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特開2023-44941噴霧制御装置、噴霧制御方法、及び噴霧制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044941
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】噴霧制御装置、噴霧制御方法、及び噴霧制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/12 20110101AFI20230327BHJP
【FI】
A01M29/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153077
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(71)【出願人】
【識別番号】500409219
【氏名又は名称】学校法人関西医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】細淵 貴司
(72)【発明者】
【氏名】小池 幸生
(72)【発明者】
【氏名】林 健司
(72)【発明者】
【氏名】佐々 文洋
(72)【発明者】
【氏名】西野 英一
(72)【発明者】
【氏名】安田 章人
(72)【発明者】
【氏名】細谷 忠嗣
(72)【発明者】
【氏名】小早川 高
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121AA07
2B121AA08
2B121AA11
2B121CB02
2B121CB61
2B121CC21
2B121CC37
2B121DA63
2B121EA26
2B121FA06
2B121FA13
(57)【要約】
【課題】噴霧装置の製造コストを低減すること。
【解決手段】実施形態に係る噴霧制御装置は、鳥獣を検知したことに応じて、鳥獣が忌避する忌避物質を含まない第1の噴霧動作を行うように噴霧部に指示する第1の動作指示を出力し、第1の噴霧動作の後に鳥獣を検知したことに応じて、忌避物質を含む第2の噴霧動作を行うように噴霧部に指示する第2の動作指示を出力する制御部を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥獣を検知したことに応じて、前記鳥獣が忌避する忌避物質を含まない第1の噴霧動作を行うように噴霧部に指示する第1の動作指示を出力し、
前記第1の噴霧動作の後に前記鳥獣を検知したことに応じて、前記忌避物質を含む第2の噴霧動作を行うように前記噴霧部に指示する第2の動作指示を出力する、
制御部を備える、噴霧制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の動作指示を、前記第1の動作指示を取得した後、前記第1の噴霧動作の効果を見極めるために所定の期間経過後に、前記鳥獣を検知したことに応じて出力する、請求項1に記載の噴霧制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記鳥獣を検知した環境についての情報を含む外部環境情報に基づいて、前記忌避物質を含む薬液の種類及び/又は前記薬液の量を変更する指示、及び/又は、前記第2の噴霧動作の噴霧の向き及び強さを変更する指示を、前記噴霧部に出力する、請求項1又は2のいずれか1項に記載の噴霧制御装置。
【請求項4】
前記噴霧制御装置は、前記鳥獣を検知する検知装置と、前記噴霧部を備える噴霧装置と、前記検知装置及び前記噴霧装置に接続され、前記検知装置による前記鳥獣の検知に応じて前記噴霧装置を動作させる制御装置と、を備える噴霧システムであって、
前記噴霧装置又は前記制御装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の噴霧制御装置を備える、
噴霧システム。
【請求項5】
前記噴霧部は、薬液部と、ガス発生部と、ガス噴霧部と、を備え、
前記第1の噴霧動作は、前記ガス噴霧部がガスを噴霧し、前記第2の噴霧動作は、前記ガス発生部により前記薬液部に保持された前記忌避物質を含む薬液から発生させた匂い付きガスを、前記ガス噴霧部が噴霧する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記噴霧部は、薬液部と、圧縮部と、出力部と、を備え、
前記第1の噴霧動作は、前記圧縮部で圧縮された空気を前記出力部が噴霧し、前記第2の噴霧動作は、前記薬液部に保持された前記忌避物質を含む薬液と、前記圧縮部で圧縮された空気が混合された匂い付き圧縮空気を前記出力部が噴霧する、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
噴霧制御装置が実行する噴霧制御方法であって、
鳥獣を検知したことに応じて、前記鳥獣が忌避する忌避物質を含まない第1の噴霧動作を行うように噴霧部に指示する第1の動作指示を出力することと、
前記第1の噴霧動作の後に前記鳥獣を検知したことに応じて、前記忌避物質を含む第2の噴霧動作を行うように前記噴霧部に指示する第2の動作指示を出力することと、
を備える、噴霧制御方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の噴霧制御装置の前記制御部としてプロセッサを機能させる噴霧制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、噴霧制御装置、噴霧制御方法、噴霧システム及び噴霧制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鳥獣害対策として、忌避剤を用いるもの、又は威嚇のための警告を発生するもの等が知られている。忌避剤を用いるものでは、例えば、ターゲットの鳥獣に対して匂いのあるガスを浴びせることで忌避効果が期待できる(例えば、特許文献1を参照)。また、忌避剤を運用するコストを低減するために、匂い刺激に加えて、発光装置等の威嚇のための警告を発生する刺激手法を組み合わせる手法もある(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-087337号公報
【特許文献2】特開2021-090355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献2のように、忌避剤を運用するコストを低減するために、忌避剤に加えて刺激手法を行うための刺激部を設ける必要があり、装置の製造コストが高くなる。そこで、装置の製造コストを低減しつつ、忌避剤以外の刺激手法を組み込むことが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る噴霧制御装置は、鳥獣を検知したことに応じて、前記鳥獣が忌避する忌避物質を含まない第1の噴霧動作を行うように噴霧部に指示する第1の動作指示を出力し、前記第1の噴霧動作の後に前記鳥獣を検知したことに応じて、前記忌避物質を含む第2の噴霧動作を行うように前記噴霧部に指示する第2の動作指示を出力する、制御部を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る噴霧システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1中の制御装置、検知装置、及び噴霧装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、検知装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、噴霧装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、噴霧装置のハードウェア構成の別の一例を示すブロック図である。
図7図7は、図6の噴霧装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら噴霧装置、噴霧方法、噴霧システム及び噴霧プログラムについて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
【0008】
(構成)
図1は、実施形態に係る噴霧システム100の概略構成の一例を示す図である。
噴霧システム100は、制御装置1、検知装置2、及び噴霧装置3を備える。
【0009】
制御装置1は、PC(Personal Computer)などのコンピュータによって実現され、例えば、家屋内に配置される。また、制御装置1は、信号ケーブルのような有線又は無線によって検知装置2及び噴霧装置3と接続される。そして、制御装置1は、検知装置2及び噴霧装置3と各種情報を送受信する。
【0010】
検知装置2は、噴霧装置3の設置場所と同じ又はその近傍に配置される。検知装置2は、各種センサを用いて鳥獣4を検知する。また、検知装置2は、例えば、気温、湿度等の外部環境についての情報も各種センサを用いて検知する。そして、検知装置2は、これらのセンサによって検知された情報を制御装置1に送信する。
【0011】
検知装置2は、鳥獣4を検知したい場所、すなわち鳥獣4が出現する可能性のある対象エリアに設置される。噴霧装置3は、検知された鳥獣4に対して、鳥獣4が忌避するガスを発生し、放出する。
【0012】
鳥獣4は、例えば、イノシシ、熊、シカ、サル等の田畑を荒らす等、人にとって害をなす可能性のある動物である。したがって、鳥獣4は、哺乳類、鳥類、昆虫類、爬虫類等どのような動物であっても良い。
【0013】
図2は、制御装置1、検知装置2、及び噴霧装置3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
制御装置1は、制御部11、記憶部12、及び入出力インタフェース13を備える。制御部11、記憶部12、及び入出力インタフェース13は、バスを介して互いに通信可能に接続される。
【0015】
制御部11は、制御装置1を制御する。制御部11は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを備える。
【0016】
記憶部12は、記憶媒体である。記憶部12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の随時書込み及び読出し可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとを組み合わせて構成される。記憶部12は、記憶領域に、プログラム記憶領域と、データ記憶領域とを備える。プログラム記憶領域は、OS(Operating System)やミドルウェアに加えて、各種処理を実行するために必要なアプリケーションプログラムを格納する。
【0017】
入出力インタフェース13は、検知装置2及び噴霧装置3との間で情報の送受信を可能にするインタフェースである。入出力インタフェース13は、有線又は無線の通信インタフェースを備えても良い。すなわち、制御装置1は、入出力インタフェース13を介して検知装置2及び/又は噴霧装置3とLAN又はインターネット等のネットワークを経由して情報の送受信を行っても良い。また、入出力インタフェース13は、ネットワークを介して、記憶部12に格納するべきアプリケーションプログラムを取得するようにしても良い。
【0018】
さらに、入出力インタフェース13は、制御装置1のユーザが制御装置1に対して指示を入力するためのキーボードやポインティングデバイス等を含む。また、入出力インタフェース13は、記憶部12に格納するべきデータ(アプリケーションプログラムを含む)を、USBメモリ等のメモリ媒体から読み出すためのリーダや、そのようなデータをディスク媒体から読み出すためのディスク装置を含んでも良い。
【0019】
さらに、入出力インタフェース13は、ユーザに提示するべき出力データを表示するディスプレイ、ディスプレイに表示されたデータを印刷するプリンタ等を含むことができる。また、入出力インタフェース13は、PCやスマートフォン等の他の装置に入力するべきデータを、USBメモリ等のメモリ媒体に書き込むためのライタや、そのようなデータをディスク媒体に書き込むためのディスク装置を含んでも良い。
【0020】
検知装置2は、制御部21、記憶部22、入出力インタフェース23、及び検知部24を備える。制御部21、記憶部22、入出力インタフェース23、及び検知部24は、バスを介して互いに通信可能に接続される。
【0021】
制御部21は、検知装置2を制御する。制御部21は、中央処理ユニット(CPU)等のハードウェアプロセッサを備える。
【0022】
記憶部22は、記憶媒体である。記憶部22は、例えばHDD又はSSD等の随時書込み及び読出し可能な不揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリとを組み合わせて構成される。記憶部22は、記憶領域に、プログラム記憶領域と、データ記憶領域とを備える。プログラム記憶領域は、OSやミドルウェアに加えて、各種処理を実行するために必要なアプリケーションプログラムを格納する。
【0023】
入出力インタフェース23は、制御装置1との間で情報の送受信を可能にするインタフェースである。入出力インタフェース23は、有線又は無線の通信インタフェースを備えても良い。すなわち、検知装置2は、入出力インタフェース23を介して制御装置1とLAN又はインターネット等のネットワークを経由して情報の送受信を行っても良い。また、入出力インタフェース23は、ユーザが検知装置2に対して指示を入力するためのキーボード等及びユーザに提示すべき出力データを表示するディスプレイ等を含んでも良い。
【0024】
検知部24は、鳥獣4を検知する。検知部24は、例えば、赤外線カメラを備える。検知部24は、赤外線カメラで撮影された撮影データを制御部21に出力する。制御部21は、画像データに基づいて鳥獣4を検知することができる。さらに検知部24は、通常の画像を撮影するカメラを備えていても良い。そして、検知部24は、当該カメラの画像データも制御部21に出力しても良い。制御部21は、当該画像データに基づいて鳥獣4の種類を判定しても良い。また、検知部24は、風速、気温、湿度、降雨の有無等を外部環境について検知するセンサを備えていても良い。そして、検知部24は、これらのセンサによって検知された外部環境情報を制御部21に出力しても良い。すなわち、外部環境情報は、風速、気温、湿度、降雨の有無等の情報を含む。
【0025】
噴霧装置3は、実施形態に係る噴霧制御装置である。そして、噴霧装置3は、制御部31、記憶部32、入出力インタフェース33、薬液部34、ガス発生部35、及びガス噴霧部36を備える。制御部31、記憶部32、入出力インタフェース33、薬液部34、ガス発生部35、及びガス噴霧部36は、バスを介して互いに通信可能に接続される。
【0026】
制御部31は、噴霧装置3を制御する。制御部31は、中央処理ユニット(CPU)等のハードウェアプロセッサを備える。
【0027】
記憶部32は、記憶媒体である。記憶部32は、例えばHDD又はSSD等の随時書込み及び読出し可能な不揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリとを組み合わせて構成される。記憶部32は、記憶領域に、プログラム記憶領域と、データ記憶領域とを備える。プログラム記憶領域は、OSやミドルウェアに加えて、各種処理を実行するために必要なアプリケーションプログラムを格納する。
【0028】
入出力インタフェース33は、制御装置1との間で情報の送受信を可能にするインタフェースである。入出力インタフェース33は、有線又は無線の通信インタフェースを備えても良い。すなわち、噴霧装置3は、入出力インタフェース33を介して制御装置1とLAN又はインターネット等のネットワークを経由して情報の送受信を行っても良い。また、入出力インタフェース33は、ユーザが噴霧装置3に対して指示を入力するためのキーボード等及びユーザに提示すべき出力データを表示するディスプレイ等を含んでも良い。
【0029】
薬液部34は、鳥獣4が忌避する物質を含む薬液を備える。そのため、薬液部34は、薬液を保持するための容器を備える。また、薬液は、1種類でも良いし、鳥獣4に応じて複数の薬液を備えていても良い。容器は、1回の噴霧で使い切る量を保持可能な容器でも良いし、複数回噴霧可能な量を保持可能な容器でも良い。忌避物質は、例えば、カプサイシン、硫黄等の鳥獣4が忌避する匂い成分を含む物質である。なお、忌避物質は、鳥獣4が忌避するものであれば任意の物質で良いのは勿論である。
【0030】
ガス発生部35は、薬液部34に保持された薬液を用いて鳥獣4が忌避する忌避ガスを発生する。ガス発生部35は、薬液部34に収納された液体容器等から必要な量の液体を取り出す。そして、ガス発生部35は、例えば、加熱霧化機構又は超音波霧化機構等を用いて液体を気化させて忌避ガスを発生させる。
【0031】
ガス噴霧部36は、例えば、回転ファンを備える。ガス噴霧部36は、ファンを用いてガス発生部35で発生した忌避ガスを鳥獣4に向けて噴霧する。ガス噴霧部36は、制御部31の指示に従って回転ファンの回転量を変更することが可能である。なお、ファンは通常のものより大きな音のするものでも良い。ガス噴霧部36には、ファンが回転することにより音が鳴る笛等の物品が取り付けられていても良い。さらに、ガス噴霧部36が動作する際、噴霧装置3は、ガス噴霧部36が動作していることを示す動作ランプを備えていても良い。また、ガス噴霧部36は、制御部31の指示に従ってガスの噴霧する向きを変更する駆動機構を備えていても良い。
【0032】
(動作)
(1)検知装置2の動作
図3は、検知装置2の処理動作の一例を示すフローチャートである。検知装置2の制御部21が記憶部22に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0033】
動作は、検知装置2のユーザによって検知装置2に電源が入れられることで開始する。
【0034】
検知装置2の制御部21は、開始信号を取得するか判定する(ステップST11)。入出力インタフェース23は、制御装置1から開始信号を受信すると、当該開始信号を制御部21に出力する。入出力インタフェース23から開始信号を取得した場合、制御部21は、開始信号を取得したと判定する。また、制御装置1は、制御装置1のユーザよって検知を開始する旨の入力を受信したことに応じて開始信号を検知装置2に送信する。或いは、制御装置1は、ユーザによって指定された時刻になった場合に開始信号を検知装置2に送信しても良い。なお、開始信号は、制御装置1内に配置された時計が所定の時刻になった場合に制御部11が出力しても良い。また、制御装置1から開始信号を取得するのではなく、検知装置2に配置された内蔵タイマを用いて所定の時刻になった場合に制御部21が開始信号を取得するとしても良いし、入出力インタフェース23を通じて、開始信号をユーザから直接取得しても良い。制御部21は、開始信号を取得すると、検知部24を動作させる指示を出力する。検知部24は、当該指示に従って、動作を開始する。一方、入出力インタフェース23から開始信号を取得しない場合、制御部21は、開始信号を取得しないと判定する。そして、処理は、ステップST11に戻る。
【0035】
検知装置2の制御部21は、鳥獣4を検知したかどうか判定する(ステップST12)。検知部24は、赤外線カメラ等によって周囲を撮影し、撮影データを取得し、当該撮影データを制御部21に出力する。制御部21は、当該撮影データに基づいて鳥獣4を検知したかどうか判定する。例えば、制御部21は、当該撮影データに所定の温度以上の領域がある場合、鳥獣4を検知したと判定する。また、検知部24は、通常のカメラによる撮影データを取得し、当該撮影データを制御部21に出力しても良い。制御部21は、当該撮影データに基づいて、鳥獣4を検知したかを判定しても良い。
【0036】
さらに、検知部24は、各種センサを用いて、風、気温、湿度、降雨の有無等の外部環境を検知する。そして、検知部24は、検知した情報を含む外部環境情報を制御部21に出力しても良い。また、制御部21は、撮影データに基づいて鳥獣4の種類を判定しても良い。なお、鳥獣4の種類の判定方法は、一般的な方法であれば良くここでの更なる説明を省略する。
【0037】
なお、制御部21が鳥獣4を検知したと判定した場合、処理は、ステップST13に進み、検知しないと判定した場合、処理は、ステップST14に進む。
【0038】
制御部21は、検知信号を通知する(ステップST13)。鳥獣4を検知したと判定した場合、制御部21は、入出力インタフェース23を通じて検知信号を制御装置1に通知する。なお、制御部21は、検知信号に加えて、外部環境情報を制御装置1に通知しても良い。さらに、制御部21は、鳥獣4の種類も検知した場合には、その種類を示す鳥獣情報を制御装置1に通知しても良い。そして、処理は、ステップST12に戻る。すなわち、制御部21は、鳥獣4を再度検知したか判定する。
【0039】
制御部21は、停止信号を取得したか判定する。(ステップST14)。検知信号を受信しないと判定した場合、制御部21は、停止信号を受信したか判定する。例えば、入出力インタフェース23は、制御装置1から停止信号を受信すると、制御部21に当該停止信号を出力する。この場合、制御部21は、停止信号を取得したと判定するため、処理は、終了する。なお、停止信号は、制御装置1内に配置された時計が所定の時刻になった場合に制御部11が出力しても良い。或いは、制御装置1から停止信号を取得するのではなく、検知装置2に配置された内蔵タイマを用いて所定の時刻になった場合に制御部21が停止信号を取得するとしても良いし、入出力インタフェース23を通じて、停止信号をユーザから直接取得しても良い。制御部21は、停止信号を取得すると、検知部24の動作を停止する指示を出力する。検知部24は、当該指示に従って、動作を停止する。また、制御部21が停止信号を取得しないと判定した場合、処理は、ステップST12に戻る。
(2)制御装置1の動作
図4は、制御装置1の処理動作の一例を示すフローチャートである。制御装置1の制御部11が記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0040】
動作は、制御装置1のユーザによって制御装置1に電源が入れられることで開始する。
【0041】
制御装置1の制御部11は、開始信号を取得したかどうか判定する(ステップST21)。入出力インタフェース13を通じて、ユーザから開始信号を取得した場合、制御部11は、開始信号を取得したと判定する。そして、制御部11は、入出力インタフェース13を通じて、検知装置2及び噴霧装置3に開始信号を送信する。なお、制御装置1は、ユーザによって指定された時刻になった場合に開始信号を出力しても良い。一方、入出力インタフェース13から開始信号を取得しない場合、制御部11は、開始信号を取得しないと判定する。そして、処理は、ステップST21に戻る。
【0042】
制御部11は、検知信号を取得したかどうか判定する(ステップST22)。制御部11は、入出力インタフェース13を通じて、検知装置2から検知信号を取得したかを判定する。検知信号を取得していないと判定した場合、処理は、ステップST28に進む。一方、検知信号を受信したと判定した場合、処理は、ステップST23に進む。なお、検知信号を受信したと判定した場合、制御部11は、検知装置2から、外部環境情報及び/又は鳥獣情報を取得しても良い。
【0043】
なお、制御部11は、検知装置2の検知部24が出力した各種情報、例えば、撮影データ及び各種センサが出力した情報を取得し、当該情報から外部環境情報及び鳥獣情報を取得しても良い。
【0044】
制御部11は、空動作信号を通知する(ステップST23)。検知信号を受信したと判定した場合、制御部11は、噴霧装置3を動作させるための空動作信号を噴霧装置3に通知する。空動作信号を受信した制御部31は、噴霧装置3のガス噴霧部36等を動作させることになる。また、制御部11は、空動作信号に加えて、鳥獣情報及び外部環境情報を噴霧装置3に通知しても良い。
【0045】
制御部11は、所定の時間待機する(ステップST24)。制御部31は、空動作信号に従って噴霧装置3が動作したことによる効果を見極めるために所定の時間(第1の待機時間)の間待機する。すなわち、制御部11は、この待機時間の間に検知信号を受信しても当該検知信号を無視することになる。なお、第1の待機時間は、空動作信号による効果を見極めることが可能な任意の時間であれば良い。
【0046】
制御部11は、検知信号を受信したかどうか判定する(ステップST25)。所定の時間待機した後、制御部11は、入出力インタフェース13を通じて、検知装置2から検知信号を受信したかを判定する。検知信号を受信しない場合、処理は、ステップST28に進む。一方、検知信号を受信したと判定した場合、処理は、ステップST26に進む。なお、検知信号を受信したと判定した場合、制御部11は、検知装置2から、鳥獣4の判定結果及び外部環境情報を取得しても良い。
【0047】
制御部11は、本動作信号を通知する(ステップST26)。検知信号を受信したと判定した場合、制御部11は、ガス発生部35及びガス噴霧部36を動作させるための本動作信号を噴霧装置3に通知する。第1の待機時間が経過してもなお、鳥獣4が検出される場合、ガス噴霧部36を動作させただけでは鳥獣4が逃げていないことになる。そこで、制御部11は、忌避物質を含む薬液を用いた噴霧動作を行わせるための本動作信号を噴霧装置3に通知する。また、制御部11は、本動作信号に加えて、鳥獣情報及び外部環境情報を噴霧装置3に通知しても良い。
【0048】
制御部11は、所定の時間待機する(ステップST27)。制御部11は、本動作信号に従って噴霧装置3が動作したことによる効果を見極めるために所定の時間(第2の待機時間)の間待機する。すなわち、制御部11は、この第2の待機時間の間に検知信号を受信しても当該検知信号を無視することになる。また、第2の待機時間は、本動作信号による効果を見極めることが可能な任意の時間であれば良く、第1の待機時間と同じ時間であっても良いし、異なる時間であっても良い。そして、処理は、ステップST22に戻る
制御部11は、停止信号を取得したか判定する(ステップST28)。検知信号を取得しないと判定した場合、制御部11は、停止信号を取得したか判定する。例えば、入出力インタフェース13は、ユーザから停止信号を受信すると、制御部11に当該停止信号を出力する。制御部11は、停止信号を受信すると、入出力インタフェース13を通じて、検知装置2及び噴霧装置3に停止信号を送信する。そして、処理は、動作を終了する。なお、終了する際、制御装置1は、電源を落とさなくとも良い。例えば、処理は、再度開始信号を取得するかどうか判定するステップST21に戻っても良い。一方、制御部11が停止信号を受信しないと判定した場合、処理は、ステップST22に戻る。ここで、停止信号を受信しない場合、ステップST25に戻っても良い。すなわち、一度の噴霧で鳥獣4が逃げていない可能性もある。そこで、ステップST25に戻り、再度検知信号を受信した場合、制御部11は、本動作信号を噴霧装置3に通知しても良い。なお、停止信号は、制御装置1内に配置された時計が所定の時刻になった場合に制御部11が出力しても良い。
【0049】
なお、上記フローチャートにおいて、ステップST21で開始信号を受信したと判定した後、検知信号を受信せずに停止信号を受信した場合、処理を終了しても良い。
【0050】
(3)噴霧装置3の動作
図5は、噴霧装置3の処理動作の一例を示すフローチャートである。噴霧装置3の制御部31が記憶部32に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0051】
動作は、噴霧装置3のユーザによって噴霧装置3に電源が入れられることで開始する。
【0052】
噴霧装置3の制御部31は、開始信号を取得したかどうか判定する(ステップST31)。入出力インタフェース33を通じて制御装置1から開始信号を取得した場合、制御部31は、開始信号を取得したと判定する。制御装置1は、制御装置1のユーザによって検知を開始する旨の入力を受信したことに応じて開始信号を噴霧装置3に送信する。或いは、制御装置1は、ユーザによって指定された時刻になった場合に開始信号を噴霧装置3に送信しても良い。なお、開始信号は、制御装置1内に配置された時計が所定の時刻になった場合に制御部11が出力しても良い。また、制御装置1から開始信号を取得するのではなく、噴霧装置3に配置された内蔵タイマを用いて所定の時刻になった場合に制御部31が開始信号を取得するとしても良いし、入出力インタフェース33を通じて、開始信号をユーザから直接取得しても良い。
【0053】
制御部31は、空動作信号を取得したかどうか判定する(ステップST32)。制御部31は、入出力インタフェース33を通じて、制御装置1から空動作信号(第1の動作信号)を取得したかどうか判定する。空動作信号を取得していないと判定した場合、処理は、ステップST37に進む。一方、空動作信号を取得したと判定した場合、処理は、ステップST33に進む。また、制御部31は、空動作信号を取得したと判定した場合、制御装置1から、鳥獣情報及び外部環境情報を取得しても良い。
【0054】
制御部31は、ガスを噴霧する噴霧指示を出力する(ステップST33)。空動作信号を取得したと判定した場合、制御部31は、空動作信号に基づいて、忌避物質を含まない噴霧動作を行う噴霧指示(第1の動作指示)を噴霧部であるガス噴霧部36に出力する。例えば、ガス噴霧部36は、噴霧指示に応じて、単にファンを回して匂いの無いガス(空気)を噴霧する。
【0055】
ここで、制御部31は、鳥獣情報に基づいて、ファンの回す強さを変更する指示を出力しても良い。例えば、鳥獣4が熊又はイノシシであれば、ファンの回す強さを最大にする指示を出力し、キツネであれば、ファンの回す強さを中にする指示を出力する等である。
【0056】
また、制御部31は、外部環境情報に基づいて、ファンの向き及びファンの回す強さを変更する指示を出力しても良い。例えば、噴霧する向きが向かい風であれば、ファンの回す強さを最大にする指示を出力し、逆に追い風であれば、ファンの回す強さを通常より弱くする指示を出力する等である。さらに、ガス噴霧部36が動作している間、制御部31は、ガス噴霧部36が動作していることを示す動作ランプを動作させても良い。また、制御部31は、ガス噴霧部36を動作させる際にガス発生部35を動作させる指示を出力しても良い。当該指示に応じて、ガス発生部35は、加熱霧化機構を動作させ、外気温よりも熱い空気を発生させる。ガス噴霧部36は、ガス発生部35により熱せられた空気を鳥獣4に向けて噴霧しても良い。また、当該指示に応じて、ガス発生部35は、超音波霧化機構を動作させても良い。この場合、噴霧装置3は、噴霧動作に加えて、振動音を発生させることが可能になる。また、ファンの回す強さは一定では無くても良い。
【0057】
制御部31は、本動作信号を取得したかどうか判定する(ステップST34)。制御部31は、入出力インタフェース33を通じて、制御装置1から本動作信号(第2の動作信号)を取得したかどうか判定する。本動作信号を取得していないと判定した場合、処理は、ステップST37に進む。一方、本動作信号を取得したと判定した場合、処理は、ステップST35に進む。なお、空動作信号を取得してから十分な時間が過ぎてもなお、本動作信号を取得しない場合、処理は、ステップST32に戻っても良い。また、制御部31は、本動作信号を取得したと判定した場合、制御装置1から、鳥獣情報及び外部環境情報を取得しても良い。
【0058】
制御部31は、ガス発生指示を出力する(ステップST35)。本動作信号を取得したと判定した場合、制御部31は、噴霧部である薬液部34及びガス発生部35に忌避物質を含む匂い付きガスを発生させるガス発生指示(第2の動作指示)を出力する。薬液部34及びガス発生部35は、ガス発生指示に従って忌避物質を含む匂い付きガスを発生させる。例えば、薬液部34は、薬液部34に保持された薬液から必要量の液体を取り出し、ガス発生部35に送る。ガス発生部35は、加熱霧化機構又は超音波霧化機構を使用して忌避物質を含む溶液から匂い付きガスを発生させる。
【0059】
制御部31は、鳥獣情報に基づいて、薬液部34が用いる薬液の種類及び/又は薬液の量を変更する指示を出力しても良い。例えば、制御部31は、鳥獣4が熊である場合、熊が忌避する忌避物質を含む薬液から匂い付きガスを発生させる指示を薬液部34及びガス発生部35に出力しても良い。
【0060】
また、制御部31は、外部環境情報に基づいて薬液部34が用いる薬液の種類及び/又は薬液の量を変更する指示を出力しても良い。例えば、雨が降っている場合、雨の影響を考慮して(例えば、薬液の量を多くした)忌避物質を含む匂い付きガスを発生させる指示を薬液部34及びガス発生部35に出力しても良い。
【0061】
制御部31は、匂い付きガスを噴霧する匂い付き噴霧指示を出力する(ステップST36)。制御部31は、ガス発生指示を薬液部34及びガス発生部35に出力した後、ガス噴霧部36に匂い付き噴霧指示(第2の動作指示)を出力する。ガス噴霧部36は、例えばファンを回して噴霧指示に応じてガス発生部35で発生した匂い付きガスを噴霧する。そして、処理は、ステップST32に戻る。
【0062】
ここで、制御部31は、鳥獣情報に基づいて、ファンの回す強さを変更する指示を出力しても良い。例えば、鳥獣4が熊であれば、ファンの回す強さを最大にする指示を出力し、キツネであれば、ファンの回す強さを中にする指示を出力する等である。
【0063】
また、制御部31は、外部環境情報に基づいて、ファンの向き及びファンの回す強さを変更する指示を出力しても良い。例えば、噴霧する方向が向かい風であれば、ファンの回す強さを最大にする指示を出力し、逆に追い風であれば、ファンの回す強さを通常より弱くする指示を出力する等である。さらに、噴霧部であるガス噴霧部36が動作している間、制御部31は、ガス噴霧部36が動作していることを示す動作ランプを動作させても良い。
【0064】
制御部31は、停止信号を取得したか判定する。(ステップST37)。空動作信号又は本動作信号を取得しないと判定した場合、制御部31は、停止信号を取得したか判定する。例えば、入出力インタフェース33は、制御装置1から停止信号を受信すると、制御部31に当該停止信号を出力する。制御部31が停止信号を取得したと判定した場合、処理は、終了する。一方、制御部31が停止信号を取得しないと判定した場合、処理は、ステップST32に戻る。なお、停止信号は、制御装置1内に配置された時計が所定の時刻になった場合に制御装置1が噴霧装置3に送信しても良い。或いは、制御装置1から停止信号を取得するのではなく、噴霧装置3に配置された内蔵タイマを用いて所定の時刻になった場合に制御部31が停止信号を取得するとしても良いし、入出力インタフェース33を通じて、停止信号をユーザから直接取得しても良い。なお、制御部21は、ステップST37の処理後、ステップST32に戻ると直ぐに判定動作(ステップST32)を行っても良いし、所定の時間経過した後に判定動作を行っても良い。
【0065】
(第1の実施形態の作用効果)
以上説明した第1の実施形態によれば、噴霧装置3は、最初に匂い付きガスを噴霧せずに匂いが付いていないガス(空気)を噴霧する。これにより、忌避物質を含む薬液を使用する機会が減少し、薬液に対するコストを削減でき、且つ薬液を補充する機会も低減することができる。
【0066】
また、薬液を使用する機会が減少することで、環境への影響も低減することができる。さらに、噴霧装置3は、忌避物質を含む薬液のみを使用するため、忌避物質を含む薬液と共に他の刺激を組み合わせた噴霧装置と比較して低価格化を実現することが可能である。
【0067】
[変形例]
(構成)
実施形態における変形例は、噴霧装置3の構成が異なるが、制御装置1及び検知装置2は、上で説明した実施形態と同じである。そのため、噴霧装置3の構成以外の説明を省略する。
【0068】
図6は、変形例に係る噴霧装置3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0069】
噴霧装置3は、制御部31、記憶部32、入出力インタフェース33、薬液部34、圧縮部37、及び出力部38を備える。制御部31、記憶部32、入出力インタフェース33、薬液部34、圧縮部37、及び出力部38は、バスを介して互いに通信可能に接続される。
【0070】
制御部31、記憶部32、入出力インタフェース33、及び薬液部34は、第1の実施形態と同じであるため、これらの説明を省略する。
【0071】
圧縮部37は、コンプレッサー等を備え、空気を圧縮する。圧縮部37は、出力部38に含まれるノズルが規定する圧力まで空気を圧縮可能な機能を有するものであれば任意のもので良い。
【0072】
出力部38は、例えば、ノズルを含む。ノズルは、例えば2流体ノズルである。なお、ノズルは、2流体ノズルに限定するものではなく、3流体ノズル等任意のノズルで良いのは勿論である。ノズルの一方の流入路には、薬液部34からの薬液を流入させ、もう一方には、圧縮部37で圧縮された空気を流入させる。そして圧縮された空気を用いて空気と液体を混合して、液体を微細化する。そして、ノズルは、この液体と空気が混合されたものを噴射する。なお、微細化された液体の粒形は、鳥獣4に向けて高い影響が得られれば任意の粒形であって良い。また、出力部38は、ノズルが噴霧する向きを変更する駆動機構を備えていても良い。駆動機構は、制御部31の指示に従って、ノズルが噴霧する向きを変更する。
【0073】
(動作)
第2の実施形態において、検知装置2及び制御装置1の動作は、第1の実施形態と同じであるため、ここでの説明を省略する。以下では、噴霧装置3の動作について説明する。
【0074】
図7は、噴霧装置3の処理動作の一例を示すフローチャートである。噴霧装置3の制御部31が記憶部32に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0075】
動作は、制御装置1、検知装置2、及び噴霧装置3のユーザによって制御装置1、検知装置2、及び噴霧装置3に電源が入れられることで開始する。
【0076】
噴霧装置3の制御部31は、開始信号を取得したかどうか判定する(ステップST31)。入出力インタフェース33を通じて制御装置1から開始信号を取得した場合、制御部31は、開始信号を取得したと判定する。制御装置1は、制御装置1のユーザによって検知を開始する旨の入力を受信したことに応じて開始信号を噴霧装置3に送信する。或いは、制御装置1は、ユーザによって指定された時刻になった場合に開始信号を噴霧装置3に送信しても良い。なお、開始信号は、制御装置1内に配置された時計が所定の時刻になった場合に制御部11が出力しても良い。また、制御装置1から開始信号を取得するのではなく、噴霧装置3に配置された内蔵タイマを用いて所定の時刻になった場合に制御部31が開始信号を取得するとしても良いし、入出力インタフェース33を通じて、開始信号をユーザから直接取得しても良い。
【0077】
制御部31は、空動作信号を取得したかどうか判定する(ステップST42)。制御部31は、入出力インタフェース33を通じて、制御装置1から空動作信号(第1の動作指示)を取得したかどうか判定する。空動作信号を取得していないと判定した場合、処理は、ステップST46に進む。一方、空動作信号を取得したと判定した場合、処理は、ステップST43に進む。また、制御部31は、空動作信号を取得したと判定した場合、制御装置1から、鳥獣情報及び外部環境情報を取得しても良い。
【0078】
制御部31は、圧縮部37及び出力部38に圧縮空気を噴霧する噴霧指示を出力する(ステップST43)。空動作信号を取得したと判定した場合、制御部31は、噴霧部である圧縮部37及び出力部38に忌避物質を含まない噴霧動作を行う噴霧指示(第1の動作指示)を出力する。例えば、圧縮部37は、噴霧指示に応じて、空気を圧縮し、出力部38に圧縮した空気を出力する。そして、出力部38は、ノズル部単に圧縮した空気のみを噴霧する。
【0079】
ここで、制御部31は、鳥獣情報に基づいて、圧縮部37に対して圧縮する空気の量を変更する指示を出力しても良い。例えば、鳥獣4が熊又はイノシシであれば、圧縮量を最大にする指示を出力し、キツネであれば、圧縮量を中程度にする指示を出力する等である。
【0080】
また、制御部31は、外部環境情報に基づいて、圧縮部37及び出力部38に対し、圧縮する空気の量及び噴霧の向きを変更するように指示を出力しても良い。例えば、圧縮部37に対して風向きが向かい風であれば、圧縮する空気の量を最大にする指示を出力し、追い風であれば、圧縮する空気の量を通常より少なくする指示を出力する等である。さらに、圧縮部37及び出力部38が動作している間、制御部31は、これらが動作していることを示す動作ランプを動作させても良い。
【0081】
制御部31は、本動作信号を取得したかどうか判定する(ステップST44)。制御部31は、入出力インタフェース33を通じて、制御装置1から本動作信号(第2の動作信号)を取得したかどうか判定する。本動作信号を取得していないと判定した場合、処理は、ステップST46に進む。一方、本動作信号を取得したと判定した場合、処理は、ステップST43に進む。また、制御部31は、本動作信号を取得したと判定した場合、制御装置1から、鳥獣情報及び外部環境情報を取得しても良い。
【0082】
制御部31は、匂い付き圧縮空気を噴霧する匂い付き噴霧指示を出力する(ステップST45)。本動作信号を取得したと判定した場合、制御部31は、噴霧部である、薬液部34、圧縮部37及び出力部38に忌避物質を含む匂い付き圧縮空気を噴霧する匂い付き噴霧指示を出力する。薬液部34、圧縮部37、及び出力部38は、匂い付き噴霧指示に従って、忌避物質を含む匂い付き圧縮空気を発生させる。例えば、薬液部34は、薬液部34に保持された薬液から必要量の液体を取り出し、出力部38に薬液を出力する。さらに圧縮部37は、薬液を微細化するために必要な圧力まで空気を圧縮させ、出力部38に出力する。出力部38は、入力された液体及び空気を混合し、忌避物質を含む匂い付き圧縮空気を発生させ、当該匂い付き圧縮空気を鳥獣4に噴霧する。そして、処理は、ステップST42に戻る。
【0083】
制御部31は、鳥獣情報に基づいて、薬液部34が用いる薬液の種類及び/又は薬液の量を変更し、圧縮する空気の量を変更する指示を出力しても良い。例えば、制御部31は、鳥獣4が熊である場合、熊が忌避する忌避物質を含む薬液から匂い付き圧縮空気を発生させ、圧縮量を最大にする指示を薬液部34、圧縮部37、及び出力部38に出力しても良い。
【0084】
また、制御部31は、外部環境情報に基づいて薬液部34が用いる薬液の種類及び/又は薬液の量を変更する、圧縮する空気の量を変更する、及び/又は噴霧する向きを変更する指示を出力しても良い。例えば、雨が降っている場合、雨の影響を考慮して(例えば、薬液の量を多くした)忌避物質を含む匂い付きガスを発生させ、熊の頭部よりも上方に向けて噴霧する指示を薬液部34及びガス発生部35に出力しても良い。さらに、噴霧部である薬液部34、圧縮部37、及び出力部38が動作している間、制御部31は、これらが動作していることを示す動作ランプを動作させても良い。
【0085】
制御部31は、停止信号を取得したか判定する。(ステップST46)。空動作信号又は本動作信号を取得しないと判定した場合、制御部31は、停止信号を取得したか判定する。例えば、入出力インタフェース33は、制御装置1から停止信号を受信すると、制御部31に当該停止信号を出力する。制御部31が停止信号を取得したと判定した場合、処理は、終了する、一方、制御部31が停止信号を取得しないと判定した場合、処理は、ステップST42に戻る。なお、停止信号は、制御装置1内に配置された時計が所定の時刻になった場合に制御装置1が噴霧装置3に送信しても良い。或いは、制御装置1から停止信号を取得するのではなく、噴霧装置3に配置された内蔵タイマを用いて所定の時刻になった場合に制御部31が停止信号を取得するとしても良いし、入出力インタフェース33を通じて、停止信号をユーザから直接取得しても良い。なお、制御部21は、ステップST46の処理後、ステップST42に戻ると直ぐに判定動作(ステップST42)を行っても良いし、所定の時間経過した後に判定動作を行っても良い。
【0086】
(変形例の作用効果)
以上説明した噴霧装置3は、最初に単に圧縮空気を噴霧する。これにより、忌避物質を含む薬液を使用する機会が減少し、薬液に対するコストを削減でき、且つ薬液を補充する機会も低減することができる。
【0087】
また、薬液を使用する機会が減少することで、環境への影響も低減することができる。さらに、噴霧装置3は、忌避物質を含む薬液のみを使用するため、忌避物質を含む薬液と共に他の刺激を組み合わせた噴霧装置と比較して低価格化を実現することが可能である。
【0088】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものでは無い。例えば、実施形態と変形例を組み合わせることも可能である。例えば、ある薬液を用いる際は、実施形態のように匂い付きガスを噴霧し、別の液体を用いる際は変形例のように匂い付き圧縮空気を噴霧しても良い。
【0089】
検知装置2は単にセンサとして、制御装置1で鳥獣4の有無等を検出するようにしても良い。
【0090】
噴霧制御装置である噴霧装置3の制御部31において匂い無し/匂い付き噴霧を行うかどうか、さらには、その噴霧の際のファンの回転の強さや薬液の濃さ、圧縮する空気の量等を決定するものとしたが、制御装置1で決定して噴霧装置3の噴霧部である薬液部34、ガス発生部35及びガス噴霧部36、または、薬液部34、圧縮部37及び出力部38に指示するようにしても良い。すなわち、噴霧制御装置を噴霧装置3の制御部31ではなく制御装置2の制御部21として構成するようにしても良い。
【0091】
また、検知装置2が検知した鳥獣4の動きを検出し、空気噴霧後も同一個体が検知されるのか別個体が検知されたのかにより、匂い無し空気(ガス)の噴霧と匂い付き空気の噴霧のいずれを行うか決めるようにしても良い。
【0092】
また、前記実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウェア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記憶媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウェア手段(実行プログラムのみならずテーブル、データ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウェア手段を構築し、このソフトウェア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書で言う記憶媒体は、頒布用に限らず、計算機内部或いはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【0093】
要するに、この発明は上記実施形態に限定されるものでは無く、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0094】
100…噴霧システム
1…制御装置
11…制御部
12…記憶部
13…入出力インタフェース
2…検知装置
21…制御部
22…記憶部
23…入出力インタフェース
24…検知部
3…噴霧装置
31…制御部
32…記憶部
33…入出力インタフェース
34…薬液部
35…ガス発生部
36…ガス噴霧部
37…圧縮部
38…出力部
4…鳥獣
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7