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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045017
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】成膜装置、成膜方法及び成膜システム
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/16 20060101AFI20230327BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20230327BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20230327BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20230327BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
C23C16/16
C23C16/455
H01L21/285 C
H01L21/90 A
H01L21/302 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153188
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石坂 忠大
(72)【発明者】
【氏名】諸井 政幸
(72)【発明者】
【氏名】古屋 雄一
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
5F004
5F033
【Fターム(参考)】
4K030AA12
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA01
4K030BB14
4K030DA03
4K030DA09
4K030EA01
4K030EA11
4K030FA10
4K030GA12
4K030HA01
4K030LA15
4M104BB04
4M104DD23
4M104DD44
4M104DD45
4M104DD78
4M104DD86
5F004AA14
5F004BC05
5F004BC06
5F004DA24
5F004DB13
5F004EA27
5F004EB01
5F033JJ07
5F033KK19
5F033PP06
5F033PP33
5F033QQ31
5F033QQ48
5F033QQ73
5F033QQ94
5F033RR04
(57)【要約】
【課題】同一の成膜装置にてルテニウムの成膜とエッチングとを実行し、ボトムアップでルテニウムを埋め込む。
【解決手段】処理容器と、ガスを供給するガス供給部と、ガスを排気するガス排気部と、を備え、凹部を有する基板に対してルテニウムを埋め込む成膜装置であって、前記ガス供給部は、前記処理容器内にルテニウムの原料ガスを含むガスを供給する第1供給ラインと、オゾンガスを含むガスを供給する第2供給ラインと、を有し、前記ガス排気部は、第1排気装置を有し、前記第1排気装置を使用して前記処理容器内からルテニウムの原料ガスを含むガスを排気する第1排気ラインと、前記第1排気装置と異なる第2排気装置を有し、前記第2排気装置を使用してオゾンガスを含むガスを排気する第2排気ラインと、を有する、成膜装置が提供される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器と、ガスを供給するガス供給部と、ガスを排気するガス排気部と、を備え、凹部を有する基板に対してルテニウムを埋め込む成膜装置であって、
前記ガス供給部は、前記処理容器内にルテニウムの原料ガスを含むガスを供給する第1供給ラインと、オゾンガスを含むガスを供給する第2供給ラインと、を有し、
前記ガス排気部は、第1排気装置を有し、前記第1排気装置を使用して前記処理容器内からルテニウムの原料ガスを含むガスを排気する第1排気ラインと、前記第1排気装置と異なる第2排気装置を有し、前記第2排気装置を使用してオゾンガスを含むガスを排気する第2排気ラインと、を有する、成膜装置。
【請求項2】
前記第2排気ラインは、前記処理容器を介さずに前記第2供給ラインと前記第2排気装置とを接続し、オゾンガスを含むガスを排気するバイパス排気ラインを有する、
請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記第2排気ラインは、前記処理容器と前記第2排気装置とを接続し、前記処理容器内からオゾンガスを含むガスを排気する第2メイン排気ラインを有する、
請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記第2メイン排気ラインは、前記処理容器と前記第2排気装置との間に圧力調整部及び真空排気装置を有する、
請求項3に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記第2排気ラインは、前記第2メイン排気ラインと別ラインであって前記処理容器と前記第2排気装置とを接続し、前記処理容器からオゾンガスを含むガスを排気する第2サブ排気ラインを有する、
請求項3又は4に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記第2サブ排気ラインは、前記処理容器と前記第2排気装置との間に圧力調整部を有し、真空排気装置を有さない、
請求項5に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記第1排気ラインは、前記処理容器と前記第1排気装置とを接続する第1メイン排気ラインと、前記第1メイン排気ラインと別ラインであって前記処理容器と前記第1排気装置とを接続する第1サブ排気ラインと、を有し、
前記第1供給ラインが前記処理容器内に水素含有ガスを供給する間、前記第1サブ排気ラインは、前記処理容器から水素含有ガスを排気する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記第1メイン排気ラインは、前記処理容器と前記第1排気装置との間に圧力調整部と真空排気装置とを有し、
前記第1サブ排気ラインは、前記処理容器と前記第1排気装置との間に圧力調整部を有し、真空排気装置を有さない、
請求項7に記載の成膜装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の成膜装置が実行し、凹部を有する基板に対してルテニウムを埋め込む成膜方法であって、
(a)前記基板を処理容器内に準備する工程と、
(b)第1供給ラインから前記処理容器内にルテニウムの原料ガスを含むガスを供給し、ルテニウム層を成膜し、第1排気ラインから前記処理容器内のルテニウムの原料ガスを含むガスを排気する工程と、
(c)第2供給ラインから前記処理容器内にオゾンガスを含むガスを供給し、前記ルテニウム層をエッチングし、前記第1排気ラインと異なる第2排気ラインから前記処理容器内のオゾンガスを含むガスを排気する工程と、
(d)前記第1供給ラインから前記処理容器内に水素含有ガスを供給し、前記ルテニウム層を改質し、前記第1排気ラインから前記処理容器内の水素含有ガスを排気する工程と、
を含む成膜方法。
【請求項10】
前記第2排気ラインは、前記処理容器を介さずに前記第2供給ラインと前記第2排気装置とを接続するバイパス排気ラインを有し、
前記(b)の間、第2供給ラインからオゾンガスを含むガスを供給し、前記処理容器を介さずに前記バイパス排気ラインから排気する、
請求項9に記載の成膜方法。
【請求項11】
前記第2排気ラインは、前記処理容器と前記第2排気装置とを接続する第2メイン排気ラインを有し、前記第2メイン排気ラインは、前記処理容器と前記第2排気装置との間に圧力調整部及び真空排気装置を有し、
前記(c)の間、前記バイパス排気ラインから前記第2メイン排気ラインに切り替えて前記処理容器からオゾンガスを含むガスを排気する工程を含む、
請求項10に記載の成膜方法。
【請求項12】
前記第2排気ラインは、前記処理容器と前記第2排気装置とを接続する第2サブ排気ラインを有し、前記第2サブ排気ラインは、前記処理容器と前記第2排気装置との間に圧力調整部を有し、真空排気装置を有さず、
前記(c)の間、前記バイパス排気ラインから前記第2サブ排気ラインに切り替えて前記処理容器からオゾンガスを含むガスを排気する工程を含む、
請求項10に記載の成膜方法。
【請求項13】
前記第1排気ラインは、前記処理容器と前記第1排気装置とを接続する第1メイン排気ラインと、前記第1メイン排気ラインと別ラインであって前記処理容器と前記第1排気装置とを接続する第1サブ排気ラインと、を有し、
前記第1メイン排気ラインは、前記処理容器と前記第1排気装置との間に圧力調整部と真空排気装置とを有し、
前記第1サブ排気ラインは、前記処理容器と前記第1排気装置との間に圧力調整部を有し、真空排気装置を有さず、
所定の条件を満たす場合、前記第1メイン排気ラインと前記第1サブ排気ラインとを切り替えて、前記ルテニウムの原料ガスを含むガス又は前記水素含有ガスを排気する、
請求項9~12のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項14】
バイパス排気ラインから第2サブ排気ラインに切り替えてオゾンガスを含むガスを排気する場合、前記所定の条件を満たすと判断し、前記第1メイン排気ラインから前記ルテニウムの原料ガスを含むガスを排気し、前記第1サブ排気ラインから前記水素含有ガスを排気する、
請求項13に記載の成膜方法。
【請求項15】
前記(b)、前記(c)、前記(d)の工程を繰り返し実行する、
請求項9~14のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項16】
前記(b)、前記(c)、前記(d)の工程を同一の前記成膜装置内で実行する、
請求項9~15のいずれか一項に記載の成膜方法。
【請求項17】
請求項1~8のいずれか一項に記載の成膜装置を少なくとも一つ以上有し、前記成膜装置を使用して凹部を有する基板に対してルテニウムを埋め込む処理を含む処理を実行する成膜システム。
【請求項18】
前記成膜システムは、前記基板上の酸化物を除去する処理を実行するプリクリーン装置を有し、前記プリクリーン装置を使用して前記ルテニウムを埋め込む処理前の前記基板上の金属酸化物を除去する、
請求項17に記載の成膜システム。
【請求項19】
前記成膜システムは、前記成膜装置を使用して前記ルテニウムを埋め込む処理を行った後の前記基板の凹部に埋め込まれたルテニウムの上に更にルテニウム層を積層する、
請求項17又は18に記載の成膜システム。
【請求項20】
前記成膜システムは、前記基板をアニールする処理を実行するアニール装置を有し、前記アニール装置を使用して前記ルテニウムを埋め込む処理を行った後の前記基板又は更にルテニウム層を積層した後の前記基板をアニールする、
請求項19に記載の成膜システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成膜装置、成膜方法及び成膜システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に形成されるトランジスタ間をつなぐ配線、コンタクト等の微細形状における材料として低抵抗のルテニウム(Ru)が注目されている。例えば、特許文献1、2は、基板に形成された凹部に対してルテニウムを埋め込む技術を提案する。低抵抗な配線、コンタクトを実現するためには、抵抗を上昇させるボイドを発生させずに凹部にルテニウムを埋め込むことが重要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-147949号公報
【特許文献2】特開2020-47864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、同一の成膜装置にてルテニウムの成膜とエッチングとを実行し、ボトムアップでルテニウムを埋め込むことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、処理容器と、ガスを供給するガス供給部と、ガスを排気するガス排気部と、を備え、凹部を有する基板に対してルテニウムを埋め込む成膜装置であって、前記ガス供給部は、前記処理容器内にルテニウムの原料ガスを含むガスを供給する第1供給ラインと、オゾンガスを含むガスを供給する第2供給ラインと、を有し、前記ガス排気部は、第1排気装置を有し、前記第1排気装置を使用して前記処理容器内からルテニウムの原料ガスを含むガスを排気する第1排気ラインと、前記第1排気装置と異なる第2排気装置を有し、前記第2排気装置を使用してオゾンガスを含むガスを排気する第2排気ラインと、を有する、成膜装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、同一の成膜装置にてルテニウムの成膜とエッチングとを実行し、ボトムアップでルテニウムを埋め込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る成膜システムの一例を示す概略平面図。
図2】実施形態に係る成膜装置の一例を示す断面模式図。
図3】実施形態に係る成膜方法の一例を示すフローチャート。
図4図3の成膜方法における基板の凹部の断面図。
図5】第1実施形態に係る成膜装置の構成及び動作を示す図。
図6図3の成膜方法において生じる化学反応を示す模式図。
図7】第2実施形態に係る成膜装置の構成及び動作を示す図。
図8】第3実施形態に係る成膜装置の構成及び動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
[成膜システム]
まず、実施形態に係る成膜システム1の構成及び動作について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る成膜システムの一例を示す概略平面図である。成膜システム1は、基板に形成された凹部にルテニウムを埋め込む処理を含む処理を実行する。
【0010】
成膜システム1は、大気搬送室11とロードロック室12と第1の基板搬送室13と第2の基板搬送室14と処理室PMとを有する。図1では、処理室PMは、複数のプリクリーン装置21、22と、複数の成膜装置23~27と、アニール装置28とから構成される。ただし、基板にアニール処理を行わない場合には、処理室PMは、複数のプリクリーン装置と、複数の成膜装置とから構成されてもよい。成膜装置には、基板に形成された凹部にルテニウムを埋め込むルテニウム埋め込み用の成膜装置と、埋め込んだルテニウム上に更にルテニウムを積層させ、フラットなルテニウム層を形成するルテニウム積層用の成膜装置とを含んでよい。
【0011】
プリクリーン装置、成膜装置及びアニール装置の個数及び配置は、図1に示す例に限られず、全体のスループットを向上させるように各装置の個数及び配置を設定することができる。例えば、ルテニウムの埋め込み処理に時間がかかり、かつアニール工程が不要な場合、2つのプリクリーン装置、5つのルテニウム埋め込み用の成膜装置、1つのルテニウム積層用の成膜装置を準備し、8つの処理室PMの適切な位置に配置してもよい。ルテニウム積層用の成膜後にアニール工程が必要な場合、2つのプリクリーン装置、3つのルテニウム埋め込み用の成膜装置、1つのルテニウム積層用の成膜装置、2つのアニール装置を準備し、8つの処理室PMの適切な位置に配置してもよい。
【0012】
第1の基板搬送室13及び第2の基板搬送室14は夫々平面視四角形状に構成され、例えば2個の受け渡し部17を介して連結されている。第1及び第2の基板搬送室13、14及び受け渡し部17の内部は真空圧雰囲気に設定され、その圧力は互いに揃うように構成される。受け渡し部17は、第1の基板搬送室13に設けられた第1の搬送機構13aとの間、または第2の基板搬送室14に設けられた第2の搬送機構14aとの間で基板の受け渡しを行う。第1の基板搬送室13及び第2の基板搬送室14は夫々搬送室用のターボ分子ポンプ(図示せず)を有し、各搬送室内を所望の圧力に制御する。
【0013】
第1の基板搬送室13及び第2の基板搬送室14が並ぶ方向を長さ方向とし、第1の基板搬送室13を手前側、第2の基板搬送室14を奥手側とする。このとき第1の基板搬送室13の手前側には、例えば3個のロードロック室12を介して大気圧雰囲気に設定された大気搬送室11が接続されている。第1及び第2の基板搬送室13、14と受け渡し部17との間、ロードロック室12と第1の基板搬送室13との間、ロードロック室12と大気搬送室11との間には、夫々基板の搬送口と、当該搬送口を開閉するゲートバルブが存在するが、図示は省略する。
【0014】
大気搬送室11には、例えば4個のロードポート15が接続され、各ロードポート15には、複数枚の基板を収容したキャリアCが載置される。大気搬送室11には、大気搬送機構11aが設けられており、大気搬送室11に接続されたキャリアCと、ロードロック室12との間で基板を搬送することができる。
【0015】
第1の基板搬送室13の手前の2つの壁部には、プリクリーン装置21、22が夫々接続されている。プリクリーン装置21、22は、ルテニウムを埋め込む処理の前処理として金属酸化物を除去するプリクリーン処理を行う。例えば、プリクリーン装置21、22は、基板が有する凹部の下層である金属の酸化物を除去する。基板が有する凹部の下層がタングステン層である場合、プリクリーン装置21、22は、タングステンが酸化したタングステン酸化物を除去する。また、例えば、基板が有する凹部の下層がルテニウム層である場合、プリクリーン装置21、22は、ルテニウムが酸化したルテニウム酸化物を除去する。プリクリーン装置21、22は、水素ガスをプラズマ化した水素プラズマにより金属酸化物を還元し、除去する。
【0016】
第1の基板搬送室13の奥の2つの壁部には、成膜装置23,24が夫々接続されている。そして、第1の基板搬送室13内に設けられた第1の搬送機構13aが、これら4つの処理室PM(21~24)と、受け渡し部17と、ロードロック室12との間で基板を搬送する図1中、符号GV1はゲートバルブを指している。
【0017】
第2の基板搬送室14の手前の2つの壁部には、成膜装置25,26が夫々接続されている。この例において、成膜装置25、26は、ルテニウム埋め込み用の成膜装置である。
【0018】
第2の基板搬送室14の奥の2つの壁部には、成膜装置27及びアニール装置28が夫々接続されている。そして、第2の搬送機構14aが、これら4つの処理室PM(25~28)と受け渡し部17の間で基板を搬送する。図1中、符号GV2、GV3は、夫々ゲートバルブを指している。成膜装置27は、ルテニウム積層用の成膜装置である。
【0019】
この例において、成膜装置23~26は、ルテニウム原料としてRu(CO)12(以下、DCRとも表記する)を含む原料ガスを用いて凹部内にボトムアップでルテニウムを埋め込む。成膜装置27は、DCRを含む原料ガスを用いてフィールド部までルテニウムの成膜を行う。次工程の平坦化処理(CMP)のためルテニウム層を積み増す処理である。
【0020】
アニール装置28は、フィールド部までルテニウムを成膜した後の基板をアニールする。アニール装置28は行わなくてもよい。アニール装置28は、ヒータ等の加熱手段により基板を加熱可能な装置である。
【0021】
成膜システム1は、プリクリーン装置21,22、成膜装置23~27、アニール装置28における各種の処理や、基板の搬送等、成膜システム1を構成する各部の動作を制御する制御装置100を有する。制御装置100は、例えば図示しないCPUとメモリ(記憶部)とを有するコンピュータからなり、メモリには、成膜システム1を構成する各部の動作に必要な制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード、不揮発性メモリ等の記憶媒体に格納され、記憶媒体からコンピュータにインストールされてもよい。制御プログラムは、制御装置100に接続されたネットワークから通信手段を用いて取得されてもよい。
【0022】
以上に一例を説明したように、成膜システム1は、ルテニウムを成膜する成膜装置を少なくとも一つ以上有し、成膜装置を使用して凹部を有する基板に対してルテニウムを埋め込む処理を実行する。この例では、成膜装置23~27は、同一構成を有するが、成膜装置27は、成膜装置23~26の一部の構成(後述するオゾンガスの供給ライン、水素含有ガスの供給ライン、オゾンガスの排気ライン等)はなくてもよい。
【0023】
[成膜装置]
次に、成膜システム1に含まれる、実施形態に係る成膜装置の構成について図2を参照しながら説明する。ここでは一例として成膜装置23の構成を説明し、同一構成の成膜装置24~27については説明を省略する。図2は、実施形態に係る成膜装置23の一例を示す断面模式図である。なお、プリクリーン装置21,22及びアニール装置28の構成についての図示は省略する。
【0024】
成膜装置23は処理容器101を備えており、処理容器101の側壁は、第2の基板搬送室14に接続され、第2の基板搬送室14との間で基板を搬入出するための搬送口104が形成されている。搬送口104は、ゲートバルブGV1により開閉自在に構成されている。
【0025】
処理容器101内には、基板Wを水平に支持する載置台102が、支持柱103により下面側から支持された状態で設けられている。載置台102はヒータ105を有し、基板Wを予め設定した温度に加熱可能である。
【0026】
処理容器101の天井部には、載置台102に載置される基板Wと対向するように、シャワーヘッド110が配置されている。シャワーヘッド110は、ガス拡散空間112を有し、その下面にはガス吐出口113が分散して形成されている。
【0027】
更に成膜装置23は、ガスを供給するガス供給部130と、ガスを排気するガス排気部180とを有する。ガス供給部130は、処理容器101に対してルテニウムの原料ガスを含むガス及び水素含有ガスを供給する第1供給ライン131と、オゾンガスを含むガスを供給する第2供給ライン132とを有する。第1供給ライン131は、ルテニウムの原料ガスを含むガスを供給する原料ガス供給ライン131aと、水素含有ガスを供給する水素ガス供給ライン131bとを含む。
【0028】
原料ガス供給ライン131aは、キャリアガス用の供給管133及び供給管140、135を有する。キャリアガス用の供給管133は、COガス供給源134から延び、原料容器161に接続されている。供給管133の末端は原料S内に挿入されるように設けられている。供給管133には、COガス供給源134側から順にバルブ137a、マスフローコントローラ136、バルブ137bが設けられている。供給管133を介してCOガス供給源134からCOガスがキャリアガスとして原料容器161に供給される。ただし、キャリアガスとして、COガスの代わりに、アルゴン(Ar)ガス、窒素(N2)ガス等の不活性ガスを用いることもできる。
【0029】
原料容器161はルテニウムの原料Sを収容する。本例では、原料容器161内にはルテニウム膜の原料SとしてDCRが収容されているが、ルテニウム膜の原料SはDCRに限らず、有機系ガスであってもよい。原料容器161内の原料Sは、ヒータ162により加熱され、気化する。
【0030】
原料容器161とシャワーヘッド110のガス導入口111との間は、供給管140、135により接続されている。原料容器161の上端面は供給管140に接続され、供給管140はさらに供給管135に接続され、ガス導入口111に繋がる。供給管140には、原料容器161側から順にバルブ139a、流量計138、バルブ139bが設けられている。供給管140には、バルブ139cが設けられている。
【0031】
原料容器161にて気化したルテニウムの原料ガスは、COガスをキャリアガスとして供給管140、135内を流れ、ガス導入口111から処理容器101に供給される。流量計138は、原料ガスの流量を検出する。係る構成により、第1供給ライン131から処理容器101に供給された原料ガスによって、基板Wの表面の凹部にルテニウム膜が形成される。
【0032】
基板Wに形成された凹部の底部からボトムアップでルテニウムを成膜できれば、ボイドや後述するシームの発生を回避でき低抵抗なルテニウム層を形成できる。しかしながら、成膜処理の途中で凹部の側壁(側面)にもルテニウム膜(以下、ルテニウム片ともいう)が成膜される。側壁に成膜されたルテニウム片をエッチングにより取り除くと、凹部の側面にルテニウム膜がない状態になり、ボイドの発生を回避できる。そこで、成膜装置23では、ルテニウム膜の形成(D:デポジション)及びルテニウム片の除去(E:エッチング)を繰り返し実行するDED手法により、凹部の底部からボトムアップでルテニウムを成長させる。
【0033】
DED手法を使用しない場合、凹部の側壁に成膜されたルテニウム片により凹部の間口が閉塞してボイドが発生したり、コンフォーマルなルテニウム膜の成膜により凹部内に微少な隙間(シーム)が発生したりする。後述する実施形態に係る成膜方法では、DED手法により凹部へのボトムアップのルテニウムの埋め込み処理が可能になり、ボイドやシームを回避したルテニウムの配線、コンタクトが実現できる。
【0034】
そこで、凹部にルテニウム膜を形成後、オゾンを含むガスを第2供給ライン132から処理容器101内に供給し、オゾンガスにより凹部の側壁に成膜されたルテニウム片をエッチングし、除去する。
【0035】
第2供給ライン132は、供給管170、175を有する。供給管170は、Oガス供給源174から延び、供給管175に接続されている。供給管175は、Oガスを導入するガス導入口111に接続されている。供給管170には、Oガス供給源174側から順にバルブ177a、マスフローコントローラ176、オゾナイザー173、バルブ177bが設けられている。供給管175にはバルブ177cが設けられている。
【0036】
ガス供給源174から供給された酸素ガスは、マスフローコントローラ176にて流量を制御され、オゾナイザー173に供給される。オゾナイザー173は、酸素ガスを電気エネルギーにより放電させてオゾンガスを生成し、酸素ガスに対するオゾンガスの濃度を制御し、ある濃度に制御されたオゾンガスと酸素ガスの混合ガスを出力する。オゾンガスと酸素ガスの混合ガスは、オゾンガスを含むガスの一例である。オゾンガスを含むガスは供給管175を通り、処理容器101に供給される。これにより、凹部の側壁に成膜されたルテニウム片がエッチングされ、除去される。
【0037】
第1供給ライン131は、供給管135から分岐した供給管155を更に有する。供給管155は、Hガス供給源154から延び、供給管135に接続されている。供給管155には、Hガス供給源154側から順にバルブ157a、マスフローコントローラ156、バルブ157bが設けられている。
【0038】
ガス供給源154から供給された水素(H)ガスは、マスフローコントローラ156にて流量を制御される。水素ガスは、水素含有ガスの一例である。水素ガスは供給管155、135を通り、処理容器101に供給される。これにより、水素含有ガスによってルテニウム層が改質(還元)される。この例では、反応ガスとして還元ガスである水素ガスを用いている。また、反応ガスとしては、Hガスプラズマ、NHガス、NHプラズマ、モノメチルヒドラジン(MMH)、ヒドラジン(N)などを用いることができる。
【0039】
ガス排気部180は、第1排気ライン188と第2排気ライン189とを有する。第1排気ライン188と第2排気ライン189とは、圧力調整部(APC)181及びターボ分子ポンプ(TMP)182を介して処理容器101の底壁に設けられた排気管108に接続されている。
【0040】
第1排気ライン188は、排気管を有する。第1排気ライン188の排気管は、ドライポンプ(DP1)185から延び、ターボ分子ポンプ(TMP)182に接続されている。第1排気ライン188の排気管には、ドライポンプ(DP1)185側から順にバルブ183b、トラップ装置184、バルブ183aが設けられている。ドライポンプ(DP1)185は、処理容器101内を粗引きし、ルテニウムの原料ガスの残ガスを排気する。その際、トラップ装置184により原料ガスを回収する。ターボ分子ポンプ182は、圧力調整部181にて処理容器101内の圧力を調整しながら処理容器101内を真空引きする。第1排気ライン188は、ルテニウムの原料ガスの残ガスを排気する。また、第1排気ライン188は、水素含有ガスの残ガスを排気する。
【0041】
第2排気ライン189は、排気管190を有する。排気管190は、ドライポンプ(DP2)187から延び、ターボ分子ポンプ(TMP)182に接続されている。排気管190には、バルブ186aが設けられている。ドライポンプ(DP2)187は、処理容器101内を粗引きし、オゾンガスを含むガスの残ガスを排気する。ターボ分子ポンプ182は、圧力調整部181にて処理容器101内の圧力を調整しながら処理容器101内を真空引きする。第2排気ライン189は、オゾンガスを含むガスの残ガスを排気する。
【0042】
更に第2排気ライン189は、処理容器101を介さずに第2供給ライン132と第2排気ライン189とを繋ぐバイパス排気ライン179を有する。バイパス排気ライン179は、ルテニウムの成膜中、第2供給ライン132から第2排気ライン189へオゾンガスを含むガスを流す。バイパス排気ライン179にはバルブ178bが設けられている。
【0043】
なお、排気管190は、処理容器101内からオゾンガスを含むガスを排気する第2メイン排気ライン190の一例である。
【0044】
成膜装置23は、成膜装置23を構成する各部の動作を制御する制御装置150を有する。制御装置150は、例えば図示しないCPUとメモリ(記憶部)とを有するコンピュータからなり、メモリには、後述する成膜方法を行うために必要な制御についてのステップ(命令)群が組まれたプロセスレシピが記憶されている。プロセスレシピは、例えばハードディスク等の記憶媒体に格納され、記憶媒体からコンピュータにインストールされてもよいし、制御装置150に接続されたネットワークから通信手段を用いて取得されてもよい。制御装置150は、制御装置100と連携して成膜装置23及び成膜システム1を制御してもよい。
【0045】
[成膜方法]
次に、成膜システム1にて実行される、実施形態に係る成膜方法の一例について、図1に加えて図3図6を参照しながら説明する。図3は、実施形態に係る成膜方法の一例を示すフローチャートである。図4は、図3の成膜方法における基板の凹部の断面図である。図6は、図3の成膜方法において生じる化学反応を示す図である。
【0046】
(基板準備工程 ステップS1)
図3に示す成膜方法は、制御装置100及び/又は制御装置150が連携等して実行する。例えば、制御装置150は、制御装置100からの指令に応じてプロセスレシピに従い本処理を開始する。本処理が開始されると、ステップS1において、制御装置100は、凹部を有する基板Wをプリクリーン装置21,22のいずれかに搬入し、準備する。
【0047】
図4(a)に示すように、搬入された基板Wの表面には、凹部52を備えた絶縁膜、例えばシリコン酸化膜(SiO膜)51が形成されている。シリコン酸化膜51の下層はタングステン等の金属層50である。凹部52の底部から金属層50が露出し、露出した金属層50が酸化して金属酸化膜50aが形成されている。
【0048】
金属酸化膜50aを除去するために、制御装置100は、先ず図1に示す大気搬送機構11aにより、キャリアC内に収容された基板を取り出して、大気圧雰囲気のロードロック室12に受け渡し、ロードロック室12を真空圧雰囲気に調節する。次いで、制御装置100は、第1の搬送機構13aにより、ロードロック室12内の基板をプリクリーン装置21,22のいずれかに搬送し、次のプリクリーン処理を行う。
【0049】
(プリクリーン工程 ステップS3)
次に、ステップS3において、以下のプロセス条件に制御し、水素ガスをプラズマ化した水素プラズマにより、図4(a)に示した凹部52の底部の金属酸化膜50aを還元し、除去する。本例では、金属酸化膜50aはタングステン酸化膜である。
【0050】
<プリクリーン プロセス条件>
ガス H
ガス流量 2000sccm
処理容器内の圧力 5Torr(667Pa)
【0051】
(ルテニウム成膜(埋込)工程 ステップS5)
次に、制御装置100は、図1に示す第1の搬送機構13aを介して基板を成膜装置23,24のいずれかに搬送するか、または、第1の搬送機構13a、受け渡し部17及び第2の搬送機構14aを介して基板を成膜装置25,26のいずれかに搬送する。
【0052】
成膜装置23では、制御装置150は、凹部52の底部を含む領域にルテニウム層を形成する。具体的には、制御装置150は、処理容器101内に基板を搬入して載置台102に載置し、当該基板をヒータ105で加熱し、ガス排気部180により処理容器101内を真空排気する。
【0053】
図3のステップS5において、以下のプロセス条件に制御し、図4(b)に示したように、気化したルテニウムの原料ガスにより凹部52の底部を含む領域にルテニウムを埋め込み、ルテニウム層55を形成する。
【0054】
<ルテニウム埋め込み プロセス条件>
ガス DCRの原料ガス、COガス
COガス流量 100sccm
処理容器内の圧力 16.6mTorr(2.21Pa)
載置台の温度 100℃~200℃
【0055】
図2に示す原料容器161においてはヒータ162によりルテニウムの原料SであるDCRが加熱されている。第1供給ライン131のキャリアガス用の供給管133に設けられたバルブ137a、バルブ137bを開き、マスフローコントローラ136により流量を制御されたキャリアガスのCOガスを原料容器161に供給する。ルテニウムの原料ガスは、ヒータ162による加熱によって気化する。このとき、供給管140、135に設けられたバルブ139a、139b、139cは開いている。これにより、気化された原料ガスが処理容器101内に供給され、凹部52にルテニウム層55が形成される。
【0056】
図5(a)には、ルテニウム埋込工程(成膜時)におけるガス供給及びガス排気の動作が示されている。第1供給ライン131のバルブ139cは開き、第2供給ライン132のバルブ177cは閉じている。これにより、ルテニウムの原料ガスを含むガスが処理容器101内に供給され、ルテニウム層55が形成される。成膜中、凹部52内の側壁に部分的にルテニウム膜(以下、ルテニウム片55aともいう。)が形成される。
【0057】
ステップS5においてルテニウム膜を成膜中、第1排気ライン188は、処理容器101内のルテニウムの原料ガスを含むガスを排気する。具体的には、図5(a)に示すように、第1排気ライン188のバルブ183a、183bは開き、第2排気ライン189のバルブ186aは閉じている。第1排気ライン188は、ドライポンプ(DP1)185を使用して処理容器101内を粗引きした後、圧力調整部181及びターボ分子ポンプ182を使用して処理容器101内を真空引きし、処理容器101からルテニウムの原料ガスを含むガスを排気する。ステップS5の処理を開始してから所定時間経過後、制御装置150は、バルブ139cを閉じ、ルテニウムの原料ガスを含むガスの供給を停止する。
【0058】
(バイパス排気工程 ステップS7)
図3のステップS7は、ステップS5と並行して実行される。ステップS5のルテニウム層を成膜中、ステップS7において、制御装置150は、オゾンを含むガスをバイパス排気ライン179から排気する。このとき、第2供給ライン132のバルブ177a、177bを開ける。また、図5(a)に示すようにバイパス排気ライン179のバルブ178bを開け、供給管175のバルブ177cを閉じ、オゾンガスを含むガスを、処理容器101を介さずにバイパス排気ライン179に流し、ドライポンプ(DP2)187を使用して排気する。このとき、第2排気ライン189のバルブ186aは閉じている。また、図1に示す水素ガス供給ライン131bのバルブ157a、157bは閉じている。
【0059】
(真空引き工程 ステップS9)
次に、図3のステップS9において、第1排気ライン188の排気装置を使用して処理容器101内を真空引きする。これにより、ルテニウムの原料ガスを含むガスが排気される。ステップS9では、上記真空引きとともにパージを行ってもよい。パージの工程は、Arガス、Nガス等の不活性ガスを処理容器101内に供給し、処理容器101内のルテニウムの原料ガスを含むガスを不活性ガスで置換する。
【0060】
(ルテニウムエッチング工程 ステップS11)
次に、図3のステップS11において、以下のプロセス条件に制御し、凹部52の側壁に付着したルテニウム片55aをエッチングし、除去する。
【0061】
<エッチング プロセス条件>
ガス OとOの混合ガス
ガス流量 300g/m
処理容器内の圧力 3Torr(400Pa)
載置台の温度 100℃~200℃
【0062】
図2及び図5(b)に示すように、ステップS11では、第1供給ライン131のバルブ139cを閉じる。また、バイパス排気ライン179のバルブ178bを閉じる。第2供給ライン132のバルブ177cは開いている。第2供給ライン132のバルブ177a、177bは開いたままである。第2供給ライン132では、オゾナイザー173から出力した所定濃度のOとOの混合ガスが処理容器101内に供給される。これにより、処理容器101内にオゾンガスを含むガスが供給され、図4(b)に示すルテニウム層55及びルテニウム片55aがエッチングされ、図4(c)に示すように凹部52の側壁からルテニウム片55aが除去される。また、第1排気ライン188のバルブ183a、183bは閉じ、第2排気ライン189のバルブ186aは開いている。これにより、第2排気ライン189からオゾンガスを含むガスの残ガスが排気される。
【0063】
ステップS11では、図5(a)に示すようにバルブ178bを開き、バルブ177c、186aを閉じていた状態から、図5(b)に示すようにバルブ178bを閉じ、バルブ177c、186aを開く状態に切り替える。これにより、第2供給ライン132から処理容器101内にオゾンガスを含むガスを安定的に供給することができる。また、第2排気ライン189から処理容器101内のオゾンガスを含むガスの残ガスを排気する。ステップS11の処理を開始してから所定時間経過後、制御装置150は、バルブ177cを閉じ、オゾンガスを含むガスの処理容器101への供給を停止する。
【0064】
(真空引き工程 ステップS13)
ステップS13では、第2排気ライン189の排気装置を使用して処理容器101内を真空引きする。これにより、オゾンガスを含むガスが排気される。上記真空引きとともにパージを行ってもよい。パージの工程は、不活性ガスを処理容器101内に供給し、処理容器101内のオゾンガスを含むガスを不活性ガスで置換する。
【0065】
(ルテニウム還元工程 ステップS15)
次に、図3のステップS15では、第1供給ライン131(水素ガス供給ライン131b)のバルブ157a、バルブ157b、バルブ139cを開ける。第1供給ライン131(水素ガス供給ライン131b)では、Hガス供給源154から出力し、マスフローコントローラ156により流量を制御された水素ガスが処理容器101内に供給される。
【0066】
ステップS15において、以下のプロセス条件に制御し、水素ガス供給ライン131bから処理容器101内に水素含有ガスを供給し、ルテニウム層55を改質(還元)する。
【0067】
<改質(還元) プロセス条件>
ガス Hガス
ガス流量 2000sccm
処理容器内の圧力 5Torr
載置台の温度 100℃~200℃
【0068】
これにより、ルテニウム層55の表層に形成されたルテニウムの酸化層を還元し、ルテニウム層55に戻すことができる。Hガス供給時、図5(c)に示すように、バルブ186aを閉じ、バルブ183a、183bを開け、第1排気ライン188から処理容器101内の水素含有ガスを排気する。更に、制御装置150は、バルブ178bを開き、バルブ177c、186aを閉じ、バイパス排気ライン179からオゾンガスを含むガスを排気する。排気ラインを第2排気ライン189から第1排気ライン188に切り替えることで、オゾンガスと水素ガスとを同じ排気ラインから排気することを回避し、オゾンガスが水素ガスと反応して爆発する危険を回避し、安全性を確保できる。
【0069】
このとき、原料ガス供給ライン131aのバルブ139bは閉じている。また、図5(c)に示すように、第1排気ライン188のバルブ183a、バルブ183bは開き、第1排気ライン188から水素ガスの残ガスを排気する。また、バイパス排気ライン179のバルブ178bは開き、バルブ186aは閉じている。これにより、オゾンガスを含むガスが、バイパス排気ライン179を流れ、ドライポンプ(DP2)187により排気される。ステップS15の処理が開始されてから所定時間経過後にバルブ139cを閉じ、水素ガスの供給を停止する。
【0070】
(真空引き工程 ステップS17)
次に、図3のステップS17において、第1排気ライン188から処理容器101内を真空引きする。これにより、水素含有ガスが排気される。ステップS17では、上記真空引きとともにパージを行ってもよい。パージの工程は、不活性ガスを処理容器101内に供給し、処理容器101内の水素含有ガスを不活性ガスで置換する。
【0071】
(判定工程 ステップS19)
次に、制御装置150は、ルテニウムの埋込処理(ステップS5~S17)を予め決められた設定回数実行したかを判定する。制御装置150は、ルテニウムの埋込処理を設定回数実行していないと判定した場合、ステップS5に戻り、ステップS5~S17を実行する。これにより、図4(b)に示す成膜及び図4(c)に示すエッチングが設定回数繰り返される。これにより、同一の成膜装置にてルテニウムの成膜とエッチングとを実行することができる。
【0072】
制御装置150は、ルテニウムの埋込処理を設定回数実行したと判定した場合、基板Wを搬出し、制御装置100は、第1の搬送機構13a、受け渡し部17及び第2の搬送機構14aを介して基板を成膜装置27に搬送する。
【0073】
(ルテニウム成膜(積層)工程 ステップS21)
次に、図3のステップS21において、以下のプロセス条件に制御し、気化したルテニウムの原料ガスにより凹部52の底部に形成されたルテニウム層55の上層のフィールド部にルテニウム層56を積層させる。これにより、図4(d)に示すように、基板Wの凹部に埋め込まれたルテニウム層55の上にルテニウム層56が成膜される。各バルブの開閉は、ステップS5のルテニウムの埋込時と同じである。ただし、プロセス条件はステップS5と異なっても良い。載置台の温度はステップS5よりも高温にしても良い。
【0074】
<ルテニウム積層 プロセス条件>
ガス DCRの原料ガス、COガス
COガス流量 100sccm
処理容器内の圧力 16.6mTorr(2.21Pa)
載置台の温度 100℃~250℃
【0075】
(アニール工程 ステップS23)
次に、形成されたルテニウム層をアニールする場合、制御装置100は、第2の搬送機構14aを介して基板をアニール装置28に搬送し、アニール装置28は、以下のプロセス条件に制御し、搬送された基板Wを所定の温度で加熱する。その後、本処理を終了する。
【0076】
<アニール プロセス条件>
ガス Nガス
COガス流量 100sccm
処理容器内の圧力 5Torr
載置台の温度 300℃~500℃
【0077】
以上に説明した成膜方法の作用について、図6を参照して説明する。図6は、図3の成膜方法のステップS5~S17において生じる化学反応を示す模式図である。図6(a)は、図3のステップS5において基板の凹部に成膜したルテニウム層55に対して、図3のステップS11においてオゾンガスを含むガスを供給した場合を示す。この場合のルテニウム層55とオゾンガスとの反応の一つである化学反応(1)は、Ru+2/3O→RuOで示される。この化学反応(1)では、ギブスの自由エネルギーは-345kJ/molであり、化学反応(1)は進む。図6(b)に示すように、ルテニウム層55の表面が酸化し、RuOのルテニウム酸化層55bが形成される。
【0078】
また、ルテニウム層55とオゾンガスとの反応の一つである化学反応(2)は、Ru+4/3O→RuOで示される。この化学反応(2)では、ギブスの自由エネルギーは-350kJ/molであり、化学反応(2)は進む。
【0079】
また、ルテニウム酸化層(RuO)55bとオゾンガスとの化学反応(3)は、RuO+2/3O→RuOで示される。この化学反応(3)では、ギブスの自由エネルギーは-5.36kJ/molであり、反応は起こりにくいが化学反応(2)は起こる。この化学反応(2)、(3)によりRuOは揮発する。これにより、図6(a)及び(b)に示すように、ルテニウム層55の表面及びルテニウム片55a(図4(b)参照)がエッチングされ、除去される。
【0080】
残ったルテニウム酸化層55bを水素ガスで還元する化学反応(4)は、RuO+2H→Ru+HOで示される。この化学反応(4)では、ギブスの自由エネルギーは-215kJ/molであり、化学反応(4)は進む。この結果、図6(c)に示すように、ルテニウム酸化層55bは水素ガスで還元され、ルテニウム層55に戻る。HOは揮発する。
【0081】
以上から、本実施形態に係る成膜方法では、ルテニウム層を成膜後、同一成膜装置内でオゾンガスを含むガスを供給し、Ruの成膜及びエッチングが繰り返され、ボイドを生じさせずに基板の凹部にボトムアップでルテニウム層が成膜できる。更にRuの成膜及びエッチングに加えて同一成膜装置内で水素含有ガスを供給し、RuO膜を還元することでより低抵抗のルテニウム層を形成することができる。
【0082】
図3の成膜方法では、オゾンガスを含むガスを供給及び排気するライン(第2供給ライン132,第2排気ライン189)と、水素含有ガスを供給及び排気するライン(第1供給ライン131,第1排気ライン188)とは別ラインになっている。オゾンガスと水素ガスとを同じ供給ライン及び排気ラインに供給すると、オゾンガスと水素ガスとが反応して爆発する危険があるためである。なお、水素含有ガスの供給ラインは、ルテニウムの原料ガスを含むガスを供給する供給ラインと同じである。
【0083】
ルテニウムの原料ガスを含むガスを供給する工程(ステップS5)の間、オゾンガスを含むガスは、バイパス排気ライン179を通って、ドライポンプ(DP2)187により排気される。オゾンガスは酸素ガスを放電させることで生成されるため、放電の安定性のためにルテニウムの成膜中もオゾンガスを流し続け、オゾンガスの流量と濃度を安定させる必要がある。このため、本実施形態に係る成膜方法では、ルテニウムの成膜時等、処理容器101内の処理にオゾンガスを使用しないとき、バイパス排気ライン179にオゾンガスを含むガスを流し続ける。これにより、オゾンガスの流量と濃度とを安定させることができる。流し続ける必要がある。
【0084】
図3の成膜方法では、ルテニウム成膜工程(ステップS5)、オゾンガスを含むガスを供給する工程(ルテニウムエッチング工程:ステップS11)、水素含有ガスを供給する工程(ルテニウム還元工程:ステップS15)をこの順で繰り返し実行した。
【0085】
ただし、各ステップはこの順に繰り返すことに限らない。例えば、ルテニウム成膜工程を実行した後、ルテニウムエッチング工程とルテニウム還元工程とを複数回繰り返してから、ルテニウム成膜工程に戻ってもよい。
【0086】
ルテニウム成膜工程を実行した後、ルテニウムエッチング工程とルテニウム還元工程とを複数回繰り返す際、ルテニウムエッチング工程を複数回に分け、オゾンガスを含むガスを間欠的に複数回供給してもよい。これによれば、ある程度の流量のオゾンガスを含むガスを別室に溜めてから複数回に分けて供給するため、圧力の高いオゾンガスを処理容器101内に噴射でき、オゾンガスが凹部の底部に届きやすい。これにより、より埋込性能の高いルテニウムの成膜が可能になる。
【0087】
なお、図3の成膜方法では、ステップS9、S13、S17のパージ処理は省略し、真空引き処理のみを行ってもよい。図2に及び図5に示した成膜装置の構成は、第1実施形態に係る成膜装置の構成に相当する。
【0088】
(第2実施形態)
以下では、図7を参照して第2実施形態に係る成膜装置の構成及び動作について説明する。図7は、第2実施形態に係る成膜装置の構成及び動作を示す図である。
【0089】
第1実施形態と異なる構成は、第2排気ライン189に新たな排気ラインを設けた点である。排気管190を第2メイン排気ライン190とも呼ぶ。第2排気ライン189は、第2メイン排気ライン190とは別のラインとして、処理容器101とドライポンプ(DP2)187とを接続し、処理容器101からオゾンガスを含むガスを排気する排気管289を有する。排気管289を第2サブ排気ライン289とも呼ぶ。つまり、第2実施形態に係る成膜装置では、第2排気ライン189に第2サブ排気ライン289を更に含む点が異なる。その他の構成において第1実施形態に係る成膜装置と同一である。なお、第2実施形態に係る成膜装置では、第2メイン排気ライン190を設けなくてもよい。バイパス排気ライン179は、第2サブ排気ラインの排気管289に接続されている。
【0090】
以下では第2サブ排気ライン289の構成を中心に説明する。第2サブ排気ライン289は、処理容器101とドライポンプ(DP2)187との間に圧力調整部281を有し、ターボ分子ポンプ等の真空引き可能な真空排気装置を有さない。圧力調整部281は処理容器101の側壁又は底壁に形成された排気管(図示せず)に接続されている。
【0091】
図7(a)のルテニウム成膜(埋込)時と、図7(c)の水素供給時と、では各バルブの開閉状態は同じである。すなわち、第1供給ライン131のバルブ139cは開き、第2供給ライン132のバルブ177cは閉じている。これにより、図7(a)のルテニウム成膜時には、第1供給ライン131からルテニウムの原料ガスを含むガスが処理容器101内に供給され、図7(c)の水素供給時には、第1供給ライン131から水素含有ガスが処理容器101内に供給される。
【0092】
また、第1排気ライン188のバルブ183a、183bは開き、第2排気ライン189のバイパス排気ライン179のバルブ178bが開いている。第2排気ライン189の第2メイン排気ライン190のバルブ186b及び第2サブ排気ライン289のバルブ283aは閉じている。これにより、図7(a)のルテニウム成膜時には第1排気ライン188からルテニウムの原料ガスを含むガスが排気され、図7(c)の水素供給時には第1排気ライン188から水素含有ガスが排気される。また、この間、処理容器101を介さずにバイパス排気ライン179を介してオゾンガスを含むガスが排気される。
【0093】
図7(b)のオゾンガス供給時は、第2供給ライン132のバルブ177c及び第2サブ排気ライン289のバルブ283aは開き、その他のバルブ(139c、178b、183a、183b、186a)は閉じている。これにより、オゾンガス供給時、すなわち、ルテニウムエッチング時には第2供給ライン132からオゾンガスを含むガスが供給され、第2サブ排気ライン289からオゾンガスを含むガスが排気される。
【0094】
第2実施形態に係る成膜装置によれば、第1実施形態に係る成膜装置と同様に、同一成膜装置内でルテニウム層を成膜後、オゾンガスを含むガスを供給し、更に水素含有ガスを供給することを繰り返す。これにより、Ruの成膜及びエッチングが繰り返され、ボイドを生じさせずに基板の凹部にボトムアップでルテニウム層が成膜できる。
【0095】
さらに、第2実施形態に係る成膜装置によれば、オゾンガス供給時にオゾンガスを含むガスをターボ分子ポンプ182に通流させずに圧力調整部381からドライポンプ(DP2)187に通すことができる。ターボ分子ポンプ182に通流可能なガスの流量は限られ、ドライポンプ(DP2)187に通流可能なガスの流量よりも少ない。よって、第2実施形態に係る成膜装置によれば、比較的大流量のオゾンガスを使用できる。
【0096】
(第3実施形態)
次に、図8を参照して第3実施形態に係る成膜装置の構成及び動作について説明する。図8は、第3実施形態に係る成膜装置の構成及び動作を示す図である。
【0097】
第2実施形態と異なる構成は、第1排気ライン188に新たな排気ラインを設けた点である。第1排気ライン188の排気管195を第1メイン排気ライン195とも呼ぶ。第1排気ライン188は、第1メイン排気ライン195とは別のラインとして、処理容器101とドライポンプ(DP1)185とを接続し、処理容器101から原料ガスを含むガス及び水素含有ガスを排気する排気管389を有する。排気管389を第1サブ排気ライン389とも呼ぶ。つまり、第2実施形態に係る成膜装置では、第1排気ライン188に第1サブ排気ライン389を更に含む点が異なる。その他の構成において第2実施形態に係る成膜装置と同一である。なお、第3実施形態に係る成膜装置では、第2メイン排気ライン190を設けなくてもよい。
【0098】
以下では第1サブ排気ライン389の構成を中心に説明する。第2サブ排気ライン289は、処理容器101とドライポンプ(DP1)185との間に圧力調整部381を有し、ターボ分子ポンプ等の真空引き可能な真空排気装置を有さない。圧力調整部381は処理容器101の側壁又は底壁に形成された排気管(図示せず)に接続されている。
【0099】
第3実施形態に係る成膜装置では、図8(a)のルテニウム成膜(埋込)時、第1供給ライン131のバルブ139cは開き、第2供給ライン132のバルブ177cは閉じている。これにより、成膜時にはルテニウムの原料ガスを含むガスが処理容器101内に供給される。図8(a)のルテニウム成膜時、第1メイン排気ライン195のバルブ183a、183bは開き、第1サブ排気ライン389のバルブ383aは閉じている。よって、ルテニウムの原料ガスを含むガスは、第1メイン排気ライン195から排気される。
【0100】
このとき、バイパス排気ライン179のバルブ178bは開き、第2メイン排気ライン190のバルブ186a及び第2サブ排気ライン289のバルブ283aは閉じている。よって、オゾンガスを含むガスは、バイパス排気ライン179を介して排気される。
【0101】
図8(b)のオゾンガス供給時、第1供給ライン131のバルブ139cは閉じ、第2供給ライン132のバルブ177cは開いている。これにより、ルテニウムの原料ガスを含むガスの供給が停止し、オゾンガスを含むガスが処理容器101内に供給される。第1メイン排気ライン195のバルブ183a、183bは閉じ、第1サブ排気ライン389のバルブ383aは閉じている。また、第2メイン排気ライン190のバルブ186aが閉じ、第2サブ排気ライン289のバルブ283aが開いている。バイパス排気ライン179のバルブ178bは閉じている。よって、オゾンガスを含むガスは、第2サブ排気ライン289から排気される。
【0102】
図8(c)の水素供給時、第1供給ライン131のバルブ139cは開き、第2供給ライン132のバルブ177cは閉じている。これにより、オゾンガスを含むガスの供給が停止し、水素含有ガスが処理容器101内に供給される。第1メイン排気ライン195のバルブ183a、183bは閉じ、第1サブ排気ライン389のバルブ383aは開いている。よって、水素含有ガスは、第1サブ排気ライン389から排気される。
【0103】
このとき、バイパス排気ライン179のバルブ178bは開き、第2メイン排気ライン190のバルブ186a及び第2サブ排気ライン289のバルブ283aは閉じている。よって、オゾンガスを含むガスは、バイパス排気ライン179を介して排気される。
【0104】
第3実施形態に係る成膜装置によれば、第1及び第2実施形態に係る成膜装置と同様に、同一成膜装置内でルテニウム層を成膜後、オゾンガスを含むガスを供給し、更に水素含有ガスを供給することを繰り返す。これにより、Ruの成膜及びエッチングが繰り返され、ボイドを生じさせずに基板の凹部にボトムアップでルテニウム層が成膜できる。
【0105】
さらに、第3実施形態に係る成膜装置によれば、オゾンガスを含むガスの供給時には第2サブ排気ライン289からオゾンガスを含むガスを排気し、水素含有ガスの供給時には第1サブ排気ライン389から水素含有ガスを排気する。よって、第3実施形態に係る成膜装置によれば、オゾンガス供給時にオゾンガスを含むガスをターボ分子ポンプ182に通流させずに圧力調整部381からドライポンプ(DP2)187に通すことができる。また、水素ガス供給時に水素ガスをターボ分子ポンプ182に通流させずに圧力調整部381からドライポンプ(DP1)185に通すことができる。ターボ分子ポンプ182に通流可能なガスの流量は限られ、ドライポンプ(DP1)185及びドライポンプ(DP2)187に通流可能なガスの流量よりも少ない。よって、第3実施形態に係る成膜装置によれば、比較的大流量のオゾンガスを使用でき、比較的大流量の水素ガスを使用できる。
【0106】
また、第3実施形態に係る成膜装置によれば、ルテニウムの成膜の間にオゾンガスと水素含有ガスとのガス供給を1回又は複数回繰り返す成膜方法において、オゾンガスと水素含有ガスとのガス供給を高速に切り替え、スループットを向上させることができる。その理由は、ドライポンプ(DP1、DP2)とターボ分子ポンプ(TMP)とでは、排気量が異なる。このため、オゾンガスを含むガス及び水素含有ガスの供給に、ターボ分子ポンプを通す排気ラインを使用すると、圧力安定までの時間がかかる。ドライポンプ(DP1)とドライポンプ(DP2)とは同じ又は類似する排気量であるため、オゾンガスを含むガスと水素含有ガスとのガス供給を繰り返すときの切り替え時に、処理容器101内の圧力変化が少なく、同様の圧力のオーダーで制御できる。よって、第3実施形態に係る成膜装置を用いた成膜方法によれば、バルブ283a及びバルブ383aの開閉の切り替えだけで処理容器101内の圧力安定までの時間がかからない。この結果、ルテニウム層の成膜時間を短縮することができ、スループットを向上させることができる。
【0107】
以上に説明したように、本実施形態の成膜装置、成膜方法及び成膜システムによれば、同一の成膜装置にてルテニウムの成膜とエッチングとを実行し、ボトムアップでルテニウムを埋め込むことができる。
【0108】
今回開示された実施形態に係る成膜装置、成膜方法及び成膜システムは、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0109】
例えば、本開示の成膜装置では、オゾンガスを含むガスの供給時、処理容器101のクリーニングも可能である。オゾナイザー173から処理容器101に供給されたオゾンガスにより、凹部の側壁に付着したルテニウムのエッチングのみならず、処理容器101の壁面等に堆積したルテニウムのクリーニングを行うことができる。
【符号の説明】
【0110】
1 成膜システム
100、150 制御装置
101 処理容器
130 ガス供給部
131 第1供給ライン
131a 原料ガス供給ライン
131b 水素ガス供給ライン
132 第2供給ライン
179 バイパス排気ライン
180 ガス排気部
188 第1排気ライン
189 第2排気ライン
190 第2メイン排気ライン
195 第1メイン排気ライン
289 第2サブ排気ライン
389 第1サブ排気ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8