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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039221
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】マイクロミラーデバイス及び光走査装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20230313BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
B81B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146275
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青島 圭佑
【テーマコード(参考)】
2H045
3C081
【Fターム(参考)】
2H045AB06
2H045AB13
2H045AB24
2H045AB38
2H045AB81
2H045BA12
3C081AA13
3C081BA22
3C081BA28
3C081BA33
3C081BA44
3C081BA47
3C081BA55
3C081CA02
3C081CA13
3C081DA04
3C081DA24
3C081DA27
3C081EA08
3C081EA11
3C081EA12
(57)【要約】
【課題】軸間クロストークによる共振周波数のシフトを抑制することを可能とするマイクロミラーデバイス及び光走査装置を提供する。
【解決手段】マイクロミラーデバイスは、ミラー部と、ミラー部を第1軸周りに揺動可能に支持する第1支持部と、第1軸を挟んで対向した一対の可動枠と、可動部を第2軸周りに揺動可能に支持する第2支持部と、可動部を囲んで配置され、第2軸上において第2支持部との間に空隙が存在する駆動部と、第2支持部と駆動部とを連結する連結部と、固定枠とを備え、ミラー部が第1軸周りに回動して回動角度の絶対値が0度よりも大きくなった状態で、第1軸に直交し、かつ第2軸を含む平面において、第2支持部の表面上にあって第2支持部の各端点を含む直線と第2軸との交点と、静止時における第2支持部のミラー部側の端部との距離をAとし、第2支持部の第2軸方向への全長をLとした場合に、2/3<A/Lの関係を満たす。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を反射する反射面が形成されたミラー部と、
前記ミラー部の静止時の前記反射面を含む平面内にある第1軸上で前記ミラー部と接続され、かつ前記ミラー部を前記第1軸周りに揺動可能に支持する第1支持部と、
前記第1支持部に接続され、前記第1軸を挟んで対向した一対の可動枠と、
前記ミラー部の静止時の前記反射面を含む平面内であって前記第1軸に直交する第2軸上で前記可動枠に接続され、かつ、前記ミラー部、前記第1支持部、及び前記可動枠を含む可動部を前記第2軸周りに揺動可能に支持する第2支持部と、
前記可動部を囲んで配置され、前記第2軸上において前記第2支持部との間に空隙が存在する駆動部と、
前記第2支持部と前記駆動部とを連結する連結部と、
前記駆動部に接続され、かつ前記駆動部を囲んで配置された固定枠と、
を備え、
前記ミラー部が前記第1軸周りに回動して回動角度の絶対値が0度よりも大きくなった状態で、
前記第1軸に直交し、かつ前記第2軸を含む平面において、前記第2支持部の表面上にあって前記第2支持部の各端点を含む直線と前記第2軸との交点と、静止時における前記第2支持部の前記ミラー部側の端部との距離をAとし、前記第2支持部の前記第2軸方向への全長をLとした場合に、2/3<A/Lの関係を満たす、
マイクロミラーデバイス。
【請求項2】
前記駆動部は、圧電素子を有する、
請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記第2軸を挟んで対向し、かつ圧電素子を有する一対の第1アクチュエータと、
前記第1アクチュエータを囲んで配置され、前記第1軸を挟んで対向し、かつ圧電素子を有する一対の第2アクチュエータと、
を備える請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項4】
前記第2アクチュエータは、前記ミラー部を前記第1軸周りに揺動させ、
前記第1アクチュエータは、前記可動部を前記第2軸周りに揺動させる、
請求項3に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項5】
距離A及び全長Lが、2/3<A/L<6/5の関係を満たす、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項6】
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスと、
前記駆動部を駆動するプロセッサと、
を備える光走査装置であって、
前記プロセッサは、前記駆動部に駆動信号を与えることにより、前記ミラー部を、前記第1軸及び前記第2軸の周りにそれぞれ揺動させる、
光走査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、マイクロミラーデバイス及び光走査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン(Si)の微細加工技術を用いて作製される微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems:MEMS)デバイスの1つとしてマイクロミラーデバイス(マイクロスキャナともいう。)が知られている。このマイクロミラーデバイスは小型かつ低消費電力であることから、レーザーディスプレイ、レーザープロジェクタ、光干渉断層計などへの幅広い応用が期待されている。
【0003】
マイクロミラーデバイスの駆動方式は様々であるが、圧電体の変形を利用した圧電駆動方式は、他の方式に比べて発生するトルクが高く、高スキャン角が得られるとして有望視されている。特に、レーザーディスプレイのように高いスキャン角が必要な場合には、圧電駆動方式のマイクロミラーデバイスを共振駆動することにより、より高いスキャン角が得られる。
【0004】
レーザーディスプレイに用いられる一般的なマイクロミラーデバイスは、ミラー部と、圧電方式のアクチュエータとを備える(例えば、特許文献1,2参照)。ミラー部は、互いに直交する第1軸及び第2軸の周りに揺動自在である。アクチュエータは、外部から供給される駆動電圧に応じて、ミラー部を、第1軸及び第2軸の周りに揺動させる。上述のスキャン角は、ミラー部の振れ角に対応する。
【0005】
レーザーディスプレイの性能指標として解像度と視野角とが挙げられる。解像度と視野角には、マイクロミラーデバイスのミラー部の揺動周波数と振れ角とが関連する。例えば、リサージュスキャン方式のレーザーディスプレイでは、ミラー部を、第1軸及び第2軸の周りに、異なる二種類の周波数で同時に揺動させることにより2次元光走査を行う。ミラー部の振れ角が大きいほど光の走査面積が大きくなり、かつ、より短い光路長でより大きな画像を表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-132281号公報
【特許文献2】国際公開第2009/041342号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的にマイクロミラーデバイスを共振駆動すると、第1軸及び第2軸のうち一方の軸周りのミラー部の揺動が他方の軸周りのミラー部の揺動に影響を及ぼす軸間クロストークが発生する。具体的には、一方の軸周りの回動角度の大きさに応じて、他方の軸周りの共振周波数がシフトする。これにより、2次元光走査の安定性が著しく低下してしまう。
【0008】
例えば、一方の軸周りの駆動周波数を掃引して駆動周波数を共振周波数に近づけることでミラー部の振れ角を大きくしようとした際に、他の軸周りのミラー部の振れ角が、軸間クロストークによって生じる共振周波数のシフトによって大きく変化する。このとき、他の軸周りのミラー部の振れ角の変化が、駆動周波数を掃引した側の軸周りの共振周波数のシフトを引き起こしてしまう。すなわち、軸間クロストークによって一種のフィードバック現象が生じる。
【0009】
このように、軸間クロストークによる共振周波数のシフト量が大きい場合には、駆動周波数を掃引したとしても、上記フィードバック現象により駆動周波数を共振周波数に合わせることができず、ミラー部の振れ角を大きくすることができないという問題がある。
【0010】
本開示の技術は、軸間クロストークによる共振周波数のシフトを抑制することを可能とするマイクロミラーデバイス及び光走査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本開示のマイクロミラーデバイスは、入射光を反射する反射面が形成されたミラー部と、ミラー部の静止時の反射面を含む平面内にある第1軸上でミラー部と接続され、かつミラー部を第1軸周りに揺動可能に支持する第1支持部と、第1支持部に接続され、第1軸を挟んで対向した一対の可動枠と、ミラー部の静止時の反射面を含む平面内であって第1軸に直交する第2軸上で可動枠に接続され、かつ、ミラー部、第1支持部、及び可動枠を含む可動部を第2軸周りに揺動可能に支持する第2支持部と、可動部を囲んで配置され、第2軸上において第2支持部との間に空隙が存在する駆動部と、第2支持部と駆動部とを連結する連結部と、駆動部に接続され、かつ駆動部を囲んで配置された固定枠と、を備え、ミラー部が第1軸周りに回動して回動角度の絶対値が0度よりも大きくなった状態で、第1軸に直交し、かつ第2軸を含む平面において、第2支持部の表面上にあって第2支持部の各端点を含む直線と第2軸との交点と、静止時における第2支持部のミラー部側の端部との距離をAとし、第2支持部の第2軸方向への全長をLとした場合に、2/3<A/Lの関係を満たす。
【0012】
駆動部は、圧電素子を有することが好ましい。
【0013】
駆動部は、第2軸を挟んで対向し、かつ圧電素子を有する一対の第1アクチュエータと、第1アクチュエータを囲んで配置され、第1軸を挟んで対向し、かつ圧電素子を有する一対の第2アクチュエータと、を備えることが好ましい。
【0014】
第2アクチュエータは、ミラー部を第1軸周りに揺動させ、第1アクチュエータは、可動部を第2軸周りに揺動させることが好ましい。
【0015】
距離A及び全長Lが、2/3<A/L<6/5の関係を満たすことが好ましい。
【0016】
本開示の光走査装置は、上記のうちいずれかのマイクロミラーデバイスと、駆動部を駆動するプロセッサと、を備える光走査装置であって、プロセッサは、駆動部に駆動信号を与えることにより、ミラー部を、第1軸及び第2軸の周りにそれぞれ揺動させる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の技術によれば、軸間クロストークによる共振周波数のシフトを抑制することを可能とするマイクロミラーデバイス及び光走査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】光走査装置の概略図である。
図2】駆動制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】マイクロミラーデバイスの外観斜視図である。
図4】マイクロミラーデバイスを光入射側から見た平面図である。
図5図4のA-A線に沿った断面図である。
図6】ミラー部が第1軸周りに回動した状態を示す断面図である。
図7】第1駆動信号及び第2駆動信号の一例を示す図である。
図8】ミラー部が第1軸周りに回動する場合における第2支持部の変位を模式的に示す図である。
図9】マイクロミラーデバイスの構成要素の寸法に関するパラメータを示す図である。
図10】マイクロミラーデバイスの構成要素の寸法に関するパラメータを示す図である。
図11】パラメータの具体的な設定値を示す図である。
図12】変形例に係るマイクロミラーデバイスの平面図である。
図13】変形例に係るマイクロミラーデバイスの構成要素の寸法に関するパラメータを示す図である。
図14】変形例に係るマイクロミラーデバイスの構成要素の寸法に関するパラメータを示す図である。
図15】変形例に係るマイクロミラーデバイスの構成要素の寸法に関するパラメータを示す図である。
図16】パラメータの具体的な設定値を示す図である。
図17】各サンプルについての実験結果を示す図である。
図18】比率A/Lb1に対する共振周波数のシフト量の依存性を示すグラフである。
図19】比率A/Lb1に対する消費電力の依存性を示すグラフである。
図20】シミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面に従って本開示の技術に係る実施形態の一例について説明する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る光走査装置10を概略的に示す。光走査装置10は、マイクロミラーデバイス(以下、MMD(Micro Mirror Device)という。)2と、光源3と、駆動制御部4とを有する。光走査装置10は、駆動制御部4の制御に従って、光源3から照射された光ビームLをMMD2により反射することにより被走査面5を光走査する。被走査面5は、例えばスクリーンである。
【0021】
MMD2は、第1軸aと、第1軸aに直交する第2軸aとの周りに、ミラー部20(図3参照)を揺動させることを可能とする圧電型2軸駆動方式のマイクロミラーデバイスである。以下、第1軸aと平行な方向をX方向、第2軸aと平行な方向をY方向、第1軸a及び第2軸aに直交する方向をZ方向という。
【0022】
光源3は、光ビームLとして、例えばレーザ光を発するレーザ装置である。光源3は、MMD2のミラー部20が静止した状態において、ミラー部20が備える反射面20A(図3参照)に垂直に光ビームLを照射することが好ましい。
【0023】
駆動制御部4は、光走査情報に基づいて光源3及びMMD2に駆動信号を出力する。光源3は、入力された駆動信号に基づいて光ビームLを発生してMMD2に照射する。MMD2は、入力された駆動信号に基づいて、ミラー部20を第1軸a及び第2軸aの周りに揺動させる。
【0024】
詳しくは後述するが、駆動制御部4は、ミラー部20を第1軸a及び第2軸aの周りにそれぞれ共振させることにより、ミラー部20で反射される光ビームLは、被走査面5上においてリサージュ波形を描くように走査される。この光走査方式は、リサージュスキャン方式と呼ばれる。
【0025】
光走査装置10は、例えば、リサージュスキャン方式のレーザーディスプレイに適用される。具体的には、光走査装置10は、AR(Augmented Reality)グラス又はVR(Virtual Reality)グラス等のレーザースキャンディスプレイに適用可能である。
【0026】
図2は、駆動制御部4のハードウェア構成の一例を示す。駆動制御部4は、CPU(Central Processing Unit)40、ROM(Read Only Memory)41、RAM(Random Access Memory)42、光源ドライバ43、及びMMDドライバ44を有する。CPU40は、ROM41等の記憶装置からプログラム及びデータをRAM42に読み出して処理を実行することにより、駆動制御部4の全体の機能を実現する演算装置である。CPU40は、本開示の技術に係るプロセッサの一例である。
【0027】
ROM41は、不揮発性の記憶装置であり、CPU40が処理を実行するためのプログラム、及び前述の光走査情報等のデータを記憶している。RAM42は、プログラム及びデータを一時的に保持する揮発性の記憶装置である。
【0028】
光源ドライバ43は、CPU40の制御に従って、光源3に駆動信号を出力する電気回路である。光源ドライバ43においては、駆動信号は、光源3の照射タイミング及び照射強度を制御するための駆動電圧である。
【0029】
MMDドライバ44は、CPU40の制御に従って、MMD2に駆動信号を出力する電気回路である。MMDドライバ44においては、駆動信号は、MMDドライバ44のミラー部20を揺動させるタイミング、周期、及び振れ角を制御するための駆動電圧である。
【0030】
CPU40は、光走査情報に基づいて光源ドライバ43及びMMDドライバ44を制御する。光走査情報は、被走査面5に走査する光ビームLの走査パターンと、光源3の発光タイミングとを含む情報である。
【0031】
次に、図3図5を用いて第1実施形態に係るMMD2の構成を説明する。図3は、MMD2の外観斜視図である。図4は、MMD2を光入射側から見た平面図である。図5は、図4のA-A線に沿った断面図である。
【0032】
図3に示すように、MMD2は、ミラー部20、一対の第1支持部21、一対の可動枠22、一対の第2支持部23、一対の第1アクチュエータ24、一対の第2アクチュエータ25、一対の第1接続部26A、一対の第2接続部26B、及び固定枠27を有する。MMD2は、いわゆるMEMSスキャナである。
【0033】
ミラー部20は、入射光を反射する反射面20Aを有する。反射面20Aは、ミラー部20の一面に設けられた、例えば、金(Au)又はアルミニウム(Al)等の金属薄膜で形成されている。反射面20Aの形状は、例えば、第1軸aと第2軸aとの交点を中心とした円形状である。
【0034】
第1軸a及び第2軸aは、例えば、ミラー部20が静止した静止時において反射面20Aを含む平面内に存在する。MMD2の平面形状は、矩形状であって、第1軸aに関して線対称であり、かつ第2軸aに関して線対称である。
【0035】
一対の第1支持部21は、第2軸aを挟んで対向する位置に配置されており、かつ、第2軸aに関して線対称な形状である。また、第1支持部21の各々は、第1軸aに関して線対称な形状である。第1支持部21は、第1軸a上でミラー部20と接続されており、ミラー部20を第1軸a周りに揺動可能に支持している。
【0036】
一対の可動枠22は、第1軸aを挟んで対向する位置に配置されており、かつ、第1軸aに関して線対称となる形状である。可動枠22の各々は、第2軸aに関して線対称な形状である。また、可動枠22の各々は、ミラー部20の外周に沿って湾曲している。可動枠22の両端はそれぞれ第1支持部21に接続されている。
【0037】
第1支持部21と可動枠22とは、互いに接続されることにより、ミラー部20を囲んでいる。なお、ミラー部20、第1支持部21、及び可動枠22は、可動部60を構成している。
【0038】
一対の第2支持部23は、第1軸aを挟んで対向する位置に配置されており、かつ、第1軸aに関して線対称な形状である。第2支持部23の各々は、第2軸aに関して線対称な形状である。第2支持部23は、第2軸a上で可動枠22に接続されており、ミラー部20を有する可動部60を、第2軸a周りに揺動可能に支持している。また、第2支持部23の両端はそれぞれ第1アクチュエータ24に接続されている。
【0039】
一対の第1アクチュエータ24は、第2軸aを挟んで対向する位置に配置されており、かつ、第2軸aに関して線対称な形状である。また、第1アクチュエータ24は、第1軸aに関して線対称な形状である。第1アクチュエータ24は、可動枠22及び第1支持部21の外周に沿って形成されている。第1アクチュエータ24は、圧電素子を備えた圧電駆動方式のアクチュエータである。
【0040】
なお、図3及び図4では、第1アクチュエータ24が第1軸aの付近で分離されているように見えるが、第1アクチュエータ24は、不図示の配線により、第1軸aを挟んで電気的に接続されている。
【0041】
第2支持部23と第1アクチュエータ24とは、互いに接続されることにより、可動部60を囲んでいる。
【0042】
一対の第2アクチュエータ25は、第1軸aを挟んで対向する位置に配置されており、かつ、第1軸aに関して線対称な形状である。また、第2アクチュエータ25は、第2軸aに関して線対称な形状である。第2アクチュエータ25は、第1アクチュエータ24及び第2支持部23の外周に沿って形成されている。第2アクチュエータ25は、圧電素子を備えた圧電駆動方式のアクチュエータである。
【0043】
なお、図3及び図4では、第2アクチュエータ25が第2軸a付近で分離されているように見えるが、第2アクチュエータ25は、不図示の配線により、第2軸aを挟んで電気的に接続されている。
【0044】
一対の第1接続部26Aは、第2軸aを挟んで対向する位置に配置されており、かつ、第2軸aに関して線対称な形状である。また、第1接続部26Aの各々は、第1軸aに関して線対称な形状である。第1接続部26Aは、第1軸aに沿って配置されており、第1軸a上で、第1アクチュエータ24と第2アクチュエータ25とを接続している。
【0045】
一対の第2接続部26Bは、第1軸aを挟んで対向する位置に配置されており、かつ、第1軸aに関して線対称な形状である。また、第2接続部26Bの各々は、第2軸aに関して線対称な形状である。第2接続部26Bは、第2軸aに沿って配置されており、第2軸a上で、第2アクチュエータ25と固定枠27とを接続している。
【0046】
第2アクチュエータ25と第2接続部26Bとは、互いに接続されることにより、可動部60、及び第1アクチュエータ24を囲んでいる。第1アクチュエータ24及び第2アクチュエータ25は、可動部60を囲んで配置された駆動部を構成している。
【0047】
固定枠27は、外形が矩形状の枠状部材であって、第1軸a及び第2軸aのそれぞれに関して線対称な形状である。固定枠27は、第2アクチュエータ25及び第2接続部26Bの外周を囲んでいる。すなわち、固定枠27は、駆動部を囲んで配置されている。
【0048】
第1アクチュエータ24及び第2アクチュエータ25は、それぞれ圧電素子を有する圧電アクチュエータである。一対の第1アクチュエータ24は、ミラー部20及び可動枠22に第2軸a周りの回転トルクを作用させることにより、可動部60を第2軸a周りに揺動させる。一対の第2アクチュエータ25は、ミラー部20、可動枠22、及び第1アクチュエータ24に第1軸a周りの回転トルクを作用させることにより、ミラー部20を第1軸a周りに揺動させる。
【0049】
図4に示すように、第1支持部21は、揺動軸21Aと、一対の連結部21Bとで構成されている。揺動軸21Aは、第1軸aに沿って延伸した、いわゆるトーションバーである。揺動軸21Aは、一端がミラー部20に接続されており、他端が連結部21Bに接続されている。
【0050】
第1軸a上において、第1支持部21と駆動部との間には空間的な隔たり(以下、空隙という。)G1が存在する。
【0051】
一対の連結部21Bは、第1軸aを挟んで対向する位置に配置されており、かつ、第1軸aに関して線対称な形状である。連結部21Bは、一端が揺動軸21Aに接続されており、他端が可動枠22に接続されている。連結部21Bは、折り返し構造を有している。連結部21Bは、折り返し構造により弾性を有するため、ミラー部20が第1軸a周りに揺動する際に、揺動軸21Aにかかる内部応力を緩和する。
【0052】
第2支持部23は、揺動軸23Aと、一対の連結部23Bとで構成されている。揺動軸23Aは、第2軸aに沿って延伸した、いわゆるトーションバーである。揺動軸23Aは、一端が可動枠22に接続されており、他端が連結部23Bに接続されている。
【0053】
第2軸a上において、第2支持部23と駆動部との間には空隙G2が存在する。
【0054】
一対の連結部23Bは、第2軸aを挟んで対向する位置に配置されており、かつ、第2軸aに関して線対称な形状である。連結部23Bは、一端が揺動軸23Aに接続されており、他端が第1アクチュエータ24に接続されている。連結部23Bは、折り返し構造を有している。連結部23Bは、折り返し構造により弾性を有するため、ミラー部20が第2軸a周りに揺動する際に、揺動軸23Aにかかる内部応力を緩和する。
【0055】
また、ミラー部20には、反射面20Aの外側に、反射面20Aの外周に沿って複数のスリット20B,20Cが形成されている。複数のスリット20B,20Cは、第1軸a及び第2軸aのそれぞれに関して線対称となる位置に配置されている。スリット20Bは、ミラー部20が揺動することにより反射面20Aに生じる歪を抑制する作用を有する。
【0056】
図3及び図4では、第1アクチュエータ24及び第2アクチュエータ25に駆動信号を与えるための配線及び電極パッドについては図示を省略している。電極パッドは、固定枠27上に複数設けられる。
【0057】
図5に示すように、MMD2は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板30をエッチング処理することにより形成されている。SOI基板30は、単結晶シリコンからなる第1シリコン活性層31の上に、酸化シリコン層32が設けられ、酸化シリコン層32の上に単結晶シリコンからなる第2シリコン活性層33が設けられた基板である。
【0058】
ミラー部20、第1支持部21、可動枠22、第2支持部23、第1アクチュエータ24、第2アクチュエータ25、第1接続部26A、及び第2接続部26Bは、SOI基板30からエッチング処理により第1シリコン活性層31及び酸化シリコン層32を除去することで残存した第2シリコン活性層33により形成されている。第2シリコン活性層33は、弾性を有する弾性部として機能する。固定枠27は、第1シリコン活性層31、酸化シリコン層32、及び第2シリコン活性層33の3層で形成されている。
【0059】
第1アクチュエータ24は、第2シリコン活性層33上に形成された圧電素子(図示せず)を含む。圧電素子は、第2シリコン活性層33上に、下部電極、圧電膜、及び上部電極が順に積層された積層構造を有する。第2アクチュエータ25は、第1アクチュエータ24と同様の構成である。
【0060】
上部電極及び下部電極は、例えば、金(Au)又は白金(Pt)等で形成されている。圧電膜は、例えば、圧電材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)で形成されている。上部電極及び下部電極は、配線及び電極パッドを介して、前述の駆動制御部4に電気的に接続されている。
【0061】
上部電極には、駆動制御部4から駆動電圧が印加される。下部電極は、配線及び電極パッドを介して駆動制御部4に接続され、基準電位(例えば、グランド電位)が付与されている。
【0062】
圧電膜は、分極方向に正又は負の電圧が印加されると、印加電圧に比例した変形(例えば、伸縮)が生じる。すなわち、圧電膜は、いわゆる逆圧電効果を発揮する。圧電膜は、駆動制御部4から上部電極に駆動電圧が印加されることにより逆圧電効果を発揮して、第1アクチュエータ24及び第2アクチュエータ25を変位させる。
【0063】
図6は、一対の第2アクチュエータ25の一方の圧電膜を伸張させ、他方の圧電膜を収縮させることにより、第2アクチュエータ25に、第1軸a周りの回転トルクを発生させる例を示している。このように、一対の第2アクチュエータ25の一方と他方とが互いに逆方向に変位することにより、ミラー部20が第1軸aの周りに回動する。
【0064】
また、図6は、一対の第2アクチュエータ25の変位方向と、ミラー部20の回動方向とが互いに逆方向である逆位相の共振モード(以下、逆位相回動モードという。)で、第2アクチュエータ25を駆動した例である。これに対して、一対の第2アクチュエータ25の変位方向と、ミラー部20の回動方向とが同じ方向である同位相の共振モードを、同位相回動モードという。本実施形態では、逆位相回動モードで第2アクチュエータ25を駆動する。
【0065】
ミラー部20の第1軸a周りの振れ角θは、駆動制御部4が第2アクチュエータ25に与える駆動信号(以下、第1駆動信号という。)により制御される。第1駆動信号は、例えば正弦波の交流電圧である。第1駆動信号は、一対の第2アクチュエータ25の一方に印加される駆動電圧波形V1A(t)と、他方に印加される駆動電圧波形V1B(t)とを含む。駆動電圧波形V1A(t)と駆動電圧波形V1B(t)は、互いに逆位相(すなわち位相差180°)である。
【0066】
なお、ミラー部20の第1軸a周りの振れ角θは、反射面20Aの法線Nが、YZ平面においてZ方向に対して傾斜する角度に対応する。以下、振れ角θを、回動角度θともいう。
【0067】
第1アクチュエータ24は、第2アクチュエータ25と同様に、逆位相の共振モードで駆動される。ミラー部20の第2軸a周りの振れ角は、駆動制御部4が第1アクチュエータ24に与える駆動信号(以下、第2駆動信号という。)により制御される。第2駆動信号は、例えば正弦波の交流電圧である。第2駆動信号は、一対の第2アクチュエータ25の一方に印加される駆動電圧波形V2A(t)と、他方に印加される駆動電圧波形V2B(t)とを含む。駆動電圧波形V2A(t)と駆動電圧波形V2B(t)は、互いに逆位相(すなわち位相差180°)である。
【0068】
図7は、第1駆動信号及び第2駆動信号の一例を示す。図7(A)は、第1駆動信号に含まれる駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)を示す。図7(B)は、第2駆動信号に含まれる駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)を示す。
【0069】
駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)は、それぞれ次のように表される。
1A(t)=Voff1+Vsin(2πfd1t)
1B(t)=Voff1+Vsin(2πfd1t+α)
【0070】
ここで、Vは振幅電圧である。Voff1はバイアス電圧である。fd1は駆動周波数(以下、第1駆動周波数という。)である。tは時間である。αは、駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)の位相差である。本実施形態では、例えば、α=180°とする。
【0071】
駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)が一対の第2アクチュエータ25に印加されることにより、ミラー部20は、第1駆動周波数fd1で第1軸a周りに揺動する。
【0072】
駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)は、それぞれ次のように表される。
2A(t)=Voff2+Vsin(2πfd2t+φ)
2B(t)=Voff2+Vsin(2πfd2t+β+φ)
【0073】
ここで、Vは振幅電圧である。Voff2はバイアス電圧である。fd2は駆動周波数(以下、第2駆動周波数という。)である。tは時間である。βは、駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)の位相差である。本実施形態では、例えば、β=180°とする。また、φは、駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)と、駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)との位相差である。また、本実施形態では、例えば、Voff1=Voff2=0Vとする。
【0074】
駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)が一対の第1アクチュエータ24に印加されることにより、ミラー部20を含む可動部60は、第2駆動周波数fd2で第2軸a周りに揺動する。
【0075】
第1駆動周波数fd1は、ミラー部20の第1軸a周りの共振周波数に一致するように設定される。第2駆動周波数fd2は、ミラー部20の第2軸a周りの共振周波数に一致するように設定される。本実施形態では、第1駆動周波数fd1は、第2駆動周波数fd2より大きい。
【0076】
以上のように構成されたMMD2を、第1軸a及び第2軸aの周りに2次元駆動した場合、可動部60が第2軸a周りに揺動する際に働く遠心力が、ミラー部20の第1軸a周りの揺動を助ける働きをする。この遠心力によるポテンシャルエネルギーは、ミラー部20の揺動時に保存される弾性エネルギーと運動エネルギーとの総量に影響を与える。この結果、ミラー部20の揺動におけるばね定数が変化して軸間クロストークが発生することにより、共振周波数がシフトする。
【0077】
本出願人は、ミラー部20が第1軸a周りに回動して回動角度θの絶対値が0度よりも大きくなった状態で、第2支持部23の変位が所定の条件を満たす場合に、軸間クロストークによる共振周波数のシフトが抑制されることを見出した。
【0078】
第2支持部23の変位が所定の条件を満たす場合には、可動部60のミラー部20以外の部分の変位量が増加する。これにより、MMD2全体における弾性エネルギーと運動エネルギーとの総量が増加する。これにより、上記遠心力によるポテンシャルエネルギーが全体のエネルギーに与える影響が相対的に小さくなり、軸間クロストークによる共振周波数のシフトが抑制される。
【0079】
図8は、ミラー部20が第1軸a周りに回動する場合における第2支持部23の変位を模式的に示す。図8(A)は、ミラー部20が静止しており、回動角度θが0度の状態を示す。図8(B)は、ミラー部20が第1軸a周りに回動して回動角度θの絶対値が0度よりも大きくなった状態を示す。
【0080】
図8は、第1軸aに直交し、かつ第2軸aを含む平面でMMD2を切断した断面図を示す。図8(B)に示す直線α及び交点Cは、MMD2の断面に含まれる。具体的には、直線αは、第2支持部23の表面上にあって第2支持部23の各端点を含む直線である。交点Cは、直線αと第2軸aとが交わる点である。
【0081】
静止時の第2支持部23の第2軸a方向への全長をLb1とする。また、第2軸a方向において、静止時の第2支持部23のミラー部20側の端部から交点Cまでの距離をAとする。本出願人は、後述する実験により、距離Aが全長Lb1の2/3倍よりも大きい場合(すなわち2/3×Lb1<Aの場合)に、軸間クロストークによる共振周波数のシフトが抑制されることを見出した。
【0082】
後述する実験では、本出願人は、MMD2について、距離Aが異なる複数のサンプルを作製し、各サンプルを駆動することにより軸間クロストークによる共振周波数のシフト量を計測した。具体的には、各サンプルを、第1軸a周りに1次元駆動した場合における第1軸a周りの共振周波数(以下、第1共振周波数fr1という。)と、第1軸a及び第2軸aの周りに2次元駆動した場合における第1軸a周りの共振周波数(以下、第2共振周波数fr2という。)とを計測した。そして、軸間クロストークによる共振周波数のシフト量Δfrを、第1共振周波数fr1と第2共振周波数fr2との差を算出することにより求めた。
【0083】
図9及び図10は、実験に用いたサンプルの各構成要素の幅及び長さ等に関するパラメータを示す。図11は、パラメータの具体的な設定値を示す。
【0084】
また、ミラー部20の直径を1.5mm、SOI基板30の厚みを430μm、第2シリコン活性層33の厚みを60μm、酸化シリコン層32の厚みを40μmとした。また、固定枠27の一辺の長さを5.2mmとした。
【0085】
本出願人は、図11に示すパラメータのうちXac2及びYac2を変数とした。すなわち、本出願人は、サンプルごとにXac2及びYac2の長さを変えることにより、距離Aが異なる複数のサンプルを作製した。
【0086】
[変形例]
また、本出願人は、変形例として、上記実施形態に係るMMD2とは各構成要素の形状等が異なるMMD2Aについてサンプルを作製した。
【0087】
図12は、変形例に係るMMD2Aの構成を示す。図12において、上記実施形態に係るMMD2と同一の機能を奏する構成要素には同一の符号を付している。なお、MMD2Aでは、第1接続部26A及び第2接続部26Bに代えて、接続部26が設けられている。接続部26は、第1軸a上に設けられており、第1アクチュエータ24を第2アクチュエータ25に接続するとともに、第2アクチュエータ25を固定枠27に接続している。
【0088】
図13図15は、MMD2Aの各構成要素の幅及び長さ等に関するパラメータを示す。図16は、パラメータの具体的な設定値を示す。
【0089】
また、変形例では、ミラー部20の直径を1.5mm、SOI基板30の厚みを350μm、第2シリコン活性層33の厚みを60μm、酸化シリコン層32の厚みを65μmとした。また、固定枠27の一辺の長さを5.2mmとした。
【0090】
[実験結果]
上記実施形態と変形例について、真空チャンバ内で各サンプルを駆動して第1共振周波数fr1及び第2共振周波数fr2を計測した。具体的には、駆動時のミラー部20にレーザ光を照射しながら、駆動周波数を掃引し、反射光の広がり角度が最も大きくなる駆動周波数を共振周波数として計測した。また、反射光の広がり角度からミラー部20の振れ角を算出した。
【0091】
図17は、各サンプルについての第1共振周波数fr1及び第2共振周波数fr2の計測結果を示す。サンプル番号1は、変形例に係るMMD2Aについて作製したサンプルを示す。サンプル番号2~9は、実施形態に係るMMD2について作製したサンプルを示す。サンプル番号2~9は、Xac2及びYac2の長さが異なる。
【0092】
第1共振周波数fr1は、第1軸a周りのミラー部20の振れ角が±1.25度の場合における1次元駆動時の共振周波数である。第2共振周波数fr2は、第1軸a周りのミラー部20の振れ角が±1.25度で、かつ第2軸a周りのミラー部20の振れ角が±11.5度の場合における2次元駆動時の共振周波数である。共振周波数のシフト量Δfrは、第2共振周波数fr2から第1共振周波数fr1を減算した値である。
【0093】
また、各サンプルについてレーザードップラー振動計を用いて距離Aを計測した。そして、計測した距離Aを用いて、第2支持部23の全長Lb1に対する距離Aの比率A/Lb1を算出した。
【0094】
ARグラス用レーザーディスプレイへの応用を考えた場合、2次元駆動時の各軸周りのミラー部20の振れ角の適正値は、第1軸a周りが±17度であり、第2軸a周りが±11.5度である。そこで、各サンプルについて、振れ角が適正値を保ちながら、60秒以上安定して2次元駆動が可能であったか否かを判定した。「OK」は、60秒以上の安定した2次元駆動が可能であったことを表す。「NG」は、60秒以上の安定した2次元駆動が可能でなかったことを表す。
【0095】
また、各サンプルの消費電力を、第1軸a周りの1次元駆動で共振させた状態で、電流プローブを用いて計測した。このとき、第1軸a周りのミラー部20の振れ角は±17度であった。
【0096】
図17に示す実験結果によれば、比率A/Lb1が大きいほど、共振周波数のシフト量Δfrが小さくなることが分かる。なお、シフト量Δfrが小さいとは、シフト量Δfrの絶対値が小さいことを意味する。また、比率A/Lb1が2/3より大きければ(約0.66より大きければ)、2次元駆動が安定化し、ARグラス用レーザーディスプレイへの応用の観点で優位性が得られることが分かる。図18は、比率A/Lb1に対する共振周波数のシフト量Δfrの依存性を示すグラフである。
【0097】
図19は、比率A/Lb1に対する消費電力の依存性を示すグラフである。一般的なレーザーディスプレイ用途では消費電力は小さい方が望ましい。目安として、1次元駆動時における消費電力が80mW以下であれば、レーザーディスプレイ用途としての優位性をある程度確保することができる。したがって、比率A/Lb1が6/5以下(1.2以下)であれば、消費電力が80mW以下となり、消費電力の観点である程度の優位性を確保することができることが分かる。
【0098】
すなわち、比率A/Lb1は、2/3<A/Lb1の関係を満たすことが好ましい。さらに、比率A/Lb1は、2/3<A/Lb1<6/5の関係を満たすことが好ましい。
【0099】
図20は、シミュレーション結果を示す。図20(A)~(C)は、Xac2及びYac2の長さが異なる。交点Cは、第2支持部23の変位がゼロの点に対応する。Xac2及びYac2の長さに応じて、交点Cの位置が変化(すなわち距離Aが変化)することが分かる。また、シミュレーションにおいても、比率A/Lb1が大きいほど、共振周波数のシフト量Δfrが小さくなることが確認された。
【0100】
なお、上記実施形態において、駆動制御部4のハードウェア構成は種々の変形が可能である。駆動制御部4の処理部は、1つのプロセッサで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで構成されてもよい。プロセッサには、CPU、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、専用電気回路等が含まれる。CPUは、周知のとおりソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサである。PLDは、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の、製造後に回路構成を変更可能なプロセッサである。専用電気回路は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである。
【0101】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0102】
2,2A マイクロミラーデバイス
3 光源
4 駆動制御部
5 被走査面
10 光走査装置
20 ミラー部
20A 反射面
20B,20C スリット
21 第1支持部
21A 揺動軸
21B 連結部
22 可動枠
23 第2支持部
23A 揺動軸
23B 連結部
24 第1アクチュエータ
25 第2アクチュエータ
26 接続部
26A 第1接続部
26B 第2接続部
27 固定枠
30 SOI基板
31 第1シリコン活性層
32 酸化シリコン層
33 第2シリコン活性層
40 CPU
41 ROM
42 RAM
43 光源ドライバ
44 ドライバ
60 可動部
Δfr シフト量
α 直線
θ 回動角度
A 距離
C 交点
G1,G2 空隙
L 光ビーム
N 法線
第1軸
第2軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20