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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043508
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】骨脂を含有するソース
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20230322BHJP
   A23L 7/109 20160101ALN20230322BHJP
   A23L 7/113 20160101ALN20230322BHJP
【FI】
A23L23/00
A23L7/109 E
A23L7/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151180
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100215670
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 直毅
(72)【発明者】
【氏名】木村 由美
【テーマコード(参考)】
4B036
4B046
【Fターム(参考)】
4B036LC01
4B036LE02
4B036LF03
4B036LF05
4B036LH04
4B036LH08
4B036LH10
4B036LH12
4B036LH13
4B036LH14
4B036LH29
4B036LH32
4B036LH38
4B036LH44
4B036LK01
4B036LK03
4B036LP02
4B036LP17
4B036LP19
4B036LP21
4B046LA06
4B046LB04
4B046LG02
4B046LG13
4B046LG16
4B046LG19
4B046LG33
4B046LG42
4B046LG51
4B046LG60
4B046LP80
(57)【要約】
【課題】ソースの製造の際の充填装置における脂詰まりを抑制でき、滑らかさ及び風味に優れ、かつ麺と絡めたときの一体感に優れる、ソースを提供する。
【解決手段】本発明のソースは、ソース全量に対し骨脂を2質量%以上含有し、ソースに含まれる油脂全量に対する前記骨脂の含有率が35質量%以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースであって、
ソース全量に対し骨脂を2質量%以上含有し、
ソースに含まれる油脂全量に対する前記骨脂の含有率が35質量%以上である、前記ソース。
【請求項2】
前記骨脂が牛骨脂である、請求項1に記載のソース。
【請求項3】
ソース全量に対する油脂全量の含有率が9質量%以下である、請求項1又は2に記載のソース。
【請求項4】
ボロネーズソース、デミグラスソース、カレーソース、ハヤシライスソース、クリームソース、中華ソース及び麻婆ソースからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載のソース。
【請求項5】
麺類又は飯類用である、請求項1~4のいずれか1項に記載のソース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨脂を含有するソースに関する。
【背景技術】
【0002】
ボロネーズソースやカレーソースといった、麺類や飯類あるいは副菜と共に食されるソースは、老若男女問わず人気の食材である。このようなソース類には、風味やコクを付与するために牛脂、豚脂、鶏脂等の動物性油脂が使用されることが多い。このような動物性油脂は、家畜を解体する際に得られる常温固体の油脂である。
【0003】
食品工場において大量生産されるソースは、レトルト耐性や冷凍耐性のある袋又は容器に充填されて市場に供給されるか、又は麺類や飯類に上掛けした状態でチルド食品として市場に供給される。食品衛生の観点から、ソースを加熱調理した後、冷却してから容器等に充填することがある。この場合、常温固体の動物性油脂は、冷却により固化するため、充填装置のソース流路や充填ノズルに付着して詰まりの原因となり、製造効率が低下するという問題がある。また、喫食する際に再加熱することでソースの滑らかさが損なわれ、ボソボソとした舌ざわりの悪い食感となり、食味にもくすみが出るという問題がある。
【0004】
特許文献1には、ひまわり油を4.5質量%以上含有し、且つ該ひまわり油を含む油脂を30質量%以上含有し、品温-5℃以下の状態で流動性を有する乳化ソースが開示されており、ソースに乳化剤を添加することで流動性及び乳化安定性が向上することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-166424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、乳化剤を使用する場合、乳化剤の添加量によっては乳化剤特有の苦みや臭みが感じられるようになるため、その添加量に限界があり、更にソースが白濁するという外観的に問題が生じるようにもなる。
また、動物性油脂の一部を常温液体油脂に置換して流動性を上げることも考えられるが、その場合、動物性油脂に由来する風味やコクが減少し、トマト等の酸味性食材の酸味が際立つようになり、更には麺類や飯類と絡みにくく、ソースとして満足のいくものとはなりにくい。
【0007】
本発明の目的は、ソースの製造の際の充填装置における脂詰まりを抑制でき、滑らかさ及び風味に優れ、かつ麺類や飯類と絡めたときの一体感に優れる、ソースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ソースの材料として骨脂を使用し、骨脂の配合を調整することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]ソースであって、
ソース全量に対し骨脂を2質量%以上含有し、
ソースに含まれる油脂全量に対する前記骨脂の含有率が35質量%以上である、前記ソース。
[2]前記骨脂が牛骨脂である、[1]に記載のソース。
[3]ソース全量に対する油脂全量の含有率が9質量%以下である、[1]又は[2]に記載のソース。
[4]ボロネーズソース、デミグラスソース、カレーソース、ハヤシライスソース、クリームソース、中華ソース及び麻婆ソースからなる群から選択される、[1]~[3]のいずれかに記載のソース。
[5]麺類又は飯類用である、[1]~[4]のいずれかに記載のソース。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ソースの製造の際の充填装置における脂詰まりを抑制でき、滑らかさ及び風味に優れ、かつ麺類や飯類と絡めたときの一体感に優れる、ソースを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明におけるソースとは、具材及び液部を含むペースト状又は液体状の流動物を意味する。
ソースとしては、特に限定されず、ボロネーゼソース、デミグラスソース、カレーソース、ハヤシライスソース、クリームソース、中華ソース及び麻婆ソースからなる群から選択されることが好ましく、ボロネーゼソース、デミグラスソース、カレーソース及びハヤシライスソースからなる群から選択されることがより好ましく、ボロネーゼソースであることが更に好ましい。
本発明のソースは、麺類や飯類と絡めたときの一体感に優れることから、麺類又は飯類用ソースであることが好ましい。本発明のソースは、麺類又は飯類と共に喫食されるものであることが好ましく、麺類又は飯類にかけたり、和えたりするためのものであることが好ましい。
【0012】
本発明のソースは、骨脂を含む。
骨脂とは、食肉加工の副産物として得られる動物の骨から分離精製された油脂であり、一般に常温固体の油脂である。牛脂や豚脂等の脂肪(いわゆる脂身)由来の油脂とは異なる。一般に、骨脂は化粧料や潤滑剤の原料として使用されている。
上記骨脂はいずれの動物由来のものであってもよく、一般に食用に供される動物の骨脂であれば特に限定されず使用することができる。上記動物は、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、両生類のいずれであってもよい。上記骨脂は、入手容易性の観点から家畜の骨脂であることが好ましく、牛、豚、羊、山羊又は鶏の骨脂であることがより好ましく、牛の骨脂(牛骨脂)であることが更に好ましい。骨脂は市販品を使用してもよく、例えば牛骨脂として株式会社司食品工業製のビーフオイル等が挙げられる。
【0013】
本発明のソースは、ソース全量に対し骨脂を2質量%以上含有する。骨脂の含有量は好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。これによりソースの滑らかさが良好になり、風味が良好になり、かつ麺類や飯類と絡めたときの一体感が良好になる。骨脂の含有量の上限は特に限定されないが、ソースの油浮きを抑制する観点からは、ソース全量に対し9質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることが更に好ましい。
【0014】
本発明のソースは、本発明の効果を妨げない限り、骨脂以外の油脂を含んでいてもよい。そのような油脂は特に限定されず、常温固体油脂、常温液体油脂、加工油脂、油脂加工食品等のいずれであってもよい。
常温固体油脂とは、油糧原料から分離精製された常温で固体である油脂をいい、具体的には、20℃で24時間静置した際に固体である油脂をいう。常温固体油脂は、一般に不飽和脂肪酸よりも飽和脂肪酸のグリセリンエステルを多く含有する。常温固体油脂の具体例としては例えば、牛脂、豚脂等の動物脂、パーム油、パーム核油等の植物脂が挙げられる。
常温液体油脂とは、油糧原料から分離精製された常温で液体である油脂をいい、具体的には、20℃で24時間静置した際に液体である油脂をいう。常温液体油脂は、一般に飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸のグリセリンエステルを多く含有する。常温液体油脂の具体例としては例えば、大豆油、菜種油、コーン油、サラダ油等の植物油、魚油、肝油等の動物油が挙げられる。
【0015】
加工油脂とは、動物性油脂、植物性油脂又はこれらの混合油脂に水素添加、分別又はエステル交換を行って融点を調整し、又は酸化安定性を付与した油脂であって、かつ任意に食用に適するように精製(脱酸、脱色、脱臭等)してもよい油脂をいう。具体的には例えば、大豆油、パーム油、菜種油、綿実油、米糠油、サフラワー油、ピーナッツ油、ごま油、アマニ油、オリーブ油、コーン油等の植物性油脂や牛脂、豚脂、魚油等の動物性油脂を水素添加によって融点を上昇させ安定化させた硬化油、原料油脂を高融点油脂と低融点油脂に分別して得られる分別油、油脂の脂肪酸基を分子内又は分子間で交換し改質させたエステル交換油等が挙げられる。
油脂加工食品とは、コーン油、大豆油、パーム油、菜種油、綿実油、牛脂、魚油、加工油脂等の食用油脂に水、食塩、乳成分、ビタミン等を加えて混合乳化し練り合わせた油脂である。油脂加工食品としては、バター、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド等が挙げられる。野菜や食肉等の食材の炒め油脂として使用する観点から、油脂加工食品は、油脂含有量が80質量%以上であることが好ましい。
本発明のソースが骨脂以外の油脂を含む場合は、効果的に風味やコクをソースに付与する観点から、上記骨脂以外の油脂は家畜由来の油脂(但し骨脂を除く)であることが好ましく、牛、豚、羊、山羊、鶏由来の油脂(但し骨脂を除く)であることがより好ましく、牛脂であることが更に好ましい。
【0016】
本発明のソースは、ソースに含まれる油脂全量に対する骨脂の含有率が35質量%以上である。これによりソースの製造の際の充填装置における脂詰まりを抑制でき、風味に優れ、かつ麺類や飯類と絡めたときの一体感が良好なソースが得られる。上記骨脂の含有率は、40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。本発明のソースに含まれる油脂全量に対する骨脂の含有率は100質量%であってもよい。上記骨脂の含有率の上限は特に限定されないが、バランスに優れたソースを得る観点からは、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
なお本発明において油脂として油脂加工食品を使用する場合、油脂全量の算出にあたっては、油脂加工食品に含まれる油脂のみを考慮するものとする。
【0017】
本発明のソースは、ソース全量に対する油脂全量の含有率が9質量%以下であることが好ましい。これによりソースの油浮きを抑制することができる。上記油脂全量の含有率は、4~8.5質量%であることが好ましく、4.5~8質量%であることがより好ましい。
【0018】
本発明のソースは、骨脂及び必要に応じて骨脂以外の油脂に加えて、通常ソースの製造に使用される副原料を含んでいてもよい。
上記副原料としては例えば、野菜、野菜加工品、野菜ソース、乳及び乳製品(チーズ、クリーム、ヨーグルト、脱脂粉乳、全脂粉乳等)、卵及び卵加工品(全卵粉、卵白粉、卵黄粉等)、澱粉質原料、香辛料(胡椒、唐辛子等)、調味料(食塩、上白糖、醤油、味噌、酢、ソース、ケチャップ、グルタミン酸ナトリウム、核酸、有機酸、蛋白加水分解物、畜肉エキス、酵母エキス、出汁等)、香料、着色料、酸化防止剤、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等)、増粘多糖類(キサンタンガム、タマリンドガム、グァーガム等)等が挙げられる。
【0019】
上記澱粉質原料の具体例としては例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦のセモリナ、デュラム小麦粉等)、ライ麦粉、ライ小麦粉、大麦粉、米粉、トウモロコシ粉、蕎麦粉、大豆粉、モロコシ粉等の穀粉類;小麦澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、緑豆澱粉、サゴ澱粉等の澱粉類;前記澱粉にα化、アセチル化、エーテル化、架橋、酵素反応等の変性処理を単独又は組み合わせて得られる加工澱粉類(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋澱粉等)等が挙げられる。
【0020】
上記野菜の具体例としては例えば、長ネギ、ホウレンソウ、キャベツ、ブロッコリー等の葉茎菜類、トマト、ピーマン、パプリカ、ナス、オクラ等の果菜類、大豆、インゲン、ひよこ豆、エンドウ豆等の豆類、ニンジン、タマネギ、ジャガイモ等の根菜類等が挙げられる。
【0021】
本発明のソースは、骨脂を使用する以外は定法に従って製造することができる。例えば、ボロネーズソースの場合は、骨脂を含む油で野菜を炒めた後、挽肉を炒め、調味料、香辛料、トマトペースト等を加えて煮込むことで製造することができる。デミグラスソースやカレーソースの場合も、骨脂を含む油で野菜や肉を炒めた後、その他の具材や調味料、香辛料を入れ煮込むことで製造することができる。
【0022】
本発明のソースは、袋や容器に充填してレトルト処理することにより、常温保存に適したレトルトソースを得ることができ、袋や容器に充填して冷凍処理することにより、冷凍保存に適した冷凍ソースを得ることもできる。また、茹で麺や飯に上掛けして冷却することにより、チルド食品を得ることもできる。チルド食品とは、好ましくは0℃を超え、10℃以下の温度で冷蔵されている食品を意味する。
【0023】
レトルト処理の方法は、従来のレトルトソースを製造する際の手法であれば特に限定されず、例えば密封容器に充填したソースを、加圧加熱殺菌機を使用して約120℃で約30分間加熱する方法等が挙げられる。
冷凍処理の方法も特に限定されないが、急速冷凍する方法であることが好ましい。急速冷凍とは、最大氷結晶生成帯(-1~-5℃)を30分以内で通過させる方法をいう。例えば、-40℃に設定した急速冷凍機を使用して冷凍させる方法が挙げられる。
【実施例0024】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
〔製造例1:牛骨脂を使用したボロネーゼソースの製造〕
油脂として牛骨脂(株式会社司食品工業製、ビーフオイル)8質量部、みじん切りしたニンニク0.1質量部及びみじん切りした玉ねぎ10質量部を容量400kgの真空冷却機付きニーダーに投入し、ニンニクと玉ねぎの合計質量が加熱前の85質量%(8.585質量部、油脂との合計が16.585質量部)になるまで炒めた。
更に牛挽肉を15質量部投入し、十分に加熱されるまで炒めた。その後、乳化剤(デカグリセリンステアリン酸エステル)0.15質量部、タピオカ澱粉1.0質量部、トマトペースト15質量部、赤ワイン5質量部、調味料5.6質量部(食塩1.5質量部、砂糖3質量部、香辛料0.1質量部、グルタミン酸ナトリウム1質量部)を投入し、全体が100質量部となるように水を投入し、全体的に85℃になるまで加熱混合してボロネーゼソースを得た。
真空冷却機を稼働してニーダー内を減圧し、得られたボロネーゼソースが全体的に15℃になるまで混合しながら真空冷却した。
【0026】
〔評価例1:官能評価〕
冷却されたボロネーゼソース80gを耐熱性容器に入れ、電子レンジを用いて600Wで2分間加熱し、茹でたスパゲッティ160gと和え、10名の熟練パネラーにより下記評価基準表1に従って官能評価を行い、平均点を算出した。なお、油脂として牛脂を用いた以外は製造例1に従って製造したボロネーゼソース(参考例1)の評価点を3点とした。
評価基準表1
【0027】
〔評価例2:ソースの充填性評価〕
製造例1に従って60kgのボロネーゼソースを製造した。15℃に冷却したボロネーゼソースをソース充填機に投入し、ベルトコンベア上を一定速度で移動する容器入り茹でパスタ80gに対して40g/ショット、100ショット/分の条件で充填試験(上掛け)を行った(連続1500ショット)。10名の熟練パネラーにより下記評価基準表2に従ってノズルの油脂詰まり(充填試験終了後のノズル出口の状態と充填中の充填状況)を目視で確認して評価し、平均点を算出した。なお油脂として牛脂を用いた以外は製造例1に従って製造したボロネーゼソース(参考例1)の評価点を1点とした。
評価基準表2
【0028】
〔試験例1:骨脂の使用量の検討〕
下記表1に記載の油脂を使用した以外は製造例1に従ってボロネーゼソースを製造し、評価例1及び2に従って各評価を行った。油脂の使用量を増減させた場合は、水の使用量を調節することでソース全量が100質量部となるようにした。なお油脂としてサラダ油を用いた場合(参考例2)の滑らかさの評価点を5点、麺絡みを1点、風味を1点、油脂詰まりを5点とした。結果を表1に示す。なお表中「質量%」は、特に断りのない限りソース全量に対する割合を表す。
【0029】
【表1】
【0030】
その結果、牛骨脂の配合量が増加するに伴ってソースの滑らかさ、麺絡み及び風味の評価が良好になり、滑らかさ及び麺絡みの評価は試験番号3が最も良好であり、風味の評価は試験番号4が最も良好であった。牛骨脂を8質量部使用した試験番号4は、牛脂を同量使用した参考例1とは対照的に、充填機ノズルの油脂詰まりが全くなく、安定的にソースの充填をすることが可能であった。牛骨脂を1質量部使用した試験番号1では、参考例1と比べて麺絡み及び風味が物足りない結果であった。
【0031】
〔試験例2:骨脂の使用割合の検討〕
下記表2及び3に記載の油脂を使用した以外は製造例1に従ってボロネーゼソースを製造し、評価例1及び2に従って各評価を行った。結果を表2及び3に示す。なお表中、「牛骨脂の割合」は、ソースに含まれる油脂全量に対する牛骨脂の割合を意味する。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
その結果、油脂として牛骨脂及び牛脂を併用した試験番号5~8では、牛骨脂の割合が増えるにつれてソースの官能評価及び充填性が良好になった。牛骨脂の割合が全油脂の35質量%に満たない試験番号7及び8では、充填ノズルに油脂詰まりがあり、充填ショットが増加するに従ってソースの充填が不安定になり、不適であった。試験番号7において牛脂の一部をサラダ油で置換すると油脂詰まりが改善されていくものの(試験番号9及び10)、試験番号9ではまだ不十分であり、かつ風味が劣るものになり、さらに割合を増やした試験番号10では風味が更に劣る結果であった。
牛骨脂とサラダ油を併用した試験番号11~14では、同様に牛骨脂の割合が増えるにつれてソースの官能評価及び充填性が良好になった。牛骨脂の割合が全油脂の35質量%に満たない試験番号13及び14は、参考例1と比べて、麺類に対するソースの絡み性及び風味が改善されないか、劣るものであった。