(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043193
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】有機金属付加化合物及びそれを用いた集積回路素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 9/00 20060101AFI20230320BHJP
C07D 213/61 20060101ALI20230320BHJP
C07D 213/16 20060101ALI20230320BHJP
C07D 213/26 20060101ALI20230320BHJP
C23C 16/18 20060101ALI20230320BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230320BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
C07F9/00 Z CSP
C07D213/61
C07D213/16
C07D213/26
C23C16/18
H01L27/04 C
H01L21/285 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147469
(22)【出願日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0123465
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】柳 承旻
(72)【発明者】
【氏名】金 潤洙
(72)【発明者】
【氏名】金 在員
(72)【発明者】
【氏名】原野 一樹
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 和也
(72)【発明者】
【氏名】小出 幸宜
(72)【発明者】
【氏名】青木 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】朴 圭熙
(72)【発明者】
【氏名】▲ちょう▼ 侖廷
(72)【発明者】
【氏名】布施 若菜
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】内生蔵 広幸
(72)【発明者】
【氏名】木村 将之
(72)【発明者】
【氏名】吉井 崇洋
【テーマコード(参考)】
4C055
4H050
4K030
4M104
5F038
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA01
4C055BA03
4C055BA39
4C055CA01
4C055CA02
4C055CA06
4C055CA13
4C055CA39
4C055DA01
4C055DA06
4C055DA13
4C055GA02
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB78
4K030BA61
4K030EA01
4M104AA01
4M104AA02
4M104AA03
4M104AA04
4M104AA05
4M104BB13
4M104BB17
4M104DD43
4M104HH13
5F038AC02
5F038AC05
5F038AC10
5F038AC15
5F038DF05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有機金属付加化合物及びそれを用いた集積回路素子の製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式の有機金属付加化合物。
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換のC1-C5の直鎖状アルキル基、置換または非置換のC3-C5の分岐状アルキル基、置換または非置換のC2-C5の直鎖状アルケニル基、または置換または非置換のC3-C5の分岐状アルケニル基であり、Xは、ハロゲン原子であり、Mは、ニオブ原子またはタンタル原子である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)の有機金属付加化合物。
【化5】
化(I)において、
R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換のC1-C5の直鎖状アルキル基、置換または非置換のC3-C5の分岐状アルキル基、置換または非置換のC2-C5の直鎖状アルケニル基、または置換または非置換のC3-C5の分岐状アルケニル基であり、
Xは、ハロゲン原子であり、
Mは、ニオブ原子またはタンタル原子である。
【請求項2】
R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、ハロゲン原子を含む、請求項1に記載の有機金属付加化合物。
【請求項3】
R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基である、請求項1に記載の有機金属付加化合物。
【請求項4】
R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択される1つは、水素原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択される他の1つは、フッ素原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択されるさらに他の1つは、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基である、請求項1に記載の有機金属付加化合物。
【請求項5】
R1及びR2のうち、少なくとも1つは、フッ素原子である、請求項1に記載の有機金属付加化合物。
【請求項6】
Mは、ニオブ原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、ハロゲン原子である、請求項1に記載の有機金属付加化合物。
【請求項7】
Xは、フッ素原子または塩素原子であり、
Mは、ニオブ原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子である、請求項1に記載の有機金属付加化合物。
【請求項8】
Mは、ニオブ原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基である、請求項1に記載の有機金属付加化合物。
【請求項9】
Mは、タンタル原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基である、請求項1に記載の有機金属付加化合物。
【請求項10】
Xは、フッ素原子または塩素原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子を含む、請求項1に記載の有機金属付加化合物。
【請求項11】
Xは、フッ素原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基である、請求項1に記載の有機金属付加化合物。
【請求項12】
下記一般式(I)の有機金属付加化合物を使用して基板上に金属含有膜を形成する段階を含む、集積回路素子の製造方法。
【化6】
化(I)において、
R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換のC1-C5の直鎖状アルキル基、置換または非置換のC3-C5の分岐状アルキル基、置換または非置換のC2-C5の直鎖状アルケニル基、または置換または非置換のC3-C5の分岐状アルケニル基であり、
Xは、ハロゲン原子であり、
Mは、ニオブ原子またはタンタル原子である。
【請求項13】
化(I)において、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、ハロゲン原子を含む、請求項12に記載の集積回路素子の製造方法。
【請求項14】
化(I)において、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基である、請求項12に記載の集積回路素子の製造方法。
【請求項15】
化(I)において、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択される1つは、水素原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択される他の1つは、フッ素原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択されるさらに他の1つは、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基である、請求項12に記載の集積回路素子の製造方法。
【請求項16】
化(I)において、
R1及びR2のうち、少なくとも1つは、フッ素原子である、請求項12に記載の集積回路素子の製造方法。
【請求項17】
化(I)において、
Xは、フッ素原子または塩素原子であり、
Mは、ニオブ原子であり、
R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子である、請求項12に記載の集積回路素子の製造方法。
【請求項18】
前記金属含有膜を形成する段階は、
前記一般式(I)の有機金属付加化合物を前記基板上に供給する段階と、
反応性ガスを前記基板上に供給する段階と、を含む、請求項12に記載の集積回路素子の製造方法。
【請求項19】
前記反応性ガスは、NH3、N2プラズマ、有機アミン化合物、ヒドラジン化合物(hydrazine compound)、またはこれらの組合わせのうちから選択される、請求項12に記載の集積回路素子の製造方法。
【請求項20】
化(I)において、Mは、ニオブ原子であり、
前記金属含有膜を形成する段階でNbN膜を形成する段階を含む、請求項12に記載の集積回路素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機金属付加化合物及びそれを用いた集積回路素子の製造方法に係り、詳細には、金属としてニオブまたはタンタルを含む有機金属付加化合物及びそれを用いた集積回路素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発達によって、最近、半導体素子のダウンスケーリング(down-scaling)が急速に進行しており、それにより、電子素子を構成するパターンが微細化されつつある。それにより、集積回路素子の製造に必要な金属含有膜の形成時、優秀な埋込み特性及び優秀なステップカバレッジ(step coverage)特性を提供し、取り扱いが容易であり、工程安定性及び量産性側面で有利な金属含有膜形成用原料化合物の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の技術的思想が解決しようとする技術的課題は、集積回路素子の製造に必要な金属含有膜の形成時に優秀な熱安定性、工程安定性、及び量産性を提供することができる原料化合物として使用されうる化合物を提供することである。
【0004】
本発明の技術的思想が解決しようとする他の技術的課題は、優秀な工程安定性及び量産性を提供することができる化合物を用いて品質に優れた金属含有膜を形成することで所望の電気的特性を提供することができる集積回路素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的思想による一様態による有機金属付加化合物は、下記一般式(I)で表される。
【0006】
【化1】
化(I)において、
R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換のC1-C5の直鎖状アルキル基、置換または非置換のC3-C5の分岐状アルキル基、置換または非置換のC2-C5の直鎖状アルケニル基、または置換または非置換のC3-C5の分岐状アルケニル基であり、
Xは、ハロゲン原子であり、
Mは、ニオブ原子またはタンタル原子である。
【0007】
本発明の技術的思想による一様態による集積回路素子の製造方法では、一般式(I)の有機金属付加化合物を使用して基板上に金属含有膜を形成する段階を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の技術的思想による化合物は、ピリジン系の有機金属付加化合物からなるものであって、蒸着工程に使用されるのに十分な揮発性を示し、融点が比較的低く、蒸気圧が比較的高く、取り扱い及び輸送が容易であり、高品質の金属含有膜を生産性高く形成しうる。また、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物は、CVD(chemical vapor deposition)工程またはALD(atomic layer deposition)工程を用い、形成しようとする金属含有膜内に炭素残渣のような所望しない異物が残留する現象が抑制され、良質の低抵抗の金属含有膜形成用原料として好適に使用され、集積回路素子の製造工程の生産性を向上させうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図2】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法によって金属含有膜を形成するための例示的な方法を具体的に説明するためのフローチャートである。
【
図3A】本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法で金属含有膜を形成する工程に使用される例示的な蒸着装置の構成を概略的に示す図面である。
【
図3B】本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法で金属含有膜を形成する工程に使用される例示的な蒸着装置の構成を概略的に示す図面である。
【
図3C】本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法で金属含有膜を形成する工程に使用される例示的な蒸着装置の構成を概略的に示す図面である。
【
図3D】本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法で金属含有膜を形成する工程に使用される例示的な蒸着装置の構成を概略的に示す図面である。
【
図4A】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するために工程順序によって示す断面図である。
【
図4B】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するために工程順序によって示す断面図である。
【
図4C】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するために工程順序によって示す断面図である。
【
図4D】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するために工程順序によって示す断面図である。
【
図4E】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するために工程順序によって示す断面図である。
【
図4F】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するために工程順序によって示す断面図である。
【
図4G】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するために工程順序によって示す断面図である。
【
図4H】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するために工程順序によって示す断面図である。
【
図4I】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するために工程順序によって示す断面図である。
【
図4J】本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するために工程順序によって示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。図面上の同じ構成要素に対しては、同じ参照符号を付し、それらについての重複説明は省略する。
【0011】
本明細書で使用される用語「基板」は、基板自体、または、基板とその表面に形成された所定の層または膜などを含む積層構造体を意味する。また、本明細書において「基板の表面」とは、基板そのものの露出表面、または、基板上に形成された所定の層または膜などの外側表面を意味する。本明細書で使用される略語「Me」は、メチル基を指称し、略語「Et」は、エチル基を指称し、略語「nPr」は、ノルマルプロピル基を指称し、略語「tBu」は、tert-ブチル基(1,1-ジメチルエチル基)を指称する。本明細書で使用される用語「常温」は、約20℃~28℃であり、季節によって異なる。
【0012】
本発明の技術的思想による有機金属付加化合物は、ピリジン誘導体が付加物(adduct)の形態に配位金属化合物に結合されている構造を有する。本発明の技術的思想による有機金属付加化合物は、下記一般式(I)で表される。
【0013】
【化2】
化(I)において、
R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換のC1-C5の直鎖状アルキル基、置換または非置換のC3-C5の分岐状アルキル基、置換または非置換のC2-C5の直鎖状アルケニル基、または置換または非置換のC3-C5の分岐状アルケニル基であり、
Xは、ハロゲン原子であり、
Mは、ニオブ原子またはタンタル原子である。
【0014】
例示的な実施例において、一般式(I)においてR1、R2、R3、R4、及びR5は、それぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、3-ペンチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基、トリフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ジメチルトリフルオロエチル基、(トリフルオロメチル)テトラフルオロエチル基、またはノナフルオロ-tert-ブチル基でもある。
【0015】
例示的な実施例において、一般式(I)において、Xは、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子でもある。Xがフッ素原子または塩素原子である場合、一般式(I)の有機金属付加化合物の融点が比較的低くなり、前記有機金属付加化合物の蒸気圧が比較的高くなる。
【0016】
例示的な実施例において、一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、ハロゲン原子を含んでもよい。
【0017】
他の例示的な実施例において、一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基でもある。
【0018】
さらに他の例示的な実施例において、一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択される1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択される他の1つは、フッ素原子であり、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択されるさらに他の1つは、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基でもある。
【0019】
さらに他の例示的な実施例において、一般式(I)において、R1及びR2のうち、少なくとも1つは、フッ素原子でもある。
【0020】
さらに他の例示的な実施例において、一般式(I)において、Mは、ニオブ原子であり、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、ハロゲン原子でもある。
【0021】
さらに他の例示的な実施例において、一般式(I)において、Xは、フッ素原子または塩素原子であり、Mは、ニオブ原子であり、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子でもある。
【0022】
さらに他の例示的な実施例において、一般式(I)において、Mは、ニオブ原子であり、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基でもある。
【0023】
さらに他の例示的な実施例において、一般式(I)において、Mは、タンタル原子であり、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基でもある。
【0024】
さらに他の例示的な実施例において、一般式(I)において、Xは、フッ素原子または塩素原子であり、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子を含んでもよい。
【0025】
さらに他の例示的な実施例において、一般式(I)において、Xは、フッ素原子であり、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、フッ素原子で置換されたC1-C5の直鎖状アルキル基、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルキル基、フッ素原子で置換されたC2-C5の直鎖状アルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC3-C5の分岐状アルケニル基でもある。
【0026】
例示的な実施例において、一般式(I)において、Mは、ニオブ原子またはタンタル原子であり、Xは、フッ素原子または塩素原子でもある。
【0027】
例示的な実施例において、高品質の薄膜を優秀な生産性で形成するために、一般式(I)において、Mがニオブ原子である場合、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、ハロゲン原子、C1-C3のアルキル基、C2-C3のアルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC1-C3のアルキル基でもある。例えば、一般式(I)において、Mがニオブ原子である場合、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち、少なくとも1つは、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロエチル基でもある。
【0028】
他の例示的な実施例において、高品質の薄膜を優秀な生産性で形成するために、一般式(I)において、Mがニオブ原子である場合、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択される2~4個は、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択される1~3個は、ハロゲン原子、C1-C5のアルキル基、C2-C5のアルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC1-C5のアルキル基でもある。例えば、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択される3~4個は、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、及びR5のうちから選択される1~2個は、ハロゲン原子、C1-C5のアルキル基、C2-C5のアルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC1-C5のアルキル基でもある。一例において、R1、R3、R4、及びR5は、水素原子であり、R2は、ハロゲン原子、C1-C5のアルキル基、C2-C5のアルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC1-C5のアルキル基でもある。他の例において、R2、R3、及びR4は、水素原子であり、R1及びR5は、ハロゲン原子、C1-C5のアルキル基、C2-C5のアルケニル基、または、フッ素原子で置換されたC1-C5のアルキル基でもある。
【0029】
本発明の技術的思想による有機金属付加化合物は、ピリジン誘導体が付加物の形態に配位金属化合物に結合されている構造を有するものであって、優秀な熱安定性を提供することができる。これにより、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物がCVD(chemical vapor deposition)工程またはALD(atomic layer deposition)工程による金属含有膜の形成時、金属の前駆体として使用されるとき、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物が保管容器から反応チャンバまで運送される間に熱によって分解されず、安定して運送される。また、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物が金属含有膜形成のための蒸着反応チャンバに移送されたときには、反応チャンバ内の工程温度によって容易に分解されて金属含有膜形成のための表面反応に影響を与えない。したがって、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物を使用して金属含有膜を形成するとき、形成しようとする金属含有膜内に炭素残渣のような所望しない異物が残留する現象が抑制されて良質の低抵抗の金属含有膜形成用原料として好適に使用され、集積回路素子の製造工程の生産性を向上させうる。
【0030】
本発明の技術的思想による実施例による有機金属付加化合物の具体的な例は、次の式(Formula)1ないし式456で表示されうる。
【0031】
【化3】
本発明の技術的思想による実施例による有機金属付加化合物を合成する方法は、特に制限されず、周知の反応を応用して合成されうる。例えば、ジクロロメタン溶媒下において、NbF
5(V)、NbCl
5(V)、TaF
5(V)、または、TaCl
5(V)と、合成しようとする最終構造に対応する構造のピリジン化合物とを反応させた後、得られた溶液から溶剤を除去して蒸留精製し、一般式(I)のニオブ化合物またはタンタル化合物が得られる。
【0032】
本発明の技術的思想による実施例による有機金属付加化合物は、CVD工程またはALD工程に適した原料として使用される。
【0033】
図1は、本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0034】
【0035】
前記基板は、シリコン、セラミック、ガラス、金属、金属窒化物、またはそれらの組合わせからなる。前記セラミックは、シリコン窒化物、窒化チタン、窒化タンタル、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、またはそれらの組合わせを含んでもよい。前記金属及び前記金属窒化物は、それぞれTi、Ta、Co、Ru、Zr、Hf、La、またはそれらの組合わせを含んでもよいが、それらに限定されるものではない。前記基板の表面は、平板状、球状、繊維状、または鱗片状(scalelike)を有する。または、前記基板の表面は、トレンチ構造のような3次元構造を有してもよい。
【0036】
例示的な実施例において、前記基板は、
図4Aを参照して、基板310について後述するところのような構成を有する。
【0037】
図1の工程P20において、一般式(I)の有機金属付加化合物を含む金属含有膜形成用原料を使用して前記基板上に金属含有膜を形成する。
【0038】
前記金属含有膜形成用原料は、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物を含んでもよい。例示的な実施例において、前記金属含有膜形成用原料は、式1~式324で表示される有機金属付加化合物のうち、少なくとも1つの有機金属付加化合物を含んでもよい。
【0039】
前記金属含有膜形成用原料は、形成しようとする薄膜によって異なる。例示的な実施例において、形成しようとする金属含有膜は、ニオブ含有膜またはタンタル含有膜からなる。前記ニオブ含有膜を形成する場合、前記金属含有膜形成用原料として、一般式(I)の有機金属付加化合物においてMは、ニオブ原子を使用することができる。前記タンタル含有膜を形成する場合、前記金属含有膜形成用原料として、一般式(I)の有機金属付加化合物においてMは、タンタル原子を使用することができる。
【0040】
例示的な実施例において、形成しようとする金属含有膜が金属原子としてニオブ原子のみを含むか、タンタル原子のみを含む場合、前記金属含有膜形成用原料は、一般式(I)で表されるニオブ化合物またはタンタル化合物以外の他の金属化合物及び半金属化合物を含まない。
【0041】
他の例示的な実施例において、形成しようとする金属含有膜は、ニオブまたはタンタル以外に追加的に他の金属をさらに含んでもよい。例えば、形成しようとする金属含有膜がニオブまたはタンタル以外に他の金属または半金属をさらに含む膜である場合、前記金属含有膜形成用原料は、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物に加えて所望の前記金属または半金属を含む化合物(以下、「他の前駆体」と称する)を含んでもよい。さらに他の例示的な実施例において、前記金属含有膜形成用原料は、本発明の技術的思想による実施例による有機金属付加化合物以外に、有機溶剤、または求核性試薬をさらに含んでもよい。
【0042】
図1の工程P20によって金属含有膜を形成するために、CVD工程またはALD工程を利用する。本発明の技術的思想による有機金属付加化合物を含む金属含有膜形成用原料は、CVD工程またはALD工程のような化学蒸着工程に好適に使用される。
【0043】
前記金属含有膜形成用原料が化学気相蒸着工程に使用されるとき、前記金属含有膜形成用原料の組成は、その輸送供給方法によって適切に選択されうる。前記原料輸送方法として、気体輸送法及び液体輸送法がある。前記気体輸送法では、金属含有膜形成用原料が保存された容器(以下、「原料容器」と称する)内で加熱あるいは減圧によって前記原料を気化させて蒸気状態にし、蒸気状態の原料を必要によって使用されるアルゴン、窒素、ヘリウムのようなキャリアガス(carrier gas)と共に、基板が置かれたチャンバ内部(以下、「堆積反応部」とも称する)に導入することができる。前記液体輸送法では、前記原料を液体または、溶液の状態で気化室まで輸送し、前記気化室で加熱及び/または減圧によって気化させて蒸気にした後、該蒸気をチャンバ内部に導入することができる。
【0044】
図1の工程P20によって金属含有膜を形成するために、前記気体輸送法を利用する場合、一般式(I)の有機金属付加化合物そのものを、金属含有膜形成用原料として使用することができる。
図1の工程P20によって金属含有膜を形成するために、前記液体輸送法を利用する場合には、一般式(I)の有機金属付加化合物そのもの、または、一般式(I)の有機金属付加化合物を有機溶剤に溶かした溶液を金属含有膜形成用原料として使用することができる。前記金属含有膜形成用原料は、他の前駆体、求核性試薬などをさらに含んでもよい。
【0045】
例示的な実施例において、本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法によって金属含有膜を形成するために、多成分系化学蒸着法を利用することができる。前記多成分系化学蒸着法では、金属含有膜形成用原料を各成分別に独立して気化させて供給する方法(以下、「シングルソース法(single source method)」とも記載する)、または多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化させて供給する方法(以下、「カクテルソース法(cocktail source method)」とも記載する)を利用することができる。前記カクテルソース法を利用する場合、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物と他の前駆体との混合物、または、前記混合物を有機溶剤に溶解させた混合溶液を金属含有膜形成用原料として使用することができる。前記混合物または、前記混合溶液は、求核性試薬をさらに含んでもよい。
【0046】
前記有機溶剤の種類は、特に制限されず、当該技術分野で知られている有機溶剤を使用することができる。例えば、前記有機溶剤として、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシ酢酸エチルのような酢酸エステル類(acetic esters);テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、テトラヒドロピラン(tetrahydropyran)、エチレングリコールジメチルエーテル(ethylene glycol dimethyl ether)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(triethylene glycol dimethyl ether)、ジブチルエーテル(dibutyl ether)のようなエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンのようなケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン(methylcyclohexane)、ジメチルシクロヘキサン(dimethylcyclohexane)、エチルシクロヘキサン(ethylcyclohexane)、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレンのような炭化水素類;1-シアノプロパン(1-cyanopropane)、1-シアノブタン(1-cyanobutane)、1-シアノヘキサン(1-cyanohexane)、シアノシクロヘキサン(cyanocyclohexane)、シアノベンゼン(cyanobenzene)、1,3-ジシアノプロパン(1,3-dicyanopropane)、1,4-ジシアノブタン(1,4-dicyanobutane)、1,6-ジシアノヘキサン(1,6-dicyanohexane)、1,4-ジシアノシクロヘキサン(1,4-dicyanocyclohexane)、1,4-ジシアノベンゼン(1,4-dicyanobenzene)のようなシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン(pyridine);ルチジン(lutidine)などを使用しうる。前記例示された有機溶剤は、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係などを考慮して、単独または少なくとも2種の混合溶媒として使用することができる。
【0047】
本発明の技術的思想による有機金属付加化合物を含む前記金属含有膜形成用原料に有機溶媒が含まれる場合、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物及び他の前駆体の総量は、前記有機溶剤内において約0.01mol/L~2.0mol/L、例えば、約0.05mol/L~1.0mol/Lの量で含まれうる。ここで、金属含有膜形成用原料が本発明の技術的思想による有機金属付加化合物以外の他の金属化合物及び半金属化合物を含まない場合には、前記総量は、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物の量であり、前記金属含有膜形成用原料が本発明の技術的思想による有機金属付加化合物以外に他の金属化合物または半金属化合物、すなわち他の前駆体をさらに含む場合には、前記総量は、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物の量と前記他の前駆体の量との和である。
【0048】
本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法によって金属含有膜を形成するために、前記多成分系化学蒸着法を利用する場合、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物と共に使用される他の前駆体の種類は、特に制限されず、金属含有膜形成用原料として使用されている周知の他の前駆体を使用してもよい。
【0049】
例示的な実施例において、本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法によって金属含有膜を形成するのに使用されうる他の前駆体は、アルコール(alcohol)化合物、グリコール(glycol)化合物、β-ジケトン(β-diketone)化合物、シクロペンタジエン(cyclopentadiene)化合物、及び有機アミン(organicamine)化合物のうちから選択される少なくとも1つの有機配位化合物(organic coordination compound)、シリコン化合物、または金属化合物を含んでもよい。
【0050】
前記他の前駆体は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルル(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテニウム(Ru)、ルテチウム(Lu)などの元素を含んでもよいが、本発明の技術的思想が前記例示された元素に限定されるものではない。
【0051】
前記他の前駆体の有機リガンドを有するアルコール化合物の例として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコールのようなアルキルアルコール類;2-メトキシエタノール(2-methoxyethanol)、2-エトキシエタノール(2-ethoxyethanol)、2-ブトキシエタノール(2-butoxyethanol)、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール(2-(2-methoxyethoxy)ethanol)、2-メトキシ-1-メチルエタノール(2-methoxy-1-methylethanol)、2-メトキシ-1,1-ジメチルエタノール(2-methoxy-1,1-dimethylethanol)、2-エトキシ-1,1-ジメチルエタノール(2-ethoxy-1,1-dimethylethanol)、2-イソプロポキシ-1,1-ジメチルエタノール(2-isopropoxy-1,1-dimethylethanol)、2-ブトキシ-1,1-ジメチルエタノール(2-butoxy-1,1-dimethylethanol)、2-(2-メトキシエトキシ)-1,1-ジメチルエタノール(2-(2-methoxyethoxy)-1,1-dimethylethanol)、2-プロポキシ-1,1-ジエチルエタノール(2-propoxy-1,1-diethylethanol)、2-sec-ブトキシ-1,1-ジエチルエタノール(2-sec-butoxy-1,1-diethylethanol)、3-メトキシ-1,1-ジメチルプロパノール(3-methoxy-1,1-dimethylpropanol)のようなエーテルアルコール類;及びジメチルアミノエタノール(dimethylaminoethanol)、エチルメチルアミノエタノール(ethylmethylaminoethanol)、ジエチルアミノエタノール(diethylaminoethanol)、ジメチルアミノ-2-ペンタノール(dimethylamino-2-pentanol)、エチルメチルアミノ-2-ペンタノール(ethylmethylamino-2-pentanol)、ジメチルアミノ-2-メチル-2-ペンタノール(dimethylamino-2-methyl-2-pentanol)、エチルメチルアミノ-2-メチル-2-ペンタノール(ethylmethylamino-2-methyl-2-pentanol)、ジエチルアミノ-2-メチル-2-ペンタノール(diethylamino-2-methyl-2-pentanol)のようなジアルキルアミノアルコール類を有しうるが、それらに限定されるものではない。
【0052】
前記他の前駆体の有機配位化合物として使用可能なグリコール化合物の例として、1,2-エタンジオール(1,2-ethanediol)、1,2-プロパンジオール(1,2-propanediol)、1,3-プロパンジオール(1,3-propanediol)、2,4-ヘキサンジオール(2,4-hexanediol)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(2,2-dimethyl-1,3-propanediol)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(2,2-diethyl-1,3-propanediol)、1,3-ブタンジオール(1,3-butanediol)、2,4-ブタンジオール(2,4-butanediol)、2,2-ジエチル-1,3-ブタンジオール(2,2-diethyl-1,3-butanediol)、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール(2-ethyl-2-butyl-1,3-propanediol)、2,4-ペンタンジオール(2,4-pentanediol)、2-メチル-1,3-プロパンジオール(2-methyl-1,3-propanediol)、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(2-methyl-2,4-pentanediol)、2,4-ヘキサンジオール(2,4-hexanediol)、及び2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール(2,4-dimethyl-2,4-pentanediol)を有することができるが、それらに限定されるものではない。
【0053】
前記他の前駆体の有機配位化合物として使用可能なβ-ジケトン化合物の例として、アセチルアセトン(acetylacetone)、ヘキサン-2,4-ジオン(hexane-2,4-dione)、5-メチルヘキサン-2,4-ジオン(5-methylhexane-2,4-dione)、ヘプタン-2,4-ジオン(heptane-2,4-dione)、2-メチルヘプタン-3,5-ジオン(2-methylheptane-3,5-dione)、5-メチルヘプタン-2,4-ジオン(5-methylheptane-2,4-dione)、6-メチルヘプタン-2,4-ジオン(6-methylheptane-2,4-dione)、2,2-ジメチルヘプタン-3,5-ジオン(2,2-dimethylheptane-3,5-dione)、2,6-ジメチルヘプタン-3,5-ジオン(2,6-dimethylheptane-3,5-dione)、2,2,6-トリメチルヘプタン-3,5-ジオン(2,2,6-trimethylheptane-3,5-dione)、2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオン(2,2,6,6-tetramethylheptane-3,5-dione)、オクタン-2,4-ジオン(octane-2,4-dione)、2,2,6-トリメチルオクタン-3,5-ジオン(2,2,6-trimethyloctane-3,5-dione)、2,6-ジメチルオクタン-3,5-ジオン(2,6-dimethyloctane-3,5-dione)、2,9-ジメチルノナン-4,6-ジオン(2,9-dimethylnonane-4,6-dione)、2-メチル-6-エチルデカン-3,5-ジオン(2-methyl-6-ethyldecane-3,5-dione)、2,2-ジメチル-6-エチルデカン-3,5-ジオン(2,2-dimethyl-6-ethyldecane-3,5-dione)のようなアルキル置換β-ジケトン類;1,1,1-トリフルオロペンタン-2,4-ジオン(1,1,1-trifluoropentane-2,4-dione)、1,1,1-トリフルオロ-5,5-ジメチルヘキサン-2,4-ジオン(1,1,1-trifluoro-5,5-dimethylhexane-2,4-dione)、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロペンタン-2,4-ジオン(1,1,1,5,5,5-hexafluoropentane-2,4-dione)、1,3-ジパーフルオロヘキシルプロパン-1,3-ジオン(1,3-diperfluorohexylpropane-1,3-dione)のようなフッ素置換アルキルβ-ジケトン類;及び1,1,5,5-テトラメチル-1-メトキシヘキサン-2,4-ジオン(1,1,5,5-tetramethyl-1-methoxyhexane-2,4-dione)、2,2,6,6-テトラメチル-1-メトキシヘプタン-3,5-ジオン(2,2,6,6-tetramethyl-1-methoxyheptane-3,5-dione)、2,2,6,6-テトラメチル-1-(2-メトキシエトキシ)ヘプタン-3,5-ジオン(2,2,6,6-tetramethyl-1-(2-methoxyethoxy)heptane-3,5-dione)のようなエーテル置換β-ジケトン類を有することができるが、それらに限定されるものではない。
【0054】
前記他の前駆体の有機配位化合物として使用可能なシクロペンタジエン化合物の例として、シクロペンタジエン(cyclopentadiene)、メチルシクロペンタジエン(methylcyclopentadiene)、エチルシクロペンタジエン(ethylcyclopentadiene)、プロピルシクロペンタジエン(propylcyclopentadiene)、イソプロピルシクロペンタジエン(isopropylcyclopentadiene)、ブチルシクロペンタジエン(butylcyclopentadiene)、sec-ブチルシクロペンタジエン(sec-butylcyclopentadiene)、イソブチルシクロペンタジエン(isobutylcyclopentadiene)、tert-ブチルシクロペンタジエン(tert-butylcyclepentadiene)、ジメチルシクロペンタジエン(dimethylcyclopentadiene)、テトラメチルシクロペンタジエン(tetramethylcyclopentadiene)などを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
【0055】
前記他の前駆体の有機配位化合物として使用可能な有機アミン化合物の例として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、イソプロピルメチルアミンなどを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
【0056】
前記他の前駆体は、本発明が属する技術分野で公知されたものでもあり、それらを製造するために公知された方法を利用することができる。例えば、有機リガンドとしてアルコール化合物を使用する場合には、前述した元素の無機塩またはその水和物と、当該アルコール化合物のアルカリ金属アルコキシドを反応させて前駆体を製造することができる。ここで、前述した元素の無機塩またはその水和物の例として、金属のハロゲン化物、酢酸などを挙げることができる。前記アルカリ金属アルコキシドの例として、ナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシドなどを挙げることができる。
【0057】
前記シングルソース法を利用する場合、前記他の前駆体として、熱及び/または、酸化分解の挙動が本発明の技術的思想による有機金属付加化合物と類似した化合物を使用することができる。前記カクテルソース法を利用する場合、前記他の前駆体として、熱及び/または、酸化分解の挙動が本発明の技術的思想による有機金属付加化合物と類似しており、また混合時に、化学反応などによる変質を起こさないものを使用する。
【0058】
本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法によって金属含有膜を形成するに当たって、前記金属含有膜形成用原料は、求核性試薬を含んでもよい。前記求核性試薬は、本発明の技術的思想によるニオブ化合物またはタンタル化合物、及び/または、他の前駆体の安定性を与えることができる。前記求核性試薬は、グライム(glyme)、ジグライム(diglyme)、トリグライム(triglyme)、テトラグライム(tetraglyme)などのエチレングリコールエーテル類;18-クラウン-6、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6,24-クラウン-8、ジシクロヘキシル-24-クラウン-8、ジベンゾ-24-クラウン-8などのクラウンエーテル類;エチレンジアミン、N,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミンなどのポリアミン類;シクラム(cyclam)、シクレン(cyclen)などの環状ポリアミン類;ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルフォリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン(oxathiolane)などのヘテロ環化合物類;アセト酢酸メチル(methylacetoacetate)、アセト酢酸エチル、2-メトキシアセト酢酸エチルなどのβ-ケトンエステル類;またはアセチルアセトン、2,4-ヘキサンジオン、2,4-ヘプタンジオン、3,5-ヘプタンジオン、ジピバロイルメタン(dipivaloyl methane)などのβ-ジケトン類を有することができる。前記求核性試薬の使用量は、前駆体総量1モルに対して約0.1~10モル、例えば、約1モル~4モルの量で使用されうる。
【0059】
本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法によって金属含有膜の形成に使用される金属含有膜形成用原料内で金属元素不純物、塩素不純物のようなハロゲン不純物、及び有機物不純物の量を最大限抑制する必要がある。例えば、前記金属含有膜形成用原料内で金属元素不純物は、各元素別に約100ppb以下に含めることができる。例えば、前記金属元素不純物は、各元素別に約10ppb以下の金属元素不純物を含み、前記金属元素不純物の総量は、約1ppm以下、例えば、約100ppb以下でもある。特に、LSI (large scale integrated circuit)のゲート絶縁膜、ゲート導電膜、またはバリア膜として使用される薄膜を形成する場合、得られる薄膜の電気的特性に影響を与えるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有量は、最大限少なくしうる。例えば、前記金属含有膜形成用原料内でハロゲン不純物は、約100ppm以下、例えば、約10ppm以下または約1ppm以下でもある。
【0060】
前記金属含有膜形成用原料内に含まれる有機物不純物は、前記有機物不純物の総量で約500ppm以下、例えば、約50ppm以下含まれ、特に、約10ppm以下含まれうる。
【0061】
前記金属含有膜形成用原料内に水分が含まれれば、前記原料内のパーティクル発生、または薄膜形成中にパーティクル発生の原因にもなる。したがって、前記前駆体、有機溶剤、及び求核性試薬は、使用する前に予め水分を除去することができる。前記前駆体、有機溶剤、及び求核性試薬それぞれの水分含量は、約10ppm以下、例えば、約1ppm以下でもある。
【0062】
集積回路素子の製造方法によって金属含有膜を形成するに当たって、形成しようとする金属含有膜内のパーティクル汚染を減らすために、前記金属含有膜形成用原料内でパーティクル含量を最小化することができる。例えば、液状での光散乱式液中粒子検出器(light scattering type particle detector)によるパーティクル測定時、前記金属含有膜形成用原料内で0.3μmよりさらに大きい粒子の数が液状1mLの中に100個以下であり、0.2μmよりさらに大きい粒子の数が液状1mL中に1000個以下であり、例えば、100個以下でもある。
【0063】
図1の工程P20において、前記金属含有膜形成用原料を使用して金属含有膜を形成するために、前記金属含有膜形成用原料を気化させて基板が位置する堆積反応部に導入し、前記基板表面に前記金属含有膜形成用原料を堆積させて前記基板上に前駆体薄膜を形成する工程と、前記前駆体薄膜を反応性ガスと反応させて前記基板表面にニオブ原子またはタンタル原子を含む金属含有膜を形成する工程を含む。
【0064】
前記金属含有膜形成用原料を気化させて前記堆積反応部に導入するために、前述した気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法などを利用することができる。
【0065】
前記反応性ガスは、前記前駆体薄膜と反応するガスである。例えば、前記反応性ガスは、酸化性ガス、または窒化性ガスからなってもいる。
【0066】
前記酸化性ガスは、O2、O3、O2プラズマ、H2O、NO2、NO、N2O(nitrous oxide)、CO、CO2、H2O2、HCOOH、CH3COOH、(CH3CO)2O、アルコール、過酸化物(peroxide)、硫黄酸化物、またはそれらの組合わせのうちから選択される。
【0067】
前記窒化性ガスは、NH3、N2プラズマ、モノアルキルアミン(monoalkyl amine)、ジアルキルアミン(dialkylamine)、トリアルキルアミン(trialkylamine)、アルキレンジアミンなどの有機アミン化合物、ヒドラジン化合物(hydrazine compound)、またはそれらの組合わせのうちから選択される。
【0068】
図1の工程P20において、ニオブ原子またはタンタル原子を含む金属酸化膜を形成する場合、前記反応性ガスとして前記酸化性ガスを使用することができる。
図1の工程P20においてニオブ原子またはタンタル原子を含む金属窒化膜を形成する場合、前記反応性ガスとして前記窒化性ガスを使用することができる。
【0069】
例示的な実施例において、
図1の工程P20においてニオブ原子またはタンタル原子を含む金属含有膜を形成するために、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物を含む原料ガス、または前記原料ガスと反応性ガスを熱のみで反応させて薄膜を形成する熱CVD工程、熱とプラズマを利用するプラズマCVD工程、熱と光を利用する光CVD工程、熱と光とプラズマを利用する光プラズマCVD工程、またはALD工程を利用することができる。
【0070】
図1の工程P20によって金属含有膜を形成するに当たって、所望の金属含有膜の厚さ及び種類によって反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度などを適切に選択することができる。前記反応温度は、前記金属含有膜形成用原料が十分に反応する温度である室温~約600℃、例えば、約400℃~550℃の範囲内で選択される。
【0071】
図1の工程P20によって金属含有膜を形成するに当たって、ALD工程を利用する場合、ALD工程のサイクル数を調節して金属含有膜の膜厚を調節することができる。ALD工程を用いて前記基板上に金属含有膜を形成する場合、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物を含む金属含有膜形成用原料を気化させて形成した蒸気を堆積反応部に導入する原料ガス導入工程と、前記蒸気を用いて前記基板の表面に前駆体薄膜を形成する前駆体薄膜形成工程と、前記基板相議反応空間内に残っている未反応原料ガスを排気する排気工程と、前記前駆体薄膜を反応性ガスと化学反応させて前記基板の表面に金属含有膜を形成する工程と、を含む。
【0072】
例示的な実施例において、前記金属含有膜形成用原料を気化させる工程は、原料容器内で遂行され、気化室内で遂行されうる。前記金属含有膜形成用原料を気化させる工程は、約0℃~200℃で遂行されうる。前記金属含有膜形成用原料を気化させるとき、原料容器または気化室内部の圧力は、約1Pa~10,000Paでもある。
【0073】
図2は、本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法によって金属含有膜を形成するための例示的な方法を具体的に説明するためのフローチャートである。
図2を参照して、
図1の工程P20によって金属含有膜をALD工程で形成する方法を説明する。
【0074】
図2を参照すれば、工程P21において一般式(I)の構造を有する有機金属付加化合物を含むソースガスを気化させる。
【0075】
例示的な実施例において、前記ソースガスは、前述した金属含有膜形成用原料からなる。前記ソースガスを気化させる工程は、約0℃~200℃で遂行される。前記ソースガスを気化させるとき、原料容器または気化室内部の圧力は、約1Pa~10,000Paでもある。
【0076】
工程P22において、工程P21によって気化されたソースガスを基板上に供給して前記基板上にニオブ原子またはタンタル原子を含む金属ソース吸着層を形成する。この際、反応温度は、室温~600℃、例えば、約400℃~550℃の範囲内で選択される。反応圧力は、約1Pa~10,000Pa、例えば、約10Pa~1,000Paでもある。
【0077】
前記基板上に気化されたソースガスを供給することで、前記基板上に前記気化されたソースガスの化学吸着層(chemisorbed layer)及び物理吸着層(physisorbed layer)を含む吸着層が形成される。
【0078】
工程P23において、前記基板上にパージ(purge)ガスを供給して前記基板上の不要な副産物を除去する。
【0079】
前記パージガスとして、例えば、Ar、He、Neなどの不活性ガスまたはN2ガスなどを使用することができる。
【0080】
他の例示的な実施例において、前記パージ工程の代わりに、前記基板が位置された反応空間を減圧して排気することができる。この際、前記減圧のために前記反応空間の圧力は、約0.01Pa~300Pa、例えば、約0.01Pa~100Paに保持されうる。
【0081】
例示的な実施例において、ニオブ原子またはタンタル原子を含む金属ソース吸着層が形成された基板を加熱するか、前記基板が収容された反応チャンバを熱処理する工程をさらに遂行することができる。前記熱処理は、常温~約600℃、例えば、約400℃~550℃の温度で遂行されうる。
【0082】
工程P24において、前記基板上に形成された前記金属ソース吸着層上に反応性ガスを供給して原子層単位の金属含有膜を形成する。
【0083】
例示的な実施例において、前記基板上にニオブ原子またはタンタル原子を含む金属酸化膜を形成する場合、前記反応性ガスは、O2、O3、O2プラズマ、H2O、NO2、NO、N2O(nitrous oxide)、CO、CO2、H2O2、HCOOH、CH3COOH、(CH3CO)2O、アルコール、過酸化物(peroxide)、硫黄酸化物、またはそれらの組合わせのうちから選択される酸化性ガスでもある。
【0084】
他の例示的な実施例において、前記基板上にニオブ原子またはタンタル原子を含む金属窒化膜を形成する場合、前記反応性ガスは、NH3、N2プラズマ、モノアルキルアミン(monoalkyl amine)、ジアルキルアミン(dialkylamine)、トリアルキルアミン(trialkylamine)、有機アミン化合物、ヒドラジン化合物(hydrazine compound)、またはそれらの組合わせのうちから選択される。
【0085】
工程P24を遂行する間、前記ニオブ原子またはタンタル原子を含む金属ソース吸着層と前記反応性ガスが十分に反応するように反応空間は、常温~約600℃の温度、例えば、約400℃~550℃の温度を保持することができる。工程P24を遂行する間、前記反応空間の圧力は、約1Pa~10,000Pa、例えば、約10Pa~1,000Paでもある。
【0086】
工程P24を遂行する間、前記反応性ガスをプラズマ処理することができる。前記プラズマ処理時の高周波(RF)出力は、約0W~1,500W、例えば、約50W~600Wでもある。
【0087】
工程P25において、前記基板上にパージガスを供給して前記基板上の不要な副産物を除去する。
【0088】
前記パージガスとして、例えば、Ar、He、Neなどの不活性ガスまたはN2ガスなどを使用することができる。
【0089】
工程P26において、所望の厚さの金属含有膜が形成されるまで
図2の工程P21ないし工程P25を繰り返す。
【0090】
工程P21ないし工程P25からなる一連の工程からなる薄膜堆積工程を1サイクルとし、所望の厚さの金属含有膜が形成されるまで前記サイクルを複数回繰り返すことができる。例示的な実施例において、前記1サイクルを遂行した後、工程P23または工程P25と同様にパージガスを使用する排気工程を遂行して反応チャンバから未反応ガスを排気した後、後続サイクルを遂行する。
【0091】
例示的な実施例において、前記金属含有膜の堆積速度を制御するために、原料供給条件(例えば、原料の気化温度または気化圧力)、反応温度、反応圧力などを制御する。前記金属含有膜の堆積速度が過度に大きいと、得られる金属含有膜の特性が劣化され、前記金属含有膜の堆積速度が過度に小さいと、生産性が低下する。例えば、前記金属含有膜の堆積速度は、約0.01nm/分~100nm/分、例えば、約0.1nm/分~50nm/分でもある。
【0092】
図2を参照して説明した金属含有膜の形成工程は、単に例示に過ぎないので、本発明の技術的思想の範囲内で多様な変形及び変更が可能である。
【0093】
例えば、前記基板上に金属含有膜を形成するために、一般式(I)の構造を有する有機金属付加化合物を他の前駆体、反応性ガス、キャリアガス、及びパージガスのうち、少なくとも1つと共に、または順次に基板上に供給することができる。一般式(I)の構造を有する有機金属付加化合物と共に、基板上に供給される他の前駆体、反応性ガス、キャリアガス、及びパージガスに係わるさらに詳細な構成は、前述した通りである。
【0094】
他の例示的な実施例において、
図2を参照して説明した金属含有膜の形成工程において、工程P21ないし工程P25それぞれの間に基板上に反応性ガスが供給されうる。
【0095】
図3Aないし
図3Dは、それぞれ本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法で金属含有膜を形成する工程に使用される例示的な蒸着装置200A、200B、200C、200Dの構成を概略的に示す図面である。
【0096】
図3Aないし
図3Dに例示した蒸着装置200A、200B、200C、200Dは、それぞれ流体伝達部210と、流体伝達部210にある原料容器212から供給される工程ガスを使用して基板W上に薄膜を形成するための堆積工程が遂行される薄膜形成部250と、薄膜形成部250で反応に使用して残ったガスまたは、反応副産物を排出させるための排気システム270を含む。
【0097】
薄膜形成部250は、基板Wを支持するサセプタ252が備えられた反応チャンバ254を含む。反応チャンバ254内部の上端部には、流体伝達部210から供給されるガスを基板W上に供給するためのシャワーヘッド256が設けられている。
【0098】
流体伝達部210には、外部からキャリアガスを原料容器212に供給するための流入ライン222と、原料容器212内に収容された原料化合物を薄膜形成部250に供給するための流出ライン224を含む。流入ライン222及び流出ライン224には、それぞれ弁V1、V2及びMFC(mass flow controller)M1、M2が設けられる。流入ライン222及び流出ライン224は、バイパスライン226を通じて相互連結されうる。バイパスライン226には、弁V3が設けられている。弁V3は、電気モータまたは他の遠隔制御可能な手段によって空気圧で作動されうる。
【0099】
原料容器212から供給される原料化合物は、流体伝達部210の流出ライン224に連結された薄膜形成部250の流入ライン266を通じて反応チャンバ254内に供給される。必要によって、原料容器212から供給される原料化合物は、流入ライン268を通じて供給されるキャリアガスと共に、反応チャンバ254内に供給される。キャリアガスが流入される流入ライン268には、弁V4及びMFC M3が設けられる。
【0100】
薄膜形成部250は、反応チャンバ254内部にパージガスを供給するための流入ライン262と、反応性ガスを供給するための流入ライン264を含む。流入ライン262、264には、それぞれ弁V5、V6及びMFC M4、M5が設けられる。
【0101】
反応チャンバ254で使用された工程ガス及び廃棄用反応副産物は、排気システム270を通じて外部に排出されうる。排気システム270は、反応チャンバ254に連結された排気ライン272と、排気ライン272に設けられた真空ポンプ274を含んでもよい。真空ポンプ274は、反応チャンバ254から排出される工程ガス及び廃棄用反応副産物を除去する役割を行う。
【0102】
排気ライン272で真空ポンプ274より上流側には、トラップ276が設けられる。トラップ276は、例えば、反応チャンバ254内で完全に反応し得ない工程ガスによって発生する反応副産物を捕捉し、下流側の真空ポンプ274に流入されないようにしうる。
【0103】
排気ライン272に設けられたトラップ276では、工程ガス間の反応によって発生する反応復生性物のような付着物を捕捉してトラップ276の下流側に流れないようにする役割を行う。トラップ276は、冷却器または水冷によって冷却されうる構成を有することができる。
【0104】
また、排気ライン272において、トラップ276より上流側には、バイパスライン278及び自動圧力コントローラ(automatic pressure controller)280が設けられる。バイパスライン278と、排気ライン272のうち、バイパスライン278と並列に延びる部分には、それぞれ弁V7、V8が設けられる。
【0105】
図3A及び
図3Cに例示した蒸着装置200A、200Cでのように、原料容器212には、ヒータ214が設けられる。ヒータ214によって原料容器212内に収容された原料化合物の温度を比較的高温に保持することができる。
【0106】
図3B及び
図3Dに例示した蒸着装置200B、200Dでのように、薄膜形成部250の流入ライン266には、気化器(vaporizer)258が設けられる。気化器258は、流体伝達部210から液体状態に供給される流体を気化させ、気化された原料化合物を反応チャンバ254内に供給させる。気化器258で気化された原料化合物は、流入ライン268を通じて供給されるキャリアガスと共に、反応チャンバ254内に供給される。気化器258を通じて反応チャンバ254に供給される原料化合物の流入は、弁V9によって制御される。
【0107】
また、
図3C及び
図3Dに例示した蒸着装置200C、200Dでのように、薄膜形成部250で反応チャンバ254内にプラズマを発生させるために反応チャンバ254に連結された高周波電源292及びRFマッチングシステム294を含んでもよい。
【0108】
図3Aないし
図3Dに例示した蒸着装置200A、200B、200C、200Dでは、反応チャンバ254に1個の原料容器212が連結された構成を例示したが、それに限定されるものではない。必要によって流体伝達部210に複数の原料容器212を備え、複数の原料容器212がそれぞれ反応チャンバ254に連結されうる。反応チャンバ254に連結される原料容器212の数は、特に制限されない。
【0109】
一般式(I)の有機金属付加化合物を含む金属含有膜形成用原料を気化するために、
図3B及び
図3Dに例示した蒸着装置200B、200Dのうち、いずれか1つの蒸着装置で気化器258を用いることができるが、本発明の技術的思想は、それに限定されるものではない。
【0110】
図1及び
図2を参照して説明した集積回路素子の製造方法によって前記基板上に金属含有膜を形成するために、
図3Aないし
図3Dに例示した蒸着装置200A、200B、200C、200Dのうち、いずれか1つを利用することができる。そのために、一般式(I)の構造を有する本発明の技術的思想による有機金属付加化合物が多様な方法を通じて運送されて薄膜形成装置の反応空間、例えば、
図3Aないし
図3Dに例示した蒸着装置200A、200B、200C、200Dの反応チャンバ254内部に供給される。
【0111】
例示的な実施例において、
図1及び
図2を参照して説明した方法によって金属含有膜を形成するために、
図3Aないし
図3Dに例示した蒸着装置200A、200B、200C、200Dのような枚葉式設備ではないバッチ式設備を用いて多数の基板上に同時に金属含有膜を形成することもできる。
【0112】
本発明の技術的思想による集積回路素子の製造方法によって金属含有膜を形成するに当たって、前記金属含有膜の形成条件として、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度などを挙げることができる。
【0113】
前記反応温度は、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物、例えば、一般式(I)の構造を有する有機金属付加化合物が十分に反応する温度、すなわち、一例において約150℃、またはそれ以上の温度、他の例において、約150℃~600℃の温度、さらに他の例では、約400℃~550℃の温度範囲内で選択されうるが、前記例示された温度に限定されるものではない。
【0114】
前記反応圧力は、熱CVD工程または光CVD工程の場合、約10Pa~大気圧の範囲、プラズマを使用する場合、約10Pa~2000Paの範囲内で選択されうるが、それに限定されるものではない。
【0115】
また、堆積速度は、原料化合物の供給条件(例えば、気化温度及び気化圧力)、反応温度、反応圧力を調節して制御することができる。本発明の技術的思想による薄膜形成方法において、金属含有膜の堆積速度は、約0.01nm/min~100nm/min、例えば、約0.1nm/min~50nm/minの範囲内で選択されうるが、前記例示されたところに限定されるものではない。ALD工程を用いて金属含有膜を形成する場合、所望の厚さの金属含有膜を制御するために、ALDサイクル回数を調節することができる。
【0116】
本発明の技術的思想によれば、ALD工程を用いて金属含有膜を形成するとき、プラズマ、光、電圧などのエネルギーを印加することができる。前記エネルギーを印加する時点は、多様に選択される。例えば、有機金属付加化合物を含むソースガスを反応チャンバ内部に導入するとき、前記ソースガスを前記基板上に吸着させるとき、前記パージガスによる排気工程時、前記反応性ガスを反応チャンバ内部に導入するとき、またはそれらそれぞれの時点間にプラズマ、光、電圧などのエネルギーを印加することができる。
【0117】
本発明の技術的思想によれば、一般式(I)の構造を有する有機金属付加化合物を使用して金属含有膜を形成した後、不活性雰囲気、酸化性雰囲気、または還元性雰囲気下でアニーリングする工程をさらに含んでもよい。または、前記金属含有膜の表面に形成された段差を埋込むために、必要によって、前記金属含有膜に対してリフロー(reflow)工程を遂行することもできる。前記アニーリング工程及びリフロー工程は、それぞれ約200℃~1,000℃、例えば、約250℃~500℃の範囲内で選択される温度条件下で遂行されうるが、前記例示された温度に限定されるものではない。
【0118】
本発明の技術的思想によれば、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物、前記有機金属付加化合物と共に、使用される他の前駆体、反応性ガス、及び薄膜形成工程条件を適当に選択することにより、多様な種類の金属含有膜を形成することができる。例示的な実施例において、本発明の技術的思想によって形成された金属含有膜は、ニオブ原子またはタンタル原子を含んでもよい。例えば、前記金属含有膜は、ニオブ膜、ニオブ酸化膜、ニオブ窒化膜、ニオブ合金膜、ニオブ含有複合酸化膜、タンタル膜、タンタル酸化膜、タンタル窒化膜、タンタル合金膜、タンタル含有複合酸化膜などを挙げることができる。前記ニオブ合金膜は、Nb-Hf合金、Nb-Ti合金などからなるが、前記例示したところに限定されない。前記タンタル合金膜は、Ta-Ti合金、Ta-W合金などからなるが、前記例示したところに限定されない。本発明の技術的思想によって形成された金属含有膜は、集積回路素子を構成する多様な構成要素の材料として使用される。例えば、DRAM(dynamic random-access memory)素子の電極材料、トランジスタのゲート、抵抗、ハードデバイス記録層に使用される反磁性膜、固体高分子状燃料電池用触媒材料、金属配線に使用される導電性バリア膜、キャパシタの誘電膜、液晶用バリア金属膜、薄膜太陽電池用部材、半導体設備用部材、ナノ構造体などに使用されうるが、前記金属含有膜の用途が前記例示された素子に限定されるものではない。
【0119】
図4Aないし
図4Jは、本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子300(
図4J参照)の製造方法を説明するために、工程順序によって示す断面図である。
【0120】
図4Aを参照すれば、複数の活性領域ACを含む基板310上に層間絶縁膜320を形成した後、層間絶縁膜320を貫通して複数の活性領域ACに連結される複数の導電領域324を形成する。
【0121】
基板310は、SiまたはGeのような半導体、または、SiGe、SiC、GaAs、InAs、またはInPのような化合物半導体を含んでもよい。基板310は導電領域、例えば、不純物がドーピングされたウェル、または不純物がドーピングされた構造物を含んでもよい。複数の活性領域ACは、基板310に形成された複数の素子分離領域312によって定義される。素子分離領域312は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、またはそれらの組合わせからなる。層間絶縁膜320は、シリコン酸化膜を含んでもよい。複数の導電領域324は、基板310上に形成された電界効果トランジスタのようなスイッチング素子(図示省略)の一端子に連結されうる。複数の導電領域324は、ポリシリコン、金属、導電性金属窒化物、金属シリサイド、またはそれらの組合わせからなる。
【0122】
図4Bを参照すれば、層間絶縁膜320及び複数の導電領域324を覆う絶縁層328を形成する。絶縁層328は、エッチング停止層として使用される。絶縁層328は、層間絶縁膜320及び後続工程で形成されるモールド膜330(
図4C参照)に対してエッチング選択比を有する絶縁物質からなる。絶縁層328は、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、またはそれらの組合わせからなる。
【0123】
図4Cを参照すれば、絶縁層328上にモールド膜330を形成する。
【0124】
モールド膜330は、酸化膜からなる。例えば、モールド膜330は、BPSG(boro phospho silicate glass),PSG(phospho silicate glass), USG(undoped silicate glass)のような酸化膜を含んでもよい。モールド膜130を形成するために、熱CVD工程またはプラズマCVD工程を利用する。モールド膜330は、約1000Å~20000Åの厚さに形成されうるが、それに限定されるものではない。例示的な実施例において、モールド膜330は、支持膜(図示省略)を含んでもよい。前記支持膜は、モールド膜330に対してエッチング選択比を有する物質によって形成される。前記支持膜は、後続工程でモールド膜330の除去時に使用されるエッチング雰囲気、例えば、フッ化アンモニウム(NH4F)、フッ酸(HF)及び水を含むエッチング液に対するエッチング率が比較的低い物質からなる。例示的な実施例において、前記支持膜は、シリコン窒化物、シリコン炭化窒化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、またはそれらの組合わせからなる。
【0125】
図4Dを参照すれば、モールド膜330上に犠牲膜342及びマスクパターン344を順次に形成する。
【0126】
犠牲膜342は、酸化膜からなる。マスクパターン344は、酸化膜、窒化膜、ポリシリコン膜、フォトレジスト膜、またはそれらの組合わせからなる。マスクパターン344によってキャパシタの下部電極が形成される領域が定義される。
【0127】
図4Eを参照すれば、マスクパターン344をエッチングマスクとして利用し、絶縁層328をエッチング停止層として利用して犠牲膜342及びモールド膜330を乾式エッチングし、複数のホールH1を限定する犠牲パターン342P及びモールドパターン330Pを形成する。この際、過度エッチングによって前記絶縁層328もエッチングされて複数の導電領域324を露出させる絶縁パターン328Pが形成される。
【0128】
図4Fを参照すれば、
図4Eの結果物からマスクパターン344を除去した後、複数のホールH1を充填しつつ、犠牲パターン342Pの露出表面を覆う下部電極形成用導電膜350を形成する。
【0129】
下部電極形成用導電膜350は、ドーピングされた半導体、導電性金属窒化物、金属、金属シリサイド、導電性酸化物、またはそれらの組合わせからなる。例示的な実施例において、下部電極形成用導電膜350は、ドーピングされた半導体、導電性金属窒化物、金属、金属シリサイド、導電性酸化物、またはそれらの組合わせからなる。例えば、下部電極形成用導電膜350は、NbN、TiN、TiAlN、TaN、TaAlN、W、WN、Ru、RuO2、SrRuO3、Ir、IrO2、Pt、PtO、SRO(SrRuO3)、BSRO((Ba、Sr)RuO3)、CRO(CaRuO3)、LSCo((La、Sr)CoO3)、またはそれらの組合わせからなるが、下部電極形成用導電膜350の構成物質が前記例示したところに限定されるものではない。下部電極形成用導電膜350を形成するために、CVD、MOCVD(metal organic CVD)、またはALD工程を利用することができる。
【0130】
例示的な実施例において、下部電極形成用導電膜350を形成するために、
図1の工程P20または
図2を参照して説明した方法によって金属含有膜を形成することができる。例えば、下部電極形成用導電膜350は、NbN膜からなる。前記NbN膜は、
図1の工程P20または
図2を参照して説明した方法によって形成された膜でもある。下部電極形成用導電膜350を形成するために、
図3Aないし
図3Dに例示した蒸着装置200A、200B、200C、200Dのうち、いずれか1つの蒸着装置を利用することができる。
【0131】
図4Gを参照すれば、下部電極形成用導電膜350の上部を部分的に除去して下部電極形成用導電膜350から複数の下部電極LEを形成する。
【0132】
複数の下部電極LEを形成するために、モールドパターン330Pの上面が露出されるまでエッチバック(etchback)またはCMP(chemical mechanical polishing)工程を用いて下部電極形成用導電膜350の上部側一部と犠牲パターン342P(
図4F参照)を除去することができる。
【0133】
図4Hを参照すれば、
図4Gの結果物からモールドパターン330Pを除去し、複数の下部電極LEの外部表面を露出させる。モールドパターン330Pは、フッ化アンモニウム(NH
4F)、フッ酸(HF)、及び水を含むエッチング液を利用するリフトオフ工程によって除去される。
【0134】
図4Iを参照すれば、複数の下部電極LE上に誘電膜360を形成する。
【0135】
誘電膜360は、複数の下部電極LEの露出表面をコンフォーマルに覆うように形成される。
【0136】
例示的な実施例において、誘電膜360は、酸化ハフニウム(hafnium oxide)、ハフニウム酸窒化物(hafnium oxynitride)、ハフニウムシリコン酸化物(hafnium silicon oxide)、酸化ジルコニウム(zirconium oxide)、ジルコニウムシリコン酸化物(zirconium silicon oxide)、酸化タンタル(tantalum oxide)、酸化チタン(titanium oxide)、チタン酸バリウムストロンチウム(barium strontium titanium oxide)、チタン酸バリウム(barium titanium oxide)、チタン酸ストロンチウム(strontium titanium oxide)、酸化イットリウム(yttrium oxide)、酸化アルミニウム(aluminum oxide)、鉛スカンジウムタンタル酸化物(leadscandiumtantalumoxide)、鉛亜鉛ニオブ酸塩(lead zinc niobate)、またはそれらの組合わせからなるが、前記例示されたところに限定されるものではない。誘電膜360は、ALD工程によって形成されうる。誘電膜360は、約50~150Åの厚さを有することができるが、それに限定されるものではない。
【0137】
例示的な実施例において、
図4Iを参照して説明したように複数の下部電極LE上に誘電膜360を形成する前に、複数の下部電極LEそれぞれの表面を覆う下部インターフェース膜(図示省略)を形成する工程をさらに含んでもよい。その場合、誘電膜360は、前記下部インターフェース膜上に形成されうる。前記下部インターフェース膜は、ニオブまたはタンタルを含む金属含有膜からなる。前記下部インターフェース膜を構成する金属含有膜を形成するために、
図1の工程P20または
図2を参照して説明した方法を利用することができる。前記下部インターフェース膜を形成するために、
図3Aないし
図3Dに例示した蒸着装置200A、200B、200C、200Dのうち、いずれか1つの蒸着装置を利用することができる。
【0138】
図4Jを参照すれば、誘電膜360上に上部電極UEを形成する。下部電極LE、誘電膜360、及び上部電極UEは、キャパシタ370を構成する。
【0139】
上部電極UEは、ドーピングされた半導体、導電性金属窒化物、金属、金属シリサイド、導電性酸化物、またはこれらの組合わせからなる。例えば、上部電極UEは、NbN、TiN、TiAlN、TaN、TaAlN、W、WN、Ru、RuO2、SrRuO3、Ir、IrO2、Pt、PtO、SRO(SrRuO3)、BSRO((Ba、Sr)RuO3)、CRO(CaRuO3)、LSCo((La、Sr)CoO3)、またはそれらの組合わせからなるが、それらに限定されるものではない。上部電極UEを形成するために、CVD、MOCVD、PVD、またはALD工程を利用することができる。
【0140】
例示的な実施例において、上部電極UEを形成するために、
図1の工程P20または
図2を参照して説明した方法で金属含有膜を形成する。例えば、上部電極UEは、NbN膜からなる。前記NbN膜は、
図1の工程P20または
図2を参照して説明した方法によって形成された膜でもある。上部電極UEを形成するために、
図3Aないし
図3Dに例示した蒸着装置200A、200B、200C、200Dのうち、いずれか1つの蒸着装置を利用することができる。
【0141】
図4Aないし
図4Jを参照して説明した集積回路素子の製造方法では、複数の下部電極LEがピラー(pillar)形状を有する場合を例として説明したが、本発明の技術的思想は、それに限定されない。例えば、複数の下部電極LEは、それぞれカップ状または有底シリンダ状の断面構造を有する。
【0142】
図4Aないし
図4Jを参照して説明したような方法によって製造された集積回路素子300において、キャパシタ370は、3次元電極構造を有する下部電極LEを含む。デザインルール(design rule)減少によるキャパシタンス減少を補償するために、3次元構造の下部電極LEのアスペクト比(aspect ratio)は、増加しており、深くて狭い3次元空間に高品質の下部電極LEまたは上部電極UEを形成するために、ALD工程を利用することができる。
図4Aないし
図4Jを参照して説明した本発明の技術的思想による実施例による集積回路素子の製造方法によれば、下部電極LEまたは上部電極UEを形成するに当たって、一般式(I)の本発明の技術的思想による有機金属付加化合物を使用することで、工程安定性を向上させうる。
【0143】
次いで、本発明の技術的思想による実施例による有機金属付加化合物の具体的な合成例及び金属含有膜の形成方法を説明する。しかし、本発明の技術的思想が次の例に限定されるものではない。
【0144】
合成例1
式(formula)2の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン(dichloromethane)20mLを加え、室温で撹拌した。これに3-フルオロピリジン0.97g(10mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式2の化合物2.41gを得た。(収率84.5%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
8.27ppm(1H、multiplet)、8.05ppm(1H、multiplet)、6.21ppm(1H、multiplet)、6.00ppm(1H、multiplet)
(2)元素分析(理論値)
Nb:39.9%(32.6%)、C:21.4%(21.1%)、H:1.6%(1.4%)、N:5.1%(4.9%)、F:40.7%(40.0%)
合成例2
式4の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン20mLを加え、室温で撹拌した。これに2,6-ジフルオロピリジン1.15g(10mmol)を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式4の化合物2.75gを得た。(収率90.8%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
6.41ppm(2H、quintet)、5.66ppm(2H、doublet)
(2)元素分析(理論値)
Nb:31.2%(30.7%)、C:20.1%(19.8%)、H:1.5%(1.0%)、N:4.9%(4.6%)、F:44.4%(43.9%)
合成例3
式8の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、 NbCl5(V)2.70g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン30mLを加え、室温で撹拌した。これに3-フルオロピリジン0.97g(10mmol)を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式8の化合物3.25gを得た。(収率88.4%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
8.85ppm(1H、multiplet)、8.53ppm(1H、multiplet)、6.10ppm(1H、multiplet)、5.91ppm(1H、multiplet)
(2)元素分析(理論値)
Nb:26.1%(25.3%)、C:48.6%(48.3%)、H:1.6%(1.1%)、N:4.8%(3.8%)、F:5.5%(5.2%)、Cl:48.6%(48.3%)
合成例4
式14の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、 NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン20mLを加え、室温で撹拌した。これに3-クルロロピリジン1.14g(10mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式14の化合物2.32gを得た。(収率77.0%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
8.48ppm(1H、multiplet)、8.18ppm(1H、multiplet)、6.56ppm(1H、multiplet)、6.06ppm(1H、multiplet)
(2)元素分析(理論値)
Nb:31.5%(30.8%)、C:20.1%(19.9%)、H:1.9%(1.3%)、N:5.4%(4.7%)、F:32.2%(31.5%)、Cl:12.3%(11.8%)
合成例5
式27の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、 NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン20mLを加え、室温で撹拌した。これに4-メチルピリジン0.93g(10mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式27の化合物2.50gを得た。(収率89.0%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
8.24ppm(2H、multiplet)、6.07ppm(2H、multiplet)、1.39ppm(3H、singlet)
(2)元素分析(理論値)
Nb:33.5%(33.1%)、C:26.0%(25.6%)、H:2.9%(2.5%)、N:5.8%(5.0%)、F:34.2%(33.8%)
合成例6
式38の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、 NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン20mLを加え、室温で撹拌した。これに3-エチルピリジン1.07g(10mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式38の化合物2.60gを得た。(収率88.1%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
8.42ppm(1H、singlet)、8.31ppm(1H、multiplet)、6.62ppm(1H、multiplet)、6.33ppm(1H、multiplet)、1、74ppm(2H、quartet)、0.57ppm(3H、triplet)
(2)元素分析(理論値)
Nb:31.8%(31.5%)、C:29.0%(28.5%)、H:3.6%(3.1%)、N:5.2%(4.8%)、F:33.0%(32.2%)
合成例7
式75の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、 NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン20mLを加え、室温で撹拌した。これに4-(トリフルオロメチル)ピリジン1.47g(10mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式75の化合物3.08gを得た。(収率92.0%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
8.12ppm(2H、singlet、broad)、6.28ppm(2H、multiplet)
(2)元素分析(理論値)
Nb:28.2%(27.7%)、C:22.0%(21.5%)、H:1.6%(1.2%)、N:4.8%(4.2%)、F:46.0%(45.4%)
合成例8
式80の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、NbCl5(V)2.70g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン30mLを加え、室温で撹拌した。これに3-(トリフルオロメチル)ピリジン1.47g(10mmol)を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式80の化合物3.30gを得た。(収率79.0%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
9.43ppm(1H、singlet)、8.73ppm(1H、doublet)、6.62ppm(1H、doublet)、5、91ppm(1H、multiplet)
(2)元素分析(理論値)
Nb:23.0%(22.3%)、C:17.6%(17.3%)、H:1.6%(1.0%)、N:3.8%(3.4%)、F:14.0%(13.7%)、Cl:43.0%(42.5%)
合成例9
式81の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、NbCl5(V)2.70g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン30mLを加え、室温で撹拌した。これに4-(トリフルオロメチル)ピリジン1.47g(10mmol)を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式81の化合物3.09gを得た。(収率74.0%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
8.70ppm(2H、doublet)、6.27ppm(2H、doublet)
(2)元素分析(理論値)
Nb:22.7%(22.3%)、C:17.9%(17.3%)、H:1.3%(1.0%)、N:4.0%(3.4%)、F:14.1%(13.7%)、Cl:42.9%(42.5%)
合成例10
式121の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン20mLを加え、室温で撹拌した。これに2、3-ジフルオロピリジン1.83g(10mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式121の化合物2.78gを得た。(収率75.0%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
8.27ppm(singlet、1H)、6.18ppm(multiplet、1H)
(2)元素分析(理論値)
Nb:25.5%(25.0%)、C:19.8%(19.4%)、H:0.9%(0.5%)、N:4.1%(3.8%)、F:51.0%(51.2%)
合成例11
式122の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン20mLを加え、室温で撹拌した。これに2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン1.65g(10mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式122の化合物2.73gを得た。(収率77.4%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
8.58ppm(singlet、1H)、6.55ppm(multiplet、1H)、5.49ppm(doublet、1H)
(2)元素分析(理論値)
Nb:26.8%(26.3%)、C:20.9%(20.4%)、H:1.2%(0.9%)、N:4.1%(4.0%)、F:49.0%(48.4%)
合成例12
式134の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン20mLを加え、室温で撹拌した。これに3-(2、2,2-トリフルオロエチル)ピリジン1.61g(10mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式134の化合物2.83gを得た。(収率81.2%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
8.39ppm(singlet、1H)、8.30ppm(singlet、1H)、6.62ppm((multiplet、1H)、6.20ppm(singlet/broad、1H)、2.17ppm(quartet、2H)
(2)元素分析(理論値)
Nb:27.0%(26.6%)、C:24.9%(24.1%)、H:2.0%(1.7%)、N:4.4%(4.0%)、F:44.0%(43.6%)
合成例13
式325の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン20mLを加え、室温で撹拌した。これに2、3-ジフルオロピリジン1.15g(10mmol)を滴下し、室温で4時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式325の化合物2.58gを得た。(収率85.1%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
7.68ppm(doublet、1H)、6.12ppm(multiplet、1H)、5.79ppm((multiplet、1H)
(2)元素分析(理論値)
Nb:31.3%(30.7%)、C:20.4%(19.8%)、H:1.2%(1.0%)、N:5.0%(4.6%)、F:44.2%(43.9%)
合成例14
式329の化合物の合成
Ar雰囲気下で、100mL 4口フラスコに、NbF5(V)1.88g(10.0mmol)及び脱水ジクロロメタン20mLを加え、室温で撹拌した。これに2、3,5-トリフルオロピリジン1.33g(10mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。得られた結果物から溶剤を除去して精製し、式329の化合物2.44gを得た。(収率75.9%)
(分析値)
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
7.63ppm(singlet、1H)、5.61ppm(multiplet、1H)
(2)元素分析(理論値)
Nb:29.3%(29.0%)、C:18.9%(18.7%)、H:0.8%(0.6%)、N:4.7%(4.4%)、F:47.8%(47.4%)
評価例1ないし14と比較評価例1
次いで、合成例1ないし14で得られた式2、式4、式8、式14、式27、式38、式75、式80、式81、式121、式122、式134、式325、及び式329の化合物と、下記比較化合物1のそれぞれに対して、25℃における状態、融点、及び常圧TG-DTA(Thermogravimetry - Differential Thermal Analysis)質量50%減少温度(T1)を次のように評価し、その結果を表1に示した。
【0145】
[比較化合物1]
【0146】
【化4】
(2)融点評価
25℃で化合物の状態を肉眼で観測した。25℃で固体であるものに対しては、融点測定設備を用いて融点を測定した。融点が比較的低い化合物は、供給が容易であり、薄膜形成用原料として好適であると判断しうる。
【0147】
(2)常圧TG-DTA評価
TG-DTAを用いて、常圧下でAr流量は、100mL/min、昇温速度は、10℃/min、走査温度範囲は、30℃~600℃に設定し、合成例1ないし9で得られた式2、式4、式8、式14、式27、式38、式75、式80、式81、式121、式122、式134、式325、及び式329の化合物と、比較化合物1それぞれの質量50%減少温度(T1)を測定した。
【0148】
常圧TG-DTA質量50%減少温度(T1)が比較的低い化合物は、蒸気圧が大きく、薄膜形成用原料として好適であると判断する。
【0149】
【表1】
表1の結果において、比較化合物1の融点は、150℃以上であり、一方、合成例1ないし14で得られた式2、式4、式8、式14、式27、式38、式75、式80、式81、式121、式122、式134、式325、及び式329の化合物は、融点が150℃未満である。特に、式2、式4、式14、式27、式38、式75、式121、式122、式134、式325、及び式329の化合物は、融点が75℃未満であるという点で、融点が特に低い化合物であるという点が分かる。また、比較化合物1の常圧TG-DTA質量50%減少温度(T1)は、275℃以上であり、一方、合成例1ないし14で得られた式2、式4、式8、式14、式27、式38、式75、式80、式81、式121、式122、式134、式325、及び式329の化合物は、常圧TG-DTA質量50%減少温度(T1)が260℃未満であるという点で、本発明の技術的思想による化合物は、蒸気圧が比較的大きいということが分かる。その中でも、式2、式4、式14、式27、式38、式75、式121、式122、式134、式325、及び式329の化合物は、常圧TG-DTA質量50%減少温度(T1)が235℃未満であるという点で、特に蒸気圧が高い化合物であるということが分かる。
【0150】
評価例15ないし28と比較評価例2(金属含有膜形成)
合成例1ないし9で得られた式2、式4、式8、式14、式27、式38、式75、式80、及び式81の化合物と、比較化合物1それぞれを原料として使用し、
図3Aの蒸着装置を使用してシリコン基板上にニオブ窒化膜を形成した。前記ニオブ窒化膜を形成するためのALD工程条件は、次の通りである。
【0151】
(条件)
反応温度(基板温度):250℃
反応性ガス:アンモニアガス
(工程)
前記のような条件で次のような一連の工程(1)ないし工程(4)を1サイクルにして、150サイクルを繰り返した。
【0152】
工程(1):原料容器加熱温度90℃、原料容器内部圧力100Paの条件で気化された原料をチャンバ内に導入してチャンバ内の圧力100Paで30秒間堆積させる工程。
【0153】
工程(2):10秒間Arパージによって未反応された原料を除去する工程。
【0154】
工程(3):反応性ガスを供給してチャンバ圧力100Paで30秒間反応させる工程。
【0155】
工程(4):10秒間Arパージによって未反応の原料を除去する工程。
【0156】
前記工程から得られた薄膜それぞれの厚さをX線反射率法によって測定し、X線回折法で得られた薄膜それぞれの化合物を確認し、X線光電子分光法で得られた薄膜それぞれの炭素含有量を測定し、その結果を表2に示した。
【0157】
【表2】
表2において、炭素含有量の検出限界は、0.1原子%であった。表2の結果において、ALD方法で得られた薄膜のうち、比較化合物1から得られた薄膜は、それぞれ炭素含有量が5原子%であった。一方、合成例1ないし14で得られた式2、式4、式8、式14、式27、式38、式75、式80、式81、式121、式122、式134、式325、及び式329の化合物から得られた薄膜は、検出限界である0.1原子%以下であって、高品質の薄膜であることを確認した。また、ALD工程を150サイクル遂行した後に得られた薄膜の厚さを評価した結果、比較化合物1の場合には、それぞれ2.3nm以下であり、一方、合成例1ないし14で得られた式2、式4、式8、式14、式27、式38、式75、式80、式81、式121、式122、式134、式325、及び式329の化合物から得られた薄膜は、3.0nm以上であって、薄膜形成工程の生産性に優れていることを確認した。
【0158】
前記評価例から確認したところのように、本発明の技術的思想による有機金属付加化合物は、融点が比較的低く、蒸気圧が比較的高く、ALDまたはCVD工程による薄膜形成の原料として使用されるとき、薄膜形成の生産性を高めることができる。
【0159】
以上、本発明を望ましい実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されず、本発明の技術的思想及び範囲内で当分野で通常の知識を有する者によって多様な変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0160】
310 基板
360 誘電膜
370 キャパシタ
LE 下部電極
UE 上部電極