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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042613
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】食器用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20230320BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20230320BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20230320BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20230320BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20230320BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230320BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20230320BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20230320BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20230320BHJP
   A47L 17/00 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/22
C11D1/722
C11D3/386
C11D3/04
C11D3/20
C11D17/04
C11D1/72
C11D3/33
A47L17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149810
(22)【出願日】2021-09-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(71)【出願人】
【識別番号】593085808
【氏名又は名称】ADEKAクリーンエイド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】畠中 亜弥
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB15
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC23
4H003BA12
4H003BA21
4H003DA17
4H003DA19
4H003DB02
4H003DC02
4H003EA03
4H003EA19
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB07
4H003EB13
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA06
4H003FA17
4H003FA20
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】優れた洗浄性及び再汚染防止効果を発揮する食器用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、(A)成分として非イオン界面活性剤、(B)成分としてアニオン界面活性剤、(C)成分として多価アルコール、(D)成分としてアミラーゼ、(E)成分してプロテアーゼ、(F)成分として水を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が1.5以上、100以下であり、25℃におけるpHが6以上、8以下である、食器用液体洗浄剤組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分として下記の一般式(1)で表される非イオン界面活性剤、
(B)成分としてアニオン界面活性剤、
(C)成分として多価アルコール、
(D)成分としてアミラーゼ、
(E)成分としてプロテアーゼ、
(F)成分として水、
を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が1.5以上、100以下であり、25℃におけるpHが6以上、8以下である、食器用液体洗浄剤組成物。
【化1】
(式中、Rは、炭素数8以上、16以下のアルキル基を表し、mは、2以上、10以下の数を表し、nは、0以上、10以下の数を表し、m≧nである。)
【請求項2】
(B)成分が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩である、請求項1に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(C)成分の多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ソルビトールより選択される少なくとも一種を含有する、請求項1又は2に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
さらに、(G)成分として酵素安定化剤を含有する、請求項1~3の何れか一項に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
(G)成分の酵素安定化剤が、ギ酸又はそのアルカリ金属塩、塩化カルシウム、酢酸カルシウム及びグリシンからなる群から選択される少なくとも一種を含有する、請求項4に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
食器類の浸漬用洗浄剤である、請求項1~5の何れか一項に記載の食器用液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1~5の何れか一項に記載の食器用液体洗浄剤組成物が収容されたハンドスプレーヤーからなる食器洗浄用物品。
【請求項8】
請求項6に記載の食器用液体洗浄剤組成物に食器類を浸漬することを含む、食器の洗浄方法。
【請求項9】
請求項1~5の何れか一項に記載の食器用液体洗浄剤組成物をハンドスプレーヤーにより泡状で食器類に噴射すること、及び泡状の前記食器用液体洗浄剤組成物を食器類の表面に接触させた状態で放置することを含む、食器の洗浄方法。
【請求項10】
前記ハンドスプレーヤーが、トリガースプレーヤー又はフォーマースプレーヤーである請求項9に記載の食器の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンプン、タンパク質、油脂等の汚れに対して優れた洗浄性を有し、かつ、油脂汚れに対する再汚染防止性にも優れた食器用液体洗浄剤組成物及びこれを用いた食器の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校、病院、社員食堂、給食施設等の大規模な調理施設では、食器類の下膳から洗浄までに時間を要するため、デンプンやタンパク質などの汚れが固着して除去し辛くなる。このため、自動食器洗浄機を用いて洗浄を行う前に食器類を浸漬用洗浄剤に浸漬して、前洗いを行うことが一般的である。また、近年では食器を浸漬する方法に代わって洗浄剤をスプレーして食器表面に泡状に吹き付けて、長時間接触させることで汚れを落とす発泡性の洗浄剤も利用されている。
しかしながら、前洗い用の浸漬液中の油脂汚れや前洗い後の自動食器洗浄中の洗浄庫内の油脂汚れによって食器類が再汚染されてしまうという問題があった。
【0003】
従来の食器の浸漬洗浄に用いる洗浄剤としては、特許文献1には洗剤組成物の10%水溶液のpHが4~12であることを条件として、双性イオン高分子泡安定剤、洗浄界面活性剤および、残部としての担体およびその他の補助成分を含んでなる手皿洗用に適する洗剤組成物が記載されている。特許文献2にはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、デンプン分解酵素、酵素安定化剤、可溶化剤、及びpH調整剤を含有することを特徴とする前浸漬用洗浄剤組成物が記載されている。特許文献3にはポリオキシエチレンアルキルエーテルと、アニオン界面活性剤を含有する機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物が記載されている。
食器表面に泡状にスプレーして吹き付ける発泡性の洗浄剤としては、特許文献4には分岐鎖炭化水素基を有するアニオン界面活性剤、炭素数2以上12以下のグリコール系溶剤、及び水を含有する食器用液体洗浄剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2001-524585号公報
【特許文献2】特開2016-011385号公報
【特許文献3】特開2018-024741号公報
【特許文献4】特開2017-210577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~4に記載の組成物は何れも浸漬洗浄中の食器に油脂汚れが接触すると再汚染されるため、再汚染防止効果が十分ではなかった。また、引用文献3及び4に記載の組成物は油脂汚れに対して十分な洗浄性を発揮するが、デンプン、タンパク質に対する洗浄性は十分とは言えなかった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みなされたものである。即ち、本発明の目的は、油脂、デンプン、タンパク質に対して優れた洗浄性を有し、油脂汚れに対して優れた再汚染防止効果を発揮する食器用液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち本発明は、
(1)(A)成分として下記の一般式(1)で表される非イオン界面活性剤、
(B)成分としてアニオン界面活性剤、
(C)成分として多価アルコール、
(D)成分としてアミラーゼ、
(E)成分としてプロテアーゼ、
(F)成分として水、
を含有し、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が1.5以上、100以下であり、25℃におけるpHが6以上、8以下である、食器用液体洗浄剤組成物、
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、Rは、炭素数8以上、16以下のアルキル基を表し、mは、2以上、10以下の数を表し、nは、0~10の数を表し、m≧nである。)
(2)(B)成分が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩である、(1)の食器用液体洗浄剤組成物、
(3)(C)成分の多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ソルビトールより選択される少なくとも一種を含有する、(1)又は(2)の食器用液体洗浄剤組成物、
(4)さらに、(G)成分として酵素安定化剤を含有する、(1)~(3)の何れかの食器用液体洗浄剤組成物、
(5)(G)成分の酵素安定化剤が、ギ酸又はそのアルカリ金属塩、塩化カルシウム、酢酸カルシウム及びグリシンからなる群から選択される少なくとも一種を含有する(4)に記載の食器用液体洗浄剤組成物、
(6)食器の浸漬用洗浄剤である、(1)~(5)の何れかに記載の食器用液体洗浄剤組成物、
(7)(1)~(5)の何れかに記載の食器用液体洗浄剤組成物が収容されたハンドスプレーヤーからなる食器洗浄用物品、
(8)(6)の食器用液体洗浄剤組成物に食器類を浸漬することを含む、食器の洗浄方法、
(9)(1)~(5)の何れかの食器用液体洗浄剤組成物をハンドスプレーヤーにより泡状で食器類に噴射すること、及び泡状の前記食器用液体洗浄剤組成物を食器類の表面に接触させた状態で放置することを含む、食器の洗浄方法、並びに、
(10)前記ハンドスプレーヤーが、トリガースプレーヤー又はフォーマースプレーヤーである(9)の食器の洗浄方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物は、油脂、デンプン、タンパク質に対する洗浄性に優れ、かつ、油脂汚れに対して優れた再汚染防止効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、(A)成分~(F)成分を含み、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が1.5以上、100以下であり、25℃におけるpHが6以上、8以下である、食器用液体洗浄剤組成物である。
【0012】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物の(A)成分は、下記一般式(1)で表される非イオン界面活性剤である。前記非イオン界面活性剤を用いることで、洗浄性及び再汚染防止性が向上する。
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、Rは、炭素数8以上、16以下のアルキル基を表し、mは、2以上、10以下の数を表し、nは、0以上、10以下の数を表し、m≧nである。)
【0015】
一般式(1)において、Rは、炭素数8~16のアルキル基を表す。アルキル基としては、飽和、不飽和、直鎖、分岐のいずれのアルキル基でもよく、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等の第1級アルキル基、第2級アルキル基が挙げられる。これらの中でも洗浄性と再汚染防止性の観点から、Rは、炭素数9~12のアルキル基が好ましく、炭素数9~12の直鎖1級アルキル基がより好ましい。
また、本明細書中、数値範囲を表す「~」は、断りがなければ、以上から以下を表し、上限値および下限値をいずれも含む。
【0016】
一般式(1)において、mは、2~10の数を表し、nは、0~10の数を表す。mは、一般式(1)中のオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、3~8の数であることが好ましい。nは、一般式(1)中のオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、0~6の数であることが好ましく、0であることがより好ましい。なお、洗浄性及び再汚染防止性の観点からm≧nである。
【0017】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物は、(A)成分を単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。(A)成分の配合量に特に制限はないが、再汚染防止性、洗浄性及び貯蔵安定性の観点から、食器用液体洗浄剤組成物全量に対し、3~50質量%であることが好ましく、10~45質量%がより好ましく、15~40質量%であることが特に好ましい。(A)成分の濃度が3質量%未満であると再汚染防止性及び洗浄性が低下する場合があり、50質量%を超えると貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0018】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物は、(B)成分として、アニオン界面活性剤を含む。この(B)成分は、本発明の食器用液体洗浄剤組成物の洗浄性、再汚染防止性及び発泡洗浄性を向上する。
アニオン界面活性剤としては、具体的に、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、2級アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。中でも、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、2級アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、及びα-オレフィンスルホン酸塩が好ましく、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましい。
【0019】
上記アニオン界面活性剤は、塩の形態の化合物であり、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム等のアルカノールアミン塩などであり得る。
【0020】
アルキル硫酸エステル塩のアルキル基は、炭素数8~18のアルキル基であることが好ましい。アルキル硫酸エステル塩として、具体的に、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
アルキルエーテル硫酸エステル塩のアルキル基は炭素数10~18のアルキル基であることが好ましい。また、アルキルエーテル硫酸エステル塩はオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を有し、オキシエチレン基の平均繰り返し数nは1~5であることが好ましく、オキシプロピオン基の平均繰り返し数mは0~1であることが好ましい。アルキルエーテル硫酸エステル塩として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウムなどが挙げられる。
【0021】
アルカンスルホン酸塩及び2級アルカンスルホン酸塩は、炭素数14~18を有するアルカンスルホン酸塩を使用することが好ましく、具体的に、2級アルカン(C14~17)スルホン酸ナトリウム、ヒドロキシアルカン(C14~16)スルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0022】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩のアルキル基は、炭素数8~16を有するアルキル基であることが好ましい。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩として、具体的に、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0023】
α-オレフィンスルホン酸塩のアルケニル基は、炭素数8~20を有するアルキル基であることが好ましい。α-オレフィンスルホン酸塩として、具体的に、ライオン株式会社製のリポランLB-440などが挙げられる。
【0024】
アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩のアルキル基は、炭素数8~18を有するアルキル基であることが好ましい。アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩として、具体的に、花王株式会社製のペレックスSS-HやペレックスSS-Lなどが挙げられる。
【0025】
スルホコハク酸塩はスルホ基を有するコハク酸アルキルエステルであり、該アルキル基の炭素数が6~18であることが好ましい。スルホコハク酸塩として、具体的に、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ジデシルナトリウム、スルホコハク酸ジドデシルナトリウム、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム等が挙げられる。
【0026】
アルキルエーテルカルボン酸塩のアルキル基は、炭素数8~18であるアルキル基が好ましい。また、アルキルエーテルカルボン酸塩は、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を有し、オキシエチレン基の平均繰り返し数nは1~10であることが好ましく、オキシプロピオン基の平均繰り返し数mは0~1であることが好ましい。
【0027】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物は、(B)成分を単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。(B)成分の配合量に特に制限はないが、再汚染防止性、洗浄性、酵素安定性及び発泡洗浄性の観点から、食器用液体洗浄剤組成物全量に対し、0.1~15質量%であることが好ましく、1~12質量%がより好ましく、3~10質量%であることが特に好ましい。(B)成分の濃度が0.1質量%未満であると再汚染防止性、洗浄性及び発泡洗浄性が低下する場合があり、15質量%を超えると酵素安定性が低下する場合がある。
【0028】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物において、洗浄性、際汚染防止性及び酵素安定性の観点から、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)の値が1.5~100であり、好ましくは2~50であり、より好ましくは3~15である。前記質量比(A)/(B)の値が1.5未満の場合は洗浄性及び再汚染防止性、酵素安定性が低下し、100より大きい場合は貯蔵安定性が低下し、発泡洗浄性も悪くなる。
【0029】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物では、(C)成分として多価アルコールを含む。ここで使用する多価アルコールは特に限定されないが、炭素数が2~44、水酸基が2~15である多価アルコールを使用することが好ましい。炭素数は、2~20がより好ましく、2~12がさらに好ましい。水酸基は、2~9がより好ましく、2~5がさらに好ましい。あるいは、(C)成分の多価アルコールとして、分子量が60~1000の化合物を使用することができ、分子量60~500が好ましく、60~300がより好ましい。
【0030】
(C)成分の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール等が挙げられ、中でもエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ソルビトールが好ましく、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリンがより好ましく、プロピレングリコールが更に好ましい。
【0031】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物は、(C)成分を単独で用いても、二種以上を組み合わせてもよい。(C)成分の配合量に特に制限はないが、酵素安定性の観点から、食器用液体洗浄剤組成物全量に対し、0.5~40質量%であることが好ましく、1~20質量%がより好ましく、6~15質量%であることが特に好ましい。(C)成分の濃度が0.5質量%未満であると酵素安定性が低下する場合があり、40質量%を超えても配合量に見合う効果が得られない場合がある。
【0032】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物では、(D)成分として、デンプン汚れに対する洗浄性向上のため、アミラーゼが配合される。(D)成分として使用するアミラーゼの至適pHは、通常、6.0~8.0で、好ましくは6.5~7.5である。また、至適温度は、通常、40~70℃、好ましくは55~65℃である。
【0033】
(D)成分のアミラーゼとしては、市販のアミラーゼ製剤を使用することができる。例えば、ノボザイムズ社製の商品名Termamyl 300L、Termamyl Ultra 300L、Duramyl 120T、Duramyl 300L、Stainzyme 12L、Stainzyme Plus 12L、Stainzyme Plus Evity 12L、Dupont社製のPreferenz S110、Preferenz S210などが挙げられる。
【0034】
(D)成分の配合量に特に制限はないが、食器用液体洗浄剤組成物全量に対し、アミラーゼ純分で0.0001~5.0質量%配合することが好ましく、0.001~2.0質量%がより好ましく、0.005~1.0質量%がさらに好ましい。0.0001質量%未満であるとデンプン汚れに対する洗浄性が低下する場合があり、5.0質量%より多く配合してもそれに見合う効果が得られない場合がある。
【0035】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物では、(E)成分として、タンパク質汚れに対する洗浄性を向上するために、プロテアーゼが配合される。(E)成分として使用するプロテアーゼの至適pHは、通常、6.0~9.0で、好ましくは6.5~8.0である。至適温度は、通常、40~70℃で、好ましくは55~65℃である。
(E)成分としては、市販のプロテアーゼ製剤を使用することができる。例えば、ノボザイムズ社製のSavinase 16L、Savinase Evity 16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Blaze Evity 16L、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8.0L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Liquanase Evity 3.5L、Coronase 48Lや、DuPont社製のExcellenz P1000、Excellenz P1250、Effectenz P100、Effectenz P150、Effectenz P200、Effectenz P3000、Preferenz P100、Preferenz P200、Preferenz P300などが挙げられる。
【0036】
(E)成分の配合量に特に制限はないが、食器用液体洗浄剤組成物全量に対し、プロテアーゼ純分で0.0001~5.0質量%配合することが好ましく、0.001~2.0質量%がより好ましく、0.005~1.0質量%がさらに好ましい。0.0001質量%未満であるとタンパク質汚れに対する洗浄性が低下する場合があり、5.0質量%より大きくなると酵素安定性が低下する場合がある。
【0037】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物では、(F)成分として、水を配合する。(F)成分としての水として、水道水、軟水化処理水、純水、RO水、イオン交換水、蒸留水を用いることができる。経済性の点から、水道水が好ましい。水道水としては、例えば、東京都荒川区の水道水(pH=7.6、総アルカリ度(炭酸カルシウム換算として)40.5mg/L、ドイツ硬度2.3°DH(そのうち、カルシウム硬度1.7°DH、マグネシウム硬度0.6°DH)、塩化物イオン21.9mg/L、ナトリウム及びその化合物15mg/L、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素1.2mg/L、フッ素及びその化合物0.1mg/L、ホウ素及びその化合物0.04mg/L、総トリハロメタン0.016mg/L、残留塩素0.4mg/L、有機物(全有機炭素量)0.7mg/L)が挙げられる。水は、食器用液体洗浄剤組成物全体が100質量%となるように配合(必要に応じて後述する(G)成分及び任意成分を配合する場合、これらを含めて全体が100質量%となるように配合)されるものである。
【0038】
本発明の食器液体洗浄剤組成物では、更に(G)成分として酵素安定化剤を含むことが好ましい。(G)成分として、公知の酵素安定剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、ホウ酸又はそのアルカリ金属塩、ギ酸又はそのアルカリ金属塩、グリシン、リジン、ロイシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸が挙げられる。
これらの中でも、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、ギ酸ナトリウム、グリシン、アスパラギン酸が好ましく、酢酸カルシウム、グリシン、ギ酸ナトリウムがより好ましい。
【0039】
(G)成分の配合量に特に制限はないが、食器用液体洗浄剤組成物全量に対し、0.001~5質量%であることが好ましく、0.003~4質量%であることがより好ましく、0.01~2質量%であることが特に好ましい。(G)成分の濃度が0.001質量%未満であると、酵素安定化剤として十分に機能しない場合があり、5質量%より多く配合すると貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0040】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物のpHを調整するために必要に応じて、(H)成分としてpH調整剤を使用することができる。(H)成分の塩基成分としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。また、(H)成分の酸成分としては、塩酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸、エチレンジアミン四酢酸、ホスホノブタントリカルボン酸、リン酸などが挙げられるが、好ましくは、塩酸、乳酸、クエン酸である。これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0041】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じ当該技術分野で通常使用される他の成分を含有していてもよい。このような成分としては、高分子分散剤、増粘剤、殺菌剤、香料、色素等が挙げられる。
【0042】
高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸型共重合体、マレイン酸型共重合体、メタクリル酸型共重合体、アクリル酸-スルホン酸型モノマー共重合体等が挙げられる。
高分子分散剤の配合量は特に限定されないが、食器用液体洗浄剤組成物全量に対し、0.01質量%~10質量%で配合させることが好ましい。
【0043】
増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
増粘剤の配合量は特に限定されないが、食器用液体洗浄剤組成物全量に対し、0.01質量%~10質量%で配合させることが好ましい。
【0044】
殺菌剤としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、N-n-ブチル-ベンズイソチアゾリン-3-オン等のチアゾリン類、1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、1又は3-モノメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、ジメチルヒダントイン、1、3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1、3-ジクロロエチルメチルヒダントイン等のヒダントイン類、アルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。
殺菌剤の配合量は特に限定されないが、食器用液体洗浄剤組成物全量に対し、0.001質量%~5質量%で配合させることが好ましい。
【0045】
香料としては、例えば、天然香料、合成香料、これらの調合香料等が挙げられる。
また、色素としては、例えば、天然色素、合成色素、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
本発明の食器用液体洗浄剤組成物のpHは25℃で6.0~8.0である。pHが6未満もしくは8を超えると酵素安定性が低下する。
【0047】
本発明は、上記食器用液体洗浄剤組成物を用いて食器類を洗浄する方法に関する。具体的には、(1)前記食器液体洗浄剤組成物をスポンジなどの可撓性道具に、任意に水と共に含ませて、食器類表面に前記洗浄剤組成物を接触させて洗浄する方法、(2)上記食器用液体洗浄剤組成物を水で希釈して浸漬液を作成し、そこに食器を浸漬し、一定時間経過後に前記食器をスポンジなどの可撓性材料を用いて浸漬液を水で洗い流すか、又は自動食器洗浄機で再度洗浄する方法、(3)上記食器液体洗浄剤組成物を水で希釈した後、食器類にハンドスプレーヤー用いて泡状に噴霧して、泡状の前記組成物を食器類の表面に接触させた状態で一定時間放置し、泡状の前記組成物を水ですすぐ方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
食器類として、皿、椀、コップ等の食器、包丁、鍋、フライパン、やかん、まな板等の調理器具、瓶、タッパー等の保存容器等が挙げられるがこれらに限定されない。
食器類の材質として、プラスチック類(シリコーン樹脂等も含む)、ガラス、金属、木等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本発明の食器の洗浄方法において、上記食器用液体洗浄剤組成物を水で希釈して使用することが好ましい。
例えば、食器用液体洗浄剤組成物の全量に対し、(A)成分として3~50質量%、(B)成分として0.5~40質量%、(C)成分として0.5~40質量%、(D)成分として0.0001~5質量%、(E)成分として0.0001~5質量%及び水を含む食器用液体洗浄剤組成物を用いて、上記(1)の食器の洗浄方法により食器類を洗浄する場合、1~10mLの前記組成物及び任意量の水を可撓性物品に含ませた後に起泡させて食器類の表面を洗浄する。
【0050】
上記(2)の食器の洗浄方法により食器類を洗浄する場合、浸漬液中において、前段落に記載の食器用液体洗浄剤組成物の濃度が、浸漬液全量の、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0051】
浸漬液で用いる水は、本発明の食器用液体洗浄剤組成物の(F)成分で使用する水と同様の水を用いることができ、水道水を用いることが好ましい。
浸漬液の温度は、好ましくは65℃未満、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは55℃以下、そして、好ましくは25℃以上である。
食器類を浸漬させる時間は特に限定されないが、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上であり、好ましくは12時間以下、より好ましくは3時間以下、更に好ましくは30分以下である。
【0052】
上記(3)の食器の洗浄方法では、上記の所定の濃度で(A)成分~(E)成分を含む食器用液体洗浄剤組成物を水で2~10倍に希釈した後にハンドスプレーヤーに充填する。希釈する水は、上記(F)成分として使用する水と同様の水を使用することができ、水道水を用いることが好ましい。
希釈された食器用液体洗浄剤組成物の温度は、好ましくは40℃未満、より好ましくは35℃以下、更に好ましくは30℃以下、そして、好ましくは5℃以上である。
【0053】
ハンドスプレーヤーに充填された食器用液体洗浄剤組成物は食器類の表面に泡状に噴霧される。その後、食器類を所定時間放置する。放置する時間は特に限定されないが、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上であり、好ましくは1時間以下、より好ましくは45分以下、更に好ましくは30分以下である。
所定時間放置された食器類は水ですすがれて泡状の組成物を洗い流す。
【0054】
本発明の食器の洗浄方法で使用するハンドスプレーヤーは特に限定されず、公知のハンドスプレーヤーを使用することができ、トリガースプレーヤー、フォーマースプレーヤー等の公知のハンドスプレーヤーを用いることができる。
本発明の食器の洗浄方法において、水で希釈された食器用液体洗浄剤組成物のpHは、酵素安定性の観点から、25℃で6.0~8.0であることが好ましい。
【実施例0055】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例において配合に用いた各成分を下記に示す。なお、以下の実施例等において「%」は特に記載がない限り質量%を表し、表中における実施例及び比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。実施例、比較例において使用した化合物を以下に記す。また、アルキル基の表記について、例えば、アルキル(C8~18)と表記されている場合、炭素数8以上、18以下のアルキル基を有する混合物を表す。
【0056】
(A)成分
A-1:ポリオキシエチレン(EO7モル)アルキル(C9~11)エーテル
A-2:ポリオキシエチレン(EO8モル)ポリオキシプロピレン(PO3モル)ラウリルエーテル
A-3:ポリオキシエチレン(EO3モル)2級アルキル(C12~14)エーテル
【0057】
(B)成分
B-1:直鎖ラウリルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩
B-2:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:エマール20C、花王社製)
B-3:α-オレフィンスルホン酸ナトリウム(C14~16)(商品名:HOSTAPUR OS LIQ、クラリアントジャパン社製)
【0058】
(C)成分
C-1:プロピレングリコール
C-2:グリセリン
C-3:ジエチレングリコール
【0059】
(C)成分の比較成分
C′-1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
【0060】
(D)成分
D-1:アミラーゼ1(商品名:Termamyl Ultra 300L、ノボザイムズ社製)
D-2:アミラーゼ2(商品名:Preferenz S210、DuPont社製)
【0061】
(E)成分
E-1:プロテアーゼ1(商品名:SavinaseEvity 16L、ノボザイムズ社製)
E-2:プロテアーゼ2(商品名:Excellenz P1250、DuPont社製)
【0062】
(F)成分
F-1:イオン交換水
【0063】
(G)成分
G-1:ギ酸ナトリウム
G-2:グリシン
G-3:酢酸カルシウム
【0064】
(H)その他成分
H-1:塩酸
H-2:水酸化ナトリウム
【0065】
各実施例の組成物は、(F)成分の水を組成物の合計が100質量%となるように混合槽に加え、次いで(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分(必要に応じて(G)成分)を混合槽中に配合し、十分に混合撹拌して調製した。
【0066】
実施例1~36、比較例1~12
表1~表5に示す食器用液体洗浄剤組成物を調製した。各食器用液体洗浄剤組成物を用いて、洗浄性、再汚染防止性、酵素安定性、発泡洗浄性、貯蔵安定性を測定した。表1~4に実施例1~36の結果を、表5に比較例1~12の結果をそれぞれ示す。
【0067】
※1:pHの測定方法
pHメーター(HORIBA製;pH/イオンメーターF-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製;ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を入れる。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33mol/L)を使用した。
次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行った。
各中性洗浄剤組成物を100mLビーカーに充填し、恒温槽内にて25℃に調整した。恒温に調整された試料にpH測定用電極を3分間浸し、pHを測定した。
【0068】
※2:洗浄性試験(油脂汚れ)
<被洗浄物>
米デンプン水溶液(20質量%米デンプン水溶液を80℃で3分加熱したもの)に、100℃で加熱し溶解した牛脂20gを加えよく攪拌し53℃まで冷ました後、卵黄10gを加えて攪拌したものを汚れとした。この汚れを15cm×15cmの塩化ビニル製の黒色プレートに、コーティングロッドを用いて均一に塗布し、室温で乾燥させて試験片とした。
<試験方法>
上記の方法で調製した試験片を、0.05質量%に希釈した食器用液体洗浄剤組成物の5L溶液中に10分間浸漬した。その後、以下の条件で自動食器洗浄機を用いた洗浄を行い、試験片を流水で軽くすすいだ後、洗浄すすぎ後の試験片の汚れ残留部分を5mm四方の碁盤目上にスケッチし、清浄な碁盤目を数え、その清浄面積率を洗浄率とし、以下の基準で評価した。
【0069】
<洗浄機条件>
使用洗浄機:ホシザキ製自動食器洗浄機(機種JWE-680)
洗浄温度:64℃
洗浄時間:40秒
洗浄剤:ディッシュパワー(ADEKAクリーンエイド社製)
洗浄剤濃度:0.2質量%
使用水:炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水
<評価基準>
◎:洗浄率100% ~80%以上
○:洗浄率80%未満~60%以上
△:洗浄率60%未満~40%以上
×:洗浄率40%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0070】
※3:洗浄性試験(デンプン汚れ)
<被洗浄物>
米デンプン汚れ(7.1%米デンプン水溶液を100℃で15分加熱したもの)を150×150mmのガラスパネルにコーティングロッドを用いて均一に塗布し、室温で乾燥させたものを試験片とした。
<試験方法>
上記の方法で調製した試験片を、0.05質量%に希釈した食器用液体洗浄剤組成物の5L溶液中に5分間浸漬した。その後、以下の条件で自動食器洗浄機を用いた洗浄を行い、試験片を流水で軽くすすいだ後、室温にて乾燥させた。乾燥後、0.1質量%よう素液を試験片全体に振りかけ、よう素呈色した着色部分の割合を画像解析ソフトを用いて算出し、以下の基準で評価した。
【0071】
<洗浄機条件>
使用洗浄機:SANYO製自動食器洗浄機(DW-DR62)
洗浄温度:60℃
洗浄時間:40秒
洗浄剤:ディッシュパワー(ADEKAクリーンエイド社製)
洗浄剤濃度:0.2質量%
使用水:炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水
<評価基準>
◎:洗浄率100% ~80%以上
○:洗浄率80%未満~60%以上
△:洗浄率60%未満~40%以上
×:洗浄率40%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0072】
※4:洗浄性試験(タンパク質汚れ)
<被洗浄物>
5質量%の卵黄水溶液を150×150mmのガラスパネルにコーティングロットを用いて均一に塗布し、室温で乾燥後、100℃で30秒間加温し、変性させたものを浄試験片とした。
<試験方法>
上記の方法で調製した試験片を、0.05質量%に希釈した食器用液体洗浄剤組成物の5L溶液中に5分間浸漬した。その後、以下の条件で自動食器洗浄機を用いた洗浄を行い、試験片を流水で軽くすすいだ後、室温にて乾燥させた。乾燥後、0.1質量%アミドブラック液を試験片全体に振りかけ、呈色した着色部分の割合を画像解析ソフトを用いて算出し、以下の基準で評価した。
【0073】
<洗浄機条件>
使用洗浄機:SANYO製自動食器洗浄機(DW-DR62)
洗浄温度:60℃
洗浄時間:40秒
洗浄剤:ディッシュパワー(ADEKAクリーンエイド社製)
洗浄剤濃度:0.2質量%
使用水:炭酸カルシウム換算で、50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の硬水
<評価基準>
◎:洗浄率100% ~70%以上
○:洗浄率70%未満~55%以上
△:洗浄率55%未満~40%以上
×:洗浄率40%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0074】
※5:再汚染防止性試験
水200gを加えて50℃に保持した200mLビーカーに、食器用液体洗浄剤組成物0.1gと、赤色着色大豆油1gを添加し、3分間スターラーで攪拌を行った。その後、スターラーで液を回転させながら、ポリプロピレン製パネル(縦50mm×横50mm×厚さ3mm)を合計3回浸漬し、3回目浸漬後のパネル表面の様子を写真撮影し、ポリプロピレン製パネル表面を縦横それぞれ10分割して碁盤目状にスケッチし、赤色に着色している碁盤目の割合を数えて以下の基準で再汚染防止効果を評価した。
<評価基準>
◎:パネル表面の着色が1割未満
○:パネル表面の着色が1割以上、2割5分未満
△:パネル表面の着色が2割5分以上、4割未満
×:パネル表面の着色が4割以上
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0075】
※6:酵素安定性試験(アミラーゼ)
< アミラーゼ活性測定>
各食器用液体洗浄剤組成物を蒸留水で0.1質量%に希釈し、その希釈液0.05mLと0.1質量%可溶性デンプン水溶液0.5mLとをpH7.0、60℃の条件下で10分間反応させた後、ヨウ素試薬0.5mLと蒸留水2mLを添加した。分光光度計(SHIMADZU UV-1800)を用いて、得られた反応液の620nmにおける吸光度を測定した。試料溶液1mLが60℃、1分間の反応でデンプンを分解する酵素の活力(アミラーゼ活性)を1単位として力価を求めた。この力価より、洗浄剤中のアミラーゼ活性の初期値を100として40℃、30日間保存後のアミラーゼ活性の残存率を求めた。
<評価基準>
◎:初期活性値の90%以上、100%以下
○:初期活性値の75%以上、90%未満
△:初期活性値の50%以上、75%未満
×:初期活性値の0%以上、50%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0076】
※7:酵素安定性試験(プロテアーゼ)
<プロテアーゼ活性測定>
各食器用液体洗浄剤組成物をpH7.0の酢酸緩衝液で0.1質量%に希釈し、その希釈液0.2mLと0.6質量%カゼイン水溶液1mLとをpH7.0、60℃の条件下で10分間反応させた後、タンパク質沈殿試薬(TCA混液)1mLを添加して30℃で30分間放置した。放置後、得られた水溶液をろ過し、このろ液1mLに0.55MのNaCO水溶液2.5mL、及び蒸留水で3倍希釈したFolin試薬0.5mLを添加し30℃、30分間反応させた。分光光度計(SHIMADZU UV-1800)を用いて、得られた反応液の660nmにおける吸光度を測定し、60℃、1分間にこの反応液全体で1γのL-チロジンの呈するFolin呈色度を与えるプロテアーゼ活性を1単位として力価を求めた。この力価より、洗浄剤中のプロテアーゼ活性の初期値を100として40℃、30日間保存後のプロテアーゼ活性の残存率を求めた。
<評価基準>
◎:初期活性値の90%以上、100%以下
○:初期活性値の75%以上、90%未満
△:初期活性値の50%以上、75%未満
×:初期活性値の0%以上、50%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0077】
※8:発泡洗浄性試験
<試験方法>
縦70mm×横60mm×厚さ1mmのステンレス(SUS304)片の片面に油(牛脂10g、大豆油10g、モノオレイン酸グリセリド0.25g、スダンIII0.1gをクロロホルム60mlに溶解したもの)を塗布し、25℃で2時間乾燥させたものを試験片とし質量を測定した。この試験片を垂直に立てかけて、食器用液体洗浄剤組成物を水で3倍に希釈した洗浄液をスプレーガン(T95:キャニオン社製、1スプレー当たり約1ml)を用いて試験片全体に泡が吹きかかるように5回噴霧し、1分間静置した。その後、試験片を流水ですすぎ、自然乾燥させた後、質量を測定した。洗浄率は洗浄前後の試験片の質量変化から下記式により算出し、以下の基準で評価した。
尚、下記に示す汚れ付着量とは、上述のとおり油が塗布された試験片の質量から試験片のみの質量を減じた値である。
洗浄率(%)={(洗浄前試験片質量-洗浄後試験片質量)/(汚れ付着量)}×100
評価基準:
◎:洗浄率100%~70%以上
○:洗浄率70%未満~55%以上
△:洗浄率55%未満~40%以上
×:洗浄率40%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0078】
※9:貯蔵安定性試験
試験方法:
各食器用液体洗浄剤組成物100gをポリプロピレン製容器に入れ、-5℃、25℃、40℃で1ヶ月静置した後に外観を観察し、以下の基準で評価した。
評価基準:
○:分離や濁りが見られず安定である
△:全体的な分離はないが、若干の濁りが見られる
×:分離もしくは濁りが見られる
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】