027】
操作パネルI/F62には、ユーザが操作する操作パネル63が接続され、画像処理IC66には、コントローラ67が接続される。また、I/O65には、用紙Pが給送されていることを検知するレジストセンサ31、給紙ローラ47を回転駆動する給送モータ69、転写駆動ローラ18を回転駆動する転写モータ70、像担持体2をそれぞれ回転駆動する感光体モータ71、用紙Pの温度及び湿度を選出する温湿度センサ72が接続される。
【0028】
CPU58には、操作パネルI/F62を介して操作パネル63が接続されている。操作パネル63は、表示部及び入力部を備えており、ユーザインタフェースとして機能し、プリンタモードなどの設定に使用される。操作パネルI/F62は、CPU58と操作パネル63との間のデータ交換を行う。また、CPU58には、画像処理IC66を介してコントローラ67が接続されている。CPU58は、コントローラ67から印刷する用紙の紙厚などの印刷条件を取得する。
【0029】
CPU58は、画像形成装置の全体を制御する制御部であって、ROM59に記憶された制御プログラム等に基づいてシステムバス64に接続される各種デバイスとのアクセスを総括的に制御する。CPU58は、I/O65を介して接続されるレジストセンサ31、給送モータ69、転写モータ70、感光体モータ71及び温湿度センサ72の入出力を制御する。即ち、CPU58はROM59に記憶されている画像形成装置の制御プログラムを実行する。
【0030】
CPU58は、制御プログラム及び制御用データ等で構成される命令にしたがって、用
紙Pの給送時間の計測、給送時間の遅れの検知、画像再形成、レジスト再開(再給送)、などの画像形成処理に係る制御を実行する。
【0031】
ROM59は、読み出し専用の不揮発性メモリであり、CPU58によって使用される制御プログラムや制御用データ等が格納される。
【0032】
RAM60は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性のメモリであり、記録データの展開や環境データの格納に用いられるワークフレームメモリとして利用される。
【0033】
NVRAM61は、読み書きが可能な不揮発性メモリであり、制御プログラムが利用する画像形成装置に関する情報が格納される。
【0034】
[プリンタ100の機能構成]
次に、プリンタ100の機能構成について説明する。
図3に示すように、プリンタ100は、制御部101、作像プロセス部102、定着部103、画像書込制御部104、操作部105、I/F部106、リトライ制御部107、判断部108、レジスト監視部109、を備えている。
【0035】
制御部101は、上記の各機能ブロックにおける一連の動作を制御する。
【0036】
作像プロセス部102は、端末装置から送信された画像データから電子写真方式によりトナー像を作成し、用紙Pに転写する。また、この作像プロセス部102は、印刷時に位置ずれを検知した場合は、その補正を行う。
【0037】
定着部103は、作像プロセス部102によりトナー像を転写した用紙Pに熱と圧力を加えてトナー像を用紙に定着する。
【0038】
画像書込制御部104は、I/F部106から送信された画像データをプロセスユニット1が備える各色への制御信号に変換し、像担持体2に対する潜像の書き込みを制御する。
【0039】
操作部105は、画像形成装置の状態を表示し、画像形成装置への入力を受け付ける。
【0040】
I/F部106は、プリンタ100に印刷要求を行う端末装置との間で通信を行う。I/F部106は、端末装置から送信された画像データを制御部101に送信し、プリンタ100に対する印刷要求を行う。
【0041】
リトライ制御部107は、作像プロセス部102における画像の形成タイミング、給送タイミングなどを制御し、作像プロセスを再度実行するなどの制御も行うリトライ処理を実行する。より具体的には、リトライ制御部107は、給送時間が所定時間を超えるとき、像担持体2に形成されている画像と用紙Pとの位置が二次転写ローラ20において合うように、プロセスユニット1における像担持体2への画像の形成タイミングと、給送部における用紙Pの給送タイミングを制御する。
【0042】
判断部108は、二次転写ローラ20に用紙Pを給送する給送時間が所定時間を超えるか否か判断する。
【0043】
レジスト監視部109は、作像プロセス部102における作像プロセスの実行開始後から、レジストセンサ31の状態を監視し、用紙Pの給送時間を計測して、リトライ処理の実行タイミングを判定する。
【0044】
図4は、プリンタ100での通常印刷時(a)とリトライ制御時(b)のタイミングチャートを示す図である。
ここでは、本体給紙動作、例としてイエロー感光体である像担持体2Yの画像形成、及び二次転写バイアスのタイミングを記載している。しかしながら、他の色の像担持体2にも同様のON/OFF制御が当てはまる。
【0045】
図4(a)の通常印刷時の本体給紙動作におけるT1はイエロー画像形成から給紙ローラ47による給紙開始までの時間であり、二次転写バイアスにおけるT2はイエロー画像形成から二次転写バイアス印加までの時間である。
すなわち、通常印刷時は、ファーストコピータイム短縮のために、イエロー画像形成の開始からT1後に給紙動作が開始される。また像担持体2上のトナー画像が中間転写ベルト16上へ転写され、イエロー画像形成の開始からT2後に、搬送されてきたN枚目の用紙Pに二次転写部で転写される。N+1枚目の用紙Pに対する本体給紙、イエロー画像形成、二次転写バイアスのタイミングも、N枚目の用紙Pに対するものと同様である。
【0046】
図4(b)におけるリトライ制御では、本体給紙動作が開始した後、J1にて給送時間が所定時間を超えたことにより給紙部での不給紙ジャムが発生したと検知されると、N枚目の用紙Pの本体給紙及びイエロー画像形成を中断し、次の給紙開始の準備が整ったタイミングJ2で、リトライ制御を開始し、すなわちN枚目の用紙Pの本体給紙及びイエロー画像形成を再開する。特許文献1では、J1における不給紙ジャムの検知から、J2における画像形成再開までの時間であってリトライ制御開始までの時間(ユーザの待ち時間)に相当する画像間距離を規定していないが、本実施形態ではこの画像間距離を短縮することで、ダウンタイムの低減を図る。
【0047】
なお、「不給紙ジャム」とは、ユーザが装置内のジャム紙を除去しない限り再送できないケースのみならず、給紙トレイ30の給紙ローラ47でスリップが生じ、用紙Pがレジストセンサ31に所定の時間内に到達しないためにジャムと判断されるケースなども含む。後者の場合、用紙Pを除去しなくても、給紙ローラ47を再度回転させることで用紙Pを搬送できる。
【0048】
図5は、プリンタ100での通常印刷時(a)、リトライ制御(先行画像クリーニング後の再送)(b)及びリトライ制御(先行画像クリーニング前の再送)(c)の印刷動作を示す概略図である。ここでは便宜上、各色の像担持体2を中間転写ベルト16の外側に示している。
図5(a)の通常印刷時では、中間転写ベルト16上のトナー画像と用紙Pとがタイミングを合わせて搬送され(A-1)、二次転写ローラ20で中間転写ベルト16から用紙Pへトナー像が転写される(A-2)。
【0049】
図5(b)のリトライ制御(先行画像クリーニング後の再送)では、給送時間の所定時間超過後又は不給紙ジャムの検知後、画像形成及び本体給紙動作を中断し、白紙に切り替える(B-1)。その後、中間転写ベルト16上のトナー画像を二次転写ローラ20まで搬送する(B-2)。このとき、二次転写ローラ20を中間転写ベルト16から離間して二次転写バイアスをGNDにしてもよいし、当接させたまま画像部バイアスと逆極性バイアスを印可するか、二次転写バイアスをGNDにしてもよい。中間転写ベルト16上のトナー画像がベルトクリーニング装置21のクリーニングブレードでクリーニングされた後(B-3)、画像形成及び本体給紙動作を再開する(B-4)。その後、中間転写ベルト16上に形成されたトナー画像と用紙Pはタイミングを合わせて搬送され、二次転写ローラ20で中間転写ベルト16から用紙Pへトナー像が転写される。
【0050】
図5(c)のリトライ制御(先行画像クリーニング後の再送)では、給送時間の所定時間超過後又は不給紙ジャムの検知後、画像形成を中断し、白紙に切り替える(C-1)。その後、画像形成を再開して、二次転写ベルト16上に中断画像の下流側にトナー画像を再形成し、再形成された画像は中断画像と共に二次転写ローラ20まで搬送される(C-2)。中断画像と再形成された画像の間には、白紙部の領域(画像間距離)が存在するが、この白紙部の画像長(画像間距離)は、二次転写ローラ20の離間から当接に要する時間や二次転写ローラ20のクリーニング時間などの、次の画像形成前に要するクリーニング条件によって異なる。本実施形態では、除去される中断画像と、中間転写ベルト16上に再形成される画像の間の白紙部の画像間距離は、二次転写ローラ20の中間転写ベルト16からの離間時間とプロセス線速の積に等しい。これにより、画像間距離が短くなり、ダウンタイムを低減することが可能となる。
【0051】
ここで、離間時間とは、二次転写ローラ20が中間転写ベルト16から離間した離間状態から中間転写ベルト16に当接する当接状態までの時間を意味する。より具体的には、離間時間は、離間状態における当接開始から当接完了までの時間であり、ここで当接開始は、離間状態から当接状態へ向けて二次転写ローラ20が移動を開始したタイミングであり、当接完了は、二次転写ローラ20が中間転写ベルト16に接触したタイミングである。
【0052】
その後、二次転写ローラ20へ中断画像のトナーが付着しないように、中断画像の二次転写ローラ通過前に二次転写ローラ20を中間転写ベルト16から離間させる。また、中間転写ベルト16上の中断画像がベルトクリーニング装置21のクリーニングブレードでクリーニングされる前に、用紙Pを搬送する(C-3)。そして、中断画像の二次転写ローラ通過後であって再形成された画像の二次転写ローラ通過前に、二次転写ローラ20を中間転写ベルト16に当接させ、二次転写ローラ20にて再形成された画像を用紙Pへ転写する(C-4)。
【0053】
この場合、リトライ制御(先行画像クリーニング前の再送)の方が、リトライ制御(先行画像クリーニング後の再送)よりもダウンタイムを低減できる。従来でもリトライ制御(先行画像クリーニング前の再送)は知られているが、白紙部の画像長(画像間距離)については着目されていない。
図5(c)の実施形態によれば、画像間距離を短くすることで、ダウンタイムのさらなる低減が可能である。通常、連続印刷時の紙間は、トナーを用紙Pへ定着させる熱量などの制約によって容易に短くすることはできない。本実施形態におけるリトライ制御は、プリンタ本体が印刷可能な状態での動作であるため、白紙部の画像長(画像間距離)を短くすることが可能である。
【0054】
図6は、リトライ制御(先行画像クリーニング前再送)(a)、及びリトライ制御(先行画像クリーニング後の再送)(b)の動作を示すフローチャートである。
具体的には、
図6(b)のリトライ制御(先行画像クリーニング後の再送)では、プリンタ100においてリトライ制御通知がなされると、感光体上のトナー画像を白紙に切り替え(S1)、二次転写ローラ20を中間転写ベルト16から離間させ(S2)、中間転写ベルト16上のトナー画像がベルトクリーニング装置21を通過するまで、給紙動作及び画像形成を中断する(S3)。そして、通過後に、感光体上のトナー画像を印刷画像に切り替え(S4)、給紙を再開する(S5)。その後、二次転写ローラ20を中間転写ベルト16に当接させ(S6)、二次転写バイアスを画像部バイアスに切り替え(S7)、中間転写ベルト16上のトナー画像と用紙Pが二次転写ローラ20に到達して、トナー画像が用紙Pに転写され、リトライ制御終了となる。
【0055】
一方で、
図6(a)のリトライ制御(先行画像クリーニング前の再送)では、S2の後に、中間転写ベルト16上のトナー画像がベルトクリーニング装置21を通過する前に画像形成を再開しているため(S4)、S3が不要となる分、ダウンタイムがより短くなっている。
【0056】
次に、本発明の実施例と比較例を記載する。
プリンタ100としてRICOH IM C3000を使用した。A3サイズの厚紙をプリンタ本体の第二トレイにセットし、評価した。A5サイズの用紙は搬送方向と垂直な端面が長くなるようにセットした。給紙開始後、所定時間が経過しても、用紙が、本体第二トレイとレジストローラ間にあるレジストセンサに到達しない場合、リトライ制御を開始するようにした。
実施例では、画像間距離を、二次転写ローラの離間時間(二次転写バイアス切り替え時間を含む)とプロセス線速の積により計算された値に設定した。
比較例は、画像間距離を通常印刷時の紙間距離に設定した。
プリンタ100へのジョブ送信から、再送画像の排出完了までの時間を比較したところ、実施例では比較例よりも、約0.1秒時間が短縮された。
【符号の説明】
【0057】
2 像担持体
16 中間転写ベルト(中間転写体)
19 一次転写ローラ(一次転写部)
20 二次転写ローラ(二次転写部)
21 ベルトクリーニング装置(クリーニング部)
30 給紙トレイ(収納部)
100 画像形成装置
107 リトライ制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】