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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039373
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】測定器のアタッチメントカバー
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/18 20060101AFI20230313BHJP
   G01B 3/20 20060101ALI20230313BHJP
   G01D 11/30 20060101ALI20230313BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
G01B3/18
G01B3/20 101Z
G01D11/30 C
G01D11/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146526
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 敏彦
【テーマコード(参考)】
2F061
【Fターム(参考)】
2F061AA02
2F061AA16
2F061DD03
2F061DD08
2F061DD22
2F061QQ12
2F061QQ14
2F061QQ21
2F061RR07
2F061RR50
2F061VV44
2F061VV57
2F061VV70
(57)【要約】
【課題】持ちやすさと性能(例えば防熱性)とを兼ね備えた測定器のアタッチメントカバーを提供する。
【解決手段】アタッチメントカバーのうちでおもて面層110とうら面層120とは、空隙率が低い緻密層であり、中間層130は、おもて面層110およびうら面層120より空隙率が大きい中空構造層である。中空構造層がさらに空隙率が異なる二以上の層で構成されており、中空構造層のうちのおもて面側にある層がうら面側にある層よりも空隙率が高い。うら面層120からおもて面層110に向かう方向を厚み方向とし、厚み方向に直交する方向を幅方向とするとき、中空構造層は、さらに、幅方向でみたときに弾性率の分布があって、ある領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率と異なる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが手で持って測定操作を行う測定器に着脱できる測定器のアタッチメントカバーであって、
前記測定器の外表面のうち、ユーザが当該測定器を把持したときにユーザの手が当たる部分を把持部分とするとき、
当該アタッチメントカバーは、少なくとも前記把持部分を覆うように当該測定器に取り付けられるものであり、
当該アタッチメントカバーは、多孔質またはラティス構造による中空構造部分を有する
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバー。
【請求項2】
請求項1に記載の測定器のアタッチメントカバーにおいて、
当該アタッチメントカバーのうちでユーザの手に当たる側をおもて面とし、
当該アタッチメントカバーのうちで当該測定器に当たる側をうら面とし、
前記おもて面側を構成する層をおもて面層とし、
前記うら面側を構成する層をうら面層とし、
前記おもて面層と前記うら面層との間を構成する層を中間層とするとき、
前記おもて面層と前記うら面層とは、空隙率が低い緻密層であり、
前記中間層は、前記おもて面層および前記うら面層より空隙率が大きい中空構造層である
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバー。
【請求項3】
請求項2に記載の測定器のアタッチメントカバーにおいて、
前記おもて面層に設けられた開口から前記中間層が外部に通じている
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバー。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の測定器のアタッチメントカバーにおいて、
前記中空構造層がさらに弾性率が異なる二以上の層で構成されており、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層が前記うら面側にある層よりも弾性率が低い
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバー。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれかに記載の測定器のアタッチメントカバーにおいて、
前記中空構造層がさらに熱伝導率が異なる二以上の層で構成されており、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層が前記うら面側にある層よりも熱伝導率が低い
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバー。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれかに記載の測定器のアタッチメントカバーにおいて、
前記中空構造層がさらに空隙率が異なる二以上の層で構成されており、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層が前記うら面側にある層よりも空隙率が高い
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバー。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれかに記載の測定器のアタッチメントカバーにおいて、
前記うら面層から前記おもて面層に向かう方向を厚み方向とし、前記厚み方向に直交する方向を幅方向とするとき、
前記中空構造層は、さらに、幅方向でみたときに弾性率の分布があって、ある領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率と異なる
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバー。
【請求項8】
請求項7に記載の測定器のアタッチメントカバーにおいて、
前記弾性率の分布は個々のユーザの手が当該測定器を把持するときの状態に対応したものであって、
ユーザの手が当たる領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率と異なっている
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバー。
【請求項9】
請求項2または請求項3に記載の測定器のアタッチメントカバーにおいて、
前記中空構造層がさらに弾性率が異なる二以上の層で構成されており、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層が前記うら面側にある層よりも弾性率が低く、
前記うら面層から前記おもて面層に向かう方向を厚み方向とし、前記厚み方向に直交する方向を幅方向とするとき、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層において、さらに、幅方向でみたときに弾性率の分布があって、ある領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率と異なり、
前記弾性率の分布は個々のユーザの手が当該測定器を把持するときの状態に対応したものであって、
ユーザの手が当たるところで弾性率を変化させた領域を支点領域とするとき、前記支点領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率よりも高く、かつ、前記支点領域の弾性率は、前記中空構造層のうちの前記うら面側にある層の弾性率よりは低い
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバー。
【請求項10】
請求項2または請求項3に記載の測定器のアタッチメントカバーにおいて、
前記中空構造層がさらに弾性率が異なる二以上の層で構成されており、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層が前記うら面側にある層よりも弾性率が低く、
前記うら面層から前記おもて面層に向かう方向を厚み方向とし、前記厚み方向に直交する方向を幅方向とするとき、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層において、さらに、幅方向でみたときに弾性率の分布があって、ある領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率と異なり、
前記弾性率の分布は個々のユーザの手が当該測定器を把持するときの状態に対応したものであって、
ユーザの手が当たるところで弾性率を変化させた領域を支点領域とするとき、前記支点領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率よりも低い
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバー。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の測定器のアタッチメントカバーを3Dプリンタで製作するための3D-CADデータを含むデータ構造。
【請求項12】
請求項11に記載のデータ構造において、
当該データ構造は、
測定器の機種ごとに対応したアタッチメントカバーの形状データと、
ユーザの手が測定器を把持したときの力分布データをアタッチメントカバーの形状データに反映した弾性率の面分布データと、
ユーザごとに手に当たる領域の弾性率の大きさの好みデータと、を含む
ことを特徴とするデータ構造。
【請求項13】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の測定器のアタッチメントカバーを3Dプリンタで製作する
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバーの製造方法。
【請求項14】
メーカ側サーバに、測定器の機種ごとに対応したアタッチメントカバーの形状データが保管されており、
ユーザ端末がインターネットを介して前記メーカ側サーバにアクセスし、
前記メーカ側サーバは、ユーザ端末のリクエストに応じて、ユーザ端末がリクエストしたアタッチメントカバーの形状データをユーザ端末に送信する
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバーのオーダーメイド支援システム。
【請求項15】
メーカ側サーバに、測定器の機種ごとに対応したアタッチメントカバーの形状データが保管されており、
ユーザ端末がインターネットを介して前記メーカ側サーバにアクセスし、
前記メーカ側サーバは、ユーザ端末のリクエストに応じて、
ユーザごとに、ユーザの手が測定器を把持したときの力分布データをユーザ端末がリクエストしたアタッチメントカバーの形状データに反映した弾性率の面分布データを合成したアタッチメントカバーの形状データを生成し、
前記生成されたアタッチメントカバーの形状データをユーザ端末に送信する
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバーのオーダーメイド支援システム。
【請求項16】
請求項15に記載の測定器のアタッチメントカバーのオーダーメイド支援システムにおいて、
ユーザの手が測定器を把持したときの力分布データは、ユーザカスタマイズデータとして前記メーカ側サーバに保管される
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバーのオーダーメイド支援システム。
【請求項17】
請求項16に記載の測定器のアタッチメントカバーのオーダーメイド支援システムにおいて、
前記ユーザカスタマイズデータには、ユーザごとに手に当たる領域の弾性率の大きさの好みデータが含まれる
ことを特徴とする測定器のアタッチメントカバーのオーダーメイド支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定器のアタッチメントカバーに関する。例えば、マイクロメータやノギスのようないわゆる手持ち型測定器の持ちやすさあるいは防熱性の向上に資する測定器のアタッチメントカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば手持ち型の測定器としてマイクロメータやノギスが使用されている。このような手持ち型の測定器の場合、手で直接握ると手の熱が伝熱して測定精度が変化するという問題がある。そこで、ノギスやマイクロメータには、付属品としての防熱カバーを被せて、手の熱が測定器に直接伝わらないようにすることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2593028
【特許文献2】特許3546184
【特許文献3】特許5601910
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許2593028や特許5601910では、防熱カバーは、測定器と手との間に空洞を設けるような硬い殻のような構造である。しかし、このような空洞を設ける硬い殻のような防熱カバーの場合、防熱カバーを付けると測定器の把持部がやや太くなってしまって、手が小さいユーザには握りにくいこととなる。また、硬い殻のような防熱カバーは、ゴツゴツした触感でやはり握りにくいという問題があった。
また、特許3546184のようなプラスチック製の防熱カバーもあるが、プラスチック樹脂といえども熱伝導率がある程度はあるので、長時間の把持により測定器に伝熱してしまう。
伝熱しないように防熱カバーを厚くすると握りにくいが、握りやすいように薄くすると防熱効果が低くなり、バランスのとれた防熱カバーがこれまではなかった。
しかも、手の大きさや握り方は個々のユーザごとに違うのであって、手(指)の形に合わせた凹凸を防熱カバーに施すようなこともあったが、個々のユーザにとって使い易くしかも性能(防熱性)が高いカバーというのは実現が難しいものであった。そのため、持ちやすさと性能(例えば防熱性)とを兼ね備えた測定器のアタッチメントカバーが切望されている。
【0005】
また、測定器メーカとしても測定器の機種や型(サイズ)ごとに防熱カバーをすべて揃えるというのは大変なことであり、例えば、射出成型の金型をそれぞれのパターンに応じて用意するとなるとかなりのコストを要する。そのため、防熱カバーは、高精度な測定器にだけ用意される付属品であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の測定器のアタッチメントカバーは、
ユーザが手で持って測定操作を行う測定器に着脱できる測定器のアタッチメントカバーであって、
前記測定器の外表面のうち、ユーザが当該測定器を把持したときにユーザの手が当たる部分を把持部分とするとき、
当該アタッチメントカバーは、少なくとも前記把持部分を覆うように当該測定器に取り付けられるものであり、
当該アタッチメントカバーは、多孔質またはラティス構造による中空構造部分を有する
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態では、
当該アタッチメントカバーのうちでユーザの手に当たる側をおもて面とし、
当該アタッチメントカバーのうちで当該測定器に当たる側をうら面とし、
前記おもて面側を構成する層をおもて面層とし、
前記うら面側を構成する層をうら面層とし、
前記おもて面層と前記うら面層との間を構成する層を中間層とするとき、
前記おもて面層と前記うら面層とは、空隙率が低い緻密層であり、
前記中間層は、前記おもて面層および前記うら面層より空隙率が大きい中空構造層である
ことが好ましい。
【0008】
本発明の一実施形態では、
前記おもて面層に設けられた開口から前記中間層が外部に通じている
ことが好ましい。
【0009】
本発明の一実施形態では、
前記中空構造層がさらに弾性率が異なる二以上の層で構成されており、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層が前記うら面側にある層よりも弾性率が低い
ことが好ましい。
【0010】
前記中空構造層がさらに熱伝導率が異なる二以上の層で構成されており、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層が前記うら面側にある層よりも熱伝導率が低い
ことが好ましい。
【0011】
本発明の一実施形態では、
前記中空構造層がさらに空隙率が異なる二以上の層で構成されており、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層が前記うら面側にある層よりも空隙率が高い
ことが好ましい。
【0012】
本発明の一実施形態では、
前記うら面層から前記おもて面層に向かう方向を厚み方向とし、前記厚み方向に直交する方向を幅方向とするとき、
前記中空構造層は、さらに、幅方向でみたときに弾性率の分布があって、ある領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率と異なる
ことが好ましい。
【0013】
本発明の一実施形態では、
前記弾性率の分布は個々のユーザの手が当該測定器を把持するときの状態に対応したものであって、
ユーザの手が当たる領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率と異なっている
ことが好ましい。
【0014】
また、本発明の一実施形態では、
前記中空構造層がさらに弾性率が異なる二以上の層で構成されており、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層が前記うら面側にある層よりも弾性率が低く、
前記うら面層から前記おもて面層に向かう方向を厚み方向とし、前記厚み方向に直交する方向を幅方向とするとき、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層において、さらに、幅方向でみたときに弾性率の分布があって、ある領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率と異なり、
前記弾性率の分布は個々のユーザの手が当該測定器を把持するときの状態に対応したものであって、
ユーザの手が当たるところで弾性率を変化させた領域を支点領域とするとき、前記支点領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率よりも高く、かつ、前記支点領域の弾性率は、前記中空構造層のうちの前記うら面側にある層の弾性率よりは低い
ことが好ましい。
【0015】
あるいは、また、本発明の一実施形態では、
前記中空構造層がさらに弾性率が異なる二以上の層で構成されており、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層が前記うら面側にある層よりも弾性率が低く、
前記うら面層から前記おもて面層に向かう方向を厚み方向とし、前記厚み方向に直交する方向を幅方向とするとき、
前記中空構造層のうちの前記おもて面側にある層において、さらに、幅方向でみたときに弾性率の分布があって、ある領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率と異なり、
前記弾性率の分布は個々のユーザの手が当該測定器を把持するときの状態に対応したものであって、
ユーザの手が当たるところで弾性率を変化させた領域を支点領域とするとき、前記支点領域の弾性率がその周囲の領域の弾性率よりも低い
ことが好ましい。
【0016】
本発明の一実施形態では、
前記測定器のアタッチメントカバーを3Dプリンタで製作するための3D-CADデータを含むデータ構造を提供する
ことが好ましい。
データ構造は、例えば、測定器の機種ごとに対応したアタッチメントカバーの形状データと、ユーザの手が測定器を把持したときの力分布データをアタッチメントカバーの形状データに反映した弾性率の面分布データと、ユーザごとに手に当たる領域の弾性率の大きさの好みデータと、を含むものである。
さらに、データ構造は、コンピュータに、ユーザがカバーの素材、硬さ(空隙率)などの調整値を入力できる入力画面を提供させるUI機能と、入力された調整値に応じて素材、硬さ(空隙率)の変更調整を実行させる変更調整機能と、調整後の、アタッチメントカバーの形状データ、前記弾性率の面分布データ、および、好みデータを合成させる合成機能と、を実行させる調整機能部(調整機能データあるいはプログラム)を含んだデータ構造(あるいはプログラム)でもよい。
【0017】
本発明の一実施形態では、
前記測定器のアタッチメントカバーを3Dプリンタで製作する
ことが好ましい。
【0018】
本発明の測定器のアタッチメントカバーのオーダーメイド支援システムは、
メーカ側サーバに、測定器の機種ごとに対応したアタッチメントカバーの形状データが保管されており、
ユーザ端末がインターネットを介して前記メーカ側サーバにアクセスし、
前記メーカ側サーバは、ユーザ端末のリクエストに応じて、ユーザ端末がリクエストしたアタッチメントカバーの形状データをユーザ端末に送信する
ことを特徴とする。
【0019】
本発明の測定器のアタッチメントカバーのオーダーメイド支援システムは、
メーカ側サーバに、測定器の機種ごとに対応したアタッチメントカバーの形状データが保管されており、
ユーザ端末がインターネットを介して前記メーカ側サーバにアクセスし、
前記メーカ側サーバは、ユーザ端末のリクエストに応じて、
ユーザごとに、ユーザの手が測定器を把持したときの力分布データをユーザ端末がリクエストしたアタッチメントカバーの形状データに反映した弾性率の面分布データを合成したアタッチメントカバーの形状データを生成し、
前記生成されたアタッチメントカバーの形状データをユーザ端末に送信する
ことを特徴とする。
【0020】
本発明の一実施形態では、
ユーザの手が測定器を把持したときの力分布データは、ユーザカスタマイズデータとして前記メーカ側サーバに保管される
ことが好ましい。
【0021】
また、本発明の一実施形態では、
前記ユーザカスタマイズデータには、ユーザごとに手に当たる領域の弾性率の大きさの好みデータが含まれる
ことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】マイクロメータに防熱カバーを装着した状態を示す図である。
図2】防熱カバー単体の平面図である。
図3図1中のIII-III線における防熱カバーの断面図である。
図4】防熱カバーのおもて面を押したときの防熱カバーの変形の様子を例示した図である。
図5】ラティス構造を例示する図である。
図6図1中のVI-VI線における防熱カバーの断面図である。
図7】マイクロメータの持ち方の一例を示す図である。
図8】防熱カバーのうちで手に当たる領域を支点領域とした例を示す図である。
図9】アタッチメントカバーのオーダーメイド支援システムの構成を例示した図である。
図10】ノギスの防熱カバーの外観の一例を示す図である。
図11】ノギスの防熱カバーの断面図の一例を示す図である。
図12】大型測定機(例えば三次元測定機)の外観の一例を示す図である。
図13】コントローラの外観の一例を示す図である。
図14】コントローラのアタッチメントカバーの断面図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
測定器のアタッチメントカバーの実施形態として、まず、マイクロメータ10の防熱カバー100を例に説明する。以下、簡単に、防熱カバー100と称することにする。
【0024】
図1は、マイクロメータ10に防熱カバー100を装着した状態を示す図である。
まず、マイクロメータ10そのものは知られたものであるが、簡単に説明しておく。
マイクロメータ10は、U字形フレーム11と、アンビル12と、スピンドル13と、電装部15と、を有している。
【0025】
U字形フレーム11の一端側の内側にアンビル12が配置されている。U字形フレーム11の他端側にはアンビル12に向かって進退可能にスピンドル13が設けられている。シンブル14がU字形フレーム11の他端側において、スピンドル13の他端に配置されている。指でシンブル14を回転させると、スピンドル13が一緒に回転する。
スピンドル13は、送りねじによって進退するようになっている。
さらに、U字形フレーム11の他端側には、スピンドル13の回転量を検出する検出手段としてのエンコーダ(検出手段)(不図示)が設けられている。(U字形フレーム11、アンビル12、スピンドル13およびエンコーダにより測定手段が構成されている。)
【0026】
電装部15は、U字形フレーム11の他端側に設けられている。
電装部15は、内蔵された信号処理部(不図示)と、表示部16と、を備えている。
表示部16は、測定データなどの情報をデジタル表示する。表示部16は、U字形フレーム11の他端側においてマイクロメータ10の正面側に設けられている。
【0027】
図2は、防熱カバー単体の平面図である。
防熱カバー100は、平面視ではL字形であり、U字形フレーム11の下側から表示部16を除く部分を覆うようにU字形フレーム11に外嵌する。
図3は、図1中のIII-III線における防熱カバー100の断面図である。
図3の断面図に表れるように、防熱カバー100は、その断面形状でみると、U字形フレーム11の下側面とU字形フレーム11の正面と背面とを密接して覆うようにU字形となっている。
図3の断面図に表れるように、防熱カバー100は、複数の層を有する。
防熱カバー100のうちでユーザの手に当たる側の面(おもて面)をおもて面層110とする。
防熱カバー100のうちでU字形フレーム11に当たる側の面(うら面)をうら面層120とする。
おもて面層110とうら面層120との間を構成する層を中間層130とする。
【0028】
おもて面層110およびうら面層120の空隙率は、中間層130の空隙率より低い。あるいは、おもて面層110およびうら面層120には、多孔質やラティス構造のような空隙がない。そこで、おもて面層110とうら面層120とを緻密層と称することにする。
【0029】
おもて面層110を緻密層にするのは、手に当たる部分として、ざらざらした質感よりは滑らかな触感の方が好ましいということもあるし、水や油が防熱カバー100の内部に侵入することを防ぐ意図もある。うら面層120を緻密層にするのは、測定器に直接当たる部分(層)として、測定器にしっかり密接して外れにくくするためである。例えば、うら面層120に空隙が多いと測定器と防熱カバー100との間の摩擦が小さくなる。すると、測定器に防熱カバー100がしっかり取り付かないため、測定器と防熱カバー100とに別途何かの係合手段を設ける必要がでてくる。また、後述の中間層130を空隙が多い中空構造にしたいので、表裏の面には形状がしっかり定まった(弾性率、剛性率が高い)おもて面層110とうら面層120とを設け、おもて面層110とうら面層120とで中空構造を挟んで、全体としての空隙率が高くかつ形状も安定した防熱カバー100としたいという意図もある。
【0030】
中間層130は、おもて面層110およびうら面層120より空隙率が大きい中空構造層である。
中間層130は、さらに、空隙率が異なる二つの層で構成されている。
中間層130のうちでおもて面側にある層を第一中間層140とする。
中間層130のうちでうら面側にある層を第二中間層150とする。
このとき、第一中間層140の弾性率の方が第二中間層150の弾性率よりも小さい。第二中間層150の弾性率よりも第一中間層140の弾性率を小さくするのは、ユーザがマイクロメータ10を把持したときに、適度な柔軟性を感じつつ、手の形に応じて第1中間層140とともにおもて面層110が変形(例えば凹む)するようにするためである。第一中間層140の弾性率よりも第二中間層150の弾性率を大きくするのは、ユーザがマイクロメータ10を握ったり離したりしたときの応力がマイクロメータ10に直接つたわらないようにするとともに、第二中間層150の比較的高い弾性(剛性)によってうら面層120がしっかりとマイクロメータ10に取り付いて防熱カバー100がマイクロメータ10から脱落したりしないようにするためである。
【0031】
弾性率の違いを空隙率の違いで実現する場合、上記を言い換えると、第一中間層140の空隙率の方が第二中間層150の空隙率よりも大きい。
【0032】
第一中間層140の空隙率の方を高くするのは、手に近い側の断熱性を高める意図がある。
防熱効果という観点で言えば、第一中間層140も第二中間層150も同程度に空隙率を高くしておくのがよいが、柔らか過ぎては、防熱カバー100が測定器をホールドすることができないし、防熱カバー100の変形が大きすぎては手で防熱カバー100をしっかり保持(把持)することも難しくなってくる。そこで、第二中間層150の空隙率はやや低めにしておき、第一中間層140の空隙率については、手でもったときに適度な柔軟性を感じられる程度に空隙率を高くして、持ったときのフィット感と断熱効果との両方を得られるようにする。図4は、防熱カバー100のおもて面を押したときの防熱カバー100の変形の様子を例示した図である。
【0033】
中間層130の中空構造を形成するにあたっては、多孔質の樹脂(発泡性樹脂)を用いてもよいし、ラティス構造を3Dプリンタで成形(製作)するようにしてもよい。ラティス構造としては、例えば、図5中の囲みAに例示する単位格子を図5中の符号Bのように三次元的に連続させたものとしてもよい。ラティス構造の構成素材(材質)としては樹脂が例としてあげられるが、金属3Dプリンタも知られているので、金属材料を素材としてもよい。
【0034】
空隙率を変化させるにあたって、例えば空隙率を高くするには、格子の周期を長くする(言い換えると梁の長さを長くする)としてもよいし、あるいは、梁の太さを細くするようにしてもよい。
【0035】
同じ素材であれば、空隙率の変化は、すなわち弾性率(剛性率)の変化である。
防熱カバー100の場合、握りやすさの観点だけではなく、防熱性の観点と製造コストの観点も必要であるから、空隙率で弾性率(剛性率)の変化を生じさせるのが理に適ってはいる。ただし、例えば、空隙率は同じで、素材を変えてもよい。このとき、第一中間層140の弾性率が第二中間層150の弾性率よりも低く、なっていればよい。さらに、第一中間層140の熱伝導率が第二中間層150の熱伝導率よりも低く設計されるとなおよい。目指す熱伝導率として、例えば、おもて面層110からうら面層120のトータルの熱伝導率が0.1[W/m・K]~0.5[W/m・K]となることが好ましい。
【0036】
防熱カバー100の厚み(おもて面層からうら面層までの厚み)は、例えば、応力が掛かっていないときの厚みで、1mm~5mm程度にできるとよいが、手にもったときの変形感(触感)がはっきりほしい場合や、防熱性を高めたい場合、例えば、応力が掛かっていないときの厚みで10mm~15mm程度であって、手で握って応力が掛かったところの厚みが1mm~5mm程度になるようにしてもよい。図面では、中間層130の第一中間層140と第二中間層150との厚みをほぼ同じにしているが、どちらか一方を厚めにしてもよいのであり、例えば、握ったときの感触(握りやすさ)の調整や防熱性能により強く影響するのは第一中間層140であると考えられるので、例えば、中間層130のうちの50%~70%を第一中間層140に割り当てるようにしてもよい。
【0037】
図6は、図1中のVI-VI線における防熱カバー100の断面図である。
防熱カバー100には、図6に表れるように、通気孔170を設けておくとよい。ここで、通気孔170の開口は、防熱カバー100の前端側の端面に設けるのがよい。通気孔170の開口が例えば防熱カバー100の正面や背面に開口していると、手の熱や湿気を含んだ空気が通気孔170に流入する恐れがあるので好ましくない。マイクロメータ10の握り方から考えて、防熱カバー100の前端側の端面に手が当たることはないし、手からも離れている。なお、通気孔170の開口をさらに増やしたい場合は、防熱カバー100の後端側の端面に設けるのがよい。
【0038】
中間層130の中空構造をラティス構造で構成する場合、おもて面層110に開口の孔を設けておけば、中間層130(第一中間層140、第二中間層150)の内部が外気に通じるので、この場合、通気孔170とは、おもて面層に形成された孔(開口)でよい。中間層130の中空構造を多孔質の樹脂(発泡性樹脂)で構成する場合には、中間層130(第一中間層140、第二中間層150)の内部を通る通気路を形成し、これを通気孔170とする。(図6では通気路の例を二点鎖線で示した。)図6の例では、通気路は、厚み方向に交差(例えば直交)する方向に設けられている。
【0039】
ここまでの説明では、中間層130は、厚み方向に弾性率(空隙率)が異なる層を有していることを説明した。さらに、幅方向に弾性率の違い(分布)を設けるようにしてもよい。
【0040】
弾性率の違いを生じさせるには、空隙率の違いで弾性率の違いを生じさせることもできるし、その部分の材質を周囲と違うものにすることで弾性率(あるいは剛性率)の違いを生じさせることもできる。ここでは、材質は同じで、空隙率の違いで弾性率の違いを生じさせることを例にするが、これに限らない。
【0041】
防熱カバー100としては全体的に空隙率を高めて防熱性を高めたいが、全体的に柔らかくなり過ぎると扱いづらくなってくるのでバランスが難しい。そこで、マイクロメータ10を手で握ったときに力が掛かるような支点の領域の弾性率を周囲の弾性率と異なるようにする。図7は、マイクロメータ10の持ち方の一例を示す図である。例えば、マイクロメータ10を片手で握る場合、一例として図7のようにマイクロメータ10を把持する。この場合、U字形フレーム11の上側面を薬指で押さえ、U字形フレーム11の背面のうちの下方の一部から下側面を手の平にあてる。この状態でマイクロメータ10を保持し、人差し指と親指とでシンブル14を回転操作する。
【0042】
マイクロメータ10はその測定原理から高精度な測定器である一方、図7のようにやや握りづらいということはある。例えば、手が小さかったり握力がやや弱かったりする女性の手ではマイクロメータ10を片手でしっかり保持しながら次から次に正確にワークを測長していくのは熟練の技となるだろう。
【0043】
例えば、図8に例示するように、防熱カバー100のうちで手に当たる領域の弾性率を変える。ここでは、手に当たる領域の弾性率を高めるように、空隙率を小さくする。また、弾性率(空隙率)の変化は第一中間層140に留め、第二中間層150については均一な弾性率(空隙率)の層としている。手に当たるところで弾性率を変化させた領域を支点領域160と称することにする。支点領域160の弾性率(剛性率)を周囲と異なるようにしたことにより、支点領域160にしっかり手が掛かって、マイクロメータ10をしっかり握れるようになる。このとき、手に当たる領域の弾性率を高めるとはいっても、手の力で少しは沈むので、これが適度なフィット感を与える。防熱カバー100により、裸のマイクロメータ10よりも握りやすくなるという効果も期待できる。
【0044】
ここでは、支点領域160の弾性率(剛性率)を、支点領域160以外の第一中間層140の弾性率(剛性率)よりも高く(空隙率を低く)し、かつ、第二中間層150の弾性率(剛性率)よりは低く(空隙率を高く)することとした。これは、支点領域160を含む第一中間層140は手の力で変化するとしても、その応力で第二中間層150まで変化が及ぶことを避ける意図である。逆に、支点領域160の弾性率(剛性率)を、支点領域160以外の第一中間層140の弾性率(剛性率)よりも低く(空隙率を高く)してもよい。
【0045】
人によって手の大きさは違うのであるから、同じように(防熱カバー付き)マイクロメータを握ったとしても、手が当たる領域に違いがあるだろう。一つの考え方としては、防熱カバーを規格品(既製品)として市販する場合には、ユーザの手の平均的なサイズや標準的な握り方を想定してどの領域の弾性率を高(低)くするか設計してしまってもよい。
【0046】
あるいは、個々人の手の大きさや握り方に応じて防熱カバー100をオーダーメイドすることも考えられる。例えば、サンプルとして作成した防熱カバー100の表面および内部に圧力センサ(感圧センサ、歪みゲージ)を仕込んでおく。そして、サンプル防熱カバー付きのマイクロメータ10を実際にユーザに握ってもらう。これで、個々のユーザごとに防熱カバー100のどの領域を支点領域160にすればよいかわかる。また、手に当たる領域が周囲よりも硬い(弾性率(剛性率)が高い)方がいいか、どれぐらい硬い(弾性率(剛性率)が高い)方がいいか、それとも、手に当たる領域が周囲よりも柔らかい(弾性率(剛性率)が低い)方がいいか、どれぐらい柔らかい(弾性率(剛性率)が低い)方がいいか、は、個々人の感覚によるので、個々人のリクエストに応じて調整するのがよい。
【0047】
ユーザごとの好みの支点領域160、好みの硬さは、了解をとったうえでメーカ側がサーバに管理しておくようにしてもよい。できれば、今後に備えて、マイクロメータのサイズや形式(機種、型番)の違いに合わせたユーザカスタマイズデータも取らせてもらって保管しておくとよい。
【0048】
メーカとしては、個々人のリクエスト(手の形、握り方、硬軟の好み等)に応じた防熱カバー100をオーダーメイドで製造販売してもよい。あるいは、メーカとしては、防熱カバーそのものではなく、防熱カバー製作用の3D-CADデータを提供(販売)することとしてもよい。
図9は、アタッチメントカバーのオーダーメイド支援システムの構成を例示した図である。
図9に例示するように、測定器メーカが管理するメーカ側サーバ210に、測定器(マイクロメータ)の機種ごとに対応したアタッチメントカバー(防熱カバー)の形状データを格納しておく。さらに、メーカ側サーバ210は、ユーザカスタマイズデータとして、マイクロメータ10(測定器)のサイズや形式(機種、型番)の違いに応じて取得した力分布データをユーザ(ユーザ識別情報(ユーザID))に関連付けて保管している。(なお、ユーザカスタマイズデータは、メーカ側サーバ210に保管せず、ユーザの端末220に保管してもらってもよいし、どこか別のデータ管理会社やブロックチェーンに格納されていてもよい。あるいは、ユーザカスタマイズデータは、予め保管されたデータではなくリアルタイムにユーザの計測データを得るようにしてもよい。)ユーザカスタマイズデータは、力分布データの他に、例えば、手に当たる領域が周囲よりも硬い(弾性率(剛性率)が高い)方がいいか、どれぐらい硬い(弾性率(剛性率)が高い)方がいいか、それとも、手に当たる領域が周囲よりも柔らかい(弾性率(剛性率)が低い)方がいいか、どれぐらい柔らかい(弾性率(剛性率)が低い)方がいいか、といったユーザ個々人の好みを記録した好みデータなども含む。
【0049】
ユーザは、自分の端末220からインターネット(ネットワーク通信回線)を介してメーカ側サーバ210にアクセスし、画面に提供されたUIの操作により、取得したい防熱カバー100の形状(型番)を選択する。メーカ側サーバ210は、ユーザに対応した力分布データを呼び出し、防熱カバー100の形状データに好みデータを合成したユーザカスタマイズデータを使用してユーザ用にオーダーメイドされた防熱カバー100の3D-CADデータを作成する。
【0050】
防熱カバーの形状データにユーザの持ち手のパターンを合成するにあたっては、例えばマイクロメータの場合、人差し指と親指とでシンブルを回すことは決まっているから、人差し指と親指の位置をシンブルに合わせて固定し、これを起点とする相対位置関係で他の指や手の腹(手の平)が防熱カバーに当たる位置を決めることができる。
【0051】
ユーザ端末220のリクエストに応じて、(適宜決済システムも経由しながら)ユーザ用にオーダーメイドされた防熱カバー100の3D-CADデータをユーザ端末220に送信する。
なお、3D-CADデータを含むデータ構造を通信回線を介して提供してもよいし、3D-CADデータを含むデータ構造を記録媒体(例えば不揮発性記録媒体)に格納した状態で提供するようにしてもよい。
【0052】
ユーザとしては、3D-CADデータがあれば、自分で3Dプリンタで防熱カバー100を製作することができる。色を付けたり、表面に装飾を付けたりすることはもちろん、例えば、素材であったり硬さなどを自分で調整しながら、少し試行錯誤はあるかもしれないが、自分にあった防熱カバー100を得ることができる。自分で防熱カバー100の素材、硬さ(空隙率)などを調整できるように3D-CADデータの編集ソフトやUI(編集用プログラム)もメーカが用意してもよい。これにより、個々人の好みに応じた持ちやすく防熱性に優れた測定器(マイクロメータ)の防熱カバー100を提供することができる。
【0053】
(変形例1)
上記第一実施形態の説明では、マイクロメータ10の防熱カバーを例に説明したが、測定器のアタッチメントカバーとしては、他にも適用できる。
ノギス20は、本尺21と、スライダ23と、を有し、本尺21の一端に固定側ジョー22を有する。スライダ23は本尺21に沿ってスライド移動するものであって、スライダ23の一端には本尺21の固定側ジョー22と対になる可動側ジョー24が設けられている。(本尺21、本尺21の固定側ジョー22、スライダ23、スライダ23の可動側ジョー24、によって測定手段が構成されている。)ユーザは、ノギス20の本尺21を把持することになるが、本尺21を直接掴むと手の熱が本尺21に伝わるので好ましくない。そこで、本尺21に被せる防熱カバー100(アタッチメントカバー)を使用する。例えば、図10は、ノギス20の防熱カバー100の外観の一例を示す図である。図11は、ノギス20の防熱カバー100の断面図の一例を示す図である。防熱カバー100は層構造であり、断面図において各層に第一実施形態と同じ符号を付した。
【0054】
(変形例2)
図12は、大型測定機30(例えば三次元測定機)の外観の一例を示す図である。
図12のような大型の測定機30(例えば三次元測定機)の場合、ユーザが手に持って持ち運べるコントローラ40があり、ユーザはポータブルなコントローラ40を持ってワークや測定プローブが見やすい位置に移動しながら大型測定機30(例えば三次元測定機)を操作する。大型測定機30(例えば三次元測定機)のポータブルなコントローラ40を、ユーザが手に持って測定操作を行う測定器、とみなすこととする。
【0055】
図13は、コントローラ40の外観の一例を示す図である。
コントローラ40には、図13に例示するようなジョイスティック41や各種ボタン42が設けられている。近年では、ジョイスティック41や機械式のボタン42がないタッチパネル式のコントローラ40もある。このコントローラ40にアタッチメントカバー100を取り付けられるようにしてもよい。例えば、コントローラ40の両側面にそれぞれ取り付けられるアタッチメントカバーを製作するとよい。(防熱という作用はそれほど必要ないかもしれないが)、アタッチメントカバーの手に馴染む弾性やユーザの手に合わせた弾性の分布によりコントローラ40を持ちやすくできる。図14は、コントローラ40のアタッチメントカバー100の断面図の一例を示す図である。図14に例示するように、アタッチメントカバー100は層構造であり、断面図において各層に第一実施形態と同じ符号を付した。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施形態では、中間層130は二層からなるものを例示したが、中間層130が三層以上で構成されていてもよい。
【0057】
中間層130を三層以上とする場合、中間層130のうちで最も手に近い層(最もおもて面側にある層)が、中間層130のうちで最も測定器に近い層(最もうら面側にある層)に比べて、弾性率が低い、と考えてもよい。
(弾性率の変化を空隙率の違いで実現する場合、中間層130のうちで最も手に近い層(最もおもて面側にある層)が、中間層130のうちで最も測定器に近い層(最もうら面側にある層)に比べて、空隙率が高い、と考えてもよい。
また、中間層130のうちで最も手に近い層(最もおもて面側にある層)が、中間層130のうちで最も測定器に近い層(最もうら面側にある層)に比べて、熱伝導率が低い、と考えてもよい。)
これは、アタッチメントカバー(防熱カバー)の特性として、第一に、手に一番近い層が触感、防熱を決めるのに重要であり、第二に、測定器に最も近い層が測定器のホールドに重要な役割を果たすと考えるためである。
この場合、中間層のうちで最も手に近い層(最もおもて面側にある層)と最も測定器に近い層(最もうら面側にある層)との間の層の弾性率、熱伝導率、空隙率については特段規定しない。
【0058】
あるいは、中間層130が三層以上で構成されている場合、おもて面層110とうら面層120との間にある二層を取り出してきたときに、おもて面側にある層がうら面側にある層よりも、弾性率が低い、となっている少なくとも一つの組みがある、と考えてもよい。(弾性率の変化を空隙率の違いで実現する場合、弾性率が低い、とは、空隙率が高い、ということである。熱伝導率の変化を空隙率の違いで実現する場合、熱伝導率が低い、とは、空隙率が高い、ということである。)
この特定の組みの手に近い側の層が触感、防熱を決め、この特定の組みの測定器に近い側の層が測定器のホールドに重要な役割を果たすと考える。
【0059】
中間層130が三層以上で構成されている場合にもっとも好ましい形態としては、おもて面層110とうら面層120との間にある任意の二層を取り出してきたときに、どの組み合わせを見ても、おもて面側にある層がうら面側にある層よりも、弾性率が低い、(熱伝導率、弾性率の変化を空隙率の違いで実現する場合、空隙率が高い)となっているということで、順序よく並んでいるのがよいと考えられる。
【符号の説明】
【0060】
10 マイクロメータ
11 U字形フレーム
12 アンビル
13 スピンドル
14 シンブル
15 電装部
16 表示部
20 ノギス
21 本尺
22 固定側ジョー
23 スライダ
24 可動側ジョー
30 測定機
40 コントローラ
41 ジョイスティック
42 ボタン
100 防熱カバー
110 おもて面層
120 うら面層
130 中間層
140 第一中間層
150 第二中間層
160 支点領域
170 通気孔
210 メーカ側サーバ
220 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14