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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041487
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】プラズマ源及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20230316BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230316BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20230316BHJP
   C23C 16/511 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
H05H1/46 B
H05H1/46 M
H01L21/31 C
C23C16/509
C23C16/511
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148890
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】池田 太郎
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084BB02
2G084BB06
2G084CC05
2G084CC06
2G084CC12
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD05
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD24
2G084FF02
2G084FF15
4K030EA06
4K030FA01
4K030FA03
4K030JA03
4K030KA30
4K030KA47
5F045AA08
5F045AA15
5F045BB08
5F045DP03
5F045EF05
5F045EH03
5F045EH11
5F045EH18
5F045EH20
5F045EM09
(57)【要約】
【課題】プラズマ着火を容易にし、ガスの分解効率を向上させる。
【解決手段】開口を持つ第1壁及び前記第1壁に対向する第2壁を有し、プラズマ生成空間を構成するプラズマ生成部と、前記開口を塞ぐように前記第1壁に設けられ、前記プラズマ生成空間に電磁波を透過するように構成された誘電体窓と、前記第2壁に設けられ、前記誘電体窓に近接するように前記第2壁から突出し、少なくとも一部に導体を含んだ突出部と、を有し、前記突出部には前記誘電体窓に向けて開口するガス孔が設けられているプラズマ源が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を持つ第1壁及び前記第1壁に対向する第2壁を有し、プラズマ生成空間を構成するプラズマ生成部と、
前記開口を塞ぐように前記第1壁に設けられ、前記プラズマ生成空間に電磁波を透過するように構成された誘電体窓と、
前記第2壁に設けられ、前記誘電体窓に近接するように前記第2壁から突出し、少なくとも一部に導体を含んだ突出部と、を有し、
前記突出部には前記誘電体窓に向けて開口するガス孔が設けられているプラズマ源。
【請求項2】
前記ガス孔の端面は、拡径されている、
請求項1に記載のプラズマ源。
【請求項3】
前記突出部は、誘電体で形成されている、
請求項1又は2に記載のプラズマ源。
【請求項4】
前記導体は、前記誘電体の中に埋め込まれている、
請求項3に記載のプラズマ源。
【請求項5】
前記導体は、前記ガス孔の端面近傍の前記ガス孔の外周に埋め込まれ、前記ガス孔に露出しない、
請求項4に記載のプラズマ源。
【請求項6】
前記導体は、ドーナツ形状である、
請求項1~5のいずれか一項に記載のプラズマ源。
【請求項7】
前記導体の外径の直径は、10mm以上28mm以下である、
請求項6に記載のプラズマ源。
【請求項8】
前記突出部は導体で形成され、前記導体の周囲は誘電体で被覆されている、
請求項1又は2に記載のプラズマ源。
【請求項9】
前記第1壁と前記第2壁の距離はプラズマ表皮深さの10倍~100倍である、
請求項1~8のいずれか一項に記載のプラズマ源。
【請求項10】
前記プラズマ源は、連結部を介してプラズマ処理装置の上部に配置され、
前記プラズマ処理装置は基板を処理する処理室を有し、
前記プラズマ生成部は、前記プラズマ処理装置の外部に設けられ、前記電磁波により前記ガス孔から供給したガスから生成したプラズマを前記連結部に通して前記処理室に供給する、
請求項1~9のいずれか一項に記載のプラズマ源。
【請求項11】
前記第2壁には複数の貫通孔が形成されている、
請求項1~9のいずれか一項に記載のプラズマ源。
【請求項12】
前記プラズマ源は、プラズマ処理装置の上部に配置され、
前記プラズマ処理装置は基板を処理する処理室を有し、
前記プラズマ生成部は、一部が前記プラズマ処理装置の内部に設けられ、前記電磁波により前記ガス孔から供給したガスから生成したプラズマを前記複数の貫通孔から前記処理室に供給する、
請求項11に記載のプラズマ源。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のプラズマ源を有するプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ源及びプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低温で高品質な膜を得るためにプラズマを使用して成膜を行うことは重要である。また、近年成膜において薄膜化が進んできており、プラズマALD(Atomic Layer Deposition)法による成膜が取り入れられている。プラズマを用いることで、低温で高品質の薄膜が得られる一方、プラズマによる膜への電気的なダメージや物理的なダメージが課題となる場合がある。これを解決するために、リモートソースを用いたALD法による成膜が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1、2は、ICP(Inductively Coupled Plasma)タイプのリモートプラズマ源を有したリモートプラズマ処理装置の構成を開示している。このようにリモートソースにICP型のリモートソースを使用する場合、プラズマの安定範囲が狭く、プラズマ着火が容易ではない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-150023号公報
【特許文献2】特開2014-49529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、プラズマ着火を容易にし、ガスの分解効率を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、開口を持つ第1壁及び前記第1壁に対向する第2壁を有し、プラズマ生成空間を構成するプラズマ生成部と、前記開口を塞ぐように前記第1壁に設けられ、前記プラズマ生成空間に電磁波を透過するように構成された誘電体窓と、前記第2壁に設けられ、前記誘電体窓に近接するように前記第2壁から突出し、少なくとも一部に導体を含んだ突出部と、を有し、前記突出部には前記誘電体窓に向けて開口するガス孔が設けられているプラズマ源が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、プラズマ着火を容易にし、ガスの分解効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るプラズマ処理装置を示す断面斜視図。
図2図1に示すプラズマ源の領域Aの拡大図。
図3】プラズマ電子密度のシミュレーション結果の一例を示す図。
図4】第1実施形態に係るプラズマ源を示す斜視図。
図5】電磁波供給部の一例を示す図。
図6】突出部の変形例を示す図。
図7】第2実施形態に係るプラズマ処理装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
<第1実施形態>
[プラズマ処理装置]
第1実施形態に係るプラズマ処理装置2について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るプラズマ処理装置2を示す断面斜視図である。図2は、図1に示す領域Aの拡大図である。
【0011】
図1に示すプラズマ処理装置2は、プラズマ源1を有する。プラズマ源1は、連結部23を介してプラズマ処理装置2の上部に配置されている。プラズマ源1は、第1チャンバ22と電磁波供給部36と突出部24とを有する。第1チャンバ22は、プラズマ処理装置2の中心軸線としての軸線AXの方向に延びる扁平な矩形状の容器である。第1チャンバ22及び電磁波供給部36はプラズマ生成部の一例である。第1実施形態では、プラズマ生成部はプラズマ処理装置2の外部に設けられる。
【0012】
第1チャンバ22を構成する壁のうち最も大きな面積を持つ対向する2つの壁を第1壁22a(図4参照)及び第2壁22bという。第1チャンバ22は内部にプラズマ生成空間22dを構成する。第1壁22aには開口22eが形成されている。誘電体窓38は、アルミナ(Al)等のセラミックス(誘電体)から形成され、マイクロ波等の電磁波を透過するように構成されている。誘電体窓38は、開口22eを塞ぐように第1壁22aの壁面に沿って設けられている。誘電体窓38は、電磁波供給部36の先端に設けられ、電磁波供給部36から供給される電磁波をプラズマ生成空間22dに透過する。電磁波はマイクロ波を含む。マイクロ波の周波数帯域は300MHz~3THzである。電磁波は周波数帯域が150MHz~300MHzのVHF波を含んでもよい。
【0013】
突出部24は、第2壁22bに設けられ、誘電体窓38に近接するように第2壁22bから突出し、少なくとも一部に導体を含んでいる。導体は電極として機能する。突出部24には誘電体窓38に向けて開口するガス孔24cが設けられている。突出部24の構成及び機能については後述する。
【0014】
突出部24のガス孔24cは、ガス供給部50に接続され、ガス供給部50からの還元ガスをプラズマ生成空間22dに供給する。第1チャンバ22では、プラズマ生成空間22dにおいて、電磁波供給部36から供給される電磁波の電界により突出部24のガス孔24cから供給するガスを分解してプラズマが生成される。生成されたプラズマ中のラジカルはプラズマ処理装置2に供給され、基板Wの処理に使用される。プラズマ処理装置2は、第2チャンバ10を有する。なお、還元ガス以外の処理ガスは、例えば、第2チャンバ10の側壁から直接処理室30eに供給してもよい。
【0015】
実施形態においては、第2チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有しており、その上部において開口している。チャンバ本体12は、第2チャンバ10の側壁及び底部を提供している。チャンバ本体12は、アルミニウム等の金属から形成されている。チャンバ本体12は、接地されている。
【0016】
第2チャンバ10は、上壁14を更に含んでいる。上壁14は、アルミニウム等の金属から形成されている。上壁14は、チャンバ本体12の上部の開口を閉じている。上壁14は、チャンバ本体12と共に接地されている。
【0017】
プラズマ処理装置2は、載置台18を更に備える。載置台18は、第2チャンバ10内に設けられている。載置台18は、その上に載置される基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略水平な状態で載置台18上に載置される。載置台18は、支持部材19によって支持されていてもよい。支持部材19は、第2チャンバ10の底部から上方に延びている。載置台18及び支持部材19は、窒化アルミニウム等の誘電体から形成され得る。
【0018】
プラズマ処理装置2は、シャワーヘッド20を更に備える。シャワーヘッド20は、アルミニウム等の金属から形成されている。シャワーヘッド20は、略円盤形状を有しており、中空構造を有する。シャワーヘッド20は、その中心軸線として軸線AXを共有している。シャワーヘッド20は、載置台18の上方、且つ、上壁14の下部に設けられている。シャワーヘッド20は、第2チャンバ10の内部空間を画成する天部を構成する。
【0019】
第2チャンバ10は、シャワーヘッド20と載置台18との間に基板を処理する処理室30eを有する。基板Wは処理室30eにおいて処理される。第2チャンバ10は、その中心軸線として軸線AXを有している。軸線AXは、第2チャンバ10の中心を鉛直方向に延びる軸線である。
【0020】
チャンバ本体12の側壁は、通路12pを提供している。基板Wは、第2チャンバ10の内部と外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。通路12pは、ゲートバルブ12vによって開閉可能である。ゲートバルブ12vは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0021】
第2チャンバ10の底部は、排気口16aを提供している。排気口16aは、排気装置16に接続されている。排気装置16は、自動圧力制御弁のような圧力制御器及びターボ分子ポンプのような真空ポンプを含んでいる。
【0022】
シャワーヘッド20は、内部に拡散室30dを提供している。シャワーヘッド20は、シャワーヘッド20を厚さ方向に貫通する複数のガス貫通孔20iを提供し、複数のガス貫通孔20iは、シャワーヘッド20の下面に開口する。シャワーヘッド20は、ガスを拡散室30dから複数のガス貫通孔20iに通して処理室30eに導入するガス経路を形成する。これにより、処理室30eに向けて第1チャンバ22で生成されたラジカルや、必要によりその他のガスが導入される。載置台18は下部電極としても機能し、シャワーヘッド20は上部電極としても機能する。
【0023】
シャワーヘッド20の外周は、酸化アルミニウム等の誘電体の部材33で覆われている。載置台18の外周は、酸化アルミニウム等の誘電体の部材34で覆われている。シャワーヘッド20に高周波を供給しない場合、誘電体の部材33はなくてもよい。ただし、載置台18の対向電極として機能させるシャワーヘッド20の領域を確定するために誘電体の部材33は配置した方がよい。また、電極のアノードとカソードの比をなるべく均等にするためにも誘電体の部材33は配置した方がよい。
【0024】
載置台18には、整合器61を介して高周波電源60が接続されている。整合器61は、インピーダンス整合回路を有する。インピーダンス整合回路は、負荷側(載置台18側)のインピーダンスを、高周波電源60の出力インピーダンスに整合させるように構成される。高周波電源60から供給される高周波の周波数は、後述のプラズマ源1に供給されるVHF波及びマイクロ波の周波数よりも低く、60MHz以下の周波数である。高周波の周波数は13.56MHzであってもよい。なお、高周波電源60は、整合器61を介して載置台18又はシャワーヘッド20に接続されてもよい。プラズマ源1からプラズマ処理装置2へ移送されたラジカルは、プラズマ処理装置2内に印加される高周波電力により再解離され、基板Wの処理に使用される。
【0025】
[プラズマ源]
プラズマ源1について図1及び図2に加えて、図3を参照してさらに詳細に説明する。図3は、プラズマ電子密度のシミュレーション結果の一例を示す図である。プラズマ源1は、連結部23を有し、連結部23が上壁14上に固定されている。連結部23の上に第1チャンバ22が設けられ、第1チャンバ22内で生成されたプラズマ中のラジカル(活性種)を、連結部23を介してプラズマ処理装置2に供給する構造になっている。
【0026】
連結部23は、アルミニウム等の金属から形成された略円筒形状の中空部材であり、その中心軸線として軸線AXを共有している。連結部23の下端は、第2チャンバ10の上壁14の中央に形成された開口に連通している。
【0027】
第1チャンバ22は、軸線AXを中心とした扁平な矩形導波管である。連結部23の上端は扁平な第1チャンバ22の幅方向に拡張され、第1チャンバ22の下端に連結する。第1チャンバ22は、内部に扁平なプラズマ生成空間22dを形成するように構成される。第1チャンバ22及び連結部23は、アルミニウム等の導体により構成され、グランド電位を有する。
【0028】
図1の領域Aを拡大した図2を参照すると、突出部24は、円柱状であり、全体を、アルミナ、AlN、石英等の誘電体24gで形成されている。突出部24は、第2壁22bを貫通し、第2壁22bから突出する。突出部24の内部には、突出部24を貫通するガス孔24cが形成されている。ガス孔24cは、細孔24c1と細孔24c1から拡径された拡径部24c2を有し、ガス孔24c先端の開口部24aは拡径部24c2から誘電体窓38に向けて開口する。ガス孔24cから還元ガスがプラズマ生成空間22d内に供給される。これにより、突出部24は、ガスノズルとしての機能を有する。突出部24のプラズマ着火源としての機能については後述する。
【0029】
突出部24のガス孔24cは、誘電体窓38に向かってガスを吐出する。このため、電磁波のエネルギーが集中した範囲にガスを噴射することでガスの分解効率とラジカルの生成効率を向上させることができる。図3は、プラズマ生成空間22d内のプラズマ電子密度Nのシミュレーション結果の一例を示す図である。本開示のシミュレーションの条件としては、ガス孔24cからアルゴンガスを供給した。突出部24の先端は、第2壁22bから突出していないモデルを採用した。プラズマ生成空間22dの圧力は10Paに設定し、誘電体窓38から860MHzの周波数のマイクロ波を供給した。
【0030】
シミュレーションの結果、図3に示すように、誘電体窓38の近傍のプラズマ生成空間22d内のプラズマ電子密度Nが高くなる。プラズマ電子密度Nは、誘電体窓38の中心付近ほど高く、誘電体窓38の中心付近から離れるほど低下した。以上の結果から、誘電体窓38の近傍はエネルギーが集中した範囲であることがわかる。
【0031】
そこで、本実施形態では図3の矢印方向へ突出部24を突出させ、突出部24の先端から誘電体窓38に向けてガスを供給する。これにより、プラズマ生成空間22dのプラズマ電子密度Nが高い領域にガスを供給できる。これにより、誘電体窓38の近傍のエネルギーが集中した範囲にガスを噴射することでガスの分解効率とラジカルの生成効率を向上させることができる。
【0032】
更に、図4の第1実施形態に係るプラズマ源1を示す斜視図を参照して説明を続ける。プラズマ源1は、第1チャンバ22の第1壁22aに接続された電磁波供給部36を有する。図1及び図4を参照すると、第1チャンバ22を構成する壁のうち第1壁22aに、第1チャンバ22の長手方向(縦方向)に、軸線AX上に中心を有する2つの電磁波供給部36が縦方向に並んで配置されている。2つの電磁波供給部36の構成は同一である。
【0033】
電磁波供給部36は、先端に誘電体窓38を有し、誘電体窓38を介して第1チャンバ22内に電磁波を供給するように構成されている。本実施形態では、マイクロ波発振器40から入力ポートを介して電磁波供給部36にマイクロ波が伝搬する。電磁波供給部36は、同軸導波管構造を有し、略円筒形状の内導体36a及び内導体36aの周囲に同心円状に配置された略円筒形状の外導体36bを有する。マイクロ波は、内導体36aと外導体36bとの間を伝搬して略円盤形状の石英部材37を透過し、石英部材37と誘電体窓38との間の隙間U(図5参照)に設けられたアンテナ26のスロットSを介して誘電体窓38に伝搬する。なお、内導体36aと外導体36bとの間は、空間であってもよいし、アルミナ等が配置されてもよい。マイクロ波は、誘電体窓38を透過し、第1チャンバ22の第1壁22aの開口22eから第1チャンバ22内に放射される。なお、内導体36a、石英部材37及び誘電体窓38は、外導体36bにより覆われている。
【0034】
図5(a)は、図4のA-A断面を示し、第1壁22aの開口22e付近を第1壁22aの内壁側から平面視した図であり、図5(b)は図5(a)に示す開口22eの中心を通るB-B断面を示す図である。図5(a)に示すように、開口22eから露出する誘電体窓38の面の反対面には導体のアンテナ26が接触し、ドーナツ形状(環状)のスロットSが形成されている。
【0035】
また、図5(b)に示すように、開口22eから露出する誘電体窓38の面は、誘電体窓38の中央領域38aにて円形に凹み、中央領域38aが誘電体窓38の外周領域38bよりも薄くなっている。これにより、プラズマ着火の特性を良くすることができる。ただし、中央領域38aの凹みはなくてもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、電磁波供給部36は第1壁22aに縦方向に2つ配置されているが、3つまたはそれ以上配置されてもよいし、1つだけ配置されてもよい。電磁波供給部36の本数が多くなるほど、ラジカル生成効率及びプラズマ生成効率が高くなる。
【0037】
係る構成により、縦方向に配置された電磁波供給部36のうち上段の電磁波供給部36の付近はガスの解離が促進される第1解離エリアとなる。また、下段の電磁波供給部36の付近はガスの解離が促進される第2解離エリアとなる。第1解離エリアで解離したガスは、第2解離エリアで更に解離されるため、第1チャンバ22内のプラズマ生成空間22dにおいて縦方向に下に行くほどガスの解離度が高くなる。このため、第1チャンバ22にて高密度のプラズマが生成される。これにより、連結部23は、充分なラジカルを第2チャンバ10に供給できる。
【0038】
このようにして載置台18(下部電極)及びシャワーヘッド20(上部電極)の間の処理室30eにプラズマ源1からラジカルを供給し、載置台18に載置された基板Wを処理する。このとき、プラズマ源1からシャワーヘッド20に設けられた複数のガス貫通孔20iを介してラジカルが、シャワーヘッド20を通って流れ、処理室30eへ供給される。処理室30eへ供給されたラジカルは移送中に再結合してガスになっている場合がある。ラジカル及び再結合したガスを高周波電源60の高周波電力により分解させ、これにより生成されたプラズマによって基板Wに成膜等の処理が施される。プラズマ源1からラジカルを供給することによって、高周波電源60から供給する高周波電力が小さく、また、周波数が比較的に低くても、充分にガスの解離が進みラジカルの供給を高めることができる。これにより、ダメージの少ない基板の成膜を実行できる。なお、図示は省略するが、高周波電源60のみで十分に解離させることが可能なガスは、プラズマ源1を経由せずに直接、シャワーヘッド20へ供給してもよい。
【0039】
制御部(制御装置)90は、プロセッサ91、メモリ92を有するコンピュータであり得る。制御部90は、演算部、記憶部、入力装置、表示装置、信号の入出力インターフェイス等を備える。制御部90は、プラズマ源1を含むプラズマ処理装置2の各部を制御する。制御部90では、入力装置を用いて、オペレータがプラズマ処理装置2を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御部90では、表示装置により、プラズマ処理装置2の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、制御部90のメモリ92には、制御プログラム及びレシピデータが格納されている。制御プログラムは、プラズマ処理装置2で各種処理を実行するために、制御部90のプロセッサ91によって実行される。プロセッサ91が、制御プログラムを実行し、プラズマ処理装置2の各部を制御することにより、レシピデータに従って種々のプロセス、例えばプラズマ処理方法がプラズマ処理装置2で実行される。
【0040】
リモートソースにICP型のリモートソースを使用する場合、プラズマの安定範囲が狭く、プラズマ着火が容易ではない場合がある。これに対して以上の構成のプラズマ処理装置2によれば、マイクロ波のように比較的高い周波数の電磁波によりプラズマを生成してガスを活性化するプラズマ源1を使用して充分なラジカルを第2チャンバ10に供給できる。これにより、マイクロ波を使用したリモートプラズマ源を使用して基板Wへのダメージの少ないプロセスを実行できる。
【0041】
更に、本実施形態に係るプラズマ源1は、突出部24を有する。突出部24は、第1チャンバ22内にて誘電体窓38に対向する第2壁22bの内壁から突出し、誘電体窓38から離間して設けられる。
【0042】
突出部24は、少なくとも一部に導体を含む。図2に示す突出部24では、誘電体24gの中に導体24dが埋め込まれている。導体24dは、アルミニウムなどの金属により形成され、内部電極として機能する。導体24dの先端から誘電体窓38の表面までの水平方向(軸線AXに垂直な方向)の距離Dは、導体24dの先端近傍の電界が十分低くなる距離であり、3mm~10mm程度離間されていればよい。ただし、距離Dは5mm~10mm程度離間すればコンタミネーション、パーティクル、ダメージをより抑制でき、より好ましい。導体24dは、ドーナツ形状(環状)であり、ガス孔24cの端面近傍であって拡径部24c2の外周に埋め込まれている。導体24dは、突出部24を形成する誘電体24gに覆われ、ガス孔24cの内壁に露出しない。
【0043】
ガス孔24cにてマイクロ波の表面波により異常放電が生じることを防止するために、ガス孔24cは、その先端にてガス孔24cの細孔24c1から拡大し、誘電体窓38に向かって開口する拡径部24c2を有する。拡径部24c2は円筒形である。なお、拡径部24c2は、円筒形に限らず、四角形や五角形等の多角形を底面とする角柱形状であってもよい。
【0044】
拡径部24c2のガス孔24cの先端からの深さ(長さ)は、5mm以上である。ガス孔24cの細孔24c1の直径は、1mmよりも小さく、例えば0.3mmである。拡径部24c2及び開口部24aの直径は、3mm以上であって、かつ、プラズマ中のマイクロ波の表面波波長λの1/8以下である。
【0045】
プラズマ中のマイクロ波の表面波波長λは、真空中のマイクロ波の波長λの1/3程度である。マイクロ波プラズマプロセスで使用する波長λは約120~480mmであるから、プラズマ中のマイクロ波の表面波波長λは約40~160mmになる。よって、拡径部24c2及び開口部24aの直径は3mm以上であって、かつ、プラズマ中のマイクロ波の表面波波長λの1/8の約5~20mmとなる。
【0046】
拡径部24c2及び開口部24aの直径が、3mm以上、かつ、プラズマ中のマイクロ波の表面波波長λの1/8以下である技術的意味について説明する。例えば、拡径部24c2及び開口部24aの直径がプラズマ中のマイクロ波の表面波波長λの1/4の場合、マイクロ波の表面波は、開口部24aで止まり、その先には伝搬できない。つまり、拡径部24c2及び開口部24aは、マイクロ波の表面波を開口よりも先に伝搬させないように機能する。このとき、マイクロ波の表面波は、開口部24aで全反射となるため、開口部24a付近においてマイクロ波の電界強度が最大となり、臨界値を超えるとアーク放電が発生し、異常放電となる場合がある。
【0047】
これに対して、開口部24aの直径がプラズマ中のマイクロ波の表面波波長λの1/8の場合、マイクロ波の表面波は、開口部24aを通過することができる。このとき、マイクロ波の表面波は、開口部24aで止まらず、かつ、拡径部24c2の内部圧力とプラズマ生成空間22dの圧力との圧力差が小さい。このため、拡径部24c2の内部にマイクロ波の強い電界はほぼ侵入せず、拡径部24c2における異常放電の発生を防止できる。よって、拡径部24c2及び開口部24aの直径は、プラズマ中のマイクロ波の表面波波長λの1/8、つまり、20mm以下である必要がある。
【0048】
一方、開口部24aの直径が3mmよりも小さい場合、マイクロ波の表面波は、開口部24aを通過することはできる。しかし、拡径部24c2の内部圧力とプラズマ生成空間22dの圧力との圧力差が大きくなる。このため、拡径部24c2における異常放電の発生が生じやすくなる。したがって、拡径部24c2の開口部24a直径は、3mm以上にする。これにより、ガス孔24cの先端及びその周辺にて異常放電が発生することを防止できる。
【0049】
次に、突出部24のプラズマ着火源としての機能について説明する。プラズマ源1のようにマイクロ波を使用したプラズマ着火では、式(1)に示す放電電界Ebdにより着火性能が決定される。
【0050】
【数1】
【0051】
これに対して、第2チャンバ10のように平行平板型のプラズマ処理装置では、下部電極及び上部電極間における高周波電力による放電によって、パッシェンの法則に従い、式(2)に示す放電電圧Vbdにより着火性能が決定される。
【0052】
【数2】
【0053】
なお、式(1)のD及びKは、ガス種によって定まる係数であり、pはチャンバ内の圧力であり、fは電磁波の周波数である。mは、ガス種によって定まる定数(概ね0.5)である。また、式(2)のA及びBは、ガス種によって定まる係数であり、pはチャンバ内の圧力であり、dは、下部電極及び上部電極の電極間距離であり、γseは、2次電子放出係数である。2次電子放出係数は、下部電極及び上部電極の材料と表面状態によって定まる係数である。
【0054】
つまり、プラズマ源1では、プラズマ着火にパッシェンの法則は成立しない。よって、プラズマ源1では、式(2)に示す放電電圧Vbdにより着火性能は決定されない。プラズマ源1では、式(1)に示す放電電界Ebdを強くすれば着火し易くなる。そこで、プラズマ源1が有する突出部24は、マイクロ波および150MHz以上のVHF波に特有の着火し易い形状及び配置を有し、第1チャンバ22においてプラズマの着火を容易にする。
【0055】
第1チャンバ22内にプラズマが生成されていないとき、マイクロ波が第1チャンバ22内に放射されると、放射されたマイクロ波が突出部24内の導体24dで反射して、マイクロ波の反射波が第1壁22aに戻る。そうすると、誘電体窓38から出力されるマイクロ波の入射波と突出部24で反射した反射波との間で定在波が生じる。第1チャンバ22は扁平であり第1壁22a及び第2壁22bの間が狭いため、第1チャンバ22内で高電界が生じ、プラズマの着火が容易になる。一方、プラズマ着火後は、突出部24と第1壁22aの内壁との間の電界は高くならない。
【0056】
以上から、突出部24はパッシブ着火源であり、それ自体には電圧を印加しないが、ドーナツ形状の導体24dが内部電極として機能し、導体24dによってマイクロ波を反射することができる。導体24dの外径の直径は、10mm以上28mm以下である。
【0057】
ガス孔24cの開口部24aの直径は3mm以上、かつ、プラズマ中のマイクロ波の表面波波長λの1/8以下であり、例えば4mmである。よって、導体24dの外径の直径の下限値は、開口部24aのサイズに対して十分なサイズでありつつ、パッシブ着火源として機能させるために10mm以上とする。また、導体24dの外径の直径の上限値は、電界強度が弱まり着火性を悪化させないために、マイクロ波を導入するために設けられたスロットSの内径の寸法以下のサイズであることが好ましい。このため、導体24dの外径の直径の上限値は28mm以下とする。
【0058】
(突出部の変形例)
突出部24は、図2に示す構成に限らない。例えば突出部24の変形例について、図6を参照しながら説明する。変形例に係る突出部24は、円柱状の全体を導体24eで形成し、導体24eの周囲をアルミナ等の誘電体24fで被覆してもよい。この場合にも突出部24の内部にガス孔24cが形成され、ガス孔24cは、細孔24c1と拡径部24c2を有し、ガス孔24c先端の開口部24aは拡径部24c2から誘電体窓38に向けて開口する。ガス孔24cの細孔24c1及び拡径部24c2のサイズは図2の突出部24のサイズと同一である。導体24eの先端から誘電体窓38の底面までの水平方向の距離も図2の導体24dの場合と同一である。導体24eを誘電体24fでコーティングすることで、突出部24のプラズマ耐性を高め、プラズマによる消耗及び劣化を抑制することができる。突出部24の変形例の構成によってもプラズマ着火を容易にし、ガスの分解効率を向上させることができる。なお、図2および図6に示した突出部24の先端部の形状は、角部を面取りした丸みを帯びた形状としてもよい。
【0059】
なお、突出部24の図2に示す導体24d及び図6に示す導体24eはフローティング電極として機能する。
【0060】
第1壁22a及び第2壁22bの内壁間の距離は、プラズマのスキンデプス(表皮深さ)の10倍~100倍である。当該距離が10倍~100倍の範囲になるのは、以下に示すプラズマ導電率がプラズマ密度で大きく変化するためである。本実施形態の場合、第1壁22a及び第2壁22bの内壁間の距離は、約20mmである(図1参照)。
【0061】
スキンデプスは、(1)周波数、(2)電子密度、(3)電子及び中性粒子の衝突周波数により値が変化する。ここで、(3)の電子及び中性粒子の衝突周波数についてはガス種及び電子温度により決定される。スキンデプスδは、式(3)により算出される。
スキンデプスδ=[2/(ωμσdc)]1/2・・・(3)
ここで、ωは電源周波数、μは真空の透磁率、σdcはプラズマ導電率である。プラズマ導電率は式(4)により算出される。
プラズマ導電率σdc=e/(mν)・・・(4)
ここでeは素電荷、nは電子密度、mは電子の質量、νは電子-中性粒子の衝突周波数である。
【0062】
第1壁22a及び第2壁22bの内壁間の距離をスキンデプスの10倍としたときに、マイクロ波の周波数が800MHzの場合、その距離は約20mmとなり、400MHzの場合約28mmとなり、2.45GHzの場合約12mmとなる。これにより、プラズマの電子温度を低く、また、電子密度が高いプラズマ源1を実現できる。なお、第1チャンバ22内の圧力は0.5Torr以上で使用する。
【0063】
以上に説明した第1実施形態に係るプラズマ源1によれば、第1チャンバ22の厚みを薄くし、突出部24を設けることで、プラズマ着火を容易にし、第1チャンバ22におけるプラズマ生成効率を高くしプラズマ生成の安定範囲を広くすることができる。加えて、高電子温度及び高電子密度領域をプラズマ生成空間の電磁波が供給される領域に集中させることで、ガスの分解効率及びラジカルの生成効率を向上させることができる。特に突出部24の中心部より還元ガスを噴射し、電磁波のエネルギーの集中している誘電体窓38の中心部へ吹き付けることで、還元ガスの分解効率を最大限に高めることができる。
【0064】
<第2実施形態>
[プラズマ処理装置]
次に、第2実施形態に係るプラズマ処理装置2について、図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態に係るプラズマ処理装置2を示す断面図である。図7の各部に付した符号は、図1の各部に付した符号と同一符号の場合、同一構成を示す。
【0065】
第2実施形態では、プラズマ源1は、プラズマ処理装置2の上部に配置されている。プラズマ源1は、シャワーヘッド20と一体化して設けられ、第1実施形態の第1チャンバ22が第2実施形態ではシャワーヘッド20に対応する。つまり、プラズマ源1は、シャワーヘッド20内の拡散室30dをプラズマ生成空間とし、拡散室30dと電磁波供給部36と突出部24とを有する。拡散室30d及び電磁波供給部36はプラズマ生成部の一例である。第1実施形態のプラズマ生成部は、プラズマ処理装置2の外部に設けられているが、第2実施形態のプラズマ生成部は、その一部がプラズマ処理装置2の内部に設けられている。
【0066】
拡散室30dを構成する壁面のうち最も大きな面積を持ち、対向する2つの壁を第1壁22a及び第2壁22bとすると、第2実施形態では、シャワーヘッド20の上壁が第1壁22aであり、シャワーヘッド20の下壁が第2壁22bである。第1壁22aには開口22eが形成されている。誘電体窓38は、開口22eを塞ぐように第1壁22aに設けられ、プラズマ生成空間22dに対応する拡散室30dに電磁波を透過する。誘電体窓38は、電磁波供給部36の先端に設けられている。
【0067】
突出部24は、第2壁22bに設けられ、誘電体窓38に近接するように第2壁22bから突出し、少なくとも一部に導体を含んでいる。突出部24の構成及び機能は図2及び図6に示した突出部24のいずれであってもよい。突出部24の構成及び機能は前述したため説明を省略する。
【0068】
突出部24のガス孔は、ガス供給部50に接続され、ガス供給部50からの還元ガスをプラズマ生成空間22dに供給する。プラズマ生成空間22dでは電磁波供給部36から供給される電磁波の電界により突出部24のガス孔から供給される還元ガスを分解してプラズマを生成する。第2壁22bには複数のガス貫通孔20iが第2壁22bの厚さ方向に形成され、第2壁22bを貫通する。プラズマ生成空間22dで生成されたプラズマ中のラジカルは複数のガス貫通孔20iから処理室30eに供給され、基板Wの処理に使用される。
【0069】
プラズマ処理装置2は、第2チャンバ10を有する。実施形態においては、第2チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有しており、その上部において開口している。チャンバ本体12は、第2チャンバ10の側壁及び底部を提供している。チャンバ本体12は、アルミニウム等の金属から形成されている。チャンバ本体12は、接地されている。
【0070】
シャワーヘッド20の外周は、酸化アルミニウム等の誘電体の部材33で覆われている。載置台18の外周は、酸化アルミニウム等の誘電体の部材34で覆われている。チャンバ本体12の上部の開口は、シャワーヘッド20及び部材33によって閉じている。
【0071】
プラズマ処理装置2は、載置台18を更に備える。載置台18は、第2チャンバ10内に設けられている。載置台18は、その上に載置される基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略水平な状態で載置台18上に載置される。
【0072】
載置台18には、整合器61を介して高周波電源60が接続されている。第2チャンバ10の底部は排気口16aを提供し、排気口16aは、排気装置16に接続されている。
【0073】
シャワーヘッド20のプラズマ生成空間22dに相当する部分の厚みは例えば20mmである。以上に説明した第2実施形態に係るプラズマ源1によれば、シャワーヘッド20の厚みを薄くし、突出部24を設けることで、プラズマ着火を容易にし、拡散室30dにおけるプラズマ生成効率を高くしプラズマ生成の安定範囲を広くすることができる。加えて、高電子温度及び高電子密度領域をプラズマ生成空間の電磁波が供給される領域に集中させることで、ガスの分解効率及びラジカルの生成効率を向上させることができる。特に突出部24の中心部より還元ガスを噴射し、エネルギーの集中している誘電体窓38の中心部へ吹き付けることで、還元ガスの分解効率を最大限に高めることができる。
【0074】
第1及び第2実施形態に係るプラズマ源1及びプラズマ処理装置2によれば、プラズマ着火を容易にし、ガスの分解効率を向上させることができる。
【0075】
今回開示された実施形態に係るプラズマ源及びプラズマ処理装置は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。
【0076】
突出部24を設けることにより、整合位置の移動を不要とし、プラズマをオンする時間を短縮できる。これにより、ガスを入れ替えて素早くプラズマ着火できるため、ALD(atomic layer deposition)プロセスにより適した構成であり、生産性を高めることができる。ただし、CVD(Chemical Vapor Deposition)法による成膜にも適用できる。本明細書に開示のプラズマ処理装置が行う基板処理は、例えば、成膜処理、エッチング処理等が挙げられる。
【符号の説明】
【0077】
1 プラズマ源
2 プラズマ処理装置
10 第2チャンバ
20 シャワーヘッド
22 第1チャンバ
22a 第1壁
22b 第2壁
22d プラズマ生成空間
24 突出部
30e 処理室
36 電磁波供給部
38 誘電体窓
90 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7