IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

2023-43170ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043170
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20230320BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20230320BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20230320BHJP
   C08F 16/32 20060101ALI20230320BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/26 511
G03F7/38 501
C08F16/32
H01L21/302 105A
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144443
(22)【出願日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0123393
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朴 仁 傑
(72)【発明者】
【氏名】周 範 俊
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
4J100
5F004
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196CA05
2H196DA01
2H196HA23
2H225AE02N
2H225AE05N
2H225AN11N
2H225AN21N
2H225AN28N
2H225AN29N
2H225AN31N
2H225AN39N
2H225AN42N
2H225BA01N
2H225CA12
4J100AE75P
4J100BC48P
4J100CA01
4J100CA23
4J100FA19
4J100JA37
5F004AA04
5F004AA16
5F004EA03
(57)【要約】
【課題】ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および前記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む、ハードマスク組成物:

上記化学式1の定義は、明細書内に記載した通りである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含むハードマスク組成物:
【化1】

上記化学式1中、
Mは、2以上のベンゼン環を含む縮合環であり、
およびMは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基であり、
~Xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、またはこれらの組み合わせであって、この際、X~Xのうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数3~30の不飽和脂環式炭化水素基であり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~30の2価の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の2価の不飽和脂肪族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
およびnは、それぞれ独立して、0以上の整数であり、この際、nおよびnは、それぞれMまたはMの価数を超えず、
pおよびqは、それぞれ独立して、0以上の整数であり、この際、p+qは1以上であるがMの価数を超えない。
【請求項2】
前記化学式1中のMは、下記グループ1から選択される少なくとも1種の環である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化2】
【請求項3】
前記化学式1中のMおよびMは、それぞれ独立して、下記グループ2から選択される置換もしくは非置換のモイエティの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化3】
【請求項4】
前記化学式1中のMは、下記グループ1-1から選択される少なくとも1種の環である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化4】
【請求項5】
前記化学式1中のMは、下記グループ1-2から選択される少なくとも1種環である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化5】
【請求項6】
前記化学式1中のMおよびMは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニレン基または置換もしくは非置換のナフタレニレン基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項7】
前記化学式2中のX~Xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであり、この際、X~Xのうちの少なくとも1つは、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、または1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項8】
前記化学式1中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項9】
前記化学式1中のnおよびnは、それぞれ独立して、0~5の整数であり、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、この際、pおよびqは同時に0ではない、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
前記化学式1中のX~Xは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであって、X~Xのうちの少なくとも1つは1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル基、または1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル基であり、
前記化学式1中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
前記化学式1中のnおよびnは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
前記化学式1中のpおよびqは、それぞれ独立して、1である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項11】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-A~化学式1-Kで表される化合物のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化6】

【化7】

【化8】

前記化学式1-A~化学式1-K中、
~Xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1-A~化学式1-Kで表される化合物は1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、または1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基を少なくとも1つ含み、
前記化学式1-A~化学式1-K中のnbおよびndは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、この際、nbおよびndが全て0である場合、XおよびXの少なくとも一方は水素原子ではない。
【請求項12】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式a~化学式cで表される化合物のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化9】
【請求項13】
前記化合物の分子量は、200g/mol~3,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項14】
前記化合物は、前記ハードマスク組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項15】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層。
【請求項17】
基板の上に材料層を形成する段階、
前記材料層の上に請求項1~15のいずれか1項に記載のハードマスク組成物を塗布する段階、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、
前記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去し前記材料層の一部を露出する段階、ならびに
前記材料層の露出された部分をエッチングする段階、
を含む、パターン形成方法。
【請求項18】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1000℃の温度で熱処理する段階を含む、請求項17に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、該ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および該ハードマスク組成物を使用するパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は、数百ナノメートル大きさのパターンから数ナノメートル~数十ナノメートルの大きさのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板の上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像を行ってフォトレジストパターンを形成した後、上記フォトレジストパターンをマスクにして材料層をエッチングする工程を含む。
【0004】
近年、形成しようとするパターンの大きさが減少するにつれて、上述の典型的なリソグラフィック技法のみでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成しにくい。この問題を解決するために、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間に、ハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を形成して、微細パターンを形成する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2010-0080140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む。
【0010】
【化1】
【0011】
上記化学式1中、
Mは、2以上のベンゼン環を含む縮合環であり、
およびMは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基であり、
~Xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、この際、X~Xのうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数3~30の不飽和脂環式炭化水素基であり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~30の2価の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の2価の不飽和脂肪族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
およびnは、それぞれ独立して、0以上の整数であり、この際、nおよびnは、それぞれMまたはMの価数を超えず、
pおよびqは、それぞれ独立して、0以上の整数であり、この際、p+qは1以上であるがMの価数を超えない。
【0012】
上記化学式1のMは、下記グループ1から選択される少なくとも1種の環であってもよい。
【0013】
【化2】
【0014】
上記化学式1中のMおよびMは、それぞれ独立して、下記グループ2から選択される置換または非置換のモイエティの少なくとも1種であってもよい。
【0015】
【化3】
【0016】
上記化学式1中のMは、下記グループ1-1から選択される少なくとも1種の環であってもよい。
【0017】
【化4】
【0018】
上記化学式1中のMは、下記グループ1-2から選択される少なくとも1種の環であってもよい。
【0019】
【化5】
【0020】
上記化学式1中のMおよびMは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニレン基または置換もしくは非置換のナフタレニレン基であってもよい。
【0021】
上記化学式1中のX~Xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであり、X~Xのうちの少なくとも1つは、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、または1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基であってもよい。
【0022】
上記化学式1中のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であってもよい。
【0023】
上記化学式1中のnおよびnは、それぞれ独立して、0~5の整数であり、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、この際、pおよびqは同時に0ではない。
【0024】
上記化学式1中のX~Xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであり、X~Xのうちの少なくとも1つは、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルケニル基、または1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~6のアルキニル基であり、L~Lは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、nおよびnは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1である。
【0025】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-A~下記化学式1-Kで表される化合物のうちの少なくとも1種であり得る。
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
上記化学式1-A~化学式1-K中、
~Xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであり、
上記化学式1-A~化学式1-Kで表される化合物は、それぞれ独立して、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、または1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基を少なくとも1つ含み、
nbおよびndは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、この際、nbおよびndが全て0である場合、XおよびXの少なくとも一方は水素原子ではない。
【0030】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式a~化学式cで表される化合物のうちの少なくとも1種であり得る。
【0031】
【化9】
【0032】
上記化学式1で表される化合物の分子量は、200g/mol~3,000g/molであってもよい。
【0033】
上記化学式1で表される化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれてもよい。
【0034】
上記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0035】
本発明の他の実施形態によれば、上述のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0036】
また、本発明の他の実施形態によれば、基板の上に材料層を形成する段階、上記材料層の上に上述のハードマスク組成物を塗布する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを用いて上記ハードマスク層を選択的に除去し上記材料層の一部を露出する段階、および上記材料層の露出された部分をエッチングする段階、を含むパターン形成方法を提供する。
【0037】
上記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1000℃の温度で熱処理する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、ハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々の異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0040】
本明細書で別途の定義がない限り、‘置換された’とは、化合物中の水素原子が、ハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、ビニル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたことを意味する。
【0041】
また、置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、または炭素数2~30のヘテロ環基のうちの隣接した2つの置換基が結合して環を形成することもできる。例えば、置換された炭素数6~30のアリール基は、隣接した他の置換された炭素数6~30のアリール基と結合して、置換または非置換のフルオレン環を形成することができる。
【0042】
本明細書で別途の定義がない限り、“ヘテロ”とは、N(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、Se(セレン原子)、およびP(リン原子)からなる群より選択されるヘテロ原子を1つ~3つ含有していることを意味する。“ヘテロ環基(heterocyclic group)”は、ヘテロアリール基を含む概念であり、これに追加してアリール基、シクロアルキル基、これらの縮合環、またはこれらの組み合わせのような環内で、炭素原子(C)の代わりにN、O、S、P、およびSi(シリコン原子)からなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含有するものを意味する。ヘテロ環基が縮合環である場合、ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1つ以上含むことができる。
【0043】
本明細書で別途の定義がない限り、“飽和脂肪族炭化水素基”は、炭素間の結合が全て単結合からなる官能基、例えば、アルキル基、またはアルキレン基を含む。
【0044】
本明細書で別途の定義がない限り、“不飽和脂肪族炭化水素基”は、炭素間の結合が1つ以上の不飽和結合、例えば、二重結合や三重結合を含む官能基、例えば、アルケニル基、アルキニル基、アルケニレン基、またはアルキニレン基を含む。
【0045】
本明細書で別途の定義がない限り、“飽和脂環式炭化水素基”は、炭素間の結合が全て単結合からなる環状の官能基、例えば、シクロアルキレン基を意味する。
【0046】
本明細書で別途の定義がない限り、“不飽和脂環式炭化水素基”は、炭素間の結合が1つ以上の不飽和結合を含む環状官能基、例えば、シクロアルケニレン基、シクロアルキニレン基を含む。
【0047】
本明細書で別途の定義がない限り、“芳香族炭化水素基”は炭化水素芳香族モイエティを1つ以上有する基を意味し、炭化水素芳香族モイエティが単結合で連結した環集合の形態と、炭化水素芳香族モイエティが直接または間接的に縮合した非芳香族縮合環の形態と、を含む。より具体的に、置換または非置換の芳香族炭化水素基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクアテルフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合した形態であってもよいが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で特別な言及がない限り、“組み合わせ”とは、混合または共重合を意味する。
【0049】
本明細書で特に言及しない限り、“分子量”は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社製の1200seriesゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を用いて測定(カラムはShodex社製LF-804、標準試料はShodex社製ポリスチレンを使用する)したものである。
【0050】
本明細書において、「Mの価数」とは、置換基Mにおける他の基と結合可能な数を表す。例えば、Mがナフタレン環の場合、価数は8である。
【0051】
半導体産業でチップの大きさを減少させる要求が絶え間なく続いている傾向にあり、これに対応するために、リソグラフィ技術においてパターニングされるレジストの線幅が、数十ナノメートルのサイズを有しなければならない。よって、レジストパターンの線幅に耐えられる高さが制限され、レジストがエッチング段階で十分な耐性を有しない場合が発生する。これを補完するために、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を使用する技術がある。
【0052】
既存のハードマスク層は、化学的または物理的蒸着法で形成したが、これは設備規模が大きく、工程単価が高くて経済性が低下する問題があった。したがって、最近、スピンコーティング法によってハードマスク層を形成する方法が開発されたが、これは、蒸着法を用いた場合に比べて、ハードマスク層の耐エッチング性が多少低下する傾向を示す。
【0053】
本発明者らは、上記のような問題を解決してより高いエッチング性と耐熱性とを有しながらも、半導体に使用される溶媒への溶解性の減少の問題を解決することができるハードマスク組成物を製造するために鋭意検討した。その結果、2つ以上のベンゼン環が縮合された環をコアとして含み、当該コアに置換された置換基の炭素含有量も増加させることによって、全体的に炭素含有量が増加しながらも、溶媒に対する溶解度が低下しないハードマスク組成物を開発した。そのハードマスク組成物から形成されたハードマスク層は、高い耐エッチング性および優れた耐熱性を有することを確認し、本発明を完成させた。
【0054】
具体的には、本発明によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む。
【0055】
【化10】
【0056】
上記化学式1中、
Mは、2以上のベンゼン環を含む縮合環であり、
およびMは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基であり、
~Xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、またはこれらの組み合わせであって、X~Xのうちの少なくとも1つは置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数3~30の不飽和脂環式炭化水素基であり、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~30の2価の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の2価の不飽和脂肪族炭化水素基、またはこれらの組み合わせであり、
およびnは、それぞれ独立して、0以上の整数であり、この際、nおよびnは、MまたはMの価数を超えず、
pおよびqは、それぞれ独立して、0以上の整数であり、この際、p+qは1以上であるが、Mの価数を超えない。
【0057】
上記のように、上記化学式1のMが、2以上のベンゼン環を含む縮合環を中心コアとして有することによって、これを含むハードマスク組成物から形成されたハードマスク層は固い特性を有することができる。
【0058】
また、上記のように、上記化学式1のX~Xが、水素原子ではない炭素を含む有機基を有すれば、上記化合物の炭素含有量が全体的に増加でき、そのような化合物を含む組成物から形成されたハードマスク層の強度と密度とが増加する効果をもたらすことができる。したがって、上記組成物から形成されたハードマスク層を含む場合、エッチングしようとする材料層に対して微細パターンを形成することがさらに容易になり得る。
【0059】
一実施形態で、上記化学式1のX~Xのうちのいずれか1つが、置換または非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基であれば、これを含むハードマスク組成物の溶媒に対する溶解度に優れ、該組成物が溶液形態に製造されてハードマスク層の形成が容易になる。
【0060】
他の一実施形態で、上記化学式1のX~Xのうちのいずれか1つが、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基であれば、溶解度に優れるだけでなく、上記組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階で上記化合物が短時間のうちに高い分子量の高分子形態に形成する架橋結合が可能である。これにより、組成物から形成されたハードマスク層は、より緻密な構造を有することによって、優れた耐エッチング性、機械的特性、耐熱特性、および耐化学性を有することができる。
【0061】
一実施形態で、上記化学式1のMは、2以上のベンゼン環を含む縮合環のうち、下記グループ1から選択される少なくとも1種の環であってもよい。
【0062】
【化11】
【0063】
他の実施形態で、上記化学式1中のMは、下記グループ1-1から選択される少なくとも1種の環であってもよく、これらに制限されない。
【0064】
【化12】
【0065】
特に、上記化学式1中のMは、下記グループ1-2から選択される少なくとも1種の環であってもよく、これらに制限されない。
【0066】
【化13】
【0067】
一実施形態で、上記化学式1のMおよびMは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素のうち、下記グループ2から選択される置換もしくは非置換のモイエティのうちの少なくとも1種であってもよい。
【0068】
【化14】
【0069】
特に、上記化学式1中のMおよびMは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニレン基または置換もしくは非置換のナフタレニレン基であってもよく、これらに制限されない。
【0070】
一実施形態で、上記化学式1中のX~Xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであってもよく、X~Xのうちの少なくとも1つは、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、または1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基であってもよい。上記化学式1中のXおよびXは、互いに同一であってもよく、異なってもよく、XおよびXは、互いに同一であってもよく、異なってもよい。
【0071】
他の実施形態で、X~Xのうちの少なくとも1つは、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~6のアルケニル基、または炭素数2~4のアルケニル基であるか、1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、炭素数2~6のアルキニル基、または炭素数2~4のアルキニル基であってもよい。
【0072】
一例として、上記X~Xのうちのいずれか1つが、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である場合、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、またはオクチル基であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基であってもよく、これらに制限されない。
【0073】
一例として、上記X~Xのうちのいずれか1つが、置換または非置換の炭素数2~20のアルケニル基である場合、1つ以上の二重結合を含む構造であってもよく、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、またはヘキセニル基であってもよく、これらに制限されない。
【0074】
一例として、上記X~Xのうちのいずれか1つが、置換または非置換の炭素数2~20のアルキニル基である場合、1つ以上の三重結合を含む構造であってもよく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、ブチニル基、ペンチニル基、またはヘキシニル基であってもよく、これらに制限されない。
【0075】
一実施形態で、上記化学式1のL~Lは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であってもよく、例えば、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基であってもよく、これらに制限されない。
【0076】
一実施形態で、上記化学式1のnおよびnは、それぞれ独立して、0~5の整数、例えば、1~3の整数、1または2の整数、または1であってもよい。
【0077】
一実施形態で、上記化学式1のpおよびqは、それぞれ独立して、0以上の整数であって、0~5の整数、例えば、0~3の整数、0~2の整数であって、または1であって、p+qは、1~10の整数であって上記Mの価数を超えず、例えば、1~5の整数、1~3の整数、1または2の整数、または2であってもよい。
【0078】
一例として、上記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-A~化学式1-Kで表される化合物のうちの少なくとも1種であり得る。
【0079】
【化15】
【0080】
【化16】
【0081】
【化17】
【0082】
上記化学式1-A~化学式1-K中、
~Xは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせであり、
上記化学式1-A~化学式1-Kで表される化合物は、それぞれ独立して、1つ以上の二重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基または1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基を少なくとも1つ含み、
nbおよびndは、それぞれ独立して、0~3の整数であり、この際、nbおよびndが全て0である場合、XおよびXの少なくとも一方は水素原子ではない。
【0083】
一例として、上記化学式1で表される化合物は、下記化学式a~化学式cで表される化合物のうちの少なくとも1種であり得る。
【0084】
【化18】
【0085】
上記化学式1で表される化合物の分子量は、200g/mol~3,000g/molであり得、例えば、200g/mol~2,500g/mol、例えば、200g/mol~2,000g/mol、例えば、200g/mol~1,500g/mol、例えば、300g/mol~1,000g/molの分子量を有することができ、これらに制限されない。上記範囲の分子量を有することによって、上記化合物を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0086】
上記化学式1で表される化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれてもよい。当該含有量は、例えば、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1.5質量%~25質量%、例えば、2質量%~20質量%であってもよく、これらに制限されない。当該含有量が上記範囲であれば、ハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化の程度などを容易に調節することができる。
【0087】
なお、上記化合物は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0088】
本発明によるハードマスク組成物は、溶媒を含むことができる。当該溶媒は、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、またはエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができ、これらに制限されない。溶媒は、上記化合物に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば、特に制限されない。
【0089】
本発明のハードマスク組成物は、追加的に、界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0090】
界面活性剤の例としては、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第四級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに制限されない。
【0091】
架橋剤の例としては、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2つの架橋形成置換基を有する架橋剤であって、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0092】
また、架橋剤として、耐熱性の高い架橋剤を使用することができる。耐熱性の高い架橋剤としては、分子内に芳香環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0093】
熱酸発生剤の例としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物、および/または2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレートが挙げられ、その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに制限されない。
【0094】
本発明の他の実施形態によれば、上述のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0095】
以下、上述のハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0096】
本発明によるパターン形成方法は、基板の上に材料層を形成する段階、上記材料層の上に上述の化合物および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを用いて上記ハードマスク層を選択的に除去し上記材料層の一部を露出する段階、ならびに上記材料層の露出された部分をエッチングする段階を含む。
【0097】
上記基板は、例えば、シリコンウェーハ、ガラス基板、または高分子基板であってもよい。
【0098】
上記材料層は、最終的にパターニングしようとする材料であり、例えば、アルミニウム、銅などの金属層;シリコンなどの半導体層;または酸化ケイ素、窒化ケイ素などの絶縁層であってもよい。該材料層は、例えば、化学気相蒸着法で形成することができる。
【0099】
上記ハードマスク組成物は前述の通りであり、溶液形態に製造されてスピンコーティング法で塗布することができる。この際、組成物の塗布厚さは、特に限定されないが、例えば、50~200,000Åの厚さで塗布することができる。
【0100】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃の温度で10秒~1時間行うことができる。
【0101】
一例として、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0102】
一実施形態で、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃の温度で、10秒~1時間行われる1つの熱処理段階を含むことができ、一例として、熱処理段階は、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、または酸素濃度が1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0103】
一実施形態で、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、100℃~400℃の温度で、10秒~1時間行われる1次熱処理段階を含み、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~800℃の温度で、10秒~1時間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。一例として、上記1次および2次熱処理段階は、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0104】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも1つの段階を200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続の工程で曝露されるエッチングガスおよび化学液に耐えられる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0105】
一実施形態で、上記ハードマスク層を形成する段階は、紫外光/可視光(UV/Vis)硬化段階および/または近赤外光(near IR)硬化段階を含むことができる。
【0106】
一実施形態で、上記ハードマスク層を形成する段階は、1次熱処理段階、2次熱処理段階、UV/Vis硬化段階、およびnear IR硬化段階のうちの少なくとも1つの段階を含むか、2つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0107】
一実施形態で、本発明のパターン形成方法は、上記ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。シリコン含有薄膜層は、例えば、SiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiO、および/またはSiNなどの物質から形成することができる。
【0108】
一実施形態で、上記フォトレジスト層を形成する段階の前に、シリコン含有薄膜層の上部またはハードマスク層の上部に、底反射防止層(bottom anti-reflective coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0109】
一実施形態で、上記フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArFエキシマレーザー光、KrFエキシマレーザー光、または極端紫外線(EUV)などを使用して行うことができる。また、露光後、100~700℃の温度で熱処理工程を行うことができる。
【0110】
一実施形態で、上記材料層の露出された部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができる。エッチングガスとしては、例えば、N/O、CHF、CF、Cl、BCl、およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0111】
エッチングされた材料層は、複数のパターンに形成することができ、この複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様であり、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンに適用することができる。
【実施例0112】
以下、実施例を通じて前述の本発明の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0113】
[比較合成例]
(比較合成例1)
第1段階:フリーデルクラフツアシル化反応(Friedel-Craft Acylation)
フラスコに、コロネン50.0g(0.166mol)、4-メトキシベンゾイルクロリド 28.4g(0.166mol)、2-ナフトイルクロリド 31.6g(0.166mol)および1,2-ジクロロエタン 235gを添加して溶液を準備した。次に、得られた溶液にアルミニウムクロリド 44.4g(0.332mol)を常温で徐々に添加した後、60℃に昇温して8時間攪拌した。反応が完結した後、溶液にメタノールを添加して形成された沈殿をろ過して、4-メトキシベンゾイル-2-ナフチルコロネンを得た。
【0114】
第2段階:脱メチル化反応(demethylation)
フラスコに、上記第1段階で得られた4-メトキシベンゾイル-2-ナフチルコロネン 68.2g(0.115mol)、1-ドデカンチオール 58.2g(0.288mol)、水酸化カリウム 19.4g(0.345mol)およびN,N-ジメチルホルムアミド 191gを添加した後、120℃で8時間攪拌した。次に、得られた混合物を冷却し、10質量%塩化水素溶液でpH7程度に中和した後、酢酸エチルで抽出して、4-ヒドロキシ-2-ナフチルベンゾイルコロネンを得た。
【0115】
第3段階:還元反応(reduction)
フラスコに、上記第2段階で得られた4-ヒドロキシ-2-ナフチルベンゾイルコロネン 34.4g(0.0595mol)とテトラヒドロフラン 145gとを添加して溶液を準備した。この溶液に水素化ホウ素ナトリウム水溶液 11.3g(0.297mol)を徐々に添加して、24時間常温で攪拌した。反応が完結した後、10質量%塩化水素溶液でpH7程度に中和した後、酢酸エチルで抽出して、下記化学式2で表される化合物を得た。
【0116】
【化19】
【0117】
(比較合成例2)
第1段階:フリーデルクラフツアシル化反応(Friedel-Craft Acylation)
フラスコに、コロネン 50.0g(0.166mol)、ベンゾイルクロリド 46.8g(0.333mol)、および1,2-ジクロロエタン330gを添加して溶液を準備した。得られた溶液に、アルミニウムクロリド 44.4g(0.333mol)を常温で徐々に添加した後、60℃に昇温して8時間攪拌した。反応が完結した後、溶液にメタノールを添加して形成された沈殿をろ過して、二重に置換されたベンゾイルコロネンを得た。
【0118】
第2段階:還元(reduction)反応
フラスコに、上記第1段階で得られた二重に置換されたベンゾイルコロネン 25.0g(0.0492mol)、およびテトラヒドロフラン 174gを添加して溶液を準備した。得られた溶液に、水素化ホウ素ナトリウム水溶液 18.6g(0.492mol)を徐々に添加して24時間常温で攪拌した。反応が完結した後、10質量%塩化水素溶液でpH7程度に中和し、酢酸エチルで抽出して、下記化学式3で表される化合物を得た。
【0119】
【化20】
【0120】
(比較合成例3)
第1段階:フリーデルクラフツアシル化反応(Friedel-Craft Acylation)
フラスコに、テレフタロイルクロリド 33.7g(0.166mol)、メトキシピレン 77.3g(0.333mol)、および1,2-ジクロロエタン330gを添加して溶液を準備した。得られた溶液に、アルミニウムクロリド 44.4g(0.333mol)を常温で徐々に添加した後、60℃に昇温して8時間攪拌した。反応が完結した後、溶液にメタノールを添加して形成された沈殿をろ過して、二重に置換されたベンゾイルピレンを得た。
【0121】
第2段階:還元(reduction)反応
フラスコに、上記第1段階で得られた二重に置換されたベンゾイルピレン 29.2g(0.0492mol)、およびテトラヒドロフラン 174gを添加して溶液を準備した。得られた溶液に、水素化ホウ素ナトリウム水溶液 18.6g(0.492mol)を徐々に添加して24時間常温で攪拌した。反応が完結した後、10質量%塩化水素溶液でpH7程度に中和し、酢酸エチルで抽出して、下記化学式4で表される化合物を得た。
【0122】
【化21】
【0123】
[合成例]
(合成例1)
上記比較合成例1で製造された上記化学式2で表される4-((1-ジヒドロコロネン-1-イル)ヒドロキシメチル)フェノール 25g(0.04mol)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)125gをフラスコに添加して、溶液を準備した。得られた溶液に、KCO 16.9g(0.12mol)、および臭化アリル 14.8g(0.12mol)を徐々に添加して、70℃で24時間攪拌した。反応が完結した後、10質量%塩化水素溶液でpH7程度に中和し、酢酸エチルで抽出して、下記化学式aで表される化合物を得た(Mw=698.8g/mol)。
【0124】
【化22】
【0125】
(合成例2)
臭化アリルの代わりに、臭化プロパルギル 14.3g(0.12mol)を使用したことを除いでは、合成例1と同様にして、下記化学式bで表される化合物を得た(Mw=692.8g/mol)。
【0126】
【化23】
【0127】
(合成例3)
コロネン 50.0g(0.166mol)の代わりに、ベンゾペリレン 45.9g(0.166mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で、下記化学式cで表される化合物を得た(Mw=674.8g/mol)。
【0128】
【化24】
【0129】
[ハードマスク組成物の製造]
(実施例1)
上記合成例1で得られた化合物 2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate、PGMEA)およびシクロヘキサノン(cyclohexanone)が7対3の質量比で混合された溶媒10gに溶かし、これを0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターでろ過してハードマスク組成物を製造した。
【0130】
(実施例2)
合成例1で得られた化合物の代わりに、上記合成例2で得られた化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0131】
実施例3
合成例1で得られた化合物の代わりに、上記合成例3で得られた化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0132】
(比較例1)
合成例1で得られた化合物の代わりに、上記比較合成例1で得られた化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0133】
(比較例2)
合成例1で得られた化合物の代わりに、上記比較合成例2で得られた化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0134】
(比較例3)
合成例1で得られた化合物の代わりに、上記比較合成例3で得られた化合物を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0135】
[評価1:溶解度評価]
実施例1~3および比較例1~3によるハードマスク組成物を、低温(3℃以下)で3ヶ月間保管して析出量を観察した。
【0136】
溶液内で固形分が析出されず肉眼で確認できない場合、溶解度に優れる。溶液内で固形分が析出された場合を「有」、析出されない場合は「無」と記載した。
【0137】
【表1】
【0138】
上記表1を参照すれば、実施例1~3による組成物は、比較例1~3の組成物と比較して、より向上した溶解度を示すことを確認することができる。
【0139】
[評価2:耐エッチング性評価]
実施例1~3および比較例1~3による固形分濃度13質量%のハードマスク組成物を、シリコンウェーハの上にスピンコーティング法で塗布した後、300℃のホットプレートで2分間熱処理した。その後、窒素雰囲気下、500~600℃で2分間熱処理して薄膜を形成した。K-MAC社製の薄膜厚さ測定器で薄膜の厚さ(初期薄膜厚さ)を測定した。次に、薄膜に、N/O混合気体を使用して、60秒間乾式エッチングした後、薄膜の厚さ(エッチング後薄膜厚さ)を測定し、この結果からエッチング率を計算した。乾式エッチング前後の有機膜の厚さ差とエッチング時間とから、下記計算式1によってエッチング率(bulk etch rate、BER)を計算した。計算結果は下記表2の通りである。
【0140】
【数1】
【0141】
【表2】
【0142】
上記表2を参照すれば、実施例1~3によるハードマスク組成物から形成された薄膜は、比較例1~3によるハードマスク組成物から形成された薄膜と比較して、エッチング率が低いことが分かる。このことから、実施例1~3によるハードマスク組成物は、比較例1~3によるハードマスク組成物と比較して、薄膜の架橋度が高くて耐エッチング性が高いことが分かる。