(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039234
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】原料供給装置
(51)【国際特許分類】
B01J 7/00 20060101AFI20230313BHJP
B05B 9/00 20060101ALI20230313BHJP
B05B 15/00 20180101ALI20230313BHJP
C23C 16/448 20060101ALI20230313BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
B01J7/00
B05B9/00
B05B15/00
C23C16/448
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146294
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小森 栄一
【テーマコード(参考)】
4D073
4F033
4G068
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4D073AA07
4D073BB03
4D073CA04
4D073CA18
4F033RA04
4F033RD09
4F033RD10
4G068DA10
4G068DB06
4K030AA03
4K030AA11
4K030EA01
4K030EA03
4K030EA04
4K030KA25
4K030KA45
5F045AA03
5F045AB31
5F045AC03
5F045AC07
5F045EE02
5F045EE04
5F045EE17
(57)【要約】
【課題】固体原料を昇華して処理容器に供給する際に大流量で供給できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による原料供給装置は、固体原料を溶媒に溶解した溶液又は固体原料を分散媒に分散させた分散系から反応性ガスを生成する原料供給装置であって、内部空間を形成する第1の壁面を有する容器と、前記内部空間に前記溶液又は前記分散系を噴霧する噴霧ノズルと、前記内部空間に設けられ、鉛直方向に延在する第2の壁面を有する壁構造体と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体原料を溶媒に溶解した溶液又は固体原料を分散媒に分散させた分散系から反応性ガスを生成する原料供給装置であって、
内部空間を形成する第1の壁面を有する容器と、
前記内部空間に前記溶液又は前記分散系を噴霧する噴霧ノズルと、
前記内部空間に設けられ、鉛直方向に延在する第2の壁面を有する壁構造体と、
を有する、原料供給装置。
【請求項2】
前記壁構造体は、前記容器と別体で形成されている、
請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項3】
前記壁構造体は、前記容器と一体で形成されている、
請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項4】
前記壁構造体は、鉛直方向を軸方向とする柱状体を含み、前記柱状体には軸方向に貫通する貫通孔が形成されており、
前記第2の壁面は前記貫通孔の内壁面である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の原料供給装置。
【請求項5】
前記貫通孔の内壁面には、凹凸形状が形成されている、
請求項4に記載の原料供給装置。
【請求項6】
前記貫通孔は、貫通軸が鉛直方向に対して平行である、
請求項4又は5に記載の原料供給装置。
【請求項7】
前記貫通孔は、貫通軸が鉛直方向に対して傾斜している、
請求項4又は5に記載の原料供給装置。
【請求項8】
前記壁構造体は、前記第1の壁面から前記容器の中心に向けて延在する板状のフィンを含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の原料供給装置。
【請求項9】
前記フィンの板面には、凹凸が形成されている、
請求項8に記載の原料供給装置。
【請求項10】
前記フィンは、板面が鉛直方向に対して平行である、
請求項8又は9に記載の原料供給装置。
【請求項11】
前記フィンは、板面が鉛直方向に対して傾斜している、
請求項8又は9に記載の原料供給装置。
【請求項12】
前記フィンは、放射状に複数設けられている、
請求項8乃至11のいずれか一項に記載の原料供給装置。
【請求項13】
前記フィンの先端部と前記第1の壁面とを接続し、前記先端部と前記第1の壁面との間で熱を伝達する伝熱部を有する、
請求項8乃至12のいずれか一項に記載の原料供給装置。
【請求項14】
前記伝熱部は、板面が水平方向に対して平行な板状部材を含む、
請求項13に記載の原料供給装置。
【請求項15】
固体原料を溶媒に溶解した溶液又は固体原料を分散媒に分散させた分散系から反応性ガスを生成する原料供給装置であって、
内部空間を形成する第1の壁面を有する容器と、
前記内部空間に前記溶液又は前記分散系を散布する散布ノズルと、
前記内部空間に設けられ、鉛直方向に延在する第2の壁面を有する壁構造体と、
を有する、原料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体原料を溶媒に溶解して処理室内にスプレー噴射した後、処理室内を加熱して溶媒を除去して固体原料を残留させ、続いて、処理室内を加熱して固体原料を昇華し、対応のガスを生成する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-115831号公報
【特許文献2】特開2009-170800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、固体原料を昇華して処理容器に供給する際に大流量で供給できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による原料供給装置は、固体原料を溶媒に溶解した溶液又は固体原料を分散媒に分散させた分散系から反応性ガスを生成する原料供給装置であって、内部空間を形成する第1の壁面を有する容器と、前記内部空間に前記溶液又は前記分散系を噴霧する噴霧ノズルと、前記内部空間に設けられ、鉛直方向に延在する第2の壁面を有する壁構造体と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、固体原料を昇華して処理容器に供給する際に大流量で供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図1の原料供給システムの動作を説明する図(1)
【
図4】
図1の原料供給システムの動作を説明する図(2)
【
図5】実施形態の原料供給方法の噴霧工程を説明する図
【
図6】実施形態の原料供給方法の乾燥工程を説明する図
【
図7】実施形態の原料供給方法の昇華工程を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔原料供給システム〕
図1及び
図2を参照し、実施形態の原料供給システムについて説明する。
【0010】
原料供給システム1は、第1の固体原料を溶媒に溶解した溶液(以下単に「溶液」ともいう。)から溶媒を除去することで形成される第2の固体原料を昇華させて反応性ガスを生成し、生成した反応性ガスを用いて処理装置で成膜を行うシステムである。
【0011】
第1の固体原料は、特に限定されないが、例えばストロンチウム(Sr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)等の金属元素を含有する有機金属錯体、タングステン(W)、アルミニウム(Al)等の金属元素を含有する塩化物であってよい。溶媒は、第1の固体原料を溶解して溶液を生成できればよく、例えばヘキサンであってよい。
【0012】
原料供給システム1は、原料供給源10、原料供給装置30,40、処理装置50及び制御装置90を備える。
【0013】
原料供給源10は、溶液M1を原料供給装置30,40に供給する。原料供給源10は、例えばサブファブに配置される。本実施形態において、原料供給源10は、タンク11及びフロートセンサ12を含む。タンク11には、溶液M1が充填されている。フロートセンサ12は、タンク11内に充填された溶液M1の量を検知する。
【0014】
原料供給源10には、タンク11の上方から配管L1の一端が挿入されている。配管L1の他端はキャリアガスの供給源G1と接続されており、供給源G1から配管L1を介してタンク11内にキャリアガスが供給される。キャリアガスは、例えば窒素(N2)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスであってよい。配管L1には、バルブV1が介設されている。バルブV1を開くと供給源G1から原料供給源10へキャリアガスが供給され、バルブV1を閉じると供給源G1から原料供給源10へのキャリアガスの供給が遮断される。配管L1には、配管L1内の圧力を検出する圧力センサP1が設けられている。圧力センサP1の検出値は、制御装置90に送信される。また、配管L1には、配管L1を流れるキャリアガスの流量を制御する流量制御器(図示せず)や追加のバルブ等が介設されていてもよい。
【0015】
原料供給源10は、配管L2,L3を介して原料供給装置30と接続されており、配管L2,L3を介して原料供給装置30に溶液M1を供給する。配管L2,L3には、夫々バルブV2,V3が介設されている。バルブV2,V3を開くと原料供給源10から原料供給装置30へ溶液M1が供給され、バルブV2,V3を閉じると原料供給源10から原料供給装置30への溶液M1の供給が遮断される。また、配管L3には、配管L3を流れる溶液M1の流量を制御する流量制御器(図示せず)や追加のバルブ等が介設されていてもよい。
【0016】
また、原料供給源10は、配管L2,L4を介して原料供給装置40と接続されており、配管L2,L4を介して原料供給装置40に溶液M1を供給する。配管L4には、バルブV4が介設されている。バルブV2,V4を開くと原料供給源10から原料供給装置40へ溶液M1が供給され、バルブV2,V4を閉じると原料供給源10から原料供給装置40への溶液M1の供給が遮断される。また、配管L4には、配管L4を流れる溶液M1の流量を制御する流量制御器(図示せず)や追加のバルブ等が介設されていてもよい。
【0017】
原料供給装置30は、原料供給源10から輸送される溶液M1を貯留する。本実施形態において、原料供給装置30は、容器31、注入部32、排気ポート33、加熱部34、フィルタ35及び柱状体36を含む。
【0018】
容器31は、内部空間を形成する内壁31sを有し、原料供給源10から輸送される溶液M1を内部空間に貯留する。
【0019】
注入部32は、原料供給源10から配管L2,L3を介して供給される溶液M1を噴霧して容器31内に注入する。注入部32は、溶液M1を噴霧することにより、溶液M1の溶媒が除去されない状態で、ミスト原料MMとして容器31内に付着させる。注入部32は、例えば噴霧ノズルであってよい。噴霧ノズルは、容器31の天井に取り付けられている。ただし、噴霧ノズルは、容器31の側壁に取り付けられていてもよい。また、噴霧ノズルは、容器31の天井にノズル中心軸の向きを変更できるように取り付けられていてもよい。
【0020】
排気ポート33は、容器31の下方に設けられており、容器31内を排気する。排気ポート33には、配管L10,L12を介して処理装置50が接続されている。また、排気ポート33には、配管L10,L14を介して排気装置E1が接続されている。
【0021】
加熱部34は、容器31の外周を覆うように配置されるヒータを含む。ただし、加熱部34は、容器31の底部や天井に配置されるヒータを含んでいてもよい。加熱部34は、容器31を各種の温度、例えば噴霧温度、乾燥温度、昇華温度に加熱する。噴霧温度は、注入部32から容器31内に噴霧される溶液M1をミスト原料MMとして容器31内に付着させることができる温度である。乾燥温度は、容器31内に付着したミスト原料MMから溶媒を除去して固体原料を形成できる温度である。乾燥温度は、例えばミスト原料MMに含まれる溶媒の蒸気圧に応じて定められる。以下、ミスト原料MMから溶媒を除去して形成される固体原料を第2の固体原料と称する。昇華温度は、第2の固体原料を昇華させて反応性ガスを生成できる温度である。昇華温度は、例えば第2の固体原料の蒸気圧に応じて定められる。噴霧温度、乾燥温度及び昇華温度の大小関係は、例えば噴霧温度<乾燥温度<昇華温度であってよい。
【0022】
フィルタ35は、容器31内に略水平に設けられ、容器31内を第1の領域31a及び第2の領域31bに区画する。第1の領域31aには、注入部32が設けられている。第2の領域31bは、第1の領域31aの下方に位置する領域である。第2の領域31bには、排気ポート33が設けられている。フィルタ35は、反応性ガスを透過し、ミスト原料MM、第2の固体原料及びパーティクル等の不純物を捕捉する材料により形成されている。これにより、注入部32から噴霧される溶液M1が排気ポート33を介して容器31内から流れ出ることを防止できる。フィルタ35は、例えば多孔性材料により形成されている。多孔性材料は、例えばステンレス鋼の焼結体等の多孔性の金属材料、多孔性のセラミック材料であってよい。なお、フィルタ35は、設けられていなくてもよい。
【0023】
柱状体36は、第1の領域31aにおける注入部32の下方に設けられている。柱状体36は、容器31と別体で形成されている。ただし、柱状体36は容器31と一体で形成されていてもよい。柱状体36は、鉛直方向を軸方向とする円柱形状を有し、外壁面が容器31の内壁31sに接合されている。柱状体36は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル合金により形成される。
【0024】
柱状体36には、軸方向に貫通する複数(例えば4つ)の貫通孔36hが形成されている。複数の貫通孔36hは、例えば柱状体36の周方向に沿って間隔をあけて形成されている。各貫通孔36hの内壁面36sには、注入部32から噴霧される溶液M1がミスト原料MMとして付着する。容器31内に付着するミスト原料MMの量は、容器31内の表面積が大きいほど多くなる。そのため、柱状体36には複数の貫通孔36hが形成されていることが好ましい。ただし、貫通孔36hは1つであってもよい。
【0025】
各貫通孔36hは、平面視で円形状を有する。ただし、各貫通孔36hは、平面視で多角形であってもよい。各貫通孔36hは、貫通軸が鉛直方向に対して平行である。ただし、各貫通孔36hは貫通軸が鉛直方向に対して傾斜していてもよい。各貫通孔36hの貫通軸が傾斜していると、各貫通孔36hの貫通軸が傾斜していない場合よりも内壁面36sの表面積が大きくなるので、内壁面36sに付着するミスト原料MMの量が多くなる。内壁面36sには、微細な凹凸形状が形成されていることが好ましい。これにより、内壁面36sの表面積が大きくなるので、内壁面36sに付着するミスト原料MMの量が多くなる。凹凸形状は、例えばブラスト加工により形成される。
【0026】
配管L3のバルブV3の下流側には、配管L8の一端が接続されている。配管L8の他端は配管L7を介してキャリアガスの供給源G7と接続されており、供給源G7から配管L7,L8,L3を介して容器31内にキャリアガスが供給される。キャリアガスは、例えばN2、Ar等の不活性ガスであってよい。配管L8には、供給源G7の側から順にバルブV8a,V8bが介設されている。バルブV8a,V8bを開くと供給源G7から原料供給装置30へキャリアガスが供給され、バルブV8a,V8bを閉じると供給源G7から原料供給装置30へのキャリアガスの供給が遮断される。配管L7には、配管L7を流れるキャリアガスの流量を制御する流量制御器F7が介設されている。本実施形態において、流量制御器F7は、マスフローコントローラ(MFC)である。
【0027】
原料供給装置30は、配管L10,L12を介して処理装置50と接続されており、配管L10,L12を介して処理装置50に反応性ガスを供給する。配管L10には、原料供給装置30の側から順にバルブV10a~V10cが介設されている。バルブV10a~V10cを開くと原料供給装置30から処理装置50へ反応性ガスが供給され、バルブV10a~V10cを閉じると原料供給装置30から処理装置50への反応性ガスの供給が遮断される。配管L10には、配管L10内の圧力を検出する圧力センサP10が設けられている。圧力センサP10の検出値は、制御装置90に送信される。
【0028】
配管L10のバルブV10aとバルブV10bとの間には、配管L13の一端が接続されている。配管L13の他端は、配管L8のバルブV8aとバルブV8bとの間に接続されている。配管L13は、配管L8と配管L10とを原料供給装置30を介さずに接続するバイパス配管として機能する。配管L13には、バルブV13が介設されている。バルブV13を開くと配管L8と配管L10とが連通し、バルブV13を閉じると配管L8と配管L10との連通が遮断される。
【0029】
配管L10のバルブV10bとバルブV10cとの間には、配管L14の一端が接続されている。配管L14の他端は、例えば真空ポンプ等の排気装置E1に接続されている。配管L14には、圧力制御バルブV14が介設されている。バルブV10a,V10bが開いた状態で圧力制御バルブV14を開くと、容器31内が排気され、容器31内に付着したミスト原料MMからの溶媒の除去を促進できる。また、圧力制御バルブV14の開度を調整することにより、容器31内の圧力を制御できる。
【0030】
原料供給装置40は、原料供給源10から輸送される溶液M1を貯留する。原料供給装置40は、原料供給装置30と並列に設けられている。本実施形態において、原料供給装置40は、容器41、注入部42、排気ポート43、加熱部44、フィルタ45及び柱状体46を含む。
【0031】
容器41は、内部空間を形成する内壁41sを有し、原料供給源10から輸送される溶液M1を内部空間に貯留する。
【0032】
注入部42は、原料供給源10から配管L2,L4を介して供給される溶液M1を噴霧して容器41内に注入する。注入部42は、溶液M1を噴霧することにより、溶液M1の溶媒が除去されない状態で、ミスト原料MMとして容器41内に付着させる。注入部42は、例えば注入部32と同じ構成であってよい。
【0033】
排気ポート43は、容器41の下方に設けられており、容器41内を排気する。排気ポート43には、配管L11,L12を介して処理装置50が接続されている。また、排気ポート43には、配管L11,L16を介して排気装置E2が接続されている。
【0034】
加熱部44は、容器41の外周を覆うように配置されるヒータを含む。ただし、加熱部44は、容器41の底部や天井に配置されるヒータを含んでいてもよい。加熱部44は、例えば加熱部34と同様に、容器41を各種の温度、例えば噴霧温度、乾燥温度、昇華温度に加熱する。
【0035】
フィルタ45は、容器41内に略水平に設けられ、容器41内を第1の領域41a及び第2の領域41bに区画する。第1の領域41aには、注入部42が設けられている。第2の領域41bは、第1の領域41aの下方に位置する領域である。第2の領域41bには、排気ポート43が設けられている。フィルタ45は、反応性ガスを透過し、ミスト原料MM、第2の固体原料及びパーティクル等の不純物を捕捉する材料により形成されている。これにより、注入部42から噴霧される溶液M1が排気ポート43を介して容器41内から流れ出ることを防止できる。フィルタ45は、例えばフィルタ35と同じ材料により形成されている。なお、フィルタ45は、設けられていなくてもよい。
【0036】
柱状体46は、第1の領域41aにおける注入部42の下方に設けられている。柱状体46は、例えば柱状体36と同じ構成であってよい。
【0037】
配管L4のバルブV4の下流側には、配管L9の一端が接続されている。配管L9の他端は配管L7を介してキャリアガスの供給源G7と接続されており、供給源G7から配管L7,L9,L4を介して容器41内にキャリアガスが供給される。キャリアガスは、例えばN2、Ar等の不活性ガスであってよい。配管L9には、供給源G7の側から順にバルブV9a,V9bが介設されている。バルブV9a,V9bを開くと供給源G7から原料供給装置40へキャリアガスが供給され、バルブV9a,V9bを閉じると供給源G7から原料供給装置40へのキャリアガスの供給が遮断される。
【0038】
原料供給装置40は、配管L11,L12を介して処理装置50と接続されており、配管L11,L12を介して処理装置50に反応性ガスを供給する。配管L11には、原料供給装置40の側から順にバルブV11a~V11cが介設されている。バルブV11a~V11cを開くと原料供給装置40から処理装置50へ反応性ガスが供給され、バルブV11a~V11cを閉じると原料供給装置40から処理装置50への反応性ガスの供給が遮断される。配管L11には、配管L11内の圧力を検出する圧力センサP11が設けられている。圧力センサP11の検出値は、制御装置90に送信される。
【0039】
配管L11のバルブV11aとバルブV11bとの間には、配管L15の一端が接続されている。配管L15の他端は、配管L9のバルブV9aとバルブV9bとの間に接続されている。配管L15は、配管L9と配管L11とを原料供給装置40を介さずに接続するバイパス配管として機能する。配管L15には、バルブV15が介設されている。バルブV15を開くと配管L9と配管L11とが連通し、バルブV15を閉じると配管L9と配管L11との連通が遮断される。
【0040】
配管L11のバルブV11bとバルブV11cとの間には、配管L16の一端が接続されている。配管L16の他端は、例えば真空ポンプ等の排気装置E2に接続されている。配管L16には、圧力制御バルブV16が介設されている。バルブV11a,V11bが開いた状態で圧力制御バルブV16を開くと、容器41内が排気され、容器41内に付着したミスト原料MMからの溶媒の除去を促進できる。また、圧力制御バルブV16の開度を調整することにより、容器41内の圧力を制御できる。
【0041】
処理装置50は、配管L10,L12を介して原料供給装置30と接続されており、処理装置50には原料供給装置30において第2の固体原料を加熱して昇華させることで生成される反応性ガスが供給される。また、処理装置50は、配管L11,L12を介して原料供給装置40と接続されており、処理装置50には原料供給装置40において第2の固体原料を加熱して昇華させることで生成される反応性ガスが供給される。
【0042】
処理装置50は、原料供給装置30,40から供給される反応性ガスを用いて半導体ウエハ等の基板に対し、成膜処理等の各種の処理を実行する。本実施形態において、処理装置50は、処理容器51、流量計52、貯留タンク53、圧力センサ54及びバルブV12を含む。処理容器51は、1又は複数の基板を収容する。本実施形態において、流量計52はマスフローメータ(MFM)である。流量計52は、配管L12に介設されており、配管L12を流れる反応性ガスの流量を測定する。貯留タンク53は、反応性ガスを一時的に貯留する。貯留タンク53が設けられていることにより、処理容器51内に短時間で大流量の反応性ガスを供給できる。貯留タンク53は、バッファタンク、フィルタンクとも称される。圧力センサ54は、貯留タンク53内の圧力を検出する。圧力センサ54は、例えばキャパシタンスマノメータである。バルブV12は、配管L12に介設されている。バルブV12を開くと原料供給装置30,40から処理容器51へ反応性ガスが供給され、バルブV12を閉じると原料供給装置30,40から処理容器51への反応性ガスの供給が遮断される。
【0043】
制御装置90は、制御部の一例であり、原料供給システム1の各部を制御する。例えば、制御装置90は、原料供給源10、原料供給装置30,40、処理装置50等の動作を制御する。また、制御装置90は、各種のバルブの開閉を制御する。制御装置90は、例えばコンピュータであってよい。
【0044】
〔原料供給方法〕
図3~
図7を参照し、原料供給システム1において実施される原料供給方法の一例について説明する。原料供給システム1では、制御装置90が各種のバルブの開閉を制御することで、並列に設けられた2つの原料供給装置30,40のうちの一方で処理装置50への反応性ガスの供給を行い、他方で固体原料の充填を行う。以下、原料供給システム1の動作の一例について具体的に説明する。
【0045】
(原料供給装置30による反応性ガスの供給)
図3及び
図5~
図7を参照し、原料供給システム1において、原料供給装置30により処理装置50に反応性ガスを供給する場合を説明する。この場合、原料供給システム1では、原料供給装置40で噴霧工程及び乾燥工程が行われ、原料供給装置30で昇華工程が行われる。
【0046】
なお、
図3では、キャリアガス、溶液M1及び反応性ガスが流れている配管を太い実線で示し、キャリアガス、溶液M1及び反応性ガスが流れていない配管を細い実線で示す。また、
図3では、バルブが開いた状態を白抜きの記号で示し、バルブが閉じた状態を黒塗りの記号で示す。また、原料供給システム1は、初期状態において、
図1に示されるように、全てのバルブが閉じられているものとし、原料供給装置30には第2の固体原料M2が貯留されているものとして説明する。
【0047】
噴霧工程は、第1の固体原料を溶媒に溶解した溶液M1を容器41内に噴霧する工程であり、溶液M1の溶媒が除去されない状態で、ミスト原料MMとして容器41内に付着させる工程である。例えば、噴霧工程では、制御装置90は、バルブV1,V2,V4を開く。これにより、供給源G1から原料供給源10にキャリアガスが供給され、原料供給源10から配管L2,L4を介して原料供給装置40に溶液M1が輸送される。また、制御装置90は、バルブV11a,V11bを開き、圧力制御バルブV16の開度を調整する。これにより、容器41内が排気装置E2により排気されるので、容器41内が第1の圧力に減圧される。また、制御装置90は、加熱部44を制御して容器41を噴霧温度に加熱する。これにより、
図5に示されるように、原料供給装置40に輸送され、注入部42から容器41内に噴霧される溶液M1は、溶媒が除去されない状態で、ミスト原料MMとして内壁41s、フィルタ45及び内壁面46sに付着する。なお、噴霧工程では、容器41内を減圧しなくてもよい。ただし、ミスト原料MMを内壁41s、フィルタ45及び内壁面46sのより広範囲に付着させることができるという観点から、噴霧工程では、容器41内を減圧することが好ましい。
【0048】
乾燥工程は、噴霧工程に続いて行われる。乾燥工程は、内壁41s、フィルタ45及び内壁面46sに付着したミスト原料MMから溶媒を除去することにより第2の固体原料M2を形成する工程である。例えば、乾燥工程では、制御装置90は、バルブV1,V2,V4を閉じる。これにより、原料供給源10から容器41内への溶液M1の供給が停止される。また、制御装置90は、バルブV11a,V11bを開いた状態を維持しながら、圧力制御バルブV16の開度を調整して容器41内を第2の圧力に減圧し、加熱部44を制御して容器41を乾燥温度に加熱する。これにより、
図6に示されるように、内壁41s、フィルタ45及び内壁面46sに付着したミスト原料MMから溶媒が除去されて第2の固体原料M2が形成され、ミスト原料MMから除去された溶媒が排気装置E2により排気される。乾燥工程では、噴霧工程において内壁41s、フィルタ45及び内壁面46sの広範囲にミスト原料MMが付着しているので、ミスト原料MMから溶媒が除去された後に、内壁41s、フィルタ45及び内壁面46sの広範囲に第2の固体原料M2が形成される。なお、第2の圧力は、例えば第1の圧力より低い圧力であってよい。また、乾燥温度は、例えば噴霧温度よりも高い温度である。ただし、第2の圧力を第1の圧力よりも低い圧力にすることでミスト原料MMから溶媒を除去できる場合には、乾燥温度は例えば噴霧温度と同じであってもよい。
【0049】
昇華工程は、容器31内に形成された第2の固体原料M2を加熱することにより、第2の固体原料M2を昇華させて反応性ガスを生成する工程である。例えば、昇華工程では、制御装置90は、加熱部34を制御して容器31を昇華温度に加熱する。これにより、
図7に示されるように、内壁31s、フィルタ35及び内壁面36sに形成された第2の固体原料M2が昇華して反応性ガスが生成される。また、制御装置90は、バルブV8a,V8b,V10a~V10c,V12を開く。これにより、供給源G7から配管L7,L8を介して容器31内にキャリアガスが注入され、キャリアガスと共に容器31内で生成された反応性ガスが配管L10,L12を介して処理容器51に供給される。昇華工程では、乾燥工程において内壁31s、フィルタ35及び内壁面36sの広範囲に第2の固体原料M2が形成されているので、第2の固体原料M2の比表面積が大きい。これにより、第2の固体原料M2が昇華する速度を高めることができる。その結果、処理容器51に反応性ガスを大流量で供給できる。なお、昇華温度は、例えば乾燥温度よりも高い温度である。
【0050】
(原料供給装置40による反応性ガスの供給)
図4~
図7を参照し、原料供給システム1において、原料供給装置40により処理装置50に反応性ガスを供給する場合を説明する。この場合、原料供給システム1では、原料供給装置30で噴霧工程及び乾燥工程が行われ、原料供給装置40で昇華工程が行われる。
【0051】
なお、
図4では、キャリアガス、溶液M1及び反応性ガスが流れている配管を太い実線で示し、キャリアガス、溶液M1及び反応性ガスが流れていない配管を細い実線で示す。また、
図4では、バルブが開いた状態を白抜きの記号で示し、バルブが閉じた状態を黒塗りの記号で示す。また、原料供給システム1は、初期状態において、
図1に示されるように、全てのバルブが閉じられているものとし、原料供給装置40には第2の固体原料M2が貯留されているものとして説明する。
【0052】
噴霧工程は、第1の固体原料を溶媒に溶解した溶液M1を容器31内に噴霧する工程であり、溶液M1の溶媒が除去されない状態で、ミスト原料として容器31内に付着させる工程である。噴霧工程では、制御装置90は、バルブV1,V2,V3を開く。これにより、供給源G1から原料供給源10にキャリアガスが供給され、原料供給源10から配管L2,L3を介して原料供給装置30に溶液M1が輸送される。また、制御装置90は、バルブV10a,V10bを開き、圧力制御バルブV14の開度を調整する。これにより、容器31内が排気装置E1により排気されるので、容器31内が第1の圧力に減圧される。また、制御装置90は、加熱部34を制御して容器31を噴霧温度に加熱する。これにより、
図5に示されるように、原料供給装置30に輸送され、注入部32から容器31内に噴霧される溶液M1は、溶媒が除去されない状態で、ミスト原料MMとして内壁31s、フィルタ35及び内壁面36sに付着する。その結果、内壁31s、フィルタ35及び内壁面36sの広範囲にミスト原料MMが付着する。なお、噴霧工程では、容器31内を減圧しなくてもよい。ただし、ミスト原料MMを内壁31s、フィルタ35及び内壁面36sのより広範囲に付着させることができるという観点から、噴霧工程では、容器31内を減圧することが好ましい。
【0053】
乾燥工程は、噴霧工程に続いて行われる。乾燥工程は、内壁31s、フィルタ35及び内壁面36sに付着したミスト原料MMから溶媒を除去することにより第2の固体原料M2を形成する工程である。例えば、乾燥工程では、制御装置90は、バルブV1,V2,V3を閉じる。これにより、原料供給源10から容器31内への溶液M1の供給が停止される。また、制御装置90は、バルブV10a,V10bを開いた状態に維持しながら、圧力制御バルブV14の開度を調整して容器31内を第2の圧力に減圧し、加熱部34を制御して容器31を乾燥温度に加熱する。これにより、
図6に示されるように、内壁31s、フィルタ35及び内壁面36sに付着したミスト原料MMから溶媒が除去されて第2の固体原料M2が形成され、ミスト原料MMから除去された溶媒が排気装置E1により排気される。乾燥工程では、噴霧工程において内壁31s、フィルタ35及び内壁面36sの広範囲にミスト原料MMが付着しているので、ミスト原料MMから溶媒が除去された後に、内壁31s、フィルタ35及び内壁面36sの広範囲に第2の固体原料M2が形成される。なお、第2の圧力は、例えば第1の圧力よりも低い圧力であってよい。また、乾燥温度は、例えば噴霧温度よりも高い温度である。ただし、第2の圧力を第1の圧力よりも低い圧力にすることでミスト原料MMから溶媒を除去できる場合には、乾燥温度は例えば噴霧温度と同じであってもよい。
【0054】
昇華工程は、容器41内に形成された第2の固体原料M2を加熱することにより、第2の固体原料M2を昇華させて反応性ガスを生成する工程である。例えば、昇華工程では、制御装置90は、加熱部44を制御して容器41を昇華温度に加熱する。これにより、
図7に示されるように、内壁41s、フィルタ45及び内壁面46sに形成された第2の固体原料M2が昇華して反応性ガスが生成される。また、制御装置90は、バルブV9a,V9b,V11a~V11c,V12を開く。これにより、供給源G7から配管L7,L9を介して容器41内にキャリアガスが注入され、キャリアガスと共に容器41内で生成された反応性ガスが配管L11,L12を介して処理容器51に供給される。昇華工程では、乾燥工程において内壁41s、フィルタ45及び内壁面46sの広範囲に第2の固体原料M2が形成されているので、第2の固体原料M2の比表面積が大きい。これにより、第2の固体原料M2が昇華する速度を高めることができる。その結果、処理容器51に反応性ガスを大流量で供給できる。なお、昇華温度は、例えば乾燥温度よりも高い温度である。
【0055】
以上に説明したように、実施形態によれば、制御装置90がバルブの開閉を制御することで、2つの原料供給装置30,40のうちの一方で処理装置50への反応性ガスの供給を行い、他方で固体原料の充填を行う。これにより、原料供給装置30,40への原料の自動補充が可能となり、処理装置50の連続運転能力を向上させ、処理装置50の稼働率を向上させることができる。
【0056】
また、実施形態によれば、噴霧工程において、注入部32,42から容器31,41内に溶液M1を噴霧する際、溶液M1の溶媒が除去されない状態で、ミスト原料MMとして内壁31s,41s、フィルタ35,45及び内壁面36s,46sに付着させる。次いで、乾燥工程において、内壁31s,41s、フィルタ35,45及び内壁面36s,46sに付着したミスト原料MMから溶媒を除去して第2の固体原料M2を形成する。次いで、昇華工程において、内壁31s,41s、フィルタ35,45及び内壁面36s,46sに形成された第2の固体原料M2を昇華して反応性ガスを生成する。このように、実施形態によれば、噴霧工程において容器31,41内の広範囲にミスト原料MMを付着させることができるので、乾燥工程において容器31,41内の広範囲に第2の固体原料M2が形成される。そのため、昇華工程において第2の固体原料M2が昇華する速度を高めることができ、結果として、処理容器51に反応性ガスを大流量で供給できる。
【0057】
〔原料供給装置の変形例〕
(第1変形例)
図8を参照し、原料供給装置30の第1変形例について説明する。
図8(a)は原料供給装置30の第1変形例を示す概略断面図であり、
図8(b)は
図8(a)の8B-8B線における断面図である。
【0058】
第1変形例の原料供給装置130は、柱状体36に代えて複数(図示の例では8つ)のフィン136を含む点で原料供給装置30と異なる。なお、その他の点については原料供給装置30と同じであってよい。以下、原料供給装置30と異なる点を中心に説明する。
【0059】
複数のフィン136は、第1の領域31aに、平面視で放射状に設けられている。複数のフィン136の板面136sには、注入部32から噴霧される溶液M1がミスト原料MMとして付着する。容器31内に付着するミスト原料MMの量は、容器31内の表面積が大きいほど多くなる。そのため、フィン136は複数であることが好ましい。ただし、フィン136は1つであってもよい。
【0060】
各フィン136は、容器31と別体で形成されている。ただし、各フィン136は、容器31と一体で形成されていてもよい。各フィン136は、基端部が容器31の内壁31sに接合され、先端部が容器31の内壁31sから容器31の中心に向けて延在する板状を有する。各フィン136は、板面136sが鉛直方向に対して平行となるように容器31の内壁31sに接合されている。ただし、各フィン136は、板面136sが鉛直方向に対して傾斜するように、容器31の内壁31sに接合されていてもよい。各フィン136は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル合金により形成される。
【0061】
板面136sには、微細な凹凸形状が形成されていることが好ましい。これにより、板面136sの表面積が大きくなるので、板面136sに付着するミスト原料MMの量が多くなる。凹凸形状は、例えばブラスト加工により形成される。
【0062】
原料供給装置130によれば、噴霧工程において、注入部32から容器31内に溶液M1を噴霧する際、溶液M1の溶媒が除去されない状態で、ミスト原料MMとして内壁31s、フィルタ35及び板面136sに付着させる。次いで、乾燥工程において、内壁31s、フィルタ35及び板面136sに付着したミスト原料MMから溶媒を除去して第2の固体原料M2を形成する。次いで、昇華工程において、内壁31s、フィルタ35及び板面136sに形成された第2の固体原料M2を昇華して反応性ガスを生成する。このように、第1変形例の原料供給装置30によれば、噴霧工程において容器31内の広範囲にミスト原料MMを付着させることができるので、乾燥工程において容器31内の広範囲に第2の固体原料M2が形成される。そのため、昇華工程において第2の固体原料M2が昇華する速度を高めることができ、結果として、処理容器51に反応性ガスを大流量で供給できる。
【0063】
なお、
図8では、原料供給装置30の第1変形例である原料供給装置130を説明したが、原料供給装置40についても同様の構成とすることができる。
【0064】
(第2変形例)
図9を参照し、原料供給装置の第2変形例について説明する。
図9(a)は原料供給装置の第2変形例を示す概略断面図であり、
図9(b)は
図9(a)の9B-9B線における断面図であり、
図9(c)は
図9(a)の9C-9C線における断面図である。
【0065】
第2変形例の原料供給装置230は、第1変形例の原料供給装置130に対して更に伝熱部37を含む点で原料供給装置130と異なる。なお、その他の点については原料供給装置130と同じであってよい。以下、原料供給装置130と異なる点を中心に説明する。
【0066】
伝熱部37は、軸部材37a及び板状部材37bを含む。軸部材37aは、円柱形状を有し、外壁面が複数のフィン136の先端部に接合されている。板状部材37bは、板面が水平方向に対して平行な板状を有し、上側の板面が軸部材37aの下端に接合されている。このように、伝熱部37は、軸部材37a及び板状部材37bにより複数のフィン136の先端部と容器31の内壁31sとを接続する。軸部材37a及び板状部材37bは、熱伝導材料、例えばステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル合金により形成される。これにより、伝熱部37は、軸部材37a及び板状部材37bを介して、複数のフィン136の先端部と容器31の内壁31sとの間で熱を伝達する。
【0067】
軸部材37a及び板状部材37bを構成する材料は、例えばフィン136と同じ材料であってよい。この場合、噴霧工程、乾燥工程及び昇華工程の繰り返しに伴う温度変化(ヒートサイクル)が生じても、フィン136、軸部材37a及び板状部材37bの熱膨張率が同じであることから熱膨張率の差に起因する各部材の接合部での破損を防止できる。
【0068】
また、軸部材37a及び板状部材37bを構成する材料は、例えばフィン136を構成する材料よりも熱伝導率が高い材料であってもよい。この場合、複数のフィン136の先端部と容器31の内壁31sとの間で効率よく熱が伝達され、複数のフィン136の先端部が効率よく加熱される。一例として、複数のフィン136の材料としてステンレス鋼やニッケル合金を使用する場合、軸部材37a及び板状部材37bの材料としてアルミニウムを使用できる。
【0069】
原料供給装置230によれば、原料供給装置130と同様に複数のフィン136を含むので、昇華工程において第2の固体原料M2が昇華する速度を高めることができ、結果として、処理容器51に反応性ガスを大流量で供給できる。
【0070】
また、原料供給装置230によれば、複数のフィン136の先端部と内壁31sとを接続し、該先端部と該内壁31sとの間で熱を伝達する伝熱部37を有する。これにより、複数のフィン136の先端部と内壁31sとの間で伝熱部37を介して熱が伝達され、複数のフィン136の先端部が加熱される。そのため、各フィン136の板面136sの面方向における温度の均一性が向上する。その結果、噴霧工程では各フィン136の板面136sの面方向において均一にミスト原料MMが付着する。
【0071】
なお、
図9では、原料供給装置30の第2変形例である原料供給装置230を説明したが、原料供給装置40についても同様の構成とすることができる。
【0072】
なお、上記の実施形態において、柱状体36,46及びフィン136は壁構造体の一例であり、内壁31sは第1の壁面の一例であり、内壁面36s,46s及び板面136sは第2の壁面の一例である。
【0073】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0074】
上記の実施形態では、原料供給システム1が並列に設けられた2つの原料供給装置30,40を有する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、原料供給装置は、1つであってもよく、3つ以上が並列に設けられていてもよい。ただし、溶液M1の充填に伴うダウンタイムをなくすという観点から、原料供給装置は2つ以上であることが好ましい。
【0075】
上記の実施形態では、注入部32,42が噴霧ノズルである場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、注入部32,42は、溶液M1を散布して容器31,41内に注入する散布ノズルであってもよい。
【0076】
上記の実施形態では、溶液M1から溶媒を除去することで形成される第2の固体原料M2を昇華させて反応性ガスを生成し、生成した反応性ガスを用いて処理装置50で成膜を行うシステムを説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、溶液M1に代えて、第1の固体原料を分散媒に分散させたスラリー(slurry)、第1の固体原料を分散媒に分散させたコロイド溶液(colloidal solution)等の分散系(dispersion)を用いることもできる。例えば、コロイド溶液を用いることにより、溶液M1やスラリーを用いるよりも高濃度なプリカーサを充填できる。分散系(dispersion)は、下位概念としてスラリー(slurry)とコロイド(colloid)を含む。スラリーは、懸濁液(suspension)とも称される。コロイド(colloid)は下位概念としてコロイド溶液(colloidal solution)を含む。コロイド溶液は、ゾル(sol)とも称される。
【符号の説明】
【0077】
30,40 原料供給装置
31,41 容器
32,42 注入部
36,46 柱状体
136 フィン