(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037882
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】光触媒粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 35/02 20060101AFI20230309BHJP
B01J 37/16 20060101ALI20230309BHJP
B01J 37/34 20060101ALI20230309BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20230309BHJP
B01J 23/648 20060101ALI20230309BHJP
C01B 3/04 20060101ALI20230309BHJP
C01B 13/02 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
B01J35/02 J
B01J35/02 H
B01J37/16
B01J37/34
B01J37/02 101C
B01J23/648 M
C01B3/04 A
C01B13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144700
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】西本 大夢
【テーマコード(参考)】
4G042
4G169
【Fターム(参考)】
4G042BA05
4G042BA07
4G042BA08
4G042BB04
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA04A
4G169BA21C
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB11A
4G169BB20A
4G169BC17A
4G169BC18A
4G169BC22A
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4G169BC56A
4G169BC56B
4G169BC59A
4G169BC60A
4G169BC66A
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169BC75C
4G169BD01C
4G169BD02C
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4G169BD12A
4G169BE06C
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4G169FA02
4G169FB06
4G169FB14
4G169FB18
4G169FB46
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4G169FC02
4G169FC04
4G169FC06
4G169FC08
4G169HA01
4G169HB06
4G169HC02
4G169HD03
4G169HE09
(57)【要約】
【課題】改良された触媒性能を示す光触媒粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】光触媒粒子を製造する方法であって、以下の工程;半導体粒子と白金(Pt)供給源とを準備する工程、前記半導体粒子と白金(Pt)供給源とを還元液に加えて反応液を作製する工程、及び前記反応液に周波数100kHz超500kHz以下の超音波を照射して、金属白金(Pt)ナノ粒子が担持した半導体粒子を作製する工程を備え、 前記光触媒粒子が、半導体粒子と、前記半導体粒子の表面に担持された平均粒子径1.0~50.0nmの金属白金(Pt)ナノ粒子と、を有する触媒粒子である、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒粒子を製造する方法であって、以下の工程;
半導体粒子と白金(Pt)供給源とを準備する工程、
前記半導体粒子と白金(Pt)供給源とを還元液に加えて反応液を作製する工程、及び
前記反応液に周波数100kHz超500kHz以下の超音波を照射して、金属白金(Pt)ナノ粒子が担持した半導体粒子を作製する工程を備え、
前記光触媒粒子が、半導体粒子と、前記半導体粒子の表面に担持された平均粒子径1.0~50.0nmの金属白金(Pt)ナノ粒子と、を有する触媒粒子である、方法。
【請求項2】
前記半導体粒子が、酸化物、酸窒化物、窒化物、酸硫化物、酸塩化物及び/又はこれらの混合物からなる半導体材料を含み、
前記半導体材料が、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)及び鉄(Fe)からなる群から選択される1種以上の元素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記半導体粒子が、前記半導体材料からなる粒子、前記半導体材料と他の材料との混合粒子、及び前記半導体材料からなる被膜をコア粒子に被覆した複合粒子からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記白金(Pt)供給源が前記還元液に可溶な白金(Pt)塩を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記還元液がアルコール類を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記超音波の周波数が100kHz超300kHz以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記超音波の照射を0.1~10時間行う、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属白金(Pt)ナノ粒子の担持量が半導体粒子に対して0.1~10.0質量%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属白金(Pt)ナノ粒子の担持量が半導体粒子に対して1.0~3.0質量%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記金属白金(Pt)ナノ粒子の平均粒子径が5.0~30.0nmである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記光触媒粒子が、水分解による水素及び酸素生成の用途に用いられる触媒粒子である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代文明を維持するために人類は膨大なエネルギーを常に使っている。そしてこのエネルギーの大半を石油、石炭及び天然ガスといった化石燃料に頼っている。しかしながら化石燃料には資源枯渇の問題がある。また化石燃料の使用時に、二酸化炭素等の温室効果ガスの生成、あるいはNOx及びSOx等のガス排出といった環境問題がある。このような問題は近年懸念されており、その解決策が求められている。
【0003】
また燃料電池自動車に代表される水素エネルギー社会の早期実現が目されており、水素を大規模に製造する技術の開発への期待が高まっている。水素を製造する方法として、化石燃料を水蒸気改質する手法と、水を電気分解する手法が知られている。しかしながら水蒸気改質による手法は、化石燃料枯渇の問題への根本的な解決策にはならない。また水の電気分解には多量の電力が必要であり、再生可能電力を多量に得られない現状では、この手法も根本的な解決策にはなり得ない。したがって化石燃料を用いずに水素を製造する技術が強く望まれている。
【0004】
このような背景のもとで、太陽光を活用したクリーンエネルギーを創出する技術の開発への期待が高く、特に太陽エネルギーを使って水を水素と酸素とに分解する水分解光触媒が着目されている。光触媒による水分解では、無尽蔵に存在する太陽光エネルギーを直接用いて水素を製造することができる。そのため化石燃料に頼らない持続可能なエネルギー社会の実現に大きく寄与すると考えられている。また光触媒は、水分解以外の幅広い用途、例えば、空気清浄、水浄化、抗菌、脱臭、防汚、防曇等の用途で実用に供されており、その性能向上が求められている。
【0005】
光触媒は、通常は半導体材料で構成されている。半導体に、そのバンドギャップエネルギーEgに相当する波長の光より短波長の光を照射すると、価電子帯を充填している電子が伝導帯に励起され、価電子帯に正孔が生じる。伝導帯の下端が他物質の酸化還元電位より負である場合には、伝導帯の励起電子が他物質に移動して還元反応を引き起こす。一方で価電子帯の上端が他物質の酸化還元電位よりも正である場合には、価電子帯の正孔が他物質から電子を奪い取って他物質を酸化させる。このような酸化及び/又は還元が進行して光触媒反応が起こる。
【0006】
多くの光触媒では助触媒の担持が不可欠である。助触媒は電子と正孔の分離及び蓄積を促進する機能を有しており、これを担持することで、電子と正孔の再結合を抑制することが可能になる。そして良質な助触媒を担持することが、光触媒性能を高める上で重要である。助触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、金(Au)などの貴金属の他に、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化クロムなどの遷移金属の酸化物も用いられる。またこれらの混合物、積層体又は固溶体も有用である。
【0007】
助触媒の担持方法として、含浸法、光電着法(光電析法)、電気泳動法、スパッタリング法又は蒸着法などの手法が用いられる。含侵法では、水や有機溶媒に溶解する貴金属ハロゲン化物やアンミン錯体等の化合物を用い、これを含む溶液に光触媒を含浸した後、水素等の還元剤を用いて金属に還元する。用いた水や溶媒は、熱的又は減圧下での操作によって除去する。スパッタ法では、助触媒成分を有するターゲット板に不活性ガスのイオン又はクラスターを衝突させ、飛び出してくる金属を光触媒の表面に付着させる。物理蒸着法では、助触媒成分を有する金属や金属酸化物を熱して蒸発させ、光触媒の表面に凝結・固化させる。化学蒸着法では、助触媒金属を含む揮発性化合物を気化させて光触媒上に堆積させ、適切な還元剤を用いて堆積した化合物を還元する。
【0008】
助触媒を担持させた光触媒やその製造方法を開示するものとして、特許文献1~3が挙げられる。特許文献1には炭酸塩水溶液に金属を担持した半導体を入れ、光を照射することによって触媒的に水を分解し水素と酸素を製造する方法に関して、担持する金属としては、Pt、Rh、Ni、Cuなど炭酸塩水溶液中で光照射しても金属として安定であれば如何なる元素でもよい旨、金属担持法としては含浸法や光電着法、イオン交換法、物理的混合法など任意の方法を採用できる旨、実施例においてPt(0.3%)-TiO2などを触媒として用いる旨が記載されている(特許文献1の請求項1、[0012]、[0013]及び表1)。
【0009】
特許文献2には二酸化炭素を光触媒反応により還元し、蟻酸、ホルムアルデヒド、メタノール等の二酸化炭素還元生成物を生成させて二酸化炭素を固定化する装置及びその方法に関して、二酸化チタンに、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、プラチナ、銅、銀、金等の助触媒としての働きをする金属を担持させることによって、二酸化チタンの光触媒活性を更に高めることができる旨が記載されている(特許文献2の[0001]及び[0044])。
【0010】
特許文献3には窒素からアンモニアを合成するための触媒に関して、触媒粒子は、光触媒機能を有する無機物からなり、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化スズ(SnO2)、酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化モリブデン(MoO3)、及び酸化バナジウム(V2O5)等のうちの少なくとも1種を用いる旨、触媒粒子の表面には金属が担持されていてもよく、合成触媒の触媒活性をより向上させることができる旨、このような金属としては、例えばPd、Ag、Ru、Rh、Pt、Au、Ir、Ni、Fe、Cu、Cr、Co、Ir等から選ばれる少なくとも1種を用いる旨が記載されている(特許文献3の[0001]、[0012]及び[0015])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5-51201号公報
【特許文献2】国際公開第2010/001437号
【特許文献3】特開2015-120118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、貴金属を始めとする金属やその化合物からなる助触媒を担持した光触媒は従来から提案されている。しかしながら本発明者が調べたところ、従来の手法で作製した光触媒には改良の余地があることが分かった。例えば含侵法や光電着法を始めとする従来の担持法では、担持する貴金属粒子が粗大化し、微細な助触媒を均一に担持させることが困難であった。また従来の手法で作製された光触媒は性能が不十分であり、性能向上を図るために高価な貴金属粒子の担持量を多くする必要があった。
【0013】
ところで貴金属粒子を合成する際に、原料濃度を低くするとともに多量の有機保護剤を用いて均一且つ微細なナノ粒子を合成する試みもなされている。しかしながらこのような手法で作製したナノ粒子を光触媒粒子に担持させても、光触媒粒子の収率が低いとともに有機保護剤が粒子表面に付着するという問題がある。付着した有機保護剤は触媒活性を低下させるため、触媒粒子を高温焼成して付着有機保護剤を分解除去する必要がある。焼成を経た触媒粒子では、担持ナノ粒子が粗大化する。そのため従来の手法で微細なナノ粒子を高分散且つ高担持量で担持させることは困難であり、触媒性能に優れた光触媒粒子を効率的に製造する上で限界があった。
【0014】
本発明者は、このような従来の問題に鑑みて検討を行い、半導体粒子と白金供給源とに超音波を照射するという簡易な手法で、助触媒たる金属白金ナノ粒子を高分散且つ高担持率で析出させることができ、それにより改良された触媒性能を有する光触媒粒子を得ることができるとの知見を得た。
【0015】
本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、改良された触媒性能を示す光触媒粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、下記の態様を包含する。なお本明細書において「~」なる表現は、その両端の数値を含む。すなわち「X~Y」は「X以上Y以下」と同義である。
【0017】
本発明の一態様によれば、光触媒粒子を製造する方法であって、以下の工程;
半導体粒子と白金(Pt)供給源とを準備する工程、
前記半導体粒子と白金(Pt)供給源とを還元液に加えて反応液を作製する工程、及び
前記反応液に周波数100kHz超500kHz以下の超音波を照射して、金属白金(Pt)ナノ粒子が担持した半導体粒子を作製する工程を備え、
前記光触媒粒子が、半導体粒子と、前記半導体粒子の表面に担持された平均粒子径1.0~50.0nmの金属白金(Pt)ナノ粒子と、を有する触媒粒子である、方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、改良された触媒性能を示す光触媒粒子の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】光触媒粒子による水分解反応のメカニズムを示す。
【
図3】半導体粒子(Ta
2O
5粒子)のSEM像を示す。
【
図4】白金(Pt)担持後の半導体粒子(Ta
2O
5粒子)のSEM像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施形態」という)について以下に説明する。ただし本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
【0021】
<<1.光触媒粒子>>
本実施形態の光触媒粒子は、半導体粒子と、前記半導体粒子の表面に担持された平均粒子径1.0~50.0nmの金属白金(Pt)ナノ粒子と、を有する。このような光触媒粒子は触媒性能に優れている。
【0022】
光触媒粒子を構成する一方の成分である半導体粒子は、主触媒として機能する。この半導体粒子は光触媒性能を有する半導体材料から構成される限り、特に限定されない。半導体材料に、そのバンドギャップエネルギーEgに相当する波長の光より短波長の光を照射すると、価電子帯を充填している電子が伝導帯に励起され、価電子帯に正孔が生じる。伝導帯の下端が他物質の酸化還元電位より負である場合には、伝導帯の励起電子が他物質に移動して還元反応を引き起こす。一方で価電子帯の上端が他物質の酸化還元電位よりも正である場合には、価電子帯の正孔が他物質から電子を奪い取って他物質を酸化させる。このような酸化及び/又は還元が進行して光触媒反応が起こる。換言するに、半導体材料は、そのバンドギャップEgが入射光の光エネルギーhνより小さく、且つ伝導帯の下端が他物質の酸化還元電位より負であり、価電子帯の上端が他物質の酸化還元電位よりも正であるというバンド構造を有している。したがって半導体材料の材質は、入射光の波長や他物質の種類に依存し、一概には決められない。しかしながら光触媒性能を示す半導体材料は公知である。
【0023】
半導体粒子は、好ましくは、酸化物、酸窒化物、窒化物、酸硫化物、酸塩化物及び/又はこれらの混合物からなる半導体材料である。半導体粒子は、これらの半導体材料のみで構成されてもよく、あるいは半導体材料以外に他の材料を含んでもよい。半導体粒子は、好ましくは、半導体材料からなる粒子、半導体材料と他の材料との混合粒子、及び半導体材料からなる被膜をコア粒子に被覆した複合粒子からなる群から選択される少なくとも一つである。半導体材料は、好ましくは、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)及び鉄(Fe)からなる群から選択される1種類以上の元素を含む。より具体的には、半導体粒子は、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In2O3)、チタン酸ランタン(La2Ti2O7)、タンタル酸ナトリウム(NaTaO3)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)、タンタル酸カリウム(KTaO3)、酸化亜鉛-酸化ガリウム(ZnO-Ga2O3)、ランタンチタン酸窒化物(LaTiO2N)、ランタンタンタル酸窒化物(LaTaON2)、タンタル酸窒化物(TaON)及び/又はタンタル窒化物(Ta3N5)などの化合物を含んでもよい。しかしながらこれらの化合物には限定されない。またこれらの化合物を含む混合物や固溶体であってもよい。半導体粒子はZ-スキーム型であってもよい。半導体粒子が、半導体材料被膜をコア粒子に被覆した複合粒子である場合には、コア粒子が、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、及びアルミン酸ランタン(LaAlO3)などの酸化物であることが好ましい。
【0024】
半導体粒子の作製手法は特に限定されない。例えば半導体粒子が酸化物から構成される場合には、酸化物や炭酸塩などの公知の原料を用いて固相反応により作製してもよい。あるいは共沈法、水熱合成法、錯体重合法又はゾルゲル法などの手法で作製してもよい。
【0025】
半導体粒子の形状も特に限定されない。例えば球状、不定形状、異方形状(ロッド又は板状等)が挙げられる。一方で半導体粒子の粒子径(一次粒子径)は過度に大きくないことが好ましい。粒子径が過度に大きい場合には、光照射により粒子内部で生成した電子と正孔とが表面に到達するまでの移動距離が長くなる。移動距離が長くなると、電子と正孔とが再結合する確率が増え、粒子表面で酸化還元反応を引き起こす電子と正孔の数が減る。また半導体粒子の粒子径は過度に小さくないことが好ましい。粒子径が過度に小さい半導体粒子は、結晶性に劣り、格子欠陥を多量に含む傾向にある。格子欠陥が多量に存在すると、この欠陥に電子と正孔とがトラップされて再結合し易くなる。また粒子径が過度に小さい半導体粒子は凝集し易く、ハンドリングが困難という問題もある。半導体粒子の平均粒子径は0.1~50.0μmが好ましく、0.1~10.0μmがより好ましく、0.1~5.0μmがさらに好ましい。
【0026】
半導体粒子は、ドナー元素やアクセプター元素を含んでもよい。また半導体粒子に含まれる酸素の一部を他のアニオン元素で置換してもよい。このようなアニオン元素として窒素や硫黄を挙げることができる。ドナー元素、アクセプター元素及び/又はアニオン元素を含ませることで、半導体粒子のバンド構造を制御することが可能である。一方で半導体粒子は、ドナー元素、アクセプター元素及びアニオン元素を含まず、純度が高くてもよい。半導体粒子が多くの不純物を含むと、この不純物が、好ましくない電子と正孔との再結合を促す準位を形成することがある。半導体粒子の純度は99.0質量%以上であってよく、99.9質量%以上であってよい。
【0027】
光触媒粒子を構成する他方の成分である金属白金(Pt)ナノ粒子は、半導体粒子の表面に担持されて助触媒として機能する。金属白金ナノ粒子で担持(表面修飾)することで、光触媒粒子の触媒性能を顕著に高めることが可能になる。上述したように、光照射によって電子と正孔とが生じ、この電子と正孔とが触媒機能を発現させる。しかしながら電子と正孔が再結合して消失すると、触媒機能が発現しない。金属白金ナノ粒子は、電子と正孔の再結合を抑制する効果がある。金属白金ナノ粒子で担持することで、電子と正孔の分離及び蓄積が促進され、その結果、光触媒性能が向上する。
【0028】
金属白金ナノ粒子は、その平均粒子径が1.0~50.0nmである。平均粒子径1.0nm未満のナノ粒子を得るためには、金属濃度を低くしたり、あるいは有機表面保護剤を添加したりする必要がある。そのため触媒性能に優れた光触媒粒子を作製することが困難になる。平均粒子径は5.0nm以上であってよく、15.0nm以上であってよく、20.0nm以上であってもよく、25.0nm以上であってよい。一方で平均粒子径50.0nm超のナノ粒子では助触媒としての機能が失われるとともに、ナノ粒子が担持される半導体粒子の表面活性点が少なくなってしまう。平均粒子径は35.0nm以下であってよく、30.0nm以下であってよく、25.0nm以下であってよく、20.0nm以下であってよく、15.0nm以下であってもよい。なお平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた観察により求めることができる。例えば、これらの顕微鏡でナノ粒子を観察し、得られた画像を目視又は画像解析ソフトウエアで解析して粒子径分布を求め、この粒子径分布から平均値を算出すればよい。
【0029】
金属白金ナノ粒子の担持量は、半導体粒子に対して0.1~10.0質量%が好ましい。担持量が過度に少ないと、助触媒の機能を十分に発揮させることが困難になる。そのため光触媒粒子の触媒性能が低下する恐れがある。担持量は0.5質量%以上であってよく、1.0質量%以上であってもよい。一方で担持量が過度に多いと、半導体粒子の表面活性点が少なくなり、やはり触媒性能が低下する恐れがある。担持量は6.0質量%以下であってよく、3.0質量%以下であってもよい。
【0030】
本実施形態の光触媒粒子は光触媒性能に優れる。特に、この光触媒粒子は水分解による水素及び酸素生成の用途に好適である。
【0031】
<<2.光触媒粒子の製造方法>>
光触媒粒子は、半導体粒子と白金(Pt)供給源とに還元溶液中で超音波を照射して得られたものであることが好ましい。好ましい製造方法の具体的態様について以下に説明する。
【0032】
本実施形態の光触媒粒子の製造方法は、半導体粒子と白金(Pt)供給源とを準備する工程(準備工程)、この半導体粒子と白金(Pt)供給源とを還元液に加えて反応液を作製する工程(混合工程)、及びこの反応液に周波数100kHz超500kHz以下の超音波を照射して金属白金(Pt)ナノ粒子が担持した半導体粒子を作製する工程(超音波処理工程)を含む。
【0033】
<準備工程>
準備工程では、半導体粒子と白金(Pt)供給源とを準備する。半導体粒子は触媒性能を有する粒子であれば特に限定されない。その詳細は先述したとおりである。すなわち半導体粒子は、好ましくは、酸化物、酸窒化物、窒化物、酸硫化物、酸塩化物及び/又はこれらの混合物からなる半導体材料から構成される。半導体粒子は、好ましくは、半導体材料からなる粒子、半導体材料と他の材料との混合粒子、及び半導体材料からなる被膜をコア粒子に被覆した複合粒子からなる群から選択される少なくとも一つである。半導体材料は、好ましくは、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)及び鉄(Fe)からなる群から選択される1種類以上の元素を含む。また半導体粒子の平均粒子径は0.1~50.0μmが好ましく、0.1~10.0μmがより好ましく、0.1~5.0μmがさらに好ましい。
【0034】
白金供給源は、還元液に可溶な白金塩であれば特に限定されない。無機金属塩として硝酸塩、塩化物及び/又は硫酸塩などが挙げられる。より具体的には、例えば、ヘキサクロリド白金(IV)酸(H2PtCl6)、テトラクロリド白金(II)酸(H2PtCl4)、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム((NH4)2[PtCl4])が挙げられる。
【0035】
<混合工程>
混合工程では、準備した半導体粒子と白金供給源とを還元液に加えて反応液を作製する。半導体粒子と白金供給源の配合割合は、最終的に得られる光触媒粒子中の金属白金ナノ粒子の担持量が所望の値になるように調整すればよい。担持量が過度に少ないと、助触媒の効果を十分に発揮させることが困難になり触媒性能が低下する。一方で担持量が過度に多いと、半導体粒子の表面活性点が少なくなり触媒性能が低下する。
【0036】
還元液は、還元性を有する液体である限り限定されない。それ自体が還元性を有する液体であってもよく、あるいは還元性を有しない液体に還元剤を溶解させたものであってもよい。しかしながらそれ自体が還元性を有する液体であることが好ましい。また別個の還元剤を含まなくともよい。このような還元液として、毒性が低く入手が容易なエタノールやプロパノールなどのアルコール類が好ましい。またアルコール類と水との混合液も使用できる。
【0037】
<超音波処理工程>
超音波処理工程では、得られた反応液に超音波を照射して、金属白金ナノ粒子が担持した半導体粒子を作製する。この際、反応液中の白金供給源が超音波還元されて、金属白金ナノ粒子になり、これが半導体粒子の表面に担持される。この段階ではナノ粒子は金属状態である。
【0038】
金属白金ナノ粒子担持のメカニズムを以下に説明する。超音波が照射されると反応液中に粗密波が生じ、この粗密波により正負の繰り返し圧力が生じる。負圧サイクル時には蒸発により無数の微細気泡が反応液中に生じる。この気泡は正圧サイクル時に圧壊して強力な衝撃力を周囲に与える。この現象を超音波キャビテーションという。キャビテーションにより反応液中の半導体粒子と白金供給源とが均一に分散されるとともに、その表面が清浄化される。またキャビテーションにより微小で高温且つ高圧のホットスポットが生成する。生成したホットスポットは反応液に作用してラジカルを発生させ、このラジカルが白金供給源(金属イオン)の還元を促進する。このようにして白金供給源からナノ粒子が生成する。超音波還元により生成したナノ粒子は微小である。また有機保護剤や高温焼成が不要である。そのため、ナノ粒子を微細な状態で担持させた半導体粒子(光触媒粒子)の作製が可能である。
【0039】
超音波処理には特別な装置を用いる必要はなく、通常の超音波発振源を備えた装置を用いればよい。例えば市販の超音波洗浄機を使用することができる。処理も通常の条件で行えばよい。例えば超音波の周波数は100kHz超500kHz以下であってよく、100kHz超300kHz以下であってよく、150kHz以上250kHz以下であってもよい。また超音波の出力は10~500Wであってよく、50~200Wであってよい。さらに処理時間は0.1~10時間であってよく、0.1~5時間であってよく、0.1~3時間であってもよい。処理時間を長くすることで、白金供給源の全てをナノ粒子に変換させて半導体粒子に担持させることが可能である。一方で処理時間を短くすることで、ナノ粒子の担持量を調整することが可能である。超音波処理時の温度は0~100℃であってよい。
【0040】
超音波処理により得られた生成物は反応液中に分散又は沈殿した状態で存在する。したがって反応液から生成物を回収して、これを乾燥すればよい。回収は、ろ過や遠心分離等の公知の分離手段を用いればよい。また乾燥は、ナノ粒子が過度の粒成長を起こさない条件、例えば100℃以下で行えばよい。このようにして金属白金ナノ粒子を担持した半導体粒子を光触媒粒子として得ることができる。
【0041】
本実施形態の製造方法によれば、触媒性能に優れた光触媒粒子を得ることができる。その詳細な理由は不明であるが、超音波還元により生成した担持ナノ粒子が微細で特有の電子遷移状態を有し、さらに表面酸化層の形成が抑制されているためではないかと推測している。すなわち超音波還元処理で生成したナノ粒子(助触媒)はサイズが小さい。また超音波処理時に発生した高温且つ高圧のホットスポットやラジカルの作用によって特有の電子遷移状態になっていると考えられる。実際、超音波により生じたホットスポットは5000℃近くの高温であるとの報告があり、このような高温のホットスポットが瞬間的にでも作用することで、電子遷移状態が変化することは容易に予想される。さらに超音波還元により生成したナノ粒子は、超音波の物理的作用により表面酸化層の形成が抑制されていると考えられる。そしてこの微細な粒子サイズ、特有の電子遷移状態及び表面酸化の抑制が複合的に作用して優れた触媒性能をもたらすと推測している。
【0042】
またこのような製造方法によれば、金属白金ナノ粒子を高分散且つ高担持率で析出させることが可能になる。実際、金属白金ナノ粒子を6.0質量%もの高濃度で担持でき、それにより触媒性能に優れた光触媒粒子が得られることが確認されている。これに対して、従来から提案されている含浸法や光電着法などの手法ではナノ粒子を高分散且つ高担持率で担持させることは困難である。例えば、特許文献1では助触媒Ptを担持させたTiO2等の触媒を作製しているが、助触媒担持量は最大でも3wt%に過ぎず、また助触媒粒子の粒子径は開示されていない(特許文献1の表1)。
【0043】
さらに本実施形態の製造方法によれば、半導体粒子と白金供給源を含む反応液に超音波を照射するという簡易な手法で金属白金ナノ粒子を担持させた光触媒粒子を得ることが可能である。この製造方法では還元雰囲気中での加熱処理を行うことは必ずしも必要ではない。そのため製造コスト低減の効果がある。これに対して、含浸法で金属粒子を担持させる手法では、水素などの還元雰囲気中で加熱する必要がある。
【0044】
本実施形態の光触媒粒子は光触媒性能に優れる。特にこの光触媒粒子は水分解性能に優れており、水分解による水素と酸素の生成に好適である。
【0045】
<<3.水素と酸素の製造方法>>
光触媒粒子による水分解反応のメカニズムを、
図1を用いて説明する。半導体粒子を含む光触媒粒子に、半導体粒子のバンドギャップ以上のエネルギーhνを有する光が照射されると、半導体粒子がこの光エネルギーを吸収する。そして価電子帯の電子(e
-)が伝導帯に励起され、その結果として価電子帯に正孔(h
+;ホール)が生じる。発生した電子と正孔は、その一部が粒子内で再結合して消失する。再結合しなかった正孔は半導体粒子表面に移動する。半導体粒子の価電子帯の上端が水素化電位(E(O
2/H
2O))よりも正である場合には、正孔が水(H
2O)を酸化して酸素(O
2)を発生させる。一方で電子は半導体粒子表面を経て、さらに助触媒(金属白金ナノ粒子)表面に移動する。半導体粒子の伝導帯の下端がプロトン還元電位(E(H
+/H
2))よりも負である場合には、電子はプロトン(H
+)を還元して水素(H
2)を発生させる。このような光触媒反応(水分解反応)を通じて水素と酸素とが発生する。これらの反応をまとめると、下記(1)式に示す反応になる。
【0046】
【0047】
半導体粒子の表面を助触媒たる金属白金ナノ粒子で担持することで、光触媒粒子の水分解性能を顕著に高めることができる。上述したように、金属白金ナノ粒子で担持することで、半導体粒子での電子と正孔の分離及び蓄積が促進される。また光触媒粒子を水分解の用途に用いた場合、電子による水の酸化反応と正孔によるプロトンの還元反応が起こるものの、半導体粒子表面で還元反応は起こり難い。金属白金ナノ粒子は、還元反応の活性に優れており、これを担持することで還元反応が促進される。そのため還元反応による水素の生成及び酸化反応による酸素の発生が効率的に行われる。
【0048】
本実施形態の水素(H2)及び酸素(O2)の製造方法では、上記光触媒粒子に紫外光及び/又は可視光を照射しつつ、前記光触媒粒子に水を接触させて水を分解する。照射する光として、半導体粒子のバンドギャップより大きなエネルギーをもつものを選択すればよい。光源として、太陽光といった自然光源の他に、高圧水銀灯、キセノンランプ、タングステンランプなどの人工光源を用いることができる。
【0049】
光触媒と水を接触させる手法は特に限定されない。例えば水中に光触媒粒子を分散させ、得られた懸濁液に光を照射する手法が挙げられる。この場合には光触媒粒子が光を効率的に吸収するよう、光触媒粒子の量を調整することが好ましい。またスポンジなどの吸収材料の上に光触媒粒子を散布し、スポンジに水を供給するとともに光触媒粒子に光を照射するという手法が挙げられる。いずれにしても光を吸収した光触媒粒子に水が接触して分解する限り、その手法は限定されない。
【0050】
水素と酸素の発生は公知の水分解装置を用いて行うことができる。その一例として、閉鎖循環系の反応装置を
図2に示す。反応装置の本体は、石英製内部照射型反応管(1)と反応溶液(2)と400W高圧水銀灯(3)とマグネチックスターラー(4)とマグネチックスターラー用撹拌子(5)と冷却水管(11)とから構成されている。ここで反応溶液(2)は水と光触媒粒子とを含んでいる。またこの本体にはガス導入管とガス排出管とが設けられており、これらの管の途中には循環器(7)、リービッヒ冷却管(8)及び圧力計(9)が設けられている。さらにこれらの管の末端は真空ライン(6)とガスクロマトグラフ(10)とつながっている。
【0051】
水分解の際には、光触媒粒子を水に分散させて反応溶液(2)を作製する。用いる水として炭酸塩水溶液を用いてもよい。得られた反応溶液(2)を水分解装置の反応管(1)に入れて、マグネチックスターラー用撹拌子(5)を用いて撹拌する。その後、高圧水銀灯(3)から光を照射し、反応溶液(2)中にて水分解反応を起こさせる。水分解により発生した水素と酸素とをガス排出管から排出する。排出された水素と酸素を、キャリアガスとともにガスクロマトグラフ(10)に導入し、そこで定量分析する。
【実施例0052】
本実施形態を、以下の例によってさらに具体的に説明する。しかしながら本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
(1)光触媒粒子(金属白金ナノ粒子担持酸化タンタル粒子)の作製
[実施例1]
超音波処理により還元生成した白金(Pt)ナノ粒子を酸化タンタル粒子に担持させて光触媒粒子(金属白金ナノ粒子担持酸化タンタル粒子)を作製した。この際、酸化タンタルに対する白金濃度(担持量)を1.0質量%にした。具体的には以下の手順でサンプルを作製した。
【0054】
<準備工程>
酸化タンタル粒子(Ta2O5;株式会社高純度化学研究所)と8質量%塩化白金酸水溶液(H2PtCl6;Sigma-Aldrich)とを準備した。酸化タンタル粒子は、純度が99.9%であり、平均粒子径が約300nmであった。
【0055】
<混合工程>
準備した酸化タンタル粒子(0.5g)と8質量%塩化白金酸水溶液(0.125mL)とを超純水(49.7mL)と1-プロパノール(0.15mL)の混合溶液である還元液に添加した。還元液として1-プロパノール(富士フィルム和光純薬株式会社)を用いた。これにより反応液を作製した。
【0056】
<超音波処理工程>
得られた反応液を超音波装置(株式会社カイジョー、QUAVA mini)に入れて超音波処理を施した。超音波処理は、200kHzの周波数で行った。また出力を100W、処理時間を1.5時間にした。この際、反応液の温度を20℃に維持した。この処理により、反応液中の白金イオンを還元して金属白金(Pt)に変化させた。処理により得られた生成物をろ過した後、超純水(50mL)を用いて洗浄し、大気中60℃で2時間の条件で乾燥して、金属白金ナノ粒子担持酸化タンタル粒子を光触媒粒子として得た。
【0057】
[比較例1]
含浸法により白金助触媒を酸化タンタル粒子に担持して光触媒粒子を合成した。また酸化タンタルに対する白金濃度(担持量)を1.0質量%にした。具体的には以下の手順でサンプルを作製した。
【0058】
酸化タンタル粒子(0.4g)を超純水(40mL)に添加した後、10分間超音波を付与して分散させた。酸化タンタル粒子は実施例1と同じものを用いた。得られた分散液に塩化白金(IV)酸(ヘキサクロリド白金(IV)酸(H2PtCl6);富士フイルム和光純薬株式会社)を添加した。この際、酸化タンタルに対する白金量が1.0質量%になるように塩化白金(IV)酸の添加量を調整した。塩化白金(IV)酸を添加した分散液を100℃で加熱して水分を蒸発させてから、500℃で30分間焼成して、白金助触媒を担持した酸化タンタル粒子を得た。
【0059】
(2)光触媒粒子の評価及びその結果
実施例1及び比較例1で得られた光触媒粒子(金属白金ナノ粒子担持酸化タンタル粒子)、並びに原料として用いた酸化タンタル粒子を走査型電子顕微鏡(SEM;Carl ZEISS社、ULTRA55)を用いて観察し、担持された白金ナノ粒子の粒子径を求めた。観察は加速電圧1kVの条件で行った。
【0060】
原料として用いた酸化タンタル粒子のSEM像を
図3に示す。また実施例1で得られた金属白金ナノ粒子担持酸化タンタル粒子のSEM像を
図4に示す。SEM像より、実施例1では平均粒子径5~30nmのPtナノ粒子を担持できていることがわかった。これに対して、比較例1で得られたPtナノ粒子の粒子径は、実施例1よりも大きく粒子径分布の幅が広かった。