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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004209
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105759
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】中山 聡
(72)【発明者】
【氏名】牧野 英世
(72)【発明者】
【氏名】三ヶ尻 晋
(72)【発明者】
【氏名】山崎 公晴
(72)【発明者】
【氏名】青柳 広太
(72)【発明者】
【氏名】小沼 良成
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA32
2H270KA49
2H270KA68
2H270LA22
2H270LD03
2H270LD09
2H270MA24
2H270MA26
2H270MA35
2H270MB01
2H270MB09
2H270MB25
2H270MB29
2H270MB32
2H270MB33
2H270MB43
2H270MC40
2H270MC70
2H270PA83
2H270RA03
2H270RA15
2H270RA16
2H270RB04
2H270RC03
2H270RC08
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC14
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】色見本の劣化を抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置を含むシートの搬送経路に光学読取センサ50を備えた中間転写方式の画像形成装置において、前記定着装置の温度を画像形成動作時よりも低温の状態にして搬送経路でシートを搬送し光学読取センサ50でシート上の画像を読み取るシート読取モードを備え、読み取りモードでは、一次転写部での像担持体と中間転写体との離間と、二次転写部での二次転写バイアスの印加停止との、少なくとも一方を行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着装置を含むシートの搬送経路に光学読取センサを備えた中間転写方式の画像形成装置において、
前記定着装置の温度を画像形成動作時よりも低温の状態にして前記搬送経路でシートを搬送し前記光学読取センサでシート上の画像を読み取るシート読取モードを備え、
前記シート読取モードでは、一次転写部での像担持体と中間転写体との離間と、二次転写部での二次転写バイアスの印加停止との、少なくとも一方を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記シート読取モードでは、一次転写部での像担持体と中間転写体との離間と、二次転写部での二次転写バイアスの印加停止の、両方を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
シート上画像を前記シート読取モードで読み取った結果から、前記定着装置を画像形成動作時の温度状態にして前記シートを前記搬送経路で搬送し前記シート上画像を前記光学読取センサで読み取るときの結果を求めるための補正量を記憶する記憶手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
調整用チャートを前記シート読取モードで読み取り、この読取結果と、前記記憶手段に記憶している補正量とに基づき、前記光学読取センサの出力特性を補正する出力特性補正制御手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の画像形成装置において、
調整用チャートを前記シート読取モードで読み取り、この読取結果と、前記記憶手段に記憶している補正量とに基づき、画像形成条件を補正する第1画像補正制御手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一に記載の画像形成装置において、
画像形成手段でシート上に所定の画像を形成し、形成した画像を前記光学読取センサで読み取り、この読取結果に基づいて画像形成条件を補正する第2画像補正制御手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の画像形成装置において、
前記画像形成条件は階調再現条件であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一に記載の画像形成装置において、
前記シート読取モードでは、画像を形成するためのシートの載置部にあるシートを前記搬送経路に送り込むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一に記載の画像形成装置において、
前記定着装置はシートを挟持する定着用部材を有し、前記シート読取モードでは前記定着用部材を離間させることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、色見本を使用した測色部の校正に際し、定着部を画像形成時とは異なる条件で制御して色見本を搬送することで、使用した色見本を繰り返し使用可能とするものがある(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、画像形成部を通過するときに色見本が汚れるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、定着装置を含むシートの搬送経路に光学読取センサを備えた中間転写方式の画像形成装置において、前記定着装置の温度を画像形成動作時よりも低温の状態にして前記搬送経路でシートを搬送し前記光学読取センサでシート上の画像を読み取るシート読取モードを備え、前記シート読取モードでは、一次転写部での像担持体と中間転写体との離間と、二次転写部での二次転写バイアスの印加停止との、少なくとも一方を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、色見本の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】プリンタの全体構成図。
図2】読取装置の概略構成を示す模式図。
図3】プリンタの制御部の構成の一例を示すブロック図。
図4】シート読取モードにおける機構部の状態の説明図。
図5】シート読取モードの制御のフローチャート。
図6】補正量を求めて記憶する手順のフロー。
図7】変形例の手順のフロー。
図8】他の変形例の手順のフロー。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を、カラー対応の電子写真方式の画像形成装置であるプリンタに適用した一実施形態について、図を用いて説明する。まず、本実施形態のプリンタ300の概略について説明する。図1はプリンタ300の全体構成図である。プリンタ300は、装置本体100の上部に操作・表示部200を備える。プリンタ300の装置本体100は4つのプロセスユニット1Y,C,M,Bkを備えたタンデム型の画像形成手段としての画像形成部を備える。
【0008】
4つのプロセスユニット1Y,C,M,Bkは、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成である。各プロセスユニット1は、電子写真方式で画像を形成するもので、感光体2、帯電装置3、現像装置4、クリーニングブレード5などを備えている。電子写真方式に代えインクジェット方式など他の方式のものを用いることもできる。
【0009】
各プロセスユニット1の下方に設けた転写装置7は、中間転写体として中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、第一張架ローラ21、第二張架ローラ22、及び第三張架ローラ23に張架され、テンションローラ24により内周側に押圧されている。
【0010】
中間転写ベルト10を介して4つの感光体2に対向した位置に、4つの1次転写ローラ11を配置している。各1次転写ローラ11は、電源に接続されている。中間転写ベルト10を張架する第三張架ローラ23に対向した位置には、二次転写手段としての2次転写ローラ12が設けられている。この2次転写ローラ12は中間転写ベルト10と接触する箇所に二次転写ニップを形成する。2次転写ローラ12は電源に接続され二次転写バイアスを供給可能になっている。なお、二次転写手段はローラに限られず、ベルトであってもよい。
【0011】
装置本体100の下部には、シート状の記録材としての用紙やOHP等の用紙Pを収容した複数の給紙カセット13が配置されている。給紙カセット13には、収容されている用紙Pを送り出す給紙ローラ14が設けられている。装置本体100の図の左側の外面には、排紙トレイ20が設けられている。
【0012】
装置本体100は、用紙Pを給紙カセット13から二次転写ニップを通って排紙トレイ20へ搬送するための搬送路25を備える。この搬送路25において、2次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向上流側にはレジストローラ対15が設けられている。また、2次転写ローラ12の位置よりも用紙搬送方向下流側には、定着装置8、冷却装置9、画像読取装置などの読取装置50、排出ローラ対16が順次配置されている。
【0013】
定着装置8は、例えば、内部にヒータを有する定着部材としての定着ローラ17と、定着ローラ17を加圧する加圧部材としての加圧ローラ18を備える。定着ローラ17と加圧ローラ18とが接触した箇所には、定着ニップが形成される。
【0014】
また、読取装置50と、排出ローラ対16との間には、後述する切換え爪26が設けられている。この切換え爪26は、画像形成モードとしての印刷モードで、用紙Pの両面に画像形成を行う両面印刷が選択されたときに回動し、搬送路25から、定着装置8や冷却装置9等と給紙カセット13との間に設けられた反転路27に用紙Pを導く。反転路27に導かれた用紙Pは、反転路27内でスイッチバックして表裏の向きが反転され、裏面に画像形成を行うべくレジストローラ対15の上流側で搬送路25に進入する。
【0015】
冷却装置9は、無端状の表側ベルト97aと無端状の裏側ベルト97bを有している。表側ベルト97aの用紙Pを挟持する展張面の内周側には、おもて側冷却プレート91aが配置されており、裏側ベルト97bの用紙Pを挟持する展張面の内周側には、裏側冷却プレート91bが配置されている。
【0016】
また、冷却装置9は、ポンプ92、タンク93、ラジエータ94、冷却ファン95、配管96などを有している。冷却プレート91aと冷却プレート91bとラジエータ94とタンク93とポンプ92との間で冷却液が循環できる。矢印Aは冷却液の循環経路での液の流れを示す。冷却ファン95とラジエータ94は、ダクト28内に配置されている。ダクト28は、下方に設けた吸気口28aと上方の排気口28bとを備える。
【0017】
プリンタ300の基本的動作は次のとおりである。印刷モードとして片面印刷が選択された場合について説明する。パソコン等の外部機器から画像データを受信して作像動作が開始されると、外部機器から画像データが画像処理部によって処理された画像情報に基づいて、露光装置6から帯電された各感光体2にレーザ光が照射され、各感光体2の表面に静電潜像が形成される。各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。感光体2上に形成された静電潜像は、各現像装置4によってトナー像とされる。このトナー像が中間転写ベルト10上に順次重ね合わせて転写される。給紙カセット13から搬出された用紙Pに、中間転写ベルト10上に担持されたトナー像が一括して二次転写される。
【0018】
トナー像が二次転写された用紙Pは定着装置8に搬送され、定着ローラ17と加圧ローラ18によって用紙Pが加圧及び加熱されて、トナー像が用紙P上に定着される。そして、用紙Pは、冷却装置9によって冷却された後、排出ローラ対16によって排紙トレイ20に排出される。
【0019】
図2は、読取装置50の概略構成を示す模式図である。読取装置50は、第一画像読取部60A、第二画像読取部60B、第一駆動搬送ローラ55aと第一従動搬送ローラ55bとかなる第一読取搬送ローラ対55、第二駆動搬送ローラ56aと第二従動搬送ローラ56bとからなる第二読取搬送ローラ対56を有している。
【0020】
各画像読取部60A,60Bは、読取デバイス51と、照明ユニット52と、背景部材54とから構成され、搬送中の用紙P上の画像を読み取る。第二画像読取部60Bは、第一画像読取部60Aよりも用紙搬送方向下流側に配置されている。また、第一画像読取部60Aは、幅方向一端側に配置され、第二画像読取部60Bは、幅方向他端側に配置されている。第一画像読取部60Aと第二画像読取部60Bを幅方向の異なる位置に配置して、各画像読取部(読取デバイス)で読み取った読取画像を繋ぎ合わせる(合成する)ように画像処理することで、用紙に形成された出力画像を取得する(読み取る)。
【0021】
各画像読取部60A,60Bの読取デバイス51は、イメージセンサ51a、レンズ51b、ミラー51c,51d,51e等から構成され、照明ユニット52によって照明された用紙P上の画像を読み取る。
【0022】
各画像読取部60A,60Bの背景部材54は、外周面が黒色である黒色大径ローラ54aと、外周面が黒色である黒色小径ローラ54bと、外周面が白色である白色大径ローラ54cと、外周面が白色である白色小径ローラ54dとを備えている。これらの4つのローラ54a,54b,54c,54dは、回転支持体54eに対してそれぞれ回転可能に支持されており、回転支持体54eが回転することで、いずれかのローラ54a,54b,54c,54dを画像読取位置に位置させることができる。背景部材54は、用紙Pの情報(用紙の厚みや用紙の色などを特定するための情報)や、画像形成システムの動作モード(搬送速度の違いなど)に応じて、対応するいずれかのローラ54a,54b,54c,54dを画像読取位置に位置させる。
【0023】
本実施形態では、第一画像読取部60Aで読み取った第一読取画像と第二画像読取部60Bで読み取った第二読取画像とを合成して得られた合成読取画像を用いて階調再現曲線を補正する。階調再現曲線は、画像形成条件の一つである階調再現条件である。合成読取画像の用紙上のフルカラーの出力画像と、この出力画像の元データであるマスター画像とに基づいて、階調再現曲線を補正し、紙面上に出力される色の変動を抑制する。この階調再現曲線の補正は、第2画像補正制御手段により、画像形成手段でシート上に所定の画像を形成し、形成した画像を前記光学読取センサで読み取り、この読取結果に基づいて行う画像形成条件の補正に相当する。
【0024】
図3は、プリンタ300の図2に示す制御部110の構成の一例を示すブロック図である。プリンタ300とPC500とは、LAN510で接続されている。PC500は、印刷対象の画像を含む印刷データをプリンタ300に送信する。
【0025】
プリンタ300は、PC500から送信された印刷データに基づく印刷を実行したり、キャリブレーション(校正)を行ったりする。プリンタ300は、エンジン400と、エンジン400を制御するDFE(デジタルフロントエンド)300と、を備える。
【0026】
DFE300は、印刷制御部310と、キャリブレーション制御部320と、を含む。印刷制御部310は、I/F311と、ラスタライズ部312と、補正カーブ生成部313と、補正部314と、補正カーブ記憶部315とを含む。キャリブレーション制御部320は、I/F321と、濃度変換情報記憶部322と、濃度変換部323とを含む。エンジン400は、露光装置6と、センサ制御部420と、イメージセンサ51aと、色変換部440と、I/F450と、補正量記憶部460とを含む。
【0027】
階調再現極性の補正の具体的な動作例は次のとおりである。エンジン400は、最適な状態とするため、エンジン調整を実施し最高濃度を設定する。続いて、エンジン400の露光装置6を含む画像形成部は、所定の濃度補正パターン550を用紙に形成(印刷)する。濃度補正パターン550としては、例えば、複数色のパッチ(例えば、CMYK各色のパッチ)を並べたパターンが挙げられる。
【0028】
続いて、エンジン400のイメージセンサ51aは、センサ制御部420の制御の元、用紙に形成された濃度補正パターン550(各パッチの色)を読み取って、RGB色空間の第1の色情報(イメージセンサ51aの読み取り値であるRGBデータ)を生成する。色変換部440は、第1の色情報を第2の色情報に変換する。第2の色情報は、例えばRGBY色空間の色情報(RGBYデータ411)である。
【0029】
キャリブレーション制御部320では、濃度変換部323が、濃度変換情報記憶部322にある濃度補正パターンが形成された用紙の種別の濃度変換情報を用い、第2の色情報を濃度情報に変換(第2の色情報から濃度情報を算出)する。第2の色情報であるRGBYデータ411を、濃度情報であるCMYKデータに変換するのである。印刷制御部310の補正カーブ生成部313は、第2の濃度変換部324により変換された濃度情報に基づいて、階調再現曲線の補正カーブ情報を生成し、補正カーブ記憶部315に記憶する。
【0030】
次に本実施形態における特徴部である光学読取センサであるイメージセンサ51aの出力特性の経時変化対策について説明する。特許文献1の技術で、出荷先で本体添付の調整用チャート(色合わせチャート)をカラーセンサ(光学読取センサ)で検知して作成したカラーセンサの出力補正テーブルを不揮発性記憶装置に保存し、その後に実行するカラーセンサを用いた濃度階調特性制御に用いる。ところが、光学読取センサが経時で特性変化を起こしてしまうと、出力補正テーブルの補正を行う必要がある。このとき、本体添付の調整用チャートを、定着装置を含むシートの搬送経路に備えた光学読取センサで読み取ると、定着装置の熱により、調整用チャートが熱や湿気の減少で縮んだり色味が変化したりする。この結果、調整用チャートの色味自体が変化して劣化し、理想的な出力補正テーブルを補正が行えなくなる。
【0031】
本実施形態では、本体添付の色見本である調整用チャートを劣化させることなく繰り返し使用できるよう、定着装置を画像形成時の温度よりも低温の状態にして搬送経路でシートを搬送し光学読取センサでシート上の画像を読み取るシート読取モードを備える。図4はシート読取モードにおける機構部の状態の説明図である。本実施形態では、一次転写部での像担持体である感光体2と中間転写体である中間転写ベルト10との離間と、二次転写部での二次転写バイアスの印加停止との、少なくとも一方を行う。好ましくは、一次転写部での像担持体である感光体2と中間転写体である中間転写ベルト10との離間は行う。さらに好ましくは両方を行う。離間により感光体2と1次転写ローラ11とによる中間転写ベルト10の挟持状態を解除する。離間は、次のいずれかにより可能である。1次転写ローラ11を離間方向に移動させる。感光体2を離間方向に移動させる。1次転写ローラ11と感光体2の両方を離間方向に移動させる。
【0032】
本実施例では、一次転写部での像担持体である感光体2と中間転写体である中間転写ベルト10との離間と、二次転写部での二次転写バイアスの印加停止との、少なくとも一方を行うので、調整用チャートの劣化(汚れなど)を抑制できる。
【0033】
2次転写ローラ12は矢印Y12で示すように二次転写ニップを解消し、中間転写ベルト10との間に用紙が通過し得る間隔を空けることが好ましい。定着装置8も加圧ローラ18が矢印Y18で示すように定着ローラ17から離間し、冷却装置9も、表側ベルト97aが矢印Y9で示すように裏側ベルト97bから離間し、何れも用紙が通過し得る間隔を空けることが好ましい。そして、定着装置8ではヒータをOFFにし、温度的にも定着できない状態、すなわち、画像形成時よりも低温、好ましくは調整用チャートを劣化させないのに十分な低温状態にする。以下、この定着装置の状態を不作動状態という。
【0034】
図5はシート読取モードの制御のフローチャートである。まず、2次転写ローラ12への2次転写バイアスの供給停止と、1次転写ローラ11と感光体2による中間転写ベルト10の挟持状態の解除との、少なくもと一方、好ましくは両方を行う(STEP1)。更に好ましくは、図4を用いて説明したように調整用チャートに接触する部材をシート搬送経路から退避させる。ただし、二次転写部で調整用チャートに搬送力を与えたい場合には、画像形成中と同様の中間転写ベルト10と2次転写ローラ12との挟持状態のままにすくか、搬送力を与えられる範囲で画像形成中よりも弱い挟持状態に変更するようにしてもよい。このように中間転写ベルト10と2次転写ローラ12とで調整チャートに搬送力を与える場合にも、調整用チャートの劣化(汚れなど)を抑制できる。そして、定着の温度を画像形成時の温度より下げるか、または加熱をOFFにする(STEP2)。次に、調整用チャートを給紙・搬送する(STEP3)。そして、読取装置50で調整用チャートを読み取る(STEP4)。読取後には、排紙トレイ20に調整用チャートを排出する(STEP5)。
【0035】
このシート読取モードでの調整用チャート読取による出力補正テーブルの補正の精度を確保するため、シート上画像をシート読取モードで読み取った結果から、定着装置を作動状態にしてシートを搬送経路で搬送し同じシート上画像を光学読取センサで読み取るときの結果を求めるための補正量を求め、この補正量を記憶手段に記憶する。補正量は例えば次のようにしても求める。工場出荷時などに調整用チャートをシート読取モードで読み取り、その後に、定着装置を作動状態(画像形成動作中の通常の定着が可能な状態)にして調整用チャートを前記搬送経路で搬送し光学読取センサで読み取り、両読み取りの結果から補正量を求める。
【0036】
図6(a)は補正量を求めて記憶するまで手順のフローである。例えば、工場出荷時に実行する。第1モードがシート読取モード、第2モードが定着装置を作動状態にしての読取モードである。第1チャートが1枚目の調整用チャート、第2チャートが2枚目の調整用チャート(印刷されているパッチは同じ画像)を表す。第1補正量はシート上画像を前記シート読取モードで読み取った結果から、前記定着装置を作動状態にして前記シートを前記搬送経路で搬送し前記シート上画像を前記光学読取センサで読み取るときの結果を求めるための補正量を表す。第2補正量は出力補正テーブルを表す。第1補正量の記憶手段としては例えばエンジン400の記憶部460を使用できる。第2補正量の記憶手段として制御部110側に設けた記憶部を使用できる。
【0037】
図6(a)において、第1モードで第1チャートを読取り(STEP1)、第2モードで第1チャートを読取り(STEP2)、両読取結果かの差から、第1補正量を演算する(STEP3)。この結果の差は、定着装置8が作動状態で周囲の温度が昇温し不作動状態では比較的低温というように温度差が生じ、温度差によってイメージセンサ51aなどの特性が変化する影響度合いを表す。この影響度合いを考慮し、シート上画像を第1モードで読み取った結果から、第2モードで前記シート上画像を読み取るときの結果を求めるための補正量を求めるのである。求めた第1補正量は記憶部に記憶する(STEP4)。この第1補正量の演算とともにセンサの出力特性も演算され、センサ出力テーブルが作成され記憶部に記憶される。
【0038】
そして、第1モードで第2チャートを読取り(STEP5)、第2補正量を演算(STEP6)し、第2補正量を記憶部に記憶する(STEP7)。この第2補正量は印刷制御部310の補正カーブ記憶部に記憶される補正カーブであり、プリンタの最初のキャリブレーションであり、前述のキャリブレーション処理で画像形成した画像を読み取るのに代え、第2チャートを用いる。第1補正量を参酌し補正カーブを演算する(STEP6)。この演算は、印刷制御部310の補正カーブ生成部313で実行され、第1補正情報とともに、前述のように濃度変換情報記憶部322の用紙の種類に応じた濃度変換情報も参酌しながらなされる。このステップが、第1画像補正制御手段により、調整用チャート(第2チャート)をシート読取モード(第1モード)で読み取り、この読取結果と、記憶手段に記憶している補正量(第1補正量)とに基づき、画像形成条件(補正カーブ)を補正するステップに相当する。そして、第2チャートを本体に同梱し(STEP8)、出荷する。
【0039】
図6(b)は、図6(a)で同梱された第2チャートを用いた、例えば客先でのイメージセンサ51aの出力特性の経時変化を考慮したセンサ出力テーブルの補正処理である。第1モードで第2チャートを読取り(STEP1)、第1補正量を参酌し出力特性(センサ出力テーブル)を補正(STEP2)する。
【0040】
図7図6の変形例の手順のフローである。この変形例が図6の例と異なる点は、図6の例では図6(a)のSTEP8で第2チャートを同梱するのに対し、この変形例てば、同梱はせず、図7(b)に示すように、例えば客先で調整用チャートと同一のパッチを画像形成によって用紙に形成し(STEP1)、これを保管する(STEP2)点である。そして、図7(c)のキャリブレーションでは、この保管しておいた調整用チャートを使用する。他の点は図6の例と同じである。客先で調整用チャートと同一のパッチを画像形成によって用紙に形成するのは、客先に納品された直後の新品のプリンタ状態で行う。このためにプリントの記憶部に調整用チャートの元データを保存しておき、図7(b)のSTEP1の出力に用いる。
【0041】
図8は他の変形例の手順のフローである。図8の手順が、図6図7の手順と異なる点は、図6図7では工場出荷時に行っていた最初のキャリブレーション((a)のSTEP5~7)を、例えば客先で行うこととした(図8(b)STEP1~STEP3)点である。このため、第2チャートを同梱して出荷する。この最初のキャリブレーションは客先に納品された直後の新品のプリンタ状態で行う。
【0042】
なお、図6図7の工場出荷時における第1補正量の求める為の第1モードと第2モードによる読取及び第1補正量の演算は、同時に出荷する複数台のプリントの例えば1台につき行い、他のプリントについては、1台で得られた第1補正量をそのまま記憶部460に記憶することにより、他のプリンタについての第1補正量決定の手間を省略することもできる。無論、プリンタ間でのバラツキもあり得ることから各プリンタについて行うことが精度的に好ましいが、精度がゆるせば、手間の省力ができる。
【0043】
以上の説明では第1補正量をそのまま記憶部460に記憶したが、これに代え、第1補正量による補正をかけずにイメージセンサ51aの出力を用いても、第1補正量を用いて補正した場合と同様の結果になるパラメータ(画像形成条件)を補正することもできる。例えば、階調曲線補正であれば補正カーブに補正をかける。その他のパラメータに補正をかけてもよい。また、片面印刷時と両面印刷時とイメージセンサ出力特性がかわってくるような機種である場合には、片面定着後のイメージセンサ出力特性と、両メンテ定着後のイメージセンサ出力特性とをそれぞれ補正する補正量を求めて記憶するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 :プロセスユニット
2 :感光体
3 :帯電装置
4 :現像装置
5 :クリーニングブレード
6 :露光装置
7 :転写装置
8 :定着装置
9 :冷却装置
10 :中間転写ベルト
11 :1次転写ローラ
12 :2次転写ローラ
13 :給紙カセット
14 :給紙ローラ
15 :レジストローラ対
16 :排出ローラ対
17 :定着ローラ
18 :加圧ローラ
20 :排紙トレイ
21 :第一張架ローラ
22 :第二張架ローラ
23 :第三張架ローラ
24 :テンションローラ
25 :搬送路
26 :切換え爪
27 :反転路
28 :ダクト
28a :吸気口
28b :排気口
50 :読取装置
51 :読取デバイス
51a :イメージセンサ
51b :レンズ
51c :ミラー
51d :ミラー
51e :ミラー
52 :照明ユニット
54 :背景部材
54a :黒色大径ローラ
54b :黒色小径ローラ
54c :白色大径ローラ
54d :白色小径ローラ
54e :回転支持体
55 :第一読取搬送ローラ対
55a :第一駆動搬送ローラ
55b :第一従動搬送ローラ
56 :第二読取搬送ローラ対
56a :第二駆動搬送ローラ
56b :第二従動搬送ローラ
60A :第一画像読取部
60B :第二画像読取部
91a :表側冷却プレート
91b :裏側冷却プレート
92 :ポンプ
93 :タンク
94 :ラジエータ
95 :冷却ファン
96 :配管
97a :表側ベルト
97b :裏側ベルト
100 :装置本体
110 :制御部
200 :表示部
300 :プリンタ
310 :印刷制御部
311 :I/F
312 :ラスタライズ部
313 :補正カーブ生成部
314 :補正部
315 :補正カーブ記憶部
320 :キャリブレーション制御部
321 :I/F
322 :濃度変換情報記憶部
323 :濃度変換部
324 :第2の濃度変換部
400 :エンジン
411 :RGBYデータ
420 :センサ制御部
440 :色変換部
450 :I/F
460 :補正量記憶部
500 :PC
510 :LAN
550 :濃度補正パターン
P :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2017-072698号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8