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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043676
(43)【公開日】2023-03-29
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230322BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20230322BHJP
   C23C 16/54 20060101ALI20230322BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20230322BHJP
   H01L 21/316 20060101ALN20230322BHJP
   H01L 21/318 20060101ALN20230322BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/52
C23C16/54
C23C16/455
H01L21/316 X
H01L21/318 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151426
(22)【出願日】2021-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 幸二
(72)【発明者】
【氏名】東 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 裕志
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA02
4K030BA43
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA06
4K030EA03
4K030EA06
4K030EA11
4K030FA01
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA05
4K030GA12
4K030HA01
4K030HA15
4K030JA06
4K030JA09
4K030JA11
4K030KA39
4K030KA41
4K030LA15
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB31
5F045AB32
5F045AB33
5F045AC00
5F045AC03
5F045AC05
5F045AC11
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB08
5F045BB17
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EC02
5F045EE14
5F045EE17
5F045EF03
5F045EF09
5F045EG01
5F045EK06
5F045GB04
5F045GB07
5F058BA20
5F058BC02
5F058BC03
5F058BC08
5F058BD04
5F058BD05
5F058BD10
5F058BF04
5F058BF24
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
5F058BG02
(57)【要約】
【課題】ガスの分析によりパージ工程の条件を適正化する。
【解決手段】基板を処理する処理容器と、前記処理容器内にガスを供給するガス供給部と、前記処理容器内からガスを排気する排気装置と、前記処理容器と前記排気装置とを接続する排気配管を通るガスを分析するように構成されたガス分析器と、を有する基板処理装置が実行する基板処理方法であって、前記処理容器内に基板を準備する工程と、前記処理容器内に処理ガスを供給し、前記処理容器において前記処理ガスによる処理を行う工程と、前記処理容器内にパージガスを供給し、前記処理容器内の前記処理ガスをパージする工程と、前記処理ガスのパージ工程の間に前記ガス分析器により前記排気配管を通る処理ガスを分析する工程と、前記処理ガスを分析した結果に基づき前記処理ガスのパージ工程の条件を決定する工程と、を含む基板処理方法が提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理容器と、
前記処理容器内にガスを供給するガス供給部と、
前記処理容器内からガスを排気する排気装置と、
前記処理容器と前記排気装置とを接続する排気配管を通るガスを分析するように構成されたガス分析器と、
を有する基板処理装置が実行する基板処理方法であって、
前記処理容器内に基板を準備する工程と、
前記処理容器内に処理ガスを供給し、前記処理容器において前記処理ガスによる処理を行う工程と、
前記処理容器内にパージガスを供給し、前記処理容器内の前記処理ガスをパージする工程と、
前記処理ガスのパージ工程の間に前記ガス分析器により前記排気配管を通る処理ガスを分析する工程と、
前記処理ガスを分析した結果に基づき前記処理ガスのパージ工程の条件を決定する工程と、を含む基板処理方法。
【請求項2】
前記ガス分析器は、前記排気配管をバイパスするバイパス配管に設けられ、
前記処理ガスを分析する工程は、前記排気配管から前記バイパス配管を通る処理ガスを分析する、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記パージ工程の条件を決定する工程は、前記処理ガスの分析値が予め設定した基準値を下回ったときに応じて前記パージ時間を決定する、
請求項1又は2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記パージ工程の条件を決定する工程は、前記処理容器内に前記処理ガスとして原料ガスによる処理を行った後、前記処理容器内にパージガスを供給し、前記原料ガスをパージする第1のパージ工程の間に前記原料ガスを分析した結果に基づき前記第1のパージ工程の条件を決定し、
前記第1のパージ工程の後、前記処理容器内に前記処理ガスとして反応ガスによる処理を行った後、前記処理容器内にパージガスを供給し、前記反応ガスをパージする第2のパージ工程の間に前記反応ガスを分析した結果に基づき前記第2のパージ工程の条件を決定する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記原料ガスのパージ工程の条件は、前記原料ガスのパージ時間であり、
前記反応ガスのパージ工程の条件は、前記反応ガスのパージ時間である、
請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記基板を準備する工程は、新たな基板を準備し、
前記処理ガスによる処理を行う工程は、前記処理容器内に処理ガスを供給し、前記処理容器において前記新たな基板に前記処理ガスによる処理を行い、
前記処理ガスをパージする工程は、前記処理容器内にパージガスを供給し、決定した前記処理ガスのパージ工程の条件に従い前記処理ガスをパージする、
請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
処理容器内に準備した基板を処理する処理容器と、
前記処理容器内にガスを供給するガス供給部と、
前記処理容器内からガスを排気する排気装置と、
前記処理容器と前記排気装置とを接続する排気配管を通るガスを分析するように構成されたガス分析器と、
制御部と、を有する基板処理装置であって、
前記制御部は、
前記処理容器内に処理ガスを供給し、前記処理容器において前記処理ガスによる処理を行う工程と、
前記処理容器内にパージガスを供給し、前記処理容器内の前記処理ガスをパージする工程と、
前記処理ガスのパージ工程の間に前記ガス分析器により前記排気配管を通る処理ガスを分析する工程と、
前記処理ガスを分析した結果に基づき前記処理ガスのパージ工程の条件を決定する工程と、を制御する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、半導体製造装置のチャンバ内にクリーニングガスを供給してチャンバ内をクリーニングした後、チャンバ内の堆積物が除去されたかを確認する確認クリーニング処理を行う。確認クリーニング処理では、確認クリーニング処理中にクリーニングガスとチャンバ内に付着した堆積物とが反応して生成された反応ガス濃度を測定し、反応ガス濃度が堆積物除去判定値以下の場合、チャンバ内の堆積物は除去されていると判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-151356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ガスの分析によりパージ工程の条件を適正化できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、基板を処理する処理容器と、前記処理容器内にガスを供給するガス供給部と、前記処理容器内からガスを排気する排気装置と、前記処理容器と前記排気装置とを接続する排気配管を通るガスを分析するように構成されたガス分析器と、を有する基板処理装置が実行する基板処理方法であって、前記処理容器内に基板を準備する工程と、前記処理容器内に処理ガスを供給し、前記処理容器において前記処理ガスによる処理を行う工程と、前記処理容器内にパージガスを供給し、前記処理容器内の前記処理ガスをパージする工程と、前記処理ガスのパージ工程の間に前記ガス分析器により前記排気配管を通る処理ガスを分析する工程と、前記処理ガスを分析した結果に基づき前記処理ガスのパージ工程の条件を決定する工程と、を含む基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、ガスの分析によりパージ工程の条件を適正化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る基板処理装置を示す断面図。
図2】実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャート。
図3】実施形態に係る基板処理方法におけるパージ条件の適正化を説明するための図。
図4】実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
[基板処理装置]
本開示の実施形態に係る基板処理装置について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る基板処理装置を示す断面図である。図1は、基板処理装置の一例である熱処理装置を示す。
【0010】
図1に示されるように、熱処理装置1は、処理容器10と、蓋部38と、基板保持具16と、ガス供給部60と、ガス排気部71と、加熱部90とを有する。処理容器10は、半導体ウエハを一例とする基板Wを収容する。処理容器10は、下端が開放された有天井の円筒形状の内管12と、下端が開放されて内管12の外側を覆う有天井の円筒形状の外管14とが同軸状に配置された二重管構造である。ただし、ただし、処理容器10の構造はこれに限らず、内管12を有さない構造であってもよい。内管12及び外管14は、石英、炭化珪素(SiC)等の耐熱性材料により形成されている。
【0011】
内管12の一側には、その上下方向に沿ってガスノズル62、64、66を収容するノズル収容部18が形成されている。本開示では、内管12の側壁部20の一部を外側へ向けて突出させ、突出させた空間内をノズル収容部18として形成している。ノズル収容部18に対向させて内管12の反対側の側壁部には、その上下方向に沿って矩形状のスリット22が形成されている。
【0012】
スリット22は、内管12の内部のガスを排気できるように形成されたガス排気口である。スリット22の長さは、基板保持具16の長さと同じであるか、又は基板保持具16の長さよりも長く上下方向へそれぞれ延びるよう形成されている。基板保持具16は、処理容器10内に収容可能であり、複数(例えば150枚)の基板Wを上下方向に所定間隔を有して略水平に保持する。
【0013】
処理容器10の下端は、例えばステンレス鋼により形成される円筒形状のマニホールド30によって支持されている。マニホールド30の上端には、フランジ部32が形成されている。フランジ部32上に外管14の下端が設置されることで、外管14が支持されている。フランジ部32と外管14の下端との間には、Oリング等のシール部材34が設けられている。シール部材34により、外管14内が気密状態に維持される。
【0014】
マニホールド30の上部の内壁には、円環状の支持部36が設けられている。支持部36上に内管12の下端が設置させることで、内管12が支持されている。マニホールド30の下端の開口には、蓋部38がOリング等のシール部材40を介して気密に取り付けられている。蓋部38により、処理容器10の下端の開口、即ち、マニホールド30の開口が気密に塞がれている。蓋部38は、例えばステンレス鋼により形成されている。
【0015】
蓋部38の中央部には、磁性流体シール部42を介して回転軸44が貫通させて設けられている。回転軸44の下部は、ボートエレベータ等の昇降手段46のアーム48に回転自在に支持されている。
【0016】
回転軸44の上端には回転プレート50が設けられており、回転プレート50上に石英製の保温台52を介して基板Wを保持する基板保持具16が載置される。従って、昇降手段46を昇降させることによって蓋部38と基板保持具16とは一体として上下動し、基板保持具16を処理容器10内に対して挿脱できる。
【0017】
ガス供給部60は、マニホールド30に設けられており、内管12内へ原料ガス、反応ガス、パージガス等の各種のガスを導入する。ガス供給部60は、複数(例えば3本)の石英製のガスノズル62、64、66を有する。各ガスノズル62、64、66は、内管12の内部にその長手方向に沿って設けられると共に、その基端(下端)がL字状に屈曲されてマニホールド30を貫通するようにして支持されている。ガスノズル62、64、66は、内管12のノズル収容部18内に周方向に沿って設置されている。
【0018】
ガスノズル62は、処理容器10内に原料ガスを供給する。ガスノズル62には、その長手方向に沿って所定間隔で複数のガス孔62Aが形成されている。ガス孔62Aは、内管12の内部に形成されており、水平方向に向けて内管12の内部に原料ガスを吐出する。原料ガスとしては、例えば、金属含有ガス、シリコン含有ガスを用いることができる。金属含有ガスとしては、例えばAlClガスが挙げられる。シリコン含有ガスとしては、例えばジクロロシラン(DCS:SiHCl)、ヘキサクロロジシラン(HCD:SiCl)、テトラクロロシラン(SiCl)、トリクロロシラン(SiHCl)が挙げられる。
【0019】
ガスノズル64は、処理容器10内に原料ガスと反応する反応ガスを供給する。ガスノズル64には、その長手方向に沿って所定間隔で複数のガス孔64Aが形成されている。ガス孔64Aは、内管12の内部に形成されており、水平方向に向けて内管12の内部に反応ガスを吐出する。反応ガスとしては、例えば酸化ガス、窒化ガス、還元ガスを用いることができる。酸化ガスとしては、例えばオゾン(O)、酸素(O)、水蒸気(HO)、水素+酸素(H+O)、水素+オゾン(H+O)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)が挙げられる。窒化ガス、還元ガスとしては、例えばアンモニア(NH)、有機アミンガス、ジアゼン(N)、ヒドラジン(N)、ヒドラジン化合物(例えばモノメチルヒドラジン(MMH))が挙げられる。
【0020】
ガスノズル66は、処理容器10内にパージガスを供給する。ガスノズル66には、その長手方向に沿って所定間隔で複数のガス孔66Aが形成されている。ガス孔66Aは、内管12の内部に形成されており、水平方向に向けて内管12の内部にパージガスを吐出する。パージガスとしては、例えば窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガスを用いることができる。
【0021】
複数のガス孔62A、64A、66Aの所定間隔は、例えば基板保持具16に支持される基板Wの間隔と同じ間隔に設定される。また、高さ方向の位置は、ガス孔62A、64A、66Aのそれぞれが上下方向に隣り合う基板W間の中間に位置するように設定されている。これにより、原料ガス、反応ガス、パージガスのそれぞれを基板W間に効率的に供給できる。
【0022】
また、マニホールド30の上部の側壁であって、支持部36の上方には、排気口70が形成されている。排気口70は、内管12と外管14との間の空間部69と連通する。内管12の内部のガスは、空間部69を介してスリット22から排出され、排気口70を介して処理容器10の外部に排気される。排気口70には、処理容器10内のガスを排気するガス排気部71が設けられている。ガス排気部71は、排気口70に接続された排気配管72を有しており、排気配管72には圧力調整弁(図示せず)及び排気装置80が順次介設されて、処理容器10内を真空排気する。排気装置80は、真空ポンプを有し、原料ガス等のガスを排気する。排気装置80には、除害装置82が接続されている。除害装置82は、排気装置80が排気した原料ガス等を無害化させる。
【0023】
排気配管72はメインの排気ラインであり、処理容器1と排気装置80とを接続する。排気配管72には排気配管72から分岐し、排気配管72をバイパスするバイパス配管73の排気ラインが接続されている。バイパス配管73には、ガス分析器74が設けられている。また、バイパス配管73には、ガス分析器74の上流側にバルブ75が設けられ、ガス分析器74の下流側にバルブ76が設けられている。
【0024】
ガス分析器74は、排気配管72を通るガスを分析する。具体的には、ガス分析器74は、排気配管72からバイパス配管73を通る原料ガス、反応ガス等の処理ガスを分析する。例えば、ガス分析器74には、ガスを検知して定量分析が可能な、非分散型赤外線分析装置(Non Dispersive InfraRed、以下、NDIRという)を使用することができる。ガス分析器74には、FT-IRを用いてもよい。例えば、ガス分析器74がNDIRの場合、ガス分析器74は、夫々のガスを分析し、各ガスが持つ特有の吸収波長領域を利用してガス中に含まれる原料ガス濃度又は反応ガス濃度の測定値を求める。制御部2は、ガス分析器74から出力される原料ガス濃度又は反応ガス濃度の信号を取得し、パージ工程においてパージガスによる処理容器10内の原料ガス及び反応ガスの置換の度合い、すなわち原料ガス、反応ガスの排気度合いを判定する。
【0025】
このようにしてガス分析器74は、バイパス配管73を通るガスを分析することで、制御部2は、ガス分析器74から取得した原料ガス濃度及び反応ガス濃度に基づき、原料ガス及び反応ガスの排気が十分に行われているかを判断できる。これにより、最適なパージ時間等のパージ工程におけるパージ条件の適正値を早期に得ることができる。
【0026】
外管14の外周側には、外管14を覆うように円筒形状の加熱部90が設けられている。加熱部90は、処理容器10内に収容された基板Wを加熱する。
【0027】
かかる構成の基板処理装置1の各部の動作は、制御部2により制御される。記憶部3には、基板処理装置1の各部の動作を行う制御プログラムが記憶されている。制御部2は記憶部3に記憶された制御プログラムに従い基板処理装置1の各部の動作を制御する。また、記憶部3には、後述する吸着ステップ、酸化ステップ、パージステップの成膜処理の各種処理の実行手順を設定したレシピを記憶する。制御部2は、記憶部3に記憶されたレシピに応じて成膜処理等の各種処理を実行する。制御部2は、例えばコンピュータから構成されてよい。記憶部3は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等のメモリから構成されてよい。
【0028】
[レシピの適正化]
AlO膜等の金属含有膜の成膜処理では、カバレッジの良い膜を形成することが重要である。カバレッジよく成膜するためには、パージ工程において原料ガスや反応ガスを処理容器10内から十分に排出(パージアウト)することが重要である。しかしながら、現状のプロセス評価では原料ガスや反応ガスをパージアウトできているかの判断が難しい。例えば、基板処理装置1の排気配管71に設けられた図示しない圧力計で排気配管71内の圧力を計測し、排気配管71内に原料ガスや反応ガスが残留しているかを判断することが考えられる。しかし、排気配管71内の圧力が下がるため、この方法では処理ガスをパージできているかを判断することは困難である。
【0029】
そのため、従来は、仮のレシピを作成して仮レシピにパージ時間を暫定的に設定し、制御部2は、仮レシピに従い原料ガス等の処理ガスのパージ時間を制御していた。そして、処理結果の膜のTEM画像等の分析を繰り返すトライアンドエラーの手法でパージ時間及びその他のパージ工程の条件出しを行っていた。このため、パージ工程の条件の最適化に長期間を要していた。
【0030】
また、この手法では、基板処理装置1の排気配管72のレイアウト(排気レイアウト)の違い、基板の処理枚数等の処理条件の違いによって最適なパージ時間及びその他のパージ工程の条件が異なる。このため、基板処理装置1毎にパージ工程の条件出しを行う必要があった。
【0031】
そこで、本開示に係る基板処理方法では、メインの排気配管72の途中にバイパス配管73を設けてバイパス配管73にガス分析器74を設置する。そして、バイパス配管73を通るガスをガス分析器74により分析することによって、処理ガスの残ガスの濃度を求め、その結果に応じてパージ工程の条件を適正化する。これにより、トライアンドエラーによるパージ工程の条件出しと比べて短時間でパージ条件を適正化できる。また、排気レイアウトが異なる基板処理装置1において基板処理装置1毎の機差をなくし、いずれの基板処理装置1においても製品不良を予防することができる。
【0032】
[基板処理方法:パージ工程の条件を適正化]
以下、パージ条件を適正化するための実施形態に係る基板処理方法について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、パージ条件を適正化するための実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図3は、実施形態に係る基板処理方法におけるパージ条件の適正化を説明するための図である。
【0033】
例えば図1の基板処理装置1を用いた成膜方法について、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法により基板W上にAlO膜等の金属含有膜を形成する場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において、制御部2は、基板処理装置1の各部の動作を制御し、基板処理方法を制御する。
【0034】
(基板の準備:ステップS1)
最初にステップS1において、処理容器10内に基板Wを準備するステップが実行される。制御部2は、加熱部90により処理容器10内を所定温度に維持する。続いて、制御部2は、複数の基板Wを保持した基板保持具16を蓋部38上に載置し、昇降手段46により蓋部38を上昇させて基板W(基板保持具16)を処理容器10内に搬入する。
【0035】
(原料ガスの供給:ステップS3)
続いてステップS3において、処理容器10内に処理ガスの一例である原料ガスを供給し、原料ガスによる成膜処理を行う吸着ステップが実行される。吸着ステップでは、制御部2は、加熱部90により処理容器10内を所定温度に設定する。制御部2は、ガスノズル66から処理容器10内に所定流量のNガスを供給しつつ、処理容器10内のガスを排出することで処理容器10を所定圧力に設定する。処理容器10内の温度及び圧力が安定した後、制御部2は、ガスノズル62のガス孔62Aから原料ガスを内管12の内部に吐出させる。内管12の内部に吐出された原料ガスは、内管12の内部で加熱されて熱分解し、熱分解により生じた原料ガスが基板W上に吸着する。制御部2は、所定時間の経過後、ガスノズル62のガス孔62Aからの原料ガスの供給を停止させる。
【0036】
(パージガスの供給:ステップS5)
続いてステップS5において、処理容器10内にパージガスを供給し、処理容器10内の原料ガスをパージするパージステップが実行される。パージステップでは、制御部2は、ガスノズル66から内管12内に所定流量のNガスを供給しつつ、内管12内のガスを排出し、内管12内の原料ガスをNガスに置換する。
【0037】
(ガス分析器によるガス濃度の分析:ステップS7)
ステップS5の原料ガスのパージ工程の間、ステップS7において、ガス分析器74により排気配管72を介してバイパス配管73を通る原料ガスを分析する測定ステップが実行される。測定ステップでは、制御部2は、バルブ75、76を開く。ガス分析器74は、バイパス配管73を通るガスを分析する。ガス分析器74は、ガスの分析結果からガス中に含まれる原料ガス濃度を測定する。測定した原料ガス濃度を測定値Aとする。
【0038】
(判定処理:ステップS9)
次にステップS9において、制御部2は、ガス分析器74が測定した原料ガス濃度の信号を取得し、信号に含まれる測定値Aと予め設定された原料ガスの基準値Saとを比較する。制御部2は、測定値Aが示す原料ガス濃度が基準値Saを下回るかを判定する。
【0039】
制御部2は、測定値Aが基準値Sa以上であると判定した場合、ステップS5に戻り、ステップS5、S7においてパージガスの供給及びガス分析器74による分析を続ける。制御部2は、測定値Aが基準値Saを下回ると判定した場合、ステップS11に進む。
【0040】
(パージ条件の決定:ステップS11)
ステップS11では、ガスの分析結果に基づき原料ガスのパージの条件aを決定するステップが実行される。制御部2は、測定値Aが基準値Saを下回った場合、パージの条件aを決定する。図3の例では、制御部2は、パージの条件aの一つとしてパージ工程における原料ガスのパージ時間を決定する。
【0041】
図3の横軸は時間を示し、縦軸はガス分析器74により測定した測定値を示す。図3の例では、時刻tに原料ガスの供給を開始し、時刻tに原料ガスの供給を停止する。パージガスの供給は連続的に行われている。時刻tにガス分析器74による測定を開始すると、制御部2は、ガス分析器74から出力された測定値Aを取得する。
【0042】
内管12内の原料ガスがパージされると、ガス分析器74が検知した原料ガスの測定値Aが下がる。制御部2は、測定値Aが基準値Saを下回った時刻tに内管12内の原料ガスの排気が完了した(内管12内の原料ガスをNガスに置換できた)と判定し、パージ工程における原料ガスのパージ時間を決定する。制御部2は、時刻tから時刻tまでの時間に所定のマージンを付与してパージ時間を決定する。図3では、所定のマージンとして時刻tから時刻tまでの時間が付与され、パージ時間が時刻tから時刻tまでの時間に決定された例を示す。制御部2は、決定されたパージ時間をパージ工程における原料ガスのパージ時間としてレシピに記憶する。なお、記憶した原料ガスのパージ時間は、パージ工程の条件aの一例であり、これに限らない。例えば、制御部2は、パージ工程の条件aとしてパージ時間を含む原料ガスのパージ工程の手順を決定してもよい。パージ工程の手順として、パージガスの種類、流量等の条件を決定してもよい。
【0043】
制御部2は、決定したパージ時間に基づき、時刻tにバルブ75、76を閉じ、ガス分析器74による測定及び分析を停止する。ただし、ガス分析器74による測定及び分析はそのまま続けてもよい。この場合、バルブ75、76は開いたままにする。
【0044】
(酸化ガスの供給:ステップS13)
続いてステップS13において、処理容器10内に処理ガス(反応ガス)の一例である酸化ガスを供給し、酸化ガスによる膜の酸化ステップが実行される。酸化ステップでは、制御部2は、処理容器10内の温度及び圧力を所定値に制御しながら、ガスノズル66から処理容器10内に所定流量のNガスを供給しつつ、ガスノズル64のガス孔64Aから内管12内に酸化ガスを供給する。内管12の内部に供給された酸化ガスは、吸着ステップで基板W上に吸着した原料ガスと反応し、膜のが酸化する。制御部2は、所定時間の経過後、ガスノズル64のガス孔64Aからの酸化ガスの供給を停止させる。
【0045】
(パージガスの供給:ステップS15)
続いてステップS15において、処理容器10内にパージガスを供給し、処理容器10内の酸化ガスをパージするパージステップが実行される。パージステップでは、制御部2は、ガスノズル66から内管12内に所定流量のNガスを供給しつつ、内管12内のガスを排出し、内管12内の酸化ガスをNガスに置換する。
【0046】
(ガス分析器によるガス濃度の分析:ステップS17)
ステップS15の酸化ガスのパージ工程の間、ステップS17において、ガス分析器74により排気配管72を介してバイパス配管73を通る原料ガスを分析する測定ステップが実行される。測定ステップでは、制御部2は、バルブ75、76を開く。ガス分析器74は、バイパス配管73を通るガスを分析する。ガス分析器74は、ガスの分析結果からガス中に含まれる酸化ガス濃度を測定する。測定した酸化ガス濃度を測定値Bとする。
【0047】
(判定処理:ステップS19)
次にステップS19において、制御部2は、ガス分析器74が測定した酸化ガス濃度の信号を取得し、信号に含まれる測定値Bと予め設定された酸化ガスの基準値Sbとを比較する。制御部2は、測定値Bが基準値Sbを下回るかを判定する。
【0048】
制御部2は、測定値Bが基準値Sb以上であると判定した場合、ステップS15に戻り、ステップS15、S17においてパージガスの供給及びガス分析器74による分析を続ける。制御部2は、測定値Bが基準値Sbを下回ると判定した場合、ステップS21に進む。
【0049】
(パージ条件の決定:ステップS21)
ステップS21では、ガスの分析結果に基づき酸化ガスのパージの条件bを決定するステップが実行される。制御部2は、測定値Bが基準値Sbを下回った場合、パージの条件bを決定する。図3の例では、制御部2は、パージの条件bの一つとしてパージ工程における酸化ガスのパージ時間を決定する。
【0050】
図3の例では、時刻tに酸化ガスの供給を開始し、時刻tに酸化ガスの供給を停止する。パージガスの供給は連続的に行われている。時刻tにガス分析器74による測定が開始され、制御部2は、ガス分析器74から出力された測定値Bを取得する。
【0051】
内管12内の酸化ガスがパージされると、ガス分析器74が測定する酸化ガスの測定値Bが下がる。制御部2は、測定値Bが基準値Sbを下回った時刻tに内管12内の酸化ガスの排気が完了した(内管12内の酸化ガスをNガスに置換できた)と判定し、パージ工程における酸化ガスのパージ時間を決定する。制御部2は、時刻tから時刻tまでの時間に所定のマージンを付与してパージ時間を決定する。図3では、所定のマージンとして時刻tから時刻tまでの時間が付与され、パージ時間が時刻tから時刻tまでの時間に決定された例を示す。制御部2は、決定されたパージ時間をパージ工程における酸化ガスのパージ時間としてレシピに記憶する。なお、記憶した酸化ガスのパージ時間は、パージ工程の条件bの一例であり、これに限らない。例えば、制御部2は、パージ工程の条件bとしてパージ時間を含む酸化ガスのパージ工程の手順を決定してもよい。パージ工程の手順として、パージガスの種類、流量等の条件を決定してもよい。
【0052】
制御部2は、決定したパージ時間に基づき、時刻tにバルブ75、76を閉じ、ガス分析器74による測定及び分析を停止する。ただし、ガス分析器74による測定及び分析はそのまま続けてもよい。この場合、バルブ75、76は開いたままにする。
【0053】
(判定処理:ステップS23)
次に、ステップS23において、制御部2は、このサイクルを設定回数実行したかを判定する。設定回数は1以上の整数である。制御部2は、このサイクルを設定回数実行していないと判定すると、ステップS3に戻り、再び、吸着ステップから始まるALD法の1サイクルを開始する。ステップS23において、制御部2は、このサイクルを設定回数実行したと判定すると、加熱部90により処理容器10内を所定温度に維持しつつ、ガスノズル66から処理容器10内に所定流量のNガスを供給して処理容器10内をNガスでサイクルパージして常圧へと戻す。続いて、昇降手段46により蓋部38を下降させることにより、基板W(基板保持具16)を処理容器10内から搬出し、本処理を終了する。
【0054】
以上に説明したように、実施形態に係る基板処理方法では、ガス分析器74を使用してパージ工程においてバイパス配管73を通るガスの分析及び評価を行う。これにより、トライアンドエラーの手法と比べてパージ工程における原料ガスのパージ及び反応ガスのパージの評価時間を短縮できる。また、排気配管72等の排気レイアウトによる基板処理装置1の機差をなくし、パージ時間を最適値に設定できる。排気レイアウトに限られず、基板の処理枚数、処理ガスの種類、製品基板の種類、成膜される膜種等の処理条件によってパージ時間の最適値は異なる。よって、本基板処理方法によれば、これらの処理条件を考慮し、基板処理装置1の評価時にパージ時間等のパージ工程の条件(手順)の最適値を決定できる。そして、次に説明する量産時の製品基板の処理時、評価時に決定したパージ条件の最適値を使用して基板の処理を行うことができる。
【0055】
なお、図2に示す基板処理方法は、酸化ガスを供給する例を挙げて説明したが、これに限らず、窒化ガス、還元ガスを供給する場合も適用できる。また、図2の基板処理方法は、量産前の評価時に実行されるだけでなく、製品基板の量産中に実行してもよい。本開示の基板処理方法は、基板保持具16に保持された基板Wを処理容器10内にロードする度に実行してもよいし、基板Wの複数回のロードに対して一度実行してもよい。
【0056】
[基板処理方法:決定したパージ条件の利用]
以下、決定したパージ条件の利用例について、図4を参照しながら説明する。図4は、決定したパージ条件を利用した実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【0057】
最初にステップS31において、制御部2は、基板保持具16を蓋部38上に載置し、昇降手段46により蓋部38を上昇させて基板Wを処理容器10内に搬入する。
【0058】
次にステップS33において、制御部2は、容器10内を所定温度及び所定圧力に制御する。制御部2は、ガスノズル62、66から内管12内に原料ガス及びNガスを供給し、原料ガスを吸着させる吸着ステップを実行する。所定時間経過後、原料ガスの供給を停止する。
【0059】
続いてステップS35において、制御部2は、パージの条件aに従い内管12内の原料ガスをパージするパージステップを実行する。制御部2は、パージの条件aに従い、決定した原料ガスのパージ時間の間、処理容器10内にパージガスを供給し、当該パージ時間の経過後、パージ工程を終了し、次のステップS37に進む。
【0060】
ステップS37において、制御部2は、ガスノズル64から内管12内に酸化ガスを供給し、酸化ステップを実行する。酸化ステップでは、内管12の内部に供給された酸化ガスは、基板W上に吸着した原料ガスと反応し、基板上の膜を酸化させる。所定時間経過後、酸化ガスの供給を停止する。
【0061】
続いてステップS39において、制御部2は、制御部2は、パージの条件bに従い内管12内の酸化ガスをパージするパージステップを実行する。制御部2は、パージの条件bに従い、決定した酸化ガスのパージ時間の間、処理容器10内にパージガスを供給し、当該パージ時間の経過後、パージ工程を終了し、次のステップS41に進む。
【0062】
次に、ステップS41において、制御部2は、このサイクルを設定回数実行したかを判定する。設定回数は1以上の整数であり、例えば100回等であってよい。制御部2は、このサイクルを設定回数実行していないと判定すると、ステップS33に戻り、再び、吸着ステップから始まるALD法の1サイクルを開始する。ステップS41において、制御部2は、このサイクルを設定回数実行したと判定すると、処理容器10内をNガスでサイクルパージして常圧へと戻す。続いて、昇降手段46により蓋部38を下降させることにより、基板W(基板保持具16)を処理容器10内から搬出し、本処理を終了する。
【0063】
以上に説明したように、本実施形態の基板処理方法及び基板処理装置によれば、処理ガスのパージ時間等、バイパス配管73を通るガスの分析により処理ガス(原料ガス、酸化ガス)のパージ工程の条件を適正化することができる。
【0064】
図2及び図4の基板処理方法は、基板Wへの成膜処理を例に挙げて説明したが、これに限らず、処理容器10のクリーニング処理にも使用できる。この場合、処理容器内にクリーニングガスを供給し、その後にNガス等のパージガスを供給し、パージステップを実行する。その際、ガス分析器74によりバイパス配管73を通るガスを分析し、分析結果に基づきクリーニングガスのパージ工程の条件を決定する。
【0065】
今回開示された実施形態に係る基板処理方法及び基板処理装置は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0066】
上記の実施形態では、基板処理装置が複数の基板に対して一度に処理を行うバッチ式の装置である場合を説明したがこれに限定されない。基板処理装置は、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の装置であってもよい。また、例えば基板処理装置は、1つの処理容器内に複数の載置台を備えた複数枚葉の基板処理装置であってもよい。また、例えば基板処理装置は処理容器内の回転テーブルの上に配置した複数の基板を回転テーブルにより公転させ、第1のガスが供給される領域と第2のガスが供給される領域とを順番に通過させて基板に対して処理を行うセミバッチ式の装置であってもよい。
【0067】
本開示の基板処理装置は、プラズマを用いずに基板を処理する装置であってもよく、プラズマを用いて基板を処理する装置であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 熱処理装置
2 制御部
10 処理容器
60 ガス供給部
71 ガス排気部
72 排気配管
73 バイパス配管
74 ガス分析器
80 排気装置
図1
図2
図3
図4