(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041471
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/31 20130101AFI20230316BHJP
【FI】
G06F21/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148864
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大崎 博基
(57)【要約】
【課題】ログインに使用する識別情報の重複を許容可能とすること。
【解決手段】情報処理装置は、識別情報及びパスワードを含むログイン要求に応じ、各ユーザのユーザ情報を記憶する記憶部から前記ログイン要求に含まれる識別情報に対応するユーザ情報を検索する検索部と、複数のユーザ情報が検索された場合に、当該複数のユーザ情報のうちのいずれか一つのユーザ情報を、ログインを許可するユーザに係るユーザ情報として選択する選択部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報及びパスワードを含むログイン要求に応じ、各ユーザのユーザ情報を記憶する記憶部から前記ログイン要求に含まれる識別情報に対応するユーザ情報を検索する検索部と、
複数のユーザ情報が検索された場合に、当該複数のユーザ情報のうちのいずれか一つのユーザ情報を、ログインを許可するユーザに係るユーザ情報として選択する選択部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記ログイン要求の送信元の端末に対して前記複数のユーザ情報を選択肢とする情報を送信し、前記端末において前記複数のユーザ情報の中から選択されたユーザ情報を、ログインを許可するユーザに係るユーザ情報として選択する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記識別情報及びパスワードが前記記憶部に記憶された順番に基づいて、前記複数のユーザ情報の中から一つのユーザ情報を選択する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記複数のユーザ情報のうち最後に選択したユーザ情報を選択する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検索部は、前記ログイン要求に含まれる識別情報及びパスワードに対応するユーザを前記記憶部から検索する、
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検索部は、前記ログイン要求に含まれる識別情報に対応するユーザの中で、当該ユーザに対するパスワードポリシーが前記ログイン要求に含まれるパスワードに適合するユーザを検索する、
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項7】
識別情報及びパスワードを含むログイン要求に応じ、各ユーザのユーザ情報を記憶する記憶部から前記ログイン要求に含まれる識別情報に対応するユーザ情報を検索する検索手順と、
複数のユーザ情報が検索された場合に、当該複数のユーザ情報のうちのいずれか一つのユーザ情報を、ログインを許可するユーザに係るユーザ情報として選択する選択手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
識別情報及びパスワードを含むログイン要求に応じ、各ユーザのユーザ情報を記憶する記憶部から前記ログイン要求に含まれる識別情報に対応するユーザ情報を検索する検索手順と、
複数のユーザ情報が検索された場合に、当該複数のユーザ情報のうちのいずれか一つのユーザ情報を、ログインを許可するユーザに係るユーザ情報として選択する選択手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ログインするためのユーザ名として、ユーザのメールアドレスを利用可能なシステムが有る。例えば、特許文献1には、メールアドレスを使ってユーザを特定してログインできるようにする目的で、連絡用メールアドレスがユーザを一意に特定できるかどうかを判定し,一意に特定できる場合にメールアドレスを使ってログインできるようにする構成が開示されている。
【0003】
他方において、ユーザ名とそのユーザが属するテナント(部署等のサービスの契約者)との組み合わせごとにユーザ情報が登録されるシステムが有る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ログインするためのユーザ名としてメールアドレスなどの識別情報を利用可能なシステムでは、メールアドレスの重複登録は許容されない。メールアドレスはユーザごとに一意であるからである。
【0005】
一方、ユーザ名とテナントとの組み合わせにごとにユーザ情報が区別される場合において、同一人物を複数のテナントに割り当てたい場合がある。このような場合において、メールアドレスをユーザ名として使用する場合、従来技術ではメールアドレスが重複する複数のユーザ情報を登録できないため、同一人物を複数のテナントに割り当てることが困難になってしまう。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、ログインに使用する識別情報の重複を許容可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、識別情報及びパスワードを含むログイン要求に応じ、各ユーザのユーザ情報を記憶する記憶部から前記ログイン要求に含まれる識別情報に対応するユーザ情報を検索する検索部と、複数のユーザ情報が検索された場合に、当該複数のユーザ情報のうちのいずれか一つのユーザ情報を、ログインを許可するユーザに係るユーザ情報として選択する選択部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
ログインに使用する識別情報の重複を許容可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態におけるシステム構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態における情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態における情報処理装置10の機能構成例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態において情報処理装置10が実行する処理手順の一例を説明するための図である。
【
図6】ユーザ情報記憶部121の構成例を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態におけるエントリ選択画面の表示例を示す図である。
【
図8】第2の実施の形態における情報処理装置10の機能構成例を示す図である。
【
図9】パスワードポリシー記憶部122の構成例を示す図である。
【
図10】第2の実施の形態におけるエントリ選択画面の表示例を示す図である。
【
図11】第3の実施の形態におけるエントリ選択画面の表示例を示す図である。
【
図12】第4の実施の形態において情報処理装置10が実行する処理手順の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態におけるシステム構成例を示す図である。
図1において、情報処理装置10は、インターネット等のネットワークを介して、ユーザ端末20a,ユーザ端末20b及びユーザ端末20b等(以下、それぞれを区別しない場合、単に「ユーザ端末20」という。)と接続する。各ユーザ端末20は、いずれかのテナント(
図1では、テナントA、テナントB又はテナントC等)に属するユーザによって利用される。テナントとは、情報処理装置10が提供するサービスについて利用契約を行った者をいい、例えば、法人、個人又は公的な組織等の複数人の集等である。
【0011】
情報処理装置10は、例えば、クラウドサービス等、ネットワークを介して利用可能なサービス(以下、単に「サービス」という。)を提供する1以上のコンピュータである。
【0012】
ユーザ端末20は、サービスのユーザが利用するPC(Personal Computer)、タブレット端末、又はスマートフォン等の端末である。なお、サービスを利用するためには、ユーザは、情報処理装置10へログインする必要がある。
【0013】
図1では、各ユーザ端末20を利用する各ユーザについて、いずれのテナントに所属するのかが、テナントを示す破線の枠線とユーザ端末20との包含関係によって示されている。すなわち、ユーザ端末20aのユーザは、テナントX、Y及びZに属することが示されている。ユーザ端末20bのユーザは、テナントX及びYに属することが示されている。ユーザ端末20cのユーザは、テナントZに属することが示されている。このように、本実施の形態において、或るユーザは、複数のテナントに属しうる(或るユーザに対して複数のテナントを割り当て可能である)。1人のユーザが複数のテナントに属するケースの一例として、以下にケース(1)~(3)を示す。
【0014】
(1)支社(事業所)あるいは部署レベルのテナント(例えば、テナントX又はY)に属しているユーザが、全社レベルのテナント(例えば、テナントZ)にも所属する必要が生じた。
【0015】
(2)会社のテナント(例えば、テナントY又はZ)に所属しているユーザが、プライベート(例えば、テナントX)でも情報処理装置10を利用したい。逆に、プライベート(例えば、テナントX)で情報処理装置10を利用しているユーザが、会社(例えば、テナントY又はZ)でも情報処理装置10を利用することになった。
【0016】
(3)本社のテナント(例えば、テナントZ)に所属しているユーザが、出向のため出向先のテナント(例えば、テナントX)にも所属する必要が生じた。
【0017】
なお、ユーザ端末20とユーザとの関係は、1対1でなくてもよい。すなわち、ユーザ端末20は、複数のユーザによって共用されてもよい。
【0018】
図2は、第1の実施の形態における情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図2の情報処理装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
【0019】
情報処理装置10での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0020】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って情報処理装置10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0021】
図3は、第1の実施の形態における情報処理装置10の機能構成例を示す図である。
図3において、情報処理装置10は、ログイン要求受信部11、ログイン候補検索部12及びログイン対象選択部13を有する。これら各部は、情報処理装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。情報処理装置10は、また、ユーザ情報記憶部121を利用する。ユーザ情報記憶部121は、例えば、補助記憶装置102、又は情報処理装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0022】
ログイン要求受信部11は、ユーザ端末20から送信されるログイン要求を受信する。ログイン要求は、ユーザのメールアドレス及びパスワードを含む。ここで、メールアドレスはログインに使用する識別情報の一例である。ただし、ログインに使用する識別情報はメールアドレスに限定されず、氏名、電話番号、IDなどユーザを識別できる情報であれば良い。
【0023】
ログイン候補検索部12は、ユーザ情報記憶部121に記憶されているエントリ(ユーザ情報)の中から、当該ログイン要求に基づいてログインが許可されるエントリの候補を検索する。
【0024】
ログイン対象選択部13は、ログイン候補検索部12が検索したエントリの中から、ログインを許可するユーザに係る1つのエントリを選択する。
【0025】
以下、情報処理装置10が実行する処理手順について説明する。
図4は、第1の実施の形態において情報処理装置10が実行する処理手順の一例を説明するための図である。
【0026】
いずれかのユーザが情報処理装置10へログインする場合、ユーザ端末20はユーザの操作に応じて、例えば、
図5に示すようなログイン画面を表示する。ユーザが、ログイン画面に対してメールアドレス及びパスワードを入力すると、当該ユーザ端末20は当該メールアドレス及び当該パスワードを含むログイン要求を情報処理装置10へ送信する。
【0027】
ステップS101において、ログイン要求受信部11は、当該ログイン要求を受信する。続いて、ログイン候補検索部12は、ユーザ情報記憶部121に記憶されたエントリ(ユーザ情報)のうち、当該ログイン要求に基づいてログインが許可されるエントリの候補(以下、「候補エントリ」という。)を、ユーザ情報記憶部121から検索する(S102)。
【0028】
図6は、ユーザ情報記憶部121の構成例を示す図である。
図6に示されるように、ユーザ情報記憶部121は、テナントID及びユーザIDの組ごとに、メールアドレス、パスワード、作成日時及びログイン日時等を含むエントリを記憶する。
【0029】
テナントIDは、ユーザが属するテナントの識別情報である。ユーザIDは、情報処理装置10が各ユーザを識別するための識別情報である。なお、ユーザIDは、全てのテナントを跨いで一意であってもよいし、テナント内で一意であってもよい。メールアドレスは、ログインの際のユーザの識別情報として利用されるメールアドレスである。パスワードは、ログインの際にユーザの正当性を確認するための文字列である。作成日時は、ユーザ情報記憶部121に対してエントリが記憶された日時である。すなわち、作成日時は、ユーザ情報記憶部121に対してメールアドレス及びパスワード等が記憶された日時である。ログイン日時は、ユーザが最後にログインした日時である。
【0030】
なお、メールアドレスとユーザとは1対1に対応する。換言すれば、ユーザ情報記憶部121において、メールアドレスが共通するエントリは、同一ユーザに対応するが、テナントが異なるエントリである。
【0031】
例えば、
図6には、メールアドレスが「yamada@abc.com」である4つのエントリが示されている。これらは、yamada@abc.comをメールアドレスとして有する1人のユーザに対するエントリである。このように、本実施の形態では、エントリ間においてメールアドレスの重複が許容される。
【0032】
また、メールアドレスが同じエントリ間におけるパスワードの重複も許容される。例えば、
図6の例では、メールアドレスが「yamada@abc.com」であるエントリのうち、テナントIDが「11111111」又は「222222222」である2つのエントリ間においてパスワードが同じ「AAAAAA1234」である。
【0033】
第1の実施では、ユーザ情報記憶部121に記憶されているメールアドレス及びパスワードが、ログイン要求に含まれるメールアドレス及びパスワードと一致するエントリが候補エントリとして検索される。
【0034】
候補エントリが存在しない場合(S103でNo)、ログイン候補検索部12は、ログインの失敗を示す応答をユーザ端末20へ送信する(S104)。この場合、ユーザ端末20は、当該応答を受信すると、ログイン画面(
図5)を再表示する。
【0035】
候補エントリが1以上存在する場合(S103でYes)、ログイン候補検索部12は、各候補エントリの一覧(以下、「候補エントリ一覧」という。)をユーザ情報記憶部121から取得する(S105)。
【0036】
続いて、ログイン対象選択部13は、候補エントリ一覧に含まれる候補エントリが複数であるか否かを判定する(S106)。候補エントリ一覧に含まれる候補エントリが一つである場合(S106でNo)、ログイン対象選択部13は、当該候補エントリをログインユーザに係るエントリとして選択する(S107)。ログイン対象選択部13は、ユーザ情報記憶部121(
図6)において、ログインユーザに係るエントリのログイン日時を現在日時に更新する。
【0037】
一方、候補エントリ一覧に含まれる候補エントリが複数である場合(S106でYes)、ログイン対象選択部13は、複数の候補エントリのそれぞれのテナントID及びユーザIDの組を選択肢として含む情報(エントリ選択画面の画面データ)を生成し、当該画面データをログイン要求の送信元のユーザ端末20へ送信する(S108)。ユーザ端末20は、当該画面データに基づいて、エントリ選択画面を表示する。
【0038】
図7は、第1の実施の形態におけるエントリ選択画面の表示例を示す図である。
図7に示されるように、エントリ選択画面510は、候補エントリごとに、テナントID及びユーザIDと、選択ボタン511とを含む。なお、
図7は、ログイン要求に含まれるメールアドレスが「yamada@abc.com」であり、パスワードが「AAAAAA1234」である場合のエントリ選択画面510の表示例である。したがって、ユーザ情報記憶部121(
図6)の中で、当該メールアドレス及び当該パスワードに対応する2つの候補エントリのテナントID及びユーザIDが選択肢とされている。
【0039】
ユーザが、エントリ選択画面510に表示されたテナントID及びユーザIDの一覧の中から、所望の(例えば、今回のログインの対象としたい)テナントID及びユーザIDに対応する選択ボタン511を選択すると、ユーザ端末20は、当該テナントID及び当該ユーザIDとを含む選択結果をログイン対象選択部13へ送信する。
【0040】
ステップS109において、ログイン対象選択部13は、当該選択結果を受信する。続いて、ログイン対象選択部13は、当該選択結果に含まれるテナントID及びユーザIDに係る候補エントリをログインユーザに係るエントリとして選択する(S110)。ログイン対象選択部13は、ユーザ情報記憶部121(
図6)において、ログインユーザに係るエントリのログイン日時を現在日時に更新する。
【0041】
上述したように、第1の実施の形態によれば、異なるテナント間において、ログインに使用する識別情報の重複を許容可能とすることができる。
【0042】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0043】
図8は、第2の実施の形態における情報処理装置10の機能構成例を示す図である。
図8中、
図2と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0044】
図8に示されるように、第2の実施の形態において、情報処理装置10は、更に、パスワードポリシー記憶部122を利用する。パスワードポリシー記憶部122は、例えば、補助記憶装置102、又は情報処理装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0045】
パスワードポリシー記憶部122は、テナントごとに、当該テナントにおいて規定されているパスワードポリシーを記憶する。パスワードポリシーとは、パスワードの構成に関する制約条件を示す情報をいう。より具体的には、パスワードポリシーとは、パスワードに使用できる文字数や、文字の組み合わせなどに関する条件を示す情報をいう。
【0046】
図9は、パスワードポリシー記憶部122の構成例を示す図である。
図9に示されるように、パスワードポリシー記憶部122は、テナントIDに関連付けて、当該テナントIDに係るテナントにおいて規定されているパスワードポリシーを記憶する。
図9には、パスワード長、数字要否及び記号要否がパスワードポリシーの構成要素である例が示されている。パスワード長とは、パスワードの文字数に関する規定である。数字要否とは、1以上の数字をパスワードに含めることの要否である。記号要否とは、1以上の記号をパスワードに含めることの要否である。なお、
図9に示すパスワードポリシーは一例に過ぎない。他の構成要素によって構成されるパスワードポリシーが利用されてもよい。
【0047】
第2の実施の形態において、情報処理装置10が実行する基本的な処理手順は、
図4に示した処理手順と同様である。但し、第2の実施の形態では、
図4のステップS102において検索される候補エントリの定義が第1の実施の形態と異なる。具体的には、ステップS102において、ログイン候補検索部12は、ユーザ情報記憶部121に記憶されているメールアドレスが、ログイン要求に含まれるメールアドレスに対応するエントリの中で、当該エントリに係るテナントのパスワードポリシーがログイン要求に含まれるパスワードに適合するエントリを候補エントリとして検索する。
【0048】
この場合、ステップS108において、ログイン対象選択部13は、
図10に示されるようなエントリ選択画面510の画面データを生成する。
図10は、ログイン要求に含まれるメールアドレスが「yamada@abc.com」であり、パスワードが「AAAAAA1234」である場合のエントリ選択画面510の表示例である。ユーザ情報記憶部121(
図6)の中で、当該メールアドレスを含むエントリは4つである。これら4つのエントリのそれぞれのテナントIDに係るテナントのパスワードポリシー(
図9)のうち、「AAAAAA1234」に適合する(「AAAAAA1234」が満たす)パスワードポリシーは、テナントIDが「11111111」、「222222222」又は「333333333」に係るテナントのパスワードポリシーである。したがって、これら3つのテナントのいずれかに係る3つのエントリが候補エントリに該当する。したがって、
図10のエントリ選択画面510は、当該候補エントリのテナントID及びユーザID等を含む。
【0049】
上述したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、入力されたパスワードと完全に一致するパスワードを含むエントリだけではなく、パスワードポリシーが入力されたパスワードに適合するエントリも候補エントリとすることができる。したがって、例えば、1つのテナントに対するパスワードの設定によって、入力されたパスワードに適合するパスワードポリシーに対応するテナントの範囲において、複数のテナントのいずれかにログイン可能とすることができる。
【0050】
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0051】
第3の実施の形態では、
図4のステップS102において検索される候補エントリの定義が第1の実施の形態と異なる。具体的には、ステップS102において、ログイン候補検索部12は、ユーザ情報記憶部121に記憶されているメールアドレスが、ログイン要求に含まれるメールアドレスと一致するエントリを候補エントリとして検索する。すなわち、ユーザ情報記憶部121に登録されているエントリのうち、メールアドレスがログイン要求に一致しているエントリであれば、パスワードがログイン要求と異なっていても候補エントリとして検索される。
【0052】
この場合、ステップS108において、ログイン対象選択部13は、
図11に示されるようなエントリ選択画面510の画面データをユーザ端末20へ送信する。
図11は、ログイン要求に含まれるメールアドレスが「yamada@abc.com」である場合のエントリ選択画面510の表示例である。したがって、ユーザ情報記憶部121(
図6)の中で、当該メールアドレスに対応する四つの候補エントリのテナントID及びユーザIDが選択肢とされている。
【0053】
上述したように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、異なるテナントに対して登録されている、識別情報(メールアドレス)が一致するエントリのうちのいずれかに設定されているパスワードと一致すれば、当該エントリのいずれのユーザとしてもログイン可能とすることができる。
【0054】
次に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では第1~第3の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1~第3の実施の形態のいずれかと同様でもよい。
【0055】
図12は、第4の実施の形態において情報処理装置10が実行する処理手順の一例を説明するための図である。第4の実施の形態において、情報処理装置10は、
図4の処理手順の代わりに
図12の処理手順を実行する。
図12中、
図4と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0056】
図12では、
図4におけるステップS108~S110が、ステップS111に置き換わっている。ステップS111において、ログイン対象選択部13は、複数の候補エントリの中で優先度が最も高い候補エントリを、ログインユーザに係るエントリとして選択する。ログイン対象選択部13は、ユーザ情報記憶部121(
図6)において、ログインユーザに係るエントリのログイン日時を現在日時に更新する。
【0057】
ここで、各候補エントリの優先度は、各候補エントリがユーザ情報記憶部121に記憶(登録)された順番に基づいて特定されてもよい。例えば、作成日時が先である(早い)ほど、優先度が高いとされてもよい。この場合、ログイン対象選択部13は、複数の候補エントリの中で作成日時が最も早い候補エントリを選択する。又は、作成日時が後である(遅い)ほど、優先度が高いとされてもよい。この場合、ログイン対象選択部13は、複数の候補エントリの中で作成日時が最も遅い候補エントリを選択する。
【0058】
又は、ログイン日時が後である(遅い)ほど、優先度が高いとされてもよい。この場合、ログイン対象選択部13は、複数の候補エントリの中でログイン日時が最後である候補エントリ(最後に選択した候補エントリ)を選択する。
【0059】
上述したように、第4の実施の形態によれば、第1~第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、作成日時が先であるエントリの優先度を高くする場合、例えば、識別情報(メールアドレス)が重複するエントリが複数のテナントに対して意図せず作成されてしまった場合でも、ユーザは、従来利用していたテナントのユーザとしてログインすることができる。
【0061】
また、作成日時が後であるエントリの優先度を高くする場合、例えば、新しく作成したエントリでの迅速なログインを可能とすることができる。
【0062】
また、ログイン日時が後であるエントリの優先度を高くする場合、例えば、ユーザの利用頻度が最も高いエントリでのログインを容易化することができる。
【0063】
なお、情報処理装置10又はユーザ端末20は、通信機能を備えた装置であれば、PC等の汎用的なコンピュータに限られない。情報処理装置10は、例えば、画像形成装置、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0064】
なお、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0065】
なお、本実施の形態において、ログイン候補検索部12は、検索部の一例である。ログイン対象選択部13は、選択部の一例である。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 情報処理装置
11 ログイン要求受信部
12 ログイン候補検索部
13 ログイン対象選択部
20 ユーザ端末
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
121 ユーザ情報記憶部
122 パスワードポリシー記憶部
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】