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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044639
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】処理システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20230323BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230323BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G03G15/00 480
G03G21/00 500
B41J29/38 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131579
(22)【出願日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2021152070
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴行
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061HJ04
2C061HK06
2C061HN04
2C061HV09
2C061HV32
2H072AA02
2H072AA24
2H072AB15
2H072CA01
2H072CB05
2H072EA12
2H072EA14
2H270KA57
2H270LC22
2H270LD08
2H270MC61
2H270MC65
2H270NE08
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】パージ先を選択する操作の頻度を低減することが可能な処理システムを提供する。
【解決手段】
対象物に所望の処理を施す処理部を有する処理装置と、前記対象物を前記処理装置に供給する供給装置と、前記処理装置が送り出す前記対象物を排出する排出装置とを備える処理システムであって、前記排出装置は、該排出装置内を移動する前記対象物の排出が可能な排出装置パージ部を備えるとともに、前記処理システムは、前記処理システム内でジャムを起こした対象物が発生した際に、前記ジャムを起こした対象物の上流および下流に位置する他の対象物の排出を許可するかを前記排出装置パージ部に対して設定する排出先設定手段と、前記対象物のジャムを検知した場合に、前記他の対象物を、前記排出先設定手段によって設定された前記排出装置パージ部に排出する搬送制御手段とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に所望の処理を施す処理部を有する処理装置と、
前記対象物を前記処理装置に供給する供給装置と、
前記処理装置が送り出す前記対象物を排出する排出装置と、
を備える処理システムであって、
前記排出装置は、該排出装置内を移動する前記対象物の排出が可能な排出装置パージ部を備えるとともに、
前記処理システムは、
前記処理システム内でジャムを起こした対象物が発生した際に、前記ジャムを起こした対象物の上流および下流に位置する他の対象物の排出を許可するかを前記排出装置パージ部に対して設定する排出先設定手段と、
前記対象物のジャムを検知した場合に、前記他の対象物を、前記排出先設定手段によって設定された前記排出装置パージ部に排出する搬送制御手段と
を有することを特徴とする処理システム。
【請求項2】
前記処理装置は、該処理装置内を移動する前記対象物の排出が可能な処理装置パージ部を備えることを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【請求項3】
前記処理装置の後段に複数の排出装置を備えるとともに、前記複数の排出装置のそれぞれに前記排出装置パージ部を備えることを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【請求項4】
前記対象物の通常の排出先として設定した通常排出部と、該通常排出部の上流でジャムを起こした対象物との間に、搬送可能な前記他の対象物が存在する場合は、前記他の対象物を前記通常排出部に排出することを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【請求項5】
前記通常排出部の上流でジャムを起こした対象物が、前記処理装置内でジャムを起こした対象物であることを特徴とする請求項4記載の処理システム。
【請求項6】
前記対象物の通常の排出先として設定した通常排出部と、該通常排出部の上流でジャムを起こした対象物との間に、搬送可能な前記他の対象物が存在する場合は、前記他の対象物を、前記排出先設定手段で排出を許可した前記排出装置パージ部の中で、最下流の前記排出装置パージ部に排出することを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【請求項7】
ジャムを起こした対象物が前記処理装置内に存在するとともに、前記処理装置内に前記処理装置パージ部への搬送が可能な前記他の対象物が存在する場合は、前記他の対象物を前記処理装置パージ部に排出することを特徴とする請求項2記載の処理システム。
【請求項8】
前記他の対象物を、前記処理装置の前記処理部を経由して、前記排出装置パージ部または前記処理装置パージ部に排出する場合は、前記処理部による前記他の対象物への前記処理の実施を禁止することを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【請求項9】
前記排出先設定手段で排出を許可した前記排出装置パージ部に対して前記他の対象物を排出できない場合は、前記他の対象物をその場に停止することを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【請求項10】
前記排出先設定手段は、前記排出装置パージ部および前記処理装置パージ部に対して、前記他の対象物の排出の許可の設定、および排出の優先順位の設定が可能であることを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【請求項11】
前記処理装置は、前記他の対象物を前記排出装置へ導く第1位置と、前記他の対象物を前記処理装置パージ部へ導く第2位置とを切り替え可能な排出先変更部材を備えることを特徴とする請求項2記載の処理システム。
【請求項12】
前記処理装置内を搬送していた前記他の対象物のうち、前記排出先変更部材により排出先の変更が可能な位置にある前記他の対象物と、前記供給装置内で搬送していた前記他の対象物とを前記処理装置パージ部に排出し、
前記処理装置内を搬送していた前記他の対象物のうち、前記排出先変更部材により排出先の変更が不可能な位置にある前記他の対象物を前記排出装置パージ部に排出する
ことを特徴とする請求項11記載の処理システム。
【請求項13】
前記処理装置内を搬送していた前記他の対象物のうち、前記排出先変更部材により排出先の変更が不可能な位置にある前記他の対象物を、排出の許可を設定した前記複数の排出装置の中で、排出が可能な状態にある最下流の排出装置の前記排出装置パージ部に排出することを特徴とする請求項3記載の処理システム。
【請求項14】
前記対象物は、シート状の記録媒体であることを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【請求項15】
前記処理装置は、前記対象物に画像を形成する画像形成装置であることを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、操作画面を通してユーザーの操作を受け付ける操作部と、複数の排紙先へつながる経路に沿ってシートを複数の排紙先のいずれかへ搬送する搬送部と、経路を移動中のシートに画像を形成する画像形成部と、操作部が受け付けたユーザーの操作に従って複数の排紙先の中から搬送先を特定し、搬送部に当該搬送先へシートを搬送させる制御部とを備えた画像形成装置であり、制御部は、搬送部を通して経路にジャムを検出した場合、搬送部にシートの搬送を中断させると共に、操作部に、複数の排紙先の中からパージ先を選択するための選択画面を表示させて、選択画面を通してユーザーによって選択されたパージ先を受け付けさせ、操作部が選択されたパージ先を受け付けたことに応じて、経路上に停止しているシートの中から当該パージ先へ移動可能なシートを特定し、搬送部に当該シートを当該パージ先へ搬送させる画像形成装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の構成では、ジャムを検出した場合、シートの搬送を中断し、ユーザーが選択画面からパージ先をその都度選択しなければ、シートをパージ先に搬送することができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、対象物に所望の処理を施す処理部を有する処理装置と、前記対象物を前記処理装置に供給する供給装置と、前記処理装置が送り出す前記対象物を排出する排出装置とを備える処理システムであって、前記排出装置は、該排出装置内を移動する前記対象物の排出が可能な排出装置パージ部を備えるとともに、前記処理システムは、前記処理システム内でジャムを起こした対象物が発生した際に、前記ジャムを起こした対象物の上流および下流に位置する他の対象物の排出を許可するかを前記排出装置パージ部に対して設定する排出先設定手段と、前記対象物のジャムを検知した場合に、前記他の対象物を、前記排出先設定手段によって設定された前記排出装置パージ部に排出する搬送制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、パージ先を選択する操作の頻度を低減することが可能な処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態に係る処理システムの一例を示す全体概略図。
図2】本発明の実施形態に係る処理システムの概略ブロック図。
図3】本発明の実施形態に係る制御部の機能ブロック図。
図4】本発明の実施形態に係る制御部のハードウェアブロック図。
図5】本発明の実施形態に係る排出トレイに対する排出許可の設定フロー図。
図6】本発明の実施形態に係る操作部の排出先設定画面の表示例を示す説明図。
図7】本発明の実施形態に係る記録媒体の排出制御の一例を示すフロー図。
図8】本発明の実施形態に係るジャム発生時の排出動作の一例を示す説明図。
図9】本発明の実施形態に係るジャム発生時の排出動作の一例を示す説明図。
図10】本発明の実施形態に係るジャム発生時の排出動作の一例を示す説明図。
図11】本発明の実施形態に係るジャム発生時の排出動作の一例を示す説明図。
図12】本発明の実施形態に係る記録媒体の排出制御の変形例を示すフロー図。
図13】本発明の実施形態に係る記録媒体の排出制御の別の変形例を示すフロー図。
図14】本発明の実施形態に係る処理システムの変形例を示す全体概略図。
図15】本発明の実施形態に係るジャム発生時の排出動作の変形例を示す説明図。
図16】本発明の実施形態に係る処理システムの変形例を示す概略ブロック図。
図17】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態を、図面を用いて以下に説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る処理システムの一例を示す全体概略図である。本実施形態では処理システムとして画像形成システムを例に説明する。
【0009】
画像形成システム100は、シート供給装置5、画像形成装置4および後処理装置1、2、3を備える。画像形成装置4は画像形成部43を備え、対象物の一例であるシート状の記録媒体S(太線部)に対して所望の処理(本実施形態では画像形成処理)を施す。画像形成部43による画像形成処理は、電子写真方式、インクジェット方式、熱転写方式等、種々の画像形成方式を採用することが可能である。インクジェット方式の場合、画像形成部43は液滴を吐出する記録ヘッドを備え、記録ヘッドから記録媒体Sに液滴を吐出して画像を形成する。記録ヘッドは、記録媒体Sの搬送方向と直交する方向に走査しながら液滴を吐出するシリアル型でもよいし、記録ヘッドの位置を固定したライン型でもよい。
【0010】
また、画像形成装置4は搬送路切替ゲート42を備える。搬送路切替ゲート42は、搬送路P(破線部)に対して揺動可能であり、記録媒体Sを後処理装置3へ導く第1位置と、記録媒体Sを画像形成装置4内に設けたトレイ41へ導く第2位置とで切り替えが可能である。また、画像形成装置4は操作部44を備える。操作部44は例えばタッチパネルディスプレイからなり、カーソル、キーボード、メニュー、ウインドウ、文字または画像などの各種情報や処理結果の表示、ならびにユーザーからの入力の受け付けを行う。なお、本実施形態において操作部44は画像形成装置4のみでなく、シート供給装置5および後処理装置1、2、3を含めた画像形成システム100全体における各種情報や処理結果の表示ならびに入力を行うことが可能である。ここで、画像形成装置4は「処理装置」の一例であり、画像形成部43は「処理部」の一例である。また、トレイ41は「処理装置パージ部」の一例であり、搬送路切替ゲート42は「排出先変更部材」の一例である。
【0011】
画像形成装置4の前段(図では右側)には、シート供給装置5を設置している。シート供給装置5は、記録媒体Sを収容する収容部51を備え、収容部51から送り出す記録媒体Sを、搬送路Pを経由して画像形成装置4に供給する。ここで、シート供給装置5は「供給装置」の一例である。
【0012】
画像形成装置4の後段(図では左側)には、後処理装置3、後処理装置2および後処理装置1を備えている。後処理装置3、2、1は、それぞれ排出トレイ31、21、11および搬送路切替ゲート32、22、12を備える。搬送路切替ゲート32、22は、搬送路Pに対して揺動可能であり、記録媒体Sを後段の後処理装置へ導く位置と、記録媒体Sを自装置に設けた排出トレイ31、21へ導く位置とで切り替えが可能である。最下流の後処理装置1の搬送路切替ゲート12は、搬送路Pに対して揺動可能であり、記録媒体Sを自装置に設けた排出トレイ14へ導く位置と、記録媒体Sを自装置に設けた排出トレイ11へ導く位置とで切り替えが可能である。また、後処理装置1は、後処理装置2が送り出す記録媒体Sに対して、折り、パンチ、ステープルなどの後処理を行う後処理部13を備え、後処理後の記録媒体Sを排出トレイ11または排出トレイ14に排出する。ここで、後処理装置1、2、3は「排出装置」の一例であり、排出トレイ11、14、21、31は「排出装置パージ部」の一例である。
【0013】
画像形成システム100は、システム内でジャムを起こした記録媒体が発生した際に、ジャムを起こした記録媒体の上流および下流に位置する他の記録媒体を排出するための排出先を予め設定しておく機能を有する。排出先の入力(指示)は、ユーザーが操作部44から行うことが可能である。つまり、画像形成システム100内でジャムを起こした記録媒体が発生した際、他の記録媒体の排出を許可するかをトレイ41および排出トレイ11、14、21、31に対してユーザーは操作部44から入力することができる。これにより、画像形成システム100内で記録媒体のジャムが発生した場合は、ジャムを起こしていない他の記録媒体を、ユーザーの入力に応じて後述の制御部が設定する排出トレイに対して自動的に搬送する。その結果、ジャムを起こした記録媒体の除去作業の時間を短くすることができる。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係る処理システムの概略ブロック図である。
【0015】
画像形成装置4は、処理装置の一例であり、画像形成装置4は、制御部540、駆動部541、記録媒体センサ542、記憶部543および操作部44を備える。
【0016】
制御部540は、操作部44(または外部端末)から画像形成処理の開始命令を受信すると、駆動部541の駆動を開始する。また、制御部540は、記録媒体センサ542からの信号を受信し、受信した信号に基づき駆動部541の制御および操作部44への搬送状態に関する情報の表示等を行う。
【0017】
また、制御部540は、操作部44が受け付けた情報を、記憶部543に格納することで、画像形成装置4における各種設定を行う。例えば、制御部540は、操作部44が受け付けた設定情報(例えばジャム発生時の記録媒体を排出させるトレイ情報)を操作部44から受信した場合、制御部540は受信した情報を記憶部543に格納する。これにより、設定情報に応じた設定(例えば排出トレイの設定)が行われる。
【0018】
また、制御部540は、操作部44が受け付けた設定情報を操作部44から受信した場合、制御部540は受信した情報を、後述の後処理装置1、2、3およびシート供給装置5の各制御部へ送信する。
【0019】
駆動部541は、図1に示した画像形成部43および記録媒体Sの搬送を制御し、記録媒体Sに対する画像形成処理を実行する。記録媒体センサ542は、画像形成装置4の搬送路P上の必要箇所に設置しており、記録媒体Sの通過または停滞などを検出し、検出信号を制御部540に送信する。
【0020】
記憶部543は、画像形成装置4のトレイ41に対する排出許可の設定情報を格納する。
【0021】
操作部44は、例えばタッチパネルディスプレイからなり、カーソル、キーボード、メニュー、ウインドウ、文字または画像などの各種情報や処理結果の表示、ならびにユーザーからの入力の受付を行う。
【0022】
次に排出装置の一例である後処理装置3、2、1について説明する。後処理装置3は、制御部530、駆動部531、記録媒体センサ532および記憶部533を備える。
【0023】
制御部530は、画像形成装置4の制御部540からの指示を受信すると、その指示に基づき駆動部531の駆動を制御する。また、制御部530は、記録媒体センサ532からの信号を受信し、受信した信号に基づき、駆動部531の制御および画像形成装置4の制御部540への搬送状態に関する情報の送信等を行う。
【0024】
また、制御部530は、制御部540から設定情報を受け付けた場合、当該設定情報を記憶部533に格納することで、後処理装置3における各種設定を行う。
【0025】
駆動部531は、後処理装置3における記録媒体Sの搬送を制御する。記録媒体センサ532は、後処理装置3の搬送路P上の必要箇所に設置しており、記録媒体Sの通過または停滞などを検出し、検出信号を制御部530に送信する。
【0026】
記憶部533は、後処理装置3の排出トレイ31に対する排出許可の設定情報を格納する。
【0027】
後処理装置2は、制御部520、駆動部521、記録媒体センサ522および記憶部523を備える。
【0028】
制御部520は、画像形成装置4の制御部540からの指示を後処理装置3の制御部530を経由して受信すると、その指示に基づき駆動部521の駆動を制御する。また、制御部520は、記録媒体センサ522からの信号を受信し、受信した信号に基づき、駆動部521の制御および制御部540への搬送状態に関する情報の送信等を、制御部530を経由して行う。
【0029】
また、制御部520は、制御部540からの設定情報を、後処理装置3の制御部530を経由して受け付けた場合、当該設定情報を記憶部523に格納することで、後処理装置2における各種設定を行う。
【0030】
駆動部521は、後処理装置2における記録媒体Sの搬送を制御する。記録媒体センサ522は、後処理装置2の搬送路P上の必要箇所に設置しており、記録媒体Sの通過または停滞などを検出し、検出信号を制御部520に送信する。
【0031】
記憶部523は、後処理装置2の排出トレイ21に対する排出許可の設定情報を格納する。
【0032】
後処理装置1は、制御部510、駆動部511、記録媒体センサ512および記憶部513を備える。
【0033】
制御部510は、画像形成装置4の制御部540からの指示を後処理装置3、2の制御部530、520を経由して受信すると、その指示に基づき駆動部511の駆動を制御する。また、制御部510は、記録媒体センサ512からの信号を受信し、受信した信号に基づき、駆動部511の制御および制御部540への搬送状態に関する情報の送信等を、制御部520、530を経由して行う。
【0034】
また、制御部510は、制御部540からの設定情報を、後処理装置3、2の制御部530、520を経由して受け付けた場合、当該設定情報を記憶部513に格納することで、後処理装置1における各種設定を行う。
【0035】
駆動部511は、後処理装置1における記録媒体Sの搬送を制御する。記録媒体センサ512は、後処理装置1の搬送路P上の必要箇所に設置しており、記録媒体Sの通過または停滞などを検出し、検出信号を制御部510に送信する。
【0036】
記憶部513は、後処理装置1の排出トレイ11、14に対する排出許可の設定情報を格納する。
【0037】
次にシート供給装置5について説明する。シート供給装置5は、供給装置の一例であり、シート供給装置5は、制御部550、駆動部551、記録媒体センサ552および記憶部553を備える。
【0038】
制御部550は、画像形成装置4の制御部540からの指示を受信すると、その指示に基づき駆動部551の駆動を制御する。また、制御部550は、記録媒体センサ552からの信号を受信し、受信した信号に基づき、駆動部551の制御および画像形成装置4の制御部540への搬送状態に関する情報の送信等を行う。
【0039】
また、制御部550は、制御部540から設定情報を受け付けた場合、当該設定情報を記憶部553に格納することで、シート供給装置5における各種設定を行う。
【0040】
駆動部551は、シート供給装置5における記録媒体Sの搬送を制御する。記録媒体センサ552は、シート供給装置5の搬送路P上の必要箇所に設置しており、記録媒体Sの通過または停滞などを検出し、検出信号を制御部550に送信する。なお、シート供給装置5にも、ジャムを起こしていない記録媒体Sを排出するための排出トレイを設けてもよく、その場合は、記憶部553を設け、当該排出トレイに対する排出許可の設定情報を記憶部553に格納する。
【0041】
上記構成において、通常時(ジャム発生なしの場合)は、画像形成後の記録媒体Sを、ユーザーが操作部44より指示した排出トレイ11、14、21、31のいずれかに排出するように後処理装置1、2、3を制御する。
【0042】
一方、画像形成装置4でジャムが発生した場合、後処理装置1~3内の記録媒体Sは通常時と同様、記録媒体Sを、排出を許可された排出トレイ11、14、21、31に排出するように後処理装置1、2、3を制御する。この場合、画像形成装置4の制御部540は、後処理装置の制御部510、520、530に対して排出先の指示は出さず、後処理装置の制御部510、520、530のそれぞれが排出動作を継続する。
【0043】
また、後処理装置でジャムが発生した場合、ジャム発生時の情報伝達は、ジャムが発生した後処理装置の制御部から画像形成装置4の制御部540に対して、ジャムが発生したことを示す情報を送信する。例えば、後処理装置1でジャムが発生した場合、その情報を後処理装置1の制御部510は後処理装置2の制御部520および後処理装置3の制御部530を経由して、画像形成装置4の制御部540に送信する。
【0044】
次に、後処理装置の制御部510、520、530は、自身の後処理装置1、2、3が排出可能(パージ可能)であるかを判断する。例えば各記録媒体センサ512、522、532の検出信号の情報、各排出トレイに対する排出許可の設定情報等により、自身の後処理装置1~3がパージ可能であるかを判断する。パージ可能と判断した場合は、記録媒体Sの排出先となる排出トレイを有する後処理装置(1、2、3のいずれか)の制御部(510、520、530のいずれか)は駆動部(511、521、531のいずれか)を制御する。
【0045】
後処理装置1、2、3のうち搬送方向下流の後処理装置がパージ不可の場合は、その上流の後処理装置によって排出するように制御する。例えば、後処理装置1の制御部510が、後処理装置1についてパージ不可と判断した場合は、制御部510はパージ不可を示す情報を後処理装置2の制御部520に送信する。
【0046】
後処理装置1からパージ不可を示す情報を受信した後処理装置2は、自身がパージ可能であるかを判断する。後処理装置2の制御部520が、後処理装置2についてパージ可能と判断した場合は、制御部520は後処理装置2の駆動部521を制御し、ジャムを起こしていない記録媒体Sを後処理装置2の排出トレイ21に排出する。後処理装置2でもパージ不可と判断した場合は、後処理装置2の制御部520はパージ不可を示す情報を後処理装置3の制御部530に送信する。後処理装置2からパージ不可を示す情報を受信した後処理装置3は、自身がパージ可能であるかを判断する。
【0047】
そして、後処理装置3の制御部530が、後処理装置3でパージ可能と判断した場合は、制御部530は後処理装置3の駆動部531を制御し、ジャムを起こしていない記録媒体Sを後処理装置3の排出トレイ31に排出する。なお、後処理装置1、2、3のいずれかで記録媒体Sの排出を実施している途中に、当該後処理装置の制御部が排出停止要求を発した場合は、画像形成システム100全体に対して制御部540より排出停止指示を発出する。この排出停止指示は、例えば発生したジャムの種類がシステム全体を止める必要がある場合や、パージ動作中に再びジャムが発生してパージ不可能になった場合などに発出する。
【0048】
図3は、本発明の実施形態に係る制御部の機能ブロック図である。
【0049】
後処理装置1~3、画像形成装置4、およびシート供給装置5の各制御部510、520、530、540、550は、それぞれ排出先設定手段510A、520A、530A、540A、550Aを備える。また、各制御部510~550は、搬送制御手段510B、520B、530B、540B、550Bを備える。
【0050】
排出先設定手段510A~550Aは、それぞれの制御部510~550に対応する記憶部513~553に、操作部44から入力された設定情報を格納することで、各装置に対する設定を行う。例えば、制御部540には、操作部44から送られた設定情報が入力され、制御部530、520、510、550には、制御部540等の他の制御部を介して送られてきた設定情報が入力される。
【0051】
搬送制御手段510B~550Bは、それぞれの制御部510~550に対応した記憶部513~553から読み出された設定情報、およびそれぞれの制御部510~550に対応する記録媒体センサ512、522、532、542、552の検知結果に基づき、記録媒体Sの搬送を制御する。例えば、搬送制御手段510B~550Bは、ジャムが検知された場合に、搬送可能な他の記録媒体を、設定された排出トレイに搬送するよう制御する。
【0052】
図4は、本発明の実施形態に係る制御部のハードウェアブロック図である。
【0053】
各制御部510~550は、CPU(Central Processing Unit)5101、5201、5301、5401、5501と、ROM(Read Only Memory)5102、5202、5302、5402、5502と、RAM(Random Access Memory)5103、5203、5303、5403、5503と、I/Oポート5104、5204、5304、5404、5504と、バスライン5105~5505とを備える。
【0054】
CPU5101~5501は、ROM5102~5502に記憶されたプログラムを実行することにより、順次・分岐・反復処理等を実行する演算装置である。
【0055】
ROM5102~5502は、CPU5101~5501で実行されるプログラム等が記憶された不揮発性記憶装置である。
【0056】
RAM5103~5503は、CPU5101~5501の動作のワークエリア(作業領域)として機能するメモリである。
【0057】
I/Oポート5104~5504は、記録媒体センサ512~552の出力信号等の各種信号やデータが入力され、駆動部511~551への駆動信号等の各種信号を出力するインターフェースである。
【0058】
バスライン5105~5505は、CPU5101~5501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0059】
例えば制御部540には、操作部44からの設定情報がI/Oポート5404から入力されてもよく、他の制御部530、550への出力データがI/Oポート5404から出力されてもよい。また、操作部44や他の制御部530、520、510、550とはバスライン5405で接続されてもよい。
【0060】
図5は、本発明の実施形態に係る排出トレイに対する排出許可の設定フロー図である。
【0061】
上述のように本実施形態の画像形成システム100は、システム内でジャムが発生した際、ジャムを起こした記録媒体の上流および下流に位置する他の記録媒体を排出するための排出先を操作部44から指示し、該当する制御部によって予め設定しておくことができる。
【0062】
排出先を設定する場合、操作部44は排出先設定画面を表示する(ステップS1)。次に、操作部44に表示した排出先設定画面よりユーザーは排出を許可するトレイを指定する(ステップS2)。そして、ユーザーが指定したトレイを備える装置は、当該装置に備えた記憶部に、排出許可の設定情報を格納する(ステップS3)。
【0063】
これにより、排出先の設定が完了し、画像形成システム100内で記録媒体Sのジャムを検知した場合は、ジャムを起こしていない他の記録媒体Sを、排出を許可したトレイに自動的に搬送するようになる。
【0064】
図6は、本発明の実施形態に係る操作部の排出先設定画面の表示例を示す説明図である。
【0065】
操作部44は、例えば図示のように画面の上半分に画像形成システムと排出トレイのイメージ44aを表示し、画面の下半分に選択部44bを表示する。選択部44bには、排出先として選択可能なトレイ番号と、そのトレイを備える装置名が表示してあり、トレイ番号はイメージ44aに表示した番号と一致している。
【0066】
ユーザーは、この画面から排出を許可するトレイを指定する。例えば、選択部44bのトレイ名の左に表示したチェック欄にチェックを入れることで、排出を許可するトレイを指定する。トレイは複数の指定が可能であり、図6は後処理装置1のトレイ6と後処理装置2のトレイ8に対してユーザーが排出を指定したことを示している。
【0067】
なお、操作部44は、排出トレイに対する排出先としての指定に加え、排出の優先順位を指示できるようにしてもよい。例えば、選択部44bの表示において、ユーザーがトレイ番号および装置名を上下に移動して並べ替えを行い、並べ替え後の表示を優先順位として記憶部に格納するようにしてもよい。
【0068】
図7は、本発明の実施形態に係る記録媒体の排出制御の一例を示すフロー図である。
【0069】
画像形成システム100は、画像形成装置4の制御部540からの指示に基づき記録媒体Sに対し画像形成を開始する(ステップS50)。画像形成システム100内に記録媒体Sが存在する期間は、シート供給装置5、画像形成装置4および後処理装置1~3に設けた記録媒体センサにより記録媒体Sの搬送状態を検出してジャムの発生を検知する(ステップS51)。ジャムの発生がないならば、所定数の記録媒体Sへの画像形成が終了したかを判断し(ステップS52)、所定数に達した場合は画像形成を終了する。ステップS52において、所定数に達していない場合は、ジャム発生の検知を行いながら、所定数に達するまで画像形成を行う。
【0070】
画像形成開始後にジャムが発生した場合、各装置の制御部は、ユーザーが排出先として指定したトレイがあるかを判断する(ステップS53)。ここで、排出先なし(排出の許可を設定したトレイなし)と判断した場合、画像形成システム100は、搬送が可能な記録媒体Sは例えば最寄りのパージ(排出)可能なトレイに搬送する。例えば、後処理装置の排出トレイ11、14、21、31に排出できない場合は、後処理装置1~3内を搬送していた記録媒体Sはその場に停止する。また、画像形成装置4内を搬送していた記録媒体Sのうち搬送路切替ゲート42よりも上流にある記録媒体Sは画像形成装置4のトレイ41に排出する。ここで、「排出トレイ11、14、21、31に排出できない場合」とは、排出トレイ11、14、21、31に排出の許可がない場合、または排出の許可を設定したトレイに排出することができない場合等である。
【0071】
そして、画像形成システム100は、搬送が可能な記録媒体Sをどこに排出したのかユーザーが認識できるように排出先のトレイ情報等を操作部44に表示する。また、パージ不可能となり機内に残留する記録媒体S(以下、残留媒体とも称する)のジャム処理手順等の情報を操作部44に表示してユーザーにジャム処理方法を通知する(ステップS59)。
【0072】
ステップS53において排出先ありと判断した場合は、ジャムを起こした記録媒体Sの上流および下流に位置する他の記録媒体Sがパージ可能であるかを判断する(ステップS54)。ここで、ジャムの状況がパージ可能ではないと判断した場合は、機内の残留媒体のジャム処理手順を操作部44に表示してユーザーにジャム処理方法を通知する(ステップS59)。
【0073】
ステップS54においてパージ可能と判断した場合は、ジャムを起こした記録媒体Sの上流および下流に位置する他の記録媒体Sを、ユーザーが排出先として指定した排出トレイに排出する(ステップS55)。ここで、画像形成装置4内を搬送していた記録媒体Sのうち搬送路切替ゲート42によって排出先の変更が可能な記録媒体Sは、画像形成装置4に設けたトレイ41に排出する。
【0074】
また、ステップS55の実行中もジャムの発生を検知している(ステップS56)。ステップS56において、ジャムの発生がないならば、排出すべき記録媒体Sの排出が全て終了したかを判断し(ステップS58)、排出が全て終了した場合は排出動作を終了する。ステップS58において、排出が終了していない場合は、ジャム発生の検知を行いながら、排出すべき記録媒体Sを、ユーザーが排出先として指定した排出トレイに排出する。
【0075】
ステップS56において新たにジャムが発生した場合、新たにジャムを起こした記録媒体Sが搬送路Pに存在し、排出を不可能な状態にしている場合は、搬送動作を停止して(ステップS57)、排出動作を終了にする。そして、排出動作を終了したならば、ジャム処理手順を操作部44に表示してユーザーにジャム処理方法を通知する(ステップS59)。
【0076】
上述のように本実施形態は、記録媒体Sに画像形成処理を施す画像形成部43を有する画像形成装置4と、記録媒体Sを画像形成装置4に供給するシート供給装置5と、画像形成装置4が送り出す記録媒体Sを排出する後処理装置1とを備える画像形成システム100であって、後処理装置1は、後処理装置1内を移動する記録媒体Sの排出が可能な排出トレイ11、14を備えるとともに、画像形成システム100は、画像形成システム100内でジャムを起こした記録媒体Sが発生した際に、ジャムを起こした記録媒体Sの上流および下流に位置する他の記録媒体Sの排出を許可するかを排出トレイ11、14に対して設定する排出先設定手段540A、510Aと、記録媒体Sのジャムを検知した場合に、他の記録媒体Sを、排出先設定手段540A、510Aによって設定された排出トレイ11、14に排出する搬送制御手段540B、510Bとを有する。
【0077】
これにより、画像形成システム100内で記録媒体Sのジャムを検知した場合は、ジャムを起こしていない他の記録媒体Sを、ユーザーが排出先として指定した排出トレイに自動的に搬送することが可能になる。その結果、パージ先を選択する操作の頻度を低減することが可能な画像形成システムを提供することができる。
【0078】
また、上述のように画像形成装置4は、画像形成装置4内を移動する記録媒体Sの排出が可能なトレイ41を備える。
【0079】
これにより、画像形成装置4の搬送路切替ゲート42を通過していない記録媒体Sは、トレイ41に排出することが可能になるので、記録媒体Sの排出先が分散し、排出時間を短縮することができる。
【0080】
また、上述のように画像形成装置4の後段に複数の後処理装置1、2、3を備えるとともに、複数の後処理装置1、2、3のそれぞれに排出トレイ11、14、21、31を備える。
【0081】
これにより、画像形成システム100内に停止して残留する記録媒体Sを減らすことが可能になるので、ジャム処理時間を短縮することができる。
【0082】
また、上述のように操作部44は、排出トレイ11、14、21、31およびトレイ41に対して、他の記録媒体Sの排出先の指定、および排出の優先順位の指定が可能である。
【0083】
これにより、ジャムを起こしていない他の記録媒体Sを、ユーザーが指定した優先順位を基に排出トレイに自動的に排出することができる。
【0084】
また、上述のように画像形成装置4は、他の記録媒体Sを後処理装置3へ導く第1位置と、他の記録媒体Sをトレイ41へ導く第2位置とを切り替え可能な搬送路切替ゲート42を備える。
【0085】
これにより、画像形成装置4の搬送路切替ゲート42を通過していない記録媒体Sをトレイ41に排出することが可能になる。
【0086】
以下、図8乃至図11を用いて、ジャム発生位置による排出先の具体例を説明する。なお、ここに示す具体例も一例であり、図8乃至図11に示した4つのパターンに限るものではない。
【0087】
<パターン1>
図8は、本発明の実施形態に係るジャム発生時の排出動作の一例を示す説明図である。パターン1は、後処理装置1において記録媒体S-10がジャムを起こした場合である。
【0088】
通常の排出先を後処理装置1の排出トレイ14に設定してあり、ジャム発生時等の排出先には排出トレイ14、11、21、31に排出の許可が設定してあるものとする。
【0089】
この場合、ジャムを起こした記録媒体S-10と、後処理装置2の搬送路切替ゲート22を通過してしまった記録媒体S-9はその場に停止する。記録媒体S-8、S-7、S-6に対しては、これらを後処理装置2の排出トレイ21に排出する。記録媒体S-6は、画像形成装置4の搬送路切替ゲート42を通過しているため、排出の許可を設定した排出トレイの中で、排出が可能な状態にある最下流の排出トレイ(本例では排出トレイ21)に排出している。
【0090】
記録媒体S-1、S-2、S-3、S-4、S-5は、画像形成装置4内に設けたトレイ41に排出する。なお、ジャム発生時は画像形成部43による画像形成の実施を禁止し、画像形成部43を経由して排出トレイ14、11、21、31またはトレイ41に排出する記録媒体Sに対しての画像形成を行わないようにしている。
【0091】
上述のように本実施形態において、ジャムを起こしていない他の記録媒体S-1~S-8を、画像形成装置4の画像形成部43を経由して、排出トレイ21またはトレイ41に排出する場合は、画像形成部43による他の記録媒体S-1~S-8への画像形成の実施を禁止する。
【0092】
また、上述のように操作部44で排出を許可した排出トレイ14、11、21、31に対して記録媒体S-9を排出できない場合は、記録媒体S-9をその場に停止する。
【0093】
また、上述のように画像形成装置4内を搬送していた他の記録媒体S-4、S-5、S-6のうち、搬送路切替ゲート42により排出先の変更が可能な位置にある記録媒体S-4、S-5と、シート供給装置5内で搬送していた他の記録媒体S-1、S-2、S-3とをトレイ41に排出し、画像形成装置4内を搬送していた他の記録媒体S-4、S-5、S-6のうち、搬送路切替ゲート42により排出先の変更が不可能な位置にある記録媒体S-6を排出トレイ21に排出する。
【0094】
さらに、上述のように画像形成装置4内を搬送していた他の記録媒体S-4、S-5、S-6のうち、搬送路切替ゲート42により排出先の変更が不可能な位置にある記録媒体S-6を、排出の許可を設定した複数の後処理装置1、2、3の中で、排出が可能な状態にある最下流の後処理装置2の排出トレイ21に排出する。
【0095】
<パターン2>
図9は、本発明の実施形態に係るジャム発生時の排出動作の一例を示す説明図である。パターン2は、後処理装置3において記録媒体S-6がジャムを起こした場合である。
【0096】
パターン1と同様、通常の排出先を後処理装置1の排出トレイ14に設定してあり、ジャム発生時等の排出先には排出トレイ14、11、21、31に排出の許可が設定してあるものとする。
【0097】
この場合、ジャムを起こした記録媒体S-6はその場に停止する。記録媒体S-10、S-9、S-8、S-7は、ジャム発生位置よりも下流に位置しており、ジャムを起こした記録媒体S-6の影響を受けない。そのため、記録媒体S-10、S-9、S-8、S-7は、通常の排出先である排出トレイ14に排出する。
【0098】
記録媒体S-1、S-2、S-3、S-4、S-5は、画像形成装置4内に設けたトレイ41に排出する。なお、ジャム発生時は画像形成部43による画像形成の実施を禁止し、画像形成部43を経由して排出トレイ14、11、21、31またはトレイ41に排出する記録媒体Sに対しての画像形成を行わないようにしている。例えば画像形成装置4が電子写真方式の場合は、ジャム発生時に二次転写装置(二次転写ローラ)の二次転写電流をオフ状態にする。この状態で記録媒体Sを搬送することで、転写位置を通過する記録媒体Sにトナー像は転写しなくなる。
【0099】
また、記録媒体S-10、S-9、S-8、S-7は、排出トレイ14以外の排出トレイ11、21、31の中で、排出が可能な状態にある最下流の排出トレイ(例えば排出トレイ11)に排出するようにしてもよい。
【0100】
上述のように本実施形態において、記録媒体Sの通常の排出先として設定した排出トレイ14と、この排出トレイ14の上流でジャムを起こした記録媒体S-6との間に、搬送可能な他の記録媒体S-10、S-9、S-8、S-7が存在する場合は、他の記録媒体S-10、S-9、S-8、S-7を排出トレイ14に排出する。
【0101】
また、上述のように記録媒体Sの通常の排出先として設定した排出トレイ14と、この排出トレイ14の上流でジャムを起こした記録媒体S-6との間に、搬送可能な他の記録媒体S-10、S-9、S-8、S-7が存在する場合は、他の記録媒体S-10、S-9、S-8、S-7を、操作部44で排出を許可した排出トレイ11、21、31の中で、最下流の排出トレイ(例えば排出トレイ11)に排出する。
【0102】
また、上述のようにジャムを起こしていない他の記録媒体S-1~S-5および記録媒体S-7~S-10を、画像形成装置4の画像形成部43を経由して、排出トレイ21またはトレイ41に排出する場合は、画像形成部43による記録媒体S-1~S-5および記録媒体S-7~S-10への画像形成の実施を禁止する。
【0103】
<パターン3>
図10は、本発明の実施形態に係るジャム発生時の排出動作の一例を示す説明図である。パターン3は、後処理装置1と後処理装置3において記録媒体S-10と記録媒体S-6がジャムを起こした場合である。
【0104】
通常の排出先を後処理装置1の排出トレイ14に設定してあり、ジャム発生時等の排出先には排出トレイ14、11、21、31に排出の許可が設定してあるものとする。
【0105】
この場合、ジャムを起こした記録媒体S-10、S-6と、搬送路切替ゲート22を通過した記録媒体S-9はその場に停止する。記録媒体S-8、S-7は、ユーザーが排出の許可を設定した排出トレイの中で、排出が可能な状態にある最下流の排出トレイ21に排出する。
【0106】
記録媒体S-1、S-2、S-3、S-4、S-5は、画像形成装置4内に設けたトレイ41に排出する。なお、ジャム発生時は画像形成部43による画像形成の実施を禁止し、画像形成部43を経由して排出トレイ14、11、21、31またはトレイ41に排出する記録媒体Sに対しての画像形成を行わないようにしている。
【0107】
上述のように本実施形態において、ジャムを起こしていない他の記録媒体S-1~S-5、S-7、S-8を、画像形成装置4の画像形成部43を経由して、排出トレイ21またはトレイ41に排出する場合は、画像形成部43による他の記録媒体S-1~S-5、S-7、S-8への画像形成の実施を禁止する。
【0108】
また、上述のように操作部44で排出を許可した排出トレイ14、11、21、31に対して記録媒体S-9を排出できない場合は、記録媒体S-9をその場に停止する。
【0109】
<パターン4>
図11は、本発明の実施形態に係るジャム発生時の排出動作の一例を示す説明図である。パターン4は、画像形成装置4において記録媒体S-6がジャムを起こした場合である。
【0110】
通常の排出先を後処理装置1の排出トレイ14に設定してあり、ジャム発生時等の排出先には排出トレイ14、11、21、31に排出の許可が設定してあるものとする。
【0111】
この場合、ジャムを起こした記録媒体S-6はその場に停止する。記録媒体S-11、S-10、S-9、S-8、S-7は、ジャム発生位置よりも下流に位置しており、ジャムを起こした記録媒体S-6の影響を受けない。そのため、記録媒体S-11、S-10、S-9、S-8、S-7は、通常の排出先である排出トレイ14に排出する。
【0112】
記録媒体S-1、S-2、S-3、S-4、S-5は、画像形成装置4内に設けたトレイ41に排出する。なお、ジャム発生時は画像形成部43による画像形成の実施を禁止し、画像形成部43を経由して排出トレイ14、11、21、31またはトレイ41に排出する記録媒体Sに対しての画像形成を行わないようにしている。
【0113】
また、記録媒体S-11、S-10、S-9、S-8、S-7は、排出トレイ14以外の排出トレイ11、21、31の中で、排出が可能な状態にある最下流の排出トレイ(例えば排出トレイ11)に排出するようにしてもよい。
【0114】
上述のように本実施形態において、ジャムを起こした記録媒体S-6が画像形成装置4内に存在するとともに、画像形成装置4内にトレイ41への搬送が可能な他の記録媒体S-4、S-5が存在する場合は、他の記録媒体S-4、S-5をトレイ41に排出する。
【0115】
また、上述のようにジャムを起こしていない他の記録媒体S-1~S-5、S-7~S-11を、画像形成装置4の画像形成部43を経由して、排出トレイ14またはトレイ41に排出する場合は、画像形成部43による他の記録媒体S-1~S-5、S-7~S-11への画像形成の実施を禁止する。
【0116】
また、上述のように記録媒体Sの通常の排出先として設定した排出トレイ14と、この排出トレイ14の上流でジャムを起こした記録媒体S-6との間に、搬送可能な他の記録媒体S-11、S-10、S-9、S-8、S-7が存在する場合は、他の記録媒体S-11、S-10、S-9、S-8、S-7を、操作部44で排出を許可した排出トレイ11、21、31の中で、最下流の排出トレイ(例えば排出トレイ11)に排出する。
【0117】
以上、4つのパターンは一例に過ぎないが、これらにより、ジャム発生時は搬送路P上に存在する、ジャムを起こしていない記録媒体を適切な位置に搬送し、システム内に停止して残留する記録媒体を減らすことができる。その結果、ジャム処理時間を短縮することができる。
【0118】
図12は、本発明の実施形態に係る記録媒体の排出制御の変形例を示すフロー図である。図7に示したフロー図において、ステップS53~S55を図12に示すフローに変更してもよい。
【0119】
通常排出先に用いるトレイと、ジャム発生時の排出先として用いるトレイが同じ場合、正常に画像形成を終えた記録媒体と、ジャムによって排出した記録媒体とが同一トレイ内で混在してしまう。
【0120】
そこで、本変形例では、画像形成開始後にジャムが発生した場合、各装置の制御部は、ユーザーが排出先として許可したトレイがあるかを判断する(ステップS531)。
【0121】
ステップS531において排出先ありと判断した場合は、通常排出先と異なる排出トレイが、ユーザーが排出の許可を設定した排出トレイの中にあるかを判断する(ステップS541)。
【0122】
ステップS541において通常排出先と異なる排出先があると判断した場合は、排出の許可を設定した排出トレイのうち、通常排出先になっておらず、且つ最下流に位置するトレイに記録媒体を排出する(ステップS551)。
【0123】
なお、ステップS531において、排出先なしと判断した場合は、画像形成システム100内での記録媒体Sの搬送を停止し(ステップS5311)、その後、図2のステップS59(ジャム処理通知)を実行する。また、ステップS541において通常排出先と異なる排出先がないと判断した場合は、排出の許可を設定した排出トレイのうち、最下流に位置するトレイに対して記録媒体Sを排出する(ステップS5411)。その後、図7のステップS59(ジャム処理通知)を実行する。
【0124】
本変形例によれば、正常に画像形成を終えた記録媒体と、ジャムによって排出した記録媒体との同一トレイ内での混在を低減することができる。
【0125】
図13は、本発明の実施形態に係る記録媒体の排出制御の別の変形例を示すフロー図である。図7に示したフロー図において、ステップS53~S55を図13に示すフローに変更してもよい。
【0126】
上述の実施形態では、ユーザーが排出の許可を設定した排出トレイのうち、最下流に位置するトレイに集約して記録媒体Sを排出していたため、排出終了までに時間を費やす場合がある。
【0127】
そこで、本変形例では、画像形成開始後にジャムが発生した場合、各装置の制御部は、ユーザーが排出先として許可したトレイがあるかを判断する(ステップS532)。
【0128】
ステップS532において排出先ありと判断した場合は、ユーザーが排出の許可を指定した排出トレイが複数あるかを判断する(ステップS542)。
【0129】
ステップS542において排出の許可を設定した排出トレイが複数あると判断した場合は、排出の許可を設定した排出トレイのうち、排出する記録媒体に近い位置の最寄りの排出トレイに記録媒体を排出する(ステップS552)。
【0130】
なお、ステップS532において、排出先なしと判断した場合は、画像形成システム100内での記録媒体Sの搬送を停止し(ステップS5321)、その後、図7のステップS59(ジャム処理通知)を実行する。また、ステップS542において、排出の許可を設定した排出トレイが複数でないと判断した場合は、排出の許可を設定した排出トレイに対して記録媒体Sを排出する(ステップS5421)。その後、図7のステップS59(ジャム処理通知)を実行する。本変形例によれば、記録媒体Sの排出時間を短縮することができる。
【0131】
また、ステップS552では最寄りの排出トレイに記録媒体Sを搬送する構成としたが、ユーザーが操作部44で排出トレイに対して排出の許可を指定する際に、排出の優先順位を指定できるようにしてもよい。この場合、各装置の制御部は、優先順位が高い排出トレイに対して記録媒体Sの排出が可能かを判定し、排出可能であれば記録媒体Sを対象の排出トレイに排出する。
【0132】
図14は、本発明の実施形態に係る処理システムの変形例を示す全体概略図である。なお、図1と同等の部材には同一符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0133】
図1に例示した処理システムとしての画像形成システム100は、画像形成装置4の後段に複数の後処理装置1、2、3を備えたが、本変形例の画像形成システム101のように後処理装置は1台でもよい。この場合、操作部44で排出先として指定することが可能な排出トレイは、排出トレイ11と排出トレイ14となる。
【0134】
図15は、本発明の実施形態に係るジャム発生時の排出動作の変形例を示す説明図である。
【0135】
上述の実施形態では、搬送路切替ゲートを通過してしまった記録媒体Sは、搬送路切替ゲートよりも下流に設けた排出トレイへ排出した。これに対し本変形例は、搬送路切替ゲートを一度通過した記録媒体Sをスイッチバック搬送して排出する。
【0136】
例えば、図15(a)のように記録媒体S-10が後処理装置1の入口でジャムを起こした場合、図15(b)のように記録媒体S-8を排出トレイ21に排出するとともに、記録媒体S-9を搬送方向上流に搬送する。そして、記録媒体S-9が搬送路切替ゲート22よりも上流に移動したならば、再度、記録媒体S-9を搬送方向下流に搬送して、図15(c)のように記録媒体S-9を排出トレイ21に排出する。
【0137】
本変形例によれば、下流にジャムを起こした記録媒体がある場合にも、記録媒体S-9をその場に停止しておくことがなくなり、排出トレイ21に排出することが可能になる。その結果、画像形成システム内のジャム処理時間を短縮でき、ダウンタイム(装置停止時間)を短縮できる。
【0138】
図16は、本発明の実施形態に係る処理システムの変形例を示す概略ブロック図である。
【0139】
図2では、画像形成装置4および後処理装置1、2、3のそれぞれに制御部を備える構成としたが、図16に示すように制御部を1つにしてもよい。本変形例では、画像形成装置4および後処理装置1、2、3を制御する共通の制御部5000を有する。なお、この場合の制御部5000の構成は、図3に示したように制御部510~550と同様、排出先設定手段および搬送制御手段を備える。また、制御部5000は、図4に示したように制御部510~550と同様のハードウェア構成を有する。
【0140】
また、記憶部についても装置毎に設けるのではなく、共通の記憶部4000として設けてもよい。記憶部4000は、例えば後処理装置1、2、3の情報と、排出の許可を設定可能なトレイ情報とを紐づけて格納する。
【0141】
図17は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図であり、電子写真方式を採用した画像形成装置を例示している。
【0142】
画像形成装置4は、少なくとも画像形成部43と、記録媒体搬送部45と、画像読取部46a、46bと、制御部540とを備える。制御部540は、画像形成装置4の全体動作を制御し、シート状の記録媒体であるシートSに対し画像を形成するための一連の処理を制御する。画像形成部43は、各色画像に対応する潜像を形成するための感光体ドラム431を備え、黄色(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーによる画像形成プロセスに対応するように配置している。感光体ドラム431は、無端状の移動手段である中間転写ベルト432に沿って配置している。
【0143】
中間転写ベルト432は少なくとも1つの駆動ローラと複数の従動ローラに掛け回してあり、感光体ドラム431に現像したトナー画像を転写する一次転写位置と、トナー画像をシートSに転写する二次転写位置との間を移動する。二次転写位置には、転写ローラ433aと、これに対向して配置した対向ローラ433bと、転写ローラ433aに転写電流を供給する電源433cとを備えた転写部433を配置している。
【0144】
転写部433は、シートSに対して中間転写ベルト432からトナー像を転写することで、シートSの所定の位置に画像を形成する。転写ローラ433aと対向ローラ433bとの間は、中間転写ベルト432とシートSを挟持しつつ通過可能な程度の隙間を形成している。転写部433は、この隙間でシートSを挟持しつつ、シートSを搬送方向(副走査方向)へ搬送し、シートSに画像を転写する。
【0145】
記録媒体搬送部45は、シートSを収容する供給トレイ451と、シートSを搬送する経路を複数のローラ対の配置で構成してなる搬送路Pと、転写部433に対し搬送方向下流側に配置した定着ローラ452とを備える。また、記録媒体搬送部45は、搬送路切替ゲート42、および反転パス453を備える。なお、シートSは、供給トレイ451からの供給に限るものではない。上述の実施形態に示したように、画像形成装置4の前段にシート供給装置5を設置している場合は、シート供給装置5から画像形成装置4に供給するシートSがあってもよい。
【0146】
画像形成プロセスの実行時において、制御部540による所定の制御処理の制御の下、供給トレイ451に収容したシートSは、ピックアップローラなどによって分離後、搬送路Pに沿って進み、転写部433に到達する。転写部433にシートSが到達すると、転写部433はシートSに対して転写プロセスを実行する。すなわち、転写部433は、対向ローラ433bによって転写ローラ433a側に付勢した中間転写ベルト432の表面と、転写ローラ433aとの間でシートSを挟持しながら、所定の搬送方向にシートSを搬送する。そして、シートSが中間転写ベルト432と転写ローラ433aの間を通過するときに、中間転写ベルト432の表面のトナー画像をシートSに転写する。この転写プロセスによって、シートSの一方の面(第一面)に画像を形成する。
【0147】
第一面に画像を形成したシートSは、定着ローラ452にて画像を定着した後、搬送路切替ゲート42によって反転パス453側へ移動する。反転パス453側へ移動したシートSは、反転パス453に入る前に進行方向を逆転し、シートSの表裏を反転した上で、反転パス453に移る。そして、シートSは、中間転写ベルト432上に形成した画像をシートSの第二面に転写するような状態で、転写ローラ433aの転写位置に向かって移動する。第二面に画像を形成したシートSは、定着ローラ452にて第二面の画像を定着した後、画像読取部46a、46bに向かって移動する。画像読取部46a、46bは、シートSの第一面を読み取る読取部46aと、シートSの第二面を読み取る読取部46bを有する。そして、画像形成装置4は、画像読取部46a、46bを通過したシートSを機外に排出、もしくは画像形成装置4の後段に設置した後処理装置へ排出する。
【0148】
なお、本例に示した画像形成装置4において、転写部433の転写ローラ433aは二次転写ローラに相当するものであり、ジャム発生時は、この転写ローラ433aに対する二次転写電流をオフ状態にする。つまり、ジャム発生時は、制御部540からの指示により電源433cによる転写ローラ433aへの転写電流の供給を遮断する。これにより、ジャムが発生した際に移動可能な記録媒体Sの搬送を続けても、転写位置(転写部433)を通過する記録媒体Sにトナー像は転写しなくなる。
【0149】
なお、上述の実施形態においては、シート状の記録媒体を対象物とし、この記録媒体上に画像を形成する画像形成システムを例に説明したが、本発明の処理システムはこれに限るものではない。対象物はシート状の他に板状の記録媒体であってもよい。また、処理システムは、例えば板状の記録媒体上に絵柄や模様を印刷して、建物の床や壁などに使用する建材を作成する印刷システム、または塗装システムであってもよい。
【0150】
また、処理システムは、例えば一次電池、二次電池、キャパシタ、コンデンサ等の電気化学素子に用いる電極を製造する電極製造システムであってもよい。この場合は対象物としてシート状の電極基体を搬送し、インクジェット方式を用いて電極基体に液体組成物を吐出する。
【0151】
また、画像形成部43がインクジェット方式である場合、記録ヘッドから吐出する液体は、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどでもよい。これらは例えば、インクジェット用インク、塗装用塗料、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0152】
上記で説明した各実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるCPUのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。例えば、制御部510、520、530、540、550、5000の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。一の処理回路において、複数の制御部が構成されてもよい。
【0153】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0154】
第1の態様は、対象物(例えばシート状の記録媒体S)に所望の処理(例えば画像形成処理)を施す処理部(例えば画像形成部43)を有する処理装置(例えば画像形成装置4)と、前記対象物を前記処理装置に供給する供給装置(例えばシート供給装置5)と、前記処理装置が送り出す前記対象物を排出する排出装置(例えば後処理装置1)とを備える処理システム(例えば画像形成システム100)であって、前記排出装置は、該排出装置内を移動する前記対象物の排出が可能な排出装置パージ部(例えば排出トレイ11、14)を備えるとともに、前記処理システムは、前記処理システム内でジャムを起こした対象物が発生した際に、前記ジャムを起こした対象物の上流および下流に位置する他の対象物の排出を許可するかを前記排出装置パージ部に対して設定する排出先設定手段(例えば排出先設定手段510A、540A)と、前記対象物のジャムを検知した場合に、前記他の対象物を、前記排出先設定手段によって設定された前記排出装置パージ部に排出する搬送制御手段(例えば搬送制御手段510B、540B)とを有することを特徴とするものである。
【0155】
第1の態様によれば、パージ先を選択する操作の頻度を低減することが可能な処理システムを提供することができる。
【0156】
第2の態様は、第1の態様において、前記処理装置(例えば画像形成装置4)は、該処理装置内を移動する前記対象物(例えばシート状の記録媒体S)の排出が可能な処理装置パージ部(例えばトレイ41)を備えることを特徴とするものである。
【0157】
第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記処理装置(例えば画像形成装置4)の後段に複数の排出装置(例えば後処理装置1、2、3)を備えるとともに、前記複数の排出装置のそれぞれに前記排出装置パージ部(例えば排出トレイ11、14、21、31)を備えることを特徴とするものである。
【0158】
第2の態様および第3の態様によれば、対象物の排出先を分散することが可能になり、排出時間を短縮することができる。
【0159】
第4の態様は、第1の態様において、前記対象物(例えばシート状の記録媒体S)の通常の排出先として設定した通常排出部(例えば排出トレイ14)と、該通常排出部の上流でジャムを起こした対象物(例えば図7の記録媒体S-6)との間に、搬送可能な前記他の対象物(例えば図7の記録媒体S-10、S-9、S-8、S-7)が存在する場合は、前記他の対象物を前記通常排出部に排出することを特徴とするものである。
【0160】
第5の態様は、第4の態様において、前記通常排出部(例えば排出トレイ14)の上流でジャムを起こした対象物が、前記処理装置(例えば画像形成装置4)内でジャムを起こした対象物(例えば図9の記録媒体S-6)であることを特徴とするものである。
【0161】
第6の態様は、第1の態様または第3の態様において、前記対象物(例えばシート状の記録媒体S)の通常の排出先として設定した通常排出部(例えば排出トレイ14)と、該通常排出部の上流でジャムを起こした対象物(例えば図7の記録媒体S-6)との間に、搬送可能な前記他の対象物(例えば図7の記録媒体S-10、S-9、S-8、S-7)が存在する場合は、前記他の対象物を、前記排出先設定手段(例えば排出先設定手段510A、520A、530A、540A)によって設定された前記排出装置パージ部(例えば排出トレイ11、21、31)の中で、最下流の前記排出装置パージ部(例えば排出トレイ11)に排出することを特徴とするものである。
【0162】
第7の態様は、第2の態様において、ジャムを起こした対象物(例えば図9の記録媒体S-6)が前記処理装置(例えば画像形成装置4)内に存在するとともに、前記処理装置内に前記処理装置パージ部(例えばトレイ41)への搬送が可能な前記他の対象物(例えば図9の記録媒体S-4、S-5)が存在する場合は、前記他の対象物を前記処理装置パージ部に排出することを特徴とするものである。
【0163】
第8の態様は、第1の態様乃至第7の態様のいずれかにおいて、前記他の対象物(例えば図8の記録媒体S-1、S-2、S-3、S-4、S-5)を、前記処理装置(例えば画像形成装置4)の前記処理部(例えば画像形成部43)を経由して、前記排出装置パージ部(例えば排出トレイ11、14、21、31)または前記処理装置パージ部(例えばトレイ41)に排出する場合は、前記処理部による前記他の対象物への前記処理(例えば画像形成処理)の実施を禁止することを特徴とするものである。
【0164】
第9の態様は、第1の態様において、前記排出先設定手段(例えば排出先設定手段510A、520A、530A、540A)によって設定された前記排出装置パージ部(例えば排出トレイ11、14、21、31)に対して前記他の対象物(例えば図8の記録媒体S-9)を排出できない場合は、前記他の対象物をその場に停止することを特徴とするものである。
【0165】
第10の態様は、第1の態様において、前記排出先設定手段(例えば排出先設定手段510A、520A、530A、540A)は、前記排出装置パージ部(例えば排出トレイ11、14、21、31)および前記処理装置パージ部(例えばトレイ41)に対して、前記他の対象物の排出の許可の設定、および排出の優先順位の設定が可能であることを特徴とするものである。
【0166】
第11の態様は、第2の態様において、前記処理装置(例えば画像形成装置4)は、前記他の対象物を前記排出装置(例えば後処理装置3)へ導く第1位置と、前記他の対象物を前記処理装置パージ部(例えばトレイ41)へ導く第2位置とを切り替え可能な排出先変更部材(例えば搬送路切替ゲート42)を備えることを特徴とするものである。
【0167】
第12の態様は、第11の態様において、前記処理装置(例えば画像形成装置4)内を搬送していた前記他の対象物(例えば図8の記録媒体S-4、S-5、S-6)のうち、前記排出先変更部材(例えば搬送路切替ゲート42)により排出先の変更が可能な位置にある前記他の対象物(例えば図8の記録媒体S-4、S-5)と、前記供給装置(例えばシート供給装置5)内で搬送していた前記他の対象物(例えば図8の記録媒体S-1、S-2、S-3)とを前記処理装置パージ部(例えばトレイ41)に排出し、前記処理装置内を搬送していた前記他の対象物のうち、前記排出先変更部材により排出先の変更が不可能な位置にある前記他の対象物(例えば図8の記録媒体S-6)を前記排出装置パージ部(例えば排出トレイ21)に排出することを特徴とするものである。
【0168】
第13の態様は、第3の態様において、前記処理装置(例えば画像形成装置4)内を搬送していた前記他の対象物(例えば図8の記録媒体S-4、S-5、S-6)のうち、前記排出先変更部材(例えば搬送路切替ゲート42)により排出先の変更が不可能な位置にある前記他の対象物(例えば図8の記録媒体S-6)を、排出の許可を設定した前記複数の排出装置(例えば後処理装置1、2、3)の中で、排出が可能な状態にある最下流の排出装置(例えば後処理装置2)の前記排出装置パージ部(例えば排出トレイ21)に排出することを特徴とするものである。
【0169】
これら第4の態様乃至第13の態様によれば、ジャム発生時に搬送路上に存在する、ジャムを起こしていない対象物を適切な位置に搬送し、システム内に停止する対象物を少なくすることができる。その結果、ジャム処理時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0170】
1 後処理装置
11 排出トレイ
12 搬送路切替ゲート
13 後処理部
14 排出トレイ
510 制御部
2 後処理装置
21 排出トレイ
22 搬送路切替ゲート
520 制御部
3 後処理装置
31 排出トレイ
32 搬送路切替ゲート
530 制御部
4 画像形成装置
41 トレイ
42 搬送路切替ゲート
43 画像形成部
44 操作部
540 制御部
5 シート供給装置
51 収容部
550 制御部
100 画像形成システム
P 搬送路
S 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0171】
【特許文献1】特開2017-019172号公報
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図2
図3
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図5
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