特開 2023-4042 情報処理システム、情報管理方法、プログラム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023004042

(43)【公開日】2023-01-17

(54)【発明の名称】情報処理システム、情報管理方法、プログラム

(51)【国際特許分類】

   G06F 3/12 20060101AFI20230110BHJP

   B41J 29/38 20060101ALI20230110BHJP

   H04N 1/00 20060101ALI20230110BHJP

   G06Q 10/10 20230101ALI20230110BHJP

【ＦＩ】

G06F3/12 373

B41J29/38 801

B41J29/38 201

H04N1/00 127A

G06F3/12 303

G06F3/12 385

G06Q10/10

【審査請求】未請求

【請求項の数】12

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021105503

(22)【出願日】2021-06-25

(71)【出願人】

【識別番号】000006747

【氏名又は名称】株式会社リコー

(74)【代理人】

【識別番号】100107766

【弁理士】

【氏名又は名称】伊東 忠重

(74)【代理人】

【識別番号】100070150

【弁理士】

【氏名又は名称】伊東 忠彦

(72)【発明者】

【氏名】西田 隆頼

【テーマコード（参考）】

2C061

5C062

5L049

【Ｆターム（参考）】

2C061AP01

2C061AP07

2C061AQ05

2C061AQ06

2C061HK03

2C061HK15

2C061HK19

5C062AA05

5C062AA13

5C062AA35

5C062AB22

5C062AB38

5C062AC04

5C062AC34

5C062AF06

5C062AF13

5L049AA11

(57)【要約】

【課題】社員等が社外にある機器で行った出力について記録する情報処理システムを提供すること。
【解決手段】機器２０に出力を要求する端末装置３０又は前記機器とネットワークを介して通信することができる情報処理システム１０であって、前記機器又は前記端末装置から前記機器による出力に関する情報を受信する収集部と、前記収集部が受信した前記機器による出力に関する情報が、社内の前記機器が出力したことを示すか否かの判断結果を前記機器による出力に関する情報に対応付けて記録するログ管理部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

機器に出力を要求する端末装置又は前記機器とネットワークを介して通信することができる情報処理システムであって、
前記機器又は前記端末装置から前記機器による出力に関する情報を受信する収集部と、
前記収集部が受信した前記機器による出力に関する情報が、社内の前記機器が出力したことを示すか否かの判断結果を前記機器による出力に関する情報に対応付けて記録する管理部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。

【請求項2】

前記管理部は、前記機器に関する機器リストに、前記機器による出力に関する情報に含まれる前記機器が登録されているか否かにより、前記機器による出力に関する情報が社内の機器が出力したことを示すか否かを判断する請求項１に記載の情報処理システム。

【請求項3】

前記機器に関する機器リストには機器ごとに社内にある機器か自宅にある機器かが登録されており、
前記管理部は、前記機器による出力に関する情報に含まれる前記機器が、社内にある機器か否かに基づいて、前記機器による出力に関する情報が社内の機器が出力したことを示すか否かを判断する請求項１に記載の情報処理システム。

【請求項4】

前記機器リストには前記機器のＩＰアドレスが登録されており、
前記情報処理システムには、前記機器が接続されているネットワークのネットワークアドレスが登録されており、
前記管理部は、前記機器による出力に関する情報に含まれる前記機器のＩＰアドレスが、前記ネットワークアドレスに含まれるか否かに基づいて、前記機器による出力に関する情報が社内の機器が出力したことを示すか否かを判断する請求項２に記載の情報処理システム。

【請求項5】

前記情報処理システムには、業務用の出力か否かを判断するためのキーワードが登録されており、
社内の機器が出力したことを示していないと判断された前記機器による出力に関する情報について、前記キーワードが含まれるか否かに応じて、業務用の出力か否かを判断する解析部を有する請求項１～４のいずれか１項に記載の情報処理システム。

【請求項6】

前記情報処理システムには、業務の時間帯が登録されており、
社内の機器が出力したことを示していないと判断された前記機器による出力に関する情報について、出力の日時が前記時間帯に含まれるか否かに応じて、業務用の出力か否かを判断する解析部を有する請求項１～４のいずれか１項に記載の情報処理システム。

【請求項7】

前記情報処理システムには、業務用の出力か否かを判断するためのキーワードが登録されており、
前記情報処理システムに前記出力の対象の文書が登録された場合、
社内の機器が出力したことを示していないと判断された前記機器による出力に関する情報について、前記文書に前記キーワードが含まれるか否かに応じて、業務用の出力か否かを判断する解析部を有する請求項１～４のいずれか１項に記載の情報処理システム。

【請求項8】

社内の機器が出力したことを示していないと判断された前記機器による出力に関する情報のリストを表示する画面の情報を端末装置に提供する画面提供部を有し、
前記端末装置から業務用の出力である旨を指定された前記機器による出力に関する情報について、前記解析部は、業務用の出力でないという判断を業務用の出力であるという判断に変更する請求項５～７のいずれか１項に記載の情報処理システム。

【請求項9】

管理者の権限でログインした端末装置に対し、社内の機器が出力したことを示していないと判断された前記機器による出力に関する情報のリストを表示する画面の情報を端末装置に提供する画面提供部を有する請求項１～４のいずれか１項に記載の情報処理システム。

【請求項10】

社内の機器が出力したことを示していないと判断された前記機器による出力に関する情報であって、かつ、業務用の出力であると判断された前記機器による出力に関する情報を、経費精算システムに送信する経費精算登録部を有する請求項５～８のいずれか１項に記載の情報処理システム。

【請求項11】

機器に出力を要求する端末装置又は前記機器とネットワークを介して通信することができる情報処理システムが行う情報管理方法であって、
収集部が、前記機器又は前記端末装置から前記機器による出力に関する情報を受信するステップと、
管理部が、前記収集部が受信した前記機器による出力に関する情報が、社内の前記機器が出力したことを示すか否かの判断結果を前記機器による出力に関する情報に対応付けて記録するステップと、
を有することを特徴とする情報管理方法。

【請求項12】

機器に出力を要求する端末装置又は前記機器とネットワークを介して通信することができる情報処理システムを、
前記機器又は前記端末装置から前記機器による出力に関する情報を受信する収集部と、
前記収集部が受信した前記情報が、社内の前記機器が出力したことを示すか否かの判断結果を前記機器による出力に関する情報に対応付けて記録する管理部、
として機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、情報処理システム、情報管理方法、及びプログラムに関する。

【背景技術】

【0002】

社内に設置された画像形成装置等の機器については、個人又は部署ごとに出力枚数などの出力管理が行われている。これにより、企業側は用紙やトナーの浪費を抑制したり、各部門又は個人の経費を管理したりできる。

【0003】

画像形成装置を用いた出力が私用か業務用かを判断することで出力管理を行う技術が知られている（例えば、特許文献１参照。）。特許文献１には、テンプレートや画像、単語に基づき文書が業務用か否かを判断する技術が開示されている。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、従来の技術では、社員等が社外にある機器で行った出力について記録が残らないという問題がある。例えば、社員が在宅勤務等、社外で勤務した場合に自宅の画像形成装置で印刷する場合があるが、自宅の画像形成装置は出力管理の対象でないため、社員が自宅の画像形成装置で印刷した場合は出力管理されない状況が生じる場合があった。

【0005】

本発明は、上記課題に鑑み、社員等が社外にある機器で行った出力について記録する情報処理システムを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記課題に鑑み、本発明は、機器に出力を要求する端末装置又は前記機器とネットワークを介して通信することができる情報処理システムであって、前記機器又は前記端末装置から前記機器による出力に関する情報を受信する収集部と、前記収集部が受信した前記機器による出力に関する情報が、社内の前記機器が出力したことを示すか否かの判断結果を前記機器による出力に関する情報に対応付けて記録する管理部と、を有することを特徴とする。

【発明の効果】

【0007】

社員等が社外にある機器で行った出力について記録する情報処理システムを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】出力システムの概略的な動作を説明する図である。

【図2】出力システムのシステム構成例を示す図である。

【図3】情報処理システム及び端末装置の一例のハードウェア構成を示す図である。

【図4】画像形成装置のハードウェア構成図の一例である。

【図5】出力システムの一例の機能構成を示す図である。

【図6】機器リスト記憶部が保持する機器リストテーブルを説明する図である。

【図7】印刷ログ記憶部が保持する印刷ログのリストを説明する図である。

【図8】判断条件記憶部が保持する判断条件を説明する図である。

【図9】印刷ログが社内の画像形成装置で印刷されたか否かを情報処理システムが判断する手順を示すフローチャート図である。

【図10】判断条件記憶部に設定された判断条件に基づいて業務用か私用かが判断された場合に、端末装置が表示する経費登録画面の一例である。

【図11】テンプレートの一例を示す図である。

【図12】管理画面の一例を示す図である。

【図13】機器リスト記憶部が保持する機器リストテーブルを説明する図である（実施例２）。

【図14】機器リスト記憶部が保持する機器リストテーブルを説明する図である（実施例３）。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、本発明を実施するための形態の一例として、出力システムと出力システムが行う情報管理方法について図面を参照しながら説明する。

【0010】

＜リモートワークの背景＞
近年、在宅勤務などのリモートワークが可能である企業が世界的に多くなってきている。しかし、在宅勤務における印刷は、以下のような点が社内での印刷と異なってる。

【0011】

1. 業務用の文書を社外（主に家）で印刷することによる情報漏洩リスクが発生する。

【0012】

2. 業務用の文書を自宅の画像形成装置で印刷した場合に社員が勤務先に正確な費用を請求することが困難になる場合がある。

【0013】

＜本実施形態の出力システムの概略＞
そこで、本実施形態では、文書が自宅の画像形成装置又は社内の画像形成装置のどちらで印刷されたかを判断して、自宅の画像形成装置における印刷を管理する。

【0014】

図１は、本実施形態の出力システム１の概略的な動作を説明する図である。自宅９の端末装置３０と社内８の端末装置３０は情報処理システム１０と通信できる。当該出力システム１を社員が使用するに当たって、例えば管理者は情報処理システム１０に画像形成装置２０に関する情報（後述する機器リストテーブル）を登録しておく。機器リストテーブルには以下のような情報が登録されている。
Ａ．社内８の画像形成装置２０のプリンタ名（実施例１）
Ｂ．画像形成装置２０が自宅用かオフィス用か（実施例２）
Ｃ．画像形成装置２０のネットワークアドレス（実施例３）
社員が自宅９又は社内８で画像形成装置２０から印刷した場合、端末装置３０（及び画像形成装置２０も送信する場合がある）は印刷ログを情報処理システム１０に送信する。印刷ログには、プリンタ名等、機器リストテーブルを参照することで、自宅９の画像形成装置２０で印刷したか社内８の画像形成装置２０で印刷したかを判断する情報が含まれる。したがって、情報処理システム１０は印刷ジョブが自宅９で実行されたのか、社内８で実行されたのかを判断できる。

【0015】

次に、自宅９で印刷が実行された文書には、業務用のものと私用のものがある。そこで、情報処理システム１０は判断ロジックで、業務用の文書が自宅９で印刷された印刷ログを特定する。業務用の文書の印刷に関するコストは、社員にとっては経費なので、情報処理システム１０は経費請求に必要なページ数等の情報を経費精算システム等に登録しておく。

【0016】

したがって、本実施形態の出力システム１によれば、まず、社員から見て、自宅９の画像形成装置２０で印刷した業務用の文書に対して、下記のメリットがある。
1. 出力ログが残るため正確な経費精算を実施することが可能。
2. 経費精算システムに登録されるため簡単な作業で経費精算可能。

【0017】

また、企業側の管理者（例えばセキュリティ担当）に対して、下記のメリットがある。
1. 自宅９の画像形成装置２０の印刷についても出力管理できるため、情報漏洩の抑止となる。
2. 実際に情報漏洩した場合、印刷した社員を特定できる。

【0018】

なお、その他にも、本実施形態を利用すれば、社員が自宅９の画像形成装置２０で印刷する場合、ユーザ認証などが必要ない、という利点がある。また、社員が自宅９の画像形成装置２０で私用の文書を印刷する場合、単純に印刷するだけで、その後の処理は必要ないため、従来の自宅９における画像形成装置２０の使用形態と利便性が変わらない、という利点がある。

【0019】

＜用語について＞
機器とはユーザが印刷物を出力するものであればよい。本実施形態では、画像形成装置という用語で説明される。

【0020】

機器による出力に関する情報は、機器が印刷した印刷ジョブなどの出力に関する記録である。例えば、だれがどの文書をいつ、どの機器から、どのような条件で出力したかの情報を含む。本実施形態では、ログ情報と称する。

【0021】

社内の機器とは、主に社内に設置してある機器である。社外であっても所有者である企業に管理されている機器は社内の機器である。

【0022】

社員とは、企業や自治体等に雇用されている労働者である。社員は正規社員、派遣社員、契約社員、パートやアルバイトなどが含まれてよい。出力システムのユーザと称してもよい。

【実施例0023】

＜システム構成例＞
図２は、本実施形態の出力システム１のシステム構成例を示す。図２では社内８、自宅９、及び、外部オフィス７の３つの勤務場所がある。社内８には、一台以上の画像形成装置２０、一台以上の端末装置３０、及び、ゲートウェイサーバ７０が存在する。

【0024】

自宅９と外部オフィス７にも、一台以上の画像形成装置２０、及び、一台以上の端末装置３０、が存在する。自宅９と外部オフィス７の端末装置３０は、社内８の端末装置３０を社員が持ち出したものでもよいし、自宅用又は外部オフィス７用の端末装置３０でもよい。ただし、自宅用又は外部オフィス７用の端末装置３０には、情報処理システム１０と通信して印刷ログ等を送信するためのアプリケーションプログラム（以下、アプリという）がインストールされる。

【0025】

なお、以下の説明において、１つ以上の端末装置３０ａ、３０ｂ、・・・のうち、任意の端末装置３０を示す場合、「端末装置３０」を用いる。１つ以上の画像形成装置２０ａ、２０ｂ、・・・のうち、任意の画像形成装置２０を示す場合、「画像形成装置２０」を用いる。

【0026】

また、外部オフィス７とは、サテライトオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペース、又はレンタルオフィス等と呼ばれる。社員が社内８以外でもオフィスと同様に勤務することが可能なように、外部オフィス７には、画像形成装置２０、会議室、電源、及び、無線ＬＡＮ等の設備が用意されている。外部オフィス７は主に商用サービスであるが、自治体が無料で提供してもよいし、マンションの共有施設が利用されてもよい。また、画像形成装置２０による印刷が可能なら、社員は喫茶店やネットカフェ等で勤務してもよい。

【0027】

画像形成装置２０は、端末装置３０から送信された印刷ジョブを画像に変換して、用紙に画像を形成し、定着させ出力する。画像形成装置２０は、プリンタ機能だけでなく、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、及びドキュメントボックス機能の１つ以上を有してよい。このような複数の機能を有する画像形成装置２０をＭＦＰ（Multifunction Peripheral）や複合機という。また、画像形成装置２０は、プリンタ又は印刷装置と呼ばれる場合がある。また、画像形成装置２０の印刷方法には、電子写真方式やインクジェット方式があるが、本実施形態ではどちらでもよい。また、社内８、自宅９、又は外部オフィス７の画像形成装置２０には印刷速度などの機能に違いがあってよい。

【0028】

また、社内８の画像形成装置２０はプルプリントに対応している。プルプリントとは、社員が端末装置３０やモバイル端末６から印刷ジョブをサーバに登録しておき、画像形成装置２０を操作して印刷ジョブをサーバからダウンロードして印刷する仕組みをいう。プルプリントはセキュア印刷等と呼ばれる場合もある。本実施形態では、社内８の画像形成装置２０は情報処理システム１０（又はゲートウェイサーバ）から印刷ジョブをダウンロードして、印刷できる。

【0029】

社内８の画像形成装置２０には、印刷ログを送信するものと送信しないものがある。この違いは、画像形成装置２０に所定のアプリが搭載されているか否かによる。一方、アプリが搭載された端末装置３０は印刷ログを情報処理システム１０に送信するので、１回の印刷ジョブの実行で、端末装置３０と画像形成装置２０から同じ印刷ログが情報処理システム１０に送信される場合がある。このため、情報処理システム１０はジョブＩＤ等で印刷ログをマージする。なお、自宅９又は外部オフィス７の画像形成装置２０はアプリが搭載されていないので、印刷ログを送信することはない。

【0030】

端末装置３０は、社員が印刷ジョブを実行するためのコンピュータである。端末装置３０は、Ｗｉｎｄｏｗｓ（登録商標）、ＭＡＣ ＯＳ（登録商標）、Ａｎｄｒｏｉｄ（登録商標）、ｉＯＳ（登録商標）等、一般的なＯＳで動作するデスクトップＰＣ（パーソナルコンピュータ）、ノート型ＰＣ、スマートフォン、タブレット端末等でよい。この他、端末装置３０は所定のアプリが動作可能な装置であればよい。また、このアプリはＷｅｂアプリでもよいし、ネイティブアプリでもよい。本実施形態では、該アプリは、例えば常駐型のアプリであり、情報処理システム１０又はゲートウェイサーバ７０のＵＲＬ（ＩＰアドレスでもよい）、及び、出力システム１の顧客の識別情報となるドメインが設定されるユーザーインタフェースを持つ。

【0031】

情報処理システム１０は、一台以上の情報処理装置で実現され、ネットワークを介して、端末装置３０又は画像形成装置２０と通信する。情報処理システム１０は、端末装置３０及び画像形成装置２０から印刷ログを受信し、社内８の画像形成装置２０、又は、社内８以外（自宅９、又は、外部オフィス７等）の画像形成装置２０で印刷されたのか判断する。社内８以外の画像形成装置２０で印刷された場合、情報処理システム１０は更に私用印刷か、業務用の印刷かを判断して、経費精算システムに登録するか否かを判断する。

【0032】

情報処理システム１０は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、単一の情報処理装置によって実現されてもよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。情報処理システム１０は、インターネット上に存在しても、オンプレミス（社内８）に存在してもよい。

【0033】

ゲートウェイサーバ７０は、幾つかの役割を有している。役割の1つは、情報処理システム１０との通信を維持しておき、情報処理システム１０からの通信を受け付けることである。役割の1つは、プルプリントにおいて印刷ジョブを保存することである。プルプリントにおいて印刷ジョブを保存するのは情報処理システム１０が多いが、顧客によってはゲートウェイサーバ７０に印刷ジョブが保存される。また、役割の１つは、印刷ログを情報処理システム１０に送信することである。端末装置３０又は画像形成装置２０では、社員が、印刷ログを情報処理システム１０に送信するか、ゲートウェイサーバ７０に送信するかを設定できる。

【0034】

このように、ゲートウェイサーバ７０は、端末装置３０又は画像形成装置２０と情報処理システム１０との通信が途絶しても顧客が印刷を実行できるようにしたり、社内８で可能な限り出力システム１を運用したりするための装置なので、本実施形態では必須ではない。本実施形態では、ゲートウェイサーバ７０を介した通信については説明を省略する。

【0035】

＜ハードウェア構成例＞
本実施形態に係る出力システム１に含まれる情報処理システム１０、端末装置３０及び
画像形成装置２０のハードウェア構成について説明する。

【0036】

＜＜情報処理システム及び端末装置＞＞
図３は、本実施形態に係る情報処理システム１０及び端末装置３０の一例のハードウェア構成を示す図である。図３に示されているように、情報処理システム１０及び端末装置３０はコンピュータによって構築されており、ＣＰＵ５０１、ＲＯＭ５０２、ＲＡＭ５０３、ＨＤ５０４、ＨＤＤ(Hard Disk Drive)コントローラ５０５、ディスプレイ５０６、外部機器接続Ｉ／Ｆ(Interface)５０８、ネットワークＩ／Ｆ５０９、バスライン５１０、キーボード５１１、ポインティングデバイス５１２、ＤＶＤ－ＲＷ(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ５１４、メディアＩ／Ｆ５１６を備えている。

【0037】

これらのうち、ＣＰＵ５０１は、情報処理システム１０及び端末装置３０全体の動作を制御する。ＲＯＭ５０２は、ＩＰＬ等のＣＰＵ５０１の駆動に用いられるプログラムを記憶する。ＲＡＭ５０３は、ＣＰＵ５０１のワークエリアとして使用される。ＨＤ５０４は、プログラム等の各種データを記憶する。ＨＤＤコントローラ５０５は、ＣＰＵ５０１の制御にしたがってＨＤ５０４に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ５０６は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続Ｉ／Ｆ５０８は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、ＵＳＢ(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークＩ／Ｆ５０９は、通信ネットワークＮ２を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン５１０は、図３に示されているＣＰＵ５０１等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。

【0038】

また、キーボード５１１は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス５１２は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。光学ドライブ５１４は、着脱可能な記録媒体の一例としての光メディア５１３に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、光メディア５１３は、ＣＤ、ＤＶＤ、Blu-Ray（登録商標）等でよい。メディアＩ／Ｆ５１６は、フラッシュメモリ等の記録メディア５１５に対するデータの読み出し又は書き込み（記憶）を制御する。

【0039】

＜＜機器＞＞
図４は、画像形成装置２０のハードウェア構成図である。図４に示されているように、画像形成装置２０は、コントローラ９１０、近距離通信回路９２０、エンジン制御部９３０、操作パネル９４０、ネットワークＩ／Ｆ９５０を備えている。

【0040】

これらのうち、コントローラ９１０は、コンピュータの主要部であるＣＰＵ９０１、システムメモリ（ＭＥＭ－Ｐ）９０２、ノースブリッジ（ＮＢ）９０３、サウスブリッジ（ＳＢ）９０４、ＡＳＩＣ(Application Specific Integrated Circuit)９０６、記憶部であるローカルメモリ（ＭＥＭ－Ｃ）９０７、ＨＤＤコントローラ９０８、及び、記憶部であるＨＤ９０９を有し、ＮＢ９０３とＡＳＩＣ９０６との間をＡＧＰ(Accelerated Graphics Port)バス９２１で接続した構成となっている。

【0041】

これらのうち、ＣＰＵ９０１は、画像形成装置２０の全体制御を行う制御部である。ＮＢ９０３は、ＣＰＵ９０１と、ＭＥＭ－Ｐ９０２、ＳＢ９０４、及びＡＧＰバス９２１とを接続するためのブリッジであり、ＭＥＭ－Ｐ９０２に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、ＰＣＩ(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びＡＧＰターゲットとを有する。

【0042】

ＭＥＭ－Ｐ９０２は、コントローラ９１０の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるＲＯＭ９０２ａ、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるＲＡＭ９０２ｂとからなる。なお、ＲＡＭ９０２ｂに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでＣＤ－ＲＯＭ、ＣＤ－Ｒ、ＤＶＤ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。

【0043】

ＳＢ９０４は、ＮＢ９０３とＰＣＩデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ＡＳＩＣ９０６は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのＩＣ(Integrated Circuit)であり、ＡＧＰバス９２１、ＰＣＩバス９２２、ＨＤＤコントローラ９０８及びＭＥＭ－Ｃ９０７をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このＡＳＩＣ９０６は、ＰＣＩターゲット及びＡＧＰマスタ、ＡＳＩＣ９０６の中核をなすアービタ（ＡＲＢ）、ＭＥＭ－Ｃ９０７を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のＤＭＡＣ(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部９３１、プリンタ部９３２、及びファクシミリ部との間でＰＣＩバス９２２を介したデータ転送を行うＰＣＩユニットとからなる。なお、ＡＳＩＣ９０６には、ＵＳＢ(Universal Serial Bus)のインターフェースや、ＩＥＥＥ１３９４(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394）のインターフェースが接続されてもよい。

【0044】

ＭＥＭ－Ｃ９０７は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。ＨＤ９０９は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。ＨＤ９０９は、ＣＰＵ９０１の制御にしたがってＨＤ９０９に対するデータの読出又は書込を制御する。ＡＧＰバス９２１は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、ＭＥＭ－Ｐ９０２に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。

【0045】

また、近距離通信回路９２０には、近距離通信回路のアンテナ９２０ａが備わっている。近距離通信回路９２０は、ＮＦＣ、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）等の通信回路である。

【0046】

更に、エンジン制御部９３０は、スキャナ部９３１、プリンタ部９３２及びファクシミリ部９３３を有している。また、操作パネル９４０は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部９４０ａ、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー９４０ｂを備えている。コントローラ９１０は、画像形成装置２０全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル９４０からの入力等を制御する。スキャナ部９３１又はプリンタ部９３２には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。

【0047】

なお、画像形成装置２０は、操作パネル９４０のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。画像形成装置２０は、ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。

【0048】

また、ネットワークＩ／Ｆ９５０は、通信ネットワークＮ２を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路９２０及びネットワークＩ／Ｆ９５０は、ＰＣＩバス９２２を介して、ＡＳＩＣ９０６に電気的に接続されている。

【0049】

＜機能について＞
次に、本実施形態に係る出力システム１の機能構成について、図５を参照しながら説明する。図５は、本実施形態に係る出力システム１の一例の機能構成を示す図である。

【0050】

＜＜端末装置＞＞
端末装置３０は、印刷ログ送信部４１と、印刷処理監視部４２とを有する。端末装置３０が有する各機能部は、端末装置３０にインストールされた１以上のプログラムに含まれる命令をＣＰＵ５０１が実行することで実現される機能又は手段である。なお、図５では、自宅９の端末装置３０が示されているが、社内８又は外部オフィス７にある端末装置３０の機能も同様でよい。

【0051】

端末装置３０は、画像形成装置２０に印刷ジョブの実行を要求する場合と、情報処理システム１０に印刷ジョブを送信しておき画像形成装置２０がダウンロードする（プルプリント）場合がある。端末装置３０の以下の機能は、端末装置３０が画像形成装置２０に印刷ジョブの実行を要求する場合の機能である。

【0052】

印刷処理監視部４２は、社員が端末装置３０で動作するワープロソフトなどから文書を印刷することで、ワープロソフトからプリンタドライバーに渡された印刷ジョブに関する情報（以下、印刷ログという）を、プリンタドライバーから取得する。印刷処理監視部４２は、印刷ログを印刷ログ送信部４１に送信する。

【0053】

印刷ログ送信部４１は、印刷ログを情報処理システム１０に送信する。印刷ログ送信部４１はリアルタイムに印刷ログを送信してもよいし、一定時間ごとに送信してもよいし、又は、印刷ログが一定量蓄積したら送信してもよい。

【0054】

なお、図５では、本実施形態の特徴部のみを示し、端末装置３０が有する一般的な機能（表示制御部、操作受付部等）は省略されている。

【0055】

＜＜画像形成装置＞＞
画像形成装置２０の以下の機能は、端末装置３０が画像形成装置２０に印刷ジョブの実行を要求する場合、及び、プルプリントで印刷される場合の機能である。

【0056】

社内８の画像形成装置２０は、印刷ログ送信部４３を有する。画像形成装置２０が有する各機能部は、画像形成装置２０にインストールされた１以上のプログラムに含まれる命令をＣＰＵ９０１が実行することで実現される機能又は手段である。なお、自宅９又は外部オフィス７の画像形成装置２０は、印刷ログを情報処理システム１０に送信しない。

【0057】

印刷ログ送信部４３は、画像形成装置２０が蓄積する印刷ログを情報処理システム１０に送信する。印刷ログ送信部４３はリアルタイムに印刷ログを送信してもよいし、一定時間ごとに送信してもよいし、又は、印刷ログが一定量蓄積したら送信してもよい。

【0058】

なお、印刷ジョブがプルプリントで実行されても、端末装置３０から直接、実行されても、印刷ログ送信部４３は区別なく印刷ログを情報処理システムに送信してよい。プルプリントによる印刷ログに、その旨が記録されてもよい。

【0059】

＜＜情報処理システム＞＞
情報処理システム１０は、クラウドサービスＡ，Ｂ、Ｃの３つの機能を有している。クラウドサービスＡ，Ｂ、Ｃは一つのサービスとして存在してもよいし、図５のように一つずつが独立して存在してもよい。また、クラウドサービスＡ，Ｂ、Ｃはそれぞれ別の情報処理装置に配置されてもよいし、任意の２つが一台の情報処理装置に配置されてもよい。

【0060】

クラウドサービスＡ，Ｂ、Ｃの主な機能は以下のとおりである。
クラウドサービスＡ ＝ 印刷監視サービス
クラウドサービスＢ ＝ 印刷ジョブ解析サービス
クラウドサービスＣ ＝ 経費精算サービス（経費精算システム）
端末装置３０又は画像形成装置２０から送信された印刷ログは、クラウドサービスＡで、会社の画像形成装置２０と自宅９の画像形成装置２０のどちらで印刷されたか大別される。クラウドサービスＡは、印刷ログ収集部１１と、ログ管理部１３と、印刷ログ送信部１２とを有している。クラウドサービスＡが有する各機能部は、情報処理システム１０にインストールされた１以上のプログラムに含まれる命令をＣＰＵ５０１が実行することで実現される機能又は手段である。クラウドサービスＢ，Ｃについても同様である。

【0061】

また、クラウドサービスＡは、図３のＨＤ５０４等に形成される機器リスト記憶部１４と印刷ログ記憶部１５を有している。

【0062】

印刷ログ収集部１１は、印刷ジョブを端末装置３０から受信する。端末装置３０又は画像形成装置２０から送信された印刷ログを単に受信してもよいし、印刷ログ収集部１１が端末装置３０又は画像形成装置２０に印刷ログの有無を問い合わせてもよい。印刷ログ収集部１１は印刷ログを印刷ログ記憶部１５に保存する。

【0063】

ログ管理部１３は、機器リスト記憶部１４を参照して、印刷ログが、社内８の画像形成装置２０と自宅９の画像形成装置２０のどちらで印刷されたことを示すか判断する。ログ管理部１３は、印刷ログに対応付けて判断結果をフラグなどで設定する。印刷ログ送信部１２は、クラウドサービスＢに印刷ログを送信する。クラウドサービスＢがクラウドサービスＡのＡＰＩ（Application Programming Interface）を呼び出して印刷ログを取得してもよい。

【0064】

クラウドサービスＢは、自宅９の画像形成装置２０で印刷された印刷ジョブが、「業務用の印刷」か「私用印刷」かを判断条件記憶部２５に記憶されている判断条件を使って仕分ける。

【0065】

クラウドサービスＢは、印刷ログ取得部２１、画面提供部２２、ログ解析部２３、及び、経費精算登録部２４を有する。また、クラウドサービスＢは、図３のＨＤ５０４等に形成される判断条件記憶部２５及び印刷ログ記憶部２６を有している。

【0066】

印刷ログ取得部２１は、クラウドサービスＡから印刷ログを取得する。画面提供部２２は、社員又は管理者が操作入力するＷｅｂページを端末装置３０に提供する。画面情報は、ＨＴＭＬ、ＸＭＬ、スクリプト言語、及びＣＳＳ（cascading style sheet）等で記述されたプログラムであり、主にＨＴＭＬによりＷｅｂページの構造が特定され、スクリプト言語によりＷｅｂページの動作が規定され、ＣＳＳによりＷｅｂページのスタイルが特定される。

【0067】

ログ解析部２３は、自宅９の画像形成装置２０により印刷されたことを示す印刷ログが、「業務用の印刷」か「私用印刷」かを判断条件記憶部２５に記憶されている判断条件を使って仕分ける。

【0068】

経費精算登録部２４は、自宅の画像形成装置２０で印刷され、業務用の印刷と仕分けられた印刷ログを経費精算情報としてクラウドサービスＣに送信する。

【0069】

クラウドサービスＣは、経費精算情報取得部３１、経費精算処理部３２、及び、経費精算画面提供部３３を有する。また、クラウドサービスＣは、図３のＨＤ５０４等に形成される経費精算情報記憶部３４を有している。

【0070】

経費精算情報取得部３１は、業務用の印刷と仕分けられた印刷ログに関する経費精算情報をクラウドサービスＢから取得する。経費精算情報は経費精算情報記憶部３４に保存される。

【0071】

経費精算処理部３２は、経費精算情報記憶部３４に保存されている経費精算情報に基づいて経費を精算する。すなわち、経費精算処理部３２は、例えば月末などの締め日に、自宅９で印刷された業務用の印刷について社員ごとに費用を計算し、社員に支払われるように処理する。

【0072】

経費精算画面提供部３３は、経費精算画面を端末装置３０に提供し、社員からの経費精算の変更等を受け付ける。

【0073】

＜＜各記憶部が保持する情報＞＞
図６は、機器リスト記憶部１４が保持する機器リストテーブルを説明する図である。機器リストテーブルの各項目について説明する。

【0074】

ＩＤは、画像形成装置２０の識別情報である。ＩＤは、クラウドサービスＡが採番しても、重複しない機器固有番号が使用されてもよい。

【0075】

プリンタ名は、画像形成装置２０の名称である。画像形成装置２０の名称は一般にプリンタドライバーの名称と同じであり、印刷ログに含まれるプリンタ名と同じである。

【0076】

ＩＰアドレスは、画像形成装置２０のグローバルＩＰアドレスである。したがって、ＩＰアドレスは一意性が保証される。

【0077】

シリアル番号は、画像形成装置２０の型番＋製造番号など、画像形成装置２０に固有の番号である。

【0078】

図６のような機器リストテーブルは、企業の管理者等が予め登録しておく。クラウドサービスＡは、登録された画像形成装置２０は社内８の画像形成装置２０と認識し、社内８の画像形成装置２０で印刷された印刷ログについては経費精算の対象としない。

【0079】

図７は、印刷ログ記憶部２６が保持する印刷ログを説明する図である。印刷ログの各項目について説明する。

【0080】

ＩＤは、印刷ジョブの識別情報である。クラウドサービスＡの印刷ログ収集部１１が重複しないＩＤを採番する。

【0081】

印刷者は、印刷ジョブを実行した社員の氏名である。印刷者は、端末装置３０又は画像形成装置２０にログインすることで特定されている。

【0082】

印刷文書名は、印刷された文書の名称であり、通常はファイル名である。

【0083】

ページ数は、印刷ジョブで印刷されたページ数である。ページ数は経費精算等に使用される。

【0084】

カラー/モノクロは、社員がカラーとモノクロのどちらで印刷したかを示す。カラー/モノクロは、経費精算等に使用される。

【0085】

両面/片面は、社員が両面と片面のどちらで印刷したかを示す。両面/片面は、経費精算等に使用される。

【0086】

出力プリンタ名は、印刷に使用された画像形成装置２０の名称である。画像形成装置２０の名称は一般にプリンタドライバーの名称と同じでよい。

【0087】

社内/自宅は、印刷ジョブが自宅９の画像形成装置２０と社内８の画像形成装置２０のどちらで実行されたかを示す。この項目は、クラウドサービスＡの印刷ログ記憶部１５では保持されないが、クラウドサービスＢの印刷ログ記憶部２６に保持される。

【0088】

業務用/私用は、業務用の印刷と判断されたか、私用印刷と判断されたかを示す。社内８の画像形成装置２０により印刷されたことを示す印刷ログについては業務用か私用かは判断されない。

【0089】

なお、経費精算情報は、印刷ログのうち、経費精算に必要な情報であればよい。例えば、経費精算情報は、印刷者、日時、ページ数、カラー/モノクロ、及び、両面/片面を含む。ただし、経費精算情報が印刷ログと同じでもよい。

【0090】

図８は、判断条件記憶部２５が保持する判断条件を説明する図である。判断条件の各項目について説明する。

【0091】

ＩＤは、判断条件の識別情報である。クラウドサービスＢが重複しないＩＤを採番する。

【0092】

抽出条件のキーは、判断される印刷ログの項目名である。抽出条件のキーでは、例えばキーワードが検索される印刷ログの項目が指定される。

【0093】

抽出条件は抽出条件のキーに対応した条件である。例えば、ＩＤ＝１，２の抽出条件のキーは印刷文書名であるので、抽出条件としてはキーワードとなる。例えば、ＩＤ＝３の抽出条件のキーは、日時であるので、抽出条件としては時間帯となる。例えば、一般的な勤務時間（業務の時間帯）に印刷された印刷ログであれば、社内８の画像形成装置２０により印刷されたことを示すと推定される。

【0094】

＜動作手順＞
図９は、印刷ログが社内の画像形成装置で印刷されたか否かを情報処理システム１０が判断する手順を示すフローチャート図である。

【0095】

社員は、アプリがインストールされた端末装置３０を利用して、社内８又は自宅９に関わりなく同じ作業で印刷を実施する。端末装置３０の印刷処理監視部４２は印刷を検知し、印刷ログ送信部４１が印刷ログをクラウドサービスＡに送信する。画像形成装置２０の印刷ログ送信部４３が印刷ログを送信してもよい。

【0096】

印刷ログは、例えば下記の情報を含む。
印刷者
日時
印刷文書名
ページ数
カラー/モノクロ
両面/片面
出力プリンタ名（ポート名でも可）

【0097】

クラウドサービスＡの印刷ログ収集部１１は印刷ログを受信し、印刷ログ記憶部１５に保存する（Ｓ１）。

【0098】

クラウドサービスＡのログ管理部１３は、印刷ログ記憶部１５のうち未処理の印刷ログを１つずつ取り出す（Ｓ２）。

【0099】

ログ管理部１３は、印刷ログが有する「出力プリンタ名」で、機器リストテーブルのプリンタ名を検索する（Ｓ３）。ログ管理部１３は、機器リストテーブルに出力プリンタ名が存在すれば、社内８の画像形成装置２０により印刷されたことを示す印刷ログ、存在しなければ、社外（自宅９又は外部オフィス７等）の画像形成装置２０により印刷されたことを示す印刷ログと判断する。ログ管理部１３は、印刷ログに社内/自宅の項目とその判断結果を追加する。

【0100】

印刷ログが社内８の画像形成装置２０により印刷されたことを示す場合、経費精算が不要なので、従来と同様、印刷ログ送信部１２は当該社員の部門の印刷として処理する（Ｓ８）。

【0101】

印刷ログが自宅９の画像形成装置２０により印刷されたことを示す場合、ログ解析部２３が、判断条件記憶部２５を参照して業務用の印刷か私用印刷かを判断する（Ｓ４）。

【0102】

業務用の印刷と判断された場合、自宅９で業務用に印刷されたので（Ｓ５）、経費精算登録部２４が経費精算情報をクラウドサービスＣに登録する（Ｓ６）。

【0103】

業務用の印刷と判断されない場合、自宅９で私用に印刷されたと判断される（Ｓ７）。この場合、経費精算の対象とならないし、部門での印刷でもないので、処理は終了する。

【0104】

クラウドサービスＢは、図９の処理が終了した場合に、業務用の印刷か私用印刷かの判断結果を社員が修正できる旨を電子メールなどで社員に通知してよい。社員は自分の印刷について業務用か私用かの判断結果を修正できるタイミングであることを把握できる。電子メールには後述する登録確認画面のＵＲＬが記載されており、社員が容易に登録確認画面を表示できる。

【0105】

＜経費登録画面からの社員の確認作業＞
ステップＳ４の判断を行うことで自宅９の画像形成装置２０で業務用に印刷された経費精算情報が経費精算システムに登録された。社員は、経費精算システムにログインし、基本的に全ての印刷について経費として精算する。キーワード等に基づく判断が誤っており、私用印刷の経費精算情報が登録されている場合、社員が経費の精算対象から除外する。キーワード等に基づく判断精度が一定以上である場合、社員が介在せずに、クラウドサービスＣ（経費精算システム）が全ての経費精算情報を経費として精算してもよい。

【0106】

しかし、ステップＳ４の判断で、実際には業務用に印刷されたが、自宅用に印刷されたと誤判断される場合がある。そこで、本実施形態では、社員がクラウドサービスＢに対し判断を修正する仕組みを提供する。

【0107】

図１０は、判断条件記憶部２５に設定された判断条件に基づいて業務用か私用かが判断された場合に、端末装置３０が表示する経費登録画面１１０の一例である。社員は端末装置３０をクラウドサービスＢに接続し、経費登録画面１１０を表示させる。経費登録画面１１０は画面提供部２２が提供する。

【0108】

経費登録画面１１０は、選択欄１１１、日時欄１１２、印刷文書名欄１１３、ページ数欄１１４、カラー/モノクロ欄１１５、及び、両面/片面欄１１６を有している。したがって、選択欄を除き、印刷ログが有する項目と同じである。選択欄１１１は、業務用の印刷ログを社員が指定するための欄である。

【0109】

経費登録画面１１０は、自宅９の画像形成装置２０で印刷されたことを示す印刷ログを表示するので、図７の印刷ログのうち、自宅９の画像形成装置２０により印刷された印刷ログのみが図１０に示されている。更に、業務用の印刷と判断された印刷ログは、その旨が経費登録画面１１０で分かるようになっている。

【0110】

例えば、図１０の登録画面の２行目の文書「社外秘－○○契約書.pdf」は、すでに経費精算システムに登録済のためグレイアウト（輝度が小さい）している。

【0111】

また、３行目の文書「○○仕様書.pdf」はキーワードに含まれていないため、経費精算システムに登録されていないが、実際は業務用の印刷となるため、社員がこの文書を選択し、上部にある経費精算候補に変更ボタン１１７を押下する。これにより、３行目の印刷ログがクラウドサービスＣ（経費精算システム）に送信される。したがって、業務用の印刷なのに、キーワード等に基づいて私用印刷と誤判断されても、社員が修正できる。

【0112】

＜ステップＳ４の判断を行わない場合＞
ステップＳ４の判断をなくし、自宅９の画像形成装置２０により印刷されたことを示す印刷ログをすべて、クラウドサービスＢが経費精算システムに登録してもよい。この場合、経費精算システムには、私用印刷と業務用の印刷による経費精算情報が登録されている。社員は端末装置３０をクラウドサービスＣ（経費精算システム）に接続してログインし、クラウドサービスＣ（経費精算システム）が提供する経費精算情報から、業務用に印刷された印刷実行結果を選択して経費精算を行う。

【0113】

＜印刷ジョブに基づく判断＞
印刷ログには印刷される文書までは含まれない。このため、クラウドサービスＢは、印刷ログでは文書に基づいて業務用か私用かを判断できない。

【0114】

一方、プルプリントでは印刷ジョブがクラウドサービスＡ又はＢに登録される。そこで、プルプリントにおいては、ログ解析部２３が、印刷ジョブの文書を参照し、業務用の印刷か私用印刷かを判別してよい。

【0115】

ログ解析部２３は、印刷ジョブの文書に判断条件記憶部２５のキーワードが含まれる場合、業務用に印刷されると判断する。

【0116】

また、例えば、契約書や請求書などのテンプレートを管理者等がクラウドサービスＢに予め登録しておいてもよい。図１１は、テンプレートの一例を示す。テンプレートでは、特定の単語（契約書１０１、日時１０２、甲１０３、乙１０４等）が決まった場所に存在する。ログ解析部２３は、印刷ジョブの文書から特定の単語を検出し、それらが決まった場所に配置されている場合、業務用で印刷されると判断する。

【0117】

なお、プルプリントでクラウドサービスＡ又はＢに登録される文書はＰＤＦ形式なので、ログ解析部２３がテキストを抽出するか、又は、テキストがない場合はＯＣＲ解析する。こうすることで、ログ解析部２３が文書からテキストデータを抽出できる。

【0118】

また、テンプレートは、管理者が後から追加又は削除できることが好ましい。

【0119】

＜管理者向け管理画面＞
クラウドサービスＢは、管理者の権限でログインした管理者に、自宅９の画像形成装置２０で印刷された全ての印刷ジョブ（業務用か私用かを問わず）を閲覧可能な管理画面を提供する。管理者は端末装置３０をクラウドサービスＢに接続し、管理画面を表示させる。管理画面は画面提供部２２が提供する。

【0120】

図１２は、管理画面１２０の一例である。管理画面１２０が有する各項目について説明する。

【0121】

印刷者１２１は、印刷ジョブを実行した社員の氏名である。印刷者１２１は、端末装置３０にログインすることで特定されている。

【0122】

日時１２２は印刷ジョブが実行された日時である。

【0123】

印刷文書名１２３は、印刷された文書の名称であり、通常はファイル名である。

【0124】

ページ数１２４は、印刷ジョブで印刷されたページ数である。

【0125】

カラー/モノクロ１２５は、社員がカラーとモノクロのどちらで印刷したかを示す。

【0126】

両面/片面１２６は、社員が両面と片面のどちらで印刷したかを示す。

【0127】

管理者は、社員が自宅９でどのような文書を印刷しているかを監視することができる。機密文書の印刷が多い社員について、管理者は印刷頻度の低減を依頼できる。また、漏洩した文書があれば、管理者が管理画面１２０でいつだれが印刷したかを特定できる。

【0128】

＜主な効果＞
本実施形態の出力システム１によれば、まず、社員から見て、自宅９の画像形成装置２０で印刷した業務用の文書に対して、下記のメリットがある。
1. 出力ログが残るため正確な経費精算を実施することが可能。
2. 経費精算システムに登録されるため社員が簡単な作業で経費精算可能。

【0129】

また、企業側の管理者（例えばセキュリティ担当）に対して、下記のメリットがある。
1. 自宅９の画像形成装置２０の印刷についても出力管理できるため、本実施形態は情報漏洩の抑止となる。
2. 実際に情報が漏洩した場合、管理者が印刷した社員を特定できる。

【実施例0130】

本実施例では、実施例１とは異なる機器リストテーブルにより、クラウドサービスＡが自宅９又は社内８の画像形成装置２０のどちらで印刷されたかを判断する出力システム１について説明する。

【0131】

なお、本実施例においては、上記の実施例にて説明した図３，図４のハードウェア構成図、及び、図５に示した機能ブロック図を援用できるものとして説明する。

【0132】

＜機器リストテーブル＞
図１３は、本実施例において機器リスト記憶部１４が保持する機器リストテーブルを説明する図である。図１３の説明では主に図６との相違を説明する。

【0133】

図１３の機器リストテーブルは、自宅/社内の項目を有している。自宅/社内の項目は、自宅９の画像形成装置２０か社内８の画像形成装置２０かを示すフラグである。

【0134】

クラウドサービスＡのログ管理部１３は、印刷ログに含まれるプリンタ名で機器リストテーブルの画像形成装置２０を特定する。ログ管理部１３は、特定した画像形成装置２０の自宅/社内の項目に基づいて、印刷ログが自宅９又は社内８の画像形成装置２０のどちらで印刷されたことを示すかを判断する。

【0135】

＜主な効果＞
本実施例の出力システム１によれば、実施例１の効果に加え、より精度よく、印刷ログが自宅９又は社内８の画像形成装置２０のどちらで印刷されたことを示すか判断できる。

【0136】

なお、ログ管理部１３は、実施例１の機器リストテーブルを実施例２の機器リストテーブルで置き換えてもよいし、実施例１と２の機器リストテーブルを併用してもよい。