IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東京精密の特許一覧

<>
  • 特開-テープ貼り付け装置 図1
  • 特開-テープ貼り付け装置 図2
  • 特開-テープ貼り付け装置 図3
  • 特開-テープ貼り付け装置 図4
  • 特開-テープ貼り付け装置 図5
  • 特開-テープ貼り付け装置 図6
  • 特開-テープ貼り付け装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041111
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】テープ貼り付け装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
H01L21/78 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148286
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 創
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA21
5F063AA35
5F063DF12
5F063FF00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】テープ貼り付け時に、マウントテーブルの外周部分からテープへの熱伝達を抑制し、マウントテーブルの外周部分のテープの貼り付きを抑制するとともに、ウエハ外周部分周辺に生じるテープ皺を低減する。
【解決手段】テープ貼り付け装置は、ウエハWを保持し、加熱するウエハ保持面21a有したマウントテーブル21と、マウントテーブルの外周を囲って配置され、マウントフレーム27を保持するフレームテーブル22と、ウエハ保持面に保持されているウエハ上に供給されるテープTをウエハに押し付けて、マウントテーブル上をウエハの一端から他端まで移動し、ウエハ保持面により加熱されたウエハの熱でテープをウエハに貼り付けるテープ貼り付け部と、ウエハ保持面上に保持されているウエハよりも外側のマウントテーブルの外周面21bとマウントフレームとの間に露出しているテープの露出部分Tbに向かう熱を抑制する冷却リング部材23と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープをウエハに貼り付けるテープ貼り付け装置であって、
前記ウエハを保持し、かつ、加熱するウエハ保持面を有したマウントテーブルと、
前記マウントテーブルの外周を囲って配置され、マウントフレームを保持するフレームテーブルと、
前記ウエハ保持面に保持されている前記ウエハ上に供給される前記テープを前記ウエハに押し付けて、前記マウントテーブル上を前記ウエハの一端側から他端側まで移動し、前記ウエハ保持面により加熱された前記ウエハの熱で前記テープを前記ウエハに貼り付けるテープ貼り付け手段と、
前記ウエハ保持面上に保持されている前記ウエハよりも外側の前記マウントテーブルの外周部分と前記マウントフレームとの間に露出している前記テープの露出部分に向かう熱を抑制する熱伝達抑制手段と、
を備える、ことを特徴とするテープ貼り付け装置。
【請求項2】
前記熱伝達抑制手段は、前記マウントテーブルと前記フレームテーブルとの間に配置され、内部の空間部に冷却用媒体を流して外表面を冷却する冷却リング部材を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のテープ貼り付け装置。
【請求項3】
前記熱伝達抑制手段は、前記マウントテーブルの外周面と対向する前記フレームテーブルの内周面に設けられ、内部に冷却用媒体を流して外表面を冷却する冷却リング部材を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のテープ貼り付け装置。
【請求項4】
前記熱伝達抑制手段は、前記ウエハ保持面上に保持されている前記ウエハよりも外側の前記マウントテーブルの前記外周部分を覆って、前記マウントテーブルと前記テープとの間に配置される環状の鍔片を有する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のテープ貼り付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ貼り付け装置に関し、特に例えばダイシングテープを半導体ウエハの表面に貼り付ける際、又は、表面保護テープをウエハの裏面に貼り付ける際に使用されるテープ貼り付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という)は、その表面に多数の素子の回路パターン、例えばバンプや微細回路がウエハ表面に形成されている。そこで、表面研削時及び搬送時に当該回路面の汚染及び損傷を防止するために、保護テープが貼り付けられている。
【0003】
半導体製造分野においては、ウエハが年々大型化する傾向にあり、実装密度を高めるためにウエハの薄葉化も進んでいる。また、ウエハを薄葉化するのに、ウエハの裏面を研削するバックグラインドが行われており、研削を行う際にはウエハ表面に形成された回路面を保護するために、表面保護テープをウエハ表面に貼り付けている。
【0004】
そして、表面に回路パターンが形成されたウエハは、最終的にはダイシングにより賽の目状に切断される。ダイシングの際には、ウエハは、ウエハの裏面に貼り付けされたダイシングテープによってフレームと一体にされる。次いで、ダイシング装置のダイシングブレードによってウエハの中間まで切り込むハーフカットを行うか、又はウエハを完全に切断するもののダイシングテープを途中まで切断するフルカットを行うようにしている。
【0005】
なお、ダイシングテープをウエハの裏面に貼り付ける前に、ウエハの裏面にダイアタッチフィルムテープ(一般に、これを「DAFテープ」と言う)を貼り付けることもある。DAFテープは、ダイシング後のダイボンディング時にダイの底面における接着剤の役目を果たす。また、ウエハと略等しい形状のダイアタッチフィルム(DAF)が予め設けられたダイシングテープ(一般に、これを「DCテープ」と言う)を使用してもよい。以下、単にテープ又はダイシングテープと呼ぶ場合は、特に断りのない限り、ダイシングテープ又はダイアタッチフィルムテープも含んでいるものとする。また、これらテープは、例えば熱可塑性樹脂(ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂等)と熱硬化性樹脂(エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂等)を成分とするポリマーアロイ型接着剤を用いたテープであって、通常は粘着性がなく、これを加熱(例えば100~160℃)することによって粘着性を示すように形成されている。
【0006】
ところで、一般的に、ウエハの裏面にダイシングテープを貼り付けるには、ウエハの外径よりも大きい幅を有するダイシングテープを用い、このダイシングテープをリールから所定量引き出し、これを加熱したウエハの裏面に貼り付けた後、ウエハの外周面に沿ってダイシングテープをくり抜くように切断することにより、ダイシングテープをウエハに貼り付けるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
図6は、従来のウエハWの裏面(以下、「テープ貼り付け面Wa」と言う)に、テープTを貼り付けるテープ貼り付け装置の一例を示す。図6に示すように、テープ貼り付け装置は、ウエハWを水平に吸着保持して加熱するマウントテーブル101と、このマウントテーブル101の外周を囲って配置されたフレームテーブル102と、マウントテーブル101に吸着保持されたウエハWの上面に沿って、ウエハWの一端側から他端側までフレームテーブル102とマウントテーブル101上を移動する貼り付けローラ103aを有するテープ貼り付け手段103と、を備えている。
【0008】
更に詳述すると、テープTは、図示しないテープ供給部から同じく図示しないテープ巻取部に移行する途中が、フレームテーブル102とマウントテーブル101の直上を通過するように配置される。そして、テープTの移行途中、すなわちフレームテーブル102とマウントテーブル101の直上で、貼り付けローラ103aをテープTの入側と出側の間で往復移動させてテープTをウエハW上に圧着させ、テープTの粘着面Taの粘着剤の一部をウエハW側の熱で溶かすと、テープTの粘着面TaがウエハWのテープ貼り付け面Waに貼り付き、ウエハWとテープTとが一体化される。
【0009】
また、ウエハWとテープTが一体化された後は、図示しないカッタでウエハWの外周面に沿ってテープTをくり抜くように切断される。これにより、ウエハWに対するテープTの貼り付け工程が終了し、マウントテーブル101上からウエハWを取り出せばよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006-5080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記した従来のテープ貼り付け装置は、マウントテーブル101の熱が、マウントテーブル101の外周部分からテープTに直接伝わり、テープTが例えば図7に示すようにウエハWの外側でマウントテーブル101の外周部分に付着したりする問題点があった。また、マウントテーブル101からの熱がウエハW上に均等に加えられず、ウエハW上の外周側の部分の熱が高くなり、高い熱を受けたウエハWの外周部分と当接する部分におけるテープTの伸び縮みが大きくなり、その伸び縮みによりテープしわが発生するという問題点があった。
【0012】
そこで、テープ貼り付け時に、マウントテーブルの外周部分からの熱がテープに伝わるのをなくし、マウントテーブルの外周部分等に貼り付くテープを抑制するとともに、ウエハ外周部分周辺に生じるテープしわを低減できるテープ貼り付け装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、テープをウエハに貼り付けるテープ貼り付け装置であって、前記ウエハを保持し、かつ、加熱するウエハ保持面を有したマウントテーブルと、前記マウントテーブルの外周を囲って配置され、マウントフレームを保持するフレームテーブルと、前記ウエハ保持面に保持されている前記ウエハ上に供給される前記テープを前記ウエハに押し付けて、前記マウントテーブル上を前記ウエハの一端側から他端側まで移動し、前記ウエハ保持面により加熱された前記ウエハの熱で前記テープを前記ウエハに貼り付けるテープ貼り付け手段と、前記ウエハ保持面上に保持されている前記ウエハよりも外側の前記マウントテーブルの外周部分と前記マウントフレームとの間に露出している前記テープの露出部分に向かう熱を抑制する熱伝達抑制手段と、を備える、テープ貼り付け装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、熱伝達抑制手段により、マウントテーブル上に保持されたウエハよりも外側におけるマウントテーブルの外周部分からテープ側に向かう熱を抑制し、テープ側には主としてウエハを介したマウントテーブル側の熱だけが供給され、ウエハのテープ貼り付け面には熱がほぼ均等に付与される。これにより、ウエハに貼り付けられたテープ全体の伸び縮みが均等化し、テープしわの発生が抑制される。また、熱伝達抑制手段により、マウントテーブル上に保持されたウエハよりも外側におけるマウントテーブルの外周部分から、ウエハとマウントフレームとの間に露出しているテープの露出部分に向かう熱を抑制するので、マウントテーブルの外周部分等に貼り付くテープをなくすことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記熱伝達抑制手段は、前記マウントテーブルと前記フレームテーブルとの間に配置され、内部の空間部に冷却用媒体を流して外表面を冷却する冷却リング部材を備える、テープ貼り付け装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、熱伝達抑制手段により、マウントテーブル上に保持されたウエハよりも外側におけるマウントテーブルの外周部分から、ウエハとマウントフレームとの間に露出しているテープの露出部分に向かう熱を抑制でき、そして、テープには、ウエハを介してマウントテーブル上の熱だけをほぼ均等に付与させることができる。これにより、マウントテーブル上のテープ全体の伸び縮みが均等化して部分的な伸び縮みがなくなり、テープしわの発生を抑制できる。また、熱伝達抑制手段は、内部の空間部に冷却用媒体を流して外表面を冷却する冷却リング部材として作られ、これをマウントテーブルとフレームテーブルとの間に配置するので、構造の簡略化並びに組み立ての簡略化が図れる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記熱伝達抑制手段は、前記マウントテーブルの外周面と対向する前記フレームテーブルの内周面に設けられ、内部に冷却用媒体を流して外表面を冷却する冷却リング部材を備える、テープ貼り付け装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、熱伝達抑制手段により、マウントテーブル上に保持されたウエハよりも外側におけるマウントテーブルの外周部分から、ウエハとマウントフレームとの間に露出しているテープの露出部分に向かう熱を抑制でき、そして、テープには、ウエハを介してマウントテーブル上の熱だけをほぼ均等に付与させることができる。これにより、マウントテーブル上のテープ全体の伸び縮みが均等化して部分的な伸び縮みがなくなり、テープしわの発生を抑制できる。また、熱伝達抑制手段は、内部に冷却用媒体を流して外表面を冷却する冷却リング部材として、フレームテーブルの内周部に一体に設けているので、構造の簡略化並びに組み立ての簡略化が図れる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記熱伝達抑制手段は、前記マウントテーブル上に保持された前記ウエハよりも外側における前記マウントテーブルの前記外周部分を覆って、前記テープとの間に配置される環状の鍔片を有する、テープ貼り付け装置を提供する。
【0020】
この構成によれば、環状の鍔片が、マウントテーブル上に保持されたウエハよりも外側におけるマウントテーブルの外周部分を覆うようにして、熱伝達抑制手段がマウントテーブルとテープとの間に配置されるので、マウントテーブル上に保持されたウエハよりも外側におけるマウントテーブルの外周部分からテープ側に向かう熱を確実に抑制し、そして、テープにはウエハを介してマウントテーブル上の熱だけをほぼ均等に付与させることができる。これにより、マウントテーブル上のテープ全体の伸び縮みを更に均等化して部分的な伸び縮みをなくし、テープしわの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、熱伝達抑制手段により、マウントテーブル上に保持されたウエハよりも外側におけるマウントテーブルの外周部分からテープ側に向かう熱を抑制し、テープには主としてマウントテーブル上の熱だけが、ウエハを介してほぼ均等に付与されるので、マウントテーブル上のテープ全体の伸び縮みが均等化して部分的な伸び縮みがなくなり、テープしわの発生を抑制できる。また、熱伝達抑制手段により、マウントテーブルの外周面からテープに向かう熱を遮断するので、マウントテーブルの外周部分等に貼り付くテープをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係る実施例として示すテープ貼り付け装置の概略構成断面図である。
図2】同上テープ貼り付け装置におけるテープ貼り付け部の部分拡大斜視図である。
図3】同上テープ貼り付け部における冷却リング部材を取り外した状態で示すテープ貼り付け部の部分拡大斜視図である。
図4図2のA-A線に沿う概略拡大断面図である。
図5】同上テープ貼り付け装置におけるテープ貼り付け部の一変形例を説明する図2のA―A線に相当する部分の概略拡大断面図である。
図6】従来のテープ貼り付け装置の一例を説明する概略構成断面図である。
図7】従来のテープ貼り付け装置の問題点を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、テープ貼り付け時に、マウントテーブルの外周部分からの熱がテープに伝わるのをなくし、マウントテーブルの外周部分等に貼り付くテープを抑制するとともに、ウエハ外周部分周辺に生じるテープしわを低減できるテープ貼り付け装置を提供するという目的を達成するために、テープをウエハに貼り付けるテープ貼り付け装置であって、前記ウエハを保持し、かつ、加熱するウエハ保持面を有したマウントテーブルと、前記マウントテーブルの外周を囲って配置され、マウントフレームを保持するフレームテーブルと、前記ウエハ保持面に保持されている前記ウエハ上に供給される前記テープを前記ウエハに押し付けて、前記マウントテーブル上を前記ウエハの一端側から他端側まで移動し、前記ウエハ保持面により加熱された前記ウエハの熱で前記テープを前記ウエハに貼り付けるテープ貼り付け手段と、前記ウエハ保持面上に保持されている前記ウエハよりも外側の前記マウントテーブルの外周部分と前記マウントフレームとの間に露出している前記テープの露出部分に向かう熱を抑制する熱伝達抑制手段と、を備える、構成としたことにより実現した。
【実施例0024】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0025】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0026】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0027】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明のテープ貼り付け装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。
【0028】
図1は本発明に基づくテープ貼り付け装置10の概略構成断面図である。図1に示されるテープ貼り付け装置10は、例えばウエハWに貼り付けされるダイシングテープ又は表面保護テープ等のテープTを供給するテープ供給部11と、テープ供給部11からのテープTを巻き取るテープ巻取部12と、を有している。
【0029】
更に詳述すると、テープ供給部11の下流には、テープTに所定の張力を掛けるガイドロール13が設けられており、さらにガイドロール13の下流には一対の剥離ロール14が設けられている。剥離ロール14はテープTのリリース15を剥離する役目を果たしており、リリース15はリリース巻取部16によって巻き取られる。一方、剥離ロール14の下流には、テープTをテープ貼り付け部20に案内するガイドロール17a、ガイドロール17bと、テープ巻取部12で巻き取るテープTに所定の張力を掛けるダンサロール18が設けられている。
【0030】
図1に示されるように、テープ貼り付け装置10のベース19には、テープ貼り付け部20が設置されている。図2はテープ貼り付け部20の一部を拡大して示す部分拡大斜視図、図3はテープ貼り付け部20における冷却リング部材23を取り外した状態で示す部分拡大斜視図、図4図2のA-A線に沿う概略拡大断面図である。テープ貼り付け部20は、テープTがダイシングテープである場合を一例としており、ここでは、マウントテーブル21と、フレームテーブル22と、熱伝達抑制手段としての冷却リング部材23と、貼り付けロール28と、を有している。
【0031】
図1乃至図4に示すマウントテーブル21は、上下方向に移動可能で、また上部には平面視円形をしたウエハ保持面21aを有して、ウエハ保持面21a上に吸引作用等によりウエハWを支持できる。さらに、マウントテーブル21の内部には、図4に示すようにウエハ保持面21a上に保持したウエハWのテープ貼り付け面Waを約100~160℃まで加熱できる加熱手段24が設けられている。また、ウエハ保持面21a上には、ウエハ保持面21a上に配置されたウエハWの水平方向への移動を規制する凹所29aを形成する、環状の位置決め壁29が設けられている。この位置決め壁29は、ウエハWの厚みと略同じ高さで形成されている。この位置決め壁29は、ウエハWの水平方向への移動及び回転方向への規制などが行えるものであれば、これ以外の部材で代用することも可能である。
【0032】
フレームテーブル22は、図1乃至図4に示されるように、マウントテーブル21との間に環状の隙間25を設けて、マウントテーブル21のウエハ保持面21aの外周を囲むようにして配設された固定のテーブルであり、上面にはマウントフレーム27を配置する凹部22bが設けられている。マウントフレーム27は、ダイシング時にウエハWが賽の目状に切断されるときに、ウエハWの各部分を保持する役目をする。
【0033】
冷却リング部材23は、マウントテーブル21とフレームテーブル22との間の隙間25内に、マウントテーブル21の外周面21bとフレームテーブル22の内周面22aと相対向して隣接配置される環状をした部材である。また、上部内周部には、マウントテーブル21の外周部分21c上を覆う鍔部23aが、マウントテーブル21の位置決め壁29に向かって略水平に設けられている。冷却リング部材23の内部には、環状をした空間部26が有し、また外部には空間部26の内部に通じる冷媒供給部26aと冷媒排出部26bが、それぞれ複数個ずつ設けられている。そして、冷却リング部材23における空間部26の内部には、冷媒供給部26aから、冷媒として、例えば冷却された気体または液体を供給し冷媒排出部26bから排出するようにして、冷媒を流すことにより、冷却リング部材23の全体を常に冷却できるようになっている。
【0034】
図1に示されるように、テープ貼り付け部20には、水平方向に往復移動する貼り付けロール28がマウントテーブル21の上方に配置されている。貼り付けロール28の長さは、ウエハW及びマウントフレーム27の最大幅よりも大きい。また、図面には示さないものの、貼り付けロール28は例えば二つのプーリに掛けられたエンドレスチェーンに連結されており、プーリは図示しないモータに接続されている。そして、モータを順方向及び逆方向に回転させることによって、貼り付けロール28をプーリ間で水平方向に往復運動させられる。当然のことながら、貼り付けロール28を他の駆動機構によって水平方向に往復運動できるようにしてもよい。また、図1から分かるように、貼り付けロール28がテープTを介してマウントテーブル21のウエハ保持面21a上を、ウエハWの一端側からウエハWの直径を通ってウエハWの他端側まで水平方向に移動することにより、テープTをウエハWに貼り付けることができる。
【0035】
なお、図示しないが、テープ貼り付け部20の上方には、カッタユニットが設けられる。カッタユニットは鉛直方向に往復運動できて、回転可能なカッタが設けられている。テープ貼付後にカッタユニットをウエハWまで移動させ、次いでカッタをウエハWの周縁に沿って回転させことにより、ウエハWに貼り付けられたテープTを切断できるようになっている。
【0036】
このように構成されたテープ貼り付け装置10のテープ貼り付け動作を次に説明する。テープTの貼り付けに先立ち、マウントテーブル21のウエハ保持面21a上にはウエハWが載置され、フレームテーブル22上にはマウントフレーム27が配置される。マウントテーブル21上に載置されたウエハWは、マウントテーブル21側からの吸引力でウエハ保持面21a上の凹所29a内に固定して保持される。また、ウエハ保持面21a上に固定載置されたウエハWは、マウントテーブル21に設けた加熱手段24により100℃から160℃の温度に加熱される。一方、マウントテーブル21とフレームテーブル22との間の隙間25には、空間部26の内部に冷媒が流されて冷却された冷却リング部材23が、その隙間25を略埋め、かつ、マウントテーブル21の外周部分21cを覆った状態で配置されている。これにより、冷却リング部材23がマウントテーブル21の外周面21bと外周部分21c、及び、位置決め壁29をそれぞれ冷やす。また、フレームテーブル22も、冷却リング部材23を介してマウントテーブル21から切り離しているので、フレームテーブル22がマウントテーブル21の熱で加熱されることがない。
【0037】
次いで、マウントテーブル21上にウエハWが固定保持されると、図1に示すように、テープTがテープ貼り付け部20の上方に待機される。そして、テープ供給部11からテープTが所定量だけ引き出され、引き出されたテープTは、ガイドロール13、剥離ロール14、ガイドロール17a、17b、貼り付けロール28、ガイドロール17b、17a、ダンサロール18を順次通過してテープ巻取部12に移行する。また、剥離ロール14から引き出されてテープ貼り付け部20上に移行された水平部分が、図1に示すようにマウントテーブル21及びフレームテーブル22の直上に位置している。
【0038】
次いで、貼り付けロール28が、テープTの水平部分をテープ貼り付け部20に押圧しながら、フレームテーブル22の一端側からフレームテーブル22の他端側の間を往復移動される。テープTが、貼り付けロール28によりマウントテーブル21上のウエハWに押圧されると、ウエハWはマウントテーブル21で100℃から160℃の温度に加熱されているので、テープTのウエハWに重なる部分における粘着面Taの接着剤が溶融し、テープTがウエハWのテープ貼り付け面Waに接着する。その後、ウエハWのテープ貼り付け面Waが冷却すると、テープTをテープ貼り付け面Waに貼り付けたままにできる。これによりウエハWへのテープTの貼り付けが完了する。その後、図示しないが、テープ貼り付け部20の上方に配置されているカッタユニットにより、ウエハWに貼り付けられたテープTがウエハWの周縁又はマウントテーブル21の周縁に沿って切断される。
【0039】
なお、本実施例のテープ貼り付け装置10では、マウントテーブル21とフレームテーブル22との間の隙間25に、熱伝達抑制手段である冷却リング部材23が設けられ、冷却リング部材23がマウントテーブル21の外周面21b及び外周部分21cを冷却している共に、冷却リング部材23がフレームテーブル22をマウントテーブル21から熱伝達的に切り離しているので、ウエハWとマウントフレーム27との間に露出している、テープTの露出部分Tbがマウントテーブル21の熱で直接加熱されることがない。すなわち、冷却リング部材23が、マウントテーブル21の外周面21b及び外周部分21cからテープTの露出部分Tbに直接向かう熱をそれぞれ遮断し、主としてマウントテーブル21のウエハ保持面21a上の熱だけが、ウエハWを介してテープTにほぼ均等に付与される。これにより、マウントテーブル21(ウエハWのテープ貼り付け面Wa)上のテープT全体の伸び縮みが均等化して、テープTの部分的な伸び縮みがなくなり、テープTのしわの発生が抑制される。また、熱伝達抑制手段である冷却リング部材23により、マウントテーブル21の外周面21b及び外周部分21cからテープTの露出部分Tbに向かう熱を遮断するので、マウントテーブル21の外周面21b及び外周部分21cに貼り付くテープTをなくすことがでる。したがって、どのウエハWでもテープTを一定の状態で貼り付けることができるので、製品の品質の向上を図ることができる。
【0040】
なお、上記実施例では、熱伝達抑制手段として、マウントテーブル21の外周面21bと相対向して隣接しているフレームテーブル22の内周面22aに、マウントテーブル21との隙間25を埋めてフレームテーブル22と別体に形成した、空間部26の内部に気体又は液体でなる冷却用媒体を流し、外表面が冷却される冷却リング部材23を設けた構造を開示した。しかし、この構造に限らず、例えば図5に示すように、熱伝達抑制手段として、マウントテーブル21の外周面21bと相対向して隣接しているフレームテーブル22の内周部に、マウントテーブル21との隙間25を埋めて冷却リング部材23をフレームテーブル22と一体に形成した構造にしてもよい。図5中では、同図中に仮想線30で示す境界箇所の内側(中心側)が冷却リング部材23に相当する。
【0041】
また、図5に示すテープ貼り付け部20は、図2のA―A線に相当する部分の概略拡大断面図であって、図4に示すテープ貼り付け部20と同じ符号を付して示している部材は、図4に示しているテープ貼り付け部20に対応している部材であり、その働きも同じである。そして、図5に示すテープ貼り付け部20における熱伝達抑制手段としての冷却リング部材23は、フレームテーブル22の内周部にフレームテーブル22と一体に設けられるので、構造の簡略化並びに組み立ての簡略化が図れる。
【0042】
また、本発明は、上記以外にも、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0043】
10 :テープ貼り付け装置
11 :テープ供給部(テープ供給手段)
12 :テープ巻取部
13 :ガイドロール
14 :剥離ロール
15 :リリース
16 :リリース巻取部
17a:ガイドロール
17b:ガイドロール
18 :ダンサロール
19 :ベース
20 :テープ貼り付け部(テープ貼り付け手段)
21 :マウントテーブル
21a:ウエハ保持面
21b:外周面
21c:外周部分
22 :フレームテーブル
22a:内周面
22b:凹部
23 :冷却リング部材(熱伝達抑制手段)
23a:鍔部
24 :加熱手段
25 :隙間
26 :空間部
26a:冷媒供給部
26b:冷媒排出部
27 :マウントフレーム
28 :貼り付けロール
29 :位置決め壁
29a:凹所
30 :仮想線
T :テープ
Ta :粘着面
Tb :露出部分
W :ウエハ
Wa :テープ貼り付け面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7