(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045644
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】シリンドリカルレンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 3/00 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
G02B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154181
(22)【出願日】2021-09-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 久二男
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,デレック・ポール
(57)【要約】
【課題】電磁波の入出射方向の指向性に優れたシリンドリカルレンズを提供すること。
【解決手段】本開示技術に係るシリンドリカルレンズ1は、第1面11と、その裏面である第2面12とを有し、第1面11と第2面12とがいずれも共通する主軸方向Yと平行な可展面であり、第1面11と第2面12との少なくとも一方が曲面であるシリンドリカルレンズであって、主軸方向Yの両端面がいずれも、副軸方向Zと平行な直線の集合である可展面であり、主軸方向Yの両端面間の長さが、幅方向X上の位置により異なっているものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の裏面である第2面とを有し、前記第1面と前記第2面とがいずれも共通する主軸方向と平行な直線の集合である可展面であり、前記第1面と前記第2面との少なくとも一方が曲面であるシリンドリカルレンズであって、
前記主軸方向の両端面がいずれも、前記主軸方向と直交し前記第1面および前記第2面のいずれとも交差する方向である副軸方向と平行な直線の集合である可展面であり、
前記主軸方向の両端面間の長さが、前記主軸方向と前記副軸方向とのいずれにも直交する方向である幅方向上の位置により異なっているシリンドリカルレンズ。
【請求項2】
請求項1に記載のシリンドリカルレンズであって、
前記主軸方向の両端面間の長さが長い長尺位置と、前記主軸方向の両端面間の長さが短い短尺位置とを有し、
前記長尺位置と前記短尺位置との間で、前記主軸方向の両端面間の長さが連続的に変化しているシリンドリカルレンズ。
【請求項3】
請求項1に記載のシリンドリカルレンズであって、
前記両端面のうち少なくとも一方が、前記主軸方向に突出している凸部と凹んでいる凹部とが前記幅方向に対して反復して設けられている凹凸形状であるシリンドリカルレンズ。
【請求項4】
請求項1に記載のシリンドリカルレンズであって、
前記両端面のうち少なくとも一方が、
前記幅方向の両端の平面部と、
前記平面部と平面部との間に位置し前記平面部に対して前記主軸方向に突出しまたは凹んでいる凹凸部とを有する形状であるシリンドリカルレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は,シリンドリカルレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,種々の分野でシリンドリカルレンズが使用されている。例えば特許文献1では、シリンドリカルレンズを所定のピッチで配列したシリンドリカルレンズアレイを開示している。同文献では、シリンドリカルレンズアレイの用途として露光装置を挙げている。シリンドリカルレンズは露光装置の他にも、電磁波の送受信など様々な用途に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来のシリンドリカルレンズには、次のような問題点があった。電磁波の送受信に使用する場合の指向性が必ずしもよくないのである。レンズ内で電磁波の定在波が発生することにより、意図しない方向への電磁波の出射が生じるためであると考えられる。
【0005】
本開示技術は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためのものである。すなわちその課題とするところは,電磁波の入出射方向の指向性に優れたシリンドリカルレンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の一態様におけるシリンドリカルレンズは、第1面と、第1面の裏面である第2面とを有し、第1面と第2面とがいずれも共通する主軸方向と平行な直線の集合である可展面であり、第1面と第2面との少なくとも一方が曲面であるシリンドリカルレンズであって、主軸方向の両端面がいずれも、主軸方向と直交し第1面および第2面のいずれとも交差する方向である副軸方向と平行な直線の集合である可展面であり、主軸方向の両端面間の長さが、主軸方向と副軸方向とのいずれにも直交する方向である幅方向上の位置により異なっているものである。
【0007】
上記態様におけるシリンドリカルレンズでは、主軸方向の両端面間の長さが幅方向上の位置により異なっていることにより、主軸方向の両端面の少なくとも一方が非平面となっている。このためレンズ内で電磁波の定在波の発生条件が成立しにくい。このことにより、電磁波の入出射方向の指向性の偏りが生じにくいシリンドリカルレンズとなっている。
【0008】
上記態様におけるシリンドリカルレンズでは、主軸方向の両端面間の長さが長い長尺位置と、主軸方向の両端面間の長さが短い短尺位置とを有し、長尺位置と短尺位置との間で、主軸方向の両端面間の長さが連続的に変化している形状であってもよい。このような形状によっても、主軸方向の両端面の少なくとも一方を非平面とすることができる。
【0009】
上記態様におけるシリンドリカルレンズではあるいは、両端面のうち少なくとも一方が、主軸方向に突出している凸部と凹んでいる凹部とが幅方向に対して反復して設けられている凹凸形状であることとすることができる。このような鋸歯状のギザギザ形状により、主軸方向の両端面の少なくとも一方を非平面とすることができる。
【0010】
上記態様におけるシリンドリカルレンズではもしくは、両端面のうち少なくとも一方が、幅方向の両端の平面部と、平面部と平面部との間に位置し平面部に対して主軸方向に突出している凸部または凹んでいる凹部とを有する形状であることとしてもよい。このような形状でも、平面部と凸部または凹部とでは主軸方向の両端面間の長さが異なっており、両端面の少なくとも一方の少なくとも一部分が非平面となる。
【発明の効果】
【0011】
本構成によれば,電磁波の入出射方向の指向性に優れたシリンドリカルレンズが提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の形態に係るシリンドリカルレンズの斜視図である。
【
図2】
図1のシリンドリカルレンズの平面図である。
【
図4】
図1のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を比較例とともに示すグラフ(その1)である。
【
図5】
図1のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を比較例とともに示すグラフ(その2)である。
【
図6】
図1のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を比較例とともに示すグラフ(その3)である。
【
図7】
図1のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を比較例とともに示すグラフ(その4)である。
【
図8】
図1のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を比較例とともに示すグラフ(その5)である。
【
図9】第2の形態に係るシリンドリカルレンズの斜視図である。
【
図10】第2の形態に係るシリンドリカルレンズの平面図である。
【
図11】
図9のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を比較例とともに示すグラフ(その1)である。
【
図12】
図9のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を比較例とともに示すグラフ(その2)である。
【
図13】
図9のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を比較例とともに示すグラフ(その3)である。
【
図14】
図9のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を比較例とともに示すグラフ(その4)である。
【
図15】
図9のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を比較例とともに示すグラフ(その5)である。
【
図16】第3の形態に係るシリンドリカルレンズの平面図である。
【
図17】第4の形態に係るシリンドリカルレンズの平面図である。
【
図18】
図16、
図17のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を示すグラフ(その1)である。
【
図19】
図16、
図17のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を示すグラフ(その2)である。
【
図20】
図16、
図17のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を示すグラフ(その3)である。
【
図21】
図16、
図17のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を示すグラフ(その4)である。
【
図22】
図16、
図17のシリンドリカルレンズによる電磁波の入出射強度分布の例を示すグラフ(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,本開示技術を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、第1の形態に係るシリンドリカルレンズ1を示す。
図1のシリンドリカルレンズ1は、第1面11と、第2面12とを有している。第2面12は第1面11の裏面に相当する。第1面11および第2面12はいずれも、シリンドリカルレンズ1の主軸方向Yと平行な直線の集合である可展面である。可展面とは、伸縮なく平面に展開可能な面のことである。
【0014】
図1のシリンドリカルレンズ1では、第1面11が曲面であり第2面12は平面である。第1面11と第2面12とのいずれもが曲面であってもよい。シリンドリカルレンズ1は幅方向Xの両端よりも中央が厚い凸レンズ状のものであるが、凹レンズ状のものであってもよい。
【0015】
シリンドリカルレンズ1は、第1面11および第2面12の他に、端面13、14を有している。一般的なシリンドリカルレンズでは、端面13、14に相当する面は平面である。しかし本形態のシリンドリカルレンズ1では、端面13、14は非平面である。具体的には端面13、14は、鋸歯状のギザギザ形状とされている。言い換えると端面13、14は、主軸方向Yに突出している凸部と凹んでいる凹部とが幅方向Xに対して反復して設けられている凹凸形状である。シリンドリカルレンズ1の平面図を
図2に示す。シリンドリカルレンズ1のサイズはむろん限定されないが、一例を示せば、全長Lが36mm、全幅Wが30mm、ギザギザ形状の凹凸深さDが6mm、ギザギザ形状のピッチPが2mm、最厚箇所の厚さT(
図3参照)が8mmである。
【0016】
シリンドリカルレンズ1では、端面13、14のギザギザ形状のため、
図1中の主軸方向Yの長さが、幅方向X上の位置により異なっている。例えば
図2中の全長Lは、ギザギザ形状の凸部同士が主軸方向Yに対面している箇所における長さである。ギザギザ形状の凹部同士が主軸方向Yに対面している箇所における長さは、(L-2D)となる。このようにシリンドリカルレンズ1では、主軸方向Yの長さが、
図1中の幅方向X上の位置により異なっている。
【0017】
ただし端面13、14は、副軸方向Zに対しては傾斜していない。つまり端面13、14は、副軸方向Zと平行な直線の集合である可展面である。副軸方向Zは、主軸方向Yと直交し、第1面11および第2面12のいずれとも交差する方向である。副軸方向Zはシリンドリカルレンズ1の厚み方向であるといえる。幅方向Xは、主軸方向Yと副軸方向Zとのいずれにも直交する方向である。
【0018】
シリンドリカルレンズ1は、
図1中のホーンアンテナ20とともに、電磁波の送受信を行うアンテナシステムとして用いることができる。シリンドリカルレンズとホーンアンテナ20とを相対的に幅方向Xに移動させることで、電磁波の入出射方向の天頂角θ(
図3参照)を走査することができる。
【0019】
本形態のシリンドリカルレンズ1は、端面13、14のギザギザ形状により、電磁波の入出射方向の指向性に偏りがない、という利点を有している。このことを、
図4~
図8のグラフにより説明する。これらのグラフは、
図3の配置でホーンアンテナ20から電磁波を出射した時における、シリンドリカルレンズ1の上方にて実際に測定される出射強度の分布をプロットしたものである。その際、ホーンアンテナ20の幅方向Xの位置は、電磁波の出射強度が最大となる方向、つまり狙い方向が、天頂角θにして次の角度となるように調節した。 ・
図4……0° ・
図5……5°
・
図6……10° ・
図7……15° ・
図8……20°
【0020】
図4~
図8ではまた、比較例のグラフを重ねて示している。比較例は、本形態のシリンドリカルレンズ1の代わりに従来型の端面が平面であるシリンドリカルレンズを使用した場合のものである。
【0021】
図4~
図8の各グラフを見るといずれのグラフでも、出射強度が、狙いとする出射角度θの辺りで最大となり、そこから離れるほど小さくなる全体的な傾向が見て取れる。しかし出射角度θによる出射強度の変化には、そのような全体的な傾向の他に細かな揺らぎもある。その細かな揺らぎは、本形態のグラフにもあることはあるが、各図中に矢印Fで例示するように比較例の方が本形態よりも顕著である。
【0022】
この出射強度の揺らぎは、シリンドリカルレンズの内部における定在波の発生に起因すると考えられる。定在波が発生している状況では、電磁波の入出射が阻害され、出射強度・受信感度が弱いと考えられる。定在波による入出射の阻害が、実際にどのような入出射方向に対して起こるかは、電磁波の波長やシリンドリカルレンズのサイズ、ホーンアンテナ20の位置による狙い方向、といった要因により様々であり、
図4~
図8に示したのはその一例である。ただし、シリンドリカルレンズの形状により、定在波が発生しやすい形状のものである場合(上記の比較例)に、定在波が発生しにくい形状のものである場合(上記の本形態)よりも揺らぎが激しいという傾向は変わらない。
【0023】
上記の比較例のように出射強度の揺らぎが顕著に見られるものでは、電磁波の波長や狙い方向によっては、揺らぎにより入出射強度がグラフ上でボトムとなる方向と、狙い方向とが一致してしまう可能性がある。その場合、そのアンテナシステムは、その波長およびその入出射方向に対しては指向性が悪い、ということになる。定在波が発生しやすい形状のシリンドリカルレンズを用いているとこのようなことが起こりやすい。つまり、指向性に偏りがある、ということである。
【0024】
これに対して本形態では、全体に揺らぎが少ないので、特定の波長および特定の入出射方向に対して指向性が悪い、ということが起こりにくい。つまり、指向性が安定している、ということである。本形態のシリンドリカルレンズ1で定在波が発生しにくい理由はむろん、両端面13、14が非平面であることにある。両端面が平面である比較例の場合には波長と入出射方向とレンズサイズとの関係で比較的容易に、シリンドリカルレンズの全体にて定在波発生の条件が満たされてしまうのに対して、本形態では、両端面13、14が非平面であることにより定在波発生の条件が場所により異なるため、定在波発生の条件が満たされる確率が低いのである。このようにして、本形態のシリンドリカルレンズ1とホーンアンテナ20とのセットをアンテナシステムとして用いる場合には安定した指向性が得られるのである。
【0025】
本開示技術を具体化したシリンドリカルレンズは、
図1、
図2に示したものには限られない。
図9、
図10に、第2の形態のシリンドリカルレンズ3を示す。シリンドリカルレンズ3は、主軸方向Yの長さが連続的に変化している形状のものである。そして、幅方向両端を主軸方向Yの長さが短い短尺位置とし、中央を主軸方向Yの長さが長い長尺位置としている。このため両端面13、14が全体に凸状をなしている。シリンドリカルレンズ3の第1面11、第2面12については、シリンドリカルレンズ1については説明したのと特に変わるところはない。第2面12は、
図9中ではあたかも凸面であるように見えるが平面である。ただし第2面12が曲面であってもよい。シリンドリカルレンズ3のサイズはむろん限定されないが、一例を示せば、全長Lが35mm、全幅Wが30mm、端面の凹凸差Dが5mm、最厚箇所の厚さTが8mmである。
【0026】
シリンドリカルレンズ3でも、シリンドリカルレンズ1について説明したのと同様にして優れた指向性が得られる。
図11~
図15に、シリンドリカルレンズ1についての
図4~
図8に相当するグラフを示す。
図11~
図15では、シリンドリカルレンズ3を使用した場合の出射強度分布のグラフを、比較例のグラフとともに示している。シリンドリカルレンズ1の場合と同様に、比較例のグラフと比較していずれの狙い方向でも、揺らぎの少ない優れた出射強度分布となっている。
【0027】
本開示技術の第3の形態のシリンドリカルレンズ4を
図16に示す。シリンドリカルレンズ4は、主軸方向Yの長さが連続的に変化している形状のものである点で、
図9のシリンドリカルレンズ3と共通する。ただしシリンドリカルレンズ4では、シリンドリカルレンズ3とは逆に、幅方向両端を長尺位置とし、中央を短尺位置としている。このため両端面13,14が全体に凹状をなしている。
【0028】
本開示技術の第4の形態のシリンドリカルレンズ2を
図17に示す。シリンドリカルレンズ2は、端面13、14の形状を、幅方向両端の平面部16と、それらの間の凸部15とにより構成される形状としたものである。凸部15は、平面部16に対して主軸方向Yに突出している部分である。その曲面形状は半楕円状としている。凸部15と平面部16とでは主軸方向Yの長さが異なっている。
【0029】
シリンドリカルレンズ4、2の第1面、第2面については、シリンドリカルレンズ1、3について説明したのと特に変わるところはない。シリンドリカルレンズ4、2のサイズはむろん限定されないが、一例を示せば、全長L、全幅W、最厚箇所の厚さTについてはシリンドリカルレンズ3について挙げた例と同サイズを挙げることができる。シリンドリカルレンズ2の凸部15の幅Qについては20mmを挙げることができる。
【0030】
シリンドリカルレンズ4、2でも、シリンドリカルレンズ1、3について説明したのと同様にして優れた指向性が得られる。
図18~
図22に、シリンドリカルレンズ1についての
図4~
図8に相当するグラフを示す。
図18~
図22では、比較例のグラフは載せていないが、シリンドリカルレンズとホーンアンテナとのアンテナシステムにおけるシリンドリカルレンズとして、
図17のものを使用した場合、
図16のものを使用した場合のそれぞれの出射強度分布を示している。これらを
図4~
図8における比較例のグラフと比較するといずれも、揺らぎの少ない優れた出射強度分布となっている。
【0031】
以上詳細に説明したように本実施の形態のシリンドリカルレンズ1~4では、主軸方向Yの端面を非平面とすることにより、主軸方向Yの端面間の長さが幅方向X上の位置により異なる形状となっている。これにより、電磁波の入出射方向の指向性に優れたシリンドリカルレンズ1~4が実現されている。
【0032】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,シリンドリカルレンズ1~4において、両端面の凹凸差Dが異なっていてもよい。さらに、両端面のうち一方を平面とし、もう一方の端面のみを図示したような非平面としたものであってもよい。両端面の形状は、必ずしも上下対称でなくてもよいし左右対称でなくてもよい。
図2、
図10、
図16、
図17に示した端面形状のうち異なるものを1つのシリンドリカルレンズにおいて組み合わせて使用してもよい。
【0033】
図1のシリンドリカルレンズ1の場合、ギザギザ形状のピッチP、凹凸深さDについて、上下で違っていてもよいし、幅方向に対して一定でなくてもよい。ピッチPが一定である場合、上下で位相がずれていてもよい。
図17のシリンドリカルレンズ2において、凸部15の部分を、平面部16に対して主軸方向Yに凹んでいる凹部としてもよい。曲面形状は半楕円には限られない。
図10、
図16のシリンドリカルレンズ3、4において、長尺位置、短尺位置のいずれもが複数箇所に存在するものであってもよい。また、両端面の波形の位相がずれていてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1~4 シリンドリカルレンズ
11 第1面
12 第2面
13 端面
14 端面
15 凸部
16 平面部
X 幅方向
Y 主軸方向
Z 副軸方向