(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044379
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230323BHJP
H01L 21/3065 20060101ALN20230323BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20230323BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152386
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】石川 真矢
(72)【発明者】
【氏名】針生 大輝
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084AA08
2G084CC12
2G084CC13
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2G084FF15
5F004AA16
5F004BA04
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5F131EB15
5F131EB16
5F131EB17
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
(57)【要約】
【課題】基板支持部内の電極に電力を効率的に供給可能な改良された電極構造を提供する。
【解決手段】プラズマ処理チャンバと、基台、セラミック部材、環状部材、基板支持面の下方に配置される第1及び第2の中央電極、内側領域が第1の中央電極のエッジ領域の下方に配置され、第1の縦コネクタを介して第1の中央電極のエッジ領域と電気的に接続される第1の環状コネクタ、内側領域が第2の中央電極のエッジ領域の下方に配置され、第2の縦コネクタを介して第2の中央電極のエッジ領域と電気的に接続される第2の環状コネクタ、及び、ガス分配空間を介して第1の環状コネクタ及び第2の環状コネクタの下方に形成される中央ヒータ電極を含む基板支持部と、第3の縦コネクタを介して第1の環状コネクタの外側領域に電気的に接続されるDC電源と、第4の縦コネクタを介して第2の環状コネクタの外側領域に電気的に接続される電圧パルス生成部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部であり、前記基板支持部は、
基台と、
前記基台上に配置され、基板支持面及びリング支持面を有するセラミック部材であり、前記セラミック部材は、ガス分配空間と、前記セラミック部材の下面から前記ガス分配空間まで延在する少なくとも1つのガス入口と、前記ガス分配空間から前記基板支持面又は前記リング支持面まで延在する複数のガス出口とを有する、セラミック部材と、
前記基板支持面上の基板を囲むように前記リング支持面上に配置される1又は複数の環状部材と、
前記セラミック部材内に埋め込まれる第1及び第2の中央電極であり、前記第1の中央電極は、前記基板支持面の下方に配置され、前記第2の中央電極は、前記第1の中央電極の下方に配置される、第1及び第2の中央電極と、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、縦方向に延在する第1~第4の縦コネクタと、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、水平方向に延在する第1及び第2の環状コネクタであり、前記第1の環状コネクタの内側領域は、前記第1の中央電極のエッジ領域の下方に配置され、前記第1の縦コネクタを介して前記第1の中央電極のエッジ領域と電気的に接続され、前記第2の環状コネクタの内側領域は、前記第2の中央電極のエッジ領域の下方に配置され、前記第2の縦コネクタを介して前記第2の中央電極のエッジ領域と電気的に接続される、第1及び第2の環状コネクタと、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、1又は複数の分割領域を有する中央ヒータ電極であり、前記ガス分配空間の一部又は全部は、前記第1の環状コネクタと前記中央ヒータ電極との間、且つ、前記第2の環状コネクタと前記中央ヒータ電極との間に形成される、中央ヒータ電極と、
を含む、基板支持部と、
前記第3の縦コネクタを介して前記第1の環状コネクタの外側領域に電気的に接続され、DC信号を生成するように構成されるDC電源と、
前記第4の縦コネクタを介して前記第2の環状コネクタの外側領域に電気的に接続され、電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される電圧パルス生成部と、を備える、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第2の環状コネクタは、前記第1の環状コネクタの上方に配置される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の環状コネクタは、前記第1の縦コネクタから外方に延在している、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第2の環状コネクタは、前記第2の縦コネクタから外方に延在している、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記基台又は前記第2の環状コネクタに電気的に接続され、RF信号を生成するように構成されるRF電源をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記中央ヒータ電極は、RFフィルタを介してグランド電位に接続される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記基板支持部は、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、縦方向に延在する第5の縦コネクタと、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、水平方向に延在する第3の環状コネクタと、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、前記リング支持面の下方に配置される第1の環状電極と、
をさらに含み、
前記第3の環状コネクタの内側領域は、前記第2の環状コネクタの外側領域の下方に配置され、前記第5の縦コネクタを介して前記第2の環状コネクタの外側領域と電気的に接続され、
前記第1の環状電極の内側領域と前記第3の環状コネクタの外側領域との間で容量結合が形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記容量結合は5nF以下の容量を有する、請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第1の環状電極の外側領域に電気的に接続され、追加の電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される追加の電圧パルス生成部をさらに備える、請求項7又は8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
少なくとも1つの追加のDC信号を生成するように構成される少なくとも1つの追加のDC電源をさらに備え、
前記基板支持部は、前記セラミック部材内に埋め込まれ、前記少なくとも1つの追加のDC電源に電気的に接続される少なくとも1つの第2の環状電極をさらに含み、前記少なくとも1つの第2の環状電極は、前記リング支持面と前記第1の環状電極との間に配置される、請求項7~9のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記基板支持部は、前記セラミック部材内に埋め込まれ、前記中央ヒータ電極を囲むように前記リング支持面の下方に配置される環状ヒータ電極をさらに含み、
前記中央ヒータ電極と前記環状ヒータ電極との間に環状ギャップが形成され、
前記第3の縦コネクタ及び前記第4の縦コネクタは、前記環状ギャップを通って縦方向に延在する、請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部であり、前記基板支持部は、
基台と、
前記基台上に配置され、基板支持面及びリング支持面を有するセラミック部材と、
前記基板支持面上の基板を囲むように前記リング支持面上に配置される1又は複数の環状部材と、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、前記基板支持面の下方において水平方向に配置される中央電極と、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、縦方向に延在する第1~第4の縦コネクタと、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、水平方向に延在する第1及び第2の環状コネクタであり、前記第1の環状コネクタの内側領域は、前記中央電極のエッジ領域の下方に配置され、前記第1の縦コネクタを介して前記中央電極のエッジ領域と電気的に接続され、前記第2の環状コネクタの内側領域は、前記第1の環状コネクタの外側領域の下方に配置され、前記第2の縦コネクタを介して前記第1の環状コネクタの外側領域と電気的に接続される、第1及び第2の環状コネクタと、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、前記リング支持面の下方に配置される環状電極であり、前記環状電極の内側領域と前記第2の環状コネクタの外側領域との間で容量結合が形成される、環状電極と、
を含む、基板支持部と、
前記第3の縦コネクタを介して前記第1の環状コネクタの外側領域に電気的に接続され、第1の電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される第1の電圧パルス生成部と、
前記第4の縦コネクタを介して前記環状電極の外側領域に電気的に接続され、第2の電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される第2の電圧パルス生成部と、を備える、プラズマ処理装置。
【請求項13】
前記容量結合は5nF以下の容量を有する、請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記基板支持部は、前記セラミック部材内に埋め込まれる中央静電電極及び環状静電電極をさらに含み、
前記中央静電電極は、前記基板支持面と前記中央電極との間に配置され、
前記環状静電電極は、前記リング支持面と前記環状電極との間に配置される、請求項12又は13に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部であり、前記基板支持部は、
基台と、
前記基台上に配置され、基板支持面及びリング支持面を有するセラミック部材であり、前記セラミック部材は、ガス分配空間と、前記セラミック部材の下面から前記ガス分配空間まで延在する少なくとも1つのガス入口と、前記ガス分配空間から前記基板支持面又は前記リング支持面まで延在する複数のガス出口とを有する、セラミック部材と、
前記基板支持面上の基板を囲むように前記リング支持面上に配置される1又は複数の環状部材と、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、前記基板支持面の下方に配置される電極と、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、縦方向に延在する第1及び第2の縦コネクタと、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、水平方向に延在する環状コネクタであり、前記環状コネクタの内側領域は、前記電極のエッジ領域の下方に配置され、前記第1の縦コネクタを介して前記電極のエッジ領域と電気的に接続される、環状コネクタと、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、1又は複数の分割領域を有するヒータ電極であり、前記ガス分配空間の一部又は全部は、前記環状コネクタと前記ヒータ電極との間に形成される、ヒータ電極と、
を含む、基板支持部と、
前記第2の縦コネクタを介して前記環状コネクタの外側領域に電気的に接続され、DC信号又はRF信号を生成するように構成される電源と、を備える、プラズマ処理装置。
【請求項16】
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部であり、前記基板支持部は、
基台と、
前記基台上に配置され、基板支持面及びリング支持面を有するセラミック部材と、
前記基板支持面上の基板を囲むように前記リング支持面上に配置される1又は複数の環状部材と、
前記セラミック部材内に埋め込まれる第1及び第2の電極であり、前記第1の電極は、前記基板支持面の下方に配置され、前記第2の電極は、前記第1の電極の下方に配置される、第1及び第2の電極と、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、縦方向に延在する第1及び第2の縦コネクタと、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、水平方向に延在する第1及び第2の環状コネクタであり、前記第1の環状コネクタの内側領域は、前記第1の電極のエッジ領域の下方に配置され、前記第1の縦コネクタを介して前記第1の電極のエッジ領域と電気的に接続され、前記第2の環状コネクタの内側領域は、前記第2の電極のエッジ領域の下方に配置され、前記第2の縦コネクタを介して前記第2の電極のエッジ領域と電気的に接続される、第1及び第2の環状コネクタと、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、1又は複数の分割領域を有する中央ヒータ電極であり、前記中央ヒータ電極は、前記基板支持面の下方に配置される、中央ヒータ電極と、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、前記中央ヒータ電極を囲むように前記リング支持面の下方に配置される環状ヒータ電極であり、前記中央ヒータ電極と前記環状ヒータ電極との間に環状ギャップが形成される、環状ヒータ電極と、
前記セラミック部材内に埋め込まれ、前記環状ギャップを通って縦方向に延在する第3及び第4の縦コネクタと、
を含む、基板支持部と、
前記第3の縦コネクタを介して前記第1の環状コネクタの外側領域に電気的に接続され、DC信号を生成するように構成されるDC電源と、
前記第4の縦コネクタを介して前記第2の環状コネクタの外側領域に電気的に接続され、電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される電圧パルス生成部と、を備える、プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クーリングプレートと誘電プレートとが積層して形成された静電チャックを備えるプラズマ処理チャンバが開示されている。特許文献1に記載の静電チャックの内部には、複数の電極が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0286717号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板支持部内の電極に電力を効率的に供給可能な改良された電極構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、プラズマ処理装置であって、プラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部であり、前記基板支持部は、基台と、前記基台上に配置され、基板支持面及びリング支持面を有するセラミック部材であり、前記セラミック部材は、ガス分配空間と、前記セラミック部材の下面から前記ガス分配空間まで延在する少なくとも1つのガス入口と、前記ガス分配空間から前記基板支持面又は前記リング支持面まで延在する複数のガス出口とを有する、セラミック部材と、前記基板支持面上の基板を囲むように前記リング支持面上に配置される1又は複数の環状部材と、前記セラミック部材内に埋め込まれる第1及び第2の中央電極であり、前記第1の中央電極は、前記基板支持面の下方に配置され、前記第2の中央電極は、前記第1の中央電極の下方に配置される、第1及び第2の中央電極と、前記セラミック部材内に埋め込まれ、縦方向に延在する第1~第4の縦コネクタと、前記セラミック部材内に埋め込まれ、水平方向に延在する第1及び第2の環状コネクタであり、前記第1の環状コネクタの内側領域は、前記第1の中央電極のエッジ領域の下方に配置され、前記第1の縦コネクタを介して前記第1の中央電極のエッジ領域と電気的に接続され、前記第2の環状コネクタの内側領域は、前記第2の中央電極のエッジ領域の下方に配置され、前記第2の縦コネクタを介して前記第2の中央電極のエッジ領域と電気的に接続される、第1及び第2の環状コネクタと、前記セラミック部材内に埋め込まれ、1又は複数の分割領域を有する中央ヒータ電極であり、前記ガス分配空間の一部又は全部は、前記第1の環状コネクタと前記中央ヒータ電極との間、且つ、前記第2の環状コネクタと前記中央ヒータ電極との間に形成される、中央ヒータ電極と、を含む、基板支持部と、前記第3の縦コネクタを介して前記第1の環状コネクタの外側領域に電気的に接続され、DC信号を生成するように構成されるDC電源と、前記第4の縦コネクタを介して前記第2の環状コネクタの外側領域に電気的に接続され、電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される電圧パルス生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板支持部内の電極に電力を効率的に供給可能な改良された電極構造を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を模式的に示す説明図である。
【
図2】本実施形態にかかるプラズマ処理装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図3】基板支持部を構成する静電チャックの構成の概略を示す断面図である。
【
図4】吸着用環状ドライバの構成例を示す静電チャックの断面図である。
【
図5】バイアス用環状ドライバの構成例を示す静電チャックの断面図である。
【
図6】導電性ビアとヒータ電極の位置関係を示す説明図である。
【
図7】伝熱ガス供給部の形成例を示す静電チャックの断面図である。
【
図8】電極間で形成される容量結合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスの製造工程では、チャンバ中に供給された処理ガスを励起させてプラズマを生成することで、基板支持体に支持された半導体基板(以下、単に「基板」という。)に対して、エッチング処理、成膜処理、拡散処理などの各種プラズマ処理が行われる。基板を支持する基板支持体には、例えば、クーロン力等によって基板を載置面に吸着保持する静電チャックと、プラズマ処理に際してバイアス電力や基板の吸着電力が供給される電極部と、が設けられる。
【0009】
上述のプラズマ処理では、基板に対するプロセス特性の均一性を高めるため、処理対象の基板の温度分布を均一に制御することが求められる。プラズマ処理に際しての基板の温度分布は、例えば、静電チャックの内部に複数の加熱機構(ヒータ等)を設け、これら加熱機構により規定される複数の温調領域毎に載置面温度を制御することで調整される。
【0010】
ところで、前述の電極部に供給されるバイアス電力や吸着電力は、電極部と加熱機構との容量結合に起因して、当該加熱機構にノイズ成分として漏出するおそれがある。このため、従来、加熱機構にフィルタを設けて当該ノイズ成分を除害することが行われている。しかしながら、特に、DC(Direct Current)パルス電力をバイアス電力として用いた場合、従来のフィルタではノイズ成分を適切に除害することが困難であると共に、イオンエネルギーのピークを出せず基板に対するプラズマ処理を適切に実行できなくなるおそれがある。
【0011】
本開示にかかる技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基板支持部内の電極に電力を効率的に供給可能な改良された電極構造を提供する。以下、本実施形態にかかる基板処理装置の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<プラズマ処理システム>
【0013】
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0014】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、 100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0015】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0016】
<プラズマ処理装置>
次に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。
図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0017】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0018】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0019】
また、一実施形態において本体部111は、基台113及び静電チャック114を含む。基台113は、導電性部材を含む。基台113の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック114は、基台113の上に配置される。静電チャック114は、セラミック部材114aと、セラミック部材114a内に配置される複数の電極と、セラミック部材114a内に形成されるガス分配空間を含む。複数の電極は、後述する1又は複数の静電電極115と、下部電極として機能し得る1又は複数のバイアス電極116とを含む。セラミック部材114aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材114aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック114を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック114と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。
【0020】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0021】
また、基板支持部11は、リングアセンブリ112、静電チャック114及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含む。
図2に示すように、一実施形態において温調モジュールは、静電チャック114の内部に配置される後述のヒータ電極117、基台113の内部に形成される流路113aを含む。流路113aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。なお、温調モジュールの構成はこれに限定されるものではなく、リングアセンブリ112、静電チャック114及び基板Wのうち少なくとも1つの温度を調整できるように構成されればよい。
【0022】
また、基板支持部11の内部には、基板Wの裏面と中央領域111aとの間、又はリングアセンブリ112の裏面と環状領域111bとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部118(後述の
図3、
図7を参照)を含んでもよい。
【0023】
なお、本開示の技術に係るプラズマ処理装置1が備える基板支持部11の詳細な構成については後述する。
【0024】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0025】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0026】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、下部電極及び/又は上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0027】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して下部電極及び/又は上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、下部電極及び/又は上部電極に供給される。
【0028】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0029】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、上部電極に印加される。
【0030】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、DCに基づく電圧パルスのシーケンスが下部電極及び/又は上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0031】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0032】
<基板支持部>
次に、上述した基板支持部11の詳細な構成例について説明する。
上述したように、基板支持部11は本体部111及びリングアセンブリ112を含み、本体部111は基台113及び静電チャック114を含む。また、静電チャック114は、基板Wを支持する中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持する環状領域111bを上面に有する。
【0033】
図3は、静電チャック114の構成の概略を示す断面図である。
図3においては静電チャック114と積層して配置される基台113、及び静電チャック114に支持される基板W及びリングアセンブリ112の図示は省略している。また、
図4は
図3に示したA-A断面を示す横断面図である。また、
図5は
図3に示したB-B断面を示す横断面図である。更に、
図7は
図3に示したC-C断面を示す横断面図である。
【0034】
静電チャック114は、上述したように基台113の上に配置される。静電チャック114は、少なくとも1つのセラミック層を有するセラミック部材114aを含む。セラミック部材114aは、中央領域111aを上面に有する。一実施形態において、セラミック部材114aは、環状領域111bも上面に有する。
【0035】
またセラミック部材114aは、中央領域111aと対応する部分において第1の厚みを有し、環状領域111bと対応する部分において第1の厚みよりも小さな第2の厚みを有する。換言すれば、セラミック部材114aは、
図3に示すように基板支持面(中央領域11a)がリング支持面(環状領域111b)よりも高く、上面に凸部が形成された略凸形状の断面形状を有する。
【0036】
静電チャック114のセラミック部材114aの内部には、静電電極115、バイアス電極116、ヒータ電極117が設けられている。静電電極は、クランプ電極の一例である。また静電チャック114のセラミック部材114aの内部には、伝熱ガス供給部118としての分配空間118aが形成されている。静電チャック114は、セラミック部材114a(例えばセラミックス等の非磁性の誘電体からなる一対の誘電膜)の間に静電電極115、バイアス電極116、ヒータ電極117及び分配空間118aを挟んで構成される。
【0037】
静電電極115は、セラミック部材114aの下面114bに設けられた端子1150を介して静電吸着用DC電源(図示せず)に電気的に接続される。そして、静電吸着用DC電源から静電電極115に直流電圧(DC信号)を印加することによりクーロン力等の静電力を発生させ、発生した静電力によって基板W、リングアセンブリ112をそれぞれ中央領域111a、環状領域111bに吸着保持する。
【0038】
静電電極115は、中央領域111aの下方においてセラミック部材114aの凸部の内部に設けられ、基板Wを中央領域111aに吸着保持するための略円板形状の第1静電電極115aを備える。また静電電極115は、環状領域111bの下方に設けられ、リングアセンブリ112を環状領域111bに吸着保持するための略環状の第2静電電極115bを備える。
【0039】
第1静電電極115aは、導電性の吸着用環状ドライバ115c(第1の導電性環状ドライバ)を介して端子1150aに接続される。静電吸着用DC電源は、端子1150aに電気的に接続される。吸着用環状ドライバ115cは、セラミック部材114aの厚み方向において環状領域111bよりも下方に配置され、縦方向で第1静電電極115a及び環状領域111bの両方と重複して配置される。
【0040】
図4に示すように吸着用環状ドライバ115cは、径の異なる2つの環状部材である内周部分115c1と外周部分115c2を備え、内周部分115c1と外周部分115c2は複数、図示の例では例えば13本のブリッジ部分115c3を介して電気的に接続される。なお、ブリッジ部分115c3の本数は任意に変更できる。
【0041】
第1静電電極115aは、1つ又は周方向に略均等に配置された複数の導電性ビア115dを介して吸着用環状ドライバ115cの内周部分115c1と電気的に接続される。導電性ビア115dは、第1静電電極115aのエッジ領域E1から下方に延在して配置される。また、吸着用環状ドライバ115cの外周部分115c2は、1つ又は周方向に略均等に配置された複数の導電性ビア115eを介して、端子1150aに接続される。換言すれば、第1静電電極115aは、セラミック部材114aの内部で吸着用環状ドライバ115cにより径方向外側にオフセットされた後、端子1150aに接続される。静電吸着用DC電源は、端子1150aに電気的に接続される。
【0042】
なお導電性ビア115eは、
図3及び
図6に示すように、径方向において後述する第1ヒータ電極群117aと第2ヒータ電極117bとのギャップGを通って端子1150aに接続される。
【0043】
なお吸着用環状ドライバ115cは、必ずしも
図4に示したような、連続的な環で構成されている必要はなく、その一部が不連続な環で構成されていてもよい。具体的には、吸着用環状ドライバ115cは、平面視において例えば略C字形状を有していてもよい。
【0044】
第2静電電極115bは、径方向に並べて配置される第2静電電極115b1と、第2静電電極115b2を含む。第2静電電極115b2は、第2静電電極115b1の周囲を囲むように配置される。第2静電電極115b1、第2静電電極115b2は、それぞれ1つ又は周方向に略均等に配置された複数の導電性ビア115fを介して、端子1150bに接続される。静電吸着用DC電源(図示せず)は、端子1150bに電気的に接続される。第2静電電極115bは、
図3に示したように環状領域111bの下方に1つのみ配置されてもよいし、図示は省略するが環状領域111bの下方で径方向に並べて複数配置されてもよい。複数の第2静電電極115bを配置する場合、セラミック部材114aには、第2静電電極115bの数に対応して複数の導電性ビア115f及び端子1150bが配置される。
【0045】
なお、静電吸着用電源としては
図2に示した電源30が用いられてもよいし、電源30とは独立した静電吸着用DC電源(図示せず)が用いられてもよい。また、第1静電電極115aと第2静電電極115bは、それぞれ独立した静電吸着用DC電源に接続されてもよいし、同一の静電吸着用DC電源に接続されてもよい。
【0046】
バイアス電極116は、セラミック部材114aの下面114bに設けられた端子1160を介して電源30に電気的に接続される。バイアス電極116は下部電極として機能し、電源30からバイアスRF信号又はバイアスDC信号が供給されることにより、基板Wにバイアス電位を発生させ、プラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。なお、基台113の導電性部材とバイアス電極116との両方が下部電極として機能してもよい。
【0047】
バイアス電極116は、中央領域111aの下方においてセラミック部材114aの凸部の内部に設けられ、主として基板Wの中央部にイオン成分を引き込むための略円板形状の第1バイアス電極116aを備える。またバイアス電極116は、環状領域111bの下方に設けられ、主として基板Wの外周部にイオン成分を引き込むための略環状の第2バイアス電極116bを備える。
【0048】
第1バイアス電極116aは、導電性のバイアス用環状ドライバ116c(第2の導電性環状ドライバ)を介して端子1160aに接続される。電源30は、端子1160aに電気的に接続される。バイアス用環状ドライバ116cは、セラミック部材114aの厚み方向において環状領域111bよりも下方に配置され、縦方向で第1バイアス電極116a及び環状領域111bの両方と重複して配置される。また、一実施形態においてバイアス用環状ドライバ116cは、環状領域111bと吸着用環状ドライバ115cの間に配置される。
【0049】
図5に示すようにバイアス用環状ドライバ116cは、径の異なる2つの環状部材である内周部分116c1と外周部分116c2を備え、内周部分116c1と外周部分116c2は複数、図示の例では例えば16本のブリッジ部分116c3を介して電気的に接続される。なお、ブリッジ部分116c3の本数は任意に変更できる。
【0050】
第1バイアス電極116aは、1つ又は周方向に略均等に配置された複数の導電性ビア116dを介してバイアス用環状ドライバ116cの内周部分116c1と電気的に接続される。導電性ビア116dは、第1バイアス電極116aのエッジ領域E2から下方に延在して配置される。また、バイアス用環状ドライバ116cの外周部分116c2は、1つ又は周方向に略均等に配置された複数の導電性ビア116eを介して、端子1160aに接続される。換言すれば、第1バイアス電極116aは、セラミック部材114aの内部でバイアス用環状ドライバ116cにより径方向外側にオフセットされた後、端子1160aに接続される。
【0051】
なお導電性ビア116eは、
図3及び
図6に示すように、径方向において後述する第1ヒータ電極群117aと第2ヒータ電極117bとのギャップGを通って端子1160aに接続される。
【0052】
なおバイアス用環状ドライバ116cは、必ずしも
図5に示したような、連続的な環で構成されている必要はなく、その一部が不連続な環で構成されていてもよい。具体的には、バイアス用環状ドライバ116cは、平面視において例えば略C字形状を有していてもよい。
【0053】
またバイアス用環状ドライバ116cには、1つ又は周方向に略均等に配置された複数の導電性ビア116fを介して、導電性の結合用環状ドライバ116gが接続される。導電性ビア116fは、結合用環状ドライバ116gの内側領域116g1と電気的に接続される。結合用環状ドライバ116gは、セラミック部材114aの厚み方向においてバイアス用環状ドライバ116cよりも下方に配置され、少なくとも一部が縦方向で第2バイアス電極116bと重複して配置される。結合用環状ドライバ116gは、基板Wに対するイオン成分の引き込みに際して、第2バイアス電極116bと容量結合により電気的に接続される。なお、バイアス用環状ドライバ116cと第2バイアス電極116bとの径方向における重複幅は、第2バイアス電極116bと結合用環状ドライバ116gとの間に生じさせる所望の容量結合の強さに応じて適宜変更し得る。第2バイアス電極116bと結合用環状ドライバ116gとの間に生じさせる容量結合の強さは、一例として5nF以下、好適には1nF程度である。
【0054】
第2バイアス電極116bは、1つ又は周方向に略均等に配置された複数の導電性ビア116hを介して、端子1160bに接続される。導電性ビア116hは、第2バイアス電極116bの外側領域116b2と電気的に接続される。電源30は、端子1160bに電気的に接続される。第2バイアス電極116bの内側領域116b1は、上述したように基板Wに対するイオン成分の引き込みに際して、
図8に示すように結合用環状ドライバ116gの外側領域116g2(第1バイアス電極116a)と容量結合Cにより電気的に接続される。
【0055】
なお、第1バイアス電極116aと第2バイアス電極116bは、それぞれ独立して電源30の第2のRF生成部31b及び/又は第1のDC生成部32aに接続されてもよいし、一体に第2のRF生成部31b及び/又は第1のDC生成部32aに接続されてもよい。換言すれば、電源30には第1バイアス電極116aと第2バイアス電極116bにそれぞれ独立して接続される複数の第2のRF生成部31b及び/又は第1のDC生成部32aが設けられていてもよい。
【0056】
ヒータ電極117は、セラミック部材114aの下面114bに設けられた端子1170を介してヒータ電源1171(
図2を参照)に電気的に接続される。また、ヒータ電極117とヒータ電源1171とを接続する給電ケーブル上であって、ヒータ電極117とグランド電位との間には、静電電極115やバイアス電極116から当該給電ケーブル内に侵入するノイズ成分としての高周波電力(RF電力又はDCパルス信号)を減衰、又は阻止するためのカットフィルタ1172(高周波カットフィルタ)が設けられる。そしてヒータ電極117は、ヒータ電源1171からの電圧が印加されることにより加熱され、静電チャック114、リングアセンブリ112及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節する。
【0057】
ヒータ電極117は、中央領域111aの下方に設けられ、中央領域111aに支持された基板Wを加熱するための略円板形状の第1ヒータ電極群117aを備える。またヒータ電極117は、環状領域111bの下方に設けられ、環状領域111bに支持されたリングアセンブリ112を加熱するための1つ又は複数の略環状の第2ヒータ電極117bを備える。
【0058】
第1ヒータ電極群117aは、セラミック部材114aの凸部よりも大径を有する略円板形状で構成される。第1ヒータ電極群117aは複数の第1ヒータ電極(図示せず)を備える。複数の第1ヒータ電極は、それぞれ独立の導電性ビア117cを介して端子1170aと接続され、ヒータ電源1171aは、端子1170aに電気的に接続される。これにより、各々に対する電力の供給を個別に制御可能に構成されている。換言すれば、第1ヒータ電極群117aは、平面視において複数の第1ヒータ電極の各々、又は組み合わせにより規定される複数の温調領域毎に中央領域111a(基板W)の温度を独立して制御可能に構成される。
【0059】
第2ヒータ電極117bは、環状領域111bの温度を調節し、これにより当該環状領域111bに支持されたリングアセンブリ112の温度を調節可能に構成される。第2ヒータ電極117bは、1つ又は複数の導電性ビア117dを介して端子1170bと接続される。ヒータ電源1171bは、端子1170bに電気的に接続される。なお、第2ヒータ電極117bは、第1ヒータ電極群117aと同様に環状領域111bを平面視において複数の温調領域毎に独立して温度調節可能に構成されてもよい。
【0060】
なお、ヒータ電源としては
図2に示した電源30が用いられてもよいし、電源30とは独立したヒータ電源(図示せず)が用いられてもよい。
【0061】
ここで、略円板形状の第1ヒータ電極群117aと、略環状の第2ヒータ電極117bとの間には、略環状の隙間(ギャップG:
図6を参照)が形成される。そして上述したように、導電性ビア115e及び導電性ビア116eは、
図6に示すように当該ギャップGを通って端子1150及び端子1160にそれぞれ接続される。
【0062】
伝熱ガス供給部118は、分配空間118aと、分配空間118aに伝熱ガスを供給するためのガス入口118bと、分配空間118aから伝熱ガスを排出するためのガス出口118cを有する。伝熱ガス供給部118は、ガス入口118b、分配空間118a及びガス出口118cをこの順に介して、リングアセンブリ112の裏面と環状領域111bとの間に伝熱ガス(バックサイドガス:例えばHeガス)を供給する。
【0063】
分配空間118aは、
図3に示したように、セラミック部材114aの厚み方向において、吸着用環状ドライバ115cと第1ヒータ電極群117aの間、且つ、バイアス用環状ドライバ116cと第1ヒータ電極群117aの間に形成される。また分配空間118aは、
図7に示すように、平面視において略環状に形成される環状部分118a1と、環状部分118a1から径方向内側に突出して形成される内周突出部分118a2と、環状部分118a1から径方向外側に突出して形成される複数の外周突出部分118a3と、を有する。
【0064】
環状部分118a1は、セラミック部材114aの周方向に沿って環状に形成される。環状部分118a1は、セラミック部材114aの径方向において、少なくとも吸着用環状ドライバ115c及び/又はバイアス用環状ドライバ116cと、第1ヒータ電極群117aが縦方向で重複する部分を覆う幅で形成される。
【0065】
内周突出部分118a2は、
図7に示すように環状部分118a1の径方向内側から突出して形成され、セラミック部材114aの下面114b側から延在して形成されるガス入口118b(
図3を参照)と接続される。ガス入口118bは、伝熱ガス供給源(図示せず)に接続される。
【0066】
外周突出部分118a3は、
図7に示すように環状部分118a1の径方向外側から突出して形成され、セラミック部材114aの上面(リング支持面)側から延在して形成されるガス出口118c(
図3を参照)と接続される。ガス出口118cは、環状領域111b(リング支持面)の周方向に略均等に複数(図示の例では16個)配置され、外周突出部分118a3は、このガス出口118cの数に対応して複数(図示の例では16個)形成される。
【0067】
なお、伝熱ガス供給部118は、更に基板Wの裏面と中央領域111aとの間に伝熱ガスを供給可能に構成されてもよい。この時、基板Wの裏面に供給される伝熱ガスとしては、リングアセンブリ112の裏面側に供給される伝熱ガスが用いられても、すなわち中央領域111a(基板支持面)から延在して形成される他のガス出口が環状部分118a1に更に接続されてもよい。又は、リングアセンブリ112の裏面側に伝熱ガスを供給する分配空間118a、ガス入口118b及びガス出口118cとは独立して、他の伝熱ガス供給部が配置されてもよい。
【0068】
一実施形態において、基板支持部11は、第1及び第2の中央電極115a,116aと、第1~第4の縦コネクタ115d,116d,115e,116eと、第1及び第2の環状コネクタ115c,116cと、中央ヒータ電極117aとを含む。これらは、セラミック部材114a内に埋め込まれる。第1の中央電極115aは、基板支持面111aの下方に配置される。第2の中央電極116aは、第1の中央電極115aの下方に配置される。一実施形態において、第1の中央電極115aは、静電電極であり、第2の中央電極116aは、バイアス電極である。1又は複数の第1の縦コネクタ115dは、第1の中央電極115aのエッジ領域E1から下方に延在している。第1の環状コネクタ115cは、1又は複数の第1の縦コネクタ115dから水平方向に沿って外方に向かって延在している。第1の環状コネクタ115cの内側領域115c1は、第1の中央電極115aのエッジ領域E1の下方に配置され、1又は複数の第1の縦コネクタ115dを介して第1の中央電極115aのエッジ領域E1と電気的に接続される。1又は複数の第2の縦コネクタ116dは、第2の中央電極116aのエッジ領域E2から下方に延在している。第2の環状コネクタ116cは、1又は複数の第2の縦コネクタ116dから水平方向に沿って外方に向かって延在している。第2の環状コネクタ116cの内側領域116c1は、第2の中央電極116aのエッジ領域E2の下方に配置され、第2の縦コネクタ116dを介して第2の中央電極116aのエッジ領域E2と電気的に接続される。なお、縦コネクタは、縦方向に延在するコネクタであり、ビアコネクタとも呼ばれる。また、環状コネクタは、水平方向に延在するコネクタであり、オフセットコネクタとも呼ばれる。縦コネクタ及び環状コネクタは、導電性材料で形成される。中央ヒータ電極117aは、1又は複数の分割領域を有する。1又は複数の分割領域は、基板支持面111a上の基板に対してゾーン毎に個別に温度制御を行うために水平方向に数十~数百の分割領域を有する。
【0069】
一実施形態において、セラミック部材114aは、少なくとも1つのガス入口118b、複数のガス出口118c及びガス分配空間118を有する。少なくとも1つのガス入口118bは、セラミック部材114aの下面114bからガス分配空間118まで延在する。複数のガス出口118cは、ガス分配空間118から基板支持面111a又はリング支持面111bまで延在する。一実施形態において、ガス分配空間118の一部又は全部は、第1の環状コネクタ115cと中央ヒータ電極117aとの間、且つ、第2の環状コネクタ116cと中央ヒータ電極117aとの間に形成される。
【0070】
一実施形態において、第3の縦コネクタ115eは、第1の環状コネクタ115cの外側領域115c2から下方に延在している。一実施形態において、第4の縦コネクタ116eは、第2の環状コネクタ116cの外側領域116c2から下方に延在している。一実施形態において、DC電源は、第3の縦コネクタ115eを介して第1の環状コネクタ115cの外側領域115c2に電気的に接続され、DC信号を生成するように構成される。一実施形態において、電圧パルス生成部は、第4の縦コネクタ116eを介して第2の環状コネクタ116cの外側領域116c2に電気的に接続され、電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される。一実施形態において、第2の環状コネクタ116cは、第1の環状コネクタ115cの上方に配置される。一実施形態において、第1の環状コネクタ115cは、第1の中央電極115aの外径よりも大きい外径を有する。一実施形態において、第2の環状コネクタ116cは、第2の中央電極116aの外径よりも大きい外径を有する。一実施形態において、RF電源31bは、基台113又は第2の環状コネクタ116cに電気的に接続され、RF信号を生成するように構成される。一実施形態において、中央ヒータ電極117aは、RFフィルタを介してグランド電位に接続される。
【0071】
一実施形態において、基板支持部11は、第3の環状コネクタ116g及び第1の環状電極116bを含む。これらは、セラミック部材114a内に埋め込まれる。第3の環状コネクタ116gの内側領域116g1は、第2の環状コネクタ116cの外側領域116c2の下方に配置され、第5の縦コネクタ116fを介して第2の環状コネクタ116cの外側領域116c2と電気的に接続される。第1の環状電極116bは、リング支持面111bの下方に配置される。第1の環状電極116bの内側領域116b1と第3の環状コネクタ116gの外側領域116g2との間で容量結合Cが形成される(
図8を参照)。一実施形態において、第1の環状電極116bの内側領域116b1は、第3の環状コネクタ116gの外側領域116g2の上方に配置される。なお、第1の環状電極116bの内側領域116b1は、第3の環状コネクタ116gの外側領域116g2の下方に配置されてもよい。一実施形態において、容量結合Cは5nF以下の容量を有する。一実施形態において、追加の電圧パルス生成部は、第6の縦コネクタ116hを介して第1の環状電極116bの外側領域116b2に電気的に接続され、追加の電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される。
【0072】
一実施形態において、基板支持部11は、セラミック部材114a内に埋め込まれ、リング支持面111bと第1の環状電極116bとの間に配置される少なくとも1つの第2の環状電極115b1,115b2を含む。一実施形態において、少なくとも1つの追加のDC電源は、少なくとも1つの第7の縦コネクタ115fを介して少なくとも1つの第2の環状電極115b1,115b2に電気的に接続され、少なくとも1つの追加のDC信号を生成するように構成される。一実施形態において、第1の環状電極116bは、環状バイアス電極であり、少なくとも1つの第2の環状電極115b1,115b2は、環状静電電極である。
【0073】
一実施形態において、基板支持部11は、セラミック部材114a内に埋め込まれ、中央ヒータ電極117aを囲むようにリング支持面111bの下方に配置される環状ヒータ電極117bを含む。一実施形態において、中央ヒータ電極117aと環状ヒータ電極117bとの間に環状ギャップGが形成される。一実施形態において、第3の縦コネクタ115e及び第4の縦コネクタ116eは、環状ギャップGを通って縦方向に延在する。
【0074】
一実施形態において、基板支持部11は、中央電極116aと、第1及び第2の環状コネクタ116c,116gと、環状電極116bとを含む。これらは、セラミック部材114a内に埋め込まれる。中央電極116aは、基板支持面111aの下方に配置される。第1の環状コネクタ116cの内側領域116c1は、中央電極116aのエッジ領域E2の下方に配置され、第1の縦コネクタ116dを介して中央電極116aのエッジ領域E2と電気的に接続される。第2の環状コネクタ116gの内側領域116g1は、第1の環状コネクタ116cの外側領域116c2の下方に配置され、第2の縦コネクタ116fを介して第1の環状コネクタ116cの外側領域116c2と電気的に接続される。環状電極116bは、リング支持面111bの下方に配置される。環状電極116bの内側領域116b1と第2の環状コネクタ116gの外側領域116g2との間で容量結合Cが形成される。そして、第1の電圧パルス生成部は、第3の縦コネクタ116eを介して第1の環状コネクタ116cの外側領域116c2に電気的に接続され、第1の電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される。また、第2の電圧パルス生成部は、第4の縦コネクタ116hを介して環状電極116bの外側領域116b2に電気的に接続され、第2の電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される。
【0075】
一実施形態において、基板支持部11は、中央電極116a、環状コネクタ116c及び中央ヒータ電極117aを含む。これらは、セラミック部材114a内に埋め込まれる。中央電極116aは、基板支持面111aの下方に配置される。環状コネクタ116cの内側領域116c1は、中央電極116aのエッジ領域E2の下方に配置され、第1の縦コネクタ116dを介して中央電極116aのエッジ領域E2と電気的に接続される。そして、ガス分配空間118の一部又は全部は、環状コネクタ116cと中央ヒータ電極117aとの間に形成される。また、電源は、第2の縦コネクタ116eを介して環状コネクタ116cの外側領域に電気的に接続され、DC信号又はRF信号を生成するように構成される。
【0076】
一実施形態において、基板支持部11は、第1及び第2の中央電極115a,116aと、第1及び第2の環状コネクタ115c,116cと、中央ヒータ電極117aと、環状ヒータ電極117bとを含む。これらは、セラミック部材114a内に埋め込まれる。第1の中央電極115aは、基板支持面111aの下方に配置され、第2の中央電極116aは、第1の中央電極115aの下方に配置される。第1の環状コネクタ115cの内側領域115c1は、第1の中央電極115aのエッジ領域E1の下方に配置され、第1の縦コネクタ115dを介して第1の中央電極115aのエッジ領域E1と電気的に接続される。第2の環状コネクタ116cの内側領域116c1は、第2の中央電極116aのエッジ領域E2の下方に配置され、第2の縦コネクタ116dを介して第2の中央電極116aのエッジ領域E2と電気的に接続される。中央ヒータ電極117aと環状ヒータ電極117bとの間に環状ギャップGが形成される。一実施形態において、DC電源は、環状ギャップGを通って縦方向に延在する第3の縦コネクタ115eを介して第1の環状コネクタ115cの外側領域115c2に電気的に接続され、DC信号を生成するように構成される。一実施形態において、電圧パルス生成部は、環状ギャップGを通って縦方向に延在する第4の縦コネクタ116eを介して第2の環状コネクタ116cの外側領域116c2に電気的に接続され、電圧パルスのシーケンスを生成するように構成される。
【0077】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0078】
例えば、
図3に示した例においては、セラミック部材114aの厚み方向において吸着用環状ドライバ115cとバイアス用環状ドライバ116cを下方からこの順に配置したが、バイアス用環状ドライバ116cを吸着用環状ドライバ115cよりも下方に配置してもよい。同様に、
図3に示した例においては、結合用環状ドライバ116gをバイアス用環状ドライバ116cの下方に配置したが、結合用環状ドライバ116gはバイアス用環状ドライバ116cの上方に配置してもよい。また、第2バイアス電極116bが結合用環状ドライバ116gの下方に配置されてもよい。
【0079】
例えば、以上の実施形態においては、ヒータ電極117が基板Wを加熱するための第1ヒータ電極群117aと、リングアセンブリ112を加熱するための第2ヒータ電極117bを備える場合を例に説明を行った。しかしながら、リングアセンブリ112の温度制御を必要としない場合には、適宜、環状の第2ヒータ電極117bは省略されてもよい。この場合、導電性ビア115e及び導電性ビア116eは、少なくとも第1ヒータ電極群117aの径方向外側を通って、それぞれ端子1150、1160に接続されることが望ましい。
【0080】
<本開示にかかるプラズマ処理装置の作用効果1>
ここで、上述したように、伝熱ガス供給部118としての分配空間118aが形成されていない従来の静電チャックにおいては、プラズマ処理に際して電極部(静電電極115及びバイアス電極116に対応)と加熱機構(ヒータ電極117に対応)が容量結合し、吸着電力やバイアス電力の一部がノイズ成分として加熱機構に漏出するおそれがあった。このように加熱機構に侵入したノイズ成分は、通常、RFカットフィルタ(カットフィルタ1172に対応)により除害されるが、これら吸着電力やバイアス電力としてDCに基づく電圧パルスが使用された場合、適切にノイズ成分の除外をできない場合や、適切に基板Wに対するプラズマ処理を実行できない場合があった。
【0081】
電極部と加熱機構の間の静電容量は、以下の(1)式により表される。
静電容量C[F] = 誘電率ε[F/m]
× 面積S[m2]/
距離d[m]・・・(1)
かかる(1)式を参酌して、従来、電極部と加熱機構の間の距離を大きくすることや静電チャックの材料(誘電率)を変更することで静電容量を小さくし、電極部から加熱機構に漏出するノイズ成分を少なくすることが図られている。しかしながら、近年のプラズマ処理チャンバの小型化の要求から静電チャックの厚みには制約があり、電極部と加熱機構の間の距離を大きくすることが困難であると共に、また、新たな静電チャック材料の早期開発を行うことも困難であった。
【0082】
この点、本実施形態にかかるプラズマ処理装置1が備える静電チャック114には、
図3に示したように、吸着用環状ドライバ115cと第1ヒータ電極群117aの間、且つ、バイアス用環状ドライバ116cと第1ヒータ電極群117aの間に、バックサイドガスとしての伝熱ガス(Heガス)が供給される分配空間118aが形成されている。また分配空間118aは、径方向において吸着用環状ドライバ115c及び/又はバイアス用環状ドライバ116cと、第1ヒータ電極群117aが縦方向で重複する部分を少なくとも覆う幅で形成されている。
【0083】
分配空間118aに供給される伝熱ガスとしてのHeガスと静電チャック114を構成するセラミック部材114aとの誘電率εの比率は、凡そ、Heガス:セラミック部材114a=1:10である。上記(1)式を鑑みれば、吸着用環状ドライバ115c及び/又はバイアス用環状ドライバ116cと第1ヒータ電極群117aとの間に形成された分配空間118aは、距離dを10倍にすることと同等の効果を得られる。この効果は、分配空間118aにHeガスが充填される場合であっても、Heガスが充填されない場合、すなわち分配空間118aが真空の場合であっても同様に得られる。
そして本発明者らが鋭意検討を行ったところ、
図3に示したように静電チャック114の内部に分配空間118aを形成することにより、静電容量を約1/15、すなわちインピーダンスを15倍にできることを知見した。また、かかる静電容量の値は、例えば分配空間118aに供給する伝熱ガス種類や分配空間118aの高さ(静電チャック114の厚み方向に対する分配空間118aの大きさ)を変更することで、適切に調整し得る可能性を見出した。
【0084】
このように本実施形態にかかるプラズマ処理装置1によれば、静電チャック114の内部に分配空間118aを形成して伝熱ガスを供給することで、電極部(静電電極115及びバイアス電極116)と加熱機構(第1ヒータ電極群117a)の間の容量結合を弱め、当該加熱機構に対するノイズ成分の侵入を適切に抑制、又は阻止できる。
そして、これにより静電電極115に対する吸着電力の供給、及び、バイアス電極116に対するバイアス電力の供給効率を高め、基板Wに対するプラズマ処理を適切に実行できる。
更に、カットフィルタ1172に対するノイズ成分の侵入が抑制、又は阻止されるため当該カットフィルタ1172に不具合や損傷が生じることを抑制でき、プラズマ処理装置1のメンテナンスに要する時間やランニングコストを低減できる。
【0085】
また本実施形態によれば、分配空間118aに供給される伝熱ガスは、従来、プラズマ処理においてバックサイドガスとして用いられていたHeガスを流用でき、すなわち、新たな伝熱ガスを用意する必要はない。このため、分配空間118aが形成された静電チャック114を導入することのみによって、本開示にかかる技術を容易にプラズマ処理装置1に適用できる。
【0086】
なお、以上の実施形態においては分配空間118aを環状領域111bから延在して形成されるガス出口118cと接続したが、これに代えて又は加えて、中央領域111aから延在して形成される他のガス出口(図示せず)と接続されてもよい。換言すれば、分配空間118aを介して供給されるバックサイドガスは、リングアセンブリ112の下面に代えて又は加えて、基板Wの裏面に対して供給されてもよい。
【0087】
<本開示にかかるプラズマ処理装置の作用効果2>
基板Wに対するプラズマ処理のプロセス結果を面内均一に制御するためには、プラズマ処理に際しての基板Wの面内温度を均一に制御することが重要になる。ここで、上述したように、第1ヒータ電極群117aがセラミック部材114aの凸部よりも大径を有する。このため、導電性ビア115e及び導電性ビア116eが、それぞれ静電電極115及びバイアス電極116の外端部から直下に延在して端子に接続される場合、第1ヒータ電極群117aに対して、これら導電性ビアを挿通するための穴を形成する必要がある。しかしながら、このように第1ヒータ電極群117aに穴を形成した場合、当該穴の形成部においては中央領域111a(基板W)の加熱を直接的に行うことができず、基板Wの面内温度が不均一になる原因となり得る。
【0088】
この点、本実施形態にかかるプラズマ処理装置1が備える静電チャック114によれば、静電電極115及びバイアス電極116は、それぞれ吸着用環状ドライバ115c及びバイアス用環状ドライバ116cを介してそれぞれの端子に接続される。より具体的には、吸着用環状ドライバ115c及びバイアス用環状ドライバ116cにより第1ヒータ電極群117aと第2ヒータ電極117bとのギャップGと対応する径方向位置までオフセットされた後、当該オフセット位置において導電性ビアを端子に向けて延在して配置する。
【0089】
これにより、導電性ビアが第1ヒータ電極群117aと第2ヒータ電極117bとのギャップGを通って端子に接続されるため、第1ヒータ電極群117aに穴を形成する必要がない。すなわち、第1ヒータ電極群117aの全面で適切に中央領域111a(基板W)の加熱を行うことができ、プラズマ処理に際して基板Wの面内温度が不均一になることを適切に抑制できる。
また本実施形態によれば、静電電極115及びバイアス電極116を、静電チャック114の厚み方向における環状領域111bの近傍に配置することで、当該静電電極115及びバイアス電極116と第1ヒータ電極群117aとの間の距離dを容易に大きくできる。そして、このように距離dを大きくすることで、吸着用環状ドライバ115c、バイアス用環状ドライバ116cと第1ヒータ電極群117aの間の静電容量を適切に小さくできると共に、伝熱ガスの分配空間118aの形成猶予を適切に大きくできる。換言すれば、電極部(静電電極115及びバイアス電極116)と加熱機構(第1ヒータ電極群117a)の間の容量結合を適切に低下させることができる。
【0090】
<本開示にかかるプラズマ処理装置の作用効果3>
プラズマ処理装置において、基板Wの表面に積層して形成されたエッチング対象層に対してマスクパターンを転写するエッチング処理が行われる場合、基板Wに対するイオン成分の入射角度等(電子の移動)を精密に制御することが重要になる。しかしながら、基板Wにイオン成分を引き込むための第1バイアス電極116aと第2バイアス電極116bに対するバイアス電力の供給を独立して制御する場合、第1バイアス電極116aと第2バイアス電極116bに同じ供給電力を供給した場合であっても機差等の影響で実際に供給される電力に誤差が生じ、エッチング処理の精度が低下するおそれがある。
【0091】
この点、本実施形態にかかる静電チャック114によれば、第2バイアス電極116bとバイアス用環状ドライバ116cを介して電気的に接続される結合用環状ドライバ116gを、少なくともその一部が縦方向で第2バイアス電極116bと重複して配置する。
【0092】
これにより、結合用環状ドライバ116gは、基板Wに対するイオン成分の引き込みに際して、第2バイアス電極116bと容量結合により電気的に接続される。換言すれば、第1バイアス電極116aと第2バイアス電極116bが電気的に接続され、第1バイアス電極116aと第2バイアス電極116bに独立して電力を供給する場合であっても、基板Wの中央部と外周部に対するイオンの引き込みを同期できる。そして本発明者らが鋭意検討を行ったところ、このように基板Wに対する基板Wの中央部と外周部に対するイオンの引き込み量や電子の移動を同期することで、基板Wの表面に形成されるエッチングホール形状の真円度を適切に向上できることを知見した。
【0093】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 プラズマ処理装置
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
111a 中央領域
111b 環状領域
112 リングアセンブリ
113 基台
114a セラミック部材
115 静電電極
115c 吸着用環状ドライバ
116 バイアス電極
116c バイアス用環状ドライバ
117 ヒータ電極
118a 分配空間
118b ガス入口
118c ガス出口
32 DC電源
32a 第1のDC生成部