(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004208
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】印刷方法、印刷装置及びインクセット
(51)【国際特許分類】
B41M 5/00 20060101AFI20230110BHJP
C09D 11/40 20140101ALI20230110BHJP
C09D 11/322 20140101ALI20230110BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230110BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B41M5/00 100
C09D11/40
C09D11/322
B41J2/01 501
B41J2/21
B41M5/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105758
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】寺井 希
(72)【発明者】
【氏名】小飯塚 祐介
(72)【発明者】
【氏名】廣川 悠哉
(72)【発明者】
【氏名】志村 直人
(72)【発明者】
【氏名】寶田 達也
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EE10
2C056EE18
2C056FA10
2C056FB01
2C056FC01
2H186AA05
2H186AB02
2H186AB12
2H186AB39
2H186AB47
2H186DA07
2H186DA08
2H186FA04
2H186FA07
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB22
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB30
2H186FB48
2H186FB55
2H186FB56
2H186FB58
4J039AD09
4J039AE04
4J039BA20
4J039BC33
4J039BE01
4J039BE22
4J039EA21
4J039EA36
4J039EA43
4J039EA48
4J039GA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】着色されている皮革であっても良好な発色性が得られ、印刷部分が剥がれ難く、印刷前の皮革の風合いを損なわない印刷方法を提供する。
【解決手段】皮革にホワイトインクを吐出する第1の吐出工程とホワイトインク上にカラーインクを吐出する第2の吐出工程とを含む印刷方法で、カラーインクは、色材、有機溶剤及び樹脂を含有し、ホワイトインクは、色材、HSP値(Hansen溶解度パラメーター)の水素結合項が15以下の有機溶剤及びガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂を含有し、HSP値の水素結合項が15以下の有機溶剤は一般式(1)で表される有機溶剤を含む。
(一般式(1)中、R
1、R
2及びR
3は、炭素数1以上8以下の炭化水素基を表す。)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮革にホワイトインクを吐出する第1の吐出工程と、
前記ホワイトインク上にカラーインクを吐出する第2の吐出工程と、を含む印刷方法であって、
前記カラーインクは、色材、有機溶剤及び樹脂を含有し、
前記ホワイトインクは、色材、HSP値(Hansen溶解度パラメーター)の水素結合項が15以下の有機溶剤及びガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂を含有し、
前記HSP値の水素結合項が15以下の有機溶剤は、下記一般式(1)で表される有機溶剤を含むことを特徴とする印刷方法。
【化1】
(ただし、前記一般式(1)中、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立に、炭素数1以上8以下の炭化水素基を表す。)
【請求項2】
前記ホワイトインクは、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂の少なくともいずれかを含有することを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記ホワイトインクに含まれる樹脂の含有量は、前記ホワイトインク全量に対して1質量%以上6質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記ホワイトインクは、シリコーン系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項5】
前記ホワイトインクにおいて、前記ガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂は、ガラス転移点Tgが0℃以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項6】
前記ホワイトインクは、ガラス転移点Tgが45℃以上の樹脂を含有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項7】
前記カラーインクは、ガラス転移点Tgが0℃以下の樹脂を含有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項8】
前記カラーインクは、ガラス転移点Tgが45℃以上の樹脂を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項9】
前記カラーインクは、樹脂被覆型顔料を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項10】
前記第2の吐出工程後、前記皮革の印刷面を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項11】
前記第1の吐出工程及び前記第2の吐出工程において、前記皮革を印刷面の裏面から加温する加温工程を含むことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項12】
皮革にホワイトインクを吐出する第1の吐出手段と、
前記ホワイトインク上にカラーインクを吐出する第2の吐出手段と、を有する印刷装置であって、
前記カラーインクは、色材、有機溶剤及び樹脂を含有し、
前記ホワイトインクは、色材、HSP値(Hansen溶解度パラメーター)の水素結合項が15以下の有機溶剤及びガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂を含有し、
前記HSP値の水素結合項が15以下の有機溶剤は、下記一般式(1)で表される有機溶剤を含むことを特徴とする印刷装置。
【化1】
(ただし、前記一般式(1)中、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立に、炭素数1以上8以下の炭化水素基を表す。)
【請求項13】
皮革に吐出されるホワイトインクと、前記ホワイトインク上に吐出されるカラーインクと、を含むインクセットであって、
前記カラーインクは、色材、有機溶剤及び樹脂を含有し、
前記ホワイトインクは、色材、HSP値(Hansen溶解度パラメーター)の水素結合項が15以下の有機溶剤及びガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂を含有し、
前記HSP値の水素結合項が15以下の有機溶剤は、下記一般式(1)で表される有機溶剤を含むことを特徴とするインクセット。
【化1】
(ただし、前記一般式(1)中、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立に、炭素数1以上8以下の炭化水素基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法、印刷装置及びインクセットに関する。
【背景技術】
【0002】
皮革には様々なものが存在する。動物の皮から製造された天然皮革、織布・編布などを基布とし合成樹脂を塗布した合成皮革、不織布に合成樹脂を含侵したものを基材とし合成樹脂を塗布した人工皮革、天然皮革の製造過程で出る裁断端切れを粉砕しシート状に固め表面コーティング加工をした再生革等がある。また、皮革は様々な仕上げ方法により、耐水/耐熱等様々な機能を付与することが一般的であり、表面組成は多種多様である。
【0003】
皮革への加飾には、一般的にスクリーン方式やインクジェット方式がある。近年、様々なデザインの加飾需要や他の記録方式に比べて、プロセスが簡単で、フルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても、高解像度の画像が得られることからインクジェット方式が増えてきている。
【0004】
インクジェット方式において、一般的には染料インクや溶剤インク、紫外線硬化型インク(UVインク)が用いられている。ヌメ革のような浸透性の皮革には水性インクや溶剤インクを用いることができるが、樹脂等が塗布された難浸透性・非浸透性の皮革に対しては、カラーブリードやビーディングのような異常画像が発生することがある。UVインクは幅広い皮革に加飾することが可能だが、硬いインク塗膜が形成されること等により印刷前の皮革の風合いを損ねやすく、また安全性に懸念がある(特許文献1、2)。幅広い皮革に加飾ができ、UVインクより柔軟かつ安全なインク塗膜を形成できるものとして、ラテックスインクがある(特許文献3)。一方、インクジェット方式を用いて白色の水性インクを皮革に吐出し得ることも開示されている(特許文献4)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、皮革には着色されたものも多く、そのような皮革に対しては発色性が悪いという問題があるが、従来技術ではそのような問題を十分に解決できているとはいえなかった。また、インクを用いて皮革に印刷する場合、インクによって形成される皮革上の印刷部分が剥がれ難いことが求められており、加えて印刷部分が印刷前の皮革の風合いを損なわないことが求められている。しかし、従来技術ではこれらすべてを満足できるとはいえなかった。
【0006】
そこで本発明は、着色されている皮革であっても良好な発色性が得られ、印刷部分が剥がれ難く、印刷前の皮革の風合いを損なわない印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の印刷方法は、皮革にホワイトインクを吐出する第1の吐出工程と、前記ホワイトインク上にカラーインクを吐出する第2の吐出工程と、を含む印刷方法であって、前記カラーインクは、色材、有機溶剤及び樹脂を含有し、前記ホワイトインクは、色材、HSP値(Hansen溶解度パラメーター)の水素結合項が15以下の有機溶剤及びガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂を含有し、前記HSP値の水素結合項が15以下の有機溶剤は、下記一般式(1)で表される有機溶剤を含むことを特徴とする。なお、ここでは一般式(1)は省略している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、着色されている皮革であっても良好な発色性が得られ、印刷部分が剥がれ難く、印刷前の皮革の風合いを損なわない印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】メインタンクの一例を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る印刷方法、印刷装置及びインクセットについて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
本発明の印刷方法は、皮革にホワイトインクを吐出する第1の吐出工程と、前記ホワイトインク上にカラーインクを吐出する第2の吐出工程と、を含む印刷方法であって、前記カラーインクは、色材、有機溶剤及び樹脂を含有し、前記ホワイトインクは、色材、HSP値(Hansen溶解度パラメーター)の水素結合項が15以下の有機溶剤及びガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂を含有し、前記HSP値の水素結合項が15以下の有機溶剤は、下記一般式(1)で表される有機溶剤を含むことを特徴とする。
【0012】
【0013】
(ただし、前記一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1以上8以下の炭化水素基を表す。)
【0014】
本発明によれば、着色されている皮革であっても良好な発色性が得られ、高い画像品質とすることができる。また、印刷部分が剥がれ難く、印刷前の皮革の風合いを損なわない印刷方法が得られる。
【0015】
(印刷方法)
本発明の印刷方法は、皮革にホワイトインクを吐出する第1の吐出工程と、前記ホワイトインク上にカラーインクを吐出する第2の吐出工程と、を含み、必要に応じてその他の工程を含む。以下、第1の吐出工程と第2の吐出工程を区別なく説明する場合、吐出工程と称することがある。また、ホワイトインクとカラーインクに共通する事項を説明する場合には、単にインクと称することがある。
【0016】
本発明に用いられるホワイトインクは、色材、HSP値(Hansen溶解度パラメーター)の水素結合項が15以下の有機溶剤及びガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂を含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明に用いられるカラーインクは、色材、有機溶剤及び樹脂を含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
【0017】
また、本発明によれば前記ホワイトインクと前記カラーインクのインクセットが提供される。前記カラーインクとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。カラーインクだけのインクセットでは、着色された皮革への発色性が悪いという問題がある。換言すれば、カラーインクを吐出する第2の吐出工程のみを行う場合、着色された皮革に対して十分な発色性が得られない。
【0018】
<インク>
以下、インクに用いる有機溶剤、色材、樹脂、添加剤等について説明する。以下の説明では、ホワイトインクとカラーインクをまとめて説明する。
【0019】
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
【0020】
ホワイトインクは色材として、例えば白色顔料を用いる。カラーインクでは、特に制限されるものではないが、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色材を用いる。
【0021】
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
【0022】
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
【0023】
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
【0024】
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
【0025】
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
【0026】
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
【0027】
顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。インクの貯蔵安定性、吐出信頼性の観点から樹脂被覆型顔料が好ましい。
【0028】
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0029】
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0030】
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
【0031】
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
【0032】
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
【0033】
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
【0034】
本発明に用いられるホワイトインクは、基材(皮革)への濡れ性、浸透性の観点から、HSP値(Hansen溶解度パラメーター)の水素結合項が15以下の有機溶剤を含有する。HSP値の水素結合項が15以下となる有機溶剤としては、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等が挙げられる。
【0035】
さらに本発明では、ホワイトインクにおけるHSP値の水素結合項が15以下の有機溶剤は、下記一般式(1)で表される有機溶剤を含むことを要する。
【0036】
【0037】
(ただし、前記一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1以上8以下の炭化水素基を表す。)
【0038】
HSP値の水素結合項が15以下であり、かつ前記一般式(1)で表される有機溶剤としては、例えば、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等が挙げられる。なお、前記一般式(1)で表される有機溶剤をアミド系有機溶剤などと称してもよい。
【0039】
本発明に用いられるホワイトインクにおいては、HSP値の水素結合項が15以下であり、かつ前記一般式(1)で表される有機溶剤を含むことを要し、HSP値の水素結合項が15以下の有機溶剤として、前記一般式(1)で表される有機溶剤以外の有機溶剤をさらに含むことが好ましい。この場合、発色性、剥がれ難さを向上させることができる。
【0040】
HSP値の水素結合項が15以下であり、前記一般式(1)で表される有機溶剤の含有量としては、適宜選択することができるが、有機溶剤の全量に対して1質量%以上であることが好ましい。また、この有機溶剤の含有量の上限値としては、特に制限されるものではないが、15質量%以下であることが好ましい。
【0041】
前記ハンセンの溶解パラメータ(HSP)は、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項δD、極性項δP、水素結合項δHの3成分に分割し、三次元空間に表したものである。前記分散項δDは分散力による効果、前記極性項δPは双極子間力による効果、前記水素結合項δHは水素結合力による効果をそれぞれ示す。
【0042】
前記ハンセンの溶解パラメータ(HSP)の定義及び計算は、下記の文献に記載されている。
Charles M.Hansen著、Hansen Solubility Parameters:A Users Handbook(CRCプレス、2007年)。
溶媒の溶解パラメータ(HSP)[δD、δP、δH]は、例えば、コンピュータソフトウエア Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)を用いることによって、その化学構造から簡便に推算できる。
【0043】
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
皮革への定着性の観点から、ウレタン樹脂もしくはアクリル樹脂を含有することが好ましい。皮革への定着性の観点から、特に、ホワイトインクがウレタン樹脂又はアクリル樹脂の少なくともいずれかを含有することが好ましい。
【0045】
本発明に用いられるホワイトインクは、ガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂を含有することを要する。このような樹脂を含まない場合、皮革とインクの密着力を高めることができず、印刷部分が剥がれやすくなる。
【0046】
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、吐出信頼性や定着性の観点から3質量%以上10質量%以下がより好ましい。皮革の印刷前の風合いを損なわないという観点から、ホワイトインクに含まれる樹脂の含有量は、ホワイトインク全量に対して1質量%以上6質量%以下であることがより好ましい。
【0047】
ホワイトインクにおいて、前記ガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂は、ガラス転移点Tgが0℃以下であることが好ましい。この場合、耐擦過性が向上するという効果が得られる。
【0048】
ホワイトインクは、前記ガラス転移点Tgが20℃以下の樹脂とは別に、ガラス転移点Tgが45℃以上の樹脂を含有することが好ましい。この場合、基材密着性が向上するという効果が得られる。
【0049】
カラーインクは、ガラス転移点Tgが0℃以下の樹脂を含有することが好ましい。この場合、耐擦過性が向上するという効果が得られる。
【0050】
カラーインクは、ガラス転移点Tgが45℃以上の樹脂を含有することが好ましい。この場合、基材密着性が向上するという効果が得られる。
【0051】
インクが、ガラス転移点Tgが0℃以下の樹脂(a)と、ガラス転移点Tgが45℃以上の樹脂(b)を含有する場合、インク中の樹脂全量に対する含有量としては、(a)が4質量%以上であることが好ましく、(b)が6質量%以上であることが好ましい。
【0052】
樹脂のガラス転移点Tgは、例えば、示差走査熱量測定(DSC)装置(装置名:Thermo plus EVO2/DSC、リガク製)を用い、測定温度-50℃~100℃、1分間に2.5℃の昇温速度により測定できる。
【0053】
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0054】
<添加剤>
インクには、必要に応じて、水、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
【0055】
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%~60質量%がより好ましい。
【0056】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。基材への濡れ性の観点から、シリコーン系界面活性剤であることが好ましい。
【0057】
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
【0058】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
【0059】
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
【0060】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0061】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0062】
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
【0063】
【0064】
(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
【0065】
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
【0066】
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0067】
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
【0068】
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0069】
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0070】
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
【0071】
<インクの物性等>
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
【0072】
インクの使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ例えば、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。これらの中でも、インクジェット法が好ましい。
【0073】
<インクセット>
本発明のインクセットは、ホワイトインクとカラーインクのセットであり、上記ホワイトインクと上記カラーインクが用いられる。前記カラーインクとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、又はブラックなどが挙げられる。ホワイトインクはカラー画像の下地として好適である。
【0074】
<記録媒体>
本発明は主に皮革に用いられるが、記録媒体としては皮革以外にも普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできる。本発明によれば、着色されている皮革を用いた印刷にも良好な画像形成が可能である。また本発明によれば、着色前の皮革の風合いを損なわず、剥がれ難く、高発色な画像形成が可能である。
【0075】
着色されている皮革としては、天然色の皮革に着色した皮革だけでなく、天然色として黒色、茶色などの皮革も含まれる。また、着色された皮革の色には制限はなく、黒色、茶色、赤色、青色、緑色、黄色、灰色などを用いることができる。
【0076】
前記皮革としては特に制限はなく、ヌメ革のような浸透性の天然皮革から、アクリル樹脂やウレタン樹脂、塩化ビニル等でラッカー処理(トップコート層を有する)されている天然皮革、人工皮革、合成皮革、再生皮革などを用いることができる。
前記天然皮革としては特に制限はなく、牛革、豚革、羊革、馬革など様々な動物の皮から作られた皮革に用いることができる。
人工皮革としては特に制限はなく、ナイロン、ポリエステル等のマイクロファイバ等から構成される不織布に合成樹脂を含侵した基材もしくはその表面にさらに合成樹脂を塗布したものなどを用いることができる。
合成皮革としては特に制限はなく、天然繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等から構成される織布・編布基材の表面に合成樹脂を塗布したものなどを用いることができる。
【0077】
(印刷装置及び印刷方法についての更なる説明)
本発明は、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。なお、本発明において印刷装置は記録装置などと称されてもよく、印刷方法は記録方法などと称されてもよい。
【0078】
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
【0079】
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。加熱温度は40℃以上120℃以下が好ましく、定着性の観点から50℃以上120℃以下がより好ましく、皮革の柔軟性が損なわれないようにするという観点から50℃以上90℃以下がさらに好ましい。
【0080】
本発明では、第2の吐出工程後、皮革の印刷面を乾燥する乾燥工程を有していることが好ましい。乾燥工程で用いられる乾燥手段は、上記のように、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーター等を用いることができる。この乾燥工程における乾燥温度としては、上記のように、40℃以上120℃以下が好ましく、定着性の観点から50℃以上120℃以下がより好ましく、皮革の柔軟性が損なわれないようにするという観点から50℃以上90℃以下がさらに好ましい。
【0081】
また、本発明では、第1の吐出工程及び第2の吐出工程において、皮革を印刷面の裏面から加温する加温工程を行うことが好ましい。換言すると、第1の吐出工程及び第2の吐出工程は、印刷面の裏面が加温された状態の皮革に対してインクを吐出することが好ましい。加温工程で用いられる加温手段は、例えば、ホットプレート、シリコンラバーヒーター、温風ヒーター、赤外線ヒーター等を用いることができる。この加温工程における加温温度としては、30℃以上100℃以下が好ましく、定着性の観点から45℃以上100℃以下がより好ましく、皮革の柔軟性が損なわれない及び吐出信頼性の観点から45℃以上85℃以下がさらに好ましい。
【0082】
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
【0083】
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
【0084】
記録装置の一例について
図1乃至
図2を参照して説明する。
図1は同装置の斜視説明図である。
図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
【0085】
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
【実施例0086】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0087】
(顔料分散液の調製例1)
<ブラック顔料分散液Aの調製>
以下の原材料をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散して[ブラック顔料分散液A]を得た。
【0088】
[組成]
・カーボンブラック顔料(商品名:Monarch800、キャボット社製):15質量部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA-51-B、竹本油脂株式会社製):2質量部
・イオン交換水:83質量部
【0089】
(顔料分散液の調製例2)
<シアン顔料分散液Aの調製>
顔料分散液の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントブルー15:3(商品名:LIONOL BLUE FG-7351、東洋インキ株式会社製)に変更した以外は、顔料分散液の調製例1と同様にして、[シアン顔料分散液A]を得た。
【0090】
(顔料分散液の調製例3)
<マゼンタ顔料分散液Aの調製>
顔料分散液の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントレッド122(商品名:トナーマゼンタEO02、クラリアントジャパン株式会社製)に変更した以外は、顔料分散液の調製例1と同様にして、[マゼンタ顔料分散液A]を得た。
【0091】
(顔料分散液の調製例4)
<イエロー顔料分散液Aの調製>
顔料分散液の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントイエロー74(商品名:ファーストイエロー531、大日精化工業株式会社製)に変更した以外は、顔料分散液の調製例1と同様にして、[イエロー顔料分散液A]を得た。
【0092】
(顔料分散液の調製例5)
<ブラック顔料分散液Bの調製>
スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12g、ポリエチレングリコールメタクリレート4g、スチレンマクロマー4g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108g、ポリエチレングリコールメタクリレート36g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60g、スチレンマクロマー36g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を、2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、さらに1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、固形分濃度50%の[ポリマー溶液A]を800g得た。
次いで、[ポリマー溶液A]28g、カーボンブラック(Cabot Corporation社製、Black Pearls 1000)42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及び水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルで混練した。得られたペーストを純水200gに入れて充分に攪拌した後、エバポレータでメチルエチルケトンを除去し、平均孔径5μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過した。その後、固形分濃度が20%になるように水分量を調整し、固形分濃度20%の[スチレン-アクリル系樹脂被覆ブラック顔料分散液B]を得た。なお、[スチレン-アクリル系樹脂被覆ブラック顔料分散液B]を[ブラック顔料分散液B](樹脂被覆型)などとも称する。
【0093】
(顔料分散液の調製例6)
<シアン顔料分散液Bの調製>
前記[スチレン-アクリル系樹脂被覆ブラック顔料分散液B]の調製において、カーボンブラックの代わりに、ピグメントブルー15:4(SENSIENT社製SMART Cyan 3154BA)を使用する以外は同様にして、固形分濃度20%の[スチレン-アクリル系樹脂被覆シアン顔料分散液B]を得た。
【0094】
(顔料分散液の調製例7)
<マゼンタ顔料分散液Bの調製>
前記[スチレン-アクリル系樹脂被覆ブラック顔料分散液B]の調製において、カーボンブラックの代わりにピグメントレッド122(Sun Chemical社製Pigment Red 122)を使用する以外は同様にして固形分濃度20%の[スチレン-アクリル系樹脂被覆マゼンタ顔料分散液B]を得た。
【0095】
(顔料分散液の調製例8)
<イエロー顔料分散液Bの調製>
前記[スチレン-アクリル系樹脂被覆ブラック顔料分散液B]の調製において、カーボンブラックの代わりにピグメントイエロー74(SENSIENT社製SMART Yellow 3074BA)を使用する以外は同様にして固形分濃度20%の[スチレン-アクリル系樹脂被覆イエロー顔料分散液B]を得た。
【0096】
(顔料分散液の調製例9)
<ホワイト顔料分散液の調製>
酸化チタン(商品名:STR-100W、堺化学工業株式会社製)25質量部、顔料分散剤(商品名:TEGO Dispers651、エボニック社製)5質量部、及び水70質量部を混合し、ビーズミル(商品名:リサーチラボ、株式会社シンマルエンタープライゼス製)にて、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填率60%、8m/sにて5分間分散し、[ホワイト顔料分散液]を得た(顔料固形分25質量%)。
【0097】
(ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンの調製例)
<ポリカーボネートウレタン樹脂(4)の調製>
撹拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(3-メチル-1,5-ペンタンジオールとジフェニルカーボネートの反応生成物)(数平均分子量(Mn):1,200))1,500g、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN-メチルピロリドン(NMP)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445g(5.5モル)、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4,340gを抜き出して、強撹拌下、水5,400g、及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。
次いで、氷1,500gを投入し、35%の1,6-ヘキサメチレンジアミン626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有する[ポリカーボネートウレタン樹脂エマルジョン1]を得た。得られた[ポリカーボネートウレタン樹脂エマルジョン1]の樹脂(固形分)を単離し、樹脂固形分濃度30質量%の水分散体を得た。得られた樹脂固形分濃度30質量%の水分散体が[ポリカーボネートウレタン樹脂(4)]である。これを最低造膜温度測定用試料とし、造膜温度試験装置(株式会社井元製作所製)で測定したガラス転移温度(Tg)は20℃であった。
【0098】
(インク製造例1)
<インクC1の製造>
下記のインク処方を、全量で100質量部になるように高純水を加え、調合後、混合撹拌し、平均孔径5μmのフィルター(ザルトリウス社製、ミニザルト)で濾過して、[インクC1]を作製した。
【0099】
[インク処方]
・上記[ブラック顔料分散液B]:20質量部
・W6110(三井化学株式会社製、ポリウレタン樹脂、固形分濃度:35質量%):5.0質量部
・モビニール6810(ジャパンコーティングレジン株式会社製、アクリル樹脂、固形分濃度:45質量%):3.0質量部
・Triton HW1000(ダウ・ケミカル社製):0.2質量部
・BYK348(BYK社製、シリコーン系界面活性剤):0.8質量部
・1,2-プロパンジオール(商品名:プロピレングリコール、株式会社ADEKA製):15質量部
・1,3-プロパンジオール(Dupont社製):2質量部
・2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(商品名:EHD、株式会社クラレ製):2質量部
・3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド(商品名:B100、出光興産株式会社製):7質量部
・高純水:残量(合計:100質量部)
【0100】
(インク製造例2~28)
<インクC2~C14およびW1~W14の製造>
インクの製造例1において、下記表1~表6に記載のインク処方に変更した以外は、インクの製造例1と同様にして、カラーインクC2~カラーインクC14およびホワイトインクW1~W14を製造した。なお、表中の樹脂の含有量は固形分量である。
【0101】
表中、各成分の詳細な内容については、以下のとおりである。上記インク調製例1に記載のものはここでは省略する。
・ポリウレタン樹脂(1):Xw-Um12(三井化学株式会社製、ポリウレタン樹脂、固形分濃度:35質量%)
・ポリウレタン樹脂(2):W6110(三井化学株式会社製、固形分濃度:35質量%)
・ポリウレタン樹脂(3):スーパーフレックス300(第一工業製薬株式会社製、ポリウレタン樹脂、固形分濃度:30質量%)
・ポリウレタン樹脂(4):上記ポリカーボネートウレタン樹脂(4)(内作樹脂、固形分濃度:30質量%)
・ポリウレタン樹脂(5):Xw-Um7(三井化学株式会社製、ポリウレタン樹脂、固形分濃度:30質量%)
・アクリル樹脂(1):モビニール6800(ジャパンコーティングレジン株式会社製、アクリル樹脂、固形分濃度:45質量%)
・アクリル樹脂(2):モビニール6969D(ジャパンコーティングレジン株式会社製、アクリル樹脂、固形分濃度:40質量%)
・アクリル樹脂(3):モビニール6750(ジャパンコーティングレジン株式会社製、アクリル樹脂、固形分濃度:50質量%)
・アクリル樹脂(4):モビニール6810(ジャパンコーティングレジン株式会社製、アクリル樹脂、固形分濃度:40質量%)
・アクリル樹脂(5):モビニール6899D(ジャパンコーティングレジン株式会社製、アクリル樹脂、固形分濃度:45質量%)
・エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(1):スミカフレックス408HQE(住化ケムテクス株式会社製、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、固形分濃度50質量%)
・シリコーン系界面活性剤(2):SAG-503A(日信化学工業株式会社製)
・3-メチル-1,5-ペンタンジオール(商品名:3-メチル-1,5-ペンタンジオール、東京化成工業株式会社)
・3-メトキシ-1-ブタノール(商品名:MB、ダイセル株式会社製)
・3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(商品名:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、和光純薬株式会社製)
・3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド(商品名:エクアミドM100、出光興産株式会社製)
【0102】
(実施例1~10及び比較例1~4)
下記表1~表6に示すホワイトインクとカラーインクを組み合わせに基づき、実施例1~10及び比較例1~4のインクセットを調製した。
次に、各インクセットを用い、以下のようにして、「耐擦過性」、「発色性」、「定着性」及び「風合い」を評価した。結果を表7に示した。
【0103】
<画像形成>
実施例1~10及び比較例1~4では、カラーインクをインクジェットプリンタ(装置名:Ri100、株式会社リコー製)のブラック部に充填し、ホワイトインクをマゼンタ部に充填した。被印刷物として下記の天然皮革及び合成皮革に対し、「Tシャツ はやいモード」で80%階調のホワイトベタ画像を印刷し、次に、100%階調のカラーベタ画像を印刷し、温度70℃の熱風乾燥ユニットに印刷物を通過させ、乾燥し、定着を行った。
【0104】
<被印刷物>
(1)天然皮革(アクリル樹脂で表面処理、牛黒革、平均厚み2mm)
(2)合成皮革(ウレタン樹脂で表面処理、黒革、平均厚み1.5mm)
【0105】
<耐擦過性の評価>
得られた各画像を2.5cm×20cmのサイズに切り出し、染色物摩擦堅ろう度試験機(型式;AR-2、インテック株式会社製)に設置し、500gの荷重で乾いた白布(カナキン3号)にて往復速度30回/分で100回往復させた後、インク塗膜及び白布の状態を観察し、下記の基準で評価した。なお、B以上が実使用可能なレベルである。
【0106】
[評価基準]
AA:基材の皮革が露出しておらず、白布にほとんど色移りしていない
A:基材の皮革が露出しておらず、白布に少し色移りしている
B:基材の皮革が一部露出し、白布の一部に色移りしている
C:基材の皮革が一部露出し、白布一面に色移りしている
D:基材の皮革が半分以上露出している
【0107】
<発色性の評価>
得られた各画像のホワイトベタ部に対して、測色計(装置名:X-Rite eXact)を用いて、ブラックOD(光学濃度)を測色し、下記の基準で評価した。なお、B以上が実使用可能なレベルである。
【0108】
[評価基準]
A:ブラックODが0.4未満
B:ブラックODが0.4以上0.7未満
C:ブラックODが0.7以上1.0未満
D:ブラックODが1.0以上
【0109】
<定着性の評価>
得られた各画像のベタ部に対して、布粘着テープ(ニチバン株式会社製、123LW-50)を使用した碁盤目剥離試験により、試験マス目100個の残存マス数をカウントし、下記の基準で評価した。なお、B以上が実使用可能なレベルである。
【0110】
[評価基準]
AA:残存マス数が100であった
A:残存マス数が90以上100未満であった
B:残存マス数が80以上90未満であった
C:残存マス数が70以上80未満であった
D:残存マス数が70未満であった
【0111】
<風合い評価>
画像の非印字部から印字部に対して、人差し指の腹で7cm/秒でなぞった時の引っ掛かりを評価した。なお、B以上が実使用可能範囲である。
【0112】
[評価基準]
A:引っ掛かりがない
B:わずかにひっかかりがある
C:指が一度とまる
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】