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特開2023-41609活性成分含有溶液ポンプおよび活性成分含有溶液ポンプシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041609
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】活性成分含有溶液ポンプおよび活性成分含有溶液ポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/02 20060101AFI20230316BHJP
   F04D 13/16 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
F04D13/02 G
F04D13/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083162
(22)【出願日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】63/243,245
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業、「3次元食肉培養技術の構築」、産業技術力強化法第17条の適用及び令和3年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業、「医薬品の脳内移行性を評価可能な3次元血液関門(BBB)デバイスの開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 昌治
(72)【発明者】
【氏名】森本 雄矢
(72)【発明者】
【氏名】趙 炳郁
(72)【発明者】
【氏名】二橋 遥
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB02
3H130AB12
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC18
3H130BA31G
3H130BA41G
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA01G
3H130ED02G
(57)【要約】
【課題】熱による悪影響およびコンタミネーションが抑制された状態で高精度に送液できる活性成分含有溶液ポンプを提供する。
【解決手段】軸方向の一方側に延びる中心軸を有する底壁部と、中心軸を囲み軸方向の一方側に開口する送液空間を形成するとともに、活性成分含有溶液が排液される排液部を有する側壁部を備えるケースと、中心軸に嵌め合わされて、中心軸を中心とする周方向に回転するインペラと、活性成分含有溶液が導入される導液部を有し、送液空間の開口部を覆うカバーと、ケースよりも軸方向の他方側に配置されたモータと、モータの駆動によりインペラと同軸で周方向に回転する回転部材と、回転部材に設けられ、底壁部の軸方向の他方側に間隔をあけて配置された駆動マグネットと、インペラにおける駆動マグネットと軸方向に対向可能な位置に設けられ、駆動マグネットの磁力で周方向に回転可能な磁石または磁性体で構成される従動部材と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方側に延びる中心軸を有する底壁部と、前記底壁部の縁部から前記軸方向の一方側に突出して設けられ前記中心軸を囲み前記軸方向の一方側に開口する送液空間を形成するとともに、前記送液空間と繋がり活性成分含有溶液が排液される排液部を有する側壁部と、を備えるケースと、
前記中心軸に嵌め合わされて、前記中心軸を中心とする周方向に回転するインペラと、
前記送液空間と繋がり前記活性成分含有溶液が導入される導液部を有し、前記送液空間の開口部を覆うカバーと、
前記ケースよりも前記軸方向の他方側に配置されたモータと、
前記軸方向で前記モータと前記ケースとの間に配置され、前記モータの駆動により前記インペラと同軸で前記周方向に回転する回転部材と、
前記回転部材に設けられ、前記底壁部の前記軸方向の他方側に間隔をあけて配置された駆動マグネットと、
前記インペラにおける前記駆動マグネットと前記軸方向に対向可能な位置に設けられ、前記駆動マグネットの磁力で前記周方向に回転可能な磁石または磁性体で構成される従動部材と、
を有する、活性成分含有溶液ポンプ。
【請求項2】
前記ケースは、前記底壁部から前記軸方向の他方側に突出し、上下方向に延びるリブ部と、前記リブ部の先端から左右両側に張り出し前記底壁部との間に隙間を形成するフランジ部とを有し、
前記底壁部よりも前記軸方向の他方側に配置され、前記底壁部と前記フランジ部との隙間に挿入されたときに前記フランジ部に前記軸方向の一方側から係合して、前記ケースを前記軸方向と当該軸方向に直交する左右方向とに位置決めする係合部を有する、
請求項1に記載の活性成分含有溶液ポンプ。
【請求項3】
前記活性成分含有溶液が貯留される貯留槽を有し、
前記係合部は、前記貯留槽に設けられ、
前記ケース、前記インペラおよび前記カバーは、前記貯留槽の内部に配置され、
前記従動部材は、前記貯留槽を介した前記磁力で回転する、
請求項2に記載の活性成分含有溶液ポンプ。
【請求項4】
前記活性成分含有溶液が送液される管体を有し、
前記係合部は、前記管体に設けられ、
前記ケース、前記インペラおよび前記カバーは、前記管体の内部に配置され、
前記従動部材は、前記管体を介した前記磁力で回転する、
請求項2に記載の活性成分含有溶液ポンプ。
【請求項5】
前記モータを支持する支持部材を有し、
前記係合部は、前記支持部材に設けられる、
請求項2に記載の活性成分含有溶液ポンプ。
【請求項6】
前記排液部に、前記活性成分含有溶液の流動抵抗を調整する調整部材が着脱自在に設けられる、
請求項1に記載の活性成分含有溶液ポンプ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の活性成分含有溶液ポンプと、
前記モータの駆動を制御する制御部と、
を備える、活性成分含有溶液ポンプシステム。
【請求項8】
前記活性成分含有溶液ポンプは複数設けられ、
前記制御部は、複数の前記活性成分含有溶液ポンプにおける前記モータの駆動をそれぞれ独立して制御可能である、
請求項7に記載の活性成分含有溶液ポンプシステム。
【請求項9】
前記モータを支持する複数の支持部材を有し、
複数の前記支持部材は、互いに隣り合う前記支持部材の一方に凸部が設けられ、他方に前記凸部と嵌め合わされる凹部が設けられる、
請求項8に記載の活性成分含有溶液ポンプシステム。
【請求項10】
前記制御部は、
複数の前記モータと電気的に接続された副制御部と、
前記モータの駆動に関する指示を入力する入力部を有し、入力された前記指示を前記副制御部に対して無線通信で送信する主制御部と、
を有する、
請求項7に記載の活性成分含有溶液ポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分含有溶液ポンプおよび活性成分含有溶液ポンプシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体工学や組織工学分野においては、流体として活性成分含有溶液をデバイスや組織内に送液するために、ペリスタポンプ、シリンジポンプ、圧力駆動ポンプ等の様々なポンプが使われている。ペリスタポンプにおいては脈動が生じるため、安定性および精度に難がある。また、ペリスタポンプにおいて脈動を抑制するための機器を設けた場合には、セットアップおよびメンテナンスが困難である。シリンジポンプおよび圧力駆動ポンプにおいては、大型化するという問題がある。一方、組織工学分野において上記のポンプを用いた場合には、細菌の増殖によるコンタミネーションが生じる可能性がある。
【0003】
非特許文献1には、ケーシング内の送液空間に配置されたロータとしてのインペラにマグネットが配置され、ケーシングの径方向外側にコイルが巻き回されたステータが配置されたマグネットポンプが開示されている。非特許文献1に開示されてポンプでは、ステータが送液空間とは分離して配置されているため、コンタミネーションが生じづらい構成となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Micromachines (Basel). 2019 Oct; 10(10): 631. Published online 2019 Sep 21. doi: 10.3390/mi10100631.Joswig et al.,‘Miniature 3D-Printed Centrifugal Pump with Non-Contact Electromagnetic Actuation,’ Micromachines, 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に開示されたポンプでは、インペラを効率よく回転させるためにステータをケーシングに接近させる必要がある。この場合、コイルから生じる熱がケーシングを介して送液空間の液体に伝わり悪影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、熱による悪影響およびコンタミネーションが抑制された状態で高精度に送液できる活性成分含有溶液ポンプおよび活性成分含有溶液ポンプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、軸方向の一方側に延びる中心軸を有する底壁部と、前記底壁部の縁部から前記軸方向の一方側に突出して設けられ前記中心軸を囲み前記軸方向の一方側に開口する送液空間を形成するとともに、前記送液空間と繋がり活性成分含有溶液が排液される排液部を有する側壁部と、を備えるケースと、前記中心軸に嵌め合わされて、前記中心軸を中心とする周方向に回転するインペラと、前記送液空間と繋がり前記活性成分含有溶液が導入される導液部を有し、前記送液空間の開口部を覆うカバーと、前記ケースよりも前記軸方向の他方側に配置されたモータと、前記軸方向で前記モータと前記ケースとの間に配置され、前記モータの駆動により前記インペラと同軸で前記周方向に回転する回転部材と、前記回転部材に設けられ、前記底壁部の前記軸方向の他方側に間隔をあけて配置された駆動マグネットと、前記インペラにおける前記駆動マグネットと前記軸方向に対向可能な位置に設けられ、前記駆動マグネットの磁力で前記周方向に回転可能な磁石または磁性体で構成される従動部材と、を有する、活性成分含有溶液ポンプが提供される。
【0008】
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の活性成分含有溶液ポンプと、前記モータの駆動を制御する制御部と、を備える、活性成分含有溶液ポンプシステムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、熱による悪影響およびコンタミネーションが抑制された状態で高精度に送液できる活性成分含有溶液ポンプおよび活性成分含有溶液ポンプシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の活性成分含有溶液ポンプ1を有する活性成分含有溶液ポンプシステム100の概略構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係るポンプ1の分解斜視図である。
図3】ケース10、インペラ20およびカバー30の分解斜視図である。
図4】ポンプ1の平面図である。
図5】ポンプ1の軸Jを含む位置でのX軸方向と直交する断面図である。
図6】支持部材80を-Z側から見た斜視図である。
図7】ポンプ1を-Z側から見た背面図である。
図8】モジュール化された複数のポンプ1が軸方向、上下方向およびX方向に複数並べて配置された斜視図である。
図9】電圧とモータ40の回転速度との関係を示す図である。
図10】モータ40への電圧と送液量との関係を示す図である。
図11】第2実施形態のポンプ1におけるケース10およびカバー30の平面図である。
図12】流動抵抗とモータ40の回転速度および送液量との関係を示す図である。
図13】モータ40に供給する電力の調整を複数種実施したときの時間と送液量との関係を示す図である。
図14】モータ40に供給する電力の調整を複数種実施したときの時間と送液量との関係を示す図である。
図15】時間と送液量との関係を示す図である。
図16】時間と送液量との関係を示す図である。
図17】時間と送液量との関係を示す図である。
図18】時間と送液量との関係を示す図である。
図19】時間と送液量との関係を示す図である。
図20】筋肉組織が形成された灌流デバイスDVの断面図である。
図21】灌流を実施して培養した筋肉組織の蛍光画像である。
図22】灌流を実施せずに培養した筋肉組織の蛍光画像である。
図23】ポンプ1の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の活性成分含有溶液ポンプおよび活性成分含有溶液ポンプシステムの実施の形態を、図1から図23を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0012】
図1は、本発明の活性成分含有溶液ポンプ1を有する活性成分含有溶液ポンプシステム100の概略構成を示す斜視図である。以下では、活性成分含有溶液ポンプ1をポンプ1と呼び、活性成分含有溶液ポンプシステム100をポンプシステム100と呼ぶ。
【0013】
ポンプシステム100は、活性成分含有溶液を送液する。活性成分含有溶液としては、例えば、水・電解質、栄養等を含む培地、輸液、血液、抗体産生溶液等が挙げられる。
図1に示すように、ポンプシステム100は、ポンプ1と、制御部CONTと、電源Bとを有する。
【0014】
[ポンプ1の第1実施形態]
図2は、第1実施形態に係るポンプ1の分解斜視図である。
図2に示すように、ポンプ1は、ケース10と、インペラ20と、カバー30と、モータ40と回転部材41と、駆動マグネット50と、従動部材60と、貯留槽70と、支持部材80とを有する。ケース10、インペラ20、カバー30、モータ40、回転部材41は、軸J方向に沿って並んで配置されている。
【0015】
各図に示すXYZ座標系において、Z軸方向は、軸Jが延びる方向と平行な方向である。X軸方向は、Z軸方向と直交する水平方向とする。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向の両方と直交する上下方向とする。
以下の説明においては、Z軸方向、すなわち軸Jと平行な方向を単に「軸方向」と呼び、軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。インペラ20に対してカバー30が配置される側を「軸方向の一方側」として+Z側と呼び、インペラ20に対してケース10が配置される側を「軸方向の他方側」として-Z側と呼ぶ。Y軸方向と平行な方向を「上下方向」と呼ぶ。また、Y軸方向の正の側を「上側」と呼び、Y軸方向の負の側を「下側」と呼ぶ。なお、上下方向、水平方向、上側および下側は、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係および方向を限定しない。
【0016】
図3は、ケース10、インペラ20およびカバー30の分解斜視図である。
図3に示すように、ケース10は、底壁部11と側壁部12と中心軸13とリブ部16とフランジ部17を有する。底壁部11は、Z軸と直交する板状である。底壁部11は、ケース10における軸方向の他方側に位置する。底壁部11は、中心軸13を有する。中心軸13は、軸Jを中心として底壁部11から軸方向の一方側である+Z側に延びる。側壁部12は、底壁部11の縁部から軸方向の一方側に突出して設けられている。側壁部12は、中心軸13を囲み+Z側に開口する送液空間14を形成する。側壁部12は、排液部15を有する。排液部15は、径方向の外側に位置する開口部15aを介して送液空間14と繋がり送液空間14に導入された活性成分含有溶液を排液する。図3に示す排液部15は、下側に排液する。
【0017】
図4は、ポンプ1を上側から見た平面図である。
リブ部16は、底壁部11から軸方向の他方側である-Z側に突出する。リブ部16は、上下方向に延びる。フランジ部17は、リブ部16の先端から左右両側であるX方向の両側に張り出す。フランジ部17は、底壁部11との間に隙間を形成する。
【0018】
インペラ20は、軸方向に貫通する貫通孔21を有する。インペラ20は、貫通孔21に中心軸13が嵌め合わされることで、送液空間14において中心軸13を中心とする周方向に回転する。インペラ20は、-Z側に位置する円板部22と、円板部22の+Z側に位置する羽根部23とを有する。送液空間14においてインペラ20が周方向に回転することによって、送液空間14の活性成分含有溶液は排液部15から排液される。すなわち、ポンプ1は遠心ポンプである。
【0019】
カバー30は、ケース10に固定され送液空間14の開口部を覆う。カバー30は、導液部31を有する。図5は、軸Jを含む位置でのX軸方向と直交する断面図である。図5に示すように、導液部31は、導入路32を有する。導入路32の一端は、送液空間14に開口し送液空間14と繋がっている。導入路32の他端は、送液空間14の外側において、送液空間14よりも下側の位置において開口している。
【0020】
モータ40は、ケース10よりも-Z側に配置されている。モータ40は、回転部材41と連結されている。回転部材41は、モータ40の駆動により、軸Jを中心として回転する。回転部材41は、モータ40の駆動により、インペラ20と同軸で周方向に回転する。回転部材41は、軸方向でケース10とモータ40との間に配置されている。
【0021】
駆動マグネット50は、回転部材41に設けられた永久磁石である。駆動マグネット50は、Z方向に磁極を有する。駆動マグネット50は、周方向に間隔をあけて複数(図2および図5では2つ)配置されている。駆動マグネット50は、例えば、ネオジウム磁石である。駆動マグネット50の+Z側の面は、N極またはS極である。駆動マグネット50の-Z側の面は、S極またはN極である。2つ駆動マグネット50における+Z側の面の磁極は、同一である。2つ駆動マグネット50は、底壁部11の-Z側に間隔をあけて配置されている。すなわち、2つ駆動マグネット50は、ケース10と非接触で配置されている。
【0022】
従動部材60は、インペラ20における円板部22に設けられた永久磁石である。従動部材60は、例えば、ネオジウム磁石である。従動部材60は、円板部22における-Z側の面に設けられる。従動部材60は、周方向に間隔をあけて複数(図2では2つ)配置されている。2つの従動部材60は、インペラにおける駆動マグネット50と軸方向に対向可能な位置に設けられている。つまり、従動部材60は、駆動マグネット50と軸方向に重なることが可能な径方向の位置に配置されている。
【0023】
従動部材60は、Z方向に磁極を有する。従動部材60の-Z側の面は、S極またはN極である。従動部材60の+Z側の面は、N極またはS極である。駆動マグネット50における+Z側の面の磁極と、従動部材60における-Z側の面の磁極とは異なる。駆動マグネット50における+Z側の面の磁極と、従動部材60における-Z側の面の磁極とが異なることで、軸方向に対向する位置の駆動マグネット50と従動部材60とは磁力により引き合う。従って、モータ40の駆動により回転部材41が駆動マグネット50とともに周方向に回転すると、磁力により駆動マグネット50と引き合う従動部材60がインペラ20とともに回転する。換言すると、モータ40を駆動したときに、駆動マグネット50と従動部材60との磁気的結合力によって、インペラ20がモータ40および回転部材41と非接触で周方向に回転する。
【0024】
駆動マグネット50の厚さは、例えば、4mmである。駆動マグネット50の直径としては、6mm以上、10mm以下であることが好ましく、7mm以上、8mm以下であることがより好ましい。従動部材60の厚さは、例えば、2mmである。従動部材60の直径としては、1mm以上、4mm以下であることが好ましく、2mm以上、3mm以下であることがより好ましい。
駆動マグネット50とモータ40の軸方向の距離としては、8mm以上であることが好ましい。駆動マグネット50と従動部材60の軸方向の距離としては、3mm以上、6mm以下であることが好ましく、4mm以上、5mm以下であることがより好ましい。
【0025】
貯留槽70は、活性成分含有溶液が貯留される。貯留槽70は、例えば、バイオディッシュである。貯留槽70は、円板状の底部71と、底部71の縁部から上側に突出する周壁72とを有する円筒状である。貯留槽70は、ケース10を軸方向とX方向に位置決めする係合部90を有する。図2および図4に示すように、係合部90は、貯留槽70における周壁72の-Z側に位置する。係合部90は、周壁72の内側に対で配置されている。係合部90はXY平面と平行な板状である。係合部90は、上下方向に延びる隙間91のX方向両側に配置され周壁72の内周面と繋がっている。係合部90の-Z側には、周壁72との間にX方向に延びる空隙92が形成されている。空隙92は、上側に開口している。
【0026】
図4に示すように、隙間91には、ケース10におけるリブ部16が上側から挿入される。空隙92には、ケース10におけるフランジ部17が上側から挿入される。リブ部16が隙間91に挿入されることで、ケース10は貯留槽70に対してX方向に位置決めされる。フランジ部17が空隙92に挿入されたときに、ケース10におけるフランジ部17と底壁部11の隙間に係合部90が挿入される。係合部90は、+Z側からフランジ部17に係合して、ケース10を軸方向に位置決めする。これにより、ケース10、インペラ20およびカバー30は、貯留槽70の内部に軸方向と左右方向であるX方向とに位置決めされた状態で装着される。この場合、従動部材60は、貯留槽70を介した駆動マグネット50の磁力によりインペラ20とともに回転する。
【0027】
図6は、支持部材80を-Z側から見た斜視図である。図7は、ポンプ1を-Z側から見た背面図である。
図6に示すように、支持部材80は、モータ40および貯留槽70を支持する。支持部材80は、基板81とサイド壁82と天壁83とを有する。
【0028】
基板81は、平面視矩形の板状である。基板81は、サイド壁82よりも+Z側に形成された窪み81aと、窪み81aの-Z側に形成された切欠部81bとを有している。窪み81aは、基板81の上面から下側に窪んでいる。窪み81aは、平面視円形である。窪み81aには、上側から貯留槽70が挿入されて載置される。貯留槽70は、窪み81aによって外周面を保持される。従って、係合部90に係合することでケース10、インペラ20およびカバー30が装着された貯留槽70が基板81に位置決めされた状態で保持される。切欠部81bは、X方向の中央部に平面視矩形状に形成されている。
【0029】
サイド壁82は、基板81における-Z側に、切欠部81bを挟んだX方向の両側にそれぞれ対で配置されている。サイド壁82は、基板81から上側に延びる直方体状である。一対のサイド壁82は、X方向に互いに対向し軸方向に延びる溝82aが形成されている。溝82aは、+Z側の端部が閉じ、-Z側の端部が開口している。溝82aは、上下方向に間隔をあけて複数対(図6では、9対)設けられている。
【0030】
図7に示すように、溝82aには、モータハブ42が支持される。モータハブ42は、直方体状であり、一対のサイド壁82の間に軸方向に移動可能に配置される。モータハブ42は、モータ40を保持する。モータハブ42は、X方向の両側にそれぞれ突出する突部42aを有する。突部42aは、溝82aに挿入される。モータハブ42は、溝82aに挿入された突部42aをガイドとしてモータ40および回転部材41とともに軸方向に移動可能である。突部42aが溝82aにおける+Z側の閉じた端部に達したときに、モータ40および回転部材41は軸方向に位置決め可能である。モータハブ42を+Z側に移動させ、突部42aを溝82aから抜くことで、モータハブ42を支持部材80から離脱させることができる。従って、活性成分含有溶液の送液条件に応じたサイズ、性能を有するモータ40を保持するモータハブ42に任意に組み替えることができる。
【0031】
天壁83は、平面視矩形の直方体状である。天壁83は、一対のサイド壁82の上側を繋いで架け渡されている。
【0032】
支持部材80は、複数が互いに隣り合って配置されたときに連結可能である。支持部材80の連結は、上下方向、左右方向および軸方向のそれぞれで可能である。
具体的には、図4から図6に示すように、基板81は、凸部84A、85Aと、凹部85B、86Bと、段部81c、81dとを有する。凸部84Aは、基板81における+Z側の端部にX方向に間隔をあけて2つ配置されている。凸部84Aは、基板81における+Z側の端部から+Z側および上側に突出している。凸部85Aは、基板81における-X側の端部に軸方向に間隔をあけて2つ配置されている。凸部85Aは、基板81における-X側の端部から-X側および上側に突出している。凹部85Bは、基板81における+X側の端部に軸方向に間隔をあけて2つ配置されている。凹部85Bの軸方向の位置は、凸部85Aの軸方向の位置と同一である。凹部85Bは、基板81を上下方向に貫通する。X方向に互いに隣り合う支持部材80のうち、支持部材80の一方の凸部85Aが支持部材80の他方の凹部85Bに嵌め合わされることで、隣り合う支持部材80は軸方向に位置決めされた状態でX方向に並んで配置される。段部81cは、基板81における+Z側の両端部に配置されている。段部81cは、基板81の下側に設けられた窪みで形成されている。段部81dは、基板81における-Z側の両端部に配置されている。段部81dは、基板81の上側に設けられた窪みで形成されている。
【0033】
凹部86Bは、支持部材80の下面から上側に窪んでいる。凹部86Bは、軸方向およびX方向に間隔をあけて4つ配置されている。凹部86Bの軸方向の位置およびX方向の位置は、後述する凸部86Aの軸方向の位置およびX方向の位置と同一である。
【0034】
サイド壁82は、凹部84Bを有する。凹部84Bは、基板81における-Z側の端部に配置されている。凹部84Bは、サイド壁82の-Z側の端面から+Z側に窪んでいる。凹部84BのX方向の位置は、凸部84AのX方向の位置と同一である。軸方向に互いに隣り合う支持部材80のうち、支持部材80の一方の凸部84Aが支持部材80の他方の凹部84Bに嵌め合わされるとともに、支持部材80の一方の段部81cが支持部材80の他方の段部81dに嵌め合わされることで、隣り合う支持部材80はX方向および上下方向に位置決めされた状態で軸方向に並んで配置される。
【0035】
天壁83は、凸部86A、87Aと、凹部87Bとを有する。凸部86Aは、天壁83から上側に突出する。凸部86Aは、軸方向およびX方向に間隔をあけて4つ配置されている。上下方向に互いに隣り合う支持部材80のうち、支持部材80の一方の凸部86Aが支持部材80の他方の凹部86Bに嵌め合わされることで、隣り合う支持部材80は軸方向およびX方向に位置決めされた状態で上下方向に並んで配置される。
【0036】
凸部87Aは、天壁83における-X側の端面から-X側に突出している。凸部87Aは、軸方向に間隔をあけて2つ配置されている。凹部87Bは、天壁83における+X側の端面から-X側に窪んでいる。凹部87Bは、軸方向に間隔をあけて2つ配置されている。凹部87Bの軸方向の位置および上下方向の位置は、凸部87Aと同一である。X方向に互いに隣り合う支持部材80のうち、支持部材80の一方の凸部87Aが支持部材80の他方の凹部87Bに嵌め合わされることで、隣り合う支持部材80は軸方向に位置決めされた状態でX方向に並んで配置される。
【0037】
上述したように、ケース10、インペラ20、カバー30、およびモータ40が支持部材80に支持されたポンプ1のモジュールを構築することができる。ポンプ1をモジュール化することによって、拡張性が高いポンプ1の可搬性を向上させることができる。また、支持部材80は、凸部84A、85A、86A、87Aと、凹部84B、85B、86B、87Bが嵌め合わされることで、軸方向、上下方向およびX方向に複数並べて配置することができる。そのため、図8に示すように、モジュール化された複数のポンプ1が軸方向、上下方向およびX方向にそれぞれ2つずつ並べて配置された集合体を容易に構築することが可能になる。
【0038】
図1に戻り、制御部CONTは、主制御部101と副制御部102とを有する。副制御部102には、電源Bとモータ40が有線で電気的に接続されている。副制御部102は、モータ40の駆動(ON/OFF、回転数等)を制御する。副制御部102は、電源Bに蓄電された電力のモータ40への供給量を制御する。電源Bは、例えば、AC電源、DCバッテリ、モバイルバッテリである。副制御部102と電源Bは、例えば、USB(Universal Serial Bus)コネクタを有する配線で接続される。
【0039】
主制御部101は、例えば、タブレット型の携帯情報端末である。主制御部101は、モータ40の駆動に関する指示を副制御部に対して無線通信で送信する。無線通信における通信規格は、一例として、登録商標のBluetoothである。無線通信における通信規格は、登録商標の「Bluetooth」の他に、登録商標の「ZigBee」、登録商標の「Wifi」等であってもよい。
【0040】
主制御部101は、例えば、タッチパネル式の入力部101aを有する。すなわち、入力部101aは、タブレット型の携帯情報端末における表示部である。入力部101aから入力されたモータ40の駆動に関する指示は、副制御部102に対して無線通信で送信される。
【0041】
上記構成のポンプシステム100においては、まず、貯留槽70に導入路32の他端よりも高い液位で活性成分含有溶液を貯溜した状態とする。次に、主制御部101における入力部101aから入力されたモータ40の駆動に関する指示に基づき、副制御部102が電源Bに蓄電された電力のモータ40への供給量を制御する。モータ40および回転部材41は、電力の供給量に応じた回転速度で回転し、駆動マグネット50と従動部材60との磁気的結合力によって、インペラ20がモータ40および回転部材41と非接触で周方向に回転する。これにより、貯留槽70に貯溜された活性成分含有溶液は、導液部31の導入路32から送液空間14に導入された後に、開口部15aを介して排液部15に排液される。
【0042】
図9は、電圧とモータ40の回転速度との関係を示す図である。図10は、モータ40への電圧と送液量との関係を示す図である。
図9に示されるように、電圧を増加させることでモータ40の回転速度は増加する。図10に示されるように、電圧を増加させることで活性成分含有溶液の送液量は増加した。すなわち、モータ40の回転に応じて、駆動マグネット50と従動部材60との磁気的結合力によって、インペラ20が回転して送液量を調整できることを確認できた。
【0043】
以上のように、本実施形態では、モータ40の回転に応じてインペラ20を回転させ送液する際にも、駆動マグネット50と従動部材60との磁気的結合力によってインペラ20がモータ40および回転部材41と非接触で周方向に回転するため、コンタミネーションが生じることなく、活性成分含有溶液を送液することができる。また、本実施形態では、磁力によりインペラ20を回転させているため、コイルを用いて回転させる場合のように、熱による悪影響および大型化を抑制することができる。さらに、本実施形態では、駆動マグネット50と従動部材60とが径方向ではなく、軸方向に対向可能に配置されているため、駆動マグネット50と従動部材60とを通る磁束が3次元的な磁気回路となり、径方向に対向する場合と比較して、駆動マグネット50と従動部材60の軸方向の距離を大きくして熱の影響を低減できるとともに、径方向の小型化を実現できる。
【0044】
また、図8に示したように、ポンプ1が複数設けられる場合でも、各ポンプ1におけるモータ40と副制御部102とを独立して接続することにより、各ポンプ1におけるモータ40の駆動を個別に独立して制御することが可能になる。
【0045】
[ポンプ1の第2実施形態]
続いて、ポンプ1の第2実施形態について、図11から図22を参照して説明する。
図11は、第2実施形態のポンプ1におけるケース10およびカバー30を上側から見た平面図である。
【0046】
図11に示すように、本実施形態では、排液部15に調整部材18が着脱自在に設けられている。調整部材18は、排液部15を介して送液される活性成分含有溶液の流動抵抗を調整する。調整部材18は、流路19を有する。流路19の流路径は、排液部15の流路径よりも小さい。流路19の流路径が排液部15の流路径よりも小さいことで、排液部15を介して送液される活性成分含有溶液の流動抵抗を大きくできる。
【0047】
図10で説明したように、モータ40に供給する電力を調整することで、送液量は変化するが、例えば、5ml/min以下の送液量とする場合は、モータ40に供給する電力の調整では困難である。
図12は、流動抵抗とインペラ20の回転速度および送液量との関係を示す図である。
図12に示されるように、モータ40の回転速度は、流動抵抗が変化しても大きく変化しない。一方、送液量は流動抵抗の変化に応じて変化する。
そのため、送液量が小さい場合は、流動抵抗の調整とモータ40に供給する電力の調整を併用する。
【0048】
図13および図14は、モータ40に供給する電力の調整を複数種実施したときの時間と送液量との関係を示す図である。図14においては、2.5ml/min以下の送液量が拡大して示されている。図14に示す2.5ml/min以下の送液量は、排液部15に調整部材18を設けた状態で得られた結果である。
【0049】
図13に示すように、5ml/min以上の送液量では時間経過に依らず安定した送液量が得られた。また、図14に示すように、2.5ml以下の送液量であっても、調整部材18を設けて流動抵抗を調整することで、時間経過に依らず安定した送液量が得られた。
【0050】
(長期間使用)
図15に示すように、送液を長時間実施した場合でも安定した送液量が得られた。
【0051】
(応答速度)
図16に示すように、モータ40に供給する電力の調整を複数種実施したときに、2秒以下の短い応答速度で設定した送液量となった。なお、この応答速度は、設定した送液量の95%に達するまでの時間である。
【0052】
(再現性)
図17に示すように、モータ40への電力供給を一定の周期で複数回実施したところ、各回で同様の波形となり、再現性を確認できた。
【0053】
(多様な波形生成)
図18における上側のグラフに示されるように、モータ40への電力供給をパルス波となる軌跡で実施した。また、図18における下側のグラフに示されるように、モータ40への電力供給をSine波となる軌跡で実施した。図18においては、各波形での電力供給を1Hzの周期(グラフG1)、0.5Hzの周期(グラフG2)、0.17Hzの周期(グラフG3)、0.25Hzの周期(グラフG4)で実施した。図18に示されるように、多様な波形の軌跡で電力供給した場合も、設定した波形の軌跡での送液量が得られた。例えば、Sine波となる軌跡の送液量で活性成分含有溶液を送液することで、血管内における血液の圧力に近似することが可能になる。
【0054】
(ペリスタポンプとの比較)
図19に示されるように、モータ40へ一定の電力を供給した場合、ペリスタポンプ(グラフG11)では、脈動の影響で送液量が変動したが、本実施形態のポンプ1(グラフG12)では、一定で安定した送液量が得られた。
【0055】
(実施例)
図20は、筋肉組織Mが形成された灌流デバイスDVの断面図である。灌流デバイスDVは、培養槽110の側壁111を貫通するアンカー112、113が設けられている。筋肉組織Mおよびアンカー112、113には、灌流流路114が貫通して設けられている。
上記の灌流デバイスDVを図4および図5に示したポンプ1における貯留槽70の底部に載置した。アンカー112に排液部15を接続し、培地を灌流流路114に灌流させて筋肉組織Mを培養した。
【0056】
図21に示すように、灌流を実施しながら培養した筋肉組織の断面は細胞核が観察され、酸素と栄養が供給されていることを確認できた。一方、図22に示すように、灌流を実施せずに培養した筋肉組織の断面は細胞核はほとんど観察されず、組織が死んでいると推定できる。
このように、本実施形態のポンプ1を用いることで、灌流を実施しながら安定した組織培養が可能になる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、従動部材60が永久磁石である構成を例示したが、この構成に限られず、鋼材等の磁性体であってもよい。従動部材60を磁性体とする場合は、活性成分含有溶液の送液量が小さく、インペラ20を低速で回転させるときが好ましく、活性成分含有溶液の送液量が大きくインペラ20を高速で回転させるときには従動部材60を永久磁石とすることが好ましい。
【0059】
また、上記実施形態では、ケース10、インペラ20およびカバー30が貯留槽70に設けられる構成を例示したが、この構成に限定されない。
例えば、係合部90、隙間91および空隙92を板体120に形成し、サイド壁82に形成され上下方向に延びる溝部121に板体120を挿入することで、ケース10、インペラ20およびカバー30を支持部材80に設ける構成としてもよい。この構成を採る場合には、導液部31に活性成分含有溶液を導入するための配管を接続し、排液部15に活性成分含有溶液を送液するための配管を接続すればよい。
【0060】
また、貯留槽70の代わりに係合部90、隙間91および空隙92を管体に設け、管体にケース10、インペラ20およびカバー30を支持部材80に設ける構成としてもよい。この構成を採る場合には、導液部31に接続される活性成分含有溶液を導入するための配管と、排液部15に接続される活性成分含有溶液を送液するための配管を、管体に挿入すればよい。
【0061】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
軸方向の一方側に延びる中心軸を有する底壁部と、前記底壁部の縁部から前記軸方向の一方側に突出して設けられ前記中心軸を囲み前記軸方向の一方側に開口する送液空間を形成するとともに、前記送液空間と繋がり活性成分含有溶液が排液される排液部を有する側壁部と、を備えるケースと、
前記中心軸に嵌め合わされて、前記中心軸を中心とする周方向に回転するインペラと、
前記送液空間と繋がり前記活性成分含有溶液が導入される導液部を有し、前記送液空間の開口部を覆うカバーと、
前記ケースよりも前記軸方向の他方側に配置されたモータと、
前記軸方向で前記モータと前記ケースとの間に配置され、前記モータの駆動により前記インペラと同軸で前記周方向に回転する回転部材と、
前記回転部材に設けられ、前記底壁部の前記軸方向の他方側に間隔をあけて配置された駆動マグネットと、
前記インペラにおける前記駆動マグネットと前記軸方向に対向可能な位置に設けられ、前記駆動マグネットの磁力で前記周方向に回転可能な磁石または磁性体で構成される従動部材と、
を有する、活性成分含有溶液ポンプ。
(付記2)
前記ケースは、前記底壁部から前記軸方向の他方側に突出し、上下方向に延びるリブ部と、前記リブ部の先端から左右両側に張り出し前記底壁部との間に隙間を形成するフランジ部とを有し、
前記底壁部よりも前記軸方向の他方側に配置され、前記底壁部と前記フランジ部との隙間に挿入されたときに前記フランジ部に前記軸方向の一方側から係合して、前記ケースを前記軸方向と当該軸方向に直交する左右方向とに位置決めする係合部を有する、
付記1に記載の活性成分含有溶液ポンプ。
(付記3)
前記活性成分含有溶液が貯留される貯留槽を有し、
前記係合部は、前記貯留槽に設けられ、
前記ケース、前記インペラおよび前記カバーは、前記貯留槽の内部に配置され、
前記従動部材は、前記貯留槽を介した前記磁力で回転する、
付記2に記載の活性成分含有溶液ポンプ。
(付記4)
前記活性成分含有溶液が送液される管体を有し、
前記係合部は、前記管体に設けられ、
前記ケース、前記インペラおよび前記カバーは、前記管体の内部に配置され、
前記従動部材は、前記管体を介した前記磁力で回転する、
付記2に記載の活性成分含有溶液ポンプ。
(付記5)
前記モータを支持する支持部材を有し、
前記係合部は、前記支持部材に設けられる、
付記2に記載の活性成分含有溶液ポンプ。
(付記6)
前記排液部に、前記活性成分含有溶液の流動抵抗を調整する調整部材が着脱自在に設けられる、
付記1から付記5のいずれか一項に記載の活性成分含有溶液ポンプ。
(付記7)
付記1から付記6のいずれか一項に記載の活性成分含有溶液ポンプと、
前記モータの駆動を制御する制御部と、
を備える、活性成分含有溶液ポンプシステム。
(付記8)
前記活性成分含有溶液ポンプは複数設けられ、
前記制御部は、複数の前記活性成分含有溶液ポンプにおける前記モータの駆動をそれぞれ独立して制御可能である、
付記7に記載の活性成分含有溶液ポンプシステム。
(付記9)
前記モータを支持する複数の支持部材を有し、
複数の前記支持部材は、互いに隣り合う前記支持部材の一方に凸部が設けられ、他方に前記凸部と嵌め合わされる凹部が設けられる、
付記8に記載の活性成分含有溶液ポンプシステム。
(付記10)
前記制御部は、
複数の前記モータと電気的に接続された副制御部と、
前記モータの駆動に関する指示を入力する入力部を有し、入力された前記指示を前記副制御部に対して無線通信で送信する主制御部と、
を有する、
付記7から付記9のいずれか一項に記載の活性成分含有溶液ポンプシステム。
【符号の説明】
【0062】
1…ポンプ(活性成分含有溶液ポンプ)、 10…ケース、 11…底壁部、 12…側壁部、 13…中心軸、 14…送液空間、 15…排液部、 16…リブ部、 17…フランジ部、 18…調整部材、 20…インペラ、 30…カバー、 40…モータ、 41…回転部材、 50…駆動マグネット、 60…従動部材、 70…貯留槽、 80…支持部材、 84A、85A、86A、87A…凸部、 84B、85B、86B、87B…凹部、 90…係合部、 100…ポンプシステム(活性成分含有溶液ポンプシステム)、 101…主制御部、 102…副制御部、 CONT…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23