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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042432
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230317BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230317BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/31 B
C23C16/44 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149725
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田口 純之介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恒
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030AA18
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA04
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA05
4K030GA09
4K030KA10
4K030KA23
4K030KA26
4K030KA41
4K030KA46
4K030LA15
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB31
5F045AC00
5F045AC15
5F045AC16
5F045AE01
5F045AF03
5F045BB15
5F045DP15
5F045DP28
5F045DQ10
5F045EE17
5F045EF03
5F045EF14
5F045EK07
5F045EM10
5F131AA02
5F131BA04
5F131CA17
5F131DA63
5F131EA04
5F131EA22
5F131EA24
5F131EB67
5F131EB81
5F131JA10
5F131JA20
(57)【要約】
【課題】基板を自公転させる基板処理装置において、基板を自転させるモータを収容する収容ボックス内への処理ガスの侵入を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板処理装置は、処理容器と、前記処理容器内に回転可能に設けられる回転テーブルと、前記回転テーブルの回転中心から離間する位置において前記回転テーブルの周方向に沿って複数設けられる載置台であり、各々が前記基板を載置する載置台と、前記載置台を前記回転テーブルに対して相対的に回転可能に支持する回転軸と、複数の前記回転軸と同一の円周上に設けられ、複数の前記回転軸と一体で回転するブロック体と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器と、
前記処理容器内に回転可能に設けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルの回転中心から離間する位置において前記回転テーブルの周方向に沿って複数設けられる載置台であり、各々が基板を載置する載置台と、
前記載置台を前記回転テーブルに対して相対的に回転可能に支持する回転軸と、
複数の前記回転軸と同一の円周上に設けられ、複数の前記回転軸と一体で回転するブロック体と、
を有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記回転テーブルよりも下側に設けられ、前記回転テーブルと一体で回転可能な収容ボックスを更に有し、
前記収容ボックスは、前記回転軸を回転させるモータを収容し、
前記ブロック体は、前記回転テーブルと前記収容ボックスとの間に設けられる、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ブロック体は、前記収容ボックス上に設置される、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ブロック体は、
前記収容ボックス上に設置され、金属材料により形成される下部材と、
前記下部材上に設置され、前記金属材料よりも熱伝導率が低い断熱材料により形成される上部材と、
を含む、
請求項2又は3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記下部材は、ステンレス鋼又はニッケル合金により形成され、
前記上部材は、石英又はセラミックスにより形成される、
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記収容ボックスが設けられる領域にパージガスを導入するパージガス導入口を更に有する、
請求項2乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のウエハを載置した回転テーブルを回転させることで各ウエハを公転させ、回転テーブルの径方向に沿うように配置される複数の処理ガス供給領域を繰り返し通過させることで、ウエハに各種の膜を成膜する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置においては、回転テーブルによりウエハが公転する間、ウエハが自転するようにウエハの載置台を回転させて、当該ウエハの周方向における膜の均一化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-111758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板を自公転させる基板処理装置において、基板を自転させるモータを収容する収容ボックス内への処理ガスの侵入を抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、処理容器と、前記処理容器内に回転可能に設けられる回転テーブルと、前記回転テーブルの回転中心から離間する位置において前記回転テーブルの周方向に沿って複数設けられる載置台であり、各々が前記基板を載置する載置台と、前記載置台を前記回転テーブルに対して相対的に回転可能に支持する回転軸と、複数の前記回転軸と同一の円周上に設けられ、複数の前記回転軸と一体で回転するブロック体と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板を自公転させる基板処理装置において、基板を自転させるモータを収容する収容ボックス内への処理ガスの侵入を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の基板処理装置の一例を示す断面図
図2】実施形態の基板処理装置の内部構造の一例を示す平面図
図3】実施形態の基板処理装置の内部構造の一例を示す断面斜視図
図4】ブロック体の一例を示す斜視図
図5】収容ボックスの一例を示す断面図
図6】シミュレーション結果を示す図(1)
図7】シミュレーション結果を示す図(2)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板処理装置〕
図1図5を参照し、実施形態の基板処理装置の一例について説明する。図1は、実施形態の基板処理装置の一例を示す断面図である。図2は実施形態の基板処理装置の内部構造の一例を示す平面図であり、天板を取り除いた状態の基板処理装置を示す。図3は実施形態の基板処理装置の内部構造の一例を示す断面斜視図であり、天板及び回転テーブルを取り除いた状態の基板処理装置を示す。図4は、実施形態の基板処理装置のブロック体の一例を示す斜視図である。図5は、実施形態の基板処理装置の収容ボックスの一例を示す断面図である。
【0010】
基板処理装置300は、処理部310、回転駆動装置320及び制御部390を備える。
【0011】
処理部310は、基板に膜を形成する成膜処理を実行するように構成される。処理部310は、処理容器311、ガス導入口312、ガス排気口313、搬送口314、加熱部315及び冷却部316を有する。
【0012】
処理容器311は、内部を減圧可能な真空容器である。処理容器311は、略円形の平面形状を有する扁平な形状を有する。処理容器311は、内部に複数の基板Wを収容する。基板Wは、例えば半導体ウエハであってよい。処理容器311は、本体311a、天板311b、側壁体311c及び底板311dを含む(図1)。本体311aは、略円筒形状を有する。天板311bは、本体311aの上面に対してシール部311eを介して気密に着脱可能に配置される。側壁体311cは、本体311aの下面に接続され、略円筒形状を有する。底板311dは、側壁体311cの底面に対して気密に配置される。
【0013】
ガス導入口312は、原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b、分離ガスノズル312c,312d及びパージガス導入口312eを含む(図1及び図2)。
【0014】
原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dは、回転テーブル321の上方に、処理容器311の周方向(図2の矢印Aで示される方向)に互いに間隔をおいて配置される。図示の例では、搬送口314から右回り(回転テーブル321の回転方向)に、分離ガスノズル312c、原料ガスノズル312a、分離ガスノズル312d及び反応ガスノズル312bがこの順に配列される。原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dの基端部であるガス導入ポート312a1,312b1,312c1,312d1(図2)は、本体311aの外周壁に固定される。そして、原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dは、処理容器311の外周壁から処理容器311内に導入され、本体311aの半径方向に沿って回転テーブル321に対して水平に伸びるように取り付けられる。原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dは、例えば石英により形成される。
【0015】
原料ガスノズル312aは、配管及び流量制御器等(いずれも図示せず)を介して、原料ガスの供給源(図示せず)に接続される。原料ガスノズル312aには、回転テーブル321に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が設けられる。複数の吐出孔は、原料ガスノズル312aの長さ方向に沿って間隔を有して配列される。原料ガスノズル312aは、複数の吐出孔から回転テーブル321の上面に向けて原料ガスを吐出する。原料ガスノズル312aの下方領域は、原料ガスを基板Wに吸着させるための原料ガス吸着領域P1となる。原料ガスとしては、例えばシリコン含有ガス、金属含有ガスが挙げられる。
【0016】
反応ガスノズル312bは、配管及び流量制御器等(いずれも図示せず)を介して、反応ガスの供給源(図示せず)に接続される。反応ガスノズル312bには、回転テーブル321に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が設けられる。複数の吐出孔は、反応ガスノズル312bの長さ方向に沿って間隔を有して配列される。反応ガスノズル312bは、複数の吐出孔から回転テーブル321の上面に向けて反応ガスを吐出する。反応ガスノズル312bの下方領域は、原料ガス吸着領域P1において基板Wに吸着された原料ガスを酸化又は窒化させる反応ガス供給領域P2となる。反応ガスとしては、例えば酸化ガス、窒化ガスが挙げられる。
【0017】
分離ガスノズル312c,312dは、いずれも配管及び流量制御バルブ等(いずれも図示せず)を介して、分離ガスの供給源(図示せず)に接続される。分離ガスノズル312c,312dには、回転テーブル321に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が設けられる。複数の吐出孔は、分離ガスノズル312c,312dの長さ方向に沿って間隔を有して配列される。分離ガスノズル312c,312dは、複数の吐出孔から回転テーブル321の上面に向けて分離ガスを吐出する。分離ガスとしては、例えばアルゴンArガス、Nガス等の不活性ガスが挙げられる。
【0018】
また、図2に示されるように、処理容器311内には2つの凸状部317が設けられる。凸状部317は、分離ガスノズル312c,312dと共に分離領域Dを構成するため、回転テーブル321に向かって突出するように天板311bの裏面に取り付けられる。また、凸状部317は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有し、内円弧が突出部318に連結し、外円弧が処理容器311の本体311aの内周壁に沿うように配置される。
【0019】
パージガス導入口312eは、本体311a、側壁体311c、底板311d、固定軸315a及びヒータ支持部315bにより囲まれる領域A1にパージガスを導入する(図1)。パージガス導入口312eは、例えば底板311dの下方に設けられる。ただし、パージガス導入口312eは、例えば側壁体311cを貫通して設けられてもよく、底板311dを貫通して設けられてもよい。また、例えばパージガス導入口312eは、複数設けられてもよい。領域A1にパージガスが導入されることにより、領域A1がパージガス雰囲気に維持される。また、領域A1に導入されるパージガスは、本体311aとヒータ支持部315bとの隙間G1を通って、回転テーブル321の下面側に流れ込む。これにより、原料ガスノズル312a及び反応ガスノズル312bからそれぞれ吐出されて回転テーブル321の下面側に流れ込む原料ガス及び反応ガスが、隙間G1を通って領域A1に流れ込むことを抑制できる。パージガスは、例えばArガス、Nガス等の不活性ガスである。
【0020】
ガス排気口313は、第1の排気口313a及び第2の排気口313bを含む(図2)。第1の排気口313aは、原料ガス吸着領域P1に連通する第1の排気領域E1の底部に形成される。第2の排気口313bは、反応ガス供給領域P2に連通する第2の排気領域E2の底部に形成される。第1の排気口313a及び第2の排気口313bは、排気配管(図示せず)を介して排気装置(図示せず)に接続される。
【0021】
搬送口314は、処理容器311の側壁に設けられる(図2)。搬送口314では、処理容器311内の回転テーブル321と処理容器311の外部の搬送アーム314aとの間で基板Wの受け渡しが行われる。搬送口314は、ゲートバルブ(図示せず)により開閉される。
【0022】
加熱部315は、固定軸315a、ヒータ支持部315b、ヒータ315c、シール部315d及び覆い部材315e,315fを含む(図1及び図3)。
【0023】
固定軸315aは、処理容器311の中心軸AXを中心とする円筒形状を有する。固定軸315aは、後述する公転軸323の内側に、処理容器311の底板311dを貫通して設けられる。
【0024】
ヒータ支持部315bは、固定軸315a上に設置される。ヒータ支持部315bは、円板形状を有し、ヒータ315cを支持する。ヒータ支持部315bは、本体311aよりも処理容器311の中心軸AX側に、本体311aとの間に隙間G1をあけて設けられる。隙間G1は、平面視で円環状であり、後述する自転軸321b及び接続部321dが回転する公転軌道を形成する。隙間G1の幅は、自転軸321b及び接続部321dが回転する際に自転軸321b及び接続部321dが本体311a及びヒータ支持部315bと接触しないように設定される。
【0025】
ヒータ315cは、本体311a上及びヒータ支持部315b上に設けられる。ヒータ315cは、電源(図示せず)から電力が供給されることにより発熱し、基板Wを加熱する。
【0026】
シール部315dは、固定軸315aの外周壁と公転軸323の内周壁との間に設けられる。これにより、公転軸323は、処理容器311内の気密状態を維持しながら、固定軸315aに対して相対的に回転する。シール部315dは、例えば磁性流体シールを含む。
【0027】
覆い部材315eは、側部315e1及び蓋部315e2を含む。側部315e1は、ヒータ支持部315bの外縁部上に、該外縁部に沿って、原料ガス吸着領域P1、反応ガス供給領域P2及び分離領域Dを跨いで設置される。側部315e1は、ヒータ支持部315bと略同じ外径の円筒形状を有する。蓋部315e2は、側部315e1上に設置される。蓋部315e2は、側部315e1の外径と略同じ外径の円板形状を有する。覆い部材315eは、側部315e1及び蓋部315e2によってヒータ支持部315b上のヒータ315cを覆う。これにより、ヒータ支持部315b上のヒータ315cが、原料ガスノズル312a及び反応ガスノズル312bからそれぞれ吐出されて回転テーブル321の下側に流れ込む原料ガス及び反応ガスに晒されることを防止できる。
【0028】
覆い部材315fは、内側部315f1、外側部315f2及び蓋部315f3を含む。内側部315f1は、本体311aの内縁部上に、該内縁部に沿って、原料ガス吸着領域P1、反応ガス供給領域P2及び分離領域Dを跨いで設置される。内側部315f1は、円筒形状を有する。外側部315f2は、本体311a上の内側部315f1が設置される位置よりも外側に、原料ガス吸着領域P1、反応ガス供給領域P2及び分離領域Dを跨いで設置される。外側部315f2は、内側部315f1の外径よりも大きい内径の円筒形状を有する。蓋部315f3は、内側部315f1及び外側部315f2上に設置される。蓋部315f3は、内側部315f1の内径と略同じ内径を有し、外側部315f2の内径よりも大きい外径を有する円環板状を有する。覆い部材315fは、内側部315f1、外側部315f2及び蓋部315f3によって本体311a上のヒータ315cを覆う。これにより、本体311a上のヒータ315cが、原料ガスノズル312a及び反応ガスノズル312bからそれぞれ吐出されて回転テーブル321の下側に流れ込む原料ガス及び反応ガスに晒されることを防止できる。
【0029】
冷却部316は、流体流路316a1~316a4、チラーユニット316b1~316b4、入口配管316c1~316c4及び出口配管316d1~316d4を含む。流体流路316a1~316a4は、それぞれ本体311a、天板311b、底板311d及びヒータ支持部315bの内部に形成される。チラーユニット316b1~316b4は、温調流体を出力する。チラーユニット316b1~316b4から出力された温調流体は、入口配管316c1~316c4、流体流路316a1~316a4及び出口配管316d1~316d4をこの順に流れて循環する。これにより、本体311a、天板311b、底板311d及びヒータ支持部315bの温度が調整される。温調流体としては、例えば水や、ガルデン(登録商標)等のフッ素系流体が挙げられる。
【0030】
回転駆動装置320は、回転テーブル321、収容ボックス322、公転軸323、モータ324及びブロック体325を有する。
【0031】
回転テーブル321は、処理容器311内に設けられる。回転テーブル321は、処理容器311の中心軸AXを回転軸として回転する。回転テーブル321は、例えば円板形状を有し、石英により形成される。回転テーブル321の上面側には、回転テーブル321の回転中心から離間する位置において、回転方向(周方向)に沿って複数(図示の例では6つ)の載置台321aが設けられる。回転テーブル321は、接続部321dを介して収容ボックス322に接続される。
【0032】
各載置台321aは、基板Wよりも僅かに大きい円板形状を有し、例えば石英により形成される。各載置台321aには、基板Wが載置される。各載置台321aは、自転軸321b及び駆動伝達機構321eを介してモータ321cに接続される。
【0033】
自転軸321bは、収容ボックス322内から天井部322bを貫通して上方に延び、隙間G1を通って載置台321aの下面まで延びる。自転軸321bは、上端が載置台321aの下面に接続され、下端が駆動伝達機構321eを介してモータ321cに接続される。これにより、自転軸321bは、モータ321cの動力を載置台321aに伝達する。モータ321cが回転すると、駆動伝達機構321eを介して自転軸321bが回転し、自転軸321bの回転を受けて載置台321aが回転テーブル321に対して相対的に回転して基板Wを自転させる。このように載置台321aが回転テーブル321に対して相対的に回転する場合、載置台321aが回転する際に、回転テーブル321と載置台321aとが接触してパーティクルが発生する場合がある。そのため、パーティクルの発生を抑制するために、回転テーブル321と載置台321aとの間に隙間G2が設けられる。
【0034】
自転軸321bは、回転テーブル321の周方向に沿って、載置台321aに対応して複数設けられる。各自転軸321bは、対応する載置台321aを回転テーブル321に対して相対的に回転させる。複数の自転軸321bは、処理容器311の中心軸AXを中心とする同一の円周上に配置される。収容ボックス322の天井部322bの貫通孔には、シール部326cが設けられ、収容ボックス322内の気密状態が維持される。シール部326cは、例えば磁性流体シールを含む。
【0035】
モータ321cは、自転軸321bを介して載置台321aを回転テーブル321に対して相対的に回転させる。モータ321cは、例えばサーボモータであってよい。
【0036】
接続部321dは、回転テーブル321の下面と収容ボックス322の上面とを接続する。接続部321dは、回転テーブル321の周方向に沿って複数設けられる。例えば、接続部321dは、自転軸321bと同じ数(図示の例では6つ)設けられる。図示の例では、複数の自転軸321bと複数の接続部321dとは、処理容器311の中心軸AXを中心とする同一の円周上に、交互に配置されている。
【0037】
駆動伝達機構321eは、モータ321cの動力を自転軸321bに伝達する。駆動伝達機構321eは、例えば複数のギヤを含む。
【0038】
収容ボックス322は、処理容器311内における回転テーブル321の下方に設けられる。収容ボックス322は、接続部321dを介して回転テーブル321に接続され、回転テーブル321と一体で回転可能に構成される。収容ボックス322は、昇降機構(図示せず)により処理容器311内で昇降可能に構成されていてもよい。収容ボックス322が昇降すると、収容ボックス322と一体で回転テーブル321及び載置台321aが昇降する。これにより、載置台321aに載置される基板Wと、原料ガスノズル312a及び反応ガスノズル312bとの間の距離が調整される。収容ボックス322は、本体部322a及び天井部322bを有する。
【0039】
本体部322aは、断面視凹状に形成され、回転テーブル321の回転方向に沿ってリング状に形成される。
【0040】
天井部322bは、本体部322a上に、断面視凹状に形成された本体部322aの開口を覆うように設けられる。これにより、本体部322a及び天井部322bは、処理容器311内から隔離された収容部322cを形成する。
【0041】
収容部322cは、縦断面視で矩形状に形成され、回転テーブル321の回転方向に沿ってリング状に形成される。収容部322cは、モータ321c及び駆動伝達機構321eを収容する。本体部322aには、収容部322cと基板処理装置300の外部とを連通させる連通部322dが形成される。これにより、収容部322cに基板処理装置300の外部から大気が導入され、収容部322c内が冷却されると共に、大気圧に維持される。
【0042】
公転軸323は、収容ボックス322の下部に固定される。公転軸323は、処理容器311の底板311dを貫通して設けられる。公転軸323は、モータ324の動力を回転テーブル321及び収容ボックス322に伝達し、回転テーブル321及び収容ボックス322を一体で回転させる。処理容器311の底板311dの貫通孔には、シール部311fが設けられ、処理容器311内の気密状態が維持される。シール部311fは、例えば磁性流体シールを含む。
【0043】
公転軸323の内部には、貫通孔323aが形成される。貫通孔323aは、収容ボックス322の連通部322dと接続され、収容ボックス322内に大気を導入するための流体流路として機能する。また、貫通孔323aは、収容ボックス322内にモータ321cを駆動させるための電力線及び信号線を導入するための配線ダクトとしても機能する。貫通孔323aは、例えばモータ321cと同じ数だけ設けられる。
【0044】
モータ324は、公転軸323を介して回転テーブル321及び収容ボックス322を固定軸315aに対して一体で回転させる。モータ324は、例えばサーボモータであってよい。
【0045】
ブロック体325は、複数の自転軸321b及び複数の接続部321dと同一の円周上(自転軸321bの公転軌道上)に、回転テーブル321の周方向に沿って複数(図示の例では12個)設けられている(図4)。言い換えると、ブロック体325は、隙間G1に沿って複数設けられている。図示の例では、ブロック体325は、自転軸321bの公転軌道上において、自転軸321bと接続部321dとの間に設けられている。各ブロック体325は、下部材325a及び上部材325bを含む。ただし、各ブロック体325は、1つの部材により形成されていてもよい。
【0046】
下部材325aは、収容ボックス322の天井部322b上に設置されている(図4)。下部材325aは、例えば円筒体を周方向に分割して形成される分割円筒状を有する。下部材325aの上面は、例えばヒータ支持部315bの下面よりも上方に位置する。下部材325aの外周壁と本体311aの内周壁との隙間、及び下部材325aの内周壁とヒータ支持部315bの外周壁との隙間は、例えば3mm以下である。下部材325aには締結孔(図示せず)が形成されており、下部材325aは締結孔においてネジ等の締結部材(図示せず)により天井部322bに固定される。これにより、下部材325aは、収容ボックス322と一体で回転する。下部材325aは、耐熱性及び耐腐食性を有する金属材料により形成されることが好ましい。これにより、回転テーブル321の下面側に流れ込む原料ガスや反応ガスによって、下部材325aが腐食することを抑制できる。また、熱衝撃、回転テーブル321の急停止等によるブロック体325の破損が抑制される。金属材料としては、例えばステンレス鋼、ニッケル合金が挙げられる。
【0047】
上部材325bは、下部材325a上に設置されている(図4)。上部材325bは、例えば下部材325aと同様に、円筒体を周方向に分割して形成される分割円筒状を有する。上部材325bの上面は、例えば蓋部315e2,315f3の上面よりも上方に位置する。上部材325bの外周壁と内側部315f1の内周壁との隙間、及び上部材325bの内周壁と側部315e1の外周壁との隙間は、例えば3mm以下である。上部材325bには締結孔325b1が形成されており、上部材325bは締結孔325b1においてネジ等の締結部材(図示せず)により下部材325aに固定される。これにより、上部材325bは下部材325aと共に収容ボックス322と一体で回転する。上部材325bは、下部材325aを構成する金属材料よりも熱伝導率が低い断熱材料により形成されることが好ましい。これにより、ヒータ315cの熱が熱伝導によりブロック体325を介して収容ボックス322に伝達することが抑制される。その結果、収容ボックス322内のモータ321cが高温に晒されることが抑制される。また、載置台321aに載置された基板Wの熱がウエハ中心からブロック体325を介して放熱されることを抑制できるので、基板Wの面内での温度均一性が向上する。断熱材料としては、例えば石英、セラミックスが挙げられる。
【0048】
このようにブロック体325は、隙間G1に沿って設けられ、自転軸321b及び接続部321dと一体で回転可能に構成される。これにより、自転軸321b及び接続部321dの回転の有無によらずに、隙間G1の大部分がブロック体325によって塞がれる。そのため、原料ガスノズル312a及び反応ガスノズル312bからそれぞれ吐出されて回転テーブル321の下側に流れ込む原料ガス及び反応ガスが隙間G1を介して領域A1に侵入することを抑制できる。また、隙間G1を狭隙空間とすることにより、パージガス導入口312eから導入されるパージガスによる圧力を隙間G1において高めることができる。その結果、領域A1において原料ガスと反応ガスとが混ざり合うことが抑制され、領域A1において原料ガスと反応ガスとの反応に起因するパーティクルの発生を抑制できる。これに対し、領域A1に原料ガス及び反応ガスが侵入すると、領域A1において原料ガスと反応ガスとが反応してパーティクルが生じ得る。
【0049】
制御部390は、基板処理装置300の各部を制御する。制御部390は、例えばコンピュータであってよい。また、基板処理装置300の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0050】
〔評価結果〕
実施形態の基板処理装置300において、隙間G1に沿って複数のブロック体325が位置する場合における、回転テーブル321の上面側及び下面側での原料ガス及び反応ガスの濃度分布をシミュレーションにより算出した。本評価では、原料ガスノズル312aから原料ガスが供給され、分離ガスノズル312dから分離ガスが供給され、パージガス導入口312eからパージガスが供給された状態における原料ガスの濃度分布を算出した(以下「評価1」という。)。また、反応ガスノズル312bから反応ガスが供給され、分離ガスノズル312dから分離ガスが供給され、パージガス導入口312eからパージガスが供給された状態における反応ガスの濃度分布を算出した(以下「評価2」という。)。
【0051】
図6は評価1における解析結果を示す図であり、回転テーブル321を斜め下方から見たときの、原料ガス吸着領域P1、反応ガス供給領域P2及び分離領域Dを含む空間における原料ガスの濃度分布を示す。図6(a)はパージガス導入口312eから導入されるパージガスの流量が5L/minの場合の結果を示し、図6(b)はパージガス導入口312eから導入されるパージガスの流量が10L/minの場合の結果を示す。
【0052】
図6(a)及び図6(b)に示されるように、パージガス導入口312eから導入されるパージガスの流量が5L/min、10L/minのいずれの場合においても、ブロック体325の下方まで原料ガスが侵入していないことが分かる。この結果から、隙間G1に沿って複数のブロック体325を設けることにより、原料ガスが隙間G1を介して領域A1に侵入することを抑制できることが示された。
【0053】
図7は評価2における解析結果を示す図であり、回転テーブル321を斜め下方から見たときの、原料ガス吸着領域P1、反応ガス供給領域P2及び分離領域Dを含む空間における反応ガスの濃度分布を示す。図7(a)はパージガス導入口312eから導入されるパージガスの流量が5L/minの場合の結果を示し、図7(b)はパージガス導入口312eから導入されるパージガスの流量が10L/minの場合の結果を示す。
【0054】
図7(a)及び図7(b)に示されるように、パージガス導入口312eから導入されるパージガスの流量が5L/min、10L/minのいずれの場合においても、ブロック体325の下方まで原料ガスが侵入していないことが分かる。この結果から、隙間G1に沿って複数のブロック体325を設けることにより、原料ガスが隙間G1を介して領域A1に侵入することを抑制できることが示された。
【0055】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0056】
上記の実施形態では、回転テーブル321に6つの載置台321aが設けられる場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、載置台321aは、5つ以下であってもよく、7つ以上であってもよい。
【0057】
上記の実施形態では、処理部310が、処理容器311、ガス導入口312、ガス排気口313、搬送口314、加熱部315及び冷却部316を有する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、処理部310は、更に処理容器311内に供給される各種のガスを活性化するためのプラズマを生成するプラズマ生成部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0058】
300 基板処理装置
311 処理容器
321 回転テーブル
321a 載置台
321b 自転軸
325 ブロック体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7