(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042676
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】表示制御装置、画像表示システム、表示制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20230320BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20230320BHJP
G09G 5/08 20060101ALI20230320BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20230320BHJP
G06F 3/04883 20220101ALI20230320BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/00 510X
G09G5/36 520K
G09G5/36 520F
G09G5/08 Z
G09G5/36 520L
G09G5/00 510H
G06F3/0488 130
H04N5/66 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149927
(22)【出願日】2021-09-15
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MIRACAST
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】北澤 和紀
【テーマコード(参考)】
5C058
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C058AA05
5C058BA35
5C182AA04
5C182AB02
5C182AB06
5C182AB08
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5C182BA46
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5C182BC01
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5C182BC26
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5C182CB33
5C182CB41
5C182CB47
5C182CB52
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5C182CC02
5C182DA02
5C182DA62
5E555AA26
5E555BA01
5E555BA28
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5E555BB28
5E555BC18
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5E555DC24
5E555DC26
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5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 取得した複数の画像を正しい向き、かつ大きく表示することを可能にする装置、システム、方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】 表示制御装置は、複数の外部機器から該複数の外部機器の長辺方向と短辺方向とを有する矩形の画面の表示内容を複数の画像として取得する取得手段と、取得された各画像につき、該画像の表示方向を識別するための要素を検出する検出手段と、表示装置の設置方向と、検出された要素とに応じて、該要素を含む画像の表示方向を変更する変更手段と、少なくとも一つの画像の表示方向を変更した複数の画像につき、各画像の長辺方向と短辺方向の比率を変えることなく拡大して表示装置に表示させるための出力情報を生成する生成手段と、生成された出力情報を表示装置へ出力する出力手段とを含む。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の表示を制御する表示制御装置であって、
複数の外部機器から該複数の外部機器の長辺方向と短辺方向とを有する矩形の画面の表示内容を複数の画像として取得する取得手段と、
取得された各画像につき、該画像の表示方向を識別するための要素を検出する検出手段と、
表示装置の設置方向と、検出された前記要素とに応じて、該要素を含む画像の表示方向を変更する変更手段と、
少なくとも一つの画像の表示方向を変更した複数の画像につき、前記各画像の長辺方向と短辺方向の比率を変えることなく拡大して前記表示装置に表示させるための出力情報を生成する生成手段と、
生成された前記出力情報を前記表示装置へ出力する出力手段と
を含む、表示制御装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記表示装置の設置方向に基づき、前記各画像の配置を決定し、決定した前記配置に基づき、前記出力情報を生成する、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記要素として、マウスカーソルを検出する、請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記要素として、前記画像に含まれる文字を検出する、請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示装置は、前記表示部への物体の接触により該表示部上の座標を検知可能な機器であり、
前記表示制御装置は、
前記表示装置から前記座標の入力を受け付ける入力受付手段と、
受け付けた前記座標に基づき、筆記情報を作成する筆記情報作成手段と
を含み、
前記生成手段は、作成された前記筆記情報と、前記比率を変えることなく拡大した前記各画像とを合成して前記出力情報を生成する、請求項1~4のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記生成手段は、文字認識を行うための設定情報を保持し、
前記検出手段は、前記設定情報に基づき、前記画像に含まれる文字を検出する、請求項5に記載の表示制御装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の表示制御装置と、表示装置とを含む、画像表示システム。
【請求項8】
前記画像表示システムは、電子黒板である、請求項7に記載の画像表示システム。
【請求項9】
画像の表示を制御する方法であって、
複数の外部機器から該複数の外部機器の長辺方向と短辺方向とを有する矩形の画面の表示内容を複数の画像として取得するステップと、
取得された各画像につき、該画像の表示方向を識別するための要素を検出するステップと、
表示装置の設置方向と、検出された前記要素とに応じて、該要素を含む画像の表示方向を変更するステップと、
少なくとも一つの画像の表示方向を変更した複数の画像につき、前記各画像の長辺方向と短辺方向の比率を変えることなく拡大して前記表示装置に表示させるための出力情報を生成するステップと、
生成された前記出力情報を前記表示装置へ出力するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の表示を制御する装置、システム、方法およびその制御をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
長辺方向と短辺方向とを有する矩形の表示画面をもつ画像表示システムの1つとして、電子黒板がある。電子黒板には、表示画面の長辺方向・短辺方向の向きを自由に選択できるものが存在する。また、電子黒板には、PC(Personal Computer)等の外部機器において作成したファイル等をスムーズに投影するため、HDMI(High-Definition Multimedia Interface(登録商標))等の外部映像入力I/Fを有し、表示画面の映像を画像として取得する機能(キャプチャー機能)を備えるものも存在する。電子黒板には、キャプチャー機能により複数の外部機器から複数の画像を同時に取得し、表示画面に複数の画像を表示することができるものも存在する。
【0003】
このようなキャプチャー機能を備え、表示画面の長辺方向・短辺方向の向きを自由に選択できる電子黒板では、キャプチャー機能により入力された画像の表示方向を検知することができない。このため、電子黒板を設置する際の表示画面の辺の方向が示す設置方向、入力された画像の表示方向によっては、特に、複数の画像をキャプチャーした場合、表示画面に比較してキャプチャー画面が著しく小さくなる、もしくはキャプチャー画面が正しい向きに表示されないという問題があった。
【0004】
このような問題に対し、電子黒板ではないが、2画面表示できるデジタルカメラにおいて画像1枚当たりの大きさをできるだけ大きく表示する目的で、画像の向きに応じて表示方向を変更する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、撮影された画像が撮像素子の画角方向を基準にして記録されるため、縦画像か、横画像かという画像の向きを検知することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来の技術では、外部機器からキャプチャーした画像については、各画像の向きを検知することができないため、複数の画像をキャプチャーした場合、表示画面に比較してキャプチャー画面が著しく小さくなる、もしくはキャプチャー画面が正しい向きに表示されないという問題を解決することができない。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、取得した複数の画像を正しい向き、かつ大きく表示することができる装置、システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、画像の表示を制御する表示制御装置であって、
複数の外部機器から該複数の外部機器の長辺方向と短辺方向とを有する矩形の画面の表示内容を複数の画像として取得する取得手段と、
取得された各画像につき、該画像の表示方向を識別するための要素を検出する検出手段と、
表示装置の設置方向と、検出された要素とに応じて、該要素を含む画像の表示方向を変更する変更手段と、
少なくとも一つの画像の表示方向を変更した複数の画像につき、各画像の長辺方向と短辺方向の比率を変えることなく拡大して表示部に表示させるための出力情報を生成する生成手段と、
生成された出力情報を表示装置へ出力する出力手段と
を含む、表示制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取得した複数の画像を正しい向き、かつ大きく表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】画像表示システムとしての電子黒板の構成例を示した図。
【
図2】縦置き設置の電子黒板に1つのキャプチャー画面を表示した図。
【
図3】1つのキャプチャー画面の長辺方向を、電子黒板が自動検知し、アスペクト比を維持してできる限り大きく表示した様子を示した図。
【
図4】電子黒板が1つのキャプチャー画面を回転させる際の処理の流れを示したフローチャート。
【
図5】電子黒板に1つのキャプチャー画面を表示する際の、電子黒板の設置方向とキャプチャー画面の表示方向とを対応付けたテーブルについて説明する図。
【
図6】1つのキャプチャー画面を表示させる表示制御装置の機能ブロック図。
【
図7】横置き設置の電子黒板に複数のキャプチャー画面として2つのキャプチャー画面を表示した図。
【
図8】縦置き設置の電子黒板に2つのキャプチャー画面を表示した図。
【
図9】電子黒板に2つのキャプチャー画面を表示する際の、電子黒板の設置方向とキャプチャー画面の表示方向とを対応付けたテーブルについて説明する図。
【
図10】電子黒板に2つのキャプチャー画面を表示する際の、電子黒板が実行する処理の流れを示したフローチャート。
【
図11】複数のキャプチャー画面を表示させる表示制御装置の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、画像表示システムとしての電子黒板の構成例を示した図である。ここでは、画像表示システムを電子黒板として説明するが、画像を表示する装置やシステムであれば、PC、タブレット端末、プロジェクタ、デジタルサイネージ等の出力装置等であってもよい。
【0012】
電子黒板は、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)等を含み、CPU(Central Processing Unit)10、タッチパネルディスプレイ11、キャプチャー入力部12、方向検知センサ13、メモリ14、記憶装置15、通信部16を備える。
【0013】
CPU10は、電子黒板全体の動作を制御し、記憶装置15からプログラムを読み出し、電子黒板の各種の処理を実行する。タッチパネルディスプレイ11は、CPU10から受信した画像データを画面に表示する機能、およびユーザが指やペンでタッチパネルに触れた座標をCPU10に送信する入力インターフェース機能を有する。画像データは、静止画データであってもよいし、動画(映像)データであってもよい。タッチパネルディスプレイ11は、例えばディスプレイ一体型の静電容量方式タッチパネルを用いることができる。以下、画像を映像として説明する。
【0014】
キャプチャー入力部12は、外部機器が画面に表示する映像を取得(キャプチャー)し、そのキャプチャーした映像(キャプチャー画面)を映像インターフェース経由でCPU10に入力する機能を有する。このため、キャプチャー入力部12は、映像インターフェースを有し、映像インターフェースとしては、HDMI(登録商標)、Display Port、VGA(Video Graphics Array)等が挙げられる。キャプチャー入力部12は、映像インターフェース経由で、例えば解像度1920×1080dpi、60fps(フレームレート)の映像が入力された場合、解像度1920×1080dpiの映像を毎秒60枚、連続的に取り込む機能を有する。
【0015】
方向検知センサ13は、電子黒板が縦置き設置、もしくは横置き設置をセンサにより判定し、判定結果をCPU10に通知する。方向検知センサ13としては、例えば加速度センサが挙げられる。電子黒板の縦置き設置とは、映像を表示する表示部としてのタッチパネルディスプレイ11の辺が示す設置方向、すなわち長辺方向が、地面に対して鉛直方向(縦方向)を示し、短辺方向が、地面に対して水平方向(横方向)を示すように設置されることを意味する。電子黒板の横置き設置とは、タッチパネルディスプレイ11の長辺方向が、横方向を示し、短辺方向が、縦方向を示すように設置されることを意味する。
【0016】
メモリ14は、CPU10が使用するプログラムの展開、演算データの一次保存等を行う。メモリ14としては、例えばDDR(Double Data Rate)メモリのような揮発性メモリが用いられる。記憶装置15は、CPU10が実行する機器制御、電子黒板の各種の処理を実行するためのアプリケーションプログラムを記憶する。アプリケーションプログラムは、例えば外部機器に表示した資料等をキャプチャーし、拡大して表示する機能、手書き機能、消しゴム機能、OCR(光学式文字認識)機能等を実現する。記憶装置15としては、例えばフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性メモリが用いられる。
【0017】
通信部16は、ローカルネットワークまたはインターネット経由で外部と通信する機能を有する。ローカルネットワークは、有線LAN(Local Area Network)であってもよいし、無線LANであってもよい。キャプチャー画面は、上記のキャプチャー入力部12のほか、通信部16を経由して取得してもよい。通信部16を介した外部映像の入力には、Miracastを用いることができる。通信部16がネットワークを介して外部映像を取得することができるため、ネットワークに接続された他の電子黒板等と画面を共有することが可能となる。
【0018】
図2は、縦置き設置の電子黒板にキャプチャー画面を表示したところを示した図である。電子黒板のキャプチャー入力部12で受信したキャプチャー画面20の向き(表示方向)が横長方向である場合、電子黒板が縦置き設置で、その表示部が縦長の画面であっても、
図2(a)に示すようにキャプチャー画面20は横長方向のまま、アスペクト比を維持し、表示部の横長方向いっぱいに大きく表示される。アスペクト比は、長辺方向と短辺方向の長さの比である。横長の映像のアスペクト比は、通常、16:9もしくは4:3である。
図2(a)に示す表示では、文字「A」を含むキャプチャー画面20の上下に何も表示しない無駄な領域が発生している。
【0019】
外部機器としてのPCには、一般的に表示方向を横長方向だけではなく、90°回転させて縦長方向に切り替える機能がある。このため、電子黒板には、表示方向が縦長方向に変えたキャプチャー画面20を入力することができる。
【0020】
キャプチャー画面20の表示方向を縦長方向に変えた場合、縦置き設置の電子黒板にフルスクリーンで表示してほしいが、実際には、
図2(b)に示すような表示となり、
図2(a)と同様、キャプチャー画面20の上下に何も表示しない無駄な領域が発生する。これは、電子黒板がキャプチャーボードを使用してキャプチャー画面20を取り込む場合、PCから電子黒板のキャプチャーボードに該PCが表示している映像の表示方向が縦長方向か、横長方向かを通知する手段がないためである。ただし、PCに特別なアプリケーションを実装すれば、通知することが可能となる。
【0021】
本システムは、PCに特別なアプリケーションを実装することなく、電子黒板が、キャプチャー画面が横長か、縦長かを自動判定し、電子黒板の設置方向に合わせて、キャプチャー画面のアスペクト比を崩すことなく電子黒板に出来るだけ大きく表示することを可能にする。
【0022】
図3は、キャプチャー画面の表示方向を自動判定し、電子黒板の設置方向に合わせて、キャプチャー画面のアスペクト比を崩すことなく電子黒板に出来るだけ大きく表示した例を示した図である。キャプチャー画面20には、マウスカーソル21が含まれており、マウスカーソル21は、PCの表示方向に連動して変化する。
【0023】
PCの通常の横長の画面においては、Windows(登録商標)のデフォルトカーソルであるマウスカーソル21の矢印は、画面の上側を向いている。マウスカーソル21が上側を向くとき、その上側の辺は、矩形の画面の長辺であり、その長辺が延びる方向が横方向であり、横長の画面となっている。このため、その画面をキャプチャーした際のキャプチャー画面20の表示方向は、横長方向となる。
【0024】
これに対し、反時計回りに90°回転させた画面は、マウスカーソル21の矢印の向きも反時計回りに90°回転し、左側を向くようになる。その左側の辺は、矩形の画面の短辺であり、その長辺が延びる方向が縦方向であり、縦長の画面となっている。このため、その画面をキャプチャーした際のキャプチャー画面20の表示方向は、縦長方向となる。
【0025】
これらのことから、マウスカーソル21を画面の表示方向を識別するための要素とし、マウスカーソル21が示す矢印の向きから、キャプチャー画面の表示方向を判別することができる。
【0026】
図3(a)は、縦置き設置の電子黒板に横長のキャプチャー画面が入力された場合の電子黒板にキャプチャー画面を表示した図である。キャプチャー画面20のアスペクト比を崩すことなく電子黒板に出来るだけ大きく表示するためには、
図3(a)に示す電子黒板の表示部の横長方向いっぱいにキャプチャー画面20を表示する。
【0027】
図3(b)は、縦置き設置の電子黒板に縦長に変えたキャプチャー画面が入力された場合の電子黒板にキャプチャー画面を表示した図である。キャプチャー画面20のアスペクト比を崩すことなく電子黒板に出来るだけ大きく表示するためには、キャプチャー画面20を時計回りに90°回転して表示すればよい。したがって、電子黒板のアプリ内のキャプチャーアプリケーションの表示部分を時計回りに90°回転させ、アスペクト比を維持しつつ表示部の長辺方向もしくは短辺方向のいずれか一方またはその両方の長さに、キャプチャー画面20の長辺方向もしくは短辺方向のいずれか一方またはその両方の長さが一致する長さとなるように拡大し、表示する。
【0028】
以上の処理では、キャプチャー画面20の回転を伴うが、この処理について
図4を参照して詳細に説明する。
図4は、電子黒板がキャプチャー画面20を回転させる際の処理の流れを示したフローチャートである。電子黒板に電源が投入され、起動したところで、ステップ100から処理を開始する。
【0029】
ステップ101では、電子黒板の設置方向、すなわち縦置き設置か、横置き設置かを検知する。縦置きか、横置きかは、方向検知センサ13の検知結果から検知することができる。
【0030】
ステップ102では、電子黒板に接続された外部機器としてのPCの画面のキャプチャーを開始したか否かを判断する。キャプチャーを開始していない場合、開始するまで、ステップ102の処理を繰り返す。一方、キャプチャーを開始した場合、ステップ103へ進み、キャプチャー画面20を取得し、キャプチャー画面20内にマウスカーソル21があるか否かを判断する。
【0031】
マウスカーソル21を見つけた場合、ステップ104へ進み、キャプチャー画面20を回転させ、電子黒板の設置方向と一致させる。そして、ステップ103へ戻り、次のキャプチャー画面20を取得する。
【0032】
一方、マウスカーソル21を見つけられなかった場合、ステップ105へ進み、デフォルトの表示方向で、電子黒板にキャプチャー画面20を表示させる。そして、ステップ103へ戻り、次のキャプチャー画面20を取得する。なお、いずれの場合も、キャプチャー画面20を表示させた後、次のキャプチャー画面20を取得することを繰り返しているが、電子黒板へのPCの接続を切断した場合等、キャプチャーを終了した場合、この処理は終了する。
【0033】
これまで、キャプチャー画面20の表示方向を、マウスカーソル21の矢印の向きにより検知することについて説明してきたが、これに限定されるものではなく、キャプチャー画面20に文字を含む場合、画面の表示方向を識別するための要素として、キャプチャー画面20に含まれる文字とし、その文字の向きから検知してもよい。また、電子黒板の設置方向は、起動時に検知することに限定されるものではなく、方向検知センサ13により動的に検知してもよい。
【0034】
ステップ104において回転させたときの表示方向、ステップ105におけるデフォルトの表示方向は、
図5に示すようなテーブルを使用して、どの向きとするかを決定することができる。テーブルは、電子黒板が備える記憶装置15に記憶することができる。テーブルは、キャプチャー画面20の表示方向と、電子黒板の設置方向とを対応付けたテーブルで、パターン1~4として設定される。
【0035】
図5に示すように、パターン1は、電子黒板が横置き設置で、キャプチャー画面20が横長のパターンである。パターン2は、電子黒板が縦置き設置で、キャプチャー画面20が横長のパターンである。パターン3は、電子黒板が横置き設置で、キャプチャー画面20が縦長のパターンである。パターン4は、電子黒板が縦置き設置で、キャプチャー画面20が縦長のパターンである。
【0036】
このような処理を実現するための電子黒板の機能構成を、
図6に示す。電子黒板は、キャプチャー画面20を表示する表示部を有する表示装置と、表示装置の表示部への表示を制御する表示制御装置とを含んで構成される。したがって、
図6に示す機能構成は、表示制御装置の機能構成として参照することができる。
【0037】
電子黒板は、機能部として、外部映像受信部30、映像解析部31、外部映像回転部32、設置方向検知部33、タッチパネル入力部34、データ生成部35、データ合成部36、データ出力部37を含む。なお、
図6には、キャプチャー入力部12、通信部16も示されている。
【0038】
キャプチャー入力部12で受信した映像信号は、外部映像受信部30へ入力される。通信部16により受信された映像信号も、外部映像受信部30へ入力される。キャプチャー入力部12、通信部16、外部映像受信部30は、取得手段として機能し、PCから映像信号を取得し、映像解析部31へ送信する。映像解析部31は、検出手段として機能し、映像信号の入力映像に基づき、入力映像を表示する際の表示方向を検知する。表示方向は、入力映像に含まれるマウスカーソルの矢印の向きや文字の向き等から検知することができる。
【0039】
設置方向検知部33は、方向検知センサ13により検知された検知結果に基づき、電子黒板の設置方向を検知し、外部映像回転部32およびデータ生成部35へ設置方向を通知する。外部映像回転部32は、変更手段として機能し、映像解析部31により検知された入力映像の表示方向と、設置方向検知部33により検知された電子黒板の設置方向とに基づき、
図5に示したテーブルを参照し、入力映像を正しい向きに変換する。
【0040】
データ生成部35は、筆記情報作成手段として機能し、タッチパネル入力部34が受け付けた、表示部(タッチパネルディスプレイ11)と接触した指やペン等の物体の位置としての表示部上の座標を基に筆記情報としての筆記データを生成する。また、データ生成部35は、設置方向検知部33から取得した電子黒板の設置方向に応じて、その設置方向に応じた画像レイアウトを生成する。画像レイアウトは、筆記データを表示部上に配置する箇所を示す情報である。
【0041】
データ合成部36は、生成手段として機能し、外部映像回転部32から取得した映像データに対し、画像レイアウトに基づき、筆記データを合成し、表示部となるタッチパネルディスプレイ11に表示するための出力データを生成する。データ出力部37は、出力手段として機能し、データ合成部36により生成された出力データを、タッチパネルディスプレイ11に出力する。
【0042】
これまで、外部映像入力が1つの場合について例を挙げて説明してきたが、外部映像入力は、同時に2つ以上であってもよい。以下、外部映像入力が、同時に2つ以上の場合について説明するが、説明を簡単にするため、2つの場合についてのみ説明する。
【0043】
図7は、横置き設置の電子黒板にキャプチャー画面20を2つ表示した例を示した図である。2つのキャプチャー画面20を画面A、画面Bとする。画面Aが電子黒板の設置方向と同じ横長であり、画面Bが電子黒板の設置方向とは異なる縦長であった場合、表示方向を変更しないと、
図7(a)に示すような表示となる。
【0044】
各画面A、Bの表示方向を正しい向きに変換すると、画面Aはそのままで、画面Bを時計回りに90°回転する。そして、画面A、Bのそれぞれのアスペクト比を維持しつつ、画面A、Bを出来るだけ大きく表示する。すると、
図7(b)に示す状態で表示される。
図7(b)に示す表示では、画面A、Bを同じ割合で拡大したものとはなっておらず、画面Aの方が、表示面積が大きくなっている。これは、電子黒板が横置き設置である関係で、時計回りに90°回転した画面Bの長辺方向の長さが、電子黒板の短辺方向の長さ以上の長さとすることができないため、それ以上拡大することはできないが、画面Aについては、画面Bと同じ表示面積に拡大しても、上下左右に表示されない領域が残っており、それ以上に拡大することが可能だからである。
【0045】
アスペクト比を維持しつつ出来る限り大きく表示する処理は、電子黒板がキャプチャー画面20の表示方向を認識できた段階で実施する。このため、以下のいずれのパターンでもよい。
【0046】
第1のパターンでは、
図7(a)に示すように2つの画面A、Bを一度横長として表示し、その後、正しく画面A、Bの表示方向が認識できた段階で、
図7(b)に示す表示に切り替える。
【0047】
第2のパターンでは、画面A、Bを表示する前にソフトウェア内部で画面A、Bの表示方向を自動検知し、直接、
図7(b)に示すように画面Aを横長、画面Bを縦長として表示する。
【0048】
第3のパターンでは、電子黒板が画面A、Bの表示方向の検知を誤った場合を想定し、電子黒板に表示されるアイコン等で、ユーザが明示的に操作を行い、その操作により
図7(b)に示す表示に切り替える。
【0049】
第4のパターンでは、表示方向の検知と、アスペクト比を維持しつつ出来るだけ大きく表示する処理とを別個に行う。例えば、表示方向を正しく表示し、その後、大きく表示する。
【0050】
各画面A、Bの表示方向は、各画面A、B内のマウスカーソル21の向き(矢印の向き)から判別することができる。マウスカーソル21の向きは、電子黒板内に基準となるマウスカーソルのイメージを予め保存しておき、実際のマウスカーソル21の向きと、保存されたイメージとを比較して求めることができる。また、各画面A、Bの表示方向は、マウスカーソル21のほか、各画面A、B内の文字の向きから判別してもよい。さらに、各画面A、Bの表示方向は、各画面A、B内の特定のシンボルを基に判別してもよい。電子黒板が手書き文字認識(OCR)機能を搭載している場合、OCRで認識した言語や設定を基に文字認識の精度を高め、認識された文字の向きから判別することができる。
【0051】
図7を参照して、電子黒板が横置き設置の場合について説明したが、電子黒板が縦置き設置の場合も同様の方法により2つのキャプチャー画面A、Bを表示することができる。
図8は、縦置き設置の電子黒板にキャプチャー画面20を2つ表示した例を示した図である。画面Aが横長であり、画面Bが縦長であった場合、画面Bの表示方向を変更しないと、
図8(a)に示すような表示となる。
【0052】
各画面A、Bの表示方向を正しい向きに変換すると、画面Aはそのままで、画面Bを90°回転する。そして、画面A、Bのそれぞれのアスペクト比を維持しつつ、画面A、Bを出来るだけ大きく表示する。すると、
図8(b)に示す状態で表示される。この場合、
図7(b)とは異なり、画面Bの方が、表示面積が大きくなる。
【0053】
図9は、電子黒板に2つのキャプチャー画面20を表示する際の、電子黒板の設置方向とキャプチャー画面20の表示方向とを対応付けたテーブルの例を示した図である。テーブルは、パターン1~6として設定される。
図5に示すキャプチャー画面20が1つの場合と異なり、キャプチャー画面20が2つあるので、パターンが2つ増加している。
【0054】
図9に示すように、パターン1は、電子黒板が横置き設置で、画面A、Bがいずれも横長のパターンである。パターン2は、電子黒板が横置き設置で、画面Aが横長、画面Bが縦長のパターンである。なお、画面Aが縦長、画面Bが横長の場合も、パターン2に含まれる。パターン3は、電子黒板が横置き設置で、画面A、Bがいずれも縦長のパターンである。
【0055】
パターン4は、電子黒板が縦置き設置で、画面A、Bがいずれも横長のパターンである。パターン5は、電子黒板が縦置き設置で、画面Aが横長、画面Bが縦長のパターンである。なお、画面Aが縦長、画面Bが横長の場合も、パターン5に含まれる。パターン6は、電子黒板が縦置き設置で、画面A、Bがいずれも縦長のパターンである。
【0056】
電子黒板は、各画面A、Bの表示方向を検知し、テーブル内のパターンに合致した形で表示部に表示する。なお、電子黒板は、
図9に示すテーブル内のパターンに合致した形で表示するほか、動的に各画面A、Bの表示方向を変え、各画面A、Bのアスペクト比を維持しつつ、各画面A、Bを出来るだけ大きく表示させてもよい。
【0057】
図10は、電子黒板が2つのキャプチャー画面を回転させる際の処理の流れを示したフローチャートである。電子黒板に電源が投入され、起動したところで、ステップ200から処理を開始する。
【0058】
ステップ201では、電子黒板の設置方向、すなわち縦置き設置か、横置き設置かを検知する。縦置きか、横置きかは、方向検知センサ13の検知結果から検知することができる。ここでは、電子黒板の設置方向を起動時に検知しているが、これに限定されるものではなく、動的に検知してもよい。
【0059】
ステップ202では、電子黒板がキャプチャーを開始したか否かを判断する。キャプチャーを開始していない場合、開始するまで、ステップ202の処理を繰り返す。少なくとも1つのPCから画面のキャプチャーを開始した場合、キャプチャーを開始したと判断する。キャプチャーを開始した場合、ステップ203へ進み、キャプチャー画面20を取得し、キャプチャー画面20内にマウスカーソル21があるか否かを判断する。このとき、キャプチャー画面が複数の場合、各キャプチャー画面20内にマウスカーソルがあるか否かを判断する。
【0060】
マウスカーソル21を見つけた場合、ステップ204へ進み、キャプチャー画面20を回転させ、電子黒板の設置方向と一致させる。キャプチャー画面20が複数である場合、ステップ205で、各画面が出来るだけ大きく表示できるレイアウトにする。そして、ステップ203へ戻り、次のキャプチャー画面20を取得する。
【0061】
レイアウトについては、各キャプチャー画面20の表示方向と、電子黒板の設置方向とから判断することができ、例えば
図9に示すテーブルを参照し、決定することができる。これにより、各画面は、そのレイアウトで電子黒板の表示部に表示できる最大のサイズに拡大して表示される。ここでは、最大のサイズとしたが、これに限られるものではなく、キャプチャー画面のサイズのn倍(nは2以上の整数)等であってもよい。
【0062】
一方、マウスカーソル21を見つけられなかった場合、ステップ206へ進み、デフォルトの表示方向で、電子黒板にキャプチャー画面20を表示させる。この場合も、デフォルトの表示方向でキャプチャー画面20が出来るだけ大きく拡大して表示される。そして、ステップ203へ戻り、次のキャプチャー画面20を取得する。なお、いずれの場合も、キャプチャー画面20を表示させた後、次のキャプチャー画面20を取得することを繰り返しているが、電子黒板へのPCの接続を切断した場合等、キャプチャーを終了した場合、この処理は終了する。
【0063】
複数のキャプチャー画面20を表示する電子黒板の機能構成を、
図11に示す。1つのキャプチャー画面20を表示する、
図6に示す構成と同様の機能部を有するが、その機能部の一部が、キャプチャー画面20の数に応じて複数設けられている。複数設けられる機能部は、外部映像受信部30、映像解析部31、外部映像回転部32であり、外部映像受信部30へキャプチャー画面20を入力するキャプチャー入力部12、通信部16も複数設けられる。ここでは、キャプチャー入力部12等がキャプチャー画面20の数に応じて複数設けられることを説明したが、1つのキャプチャー入力部12等が複数のキャプチャー画面20を取得するように構成されていてもよい。
【0064】
なお、各機能部が備える機能については、既に説明したので、ここではその説明は省略する。
【0065】
以上に説明してきたように、入力された複数のキャプチャー画面20を正しい向き、かつ大きく表示することが可能となる。このため、表示部に表示された複数のキャプチャー画面20の内容が見やすくなり、その内容が理解しやすくなる。
【0066】
これまで本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の構成要素を変更若しくは削除し、または本実施形態の構成要素を他の構成要素を追加するなど、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
10…CPU
11…タッチパネルディスプレイ
12…キャプチャー入力部
13…方向検知センサ
14…メモリ
15…記憶装置
16…通信部
20…キャプチャー画面
21…マウスカーソル
30…外部映像受信部
31…映像解析部
32…外部映像回転部
33…設置方向検知部
34…タッチパネル入力部
35…データ生成部
36…データ合成部
37…データ出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】