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特開2023-44357チャネルカットX線光学素子及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044357
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】チャネルカットX線光学素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G21K 1/06 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
G21K1/06 B
G21K1/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152349
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 泰久
(72)【発明者】
【氏名】山内 和人
(57)【要約】
【課題】チャネルカット結晶の対向する反射面において、機械加工によって導入された加工変質層を大気圧近傍の高圧力プラズマを用いたPCVMによって除去し、表面平坦度が1μm以下、表面粗さが1nmRMS以下、X線に対するピーク反射率が理論値の90%以上である反射面を備えたチャネルカットX線光学素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】光学素子材料に対してエッチング性を有する反応ガスを含むプロセスガスの圧力が10kPa~1000kPaで、チャネルの内壁面に対向配置した電極に高周波電圧を印加して高周波プラズマを局所的に発生させ、局所プラズマを内壁面に対して相対的に走査して内壁面の加工変質層を除去する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物濃度が0.1ppm以下の単結晶からなる光学素子材料に、少なくとも特定の結晶面を向いた一対の平行な内壁面を有するチャネルが形成され、該チャネルの内壁面を、X線の回折現象を利用して反射させるブラッグ反射面としたチャネルカットX線光学素子であって、
前記ブラッグ反射面は、表面平坦度が1μm以下、表面粗さが1nmRMS以下、X線に対するピーク反射率が理論値の90%以上である、
チャネルカットX線光学素子。
【請求項2】
前記光学素子材料が、単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム又は単結晶ダイヤモンドである、請求項1記載のチャネルカットX線光学素子。
【請求項3】
相対向するブラッグ反射面の間隔が20mm以下である、請求項1又は2記載のチャネルカットX線光学素子。
【請求項4】
対となった前記ブラッグ反射面の一方の面の法線方向が他方の面と交差する部分があり、且つ相対向するブラッグ反射面の間隔が2mm~50μmである、請求項3記載のチャネルカットX線光学素子。
【請求項5】
不純物濃度が0.1ppm以下の単結晶からなる光学素子材料に、少なくとも特定の結晶面を向いた一対の平行な内壁面を有するチャネルが形成され、該チャネルの内壁面を、X線の回折現象を利用して反射させるブラッグ反射面としたチャネルカットX線光学素子の製造方法であって、
前記光学素子材料に前記チャネルを含む構造を形成する前工程と、
前記光学素子材料に対してエッチング性を有する反応ガスを含むプロセスガスの圧力が10kPa~1000kPaで、前記チャネルの内壁面に対向配置した電極に高周波電圧を印加して高周波プラズマを局所的に発生させ、該局所プラズマを前記内壁面に対して相対的に走査して該内壁面の加工変質層を除去し、表面平坦度が1μm以下、表面粗さが1nmRMS以下、X線に対するピーク反射率が理論値の90%以上の前記ブラッグ反射面を形成する反射面高品位化工程と、
を含む、チャネルカットX線光学素子の製造方法。
【請求項6】
前記前工程に、少なくとも前記チャネルの内壁面を精密研磨する工程を含む、請求項5記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【請求項7】
前記光学素子材料が、単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム又は単結晶ダイヤモンドである、請求項5又は6記載のチャネルカットX線光学素子。
【請求項8】
前記反射面高品位化工程における前記チャネルの内壁面の除去量が10μm以上である、請求項5~7何れか1項に記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【請求項9】
前記電極が、支持体に導電性ワイヤーを張ったワイヤー電極、回転軸に導電性回転対称体を固定した回転電極、プロセスガスを噴出する導電性のノズル電極又はブレード電極である、請求項5~8何れか1項に記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【請求項10】
前記電極が、前記ワイヤー電極であり、該ワイヤー電極にパルス変調した高周波電圧を印加するプラズマ発生機構を用いる、請求項9記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【請求項11】
前記電極が、前記回転電極、前記ノズル電極又は前記ブレード電極であり、前記チャネルの内壁面と反対側の裏面にアース補助電極を配置し、前記電極に高周波電圧を印加するプラズマ発生機構を用いる、請求項9記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【請求項12】
相対向するブラッグ反射面の間隔が20mm以下である、請求項9~11何れか1項に記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【請求項13】
対となった前記ブラッグ反射面の一方の面の法線方向が他方の面と交差する部分があり、且つ相対向するブラッグ反射面の間隔が2mm~50μmである、請求項10記載のチャネルカットX線光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネルカットX線光学素子及びその製造方法に係わり、更に詳しくはX線のブラッグ反射面を高品位化したチャネルカットX線光学素子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チャネルカット結晶は、バルク単結晶材表面に形成された溝形状の向かい合う二面をブラッグ反射面として用いるもので,二面での反射により入射方向と平行な方向に単色X線ビームを取り出せるX線光学素子である(特許文献1参照)。この反射面は内向きの面であるため、高精度な研磨を行うことが困難であり、研削等の機械的加工法による溝形成時に導入された加工歪を完全に除去することが困難であるという課題があった。反射面に加工歪が存在するということは、微視的には結晶格子に欠陥が多数存在することを意味し、格子欠陥によってブラッグ反射率が理論値から大きく低下することになる。
【0003】
反射面の加工歪を除去する方法として一般的なウェットエッチングにおいては、エッチング速度は結晶面方位に依存することから、エッチング面にバンチングが生じたりエッチピットが形成されたりするため、良好な表面形状を維持したまま加工歪を除去することは困難である。加工歪は表面から数μmの深さ、深くても10μm以内に存在し、これを加工変質層と称する。
【0004】
そこで、本発明者らは高圧力プラズマを用いた無歪エッチング技術であるPCVM(Plasma Chemical Vaporization Machining)を用いてチャネルカット結晶のX線反射面の加工変質層を除去することを考案した(非特許文献1,2参照)。大気圧近傍の高圧力プラズマを用いたPCVMの基本原理は、特許文献2に開示され、また電極の形態に関してもワイヤー電極、回転電極、プロセスガスを噴出するノズル電極又は幅の狭いブレード電極など各種提案されている(特許文献2~4参照)。更に、プラズマの制御のためにパルス変調した高周波電圧を印加する方法も提案されている(特許文献5参照)。
【0005】
しかしながら、チャネルカット結晶に用いられるFZ-Si単結晶は、高純度で比抵抗が大きいため、電極の近傍に十分な電界強度が得られず、安定にプラズマを発生させることが困難である。更に、チャネルカット結晶は、向かい合う二面を精度良く加工する必要があるが、、チャネル幅が狭く、また対となった反射面の一方の面の法線方向が他方の面と交差する部分(重複部)がある場合には、従来のPCVMの手法をそのまま用いることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09-049899号公報
【特許文献2】特開平01-125829号公報
【特許文献3】特開平04-246184号公報
【特許文献4】特開平09―031670号公報
【特許文献5】特開2014-177673号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】T Hirano,T Osaka,Y Sano,Y Inubushi,S Matsuyama,K Tono,T Ishikawa,M Yabashi,and K Yamauchi,Review of Scientific Instruments.87(2016)063118.
【非特許文献2】T Hirano,Y Morioka,S Matsumura,Y Sano,T Osaka,S Matsuyama,M Yabashi,and K Yamauchi,Int.J.of Automation Technology.13(2019)246.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、チャネルカット結晶の対向する反射面において、機械加工によって導入された加工変質層を大気圧近傍の高圧力プラズマを用いたPCVMによって除去し、表面平坦度が1μm以下、表面粗さが1nmRMS以下、X線に対するピーク反射率が理論値の90%以上である反射面を備えたチャネルカットX線光学素子及びその製造方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題解決のために、以下に構成するチャネルカットX線光学素子及びその製造方法を構成した。
【0010】
(1)
不純物濃度が0.1ppm以下の単結晶からなる光学素子材料に、少なくとも特定の結晶面を向いた一対の平行な内壁面を有するチャネルが形成され、該チャネルの内壁面を、X線の回折現象を利用して反射させるブラッグ反射面としたチャネルカットX線光学素子であって、
前記ブラッグ反射面は、表面平坦度が1μm以下、表面粗さが1nmRMS以下、X線に対するピーク反射率が理論値の90%以上である、
チャネルカットX線光学素子。
【0011】
(2)
前記光学素子材料が、単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム又は単結晶ダイヤモンドである、(1)記載のチャネルカットX線光学素子。
【0012】
(3)
相対向するブラッグ反射面の間隔が20mm以下である、(1)又は(2)記載のチャネルカットX線光学素子。
【0013】
(4)
対となった前記ブラッグ反射面の一方の面の法線方向が他方の面と交差する部分があり、且つ相対向するブラッグ反射面の間隔が2mm~50μmである、(3)記載のチャネルカットX線光学素子。
【0014】
(5)
不純物濃度が0.1ppm以下の単結晶からなる光学素子材料に、少なくとも特定の結晶面を向いた一対の平行な内壁面を有するチャネルが形成され、該チャネルの内壁面を、X線の回折現象を利用して反射させるブラッグ反射面としたチャネルカットX線光学素子の製造方法であって、
前記光学素子材料に前記チャネルを含む構造を形成する前工程と、
前記光学素子材料に対してエッチング性を有する反応ガスを含むプロセスガスの圧力が10kPa~1000kPaで、前記チャネルの内壁面に対向配置した電極に高周波電圧を印加して高周波プラズマを局所的に発生させ、該局所プラズマを前記内壁面に対して相対的に走査して該内壁面の加工変質層を除去し、表面平坦度が1μm以下、表面粗さが1nmRMS以下、X線に対するピーク反射率が理論値の90%以上の前記ブラッグ反射面を形成する反射面高品位化工程と、
を含む、チャネルカットX線光学素子の製造方法。
【0015】
(6)
前記前工程に、少なくとも前記チャネルの内壁面を精密研磨する工程を含む、(5)記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【0016】
(7)
前記光学素子材料が、単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム又は単結晶ダイヤモンドである、(5)又は(6)記載のチャネルカットX線光学素子。
【0017】
(8)
前記反射面高品位化工程における前記チャネルの内壁面の除去量が10μm以上である、(5)~(7)何れか1に記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【0018】
(9)
前記電極が、支持体に導電性ワイヤーを張ったワイヤー電極、回転軸に導電性回転対称体を固定した回転電極、プロセスガスを噴出する導電性のノズル電極又はブレード電極である、(5)~(8)何れか1項に記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【0019】
(10)
前記電極が、前記ワイヤー電極であり、該ワイヤー電極にパルス変調した高周波電圧を印加するプラズマ発生機構を用いる、(9)記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【0020】
(11)
前記電極が、前記回転電極、前記ノズル電極又は前記ブレード電極であり、前記チャネルの内壁面と反対側の裏面にアース補助電極を配置し、前記電極に高周波電圧を印加するプラズマ発生機構を用いる、(9)記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【0021】
(12)
相対向するブラッグ反射面の間隔が20mm以下である、(9)~(11)何れか1に記載のチャネルカットX線光学素子の製造方法。
【0022】
(13)
対となった前記ブラッグ反射面の一方の面の法線方向が他方の面と交差する部分があり、且つ相対向するブラッグ反射面の間隔が2mm~50μmである、(10)記載のチャネルカットX線光学素子。
【発明の効果】
【0023】
以上にしてなる本発明のチャネルカットX線光学素子の製造方法は、大気圧近傍の高圧力プラズマを用いたPCVMによって、機械加工で導入された反射面の加工変質層が除去され、表面平坦度が1μm以下、表面粗さが1nmRMS以下、X線に対するピーク反射率が理論値の90%以上である反射面を備えたチャネルカットX線光学素子を提供できる。
【0024】
また、回転電極、ノズル電極又はブレード電極であっても、チャネルの内壁面と反対側の裏面にアース補助電極を配置することにより、あるいは電界強度の高いワイヤー電極を用いることにより、高抵抗の光学素子材料でも安定にプラズマを発生させて処理することができる。特に、ワイヤー電極にパルス変調した高周波電圧を印加するプラズマ発生機構を用いれば、チャネル幅が狭い場合でも、また反射面に重複部がある場合でも、安定にプラズマを発生させて加工変質層を高効率で除去することができる。尚、ワイヤー電極においては、今後開発が期待される小型のチャネルカット結晶、特にチャネル幅が2mm~50μmの高品位のチャネルカットX線光学素子においても適用可能であること、結晶端部まで安定に処理が可能であること等,他の電極に比べて優位な点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のチャネルカットX線光学素子の簡略図である。
図2】同じく平面図である。
図3】モノクロメータとしての使用例を示す説明図である。
図4】ワイヤー電極を用いた加工例を示す簡略説明図である。
図5】ノズル電極を用いた加工例を示す簡略説明図である。
図6】チャネル幅が狭く且つ重複部がある場合のワイヤー電極を用いた加工例を示す簡略説明図である。
図7】同じく省略平面図である。
図8】パルス変調した高周波電圧の波形図である。
図9】ノズル電極を用いたPCVMによってSiの各面方位を除去加工した場合の加工速度(MMR)の結晶面依存性を示すグラフである。
図10】(a)はPCVM処理前のチャネルカット結晶のX線トポグラフィ像、(b)はPCVM処理後のチャネルカット結晶のX線トポグラフィ像である。
図11】PCVM処理前後のSi(220)結晶のX線反射率の入射角依存性を示すグラフである。
図12】マイクロチャネルカット結晶を模擬したPCVM加工実験の配置図である。
図13図12により加工したSiウエハを取り外し、加工痕のプロファイルを観察する位置を示した説明図である。
図14】(a)はSiウエハW1のプロファイル観察ライン32でのプロファイルを示し、(b)はSiウエハW2のプロファイル観察ライン33でのプロファイルを示す。
図15】ワイヤー電極を用いたPCVMにおいて、パルス変調した高周波電圧による加工特性を調べるための実験配置である。
図16】高周波電圧のON時間を50μsに固定し、OFF時間を200,450、950μsと変化させた場合の表面粗さ(RMS)の変化を示すグラフである。
図17】ON時間とOFF時間のデューティ比における表面粗さ(RMS)の変化を示すグラフである。
図18】(a)加工前の表面観察結果、(b)ON/OFF時間=50/200[μs]で加工後の表面観察結果、(c)はON/OFF時間=50/450[μs]で加工後の表面観察結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明のチャネルカットX線光学素子(チャネルカット結晶)の概略図、図2はその平面図、図3はその使用例を示している。
【0027】
本発明のチャネルカットX線光学素子は、単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウム又は単結晶ダイヤモンドからなる光学素子材料から切り出して作製する。この光学素子材料は、不純物濃度が0.1ppm以下であり、純度が高いため高抵抗である。そのため、一般の半導体素子を製造するためのシリコンウエハよりも高抵抗であるため、電極との間でプラズマを安定に発生させることが難しい。現在、入手可能なFZ-Si単結晶は純度が99.999999999%(不純物濃度が0.001ppm)、FZ-Ge単結晶は純度が99.9999999%(不純物濃度が0.1ppm)である。
【0028】
本発明のチャネルカットX線光学素子1は、図1及び図2に示すように、ほぼ直方体の基台2の上面に、第1のブラッグ反射面3を備えた突出部4と第2のブラッグ反射面5を備えた突出部6を有し、その他X線の光路に干渉する部分は除去されている。両ブラッグ反射面3,5は、完全に平行であり、特定の結晶面を向いている。また、チャネルカットX線光学素子1の基台2は、使用時にはX線発生施設(放射光施設(SPring-8等)、X線自由電子レーザー(XFEL)施設(SACLA等)の適所に固定されて使用するが、該基台2の固定部からの歪がブラッグ反射面3,5に伝播しないように、両側面から互い違いにスリット7,7を入れてS字構造を構成している。
【0029】
その製造方法は、先ず光学素子材料に、少なくとも特定の結晶面を向いた一対の平行な内壁面9,9を有するチャネル8を含む構造を機械加工にて形成する前工程を経る。前記チャネル8の内壁面9,9は、X線の回折現象を利用して反射させるブラッグ反射面3,5となる。この前工程には、通常は少なくとも前記チャネルの内壁面9,9を精密研磨する工程を含む。研磨は、通常の機械的な精密研磨をすることが不可能な場合には手作業で研磨する。機械加工には、精密切削加工の他に、ダイシングやワイヤソー等、半導体加工に使用する加工技術を含む。
【0030】
相対向するブラッグ反射面の間隔(チャネル幅)Wは、X線のエネルギー範囲やX線のブラッグ反射時の許容される遅延時間によって決定される。チャネル幅Wは、X線のエネルギー範囲が広いほど、また許容される遅延時間が短いほど、狭く設定される。本発明の特徴が発揮されるチャネル幅Wは、製造の難易度が高いおおよそ20mm以下であるが、20mm以上であっても構わない。特に、チャネル幅Wが2mmを下回ると、製造の難易度が極端に高くなる。チャネル幅Wの下限は後述の理由により50μmくらいである。
【0031】
次に、前記チャネルの内壁面9,9を、PCVM技術を使って高品位化する。このPCVM法は、ハロゲン等の化学的活性度の大きな原子を高圧力雰囲気中(大気圧近傍)で空間的に局在した高周波(例えば150MHz)プラズマ内で励起し、高密度の中性ラジカルを生成することにより、被加工物と反応させ、揮発性物質(反応生成物)に変えることによって除去を行う加工法であり、加工雰囲気を高圧力とすることにより、空間分解能を高めつつ機械加工に匹敵する除去レートで高速加工を実現することができる。
【0032】
具体的には、前記光学素子材料に対してエッチング性を有する反応ガスを含むプロセスガスの圧力が10kPa~1000kPaで、前記チャネル8の内壁面9,9に対向配置した電極に高周波電圧を印加して高周波プラズマを局所的に発生させ、該局所プラズマを前記内壁面9,9に対して相対的に走査して該内壁面9,9の加工変質層を除去し、表面平坦度が1μm以下、表面粗さが1nmRMS以下、X線に対するピーク反射率が理論値の90%以上の前記ブラッグ反射面3,5を形成する反射面高品位化工程を実行する。より好ましくは、X線に対するピーク反射率が理論値の95%以上である。
【0033】
ここで、電極として使用可能なものは、支持体に導電性ワイヤーを張ったワイヤー電極、回転軸に導電性回転対称体を固定した回転電極、プロセスガスを噴出する導電性のノズル電極又はブレード電極である。前記チャネル8の内壁面9,9に機械加工時に導入された加工変質層を除去するのに必要な加工深さは、経験上10μmあれば十分であり、5μm程度でも大部分除去可能である。また、電極と加工面(内壁面9)との間に所定のギャップが必要である。このギャップは、電極に印加する高周波電源の周波数やプロセスガスの種類と圧力にもよるが、プラズマが安定に生成可能な条件を用いる。通常、PCVMにおいて、電極と被加工面とのギャップは、10μm~数mmに設定される。
【0034】
プロセスガスは、前記光学素子材料に対してエッチング性を有する反応ガスとキャリアガスとして希ガスを含み、圧力は10kPa~1000kPaである。この圧力は、大気圧を中心に約1/10~10気圧の範囲に相当する。プロセスガスの圧力が高いとプラズマ発生領域が電極近傍に制限され、空間的に制御された加工が可能になる反面、プラズマの発生、維持が難しくなる。
【0035】
PCVMにおける反応ガスとしては、ハロゲン系ガスや酸素ガス、オゾンガス等が用いられる。ハロゲン系ガスとしては、フッ素系ガスと塩素系ガスがある。フッ素系ガスとしては、F、CF、C、C、C、SF等が挙げられる。また、塩素系ガスとしては、Cl、BCl、CCl等が挙げられる。また、フッ素と塩素を共に含むCClFもある。反応ガスは、加工対象物の材質に応じて適宜に選定され、例えば、加工対象物がシリコンやゲルマニウムであればSFを選定し、ダイヤモンドであればSF又はOを選定する。
【0036】
キャリアガスとしては、希ガスで代表される不活性ガスが用いられ、希ガスとしては、He、Ne、Ar、Xe等が挙げられる。
【0037】
その他にプラズマの発生、安定化に寄与するガスを添加する場合もある。
【0038】
前記電極材料は、反応ガスに応じて耐食性に優れたステンレス、ニッケル、アルミニウム等の耐食性の高い材料で作製する。また、反応ガスに対して耐食性に優れた材料を電極にコーティングすることも好ましい。例えば、表面にAlやMgF、Y(イットリア)等の耐食性を有する材料をコーティング及びディップすることによって腐食の問題は解決できる。
【0039】
前記ブラッグ反射面3,5が、チャネルの溝方向Pにおいて離れた位置にあり、対となった前記ブラッグ反射面3,5の一方の面の法線方向が他方の面と交差する部分(重複部)がない場合には、予め必要のない前記チャネル8の内壁面9,9の部分を前加工時に除去しておけば、加工対象の一方の内壁面9の後方に突出部4又は突出部6が存在しないので、電極の大きさに対する制限が緩和され、各種の電極を用いることが可能である。しかし、チャネル幅Wが狭く、また前記ブラッグ反射面3,5の重複部がある場合には、電極の大きさがチャネル幅Wよりも十分に小さくなければならない。加工対象の内壁面9に対して直交する電極の寸法は、チャネル幅Wのおおよそ半分以下でなければならない。チャネル幅Wが5mm程度になると、回転電極、ノズル電極は使用が困難である。更に、チャネル幅Wが2mm以下になるとブレード電極も使用が難しくなる。チャネル幅Wが2mm以下になると、専らワイヤー電極を用いる。ワイヤー電極を用いる場合でも、ワイヤーの直径、ギャップ及び加工変質層の除去量を考慮すれば、チャネル幅Wの下限はおおよそ50μmになり、この程度までは前工程でダイシングブレードによって溝形成が可能である。
【0040】
本発明のチャネルカットX線光学素子の使用例として、図3に示したものは、線対称形の二つの素子1A,1BをX線ビームBに対してブラッグ反射角に設定して配置したモノクロメータである。入射X線は、第1のチャネルカットX線光学素子1Aの第1のブラッグ反射面3で反射した後、第2のブラッグ反射面5で反射し、更に第2のチャネルカットX線光学素子1Bの第2のブラッグ反射面5で反射した後、第1のブラッグ反射面3で反射し、4回の反射で入射X線の延長線上に出射X線が戻るようになっている。このモノクロメータによって、入射X線の波長(エネルギー)に広がりがあっても、4回の反射の後の出射X線の波長(エネルギー)は、理想的なブラッグ反射角に適合するように単色化される。図3中、実線はチャネル幅Wが広いチャネルカットX線光学素子を用いた場合、想像線はチャネル幅Wが狭いチャネルカットX線光学素子を用いた場合である。X線の遅延時間は、この光路長の増加に起因するので、チャネル幅Wが狭いチャネルカットX線光学素子を用いれば、遅延時間も短くなる。
【0041】
図4は、前記チャネル8の内壁面9,9を、ワイヤー電極10を用いて加工する場合、図5は、ノズル電極20を用いて加工する場合を示している。図4に示すように、ワイヤー電極10は、アーム状の支持体11の先端間に所定の張力をかけて導電性のワイヤー12を張った構造である。そして、前加工後の光学素子材料をチャンバー13の内部に配置した移動ステージ14に保持し、前記ワイヤー電極10のワイヤー12を一方の内壁面9に所定のギャップを設けて平行に配置し、ワイヤー12をブラッグ反射面3又はブラッグ反射面5の幅方向に走査する。また、前記チャンバー13には、プロセスガス供給系15と排気系16が接続され、排気系16でチャンバー13の内部を真空に引いた後、プロセスガス供給系15から所定の圧力のプロセスガスを充填する。そして、前記ワイヤー電極10には、高周波電源17から高周波電圧が印加され、前記ワイヤー12の周囲に高周波プラズマを発生させて加工する。
【0042】
図5に示すように、ノズル電極20を一方の内壁面9に対して所定のギャップを設けて配置し、該ノズル電極20からプロセスガスを噴き出しながら、該ノズル電極20に高周波電圧を印加して、ギャップでプラズマを発生させる。この場合、前記内壁面9の反対側の裏面に対応する突出部6の側面には、アース補助電極21を配置して接地し、光学素子材料が高抵抗であってもギャップで安定にプラズマが発生するようにしている。尚、ノズル電極20による加工の場合でも、図4に示したように、チャンバー13,移動ステージ14,プロセスガス供給系15,排気系16、高周波電源17を備えている。また、前記ノズル電極20の代わりに、回転電極やブレード電極を用いる場合も同様である。
【0043】
図6図8は、チャネル幅Wが2mmよりも狭く、しかも対となった前記ブラッグ反射面3,5の一方の面の法線方向が他方の面と交差する部分(重複部)がある場合におけるワイヤー電極10を用いた加工例を示している。この場合、前記チャネル8の両内壁面9,9から等距離にワイヤー12を配置し、両内壁面9,9を同時に加工するようにしている。ここで、前記ワイヤー電極10に連続して高周波電圧を印加していると、やがて両内壁面9,9の重複部でプラズマ維持ができなくなる。これは、プラズマ発生後にプラズマ維持が困難な重複部から比較的容易な非重複部のみへとプラズマ発生領域が変化したためと考えられる。この問題は、図8に示すように高周波電圧をパルス変調し、プラズマ発生領域が変化する前にプ ラズマを消灯して再び点灯させることを繰り返すことで解決できることを見出した。
【0044】
チャネル幅がsub-mmの極狭チャネルカット結晶(μCC)は、XFEL光源の高度化のためのキーデバイスとなる。高エネルギー分解能を必要とするX線分光実験等ではバンド幅が狭いプローブX線が不可欠であるが、バンド幅を制限するほど光強度が激減(典型的に2-3桁)するというジレンマを抱えていた。従来のセフルシード技術には、ダイヤモンド結晶からの前方ブラッグ回折による透過型モノクロメータを利用しているが、単色光生成効率が低く、かつ透過光と同軸上に強い透過光が存在するので、S/N比が悪く、XFEL強度が想定よりも小さいという問題があった。極狭チャネルカット結晶を用いるセフルシード技術はこのジレンマを解消する有用な手法であり、発振するXFEL自身の単色性を向上させることで、強度損失を招く透過型モノクロメータを利用することなく高強度単色XFELを生成可能である。しかしながら、このような極狭チャネルカット結晶におけるブラッグ反射面3,5の加工変質層除去は従来技術では極めて困難である。
【0045】
図9に、ノズル電極を用いたPCVMによってSiの各面方位を除去加工した場合の加工速度(MMR)の結晶面依存性を示す。試料として、FZ-Si(100),(110),(111),(422),(511)ウエハを用意した。大気圧He環境下において電極先端部とウエハ間にプラズマを生成し、プロセスガスは電極内部の流路を通してプラズマ領域に直接供給した。各ウエハに対して1軸走査加工を6回行い,それぞれの断面プロファイルの面積からMRRを導出した。加工条件は、圧力100kPa、プロセスガス(He:SF=99.5:0.5)、流量100sccm、走査速度10mm/min、ギャップ0.3mm、電力150MHz、17Wである。
【0046】
X線結晶光学素子は要求に応じて多様な面方位に設定することが求められるが、Si結晶は結晶面ごとに原子密度が大きく異なる異方性材料であり、結晶面に依存する特性を示す加工手法が多い。結晶面依存性が強い場合、結晶面毎に条件最適化が必要となる上に、エッチピットが生じて平坦且つ平滑な表面を得ることが困難になる。図9に示すように、MMRの比は(100):(110):(111):(422):(511)=1.03:1.04:1.00:1.01:0.95であり、各結晶面の加工量の差は誤差程度であると言える。Fラジカルを用いたプラズマプロセスでは、任意の結晶面に対して依存性なく同等の加工特性が得られ、エッチピットなく平坦且つ平滑な表面が得られることが示された。
【0047】
図5のようにチャネル8の内壁面9にアクセス可能な小型のプラズマ発生用電極(ノズル電極20)により、Si製チャネルカット結晶の反射面の加工歪をPCVMによって除去した際の、X線ビームの二回反射像の代表的な例を図10(a)、(b)に示す。PCVM加工前に無数に存在したスクラッチ状の暗線はPCVM加工によって消滅しており、PCVMによってチャネルカット結晶の反射面に存在する加工変質層が除去可能であることが示された。また、チャネルカット結晶の前後に配置した強度モニターの値から反射率を測定した結果、当初の71.5%からPCVM加工により84.1%にまで向上することが確認されており(理論値は84.4%)、その効果が確認された。
【実施例0048】
相対向するブラッグ反射面3,5の間隔(チャネル幅)が100μmで、対となった前記ブラッグ反射面3,5の一方の面の法線方向が他方の面と交差する部分(重複部)を有するチャネルカットX線光学素子(マイクロチャネルカット結晶(μCC))を製造する。
【0049】
PCVMの前加工として,FZ-Si結晶ブロックより切り出され,ダイシングブレードによって幅60~70μm、深さ0.6mmのチャネルを形成した後、溶液エッチングを経て、手磨き研磨により表面仕上げを行った。チャネルの内壁面はSi(220)に設定した。チャネル幅を100μmに抑えるため,前加工でのチャネル幅を80μmとし、直径50μmのワイヤー電極を用いたPCVMでそれぞれの内壁面9,9を10μmずつ除去した。
【0050】
作製されたマイクロチャネルカット結晶を、放射光X線を用いて評価した。2結晶分光器から供給される10keVの単色光をスリットで結晶の開口よりも小さい50×500μmに切り出し,マイクロチャネルカット結晶に照射した。透過光はビームストップを用いて遮断した。以上のように実利用条件に近い形で反射プロファイル及び反射率を取得し、PCVMの有効性を調査した。図11に、PCVM処理前後のSi(220)結晶の反射率の入射角依存性を示す。図示しない反射プロファイルからは、PCVM処理後においてもプロファイル中に強度変調が観察されるものの、PCVM処理によって開口で切り出したエッジ部の明瞭化、そして反射強度の増加が認められた。また、処理後結晶の反射率特性はピーク値が計算値に対して僅かに小さいものの、処理前と比較して明らかに改善しており、ほぼ理論値に近い回折特性が得られた。具体的には、反射率はPCVM処理前の32%から、処理後には38%(理論値40%)に改善された。この値は、X線に対するピーク反射率が理論値の95%に相当する。
【0051】
尚、ブラッグ反射面3,5に重複部があり、且つチャネル幅がsub-mmのチャネルカットX線光学素子(マイクロチャネルカット結晶)の場合、PCVMによる加工後の反射面を直接観察することは難しい。そこで、図12に示すように、2枚のSiウエハW1,W2を間隔100μm、重複部2mmの配置で支持台30に固定し、直径50μmのワイヤー12を備えたワイヤー電極10を静止状態で加工を行った。加工条件は、圧力100kPa、プロセスガス(He:SF=99:1)、ワイヤー直径50μm、ギャップ30-40μm、電力150MHz、ON時間2μs、OFF時間40μsである。
【0052】
図13に示すように、PCVM処理後に支持台30からSiウエハW1,W2を取り外して、加工面を観察した。図13において、SiウエハW1は加工面側から、SiウエハW2は裏面側(加工面と反対側)から見た、加工痕31、プロファイル観察ライン32,33の位置を示している。また、プロファイル観察ライン32,33は重複領域34のほぼ同じ位置である。
【0053】
図14(a)にSiウエハW1のプロファイル観察ライン32でのプロファイル、図14(b)にSiウエハW2のプロファイル観察ライン33でのプロファイルをそれぞれ示している。この結果、sub-mmのチャネル幅であっても、ワイヤー電極を用いれば反射面の重複部でも同時加工することが可能であることが確認できた。尚、両プロファイルに若干の違いがあるのは、両SiウエハW1,W2間の中央からワイヤー電極が若干ずれているためであると推測され、またプロファイルの中央部において除去量が少なくなっているのは、ギャップにおいてプロセスガスの供給が滞っているためであると推測される。しかし、実際の反射面の加工には、ワイヤー電極を反射面の幅方向に走査して加工量が平均化されるので問題はない。
【0054】
最後に、ワイヤー電極10を用いたPCVMにおいて、パルス変調した高周波電圧による加工特性を調べた。図15に実験配置を示す。移動ステージ14に固定した支持台40の上面にSiウエハからなる試料41を固定し、該試料41の表面に対して平行にワイヤー電極10のワイヤー12を配置した。加工条件は、圧力100kPa、プロセスガス(He:SF=99。5:0.5)、ワイヤー直径50μm、ギャップ100μm、電力150MHz、ON時間25-50μs、OFF時間200-950μsである。
【0055】
ON/OFF時間=50/450μsでの静止加工痕における試料中央部での加工深さは2.67μm、試料両端部での加工深さはそれぞれ2.77μm、3.01μmであった。この結果、ワイヤー電極を用いれば、反射面の端部においても中央部と同等の加工量が得られることが分かった。
【0056】
次に、高周波電圧のON時間を50μsに固定し、OFF時間を200,450、950μsと変化させた場合の表面粗さ(RMS)の変化を図16に示す。図17は、図16の結果をデューティ比に対する表面粗さ示した。この結果、OFF時間が200μs(デューティ比20%)であれば、表面粗さが悪化するが、反応生成物が表面に再付着することが原因であると推測される。そして、OFF時間を450μs(デューティ比10%)、950μs(デューティ比5%)と長くすると、言い換えればデューティ比を小さくすると、PCVMによる表面粗さの劣化は防げることが分かった。尚、図18(a)は、試料のPCVM加工前の表面観察結果、(b)はOFF時間が200μsでの加工後の表面観察結果、(c)はOFF時間が450μsでの加工後の表面観察結果をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0057】
1,1A,1B チャネルカットX線光学素子(チャネルカット結晶)
2 基台
3 第1のブラッグ反射面
4 突出部
5 第2のブラッグ反射面
6 突出部
7 スリット
8 チャネル
9 内壁面
10 ワイヤー電極
11 支持体
12 ワイヤー
13 チャンバー
14 移動ステージ
15 プロセスガス供給系
16 排気系
17 高周波電源
20 ノズル電極
21 アース補助電極
30 支持台
31 加工痕
32 プロファイル観察ライン
33 プロファイル観察ライン
34 重複領域
40 支持台
41 試料
B X線ビーム
P 溝方向
W チャネル幅
W1 第1のSiウエハ
W2 第2のSiウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18