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特開2023-44298ゲージプレート、その製作方法及び機器の設置方法
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  • 特開-ゲージプレート、その製作方法及び機器の設置方法 図1
  • 特開-ゲージプレート、その製作方法及び機器の設置方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044298
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】ゲージプレート、その製作方法及び機器の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/18 20060101AFI20230323BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20230323BHJP
   E04H 12/08 20060101ALI20230323BHJP
   E04H 7/04 20060101ALI20230323BHJP
   E02D 27/00 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
E04G21/18 Z
E04G21/12 105Z
E04H12/08
E04H7/04
E02D27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152256
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521411758
【氏名又は名称】株式会社サンスイ
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 貴之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 靖久
(72)【発明者】
【氏名】柳 聡
(72)【発明者】
【氏名】村野 匠
(72)【発明者】
【氏名】新美 剛士
【テーマコード(参考)】
2D046
2E174
【Fターム(参考)】
2D046AA04
2E174AA01
2E174DA41
(57)【要約】
【課題】軽量、軟質、安価で処分も容易なゲージプレート及びその製作方法と、このゲージプレートを用いた機器設置方法を提供する。
【解決手段】機器の設置作業時に、機器固定用アンカーボルトの位置決めに用いるゲージプレートであって、軟質樹脂シートよりなることを特徴とするゲージプレート。機器のフランジ部に軟質樹脂シートを当て、該シートに該フランジ部の周縁に沿って線を描くと共に、該フランジのボルト挿通孔に対応した所定位置に印をつけることを特徴とするゲージプレートの製作方法。このゲージプレートを用いてアンカーボルト用の穴を設けてアンカーボルトを立て、機器を設置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の設置作業時に、機器固定用アンカーボルトの位置決めに用いるゲージプレートであって、
軟質樹脂シートよりなることを特徴とするゲージプレート。
【請求項2】
アンカーボルト位置に対応した位置に小孔が設けられていることを特徴とする請求項1のゲージプレート。
【請求項3】
複数枚のシート材が継ぎ足されて所定大きさのシートとなっていることを特徴とするゲージプレート。
【請求項4】
前記樹脂はPET、PE、PP、又はPVCであることを特徴とする請求項1~3のいずれかのゲージプレート。
【請求項5】
請求項1のゲージプレートの製造方法であって、機器のフランジ部に軟質樹脂シートを当て、該シートに該フランジ部の周縁に沿って線を描くと共に、該フランジのボルト挿通孔に対応した所定位置に印をつけることを特徴とするゲージプレートの製作方法。
【請求項6】
前記印として小孔を設けることを特徴とする請求項5のゲージプレートの製作方法。
【請求項7】
機器の図面又は方位に関する情報を書き込み又は貼り付けすることを特徴とする請求項5又は6のゲージプレートの製作方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれかのゲージプレートを用いて機器の設置を行う方法であって、
機器を設置する予定箇所にゲージプレートを設置し、アンカーボルト用の穴を設けてアンカーボルトを立設し、機器を設置して該アンカーボルトで固定することを特徴とする機器の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク、塔などの機器を固定するアンカーボルトの設置位置を決定する(位置決めする)際に使用するゲージプレートと、その製作方法と、このゲージプレートを用いたタンク、塔などの機器の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートで形成された基礎にタンク、塔などの機器を設置する場合、基礎に埋め込まれたアンカーボルトによって機器が基礎に固定される。機器には、アンカーボルトを挿入するための複数のボルト挿通孔穴が設けられている。アンカーボルトは、ボルト挿通孔の位置に合うように正確に位置決めされる必要がある。アンカーボルトを位置決めするために、ゲージプレートと呼ばれる部材(治具)が用いられる。
【0003】
特許文献1には、直棒状のメンバー材を方形の井桁状に組み立ててなるゲージプレートが記載されている。
【0004】
特許文献1のゲージプレートは、上記の通り方形のものであるが、円環形のゲージプレートも従来より用いられている。この円環形のゲージプレートは鉄製である。
【0005】
鉄製ゲージプレートを用いたタンクや鉄塔の設置作業手順は以下の通りである。
(1) 工事現場へ、製作工場から4tonトラックで発送し、現場受け取り時にクレーンで仮置き場に荷下ろしする。(大型・重量物であるため、トラックやクレーンが使用される。)
(2) 基礎に、ゲージプレートを設置するための墨出しを行う。墨出しとは、基礎(設置場所)に、設計図通りの正しい位置を示すために、方位目印を書くことである。
(3) クレーンを用いてゲージプレートをわずかに浮かせ、墨出し方位目印とゲージプレート方位目印を合わせた後、ゲージプレートを降ろして基礎に設置する。
(4) ゲージプレートの設置後、アンカーボルト位置を基礎に写し取り、ゲージプレートをクレーンで撤去する。
(5) ドリルを用いて、(4)で写し取った位置にアンカーボルト用の穴をあけ、アンカーボルトを設ける。
(6) この基礎にタンク又は鉄塔等を設置し、アンカーボルトで固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61-186670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のゲージプレートは、鉄製部材であるため、以下のようなデメリットがある。
(1) 重量物であり、サイズも大きいため、運搬に際してトラック等が必要である。また、設置に際して、クレーン等が必要であると共に、監視員等の安全対策が必要である。
(2) 材料費加工費が高価である。円環形のゲージプレートの場合は十字の支持材が必要である。
(3) 鉄製の重量物であり、使用後の処分費用が高い。
【0008】
本発明は、これら問題点を解消し、軽量、軟質、安価で処分も容易なゲージプレート及びその製作方法と、このゲージプレートを用いた機器設置方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のゲージプレートは、機器の設置作業時に、機器固定用アンカーボルトの位置決めに用いるゲージプレートであって、軟質樹脂シートよりなることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様では、アンカーボルト位置に対応した位置に小孔が設けられている。
【0011】
本発明の一態様では、複数枚のシート材が継ぎ足されて所定大きさのシートとなっている。
【0012】
本発明の一態様では、前記樹脂はPET、PE、PP、又はPVCである。
【0013】
本発明のゲージプレートの製作方法は、かかる本発明のゲージプレートの製造方法であって、機器のフランジ部に軟質樹脂シートを当て、該シートに該フランジ部の周縁に沿って線を描くと共に、該フランジのボルト挿通孔に対応した所定位置に印をつけることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様では、前記印として小孔を設ける。
【0015】
本発明の一態様では、機器の図面又は方位に関する情報を書き込み又は貼り付けする。
【0016】
本発明の機器設置方法は、本発明のゲージプレートを用いて機器の設置を行う方法であって、機器を設置する予定箇所にゲージプレートを設置し、アンカーボルト用の穴を設けてアンカーボルトを立設し、機器を設置して該アンカーボルトで固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のゲージプレートは、軽量、軟質であり、また、樹脂シートを丸めて運搬することができ、運搬が容易である。例えば、混載便を利用することができる。人の手で簡単に運ぶことができるので、クレーン等が不要であり、安全監査員も不要である。
【0018】
本発明のゲージプレートは、樹脂シートよりなるので、材料費及び加工費ともに安価であり、プラスチックごみとして容易に処分することができる。シートに図面を張り付けることで、シートのみで作業可能となる。
【0019】
樹脂シートをPET等のシートとした場合には、引張強度が高く、また、耐水性があり、雨ざらしでも問題なく使用できる。熱変形がほぼ無く、屋外放置してもよい。
【0020】
PET等のシートは、透明であり、基礎の墨出しと照らし合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施の形態に係るゲージプレートの平面図である。
図2】第2の実施の形態に係るゲージプレートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0023】
図1は第1の実施の形態に係るゲージプレートを示す平面図である。このゲージプレート1は、軟質樹脂製のシート2よりなる。このゲージプレート1は、タンク、塔などの機器の底部のフランジを基礎に固定する際に使用するものである。この実施の形態では、フランジは環形のプレート状であり、周方向の等分位置、例えば12等分位置にボルト挿通孔が設けられている。
【0024】
シート2は、フランジの外周縁と実質的に同一直径の大径円形の線3と、フランジの内周縁と実質的に同一直径の小径円形の線4とが描かれている。線3,4は同心円となっている。また、各ボルト挿通孔と重なる位置に小円形の小孔5が設けられている。また、直径方向の第1の線6と、これに直交する第2の線7とが描かれている。
【0025】
なお、線3は、シート2とフランジとを重ね、フランジの外周に沿って油性マジックを移動させることにより描くことができ、線4は油性マジックをフランジの内周に沿って移動させることにより描くことができる。小孔5は、フランジのボルト挿通孔の内周に沿って油性マジックを移動させることにより小円形を描き、その後、カッターや打ち抜き刃を用いて切り抜くことにより形成することができる。
【0026】
線6,7は、円形の線3,4の中心を通っている。これらの線6,7は、定規と油性マジックを用いて描くことができる。
【0027】
図1では、フランジの内周縁に相当する線4が描かれているが、タンク等の内部に人が入ることができないときには、線4は省略されてもよい。
【0028】
本発明では、ゲージプレート1を用いて設置される機器の名称や、ゲージプレートの方位をシート2に記載してもよい。また、機器の組立図等を描いた紙片などの表示物をシート2に貼付してもよい。この一例を図2に示す。
【0029】
図2のゲージプレート1’では、枠形の線8の内側に機器名称及び方位(図示略)が記載されている。また、図面を記載した紙などの表示物9が貼着されている。ゲージプレート1’のその他の構成はゲージプレート1と同一である。
【0030】
シート2の樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、又はPVC(ポリ塩化ビニル)など(特にPET)が好適であり、特にPETが好適である。シート2の厚さは○○~○○mm、特に○○~○○mm程度が好適である。
【0031】
この厚さのPET、PE、PP、又はPVCシートは、透明であり、また手で巻くことができる程度に軟質である。
【0032】
シート2は、1枚物であってもよいが、機器が大きいときなどには、2枚以上のシート材を接着剤等によって辺縁同士を接着して継ぎ足したものであってもよい。
【0033】
このゲージプレート1又は1’を用いて機器を設置する手順について次に説明する。
(1) まず、ゲージプレート1又は1’を製作した後、筒状に巻き、好ましくは円筒形のケースに収容する。
(2) 工事現場へ、製作工場から混載便にて発送し、現場受け取り時に人の手で仮置き場に荷下しする。ゲージプレートは、軽量であると共に、巻いて小型化してあるので、運搬、荷下し等が容易である。
(3) 基礎に、ゲージプレートを設置するための墨出しを行う。
(4) 人の手で、墨出し方位目印とゲージプレート方位目印を合わせ、設置する。
(5) ゲージプレート設置後、アンカーボルト位置を基礎に写し取る。例えば、小孔5を通して基礎に油性マジックで印をつける。
(6) ゲージプレートを人の手で撤去する。撤去したゲージプレートは、不要となるので、プラスチック廃棄物として廃棄処分する。
(7) 印をつけた箇所にドリルを用いてアンカーボルト用の穴をあける。
(8) 機器を設置し、アンカーボルトで固定する。即ち、例えば、コンクリート用アンカーボルトを該穴に打ち込み、機器のボルト挿通孔に各アンカーボルトを挿通させ、ワッシャを介してナットをアンカーボルトに締め込む。
【0034】
このように、このゲージプレート1又は1’は、筒状に丸めることにより、混載便等で容易に運搬することができる。また、人の手で簡単に運べるようになる。また、ゲージプレートを用いた機器の設置作業を迅速かつ安全に行うことができる。シートに図面を張り付けることで、シートのみで作業することが可能となる。
【0035】
このゲージプレートは、材料費及び加工費ともに安価であり、プラスチックごみとして処分することができる。
【0036】
このゲージプレート1又は1’のシート2がPET、PE、PP、又はPVC製である場合、引張強度が高く、耐水性があり、雨ざらしでも問題ない。また、熱変形がほぼ無く、屋外放置も可能である。PET等のシート2は、透明であり、基礎の墨出しと照らし合わせることが可能である。
【0037】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されない。例えば、上記実施の形態ではシートは方形であるが、これに限定されない。また、線3,4は円形であるが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0038】
1,1’ ゲージプレート
2 シート
3,4,6,7,8 線
5 小孔
9 表示物
図1
図2