(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043250
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】伝搬光学系、虚像表示装置及びヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20230322BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20230322BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20230322BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G02B25/00 A
G02B17/08 A
G02B13/18
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150758
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(72)【発明者】
【氏名】須藤 芳文
【テーマコード(参考)】
2H087
2H199
【Fターム(参考)】
2H087KA14
2H087KA23
2H087LA12
2H087PA03
2H087PA04
2H087PA05
2H087PA17
2H087PB03
2H087PB04
2H087PB05
2H087QA02
2H087QA03
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA18
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA41
2H087RA42
2H087RA45
2H199CA02
2H199CA03
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA49
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA83
2H199CA84
2H199CA85
2H199CA87
2H199CA88
(57)【要約】
【課題】伝搬光学系を小型に構成すること。
【解決手段】伝搬光学系は、画像を表示する画像表示素子からの光を虚像表示装置の導光部材に伝搬する光学系であり、画像表示素子側から導光部材側に向かって順に、プリズム、正のパワーを有するレンズ群を配してなる。画像表示素子からの光が入射される、プリズムの光学面である第1面は、負のパワーを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示素子からの光を虚像表示装置の導光部材に伝搬する伝搬光学系において、
前記画像表示素子側から前記導光部材側に向かって順に、プリズム、正のパワーを有するレンズ群を配してなり、
前記画像表示素子からの光が入射される、前記プリズムの光学面を、第1面とし、
前記第1面が負のパワーを有する、
伝搬光学系。
【請求項2】
前記プリズムの第1面が非球面である、
請求項1に記載の伝搬光学系。
【請求項3】
前記第1面における有効光線高さをHとし、前記第1面の有効光線高さHにおけるサグ量をSAGとしたとき、次式
-0.4<SAG/H<-0.05
但し、サグ量SAGは、前記第1面の面頂点より前記画像表示素子側である場合にマイナスの値を取る、
を満たす、
請求項1又は請求項2に記載の伝搬光学系。
【請求項4】
前記第1面に入射された、前記画像表示素子からの光が射出される、前記プリズムの光学面を、第2面とし、前記第1面から前記第2面までの光軸上の距離をDPとし、前記画像表示素子の有効画素領域のうち最も長い辺の長さをLYとしたとき、次式
1.0<DP/LY<2.0
を満たす、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の伝搬光学系。
【請求項5】
前記第1面に入射された、前記画像表示素子からの光が射出される、前記プリズムの光学面を、第2面とし、前記第1面から前記第2面までの光軸上の距離をDPとし、前記レンズ群に含まれるレンズ面のうち、光路上で最も前記画像表示素子側のレンズ面から最も導光部材側のレンズ面までの距離をDLとしたとき、次式
0.5<DP/DL<2.0
を満たす、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の伝搬光学系。
【請求項6】
前記レンズ群は、前記画像表示素子側から前記導光部材側に向かって順に、正のパワーを有する第1正レンズ、少なくとも1枚のレンズを有する、負のパワーを有する負レンズ群、正のパワーを有する第2正レンズを配してなる、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の伝搬光学系。
【請求項7】
前記第1正レンズの焦点距離をf1とし、前記負レンズ群の焦点距離をfnとしたとき、次式
-2.0<fn/f1<-0.3
を満たす、
請求項6に記載の伝搬光学系。
【請求項8】
前記第2正レンズの焦点距離をf2とし、前記負レンズ群の焦点距離をfnとしたとき、次式
-2.0<fn/f2<-0.3
を満たす、
請求項6又は請求項7に記載の伝搬光学系。
【請求項9】
前記第1面に入射された、前記画像表示素子からの光が射出される、前記プリズムの光学面を、第2面とし、前記第1面と前記第2面との角度をθとしたとき、次式
70°<θ<110°
を満たす、
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の伝搬光学系。
【請求項10】
画像を表示する画像表示素子と、
前記画像表示素子からの光を伝搬させる、請求項1から請求項9の何れか一項に記載の伝搬光学系と、
前記伝搬光学系により伝搬された光を導光して虚像表示のために射出する導光部材と、
を備える、
虚像表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の虚像表示装置を備える、
ヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝搬光学系、虚像表示装置及びヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
2次元の画像を拡大し、拡大された虚像を観察者に観察させるように表示する虚像表示装置が知られている。この種の虚像表示装置の一例として導光タイプの虚像表示装置が知られている。
【0003】
導光タイプの虚像表示装置は、画像表示素子の各画素から発せられた光(以下「画像光」と記す。)を伝搬光学系により導光部材に伝搬し、伝搬光学系から伝搬された画像光を導光部材で導光し、導光された画像光を観察者に向けて射出し、射出された画像光を観察者が拡大された虚像として観察できるように構成される。
【0004】
例えば特許文献1に、導光タイプの虚像表示装置に備えられる伝搬光学系の具体的構成が記載されている。特許文献1に記載の伝搬光学系は、画像表示素子からの画像光の伝搬方向を曲げるプリズムを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
導光タイプの虚像表示装置において広い画角を確保するには、例えば伝搬光学系を大きな径で構成することが考えられる。しかし、伝搬光学系の径を大きくすると虚像表示装置が大型化するため望ましくない。特に、ヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブルデバイスでは、大型化によって装用者が装用し難くなったり重量が重くなって装用者の負担が増加したりする。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小型に構成することが可能な伝搬光学系、このような伝搬光学系を備える虚像表示装置及びヘッドマウントディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る伝搬光学系は、画像を表示する画像表示素子からの光を虚像表示装置の導光部材に伝搬する光学系であり、画像表示素子側から導光部材側に向かって順に、プリズム、正のパワーを有するレンズ群を配してなる。画像表示素子からの光が入射される、プリズムの光学面である第1面は、負のパワーを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、小型に構成することが可能な伝搬光学系、このような伝搬光学系を備える虚像表示装置及びヘッドマウントディスプレイが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、虚像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイを装用者に装用した状態を示す概略図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを装用者が装用した状態を示す概略図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを装用者が装用した状態を示す概略図である。
【
図2C】本発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを装用者が装用した状態を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態(数値実施例1)に係る伝搬光学系の光学構成例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る導光部材の概略構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明の数値実施例1に係る伝搬光学系の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図6】本発明の数値実施例1に係る伝搬光学系の横収差図である。
【
図7】本発明の数値実施例2に係る伝搬光学系の光学構成を示す図である。
【
図8】本発明の数値実施例2に係る伝搬光学系の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図9】本発明の数値実施例2に係る伝搬光学系の横収差図である。
【
図10】本発明の数値実施例3に係る伝搬光学系の光学構成を示す図である。
【
図11】本発明の数値実施例3に係る伝搬光学系の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図12】本発明の数値実施例3に係る伝搬光学系の横収差図である。
【
図13】本発明の数値実施例4に係る伝搬光学系の光学構成を示す図である。
【
図14】本発明の数値実施例4に係る伝搬光学系の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図15】本発明の数値実施例4に係る伝搬光学系の横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る伝搬光学系、虚像表示装置及びヘッドマウントディスプレイについて図面を参照しながら説明する。以下の説明において、共通の又は対応する要素については、同一又は類似の符号を付して、重複する説明を適宜簡略又は省略する。
【0012】
図1は、虚像表示装置の一例であるヘッドマウントディスプレイ1を装用者に装用した状態を示す概略図である。
図1中、符号EYは装用者の左眼を示す。
【0013】
図1に示されるように、ヘッドマウントディスプレイ1は、画像表示素子10、伝搬光学系20及び導光部材30を備える。画像表示素子10からの画像光が伝搬光学系20により伝搬され、伝搬された画像光が導光部材30により導光されて虚像表示のために射出される。すなわち、画像表示素子10、伝搬光学系20及び導光部材30は、導光タイプの虚像表示装置を構成する。
【0014】
ヘッドマウントディスプレイ1には、装用者が広い画角の虚像を観察できるようにすることが求められる。広い画角を確保するためには、伝搬光学系20を大きな径で構成することが考えられる。しかし、人が装用するが故のサイズ面の制約があるため、伝搬光学系20を大きな径で構成することには限界がある。例えばスマートグラスの場合、伝搬光学系20は、フレームのテンプル(別の呼称では「つる」)に内蔵される。伝搬光学系20の大径化によりテンプルが太くなると、装用者がスマートグラスを装用し難くなったり、重量が重くなって装用者の負担が増加したりする。
【0015】
そこで、本実施形態に係る伝搬光学系20は、広い画角を確保することに伴う伝搬光学系20の大型化が抑えられる構成となっている。言い換えると、伝搬光学系20は、広い画角を確保しつつ小型に構成することが可能となっている。
【0016】
以下の説明において、画像表示素子10と伝搬光学系20が並ぶ第1の水平方向をz方向とし、z方向と直交する第2の水平方向をy方向とし、y方向とz方向の双方に直交する鉛直方向をx方向とする。互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向は、右手系をなす。なお、方向の呼称は、構成要素の相対的な位置関係を説明するために便宜上用いる呼称であり、絶対的な方向を示すものではない。ヘッドマウントディスプレイ1を装用する装用者の姿勢によっては、例えば、z方向が必ずしも水平方向とは限らず、鉛直方向になることもある。
【0017】
図2A~
図2Cは、ヘッドマウントディスプレイ1を装用者が装用した状態を示す概略図である。
図2A~
図2Cに示されるヘッドマウントディスプレイ1は、スマートグラスと呼称されることもある。
【0018】
図2Aに示されるヘッドマウントディスプレイ1は、両眼タイプのヘッドマウントディスプレイであり、装用者の顔幅相当の長さを有する単一の導光部材30をフレーム100に固定した構成となっている。導光部材30は、左右両方の眼を含む領域にアイボックスを形成する。画像表示素子10及び伝搬光学系20は、例えばフレーム100のテンプルに内蔵される。また、フレーム100は、導光部材30の両端だけでなく、導光部材30の上側縁や下側縁を覆う形状としてもよい。
【0019】
図2Bに示されるヘッドマウントディスプレイ1も両眼タイプのヘッドマウントディスプレイであり、左右それぞれの眼に対応する一対のヘッドマウントディスプレイをフレーム100に固定した構成となっている。右眼に対応する導光部材30は、右眼を含む領域にアイボックスを形成する。左眼に対応する導光部材30は、左眼を含む領域にアイボックスを形成する。
【0020】
図2Cに示されるヘッドマウントディスプレイ1は、単眼タイプのヘッドマウントディスプレイであり、右眼に対応する単一のヘッドマウントディスプレイをフレーム100に固定した構成となっている。なお、左眼に対応する単一のヘッドマウントディスプレイをフレーム100に固定した単眼タイプのヘッドマウントディスプレイも本発明の範疇である。
【0021】
なお、本実施形態に係る伝搬光学系20は、ヘッドマウントディスプレイに限らず、他の虚像表示装置にも適用可能である。他の虚像表示装置として、例えばヘッドアップディスプレイが挙げられる。
【0022】
ヘッドマウントディスプレイ1に備えられる各構成要素について具体的に説明する。
【0023】
画像表示素子10は、虚像として観察すべき画像を表示する素子であり、例示的には、OLED(Organic Light Emitting Diode)アレイ、LD(laser diode)アレイ、LED(Light Emitting Diode)アレイ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、DMD(Digital Micromirror Device)等である。画像表示素子10をOLEDアレイで構成した場合、例えば、画像表示領域(有効画素領域)のサイズは3mm×4mmであり、画素数は1万画素程度である。
【0024】
画像表示素子10からの画像光は、伝搬光学系20に入射される。
【0025】
図3は、伝搬光学系20の光学構成例を示す図である。
図3に示されるように、伝搬光学系20は、画像表示素子10側から導光部材30側に向かって順に、プリズムP、レンズ群LGを配してなる。レンズ群LGは、光軸AXに対して回転対称であり、正のパワーを有する。
【0026】
なお、本実施形態において「配してなる」との表現は、本発明の技術的思想の範囲において別の光学素子を追加する構成例を排除するものではない。排除されない構成例としては、例えば、伝搬光学系20の光学性能に実質的に寄与しない平行平板を追加する構成例や、本実施形態に係る伝搬光学系20の構成及び効果を維持しつつ別の光学素子を付加する構成例が挙げられる。すなわち、このような構成の光学素子をプリズムPとレンズ群LGよりなる伝搬光学系20に追加した構成も本発明の範疇である。
【0027】
例えばスマートグラスにおいて画像表示素子と導光部材が一体化したタイプが知られている。このタイプのスマートグラスでは、重量の大部分がレンズ部分に集中する。そのため、装用時に装用者の鼻に大きな荷重がかかり、装用者がスマートグラスを長時間装用することが難しい。
【0028】
これに対し、導光タイプのスマートグラスは、画像表示素子と導光部材との間(テンプル内)に伝搬光学系を配置することにより、画像表示素子と導光部材とを物理的に離した構成となっている。導光タイプのスマートグラスにおいて、画像表示素子は、例えばテンプル(より詳細にはこめかみ付近の位置)に内蔵される。そのため、装用者にかかる荷重が鼻と両耳の3点に分散されて、装用者がスマートグラスを長時間装用しやすくなる。
【0029】
伝搬光学系には、広い画角を確保するとともに、テンプルに内蔵する必要上、小型化が要求される。また、小型化により、重量を軽くして装用者にかかる負担を軽減させる構成であることも、伝搬光学系には求められる。
【0030】
また、発熱源である画像表示素子が装用者の顔(例えばこめかみ)に近接して配置されるほど、画像表示素子が発する熱の影響で装用者が不快感を覚える虞がある。そのため、装用者の顔からより離れた位置に画像表示素子を配置させる構成であることも、伝搬光学系には求められる。
【0031】
そこで、本実施形態に係る伝搬光学系20は、装用者の顔と画像表示素子との距離を離す構成でありつつ、良好な光学性能(画角が広い、収差が良好に補正されている、など)でありながら、小型に抑えられた構成となっている。
【0032】
具体的には、伝搬光学系20に備えられるプリズムPは、画像表示素子10からの画像光の伝搬方向を曲げる。プリズムPを配置することにより、装用者の顔からより離れた位置に画像表示素子10を配置することができる。画像表示素子10を装用者の顔から離れた位置に配置することにより、画像表示素子10の熱が装用者に伝達されにくくなる。附言するに、画像表示素子10側(すなわちレンズ群LGの前段)にプリズムPを配置することにより、導光部材30側(すなわちレンズ群LGの後段)にプリズムPを配置する構成と比べて、伝搬光学系20を小型化することができる。
【0033】
また、プリズムPの第1面P1は、負のパワーを有する面(より詳細には凹面)となっている。第1面P1は、画像表示素子10からの画像光が入射される、プリズムPの光学面である。
【0034】
第1面P1を負のパワーを有する面とすることにより、伝搬光学系20を小型化しつつも広い画角の光を取り込むことができる。また、画像表示素子10からの画像光のうちの軸外光は、光軸AXから離れた第1面P1上の位置を通る。そのため、プリズムPの後段に配置されたレンズ群LGで発生する軸外収差を考慮して負のパワーを有する面(すなわち第1面P1)の形状を決定することにより、伝搬光学系20全体として、軸外収差を小さく抑えることができる。
【0035】
第1面P1に入射された画像光は、プリズムPの反射面M1にて反射され偏向されて、プリズムPの第2面P2より射出される。すなわち、第2面P2は、第1面P1に入射された、画像表示素子10からの画像光が射出される、プリズムPの光学面である。第2面P2より射出された画像光は、レンズ群LGを透過して、導光部材30に入射される。なお、反射面M1は、平面であってもよく、また、自由曲面であってもよい。
【0036】
図4は、導光部材30の概略構成を示す斜視図である。
図4に示されるように、導光部材30は、第1導光部材31及び第2導光部材32を備える。
【0037】
第1導光部材31には、伝搬光学系20により伝搬された画像光が入射される。
図4では、便宜上、伝搬光学系20より入射される画像光に符号L1を付す。
【0038】
第1導光部材31の内部には複数の第1ミラー31aがy方向に並べて配置される。伝搬光学系20により伝搬された画像光L1は、複数の第1ミラー31aのうち最もy方向負側に位置する第1ミラー31aに入射される。なお、概略図である
図4では、便宜上、第1ミラー31aを6つしか示していない。第1ミラー31aの数は、実際にはこれよりも多い。
【0039】
第1ミラー31aは、特定の反射率及び透過率のコーティングが施されたミラーであり、入射した画像光L1の一部を反射させるとともに画像光L1の一部を透過させる。第1導光部材31内に入射された画像光L1は、各第1ミラー31aにて反射と透過によって振り分けられる。反射と透過による画像光L1の振り分けが繰り返されることにより、画像光L1は、y方向に広がった光となる。
【0040】
以下においては、便宜上、y方向に広がった画像光に符号L2を付して説明を行う。また、
図4では、便宜上、画像光L2の各光線に符号L3を付す。
【0041】
画像光L2は、第2導光部材32内に入射される。第2導光部材32の内部には第2ミラー32a及び複数の第3ミラー32bが配置される。複数の第3ミラー32bは、x方向に並べて配置される。
【0042】
第2ミラー32aは、第1導光部材31より入射した画像光L2(言い換えると各光線L3)をx方向負側に反射させる。これにより、画像光L2は、第2導光部材32内をx方向負側に導光されて、第3ミラー32bに入射される。
【0043】
第3ミラー32bも第1ミラー31aと同様に、特定の反射率及び透過率のコーティングが施されたミラーであり、入射した画像光L2の一部を反射させるとともに画像光L2の一部を透過させる。第2ミラー32aにて反射された画像光L2は、各第3ミラー32bにて反射と透過によって振り分けられる。反射と透過による画像光L2の振り分けが繰り返されることにより、画像光L2は、y方向に加えてx方向にも広がった光となって、第2導光部材32から外部に(具体的には装用者の眼EYに向けて)射出される。なお、概略図である
図4では、便宜上、第3ミラー32bを5つしか示していない。第3ミラー32bの数は、実際にはこれよりも多い。
【0044】
以下においては、便宜上、x方向とy方向の2次元方向に広がった画像光に符号L4を付して説明を行う。また、
図4では、便宜上、画像光L4の各光線に符号L5を付す。なお、図面を明瞭にするため、一部の光線L5にのみ符号を付す。
【0045】
画像光L4が眼EYに入射されると、網膜に虚像の共役像として結像する。これにより、装用者は、画像表示素子10に表示された画像の拡大虚像を見ることになる。
【0046】
このように、導光部材30は、x方向とy方向の2次元方向にアイボックス(虚像が視認される範囲)を拡張する構成となっている。
【0047】
本実施形態に係る伝搬光学系20の具体的構成について更に説明する。
【0048】
プリズムPの第1面P1は、非球面であってもよい。第1面P1を非球面とすることにより、より一層、広い画角を確保しつつ軸外収差を補正することができる。
【0049】
第1面P1における有効光線高さ(言い換えると、有効光束半径)をHとし、第1面P1の有効光線高さHにおけるサグ量をSAGとしたとき、伝搬光学系20は、次式(1)を満たす構成としてもよい。
【0050】
式(1)
-0.4<SAG/H<-0.05
但し、サグ量SAGは、第1面P1の面頂点より画像表示素子10側である場合にマイナスの値を取る。
【0051】
式(1)を満たすことにより、より一層、広い画角の確保と伝搬光学系20の小型化とを両立させることができ、軸外収差を補正することもできる。
【0052】
画像表示素子10は、有効画素領域に配列された各画素から正面(画面垂直方向)に射出される光の強度が最も高く、画面垂直方向に対して傾いた角度に射出される光ほど強度が低くなる。式(1)の「SAG/H」が下限値(すなわち-0.4)以下になると、特に、有効画素領域内の周辺部の画素から射出される光のうち、画面垂直方向に射出される強度の高い光をプリズムPで取り込みにくくなる。そのため、周辺光量を確保することが難しくなる。また、式(1)の「SAG/H」が上限値(すなわち-0.05)以上になると、第1面P1が平面に近似した面形状となるため、広い画角の確保と伝搬光学系20の小型化とを両立させることが難しくなるばかりでなく、軸外収差を補正することも難しくなる。
【0053】
更により一層、広い画角の確保と伝搬光学系20の小型化とを両立させるとともに軸外収差を補正するため、伝搬光学系20は、次式(2)を満たす構成としてもよい。
【0054】
式(2)
-0.3<SAG/H<-0.1
【0055】
プリズムPの第1面P1から第2面P2までの光軸AX上の距離をDPとし、画像表示素子10の有効画素領域のうち最も長い辺の長さをLYとしたとき、伝搬光学系20は、次式(3)を満たす構成としてもよい。なお、画像表示素子10の有効画素領域は、矩形状となっており、垂直方向(X方向)に短辺を有し、水平方向(Z方向)に長辺を有する。従って、長さLYは、有効画素領域のZ方向の長さを示す。
【0056】
式(3)
1.0<DP/LY<2.0
【0057】
式(3)を満たすことにより、より一層、広い画角の確保と伝搬光学系20の小型化とを両立させることができる。
【0058】
式(3)の「DP/LY」が下限値(すなわち1.0)以下になると、プリズムPが小さくなりすぎるため、画像表示素子10の有効画素領域内の周辺部の画素から射出される光をプリズムPで取り込みにくくなる。そのため、有効画素領域内の周辺部の画素から射出される光を導光部材30に伝搬することが難しくなる。式(3)の「DP/LY」が上限値(すなわち2.0)以上になると、プリズムPが大きくなりすぎるため、伝搬光学系20を小型化することが難しくなる。
【0059】
レンズ群LGに含まれるレンズ面のうち、光路上で最も画像表示素子10側のレンズ面LP1から最も導光部材30側のレンズ面LP2までの光軸AX上の距離をDLとしたとき、伝搬光学系20は、次式(4)を満たす構成としてもよい。
【0060】
式(4)
0.5<DP/DL<2.0
【0061】
式(4)を満たすことにより、各種収差を補正するのに有利な構成となる。
【0062】
式(4)の「DP/DL」が下限値(すなわち0.5)以下になると、プリズムPの第1面P1から第2面P2までの光軸AX上の距離DPが短すぎるため、画像表示素子10の有効画素領域内の周辺部の画素から射出される光を導光部材30へ伝搬することが難しくなる。式(4)の「DP/DL」が上限値(すなわち2.0)以上になると、レンズ群LGの全長が短すぎるため、各種収差の補正が難しくなる。例えば、レンズ群LGの全長を短くした場合、レンズ群LGを構成する各レンズの間隔を短くする必要が生じる。その結果として、各レンズのレンズ面に負担させるべきパワーが大きくなる。各レンズ面のパワーが大きくなることに伴い、各レンズ面で発生する各種収差が大きくなる。そのため、レンズ群LG全体で生じる収差を補正することが難しくなる。
【0063】
各種収差をより一層補正するのに有利な構成とすべく、伝搬光学系20は、次式(5)を満たす構成としてもよい。
【0064】
式(5)
0.5<DP/DL<1.5
【0065】
レンズ群LGは、画像表示素子10側から導光部材30側に向かって順に、正のパワーを有する第1正レンズL1P、少なくとも1枚のレンズを有する、負のパワーを有する負レンズ群LGN、正のパワーを有する第2正レンズL2Pを配してなる構成としてもよい。負レンズ群LGNは、例えば1枚のレンズ又は2枚のレンズで構成される。
【0066】
画像表示素子10側から導光部材30側に向かって順に、正、負、正のパワーを有するレンズ(又はレンズ群)を配置することにより、各種収差を良好に補正することができる。また、第1正レンズL1P又は第2正レンズL2Pを負レンズ群LGNが有する負レンズよりアッベ数が大きい材料で形成することにより、色収差をより良好に補正することができる。
【0067】
第1正レンズL1Pの焦点距離をf1とし、負レンズ群LGNの焦点距離をfnとしたとき、伝搬光学系20は、次式(6)を満たす構成としてもよい。
【0068】
式(6)
-2.0<fn/f1<-0.3
【0069】
式(6)を満たすことにより、各種収差をより良好に補正することができる。
【0070】
式(6)の「fn/f1」が下限値(すなわち-2.0)以下になると、負レンズ群LGNの焦点距離fnが長すぎるため、第1正レンズL1Pで発生した収差に対する、負レンズ群LGNでの補正がアンダーとなり、各種収差を十分に補正できない。式(6)の「fn/f1」が上限値(すなわち-0.3)以上になると、焦点距離fnが短すぎるため、第1正レンズL1Pで発生した収差に対する、負レンズ群LGNでの補正がオーバーとなり、各種収差を十分に補正できない。
【0071】
各種収差を更に良好に補正するため、伝搬光学系20は、次式(7)を満たす構成としてもよい。
【0072】
式(7)
-1.8<fn/f1<-0.5
【0073】
第2正レンズL2Pの焦点距離をf2としたとき、伝搬光学系20は、次式(8)を満たす構成としてもよい。
【0074】
式(8)
-2.0<fn/f2<-0.3
【0075】
式(8)を満たすことにより、各種収差をより良好に補正することができる。
【0076】
式(8)の「fn/f2」が下限値(すなわち-2.0)以下になると、負レンズ群LGNの焦点距離fnが長すぎるため、第2正レンズL2Pで発生した収差に対する、負レンズ群LGNでの補正がアンダーとなり、各種収差を十分に補正できない。式(6)の「fn/f2」が上限値(すなわち-0.3)以上になると、焦点距離fnが短すぎるため、第2正レンズL2Pで発生した収差に対する、負レンズ群LGNでの補正がオーバーとなり、各種収差を十分に補正できない。
【0077】
各種収差を更に良好に補正するため、伝搬光学系20は、次式(9)を満たす構成としてもよい。
【0078】
式(9)
-1.8<fn/f2<-0.4
【0079】
プリズムPの第1面P
1と第2面P
2との角度をθとしたとき、伝搬光学系20は、次式(10)を満たす構成としてもよい。より詳細には、角度θは、光軸AX上に位置する第1面P
1の面頂点における接平面と、第2面P
2と、がなす角度である。第2面P
2が平面でなく球面や非球面である場合、角度θは、光軸AX上に位置する第1面P
1の面頂点における接平面と、光軸AX上に位置する第2面P
2の面頂点における接平面と、がなす角度である(後述の数値実施例4を示す
図13参照)。
【0080】
式(10)
70°<θ<110°
【0081】
式(10)を満たすことにより、伝搬光学系20をより一層小型化させることができる。
【0082】
角度θが式(10)の下限値(70°)以下になると、プリズムPの反射面M1のなかで画像表示素子10との距離が最も離れた部分で偏向される光を第2面P2から射出させるため、反射面M1及び第2面P2を画像表示素子10から遠い側に延伸させることになる。そのため、プリズムPが大きくなる。これにより、伝搬光学系20を小型化するのが難しくなる。角度θが式(10)の上限値(110°)以上になると、プリズムPの反射面M1のなかで画像表示素子10との距離が最も近い部分で偏向される光を第1面P1と干渉せずに第2面P2から射出させるため、反射面M1を画像表示素子10から遠ざけるように配置して且つ第2面P2を画像表示素子10側に延伸させることになる。そのため、プリズムPが大きくなる。これにより、伝搬光学系20を小型化するのが難しくなる。
【0083】
次に、伝搬光学系20の具体的な数値実施例1~4を示す。数値実施例1~4の共通事項は次の通りである。
【0084】
《数値実施例1~4の共通事項》
・画像表示素子10の有効画素領域
短辺(X方向)に3mm、長辺(Z方向)に5mmの矩形状
・アイレリーフ
15mm
・収差図
焦点距離17mmの理想レンズで結像する場合で計算
・虚像の対角の画角
40.4度
【0085】
[数値実施例1]
本発明の数値実施例1に係る伝搬光学系20の光学構成は
図3に示される。
図3に示されるように、数値実施例1に係る伝搬光学系20は、画像表示素子10側から順に、プリズムP、レンズ群LGを配してなる。レンズ群LGは、画像表示素子10側から順に、第1正レンズL1
P、負のパワーを有する負レンズ群LG
N、正のパワーを有する第2正レンズL2
Pを配してなる。数値実施例1において、負レンズ群LG
Nは、2枚のレンズで構成される。
【0086】
数値実施例1に係る伝搬光学系20の具体的数値構成は、表1に示される。表1の番号は、画像表示素子10側から順に、画像表示素子10、伝搬光学系20、導光部材30の各面に付されたものである。補足すると、表の番号0は、画像表示素子10の画像表示面(画素配列面)を示す。表の番号1~2は、画像表示素子10に備えられるカバーガラスを示す。カバーガラスは、画像表示素子10の画像表示面をカバーするガラス製部材である。各数値実施例の光学構成図において符号10で示される要素は、カバーガラスを示す。表の番号3~6は、プリズムPを示す。表の番号7~14は、レンズ群LGを示す。表の番号15~17は、導光部材30を示す。表1中、R(単位:mm)は光学素子の各面の曲率半径を示し、D(単位:mm)は光軸AX上の光学素子の厚さ又は光学素子の間隔を示し、Ndはd線(波長587.56nm)の屈折率を示し、νdはd線のアッベ数を示す。アッベ数の右欄には、光学素子の材質の商品名及び製造者を記す。
【0087】
【0088】
表1中、「*」印が付された番号の面は、非球面である。表2に、各非球面のデータを示す。表2中、標記Eは、10を基数、Eの右の数字を指数とする累乗を示す。非球面素子における曲率半径Rは、光軸AX上での曲率半径(近軸曲率半径)を示す。非球面形状は、サグ量をZとし、近軸曲率(1/R)をCとし、光軸からの高さをh(単位:mm)とし、円錐係数をKとし、4次以上の偶数次の非球面係数をA4、A6、・・・とした場合に、次式で示される。
【0089】
Z=Ch2/{1+√(1-(1+K)C2h2)}+A4・h4+A6・h6+A8・h8+A10・h10
【0090】
なお、表の記載形式は、以降の数値実施例2~4においても同じである。
【0091】
【0092】
図5は、数値実施例1に係る伝搬光学系20の各種収差図(球面収差、非点収差及び歪曲収差)である。
図5の球面収差図は、d線、g線(435.84nm)における球面収差を示す。実線はd線における球面収差を示し、点線はg線における球面収差を示す。
図5の非点収差図は、d線における非点収差(すなわち、サジタル像面とメリディオナル像面との差)を示す。実線はサジタル方向の収差を示し、破線はメリディオナル方向の収差を示す。球面収差図及び非点収差図の縦軸は像高を示し、横軸は収差量を示す。
図5の歪曲収差図の縦軸は像高を示し、横軸はd線における歪曲率を示す。
【0093】
図6は、数値実施例1に係る伝搬光学系20の横収差図である。横収差図は、各像高におけるd線、g線での横収差を示す。実線はd線における横収差を示し、点線はg線における横収差を示す。横収差は、X方向とY方向について測定される。
図6左図(上欄に「Y-FAN」が付記された図)は、Y方向における横収差を示し、
図6右図(上欄に「X-FAN」が付記された図)は、X方向における横収差を示す。
【0094】
下記の通り、数値実施例1では、上記式(1)~(10)が全て満たされる。
SAG/H : -0.21(式(1)及び(2)参照)
DP/LY : 1.35(式(3)参照)
DP/DL : 1.13(式(4)及び(5)参照)
fn/f1 : -1.35(式(6)及び(7)参照)
fn/f2 : -1.25(式(8)及び(9)参照)
θ : 90°(式(10)参照)
【0095】
数値実施例1に係る伝搬光学系20は、各種収差が良好に補正されるとともに(
図5及び
図6参照)、広い画角(対角方向に40度を超える画角)が確保され、良好な像性能が達成される。また、数値実施例1に係る伝搬光学系20では、上記式(1)~(10)を満たすことによる各種効果が奏される。
【0096】
[数値実施例2]
図7は、本発明の数値実施例2に係る伝搬光学系20の光学構成を示す図である。
図7に示されるように、数値実施例2に係る伝搬光学系20の光学構成は、数値実施例1に係る伝搬光学系20の光学構成と同じである。
【0097】
数値実施例2に係る伝搬光学系20の具体的数値構成は、表3に示される。補足すると、表の番号0は、画像表示素子10の画像表示面(画素配列面)を示す。表の番号1~2は、画像表示素子10に備えられるカバーガラスを示す。表の番号3~6は、プリズムPを示す。表の番号7~14は、レンズ群LGを示す。表の番号15~17は、導光部材30を示す。数値実施例2の各非球面のデータは、表4に示される。
【0098】
【0099】
【0100】
図8は、数値実施例2に係る伝搬光学系20の各種収差図(球面収差、非点収差及び歪曲収差)である。
図9は、数値実施例2に係る伝搬光学系20の横収差図である。
【0101】
下記の通り、数値実施例2においても上記式(1)~(10)が全て満たされる。
SAG/H : -0.18(式(1)及び(2)参照)
DP/LY : 1.36(式(3)参照)
DP/DL : 1.02(式(4)及び(5)参照)
fn/f1 : -1.22(式(6)及び(7)参照)
fn/f2 : -1.45(式(8)及び(9)参照)
θ : 100°(式(10)参照)
【0102】
数値実施例2に係る伝搬光学系20においても、各種収差が良好に補正されるとともに(
図8及び
図9参照)、広い画角(対角方向に40度を超える画角)が確保され、良好な像性能が達成される。また、数値実施例2に係る伝搬光学系20においても、上記式(1)~(10)を満たすことによる各種効果が奏される。
【0103】
[数値実施例3]
図10は、本発明の数値実施例3に係る伝搬光学系20の光学構成を示す図である。
図10に示されるように、数値実施例3に係る伝搬光学系20の光学構成は、負レンズ群LG
Nが1枚のレンズで構成される点を除き、数値実施例1に係る伝搬光学系20の光学構成と同じである。
【0104】
数値実施例3に係る伝搬光学系20の具体的数値構成は、表5に示される。補足すると、表の番号0は、画像表示素子10の画像表示面(画素配列面)を示す。表の番号1~2は、画像表示素子10に備えられるカバーガラスを示す。表の番号3~6は、プリズムPを示す。表の番号7~12は、レンズ群LGを示す。表の番号13~15は、導光部材30を示す。数値実施例3の各非球面のデータは、表6に示される。
【0105】
【0106】
【0107】
図11は、数値実施例3に係る伝搬光学系20の各種収差図(球面収差、非点収差及び歪曲収差)である。
図12は、数値実施例3に係る伝搬光学系20の横収差図である。
【0108】
下記の通り、数値実施例3においても上記式(1)~(10)が全て満たされる。
SAG/H : -0.17(式(1)及び(2)参照)
DP/LY : 1.58(式(3)参照)
DP/DL : 1.40(式(4)及び(5)参照)
fn/f1 : -1.04(式(6)及び(7)参照)
fn/f2 : -0.62(式(8)及び(9)参照)
θ : 80°(式(10)参照)
【0109】
数値実施例3に係る伝搬光学系20においても、各種収差が良好に補正されるとともに(
図11及び
図12参照)、広い画角(対角方向に40度を超える画角)が確保され、良好な像性能が達成される。また、数値実施例3に係る伝搬光学系20においても、上記式(1)~(10)を満たすことによる各種効果が奏される。
【0110】
[数値実施例4]
図13は、本発明の数値実施例4に係る伝搬光学系20の光学構成を示す図である。
図13に示されるように、数値実施例4に係る伝搬光学系20の光学構成は、負レンズ群LG
Nが1枚のレンズで構成される点を除き、数値実施例1に係る伝搬光学系20の光学構成と同じである。
【0111】
数値実施例4に係る伝搬光学系20の具体的数値構成は、表7に示される。補足すると、表の番号0は、画像表示素子10の画像表示面(画素配列面)を示す。表の番号1~2は、画像表示素子10に備えられるカバーガラスを示す。表の番号3~7は、プリズムPを示す。表の番号8~13は、レンズ群LGを示す。表の番号14~16は、導光部材30を示す。数値実施例4の各非球面のデータは、表8に示される。
【0112】
【0113】
【0114】
図14は、数値実施例4に係る伝搬光学系20の各種収差図(球面収差、非点収差及び歪曲収差)である。
図15は、数値実施例4に係る伝搬光学系20の横収差図である。
【0115】
下記の通り、数値実施例4においても上記式(1)~(10)が全て満たされる。
SAG/H : -0.16(式(1)及び(2)参照)
DP/LY : 1.60(式(3)参照)
DP/DL : 1.26(式(4)及び(5)参照)
fn/f1 : -0.79(式(6)及び(7)参照)
fn/f2 : -0.52(式(8)及び(9)参照)
θ : 90°(式(10)参照)
【0116】
数値実施例4に係る伝搬光学系20においても、各種収差が良好に補正されるとともに(
図14及び
図15参照)、広い画角(対角方向に40度を超える画角)が確保され、良好な像性能が達成される。また、数値実施例4に係る伝搬光学系20においても、上記式(1)~(10)を満たすことによる各種効果が奏される。
【0117】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
1 :ヘッドマウントディスプレイ
10 :画像表示素子
20 :伝搬光学系
30 :導光部材
31 :第1導光部材
31a :第1ミラー
32 :第2導光部材
32a :第2ミラー
32b :第3ミラー
100 :フレーム
LG :レンズ群
P :プリズム