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特開2023-42311基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042311
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20230317BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
H01L21/66 P
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149547
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】京兼 広和
(72)【発明者】
【氏名】松井 英章
(72)【発明者】
【氏名】福元 敏之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】今中 雅士
(72)【発明者】
【氏名】▲鶴▼田 豊久
(72)【発明者】
【氏名】榎本 正志
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 将大
【テーマコード(参考)】
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA04
4M106CA48
4M106DB02
4M106DB12
5F131AA02
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA18
5F131BA19
5F131BA39
5F131BB04
5F131CA70
5F131DB03
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131HA09
5F131HA12
5F131JA12
5F131JA24
(57)【要約】
【課題】基板の表面に形成された膜の膜厚を高い信頼性で容易に推定するのに有効な装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、基板の表面に形成された膜の表面画像を取得する撮像部と、膜の形成中に取得されたプロセス情報に基づいて、膜の光学物性を推定する光学物性推定部と、表面画像と、光学物性の推定結果とに基づいて膜の膜厚を推定する膜厚推定部と、を備える。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成された膜の表面画像を取得する撮像部と、
前記膜の形成中に取得されたプロセス情報に基づいて、前記膜の光学物性を推定する光学物性推定部と、
前記表面画像と、前記光学物性の推定結果とに基づいて前記膜の膜厚を推定する膜厚推定部と、を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記光学物性推定部は、前記プロセス情報と前記光学物性との関係を表すように予め生成された光学物性モデルと、前記プロセス情報とに基づいて前記光学物性を推定する、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記膜厚推定部は、前記表面画像と前記膜厚との関係を表すように予め生成された膜厚モデルと、前記表面画像とに基づいて前記膜厚を仮推定し、前記光学物性推定部が推定した前記光学物性に基づき前記膜厚の仮推定結果を補正して前記膜厚を推定する、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記膜厚推定部は、前記光学物性と前記膜厚の誤差との関係を表すように予め生成された誤差モデルと、前記光学物性推定部が推定した前記光学物性とに基づいて前記誤差を推定し、前記誤差の推定結果に基づき前記膜厚の仮推定結果を補正して前記膜厚を推定する、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記膜厚モデルは、前記表面画像と、前記基板の表面の複数箇所における前記膜厚との関係を表すように予め生成され、
前記膜厚推定部は、前記膜厚モデルと、前記表面画像とに基づいて、前記複数箇所における前記膜厚を推定する、請求項3又は4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記光学物性モデルは、前記プロセス情報と、前記複数箇所における前記光学物性との関係を表すように予め生成され、
前記光学物性推定部は、前記光学物性モデルと、前記プロセス情報とに基づいて、前記複数箇所における前記光学物性を推定し、
前記膜厚推定部は、前記複数箇所における前記光学物性の推定結果に基づいて、前記複数箇所における前記膜厚の仮推定結果をそれぞれ補正する、請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記プロセス情報と、前記光学物性の実測結果とを対応付けて蓄積したプロセスデータベースに基づく機械学習により前記光学物性モデルを生成する光学物性モデル生成部と、
前記表面画像と、前記膜厚の実測結果とを対応付けて蓄積した画像データベースに基づく機械学習により前記膜厚モデルを生成する膜厚モデル生成部と、を更に備え、
前記光学物性推定部は、前記光学物性モデル生成部が生成した前記光学物性モデルに基づいて前記光学物性を推定し、
前記膜厚推定部は、前記膜厚モデル生成部が生成した前記膜厚モデルに基づいて前記膜厚を推定する、請求項3~6のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記膜厚推定部による前記膜厚の推定結果と、前記膜厚の実測結果との比較に基づいて、前記膜厚モデルを補正する膜厚モデル補正部を更に備える、請求項7記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記膜厚推定部は、前記光学物性と、前記表面画像と、前記膜厚との関係を表すように予め生成された膜厚モデルと、前記光学物性の推定結果と、前記表面画像とに基づいて前記膜厚を推定する、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記光学物性モデルは、前記プロセス情報と、前記基板の表面の複数箇所における前記光学物性との関係を表すように予め生成され、
前記光学物性推定部は、前記光学物性モデルと、前記プロセス情報とに基づいて、前記複数箇所における前記光学物性を推定し、
前記膜厚モデルは、前記複数箇所における前記光学物性と、前記表面画像と、前記複数箇所における前記膜厚との関係を表すように予め生成され、
前記膜厚推定部は、前記膜厚モデルと、前記複数箇所における前記光学物性の推定結果と、前記表面画像とに基づいて、前記複数箇所における前記膜厚を推定する、請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記プロセス情報と、前記光学物性の実測結果とを対応付けて蓄積したプロセスデータベースに基づく機械学習により前記光学物性モデルを生成する光学物性モデル生成部と、
前記表面画像と、前記光学物性の実測結果と、前記膜厚の実測結果とを対応付けて蓄積した画像データベースに基づく機械学習により前記膜厚モデルを生成する膜厚モデル生成部と、を更に備え、
前記光学物性推定部は、前記光学物性モデル生成部が生成した前記光学物性モデルに基づいて前記光学物性を推定し、
前記膜厚推定部は、前記膜厚モデル生成部が生成した前記膜厚モデルに基づいて前記膜厚を推定する、請求項9又は10記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記光学物性は、前記膜内に進入した光に前記膜が及ぼす影響を表す、請求項1~11のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記光学物性は、屈折率と、消衰係数との少なくとも一方を含む、請求項12記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記プロセス情報は、前記基板の表面に前記膜を形成する際における前記基板の周辺環境情報を含む、請求項1~13のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記プロセス情報は、前記基板の表面に形成された前記膜を部分的に除去する際における前記基板の周辺環境情報を含む、請求項1~14のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板の表面に形成された膜の表面画像を取得することと、
前記膜の形成中に取得されたプロセス情報に基づいて、前記膜の光学物性を推定することと、
前記表面画像と、前記光学物性の推定結果とに基づいて前記膜の膜厚を推定することと、を含む基板処理方法。
【請求項17】
請求項16記載の基板処理方法を装置に実行させるためのプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の撮像画像と、基板上に形成された膜の膜厚との相関データと、膜厚測定対象となる基板の撮像画像とに基づいて、膜厚測定対象となる基板上に形成された膜の膜厚を算出する膜厚測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-215193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の表面に形成された膜の膜厚を高い信頼性で容易に推定するのに有効な装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る基板処理装置は、基板の表面に形成された膜の表面画像を取得する撮像部と、膜の形成中に取得されたプロセス情報に基づいて、膜の光学物性を推定する光学物性推定部と、表面画像と、光学物性の推定結果とに基づいて膜の膜厚を推定する膜厚推定部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の表面に形成された膜の膜厚を高い信頼性で容易に推定するのに有効な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】基板処理装置の概略構成を例示する模式図である。
図2】撮像部の概略構成を例示する模式図である。
図3】制御装置の機能的な構成を例示するブロック図である。
図4】制御装置の機能的な構成を例示するブロック図である。
図5】学習用のデータベースの内容を例示するテーブルである。
図6】制御装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図7】モデル推定手順を例示するフローチャートである。
図8】基板処理手順を例示するフローチャートである。
図9】膜厚推定手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板処理装置〕
図1に示す基板処理装置1は、基板の表面に膜を形成する装置である。基板の具体例としては、半導体ウェハ、ガラス基板、マスク基板、又はFPD(Flat Panel Display)等が挙げられる。基板は、半導体ウェハ等の上に、前段の処理において膜等が形成されたものも含む。基板処理装置1は、ローダモジュール10と、処理モジュール20と、制御装置100とを有する。
【0010】
ローダモジュール10は、基板処理装置1内への基板Wの導入及び基板処理装置1内からの基板Wの導出を行う。例えばローダモジュール10は、基板W用の複数のキャリア12(収容部)を支持可能であり、内部が大気圧に設定される筐体内に受け渡しアーム11を内蔵している。キャリア12は、例えば円形の複数枚の基板Wを収容する。受け渡しアーム11は、キャリア12から基板Wを取り出して処理モジュール20のロードロックモジュール25(後述)に渡し、ロードロックモジュール25から基板Wを受け取ってキャリア12内に戻す。ローダモジュール10には、基板Wの位置を較正するアライナ13が接続されていてもよい。
【0011】
処理モジュール20は、基板Wの表面に膜を形成するための処理を行う。膜を形成するための処理は、膜を成膜する処理であってもよく、成膜された膜を部分的に除去する処理であってもよい。膜を形成するための処理は、膜を成膜する処理と、成膜された膜を部分的に除去する処理との両方を含んでいてもよい。
【0012】
膜を成膜する処理の具体例としては、基板Wの表面において膜を成長させる処理、又は基板Wの表面に膜材料を塗布する処理等が挙げられる。基板Wの表面において膜を成長させる処理の具体例としては、物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)、又は原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)等が挙げられる。基板Wの表面に膜材料を塗布する処理の具体例としては、基板Wの回転によって液状の膜材料を基板Wの表面に塗広げるスピンコーティング等が挙げられる。形成された膜を部分的に除去する処理の具体例としては、ウェットエッチング、ドライエッチング、又は研磨等が挙げられる。
【0013】
例えば処理モジュール20は、減圧可能な搬送室24と、搬送室24内に設けられる搬送アーム21と、搬送室24とゲートバルブを介して接続される一つ以上のプロセスユニット22と、一つ以上の撮像部23と、一つ以上のロードロックモジュール25とを有する。搬送アーム21は、ロードロックモジュール25から基板Wを受け取って搬送する。ロードロックモジュール25は内部を大気圧と真空圧とで切替え可能とし、ローダモジュール10とゲートバルブを介して接続される。
【0014】
一つ以上のプロセスユニット22のそれぞれは、搬送アーム21により搬送された基板Wの表面に膜を形成するための処理を行う。例えばプロセスユニット22は、基板Wの表面に膜を形成する処理を行う。一例として、プロセスユニット22は、上述のALDによって、基板Wの表面にTiN膜を形成する。
【0015】
例えばプロセスユニット22は、反応促進のために基板Wを加熱しながら、基板Wの表面に反応ガス及びパージガスを供給する熱ALDを行う。反応ガスの具体例としては、TiCl4ガス、NH3ガス等が挙げられる。パージガスの具体例としては、N2ガス、Arガス等が挙げられる。プロセスユニット22は、プラズマを利用して反応を促進させるプラズマALDを行うように構成されていてもよい。
【0016】
撮像部23は、プロセスユニット22により形成された膜の表面画像を取得する。図2に示すように、撮像部23は、筐体31と、保持部32と、搬送部33と、照明モジュール34と、カメラ35とを有する。筐体31は、撮像対象の基板Wを収容する。筐体31は、基板Wを受け入れる搬入出口41と、搬入出口41を開閉するゲートバルブ42とを有する。
【0017】
保持部32は、筐体31内に水平に配置された基板を下から保持する。搬送部33は、電動モータ等の動力源によって、水平な搬送方向36に沿って保持部32を搬送する。これにより、保持部32に保持された基板Wが搬送方向36に沿って搬送される。
【0018】
照明モジュール34は、搬送方向36に沿って搬送される基板Wに、上方から照明光を照射する。例えば照明モジュール34は、ハーフミラー43と、光源44とを有する。ハーフミラー43は、下方に向かって照明光を出射し、搬送方向36に垂直で水平な照射ライン37に沿って照明光を照射する。搬送方向36は、照射ライン37を通過するように基板Wを搬送する。
【0019】
光源44は、ハーフミラー43から照射ライン37に向かう照明光を透過させる。一方、光源44は、照射ライン37からの反射光を、カメラ35に向けて反射させる。カメラ35は、光源44が反射させた反射光を受光し、照射ライン37を撮像する。カメラ35は、基板Wが照射ライン37を通過する最中に照射ライン37を繰り返し撮像する。撮像部23は、基板Wが照射ライン37を通過する最中にカメラ35により撮像された複数の画像を一まとめにして、基板Wの表面画像(膜の表面画像)を生成する。
【0020】
基板Wの表面画像の画像データ(以下、「表面画像データ」という。)は、表面画像の撮像領域にマトリクス状にマッピングされた複数の画素値を含む。複数の画素値のそれぞれは、撮像領域内のいずれか一区画の色彩を表す。色彩は、色相、彩度、及び明度を含む。例えば画素値は、三原色(R、G、B)それぞれの光の強さを表す。
【0021】
制御装置100は、基板Wの表面に膜を形成するようにローダモジュール10と処理モジュール20とを制御する。ここで、上記表面画像と、膜の膜厚とは相関する傾向がある。例えば、膜厚に応じて、表面画像の色彩が変化し得る。この性質を利用し、制御装置100は、撮像部23により取得された表面画像に基づいて膜の膜厚を推定する。表面画像に基づく膜厚の推定は短時間で実行可能であるため、スループットの低下を抑制しつつ、膜の膜厚を評価する頻度を高めることが可能となる。
【0022】
しかしながら、表面画像と膜厚との関係は、膜の光学物性によって変わり得る。このため、膜の光学物性のばらつきの影響により、膜厚の推定結果の信頼性が低下する可能性がある。
【0023】
これに対し、制御装置100は、膜の形成中に取得されたプロセス情報に基づいて、膜の光学物性を推定し、表面画像と、光学物性の推定結果とに基づいて膜の膜厚を推定するように構成されている。これにより、光学物性のばらつきの影響を軽減し、膜厚を高い信頼性で推定することができる。
【0024】
例えば制御装置100は、図3に示すように、機能上の構成要素として、処理制御部111と、光学物性モデル記憶部112と、光学物性推定部113と、膜厚モデル記憶部114と、誤差モデル記憶部115と、膜厚推定部116とを有する。処理制御部111は、搬送アーム21により基板Wをプロセスユニット22内に搬入させた後に、基板Wの表面に膜を形成するための処理を処理モジュール20に実行させる。例えば処理制御部111は、キャリア12から基板Wを取り出してロードロックモジュール25内に搬入するように受け渡しアーム11を制御する。次に、処理制御部111は、受け渡しアーム11によりロードロックモジュール25内に搬入された基板Wを受け取ってプロセスユニット22に搬入するように搬送アーム21を制御し、基板Wの表面に膜を形成するようにプロセスユニット22を制御する。次に、処理制御部111は、プロセスユニット22から基板Wを受け取って撮像部23に搬入するように搬送アーム21を制御し、表面画像データを取得するように撮像部23を制御する。次に、処理制御部111は、撮像部23から基板Wを受け取ってロードロックモジュール25に渡すように搬送アーム21を制御する。次に、処理制御部111は、ロードロックモジュール25から受け取った基板Wをキャリア12に戻すように受け渡しアーム11を制御する。
【0025】
プロセスユニット22は、処理中に上記プロセス情報を取得する。プロセス情報、処理中における基板Wの周辺環境条情報を含む。例えばプロセス情報は、基板Wの表面に膜を形成する際における基板Wの周辺環境情報を含む。周辺環境情報は、装置の動作状況、外気温度、湿度などを含む。
【0026】
例えばプロセスユニット22は、上記ALDを実行する際に基板Wを加熱するヒータの温度、プロセスユニット22内の圧力、反応ガスの圧力、反応ガスの流量、パージガスの圧力、パージガスの流量、クリーンルーム(基板処理装置1が設置されるクリーンルーム)の室内温度、処理時間等を周辺環境情報として取得する。上記プラズマALDを行う場合、プロセスユニット22は、プラズマを生成するために入力される高周波電力及び電圧を周辺環境情報として取得してもよい。
【0027】
膜を形成するための処理として、プロセスユニット22が膜を部分的に除去する処理を行う場合、プロセス情報は、膜を部分的に除去する際における基板Wの周辺環境情報を含む。
【0028】
光学物性モデル記憶部112は、光学物性モデルを記憶する。光学物性モデルは、膜の形成中に取得されたプロセス情報と、膜の光学物性との関係を表すように予め生成されている。光学物性モデルは、膜の形成中に取得されたプロセス情報と、基板Wの表面の複数箇所における光学物性との関係を表すように生成されていてもよい。一例として、光学物性モデルは、プロセスユニット22が取得したプロセス情報と、上記複数の画素値にそれぞれ対応する複数箇所の光学物性との関係を表すように生成されている。
【0029】
光学物性は、膜内に進入した光に膜が及ぼす影響を表す。例えば光学物性は、膜の屈折率と、膜の消衰係数との少なくとも一方を含む。膜の屈折率は、空気中の光の伝播速度と膜中の光の伝播速度の比で表される。膜の消衰係数は、膜を伝搬する光の減衰を表す。
【0030】
光学物性モデルは、プロセス情報と膜の光学物性との関係を表す限りいかなるものであってもよい。例えば光学物性モデルは、プロセス情報の入力に応じて、上記複数箇所における光学物性を出力するように機械学習により取得された学習済みモデルであってもよい。機械学習の具体例としては、重回帰、ガウス回帰、又はディープラーニング等が挙げられる。学習済みモデルの具体例としては、ニューラルネットワーク等が挙げられる。学習済みモデルは、関数、又はルックアップテーブルであってもよい。
【0031】
光学物性推定部113は、プロセスユニット22が取得したプロセス情報に基づいて、膜の光学物性を推定する。例えば光学物性推定部113は、プロセスユニット22が取得したプロセス情報と、光学物性モデル記憶部112が記憶する光学物性モデルとに基づいて膜の光学物性を推定する。例えば光学物性推定部113は、光学物性モデルにプロセス情報を入力することで、プロセス情報に対応する光学物性を出力させる。光学物性推定部113は、プロセス情報と光学物性モデルとに基づいて、上記複数箇所における光学物性を推定してもよい。
【0032】
膜厚モデル記憶部114は、膜厚モデルを記憶する。膜厚モデルは、表面画像と、上記膜の膜厚との関係を表すように予め生成されている。膜厚モデルは、表面画像と、基板Wの表面の複数箇所における膜厚との関係を表すように予め生成されてもよい。一例として、膜厚モデルは、撮像部23により取得された表面画像データと、上記複数の画素値にそれぞれ対応する複数箇所の膜厚との関係を表すように生成されている。
【0033】
膜厚モデルは、表面画像と膜厚との関係を表す限りいかなるものであってもよい。例えば膜厚モデルは、表面画像の画像データ(以下、「表面画像データ」という。)の入力に応じて、上記複数箇所における膜厚を出力するように機械学習により取得された学習済みモデルであってもよい。機械学習の具体例としては、重回帰、ガウス回帰、又はディープラーニング等が挙げられる。学習済みモデルの具体例としては、ニューラルネットワーク等が挙げられる。学習済みモデルは、関数、又はルックアップテーブルであってもよい。
【0034】
誤差モデル記憶部115は、誤差モデルを記憶する。誤差モデルは、光学物性と、膜厚の推定誤差との関係を表すように予め生成されている。膜厚の推定誤差は、膜厚モデル記憶部114が記憶する膜厚モデルに基づく膜厚の推定誤差である。
【0035】
誤差モデルは、光学物性と、膜厚の推定誤差との関係を表す限りいかなるものであってもよい。例えば誤差モデルは、光学物性の入力に応じて、膜厚の推定誤差を出力するように機械学習により取得された学習済みモデルであってもよい。機械学習の具体例としては、重回帰、ガウス回帰、又はディープラーニング等が挙げられる。学習済みモデルの具体例としては、ニューラルネットワーク等が挙げられる。学習済みモデルは、関数、又はルックアップテーブルであってもよい。
【0036】
膜厚推定部116は、撮像部23が取得した表面画像データと、光学物性推定部113による光学物性の推定結果とに基づいて膜の膜厚を推定する。例えば膜厚推定部116は、膜厚モデル記憶部114が記憶する膜厚モデルと、撮像部23が取得した表面画像データとに基づいて膜厚を仮推定し、光学物性推定部113が推定した光学物性に基づき膜厚の仮推定結果を補正して膜厚を推定する。膜厚推定部116は、誤差モデル記憶部115が記憶する誤差モデルと、光学物性推定部113が推定した光学物性とに基づいて誤差を推定し、誤差の推定結果に基づき膜厚の仮推定結果を補正してもよい。
【0037】
例えば膜厚推定部116は、膜厚モデル記憶部114が記憶する膜厚モデルと、撮像部23が取得した表面画像データとに基づいて膜厚を仮推定する。例えば膜厚推定部116は、膜厚モデルに表面画像データを入力することで、表面画像データに対応する膜厚の仮推定結果を膜厚モデルに出力させる。膜厚推定部116は、膜厚モデルと表面画像データとに基づいて、上記複数箇所における膜厚を仮推定してもよい。
【0038】
膜厚推定部116は、光学物性推定部113が推定した膜の光学物性と、誤差モデル記憶部115が記憶する誤差モデルとに基づいて、膜厚の推定誤差を推定する。例えば膜厚推定部116は、誤差モデルに光学物性を入力することで、光学物性に対応する膜厚の推定誤差を誤差モデルに出力させる。膜厚推定部116は、膜厚の仮推定結果を、膜厚の推定誤差に基づいて補正する。例えば膜厚推定部116は、膜厚の仮推定結果に、膜厚の推定誤差を加算、又は減算する。
【0039】
膜厚推定部116は、光学物性推定部113による上記複数箇所の光学物性の推定結果に基づいて、上記複数箇所の膜厚の仮推定結果をそれぞれ補正してもよい。例えば膜厚推定部116は、複数箇所の光学物性の推定結果のそれぞれを、同一箇所の膜厚の仮推定結果に加算、又は減算する。なお、膜厚推定部116が複数箇所の膜厚を仮推定するのに対し、光学物性推定部113は膜全体に対して一つの光学物性を推定してもよい。例えば光学物性推定部113は、膜全体の平均光学物性を推定してもよい。この場合、膜厚推定部116は、複数箇所における膜厚の仮推定結果を、一つの光学物性に基づいて補正する。
【0040】
膜厚推定部116は、膜厚の推定結果を表示デバイス(例えば後述の表示デバイス195)に表示させてもよい。また、膜厚推定部116は、膜厚の推定結果を、基板Wごとに記録されるログデータに追加してもよい。更に、膜厚推定部116は、膜厚の推定結果が予め定められた許容範囲外である場合に、表示デバイス195等への表示などによってエラーを報知してもよい。
【0041】
制御装置100は、蓄積したデータに基づいて、上記光学物性モデル、誤差モデル、及び膜厚モデルの少なくともいずれかを生成するように構成されていてもよい。例えば制御装置100は、図4に示すように、実測データ取得部121と、データ蓄積部122と、データベース123と、光学物性モデル生成部124と、膜厚モデル生成部125と、誤差評価部126と、誤差モデル生成部127と、膜厚モデル補正部128とを更に有する。
【0042】
実測データ取得部121は、偏光解析法等による膜の実測データを取得する。実測データは、膜厚の実測値、及び光学物性の実測値を含む。
【0043】
データ蓄積部122は、プロセスユニット22が取得したプロセス情報と、撮像部23が取得した表面画像データと、実測データ取得部121が取得した実測データとを基板Wごとに対応付けたレコードをデータベース123に蓄積させる。図5は、データベース123の内容を例示するテーブルである。図5においては、二行目以降の各行が、一レコードである。各レコードは、プロセスユニット22が取得したプロセス情報と、撮像部23が取得した表面画像データ(表面画像データの格納場所のアドレス)と、膜厚実測値と、屈折率実測値(光学物性の実測値)と、消衰係数実測値(光学物性の実測値)とを含む。
【0044】
データベース123は、プロセスデータベース123aと、画像データベース123bとを含む。プロセスデータベース123aは、プロセス情報と、光学物性の実測結果とを基板Wごとに対応付けて蓄積したデータベースである。画像データベース123bは、表面画像データと、膜厚の実測結果とを対応付けて蓄積したデータベースである。
【0045】
図4に戻り、光学物性モデル生成部124は、プロセスデータベース123aに基づく機械学習により上記光学物性モデルを生成し、光学物性モデル記憶部112に格納する。光学物性推定部113は、光学物性モデル生成部124が生成した光学物性モデルに基づいて光学物性を推定する。
【0046】
膜厚モデル生成部125は、画像データベース123bに基づく機械学習により上記膜厚モデルを生成し、膜厚モデル記憶部114に格納する。膜厚推定部116は、膜厚モデル生成部125が生成した膜厚モデルに基づいて膜厚を推定する。
【0047】
誤差評価部126は、膜厚モデル生成部125が生成した膜厚モデルによる膜厚の推定誤差を評価する。例えば誤差評価部126は、データベース123のレコードごとに、表面画像データと膜厚モデルとに基づく膜厚の推定を行い、推定結果と膜厚の実測値とを比較して膜厚推定誤差を算出する。誤差評価部126は、膜厚推定誤差をデータベース123のレコードに追加する。これにより、データベース123は、光学物性の実測結果と膜厚推定誤差とを対応付けた誤差データベース123cをさらに含むこととなる。
【0048】
誤差モデル生成部127は、誤差データベース123cに基づく機械学習により上記誤差モデルを生成し、誤差モデル記憶部115に格納する。膜厚推定部116は、誤差モデル生成部127が生成した誤差モデルに基づいて、膜厚モデルに基づく膜厚の仮推定結果を補正する。
【0049】
膜厚モデル補正部128は、光学物性モデル、膜厚モデル、及び誤差モデルが生成された後、光学物性と、表面画像データとに基づき膜厚推定部116が推定する膜厚の誤差を更に評価する。例えば膜厚モデル補正部128は、データベース123のレコードごとに、光学物性と、表面画像データとに基づく膜厚推定を膜厚推定部116に実行させ、その結果と膜厚の実測値とを比較して誤差を評価する。膜厚モデル補正部128は、誤差の評価結果に基づいて、膜厚モデルを補正する。膜厚モデル補正部128は、膜厚モデルに代えて、光学物性モデルを補正してもよく、膜厚モデル及び光学物性モデルの両方を補正してもよい。膜厚モデル補正部128は、誤差の評価結果に基づいて誤差モデルを補正してもよい。
【0050】
データ蓄積部122は、光学物性モデル生成部124、膜厚モデル生成部125、及び誤差モデル生成部127により光学物性モデル、膜厚モデル及び誤差モデルが生成された後もデータベース123へのレコードの蓄積を継続してもよい。この場合、光学物性モデル生成部124、膜厚モデル生成部125、及び誤差モデル生成部127は、新たに蓄積されたレコードに基づき、光学物性モデル、膜厚モデル及び誤差モデルを更新してもよい。
【0051】
以上においては、表面画像データと膜厚モデルとに基づき膜厚を仮推定した後に、仮推定結果を光学物性の推定結果に基づき補正する構成を例示したが、制御装置100の構成はこれに限られない。
【0052】
例えば膜厚推定部116は、光学物性と、表面画像と、膜厚との関係を表すように予め生成された膜厚モデルと、光学物性の推定結果と、表面画像とに基づいて膜厚を推定するように構成されていてもよい。上述したデータ蓄積部122は、光学物性の実測結果と、表面画像データと、膜厚の実測結果とを対応付けた画像データベース123dを含む。膜厚モデル生成部125dに基づく機械学習により、光学物性と、表面画像と、膜厚との関係を表すように膜厚モデルを生成する。
【0053】
この構成によれば、光学物性の影響を加味した膜厚モデルが生成されるので、誤差評価部126及び誤差モデル生成部127を省略可能である。
【0054】
膜厚モデルは、複数箇所における光学物性と、表面画像と、複数箇所における膜厚との関係を表すように予め生成されてもよい。膜厚推定部116は、膜厚モデルと、複数箇所における光学物性の推定結果と、表面画像とに基づいて、複数箇所における膜厚を推定してもよい。
【0055】
図6は、制御装置100のハードウェア構成を例示するブロック図である。図6に示すように、制御装置100は、回路190を有する。回路190は、一以上のプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194と、表示デバイス195と、入力デバイス196とを有する。ストレージ193は、膜の形成中に取得されたプロセス情報に基づいて、膜の光学物性を推定することと、表面画像と、光学物性の推定結果とに基づいて膜の膜厚を推定することと、を含む基板処理手順を制御装置100に実行させるためのプログラムを記憶している。例えばストレージ193は、上述した機能上の各構成要素を制御装置100に構成させるプログラムを記憶している。
【0056】
ストレージ193は、上記プログラムを記憶する記憶媒体と、記憶媒体からデータを読み出す装置とを含む。記憶媒体の具体例としては、ハードディスク、読み書き可能な不揮発性メモリ、及び読み出し専用メモリ(ROM:Read Only Memory)等が挙げられる。
【0057】
メモリ192は、例えばRAM(Randam Access Memory)であり、ストレージ193からロードされたプログラムを格納する。一以上のプロセッサ191は、メモリ192にロードされたプログラムを実行することで、上述した機能上の各構成要素を制御装置100に構成させる。一以上のプロセッサ191は、処理過程で生成した途中演算結果をメモリ192に一時的に格納する。
【0058】
入出力ポート194は、一以上のプロセッサ191からの要求に基づいて、受け渡しアーム11、搬送アーム21、プロセスユニット22、及び撮像部23に対する指令の出力を行う。また、入出力ポート194は、一以上のプロセッサ191からの要求に基づいて、上記プロセス情報等を取得する。
【0059】
表示デバイス195は、一以上のプロセッサ191からの要求に基づいて、オペレータに対する情報を表示する。入力デバイス196は、オペレータによる入力を取得し、入力内容を一以上のプロセッサ191に通知する。
【0060】
表示デバイス195の具体例としては、液晶モニタ又は有機EL(Electro-Luminescence)等が挙げられる。入力デバイス196の具体例としては、キーパッド、キーボード、マウス等が挙げられる。入力デバイス196は、所謂タッチパネルとして表示デバイス195に一体化されていてもよい。
【0061】
〔基板処理手順〕
続いて、基板処理方法の一例として、制御装置100が実行する基板処理手順を例示する。この手順は、モデル生成手順と、基板処理手順とを含む。以下、各手順を説明する。
【0062】
(モデル生成手順)
この手順は、機械学習に必要な数のレコードがデータベース123に蓄積されたタイミングで実行させれる。図7に示すように、制御装置100は、ステップS01,S02を実行する。ステップS01では、光学物性モデル生成部124が、データベース123のプロセスデータベース123aに基づく機械学習により上記光学物性モデルを生成し、光学物性モデル記憶部112に格納する。ステップS02では、膜厚モデル生成部125が、データベース123の画像データベース123bに基づく機械学習により上記膜厚モデルを生成し、膜厚モデル記憶部114に格納する。
【0063】
次に、制御装置100はステップS03を実行する。ステップS03では、膜厚モデル生成部125が生成した膜厚モデルによる膜厚の推定誤差を誤差評価部126が評価する。例えば誤差評価部126は、データベース123のレコードごとに、表面画像データと膜厚モデルとに基づく膜厚の推定を行い、推定結果と膜厚の実測値とを比較して膜厚推定誤差を算出する。誤差評価部126は、膜厚推定誤差をデータベース123のレコードに追加する。これにより、データベース123は、上記誤差データベース123cをさらに含むこととなる。
【0064】
次に、制御装置100はステップS04を実行する。ステップS04では、誤差モデル生成部127が、誤差データベース123cに基づく機械学習により上記誤差モデルを生成し、誤差モデル記憶部115に格納する。
【0065】
次に、制御装置100はステップS05,S06を実行する。ステップS05では、膜厚モデル補正部128が、データベース123のレコードごとに、光学物性と、表面画像データとに基づく膜厚推定を膜厚推定部116に実行させる。ステップS06では、膜厚モデル補正部128が、膜厚推定部116による膜厚の推定結果と膜厚の実測値とを比較して誤差を評価し、誤差の評価結果に基づいて、膜厚モデルを補正する。以上でモデル生成手順が完了する。
【0066】
なお、ステップS02における膜厚モデル生成を、ステップS01における光学物性モデル生成に先立って実行してもよい。また、ステップS02における膜厚モデル生成と、ステップS01における光学物性モデル生成とを少なくとも部分的に並行して実行してもよい。
【0067】
(基板処理手順)
図8に示すように、制御装置100は、ステップS11,S12,S13,S14,S15,S16を実行する。ステップS11では、処理制御部111が、キャリア12から基板Wを取り出してロードロックモジュール25内に搬入するように受け渡しアーム11を制御する。また、処理制御部111は、受け渡しアーム11によりロードロックモジュール25内に搬入された基板Wを受け取ってプロセスユニット22に搬入するように搬送アーム21を制御する。ステップS12では、処理制御部111が、基板Wの表面に膜を形成するようにプロセスユニット22を制御する。ステップS13では、処理制御部111が、プロセスユニット22から基板Wを受け取って撮像部23に搬入するように搬送アーム21を制御する。ステップS14では、処理制御部111が、表面画像データを取得するように撮像部23を制御する。ステップS15では、膜厚推定部116が膜厚の推定を実行する。ステップS15の具体的内容については後述する。ステップS16では、処理制御部111が、撮像部23から基板Wを受け取ってロードロックモジュール25に渡すように搬送アーム21を制御し、ロードロックモジュール25から受け取った基板Wをキャリア12に戻すように受け渡しアーム11を制御する。
【0068】
図9は、ステップS16における膜厚の推定手順を例示するフローチャートである。図9に示すように、制御装置100は、ステップS21,S22,S23,S24を実行する。ステップS21では、プロセスユニット22が取得したプロセス情報と、データ蓄積部122が記憶する光学物性モデルとに基づいて、光学物性推定部113が膜の光学物性を推定する。ステップS22では、光学物性推定部113が推定した光学物性と、誤差モデル記憶部115が記憶する誤差モデルとに基づいて、膜厚推定部116が膜厚の推定誤差を推定する。ステップS23では、膜厚モデル記憶部114が記憶する膜厚モデルと、撮像部23が取得した表面画像データとに基づいて、膜厚推定部116が膜厚を仮推定する。ステップS24では、膜厚推定部116が、膜厚の仮推定結果を、膜厚の推定誤差に基づいて補正する。以上で膜厚の推定手順が完了する。なお、ステップS23における膜厚の仮推定を、ステップS22における推定誤差の推定に先立って実行してもよく、ステップS21における光学物性の推定に先立って実行してもよい。また、ステップS23を、ステップS21,S22の少なくとも一方と、少なくとも部分的に並行して実行してもよい。
【0069】
〔実施形態の効果〕
本開示の一側面に係る基板処理装置1は、基板の表面に形成された膜の表面画像を取得する撮像部23と、膜の形成中に取得されたプロセス情報に基づいて、膜の光学物性を推定する光学物性推定部113と、表面画像と、光学物性の推定結果とに基づいて膜の膜厚を推定する膜厚推定部116と、を備える。
【0070】
表面画像と、膜厚とには相関がある。例えば、膜厚に応じて、表面画像の色彩が変化し得る。このため、表面画像に基づき膜厚を推定することが可能である。しかしながら、表面画像と膜厚との関係は、膜の光学物性によって変わり得る。これに対し、本基板処理装置1は、プロセス情報に基づいて光学物性を推定し、表面画像と、光学物性の推定結果とに基づいて膜厚を推定する。従って、膜厚を高い信頼性で容易に推定するのに有効である。
【0071】
光学物性推定部113は、プロセス情報と光学物性との関係を表すように予め生成された光学物性モデルと、プロセス情報とに基づいて光学物性を推定してもよい。光学物性をより高い信頼性で容易に推定することができる。
【0072】
膜厚推定部116は、表面画像と膜厚との関係を表すように予め生成された膜厚モデルと、表面画像とに基づいて膜厚を仮推定し、光学物性推定部113が推定した光学物性に基づき膜厚の仮推定結果を補正して膜厚を推定してもよい。光学物性の推定結果を、膜厚の推定結果に容易に反映させることができる。
【0073】
膜厚推定部116は、光学物性と膜厚の誤差との関係を表すように予め生成された誤差モデルと、光学物性推定部113が推定した光学物性とに基づいて誤差を推定し、誤差の推定結果に基づき膜厚の仮推定結果を補正して膜厚を推定してもよい。光学物性の推定結果を、膜厚の推定結果に容易に反映させることができる。
【0074】
膜厚モデルは、表面画像と、基板の表面の複数箇所における膜厚との関係を表すように予め生成され、膜厚推定部116は、膜厚モデルと、表面画像とに基づいて、複数箇所における膜厚を推定してもよい。基板の部位ごとの膜厚を容易に推定することができる。
【0075】
光学物性モデルは、プロセス情報と、複数箇所における光学物性との関係を表すように予め生成され、光学物性推定部113は、光学物性モデルと、プロセス情報とに基づいて、複数箇所における光学物性を推定し、膜厚推定部116は、複数箇所における光学物性の推定結果に基づいて、複数箇所における膜厚の仮推定結果をそれぞれ補正してもよい。基板の部位ごとの膜厚をより高い信頼性で推定することができる。
【0076】
プロセス情報と、光学物性の実測結果とを対応付けて蓄積したプロセスデータベースに基づく機械学習により光学物性モデルを生成する光学物性モデル生成部124と、表面画像と、膜厚の実測結果とを対応付けて蓄積した画像データベースに基づく機械学習により膜厚モデルを生成する膜厚モデル生成部125と、を更に備え、光学物性推定部113は、光学物性モデル生成部124が生成した光学物性モデルに基づいて光学物性を推定し、膜厚推定部116は、膜厚モデル生成部125が生成した膜厚モデルに基づいて膜厚を推定してもよい。光学物性をより高い信頼性で推定し、膜厚をより高い信頼性で推定することができる。
【0077】
膜厚推定部116による膜厚の推定結果と、膜厚の実測結果との比較に基づいて、膜厚モデルを補正する膜厚モデル補正部128を更に備えてもよい。膜厚をより高い信頼性で推定することができる。
【0078】
膜厚推定部116は、光学物性と、表面画像と、膜厚との関係を表すように予め生成された膜厚モデルと、光学物性の推定結果と、表面画像とに基づいて膜厚を推定してもよい。光学物性の推定結果を、より高い信頼性で膜厚の推定結果に反映させることができる。
【0079】
光学物性モデルは、プロセス情報と、基板の表面の複数箇所における光学物性との関係を表すように予め生成され、光学物性推定部113は、光学物性モデルと、プロセス情報とに基づいて、複数箇所における光学物性を推定し、膜厚モデルは、複数箇所における光学物性と、表面画像と、複数箇所における膜厚との関係を表すように予め生成され、膜厚推定部116は、膜厚モデルと、複数箇所における光学物性の推定結果と、表面画像とに基づいて、複数箇所における膜厚を推定してもよい。基板の部位ごとの膜厚を容易に推定することができる。
【0080】
プロセス情報と、光学物性の実測結果とを対応付けて蓄積したプロセスデータベースに基づく機械学習により光学物性モデルを生成する光学物性モデル生成部124と、表面画像と、光学物性の実測結果と、膜厚の実測結果とを対応付けて蓄積した画像データベースに基づく機械学習により膜厚モデルを生成する膜厚モデル生成部125と、を更に備え、光学物性推定部113は、光学物性モデル生成部124が生成した光学物性モデルに基づいて光学物性を推定し、膜厚推定部116は、膜厚モデル生成部125が生成した膜厚モデルに基づいて膜厚を推定してもよい。光学物性をより高い信頼性で推定し、膜厚をより高い信頼性で推定することができる。
【0081】
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0082】
1…基板処理装置、22…プロセスユニット、23…撮像部、113…光学物性推定部、116…膜厚推定部、124…光学物性モデル生成部、125…膜厚モデル生成部、128…膜厚モデル補正部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9