(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038690
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、インクジェットインク組成物および像形成装置
(51)【国際特許分類】
C08F 2/46 20060101AFI20230310BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20230310BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20230310BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230310BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230310BHJP
【FI】
C08F2/46
C08F290/06
B29C64/112
B33Y30/00
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145551
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】小島 智之
(72)【発明者】
【氏名】山口 竜輝
(72)【発明者】
【氏名】小林 広紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊介
(72)【発明者】
【氏名】石井 煕
【テーマコード(参考)】
4F213
4J011
4J127
【Fターム(参考)】
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4J127FA08
(57)【要約】
【課題】基材に対する密着性および耐ブロッキング性に優れ、更にインクジェットによる吐出性に優れた活性エネルギー線硬化型組成物を提供する。
【解決手段】重合開始剤および重合性化合物を含む活性エネルギー線硬化型組成物であって、前記重合性化合物が、ホモポリマーのガラス転移温度が90℃以上であり、環構造を有する化合物(A)、アミン変性アクリレートオリゴマー(B)、およびホモポリマーのガラス転移温度が-30℃以下である化合物(C)を含有し、前記化合物(A)の含有量が前記活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して45質量%以上であり、前記化合物(C)の含有量が前記活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して10質量%以下であり、前記アミン変性アクリレートオリゴマー(B)の含有量≧前記化合物(C)の含有量の関係を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合開始剤および重合性化合物を含む活性エネルギー線硬化型組成物であって、
前記重合性化合物として、ホモポリマーのガラス転移温度が90℃以上であり、環構造を有する化合物(A)、アミン変性アクリレートオリゴマー(B)、およびホモポリマーのガラス転移温度が-30℃以下である化合物(C)を含有し、
前記化合物(A)の含有量が前記活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して45質量%以上であり、前記化合物(C)の含有量が前記活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して10質量%以下であり、かつ前記アミン変性アクリレートオリゴマー(B)の含有量≧前記化合物(C)の含有量の関係を満たす活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項2】
前記アミン変性アクリレートオリゴマー(B)の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して1質量%以上5質量%以下である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項3】
前記化合物(A)の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して50質量%以上である請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項4】
前記化合物(A)、前記アミン変性アクリレートオリゴマー(B)および前記化合物(C)とは別のその他の重合性化合物として、官能基数が2以上であるウレタンアクリレートオリゴマーを含む請求項1~3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項5】
前記ウレタンアクリレートオリゴマーが、3官能ウレタンアクリレートオリゴマーである請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項6】
前記化合物(C)が、分子量が200以下の重合性化合物である請求項1~5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を含む、活性エネルギー線硬化型インク組成物。
【請求項8】
実質的に色材を含まない、請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
【請求項9】
請求項7または8に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を含むインクジェットインク組成物。
【請求項10】
請求項1~6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、または、請求項7または8に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物、または請求項9に記載のインクジェットインク組成物のいずれかが収容された収容部と、活性エネルギー線を照射するための照射手段とを有する2次元または3次元の像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、インクジェットインク組成物および像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化する性能を有する。
【0003】
インクジェットプリンターは、大型の宣伝広告の印刷など産業用途での利用機会が多くなっている。インクジェットプリンターに用いられるインク組成物として、例えば水性インクジェトインク組成物、油性インクジェットインク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物等がある。
【0004】
活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線の照射によって組成物を硬化させることから、例えばアクリル板の様な非浸透性基材であっても、乾燥性に優れる。
【0005】
一方、印刷物が保管される際、インク組成物が付与された面と基材面同士、或いはインク組成物が付与された面同士が接触する状態で保管されることがあるため、耐ブロッキング性が求められる。
【0006】
活性エネルギー線硬化型組成物は乾燥性に優れてはいるものの、活性エネルギー線の照射によって組成物を硬化させる際、組成物が未反応な状態で残留していることでブロッキングが発生する場合がある。
【0007】
また、活性エネルギー線硬化型組成物は、硬化の際に内部応力が発生するため、例えばアクリル板の様な剛直な基材においては、内部応力による硬化物の形状変化に基材が追従できず、特に密着性に劣る場合がある。
【0008】
そこで例えば特許文献1では、44~80質量%の光重合性単官能モノマーと、15~50質量%の光重合性多官能モノマーと、5~15質量%のアシルホスフィン系光重合開始剤とを含むUV-LED硬化型インクジェット印刷用クリアーインク組成物を提案している。また特許文献2では、少なくとも重合性化合物および重合開始剤を含有し、前記重合性化合物が、少なくともアミン変性エポキシ(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型プライマーインク組成物を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のUV-LED硬化型インクジェット印刷用クリアーインク組成物では、アクリル板等の剛直な基材に印刷した際、密着性に劣る場合がある。また、特許文献2に記載の活性エネルギー線硬化型プライマーインク組成物では、耐ブロッキング性に劣る場合がある。
【0010】
したがって本発明の目的は、基材に対する密着性および耐ブロッキング性に優れ、更にインクジェットによる吐出性に優れた活性エネルギー線硬化型組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、下記構成1)により解決される。
1)重合開始剤および重合性化合物を含む活性エネルギー線硬化型組成物であって、
前記重合性化合物として、ホモポリマーのガラス転移温度が90℃以上であり、環構造を有する化合物(A)、アミン変性アクリレートオリゴマー(B)、およびホモポリマーのガラス転移温度が-30℃以下である化合物(C)を含有し、
前記化合物(A)の含有量が前記活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して45質量%以上であり、前記化合物(C)の含有量が前記活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して10質量%以下であり、かつ前記アミン変性アクリレートオリゴマー(B)の含有量≧前記化合物(C)の含有量の関係を満たす活性エネルギー線硬化型組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基材に対する密着性および耐ブロッキング性に優れ、更にインクジェットによる吐出性に優れた活性エネルギー線硬化型組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明における像形成装置の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明における別の像形成装置の一例を示す概略図である。
【
図3】本発明におけるさらに別の像形成装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0015】
(活性エネルギー線硬化型組成物)
本発明における活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤および重合性化合物を含み、前記重合性化合物が、ホモポリマーのガラス転移温度が90℃以上であり、環構造を有する化合物(A)、アミン変性アクリレートオリゴマー(B)、およびホモポリマーのガラス転移温度が-30℃以下である化合物(C)を含有し、前記化合物(A)の含有量が前記活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して45質量%以上であり、前記化合物(C)の含有量が前記活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して10質量%以下であり、かつ前記アミン変性アクリレートオリゴマー(B)の含有量≧前記化合物(C)の含有量の関係を満たすことを特徴とする。
【0016】
本発明者が鋭意検討したところ、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物において、ホモポリマーのガラス転移温度が90℃以上であり、環構造を有する化合物(A)を含有することにより、耐ブロッキング性や基材に対する密着性に優れた硬化物を得ることができることを知見した。
【0017】
しかしながら、化合物(A)を含有するだけでは、特に活性エネルギー線硬化型組成物が付与された面同士を接触させた際において、耐ブロッキング性が不十分となる場合があった。この理由は定かではないが、以下のことが考えられる。化合物(A)を含有することで、Tgが高く環構造を有する剛直な構造を有する硬化物が形成され、耐ブロッキング性は向上すると考えられる。しかしながら、その構造の嵩高さ故に硬化時の反応性に劣る場合があり、微量ながら未反応物が残留し、特に活性エネルギー線硬化型組成物が付与された面同士を接触させた場合においては局所的にその残留物量が増え、ブロッキングが発生すると考えられる。
【0018】
そこで本発明者が鋭意検討したところ、アミン変性アクリレートオリゴマー(B)を含有することで、化合物(A)の反応性をより向上させることができ、特に活性エネルギー線硬化型組成物が付与された面同士を接触させた際において、耐ブロッキング性に優れた硬化物を得ることができることを知見した。
【0019】
アミン変性アクリレートオリゴマー(B)の存在によって硬化反応時の酸素阻害の影響が低減され、より効率的に、化合物(A)を反応させることができるためと考えられる。
【0020】
更にホモポリマーのガラス転移温度が-30℃以下である化合物(C)を含有することにより、硬化物に柔軟性を付与することができ、密着性に優れた硬化物を得ることができる。
【0021】
<化合物(A)>
化合物(A)としては、ホモポリマーのガラス転移温度が90℃以上であり、環構造を有する化合物であれば特に制限は無く用いることができる。
例えば、イソボロニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
化合物(A)は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
化合物(A)の含有量としては、活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。これにより基材に対する密着性および耐ブロッキング性に優れた硬化物を得ることができる。
また、化合物(A)の含有量の上限値は、例えば活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、化合物(A)において、上記ホモポリマーのガラス転移温度は90~150℃が好ましい。
【0023】
<アミン変性アクリレートオリゴマー(B)>
アミン変性アクリレートオリゴマー(B)としては、アミン変性アクリレートオリゴマーではれば特に制限は無く用いることができる。なお本発明で言うオリゴマーとは、重量平均分子量が1,000以上30,000以下の重合体を意味する。前記重合平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
アミン変性アクリレートオリゴマー(B)は市販されているものを利用することができ、例えば、Rahn AG社製のGENOMER 5275、サートマー社製のCN371、CN550、CN551等が挙げられる。
アミン変性アクリレートオリゴマー(B)は、1種類を単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
アミン変性アクリレートオリゴマー(B)の含有量としては、活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して例えば1質量%以上10質量%以下であり、1質量%以上7.5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
これにより、耐ブロッキング性に優れ、且つインクジェット吐出性にも優れた組成物とすることができる。
【0025】
<化合物(C)>
化合物(C)としては、ホモポリマーのガラス転移温度が-30℃以下であればとくに制限は無く用いることができる。
例えば、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-アクリロイロキシエチル-コハク酸、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノ(メタ)アクリレート、ダイセル・オルネクス株式会社製のEBECRYL230、EBECRYL4491、EBECRYL8413等が挙げられる。中でも本発明の効果向上の観点から、化合物(C)は分子量が200以下の重合性化合物であるのが好ましい。
【0026】
化合物(C)は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
化合物(C)の含有量としては、活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して10質量%以下であり、例えば1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上7.5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
これにより、耐ブロッキング性に優れつつ、基材に対する密着性も良好な組成物とすることができる。
【0028】
また本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、質量ベースとして、前記アミン変性アクリレートオリゴマー(B)の含有量≧前記化合物(C)の含有量の関係を満たすことが好ましい。これにより、耐ブロッキング性と基材密着性の両方に優れた組成物とすることができる。なお、活性エネルギー線硬化型組成物において、前記アミン変性アクリレートオリゴマー(B)の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して、2~10質量%であることが好ましい。
なお、化合物(C)において、上記ホモポリマーのガラス転移温度は-70~-30℃が好ましい。
【0029】
<その他重合性化合物>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、化合物(A)、アミン変性アクリレートオリゴマー(B)、化合物(C)以外のその他の重合性化合物を含有してもよい。その他の重合性化合物としては、特に制限はなく、適宜用いることができる。
例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、エチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、N-ビニルホルムアミド、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ビニルピロリドン、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、エトキシ化ノニルフェニルアクリレート、アルコキシ化2-フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、等の単官能重合性化合物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)ヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3-メチルー1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸付加物、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等の多官能重合性化合物が挙げられる。
【0030】
その他の重合性化合物は1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、その他の重合性化合物として、ウレタンアクリレートオリゴマーを含有することが好ましく、重合性官能基数が2以上のウレタンアクリレートオリゴマーを含有することが好ましく、重合性官能基数が3以上のウレタンアクリレートオリゴマーを含有することがより好ましく、重合性官能基数が3のウレタンアクリレートオリゴマーを含有することが特に好ましい。
これにより、密着性を保持しつつ更に耐ブロッキング性に優れた組成物とすることができる。
【0032】
ウレタンアクリレートオリゴマーを使用する場合、その添加量は、活性エネルギー線硬化型組成物総量に対して1~7質量%が好ましく、2~5質量%がさらに好ましい。
【0033】
なお、(メタ)アクリル酸付加物とは、アクリル酸付加物又はメタクリル酸付加物を表し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを表す。
【0034】
<ホモポリマーのガラス転移温度>
本発明で言うホモポリマーのガラス転移温度(Tg)とは、該重合性化合物のホモポリマー硬化物のガラス転移温度(Tg)を指す。Tgは、カタログ値がある場合はその値を参照することで、或いは示差走査熱量測定(DSC)法によってホモポリマー硬化物のTgを測定することにより、得ることができる。
【0035】
<活性エネルギー線>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
【0036】
<重合開始剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤を含有することができる。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、組成物の総質量(100質量%)に対し、5~20質量%含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミンおよび4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
【0037】
<色材>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1~20質量%であることが好ましい。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
<有機溶媒>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
【0039】
<その他の成分>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。その他成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
【0040】
<活性エネルギー線硬化型組成物の調整>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調整手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調整することができる。
【0041】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3~40mPa・sが好ましく、5~30mPa・sがより好ましく、6~25mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34'×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
【0042】
<用途>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、
図2や
図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、
図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、
図3は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
【0043】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物をインクとして用いる場合には、色材を含有するインクとして用いても良く、実質的に色材を含まないインクとして用いても良い。実質的に色材を含まないとは、組成物中の色材の含有量が0.1質量%未満であることができる。
【0044】
<組成物収容容器>
本発明の組成物収容容器は、活性エネルギー線硬化型組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、または容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
【0045】
<像の形成方法、形成装置>
本発明の像の形成方法は、少なくとも、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。さらに、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。
図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、
図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
【0046】
(硬化物)
本発明の硬化物としては、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物および活性エネルギー線硬化型インク組成物の少なくともいずれかに活性エネルギー線を照射することにより硬化させて形成される。
【実施例0047】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0048】
<活性エネルギー線硬化型組成物の調製>
表1~3に示す材料と含有量(質量%)に従って、常法により、各実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型組成物を調製した。
表中のTgの値は、各重合性化合物のホモポリマー硬化物のTgを示す。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
<耐ブロッキング性評価>
各活性エネルギー線硬化型組成物を、株式会社リコー製GEN5ヘッドを有するインクジェット印刷装置に充填し、ヘッドと基材面のギャップ1mm、1.7mg/cm2の付着量、でアクリル基材上にベタ画像を印刷した。
なお、基材上に付着させた活性エネルギー線硬化型組成物は、ウシオ電機製LEDランプ(ピーク波長395nm、3000mJ/cm2)で硬化させた。
硬化させた組成物面同士が接触するようにアクリル基材を重ね合わせ、上からA4あたり3kgの荷重をかけた状態で室温で24時間放置後、貼り付きの有無及び目視での硬化膜の変化度合いから以下の基準に従って評価した。
結果は表1~3に記載した。
[評価基準]
◎:貼り付きが無く、硬化膜の変化も見られない
〇:貼り付きはあるが、硬化膜の変化は見られない
△:貼り付きがあり、硬化膜の一部分に変化が見られる
×:貼り付きがあり、硬化膜の全体にわたって変化が見られる
◎、〇、△評価が合格である。
【0053】
<密着性評価>
各活性エネルギー線硬化型組成物を、株式会社リコー製GEN5ヘッドを有するインクジェット印刷装置に充填し、ヘッドと基材面のギャップ1mm、1.7mg/cm2の付着量、でアクリル基材上にベタ画像を印刷した。
なお、基材上に付着させた活性エネルギー線硬化型組成物は、ウシオ電機製LEDランプ(ピーク波長395nm、3000mJ/cm2)で硬化させた。
密着性試験JIS K5600-5-6のクロスカット法の評価方法に従い、以下の基準従って評価した。
◎:剥がれが無い
〇:カッターの切込みに沿って剥がれが見られるが、マスは剥がれていない
△:全体の半分未満のマスが剥がれている
×:全体の半分以上のマスが剥がれている
◎、〇評価が合格である。
【0054】
<吐出性評価>
各活性エネルギー線硬化型組成物を、株式会社リコー製GEN5ヘッドを有するインクジェット印刷装置に充填し、ヘッドと基材面のギャップ1mm、1.7mg/cm2の付着量、でアクリル基材上にベタ画像を印刷した。
なお、基材上に付着させた活性エネルギー線硬化型組成物は、ウシオ電機製LEDランプ(ピーク波長395nm、3000mJ/cm2)で硬化させた。
ヘッド走査方向側の画像端部分を観察し、以下の基準に従って評価した。
〇:画像端傍の非印刷部分にインクの付着がほとんど見られない
△:画像端傍の非印刷部分に僅かにインクの付着が見られる
×:画像端傍の非印刷部分にインクの付着が見られる
〇、△評価が合格である。
【0055】
表1~3の結果から、各実施例の組成物は、基材に対する密着性および耐ブロッキング性に優れ、更にインクジェットによる吐出性にも優れている。
これに対し、比較例1~7は化合物(A)、アミン変性アクリレートオリゴマー(B)および化合物(C)の配合量が本発明で規定する条件を満たしていないので、基材に対する密着性、耐ブロッキング性、インクジェットによる吐出性を共に満足することができなかった。