(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039372
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】検査治具
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20230313BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20230313BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
G01R1/073 E
G01R31/26 J
G01R31/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146517
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】日本電産リード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】太田 憲宏
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
2G132
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG04
2G003AG12
2G003AH04
2G003AH05
2G011AA02
2G011AA09
2G011AA16
2G011AB01
2G011AB03
2G011AB04
2G011AB07
2G011AC14
2G011AE03
2G011AF06
2G132AF02
2G132AL09
2G132AL11
(57)【要約】
【課題】接触端子と位置決めピンとを備えた検査治具において、検査対象を検査している際に前記検査治具の検査対象側が膨張または収縮した場合でも、前記接触端子の位置精度を確保可能な構成を提供する。
【解決手段】検査治具1は、プローブ21と、プローブ21が貫通する貫通孔12bを有するプレート11bと、プローブ21が貫通する貫通孔12aを有し、プレート11bに対して検査対象側に位置する検査対象側プレート11aと、プレート11b及び検査対象側プレート11aの相対位置を決める位置決めピン13と、を備える。検査治具1は、プレート11bと検査対象側プレート11aとの間に位置し且つ位置決めピン13に軸方向に固定されて、プレート11b及び検査対象側プレート11aに対する位置決めピン13の軸方向の移動を規制する樹脂製のフランジ部15を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の検査点に対して電気的信号を授受するための棒状の接触端子と、
前記接触端子の一部が内部に位置する第一貫通孔を有するプレートと、
前記接触端子の一部が内部に位置する第二貫通孔を有し、前記プレートに対して検査対象側に位置する検査対象側プレートと、
前記プレート及び前記検査対象側プレートを貫通して、前記プレート及び前記検査対象側プレートの相対位置を決める位置決めピンと、
を備える検査治具であって、
前記プレートと前記検査対象側プレートとの間に位置し且つ前記位置決めピンに取り付けられ、前記プレート及び前記検査対象側プレートに対する前記位置決めピンの軸方向の移動を規制する樹脂製のフランジ部を備える、
検査治具。
【請求項2】
請求項1に記載の検査治具において、
前記プレートと前記検査対象側プレートとの間に位置する隙間調整部材を有し、
前記フランジ部の厚みは、前記隙間調整部材の厚みと同じかそれよりも小さい、
検査治具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の検査治具において、
前記位置決めピンは、外周面上に周方向に延びる溝を有し、
前記フランジ部は、前記位置決めピンが貫通可能な貫通孔を有し、前記貫通孔の内周側が前記溝内に位置付けられて前記位置決めピンに取り付けられている、
検査治具。
【請求項4】
請求項3に記載の検査治具において、
前記フランジ部は、平面視で、円環の一部を切り欠いた切り欠き部を有するC字状である、
検査治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査治具に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象の検査点に対して電気的信号を授受する棒状の接触端子を備えた検査治具が知れている。このような検査治具として、例えば、特許文献1に開示されているように、オフセット基板と、インターポーザ基板と、プローブ針と、プローブ針位置決め部材とを備えたプローブカードが知られている。
【0003】
前記特許文献1のプローブカードでは、前記オフセット基板は、プローブカード基板に電気的に接続されている。前記インターポーザ基板は、前記プローブ基板に電気的に接続されている。また、前記プローブ針は、前記インターポーザ基板に電気的に接触している。前記プローブ針位置決め部材は、前記プローブカード基板を支持するとともに、前記インターポーザ基板に前記プローブ針が電気的に接触するように前記プローブ針を位置決め固定する。
【0004】
前記プローブ針位置決め部材は、前記プローブカード基板を支持するスティフナーと、該スティフナーに設けられた位置決め穴に挿入される位置決めピンとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の特許文献1に開示されるようなプローブカードでは、位置決めピンは、プローブ針の位置決め精度を向上させることができる。前記位置決めピンを段付き加工すると、ピンの位置決め精度が低下する。そのため、前記位置決めピンとして、例えば、ゲージピン等の平行ピンが用いられる。しかしながら、このような位置決めンピンは、スティフナーなどに固定されていないため、軸方向に容易に抜け落ちる可能性がある。そのため、一般的には、前記位置決めピンは、前記プローブ針の位置決めに用いられた後に、プローブカードから抜き出される場合が多い。
【0007】
しかしながら、プローブカードなどの検査治具を用いて、検査対象を高温または低温で検査する場合には、前記検査治具における検査対象側の部分が膨張または収縮する可能性がある。そうすると、上述のように位置決めピンを用いて、プローブ針などの接触端子を位置決めした場合でも、前記位置決めピンが抜かれた状態で上述のように前記検査治具の検査対象側の部分が膨張または収縮すると、前記接触端子の位置がずれる可能性がある。
【0008】
これに対し、上述のように検査対象を高温または低温で検査した場合でも、接触端子の位置精度を維持可能な構成が望まれている。
【0009】
本発明の目的は、接触端子と位置決めピンとを備えた検査治具において、検査対象を検査している際に前記検査治具の検査対象側が膨張または収縮した場合でも、前記接触端子の位置精度を確保可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る検査治具は、検査対象の検査点に対して電気的信号を授受するための棒状の接触端子と、前記接触端子が貫通する第一貫通孔を有するプレートと、前記接触端子が貫通する第二貫通孔を有し、前記プレートに対して前記検査対象側に位置する検査対象側プレートと、前記プレート及び前記検査対象側プレートを貫通して、前記プレート及び前記検査対象側プレートの相対位置を決める位置決めピンと、を備える検査治具である。この検査治具は、前記プレートと前記検査対象側プレートとの間に位置し且つ前記位置決めピンに前記軸方向に固定されて、前記プレート及び前記検査対象側プレートに対する前記位置決めピンの軸方向の移動を規制する樹脂製のフランジ部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態に係る検査治具によれば、接触端子と位置決めピンとを備えた検査治具において、検査対象を検査している際に前記検査治具の検査対象側が膨張または収縮した場合でも、前記接触端子の位置精度を確保可能な構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る検査治具を備えた半導体検査装置の概略構成を示す概念図である。
【
図2】
図2は、検査治具の概略構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、検査治具の検査対象側の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【
図4】
図4は、位置決めピンの概略構成を示す図である。
【
図5】
図5は、フランジ部の概略構成を示す平面図である。
【
図6】
図6は、フランジ部の概略構成を示す側面図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る検査治具の概略構成示す断面図である。
【
図8】
図8は、検査治具の検査対象側の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【
図9】
図9は、その他の実施形態に係るフランジ部の概略構成を示す平面図である。
【
図10】
図10は、その他の実施形態に係るフランジ部の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0014】
本発明に係る検査治具は、検査対象にプローブを当接させて電流を流すことにより、検査対象の電気的検査を行う電気検査装置に用いることができる。以下で説明する実施形態1では、検査対象としての半導体ウェハの電気的検査を行う半導体検査装置を例に挙げて説明する。
【0015】
<実施形態1>
(半導体検査装置)
図1は、本発明の実施形態に係る検査治具1を有する半導体検査装置100の概略構成を示す斜視図である。半導体検査装置100は、検査対象の一例である半導体ウェハDUTに形成された回路を検査するための電気検査装置である。
【0016】
半導体ウェハDUTでは、例えばシリコンなどの半導体基板に、複数の半導体チップに対応する回路が形成されている。なお、前記検査対象は、例えば、半導体チップ、CSP(Chip size package)、半導体素子(IC:Integrated Circuit)等の電子部品である。
【0017】
図1に示す半導体検査装置100は、検査装置本体2と、検査治具1とを備えている。
【0018】
検査装置本体2は、検査治具1を除く半導体検査装置100の本体部分である。半導体検査装置100は、半導体ウェハDUTに対応して構成された検査治具1が検査装置本体2に取り付けられることにより、半導体ウェハDUTを検査可能となる。検査装置本体2は、試料台106を備えている。
【0019】
試料台106は、上面に、半導体ウェハDUTが搭載される載置部106aを有する。試料台106は、検査対象の半導体ウェハDUTを所定位置に固定可能である。載置部106aは、昇降可能である。具体的には、載置部106aは、試料台106内に収容された半導体ウェハDUTを検査位置に上昇可能であり、検査済みの半導体ウェハDUTを試料台106内に格納可能である。また、載置部106aは、例えば半導体ウェハDUTを回転させて、オリエンテーション・フラットを所定の方向に向けることができる。
【0020】
半導体検査装置100は、図示しないロボットアーム等の搬送機構を備えている。半導体検査装置100は、前記搬送機構によって、半導体ウェハDUTを載置部106a上に載置したり、検査済みの半導体ウェハDUTを載置部106aから搬出したりすることができる。
【0021】
また、検査装置本体2は、検査処理部108を備えている。
【0022】
検査処理部108は、特に図示しないが、例えば、電源回路、電圧形、電流計及びマイクロコンピュータ等を有する。検査処理部108は、図示しない駆動機構を制御することにより検査治具1を移動させて位置決めし、半導体ウェハDUTの各検査点に、各プローブ21を接触させる。これにより、各検査点と検査治具1とが電気的に接続される。
【0023】
検査処理部108は、上述の状態で検査治具1の各プローブ21を介して半導体ウェハDUTの各検査点に、検査用の交流の電流または電圧を供給し、各プローブ21から得られた電圧信号または電流信号に基づいて、例えば回路パターンの断線及び短絡等の半導体ウェハDUTの検査を実行する。検査処理部108は、交流の電流または電圧を各検査点に供給することによって、各プローブ21から得られた電圧信号または電流信号に基づいて、検査対象のインピーダンスを測定してもよい。
【0024】
検査治具1は、半導体ウェハDUTに複数のプローブ21を接触させて検査するための治具である。検査治具1は、例えば、いわゆるプローブカードである。
【0025】
半導体ウェハDUTには、複数のチップが形成されている。各チップには、複数のパッド及びバンプBP等が形成されている。前記複数のパッド及びバンプBP等は、検査点として設定されている。検査治具1は、半導体ウェハDUTに形成された複数のチップのうち一部の領域(例えば
図1にハッチングで示す領域、以下、検査領域と称する)内の検査点に対応する複数のプローブ21を有する。検査治具1の詳しい構成は、後述する。
【0026】
上述の構成を有する半導体検査装置100は、前記検査領域内の検査点にプローブ21を接触させて当該検査領域内の検査が終了すると、載置部106aによって半導体ウェハDUTを下降させ、試料台106によって半導体ウェハDUTを平行移動させて検査領域を移動させる。その後、半導体検査装置100は、載置部106aによって半導体ウェハDUTを上昇させて、新たな検査領域にプローブ21を接触させることにより、前記新たな検査領域内の検査を行う。このように、半導体ウェハDUTにおける検査領域を順次移動させつつ検査を行うことにより、半導体ウェハDUT全体の検査を行うことができる。
【0027】
なお、
図1は、半導体検査装置100の構成の一例を、発明の理解を容易にする観点から、概略的及び概念的に示した説明図である。
図1では、プローブ21の本数、密度及び配置、検査装置本体2及び試料台106の各部の形状、大きさの比率等についても、簡略化及び概念化して記載している。
図1では、例えば、プローブ21の配置の理解を容易にする観点で、一般的な半導体検査装置よりも検査領域を大きく強調して記載している。よって、前記検査領域は、
図1に示す領域よりも小さくてもよいし、
図1に示す領域よりも大きくてもよい。
【0028】
(検査治具)
図2は、検査治具1の概略構成を示す断面図である。なお、
図2に示す構成は実施形態1の検査治具1の一例であり、検査治具1の構成は、
図2に示す構成に限定されない。
【0029】
検査治具1は、ピッチ変換ブロック135と、複数のプローブ21(接触端子)と、複数のプローブ21を、先端部21aを半導体ウェハDUTへ向けた状態で保持する貫通部材11とを有する。
【0030】
ピッチ変換ブロック135は、比較的狭い間隔で配列された検査点のピッチを、標準的な間隔で配列された装置側電極(図示省略)のピッチに変換する。ピッチ変換ブロックは、スペーストランスフォーマと称される場合もある。
【0031】
ピッチ変換ブロック135には、配線134を各プローブ21の基端部21bと接触させて導通させる後述の電極134aが設けられている。検査治具1は、ピッチ変換ブロック135側の部分が接続プレート137と電気的に接続される。検査処理部108は、接続プレート137及びピッチ変換ブロック135を介して、任意のプローブ21に対して検査用信号を供給したり、任意のプローブ21から信号を検出したりする。
【0032】
貫通部材11は、例えば、厚み方向に積層された複数の板状のプレート11a,11b,11c,11d,11e,11f,11g,11h,11iを含む。以下の説明では、プレート11a,11b,11c,11d,11e,11f,11g,11h,11iを、プレート11a~11iとも称する。貫通部材11は、複数のプレート11a~11iを厚み方向に貫通する貫通孔12を有する。貫通孔12は、プレート11a~11iの厚み方向に見て円形状である。
【0033】
プレート11b~11iは、それぞれ、貫通孔12の一部を構成する貫通孔12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12iを有する。以下の説明では、貫通孔12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12iを、貫通孔12b~12iとも称する。貫通孔12b~12iは、それぞれ、プローブ21が貫通可能な径を有する。複数のプレート11a~11iのうち半導体ウェハDUT側に位置するプレート11aは、貫通孔12b~12iよりも小さい径の貫通孔12aを有する。貫通孔12a~12iは、貫通孔12を構成する。
【0034】
プレート11a~11iは、
図2に示すように互い積層された状態で、図示しない支柱等によって連結されて固定されている。なお、プレートは、互いに離間させた状態で、例えば支柱等によって連結されていてもよい。貫通部材11は、例えば、一体の部材であってもよい。この場合でも、貫通部材11は、貫通孔12を有する。なお、貫通部材11における半導体ウェハDUTとは反対側には、ピッチ変換ブロック135が取り付けられている。
【0035】
貫通部材11の各貫通孔12には、プローブ21が挿入されている。プローブ21は、導電性を有する細長い円筒形状の筒状体22と、導電性を有し且つ棒状の第一中心導体23及び第二中心導体24とを有する。プローブ21では、筒状体22、第一中心導体23及び第二中心導体24は、長手方向が一致した状態で組み立てられている。これにより、プローブ21の長手方向は、筒状体22、第一中心導体23及び第二中心導体24の長手方向と一致している。よって、プローブ21は、前記長手方向である軸方向に細長い形状を有する。
【0036】
筒状体22は、第一ばね部26と、第二ばね部27と、筒部28とを有する。第一ばね部26は、筒状体22の軸方向の一方側に位置する。第二ばね部27は、筒状体22の軸方向の他方側に位置する。筒部28は、第一ばね部26と第二ばね部27との間に位置し、ばね部が形成されていない部分である。第一中心導体23は、円柱状の部材であり、筒状体22の第一ばね部26の内部に一部が挿入された状態で、筒状体22に固定されている。第二中心導体24は、円柱状の部材であり、筒状体22の第二ばね部27の内部に一部が挿入された状態で、筒状体22に固定されている。
【0037】
第一ばね部26は、第一螺旋溝26aを有する。第二ばね部27は、第二螺旋溝27aを有する。第一螺旋溝26a及び第二螺旋溝27aは、それぞれ、筒状体22の外周面に沿って螺旋状に延びている。第一螺旋溝26a及び第二螺旋溝27aは、螺旋の巻き方向が逆方向である。第一ばね部26及び第二ばね部27を変形させることにより、筒状体22を、その軸方向に伸縮させることができる。
【0038】
第一中心導体23は、第一本体23aと、鍔部23bと、第一突出部23cとを有する。第一本体23aは、筒状体22の内方に位置する。第一本体23aの一部は、筒状体22に固定されている。鍔部23b及び第一突出部23cは、筒状体22の外方に位置する。鍔部23bは、プレート11bの貫通孔12b内に位置する。第一突出部23cは、プレート11aの貫通孔12aを貫通して、貫通部材11の半導体ウェハDUT側に突出している。第一突出部23cの先端部が、プローブ21の先端部21aである。プレート11bの貫通孔12bが、第一貫通孔である。
【0039】
第二中心導体24は、第二本体24aと、鍔部24bと、第二突出部24cとを有する。第二本体24aは、筒状体22の内方に位置する。第二本体24aの一部は、筒状体22に固定されている。鍔部24b及び第二突出部24cは、筒状体22の外方に位置する。鍔部24bは、プレート11iの貫通孔12i内に位置する。第二突出部24cは、プレート11iの貫通孔12iを貫通して、貫通部材11のピッチ変換ブロック135側に突出している。第二突出部24cの先端部が、プローブ21の基端部21bである。
【0040】
また、筒状体22内に第一中心導体23及び第二中心導体24が挿通した状態で、第一中心導体23及び第二中心導体24は、軸方向に所定の間隙を有する。
【0041】
検査治具1がピッチ変換ブロック135に取り付けられる前の状態では、
図2に示すように、第二突出部24cはプレート11iから突出している。貫通部材11がピッチ変換ブロック135に取り付けられると、第二突出部24dの先端部、すなわちプローブ21の基端部21bが、ピッチ変換ブロック135の電極134aに接触して、貫通部材11の内方に押圧される。
【0042】
この結果、筒状体22の第一ばね部26及び第二ばね部27が圧縮されて弾性変形する。第二突出部24cの突出部分は、第一ばね部26及び第二ばね部27の付勢力に抗して、貫通部材11の内方に押し込まれる。この際、第二突出部24cの先端部、すなわちプローブ21の基端部21bが、第一ばね部26及び第二ばね部27の付勢力によって電極134aに押し付けられる。よって、プローブ21の基端部21bと電極134aとが安定した導通接触状態で保持される。
【0043】
検査治具1が、半導体ウェハDUTに圧接されると、第一中心導体23の第一突出部23cが、半導体ウェハDUTのバンプBPに接触して貫通部材11の内方に押圧される。
【0044】
この結果、筒状体22の第一ばね部26及び第二ばね部27がさらに圧縮されて弾性変形する。第一突出部23cの突出部分は、第一ばね部26及び第二ばね部27の付勢力に抗して、貫通部材11の内方に押し込まれる。この際、プローブ21の先端部21aは、第一ばね部26及び第二ばね部27の付勢力によって、半導体ウェハDUTのバンプBPに押し付けられる。よって、プローブ21の先端部21aと半導体ウェハDUTの検査点の一例であるバンプBPとが安定した導電接触状態に保持される。
【0045】
貫通部材11を構成する複数のプレート11a~11iのうち、半導体ウェハDUTに最も近いプレート11aが、検査対象側プレートである。以下では、プレート11aを、検査対象側プレート11aとも称する。検査対象側プレート11aの貫通孔12aが、第二貫通孔である。
【0046】
図3は、検査治具1の検査対象側の一部を拡大して示す拡大断面図である。
図3では、説明のために、検査治具1のプローブ21及び位置決めピン13を1つの図に図示している。実際には、検査治具1は複数のプローブ21を有していて、位置決めピン13は、複数のプローブ21よりも検査治具1の外周側に位置する。
図4は、位置決めピン13の概略構成を示す図である。
【0047】
図3に示すように、本実施形態では、検査治具1は、検査対象側プレート11aを複数のプレート11b,11cに対して位置決めするための複数の位置決めピン13を有する。
図3に示す例では、位置決めピン13は2つである。位置決めピン13は、細長い丸棒状の部材である。位置決めピン13の軸方向に直交する断面は、例えば円形状である。位置決めピン13の前記断面は、円形以外の形状であってもよい。
【0048】
検査治具1の貫通部材11は、検査対象側に、位置決めピン13を挿入可能な位置決めピン挿入孔14を有する。位置決めピン挿入孔14は、位置決めピン13の外径よりも大きい径を有する丸孔である。詳しくは、検査対象側プレート11a及び複数のプレート11b,11cは、それぞれ、厚み方向に貫通し且つ位置決めピン13を挿入可能な位置決めピン挿入孔14a,14b,14cを有する。位置決めピン挿入孔14a,14b,14cは、それぞれ、位置決めピン13の外径よりも大きい径を有する丸孔である。位置決めピン挿入孔14a,14b,14cが前記厚み方向に繋がることにより、位置決めピン挿入孔14が構成される。
【0049】
位置決めピン13が、ぞれぞれ、位置決めピン挿入孔14内に挿入されることにより、検査対象側プレート11a及び複数のプレート11b,11cは、軸方向に直交する方向に位置決めされる。
【0050】
また、本実施形態の検査治具1は、位置決めピン13がそれぞれ位置決めピン挿入孔14内から軸方向に抜け落ちるのを抑制可能とするフランジ部15を有する。これにより、位置決めピン13を、位置決めピン挿入孔14から抜くことなく位置決めピン挿入孔14内に保持することができる。
【0051】
よって、貫通部材11の位置決めピン挿入孔14内にそれぞれ位置する位置決めピン13によって、プレート11bに対する検査対象側プレート11aの位置ずれを防止できる。したがって、例えば熱の影響によって検査対象側プレート11aの変形が生じた場合でも、プローブ21の位置精度を確保することができる。
【0052】
(フランジ部の構成)
本実施形態の検査治具1は、貫通部材11に対して位置決めピン13が軸方向に抜け落ちるのを抑制する樹脂製のフランジ部15を有する。
図5は、位置決めピン13に固定される樹脂製のフランジ部15の概略構成を示す平面図である。
図6は、フランジ部15の概略構成を示す側面図である。
【0053】
図5に示すように、フランジ部15は、C字状の薄いフィルム状の部材である。
図4に示すように、位置決めピン13の外周面上に取り付けられている。フランジ部15を構成する樹脂は、例えば、比較的高い耐熱性を有するポリイミドであるが、その他ポリイミド系の材料を使用することもできる。
【0054】
図5及び
図6に示すように、フランジ部15は、上面15a、下面15b、外周縁15c、内周縁15d、及び一対の対向端部15e,15eを有する。
【0055】
上面15aは、フィルム状のフランジ部15の一方の面である。下面15bは、フィルム状のフランジ部15の他方の面である。上面15a及び下面15bは、フランジ部15の平面視で、C字状である。上面15aと下面15bとの間隔は、フランジ部15の厚みMと同じである。
【0056】
外周縁15cは、フランジ部15における外周側の縁である。外周縁15cの直径D1は、位置決めピン13の外径DP1よりも大きい。
【0057】
内周縁15dは、フランジ部15における内周側の縁である。内周縁15dの直径D2は、位置決めピン13の外径DP1よりも小さく、且つ、詳しくは後述する位置決めピン13の溝16の外径DP2よりも大きい。
【0058】
一対の対向端部15e,15eは、フランジ部15における周方向の端部である。一対の対向端部15e,15eは、互いに周方向に離間していて、平行である。これにより、フランジ部15には、一対の対向端部15e,15eの間に切り欠き部15fが構成される。前記平行は、一対の対向端部15e,15eの延長線が交わらない場合だけでなく、一対の対向端部15e,15eが前記周方向に離間していれば前記延長線が交わる場合も含んでいてもよい。
【0059】
位置決めピン13は、外周面に、周方向に延びてフランジ部15の内周縁15dが挿入可能な溝16を有する。溝16は、位置決めピン13の外周面における軸方向の所定位置に位置し、且つ、周方向に延びるループ状である。位置決めピン13において溝16が位置する部分の外径は、位置決めピン13における他の部分の外径よりも小さい。
【0060】
図3を参照して、検査治具1では、フランジ部15の内周縁15dが位置決めピン13の溝16内に位置付けられる。これにより、フランジ部15は、位置決めピン13に対して、軸方向に固定される。しかも、フランジ部15は、周方向に離間した一対の対向端部15e,15eによって構成された切り欠き部15fを有する。これにより、切り欠き部15fを構成する一対の対向端部15e,15eを周方向に離間させながら、フランジ部15を溝16内に取り付けることができる。よって、フランジ部15を、位置決めピン13の溝16内に容易に取り付けることができる。
【0061】
フランジ部15における外周縁15cの直径D1は、位置決めピン挿入孔14内に挿入された位置決めピン13の溝16内に取り付けられた状態で、フランジ部15を軸方向に見て、検査対象側プレート11aとプレート11bとによって挟み込まれる大きさである。すなわち、フランジ部15は、位置決めピン13の溝16内に取り付けられた状態で、フランジ部15を軸方向に見て、位置決めピン挿入孔14の周縁部と少なくとも一部が重なる大きさを有する。
【0062】
フランジ部15の厚みMは、検査対象側プレート11aとプレート11bとの間に配置されている隙間調整部材17の厚みと同等かそれよりも小さい。隙間調整部材17は、例えば、樹脂製のシート状の部材である。隙間調整部材17は、検査対象側プレート11aとプレート11bとの間のうち、貫通部材11を軸方向に見て位置決めピン13の周囲を除いた領域の少なくとも一部に位置する。
【0063】
以上の構成により、位置決めピン挿入孔14内に挿入された位置決めピン13は、検査対象側プレート11aとプレート11bとによって挟まれるフランジ部15により、軸方向への移動が規制される。よって、位置決めピン13を、位置決めピン挿入孔14内に保持することができる。これにより、熱の影響によって検査対象側プレート11aの変形が生じた場合でも、貫通部材11の位置決めピン挿入孔14内にそれぞれ位置する位置決めピン13によって、プレート11bに対する検査対象側プレート11aの位置ずれを防止できる。したがって、例えば熱の影響によって検査対象側プレート11aの変形が生じた場合でも、プローブ21の位置精度を確保することができる。
【0064】
しかも、フランジ部15の厚みが検査対象側プレート11aとプレート11bとの間に配置されている隙間調整部材17の厚みと同等かそれよりも小さいため、フランジ部15を隙間調整部材17と並べて、検査対象側プレート11aとプレート11bとの間に配置できる。これにより、検査治具1を大型化することなく、プローブ21の位置精度を確保することができる。
【0065】
以上より、本実施形態の検査治具1は、半導体ウェハDUTの検査点に対して電気的信号を授受するための棒状のプローブ21と、プローブ21の一部が位置する貫通孔12bを有するプレート11bと、プローブ21の一部が貫位置する貫通孔12aを有し、プレート11bに対して検査対象側に位置する検査対象側プレート11aと、プレート11b及び検査対象側プレート11aを貫通して、プレート11b及び検査対象側プレート11aの相対位置を決める位置決めピン13と、を備える。
【0066】
検査治具1は、プレート11bと検査対象側プレート11aとの間に位置し且つ位置決めピン13に取り付けられて、プレート11b及び検査対象側プレート11aに対する位置決めピン13の軸方向の移動を規制する樹脂製のフランジ部15を有する。
【0067】
これにより、樹脂製のフランジ部15によって、位置決めピン13がプレート11b及び検査対象側プレート11aから抜け落ちるのを防止できる。よって、プレート11b及び検査対象側プレート11aを位置決めピン13によって位置決めした状態で、保持することができる。したがって、検査対象側プレート11aが膨張または収縮した場合に、検査対象側プレート11aがプレート11bに対して位置ずれを生じるのを防止できる。
【0068】
一般的に、半導体ウェハDUTなどを検査対象とする検査治具は小型であり、プレート11b及び検査対象側プレート11aは薄い。そのため、プレート11b及び検査対象側プレート11aに、抜け止め用の部材を配置するための凹部などを形成できない可能性がある。
【0069】
これに対し、上述のようにフランジ部15がプレート11bと検査対象側プレート11aとの間に位置し且つ位置決めピン13に対して軸方向に固定されることにより、前記凹部を形成する必要がない。よって、薄いプレート11b及び検査対象側プレート11aに対して、位置決めピン13が軸方向に抜け落ちるのを防止できる。
【0070】
しかも、フランジ部15を樹脂製にすることで、フランジ部15を軽量な構成によって容易に実現できる。
【0071】
したがって、検査対象を検査している際に検査治具1の検査対象側が膨張または収縮した場合でもプローブ21の位置精度を確保可能な構成を、軽量な構成によって容易に実現できる。
【0072】
また、本実施形態では、検査治具1は、プレート11bと検査対象側プレート11aとの間に位置する隙間調整部材17を有する。フランジ部15の厚みは、隙間調整部材17の厚みと同じかそれよりも小さい。
【0073】
これにより、検査治具1を大型化することなく、且つ、プレート11bまたは検査対象側プレート11aにフランジ部15を収容するための凹部を形成することなく、プレート11bと検査対象側プレート11aとの間に、フランジ部15を容易に配置することができる。
【0074】
また、本実施形態では、位置決めピン13は、外周面上に周方向に延びる溝16を有する。フランジ部15は、位置決めピン13が貫通可能なフランジ貫通孔18を有し、フランジ貫通孔18の内周側が溝16内に位置付けられて位置決めピン13に取り付けられている。フランジ貫通孔18が、フランジ部15の貫通孔である。フランジ部15の内周縁15dが、フランジ貫通孔18を構成する。
【0075】
これにより、位置決めピン13にフランジ部15を容易に固定することができる。
【0076】
また、本実施形態では、フランジ部15は、平面視で、円環の一部を切り欠いた切り欠き部15fを有するC字状である。
【0077】
これにより、位置決めピン13にフランジ部15をより容易に固定することができる。
【0078】
<実施形態2>
図7は、実施形態2に係る検査治具201の概略構成示す断面図である。以下では、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0079】
検査治具201も、実施形態1の検査治具1と同様、半導体ウェハDUTに複数のプローブ221を接触させて検査するための治具であり、例えば、いわゆるプローブカードである。
【0080】
検査治具201は、プローブ221と、貫通部材211とを有する。プローブ221は、全体として略棒状である。プローブ221は、貫通部材211を貫通している。貫通部材211は、検査対象側貫通部材212と、電極側貫通部材213と、連結部材214とを有する。
【0081】
検査対象側貫通部材212は、半導体ウェハDUTと対向して位置する。電極側貫通部材213は、検査対象側貫通部材212を挟んで半導体ウェハDUTとは反対側に位置する。連結部材214は、検査対象側貫通部材212と電極側貫通部材213とを所定距離を隔てて互いに平行に保持する。
【0082】
検査対象側貫通部材212及び電極側貫通部材213は、プローブ221が貫通する複数の貫通孔215,216を有する。検査対象側貫通部材212における各貫通孔215の位置は、検査対象である半導体ウェハDUTの配線パターン上に設定された検査点の位置と対応している。これにより、プローブ221の先端部221aが半導体ウェハDUTの前記検査点に接触可能である。
【0083】
検査治具201は、検査対象の半導体ウェハDUTの構成に応じて、半導体検査装置に対して取り換え可能である。
【0084】
プローブ221は、先端部221aと、基端部221bと、胴体部221cとを含むワイヤー状である。プローブ221は、導電性を有する金属材料によって構成されていて、胴体部221cの表面には、絶縁性部材がコーティングされている。これにより、隣接するプローブ221同士の導通を防止できる。
【0085】
先端部221aは、略円柱状であり、プローブ221の一方の端部に位置する。先端部221aは、検査対象物である半導体ウェハDUTに接触する。基端部221bは、略円柱状であり、プローブ221の他方の端部に位置する。基端部221bは、検査治具201がピッチ変換ブロック135に取り付けられた状態で、ピッチ変換ブロック135の電極134aに接触する。
【0086】
検査対象側貫通部材212は、半導体ウェハDUTと対向する対向面F1を有する。電極側貫通部材213は、ピッチ変換ブロック135の下面と密着する背面F2を有する。
【0087】
検査対象側貫通部材212は、対向プレート212aと、案内プレート212bとを有する。対向プレート212a及び案内プレート212bは、厚み方向に積層されている。対向プレート212aは、半導体ウェハDUTと対向する対向面F1を有する。対向プレート212aは、案内プレート212bに対して、脱着可能なボルト等の固定構造によって固定されている。
【0088】
検査対象側貫通部材212は、プローブ221の先端部221aが貫通する複数の貫通孔215を有する。各貫通孔215は、半導体ウェハDUTの複数の検査点に対して、プローブ221の先端部221aの端部を案内する。対向プレート212aは、貫通孔215aを有する。案内プレート212bは、貫通孔215bを有する。貫通孔215a,215bが繋がることにより、貫通孔215を構成する。
【0089】
電極側貫通部材213は、電極側プレート213aと、スペーサプレート213bとを有する。電極側プレート213a及びスペーサプレート213bは、この順で、検査対象側貫通部材212に向かって積層されている。電極側プレート213aは、背面F2を有する。
【0090】
電極側貫通部材213は、プローブ221の基端部221bが貫通する複数の貫通孔216を有する。複数の貫通孔216の数は、検査対象側貫通部材212の複数の貫通孔215の数と対応している。電極側プレート213aは、貫通孔216aを有する。スペーサプレート213bは、貫通孔216bを有する。貫通孔216a,216bは、貫通孔216を構成する。
【0091】
プローブ221の基端部221bの先端は、背面F2に対して突出している。これにより、プローブ221の基端部221bが、ピッチ変換ブロック135の電極134aに接触する。よって、プローブ221が検査処理部108と電気的に接続される。
【0092】
検査対象側貫通部材212の貫通孔215と電極側貫通部材213の貫通孔216とは、プローブ221の径方向、すなわちプローブ221の長手方向に交差する方向に、ずれている。これにより、検査対象側貫通部材212の貫通孔215及び電極側貫通部材213の貫通孔216に両端部が貫通したプローブ221は、検査対象側貫通部材212と電極側貫通部材213との間で、対向面F1及び背面F2に直交する線に対して傾斜または湾曲している。
【0093】
なお、検査対象側貫通部材212の貫通孔215と電極側貫通部材213の貫通孔216とは、必ずしもプローブ221の長手方向に交差する方向にずれた位置に位置していなくてもよい。対向面F1の垂線上に、検査対象側プレートの貫通孔と電極側プレートの貫通孔とが位置していてもよい。
【0094】
検査治具201では、プローブ221の先端部221aが半導体ウェハDUTの検査点に接触すると、先端部221aが前記検査点によって押圧されて先端部221aの突出部分が検査対象側貫通部材212の貫通孔215内に押し込まれ、各プローブ221の胴体部221cが撓む。胴体部221cに生じる弾性復元力により、前記検査点に対して先端部221aを弾性的に接触させることができる。よって、半導体ウェハDUTの検査点に対するプローブ221の接触安定性を向上することができる。
【0095】
図8は、検査治具201の検査対象側の一部を拡大して示す拡大断面図である。
図8では、実施形態1の
図3と同様、説明のために、検査治具201のプローブ221及び位置決めピン13を1つの図に図示している。実際には、検査治具201は複数のプローブ221を有していて、位置決めピン13は、複数のプローブ221よりも検査治具201の外周側に位置する。
【0096】
図8に示すように、上述の構成を有する検査治具201においても、実施形態1と同様、検査対象側貫通部材212の対向プレート212aが、案内プレート212bに対して、複数の位置決めピン13によって、位置決めされている。すなわち、対向プレート212a及び案内プレート212bは、複数の位置決めピン13が挿入可能な実施形態1と同様の位置決めピン挿入孔14を有する。本実施形態では、対向プレート212aが検査対象側プレートであり、案内プレート212bがプレートである。
【0097】
位置決めピン13の溝16内には、フランジ部15の内周縁15dが取り付けられている。フランジ部15の外周側は、対向プレート212aと案内プレート212bとによって、厚み方向に挟み込まれている。フランジ部15は、例えば比較的高い耐熱性を有するポリイミドなどの樹脂によって構成されている。
【0098】
これにより、樹脂製のフランジ部15によって、位置決めピン13が案内プレート212b及び対向プレート212aから抜け落ちるのを防止できる。よって、案内プレート212b及び対向プレート212aを位置決めピン13によって位置決めした状態で、保持することができる。したがって、対向プレート212aが膨張または収縮した場合に、対向プレート212aが案内プレート212bに対して位置ずれを生じるのを防止できる。
【0099】
したがって、検査対象を検査している際に検査治具201の検査対象側が膨張または収縮した場合でもプローブ221の位置精度を確保可能な構成を、軽量な構成によって容易に実現できる。
【0100】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0101】
前記各実施形態では、電気検査装置として半導体検査装置を例に挙げて説明した。しかしながら、検査治具は、半導体検査装置に限らず、例えば基板を検査する基板検査装置に用いてもよい。この場合には、前記基板検査装置の検査対象である基板は、セラミック多層配線基板、ガラスエポキシ基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、半導体パッケージ用のパッケージ基板、インターポーザ基板、フィルムキャリア等の基板であってもよいし、液晶ディスプレイ、EL(Electtric-Luminescence)ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ等のディスプレイ用の電極板、タッチパネル用等の電極板等であってもよいし、他の種類の基板であってもよい。
【0102】
前記各実施形態では、検査治具1,201は、2つの位置決めピン13を有する。しかしながら、検査治具は、1つの位置決めピンを有していてもよいし、3つ以上の位置決めピンを有していてもよい。
【0103】
前記各実施形態では、フランジ部15は、平面視でC字状である。しかしながら、
図9に示すように、フランジ部は、平面視で円環状であってもよい。詳しくは、フランジ部115は、円環状の薄いフィルム状の部材であってもよい。フランジ部115を構成する樹脂は、例えば、可撓性を有するゴムなどの樹脂材料であってもよい。フランジ部115は、上面115a、下面115b、外周縁115c、及び内周縁115dを有していてもよい。
【0104】
上面115aは、フィルム状のフランジ部115の一方の面である。下面115bは、フィルム状のフランジ部115の他方の面である。上面115a及び下面115bは、フランジ部115の平面視で、円環状である。
図10に示すように、上面115aと下面115bとの間隔は、フランジ部115の厚みNと同じである。
【0105】
図9に示すように、外周縁115cは、フランジ部115における外周側の縁である。外周縁115cの直径DC1は、位置決めピン13の外径DP1よりも大きい。
【0106】
内周縁15dは、フランジ部15における内周側の縁である。内周縁15dの直径DC2は、位置決めピン13の外径DP1よりも小さく、且つ、位置決めピン13の溝16の外径DP2よりも大きい。
【0107】
フランジ部115の内周縁115dが位置決めピン13の溝16内に位置付けられる。これにより、フランジ部115は、位置決めピン13に対して、軸方向に固定される。しかも、フランジ部115は、可撓性を有するゴムなどの樹脂材料によって構成されている。これにより、フランジ部115を変形させながらフランジ部115を溝16内に取り付けることができる。よって、フランジ部115を、位置決めピン13の溝16内に容易に取り付けることができる。
【0108】
フランジ部115における外周縁115cの直径DC1は、位置決めピン挿入孔14内に挿入された位置決めピン13の溝16内に取り付けられた状態で、フランジ部115を軸方向に見て、検査対象側プレート11aとプレート11bとによって挟み込まれる大きさである。すなわち、フランジ部115は、位置決めピン13の溝16内に取り付けられた状態で、フランジ部115を軸方向に見て、位置決めピン挿入孔14の周縁部と少なくとも一部が重なる大きさを有する。
【0109】
フランジ部115の厚みNは、検査対象側プレート11aとプレート11bとの間に配置されている隙間調整部材の厚みと同等かそれよりも小さい。前記隙間調整部材は、例えば、樹脂製のシート状の部材である。前記隙間調整部材は、検査対象側プレート11aとプレート11bとの間のうち、貫通部材11を軸方向に見て位置決めピン13の周囲を除いた領域の少なくとも一部に位置する。
【0110】
以上の構成により、位置決めピン挿入孔14内に挿入された位置決めピン13は、検査対象側プレート11aとプレート11bとによって挟まれるフランジ部115により、軸方向への移動が規制される。よって、位置決めピン13を、位置決めピン挿入孔14内に保持することができる。これにより、熱の影響によって検査対象側プレート11aの変形が生じた場合でも、貫通部材11の位置決めピン挿入孔14内にそれぞれ位置する位置決めピン13によって、プレート11bに対する検査対象側プレート11aの位置ずれを防止できる。したがって、例えば熱の影響によって検査対象側プレート11aの変形が生じた場合でも、プローブの位置精度を確保することができる。
【0111】
しかも、フランジ部115の厚みが検査対象側プレート11aとプレート11bとの間に配置されている隙間調整部材の厚みと同等かそれよりも小さいため、フランジ部115を隙間調整部材と並べて、検査対象側プレート11aとプレート11bとの間に配置できる。これにより、検査治具を大型化することなく、プローブの位置精度を確保することができる。
【0112】
また、フランジ部は、軸方向に見て位置決めピンを囲む環状であれば、円環状以外の形状であってもよい。すなわち、フランジ部は、平面視で矩形状または多角形状等の外形を有していてもよい。フランジ部は、一部が切れていない形状であってもよい。
【0113】
前記各実施形態では、フランジ部15の内周縁15dは、位置決めピン13の溝16内に取り付けられている。しかしながら、フランジ部の内周縁は、位置決めピンの外周面に、溝以外の構成によって取り付けられていてもよい。例えば、フランジ部の内周縁は、位置決めピンの外周面に対し、接着または溶着されていてもよいし、ボルト等の固定部材によって取り付けられていてもよい。フランジ部は、位置決めピンの外周面上にモールド成形されていてもよい。
【0114】
前記各実施形態では、フランジ部15の厚みは、プレート11bと検査対象側プレート11aとの間に位置する隙間調整部材17の厚みと同じかそれよりも小さい。しかしながら、フランジ部の厚みは、隙間調整部材よりも大きくてもよい。
【0115】
前記各実施形態では、フランジ部15は、プレート11bと検査対象側プレート11aとによって挟み込まれている。しかしながら、検査対象側プレートがプレート側に凹部を有し、フランジ部は前記凹部内に位置していてもよい。プレートが検査対象側プレート側に凹部を有し、フランジ部は前記凹部内に位置していてもよい。
【0116】
実施形態1では、検査対象側プレート11a及び複数のプレート11b,11cは、それぞれ、厚み方向に貫通し且つ位置決めピン13を挿入可能な位置決めピン挿入孔14a,14b,14cを有する。しかしながら、位置決めピンは、プレートを2枚以下、または4枚以上、貫通してもよい。この場合、ピンが貫通するプレートが、ピン挿入孔を有する。
【0117】
前記実施形態1では、貫通部材11は、プレート11a~11iを有する。しかしながら、貫通部材が有するプレートの枚数は、2枚以上であれば、他の枚数であってもよい。また、貫通部材は、プレートではなく、ブロック状の支持部材を有していてもよい。いずれの場合でも、貫通部材は、検査対象側に、プレートを有する。
【0118】
前記実施形態1では、筒状体22は、円筒状であり、第一中心導体23及び第二中心導体24の軸方向に直交する断面は、円形状である。しかしながら、筒状体が角筒状であり、第一中心導体及び第二中心導体の軸方向に直交する断面が矩形状であってもよい。筒状体、第一中心導体及び第二中心導体において軸方向に直交する断面は、円形または矩形以外の形状であってもよい。
【0119】
前記実施形態2では、検査対象側貫通部材212は、対向プレート212aと、案内プレート212bとを有する。しかしながら、検査対象側貫通部材は、3枚以上のプレートを有していてもよい。検査対象側貫通部材は、ブロック状の支持部材と、該支持部材に対して検査対象側に位置するプレートとを有する構成であってもよい。また、位置決めピンは、3枚以上のプレートを貫通していてもよい。位置決めピンの少なくとも一部は、ブロック状の支持部材が有する挿入孔内に挿入されていてもよい。
【0120】
前記実施形態2では、電極側貫通部材213は、電極側プレート213aと、スペーサプレート213bとを有する。しかしながら、電極側貫通部材は、3枚以上のプレートを有していてもよい。電極側貫通部材は、ブロック状の支持部材を有していてもよい。なお、電極側貫通部材は、検査対象側貫通部材と分離されていなくてもよい。
【0121】
前記実施形態2では、プローブ221は、断面円形状の丸棒部材を用いて形成されている。しかしながら、プローブは、断面矩形状の棒部材を用いて形成されてもよい。プローブは、断面円形状または断面矩形状以外の断面形状を有する棒部材を用いて形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、接触端子が、厚み方向に積層された複数のプレートを有する貫通部材の貫通孔を貫通する検査治具に利用可能である。
【符号の説明】
【0123】
1、201 検査治具
11、211 貫通部材
11a プレート、検査対象側プレート
11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h、11i プレート
12、12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h、12i 貫通孔
13 位置決めピン
14、14a、14b、14c 位置決めピン挿入孔
15、115 フランジ部
15a、115a 上面
15b、115b 下面
15c、115c 外周縁
15d、115d 内周縁
15e 対向端部
15f 切り欠き部
16 溝
17 隙間調整部材
18 フランジ貫通孔
21、221 プローブ
21a 先端部
21b 基端部
22 筒状体
23 第一中心導体
23a 第一本体
23b 鍔部
23c 第一突出部
24 第二中心導体
24a 第二本体
24b 鍔部
24c 第二突出部
26 第一ばね部
27 第二ばね部
28 筒部
100 半導体検査装置
DUT 半導体ウェハ
104 検査部
106 試料台
106a 載置部
108 検査処理部
134 配線
134a 電極
135 ピッチ変換ブロック
137 接続プレート
212 検査対象側貫通部材
212a 対向プレート
212b 案内プレート
213 電極側貫通部材
213a 電極側プレート
213b スペーサプレート
214 連結部材
215、216 貫通孔
BP バンプ