(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045808
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、通信システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/436 20110101AFI20230327BHJP
H04N 21/488 20110101ALI20230327BHJP
H04N 21/442 20110101ALI20230327BHJP
【FI】
H04N21/436
H04N21/488
H04N21/442
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154389
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】川島 慶弘
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA17
5C164MB33S
5C164UB01S
5C164UB41P
5C164UB71P
5C164UD12P
5C164YA21
(57)【要約】
【課題】キャプチャーボード等のHDCPに非対応のシンク機器において、ユーザがシンク機器の故障ではなく、ソース機器側の信号に問題があることを認識でき、サービスマンの訪問等が不要となり、サービスの効率化を図ることができる情報処理装置、情報処理方法、通信システム、およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、ソース機器から、HDCPにより暗号化された映像を受信する受信部と、前記受信部により受信した映像に画像処理を実行する画像処理部と、HDCPに関するHDCPシーケンスを監視する通信状況監視部と、前記画像処理部による画像処理の結果および前記通信状況監視部による前記HDCPシーケンスの監視結果に基づいて、ユーザへのメッセージ通知を行うか否かを判断する通知判断部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース機器から、HDCPにより暗号化された映像を受信する受信部と、
前記受信部により受信した映像に画像処理を実行する画像処理部と、
HDCPに関するHDCPシーケンスを監視する通信状況監視部と、
前記画像処理部による画像処理の結果および前記通信状況監視部による前記HDCPシーケンスの監視結果に基づいて、ユーザへのメッセージ通知を行うか否かを判断する通知判断部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記受信部は、HDMIまたはDisplyaportに従って、前記映像を受信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通知判断部は、前記メッセージ通知を行うか否かの判断結果に基づいて、表示装置に対してメッセージを表示する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記映像と、既定の異常画像と、のマッチングを含む画像処理を実行する、請求項1から3のいずれか一に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記マッチングを所定期間実行し、
前記通知判断部は、前記マッチングによって、前記受信部により受信した映像が前記異常画像と判断された場合、ユーザへのメッセージ通知を行うと判断する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
受信部が、ソース機器から、HDCPにより暗号化された映像を受信する工程と、
画像処理部が、前記受信部により受信した映像に画像処理を実行する工程と、
通信状況監視部が、HDCPに関するHDCPシーケンスを監視する工程と、
通知判断部が、前記画像処理部による画像処理の結果および前記通信状況監視部による前記HDCPシーケンスの監視結果に基づいて、ユーザへのメッセージ通知を行うか否かを判断する工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項7】
表示装置と、
ソース機器から、HDCPにより暗号化された映像を受信する受信部と、
前記受信部により受信した映像に画像処理を実行する画像処理部と、
HDCPに関するHDCPシーケンスを監視する通信状況監視部と、
前記画像処理部による画像処理の結果および前記通信状況監視部による前記HDCPシーケンスの監視結果に基づいて、ユーザへのメッセージ通知を行うか否かを判断し、その判断結果に基づいて、メッセージを前記表示装置に表示する通知判断部と、
を備える通信システム。
【請求項8】
コンピュータを、
ソース機器から、HDCPにより暗号化された映像を受信する受信部と、
前記受信部により受信した映像に画像処理を実行する画像処理部と、
HDCPに関するHDCPシーケンスを監視する通信状況監視部と、
前記画像処理部による画像処理の結果および前記通信状況監視部による前記HDCPシーケンスの監視結果に基づいて、ユーザへのメッセージ通知を行うか否かを判断する通知判断部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、通信システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)と呼ばれる映像および音声コンテンツの暗号化方式がある。HDCPは、不正コピー防止のために、PC(Personal Computer)等の映像出力機器(以下、ソース機器という)から、モニタおよびモニタキャプチャーカード等の映像入力機器(以下、シンク機器という)に出力する映像信号を暗号化する規格である。HDCPによって著作権保護がかかった映画等のコンテンツに関しては、HDCPに非対応のシンク機器に表示することができなくなる。
【0003】
映像キャプチャーカードがシンク機器の場合、著作権保護がかかった映像コンテンツの複製を防ぐため、HDCPで暗号化された映像信号には非対応である。そのため、HDCPにより保護された映像コンテンツが入力された場合、映像キャプチャーカード側において復号化することができず、黒い画面および緑の画面等の異常画像が表示される。
【0004】
また、HDMI(登録商標)規格では、モニタ等のHDCP対応のシンク機器が一般的であるため、ソース機器によっては、HDCPで保護すべきコンテンツ以外の映像コンテンツも全てHDCPで暗号化された映像として出力してしまうことがある。
【0005】
また、電子黒板では、シンク機器として映像キャプチャーカードが搭載されており、ソース機器から出力された映像をキャプチャーして、画面上に書込みを行う仕様である。しかし、常時、HDCPで保護した映像を出力するソース機器が接続された場合、ソース機器から出力されている映像がHDCPに対応しているか若しくは非対応かが分からないため、当該映像を復号できないまま表示するため、異常画像が表示される。また、異常画像が表示された場合、ユーザは、電子黒板の故障と判断して、サービスマンが現地に行って、原因の切り分け等を行わなければならない。
【0006】
そこで、特許文献1には、シンク機器がコンテンツに適用されるHDCPのバージョンとは異なるバージョンに対応している場合、ソース機器は、コンテンツ変換を通じて、シンク機器において対応するHDCPのバージョンでシンク機器にコンテンツを提供する技術が開示されている。また、特許文献2には、ソース機器とシンク機器の通信に使用する通信ケーブルの通信品位が、480p、1080i、1080p等の映像信号のフォーマットに対応付けられ、ユーザが、その通信ケーブルで使用可能な範囲のフォーマットで最適な映像信号の通信を行う技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、HDCPに非対応のシンク機器に対して、シンク機器の状態を考慮せずに、HDCPによる保護をコンテンツにかけたままシンク機器に送られてしまい、シンク機器では何が送られているかが判断できない。また、特許文献2記載の技術では、シンク機器において、HDCPにより保護された映像が送られている場合に、ジッター、信号同期のずれ等が発生せず、エラー状態であることを認識することができない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、キャプチャーボード等のHDCPに非対応のシンク機器において、ユーザがシンク機器の故障ではなく、ソース機器側の信号に問題があることを認識でき、サービスマンの訪問等が不要となり、サービスの効率化を図ることができる情報処理装置、情報処理方法、通信システム、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ソース機器から、HDCPにより暗号化された映像を受信する受信部と、前記受信部により受信した映像に画像処理を実行する画像処理部と、HDCPに関するHDCPシーケンスを監視する通信状況監視部と、前記画像処理部による画像処理の結果および前記通信状況監視部による前記HDCPシーケンスの監視結果に基づいて、ユーザへのメッセージ通知を行うか否かを判断する通知判断部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャプチャーボード等のHDCPに非対応のシンク機器において、ユーザがシンク機器の故障ではなく、ソース機器側の信号に問題があることを認識でき、サービスマンの訪問等が不要となり、サービスの効率化を図ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施の形態にかかる通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態にかかるシンク機器の一例であるプロジェクタのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態にかかる通信システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態にかかる通信システムにおける映像の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本実施の形態にかかる通信システムにおいてシンク機器に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、情報処理装置、情報処理方法、通信システム、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態にかかる通信システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかる通信システムは、
図1に示すように、ソース機器200と、シンク機器100と、を有する。ソース機器200とシンク機器100との間は、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)またはDisplayport等により有線映像接続されている。ここで、ソース機器200は、PC(Personal Computer)等、映像信号を送信する機器である。また、シンク機器100は、電子黒板、プロジェクタ等、映像信号を受信する機器である。
【0014】
図2は、本実施の形態にかかるシンク機器の一例であるプロジェクタのハードウェア構成の一例を示す図である。次に、
図2を用いて、本実施の形態にかかるシンク機器100の一例であるプロジェクタのハードウェア構成の一例について説明する。
【0015】
本実施の形態にかかるシンク機器100の一例であるプロジェクタ8は、CPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802、RAM(Random Access Memory)803、メディアI/F(Interface)807、操作部808、電源スイッチ809、バスライン810、ネットワークI/F811、LED(Light Emitting Diode)駆動回路814、LED光源815、投写デバイス816、投写レンズ817、外部機器接続I/F(Interface)818、ファン駆動回路819、冷却ファン820等を備えている。
【0016】
これらのうち、CPU801は、プロジェクタ8全体の動作を制御する。ROM802は、CPU801の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM803は、CPU801のワークエリアとして使用される。メディアI/F807は、フラッシュメモリ等の記録メディア806に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御する。
【0017】
操作部808は、種々のキー、ボタンおよびLED等が配設されており、ユーザによるプロジェクタ8の電源のONまたはOFF以外の各種操作を行うのに使用される。例えば、操作部808は、投写画像の大きさの調整操作、色調の調整操作、ピント調整操作、キーストン調整操作等の指示操作を受け付けて、受け付けた操作内容をCPU801に出力する。
【0018】
電源スイッチ809は、プロジェクタ8の電源のONまたはOFFを切り換えるためのスイッチである。バスライン810は、
図2に示されているCPU801等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0019】
ネットワークI/F811は、インターネット等の通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。
【0020】
LED駆動回路814は、CPU801の制御下で、LED光源815の点灯及び消灯を制御する。LED光源815は、LED駆動回路814の制御によって点灯されると、投写光を投写デバイス816に照射する。
【0021】
投写デバイス816は、外部機器接続I/F818等を介して与えられた画像データに基づいて、空間光変調方式によりLED光源815からの投写光を変調して得た変調光を、投写レンズ817を通して、スクリーンの投写面へ画像として投写する。投写デバイス816としては、例えば、液晶パネルまたはDMD(Digital Micromirror Device)等が用いられている。上記LED駆動回路814、LED光源815、投写デバイス816、および投写レンズ817は、全体として、画像データに基づいて投写面に投写画像を投写する投写部(投写手段)として機能している。
【0022】
外部機器接続I/F818は、直接、PC(Personal Computer)が接続され、PCとの間で、制御信号や画像データを取得する。ファン駆動回路819は、CPU801および冷却ファン820に接続されており、CPU801からの制御信号に基づいて、冷却ファン820の駆動または駆動停止を行う。冷却ファン820は、回転することで、プロジェクタ8内部の空気を排気して、プロジェクタ8内部を冷却する。
【0023】
また、CPU801は、電源電力が供給されると、ROM802に予め記憶されている制御プログラムに従って起動し、LED駆動回路814に制御信号を与えてLED光源815を点灯させるとともに、ファン駆動回路819に制御信号を与えて冷却ファン820を所定の定格回転数で回転させる。また、プロジェクタ8は、電源回路21からの電源電力の供給が開始されると、投写デバイス816が画像表示可能状態になり、更に、他の種々の構成要素へ電源回路21から電力が供給される。
【0024】
また、プロジェクタ8は、電源スイッチ809がOFF操作されると、電源スイッチ809から電源OFF信号がCPU801に送られ、CPU801は、電源OFF信号を検知すると、LED駆動回路814へ制御信号を与えてLED光源815を消灯させる。CPU801は、その後、所定時間が経過すると、ファン駆動回路819へ制御信号を与えて冷却ファン820を停止させるとともに、自身で自身の制御処理を終了させ、最後に電源回路21へ指示を与えて電源電力の供給を停止させる。
【0025】
図3は、本実施の形態にかかる通信システムの機能構成の一例を示すブロック図である。次に、
図3を用いて、本実施の形態にかかる通信システムの機能構成の一例について説明する。本実施の形態では、ソース機器200とシンク機器100は、HDMIにより接続され、映像信号を通信する。
【0026】
まず、ソース機器200の機能構成の一例について説明する。本実施の形態では、ソース機器200は、
図3に示すように、HDMI送信部210、制御部220、映像音声処理部230、およびHDMIコネクタ240等を有する。
【0027】
HDMI送信部210は、DDC通信部211、HDCP暗号部212、およびTMDS送信部213等を有する。DDC通信部211は、HDMI規格における機器制御等のための制御信号の通信を行う。TMDS送信部213は、シンク機器100との間で、HDMI規格における映像信号の通信(送信)を行う。HDCP暗号部212は、TMDS送信部213により送信する映像信号を、HDCP規格により暗号化する。
【0028】
映像音声処理部230は、ソース機器200内部で生成した映像信号および音声信号等をHDMI信号として処理する。制御部220は、ソース機器200が有するCPUおよびメモリ等を含み、ソース機器200の主な制御を行う。HDMIコネクタ240は、DDC通信部211およびTMDS送信部213を外部ケーブルと接続するための信号通信コネクタである。
【0029】
次に、シンク機器100の機能構成の一例について説明する。本実施の形態では、シンク機器100は、
図3に示すように、HDMI受信部110、制御部120、映像音声処理部130、異常画像検出部140、記録部150、操作部160、表示部170、HDMIコネクタ180、通信状況監視部190、およびROM802等を有する。
【0030】
HDMI受信部110は、DDC通信部111、HDCP復号部112、およびTMDS受信部113等を有する。DDC通信部111は、HDMI規格における機器制御等のための制御信号の通信を行う。TMDS受信部113は、ソース機器200との間で、HDMI規格における映像信号の通信(受信)を行う。HDCP復号部112は、TMDS受信部113により受信した映像信号をHDCP規格により復号化する。すなわち、HDMI受信部110は、ソース機器200から、HDCPにより暗号化された映像を受信する受信部の一例として機能する。本実施の形態では、HDMI受信部110が、HDMIにより映像を受信しているが、これに限定するものではなく、例えば、Displayportにより映像を受信しても良い。
【0031】
制御部120は、CPU801等を有し、記録部150に記録されたプログラムを実行して、シンク機器100の主な制御を行う。異常画像検出部140は、HDCP復号部112により復号化された映像信号(すなわち、HDMI受信部110により受信した映像)に画像処理を実行する画像処理部の一例である。本実施の形態では、異常画像検出部140は、記録部150に記録されたテンプレート画像を用いて、マッチング等によって、HDCP復号部112により復号化した映像信号が異常画像であるか否かを検出する。すなわち、異常画像検出部140は、HDMI受信部110により受信した映像信号と、既定の異常画像と、のマッチングを含む画像処理を実行する。
【0032】
その際、異常画像検出部140は、復号化された映像信号と既定の異常画像とのマッチングを所定時間実行しても良い。これにより、異常画像検出部140は、HDCP復号部112により復号化した映像の定期的な点滅を検出する。本実施の形態では、異常画像検出部140は、制御部120が記録部150に記録されるプログラムを実行することにより実現しても良いし、ハードウェア等により実現しても良い。
【0033】
映像音声処理部130は、HDMI受信部110により受信した映像信号および音声信号を受け取り、当該映像信号および音声信号を制御部120において処理可能な形式に変換する。HDMIコネクタ180は、DDC通信部111およびTMDS受信部113を外部ケーブルと接続するための信号通信コネクタである。
【0034】
記録部150は、シンク機器100の動作プログラムおよび異常画像のテンプレート画像(既定の異常画像)等が記録される不揮発性の記憶媒体である。操作部160は、タッチパネル、プッシュスイッチ等を有する。表示部170は、制御部120から出力される各種画像を表示する表示装置の一例である。ROM802は、EDIDファイルを保存する。ここで、EDIDファイルは、HDMIによる通信を行う際に利用するシンク機器100の情報を記録したファイルである。
【0035】
通信状況監視部190は、HDCPシーケンスを監視する通信状況監視部の一例である。ここで、HDCPシーケンスは、HDCPに関するシーケンスである。本実施の形態では、HDCPシーケンスは、ソース機器200とシンク機器100間における鍵のやり取り等、ソース機器200とシンク機器100とが互いにHDCPの暗号化の対応機器か否かを認証するシーケンスを含んでいても良い。
【0036】
HDMIでは、HDCPの暗号化が行われる場合、DDC通信部111においてI2C規格により、ソース機器200とシンク機器100との間で鍵のやり取りが行われる。そして、I2C規格により鍵のやり取りを行う場合には、DDC通信部111は、特定の通信パターンが繰り返す。
【0037】
そのため、本実施の形態では、通信状況監視部190は、当該特定の通信パターンの繰り返しを監視する。具体的には、通信状況監視部190は、専用のマイクロコンピュータによりI2C規格により通信される情報を読み込み、当該読み込んだ情報を、HDCPシーケンスの監視結果として制御部120に通知する。若しくは、通信状況監視部190は、I2Cを制御部120に直接接続して、I2Cにより通信される情報を、HDCPシーケンスの監視結果として制御部120に通知しても良い。
【0038】
上述したように、HDCP暗号部212により暗号化した映像信号をTMDS送信部213から送信する際、DDC通信部211は、HDCPシーケンスを行う。そのため、通信状況監視部190は、DDC通信部211とDDC通信部111とを接続するDDCラインに設けられ、当該DDCラインにおける通信状況を監視する。しかし、ソース機器200の中には、HDCPシーケンスが確立できない場合でも、HDCPシーケンスのリトライを繰り返しながら、HDCPの保護がかかっていないコンテンツ(映像等)を送信するソース機器もある。その場合、通信状況監視部190は、DDCラインにおける通信状況を監視するだけでは、ソース機器200から送信される画像が異常画像であるか否かを判別することができない。
【0039】
そのため、本実施の形態では、制御部120は、異常画像検出部140による画像処理の結果、および通信状況監視部190によるHDCPシーケンスの監視結果に基づいて、ユーザへのメッセージ通知を行うか否かを判断する通知判断部の一例として機能する。具体的には、制御部120は、ソース機器200から送信されている映像が、HDCPによって保護されている異常画像(暗号化された映像)であるか、若しくは、HDCPシーケンスを繰り返しながら送信された正常な画像(暗号化されていない映像)であるかを判定する。
【0040】
そして、制御部120は、ソース機器200から送信されている映像が、HDCPシーケンスを繰り返しながら送信された異常画像であると判定された場合、ユーザへのメッセージ通知を行うと判断する。この場合、制御部120は、ユーザにメッセージ通知を行う。本実施の形態では、制御部120は、メッセージ通知を行うか否かの判断結果に基づいて、表示部170に対して、メッセージを表示する。例えば、制御部120は、表示部170に対して、HDCPにより保護されたコンテンツ(映像)であるため表示できない旨等のメッセージを表示する。
【0041】
これにより、映像入力機能等のHDCPに非対応のシンク機器100において、表示不可能な映像が入力されていることをユーザに通知することができる。その結果、ユーザはシンク機器100の故障ではなく、ソース機器200側の映像に問題があることを認識することができ、サービスマンの訪問等の不要なサービスが行われることを防止できる。
【0042】
図4は、本実施の形態にかかる通信システムにおける映像の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5は、本実施の形態にかかる通信システムにおいてシンク機器に表示される画面の一例を示す図である。次に、
図4および
図5を用いて、本実施の形態にかかる通信システムにおける映像の表示処理の流れの一例について説明する。
【0043】
まず、ソース機器200のDDC通信部211は、DDCラインを介して、I2C規格に従って、シンク機器100のROM802からEDIDファイルを読み出す(ステップS401)。すなわち、シンク機器100のDDC通信部111が、ソース機器200から要求に応じて、EDIDファイルを送信する。次に、ソース機器200の制御部220および映像音声処理部230は、読み出したEDIDファイルに基づいて、ソース機器200のHDMI送信部210により送信する映像信号の解像度およびリフレッシュレート(フレームレート)等を決定する(ステップS402)。
【0044】
また、ソース機器200のDDC通信部211は、シンク機器100のDDC通信部111との間でHDCPシーケンスを実行する(ステップS403)。具体的には、DDC通信部211およびDDC通信部111は、HDCPによる通信で用いる鍵の問い合わせを含むHDCPシーケンスを実行する。
【0045】
次いで、ソース機器200のDDC通信部211は、HDCPに非対応のシンク機器100のDDC通信部111からHDCPシーケンスの応答が無い場合、若しくは、DDC通信部111から、オールゼロの鍵等、HDCPシーケンスの応答と判断できない応答(無応答)を受信したか否かを判断する(ステップS404)。HDCPシーケンスによって、シンク機器100がHDCPの暗号化の対応機器か否かが認証不可である場合、DDC通信部211は、HDCPシーケンスのリトライを繰り返す(ステップS405)。
【0046】
ソース機器200の制御部220は、HDCPシーケンスのリトライが繰り返されて、シンク機器100がHDCPの暗号化の対応機器か否かを認証不可と判断した場合、TMDS送信部213による映像信号の送信を中止する。ただし、ソース機器200の中には、シンク機器100がHDCPの暗号化の対応機器か否かを認証不可であるにも関わらず、HDCPシーケンスを中止して、HDCPによる暗号化を行わずに、映像信号をソース機器200に送るソース機器もある。しかし、本実施の形態にかかるソース機器200は、シンク機器100がHDCPの暗号化の対応機器か否かが認証不可である場合、DDC通信部211が、HDCPシーケンスのリトライを繰り返すソース機器200を対象としている。
【0047】
シンク機器100の通信状況監視部190は、DDCラインにおけるHDCPシーケンス等の通信を監視する(ステップS406)。または、通信状況監視部190は、HDMIコネクタ240とHDMIコネクタ180を接続するケーブルを介したDDC通信部211とDDC通信部111との間でのHDCPシーケンスを監視しても良い。そして、通信状況監視部190は、有線または無線等の通信手段によって、HDCPシーケンスの監視結果を、制御部120に通知しても良い。
【0048】
通信状況監視部190は、HDCPシーケンスを監視し、特定の通信パターンが、予め設定された判定回数N、繰り返されているか否かを判定する(ステップS407)。ここで、判定回数Nは、予め設定された回数であり、HDCPシーケンスの繰り返しの頻度に基づいて決定するものとする。特定の通信パターンが、判定回数N、繰り返されていない場合(ステップS407:No)、ステップS406に戻り、通信状況監視部190は、HDCPシーケンスの監視を続ける。
【0049】
一方、特定の通信パターンが、判定回数N、繰り返された場合(ステップS407:Yes)、制御部120は、異常画像検出部140によって異常画像が検出された回数が所定回数M以内か否かを判断する(ステップS408)。ここで、所定回数Mは、予め設定された回数である。異常画像が検出された回数が所定回数Mより多い場合(ステップS408:No)、通知判断機能部121は、ソース機器200が正常な映像を出力しているにも関わらず、HDCPシーケンスがリトライされて続けている可能性があるため。処理を終了する。
【0050】
一方、異常画像が検出された回数が所定回数M以内である場合(ステップS408:Yes)、異常画像検出部140は、HDCP復号部112により復号化された映像信号と、テンプレート画像(すなわち、記録部150に記録される画像)と、の比較(マッチング)を行う(ステップS409)。ここで、テンプレート画像は、製品の出荷時に、記録部150に登録しておいても良いし、操作部160を介して登録しても良い。
【0051】
復号化される映像信号は、白画像と異常画像とを交互に繰り返したり、黒画像と異常画像とを交互に繰り返したりする点滅状態となる場合もある。そのため、異常画像検出部140は、所定時間、異常画像の検出を行い、周期的に異常画像が検出される場合も、異常画像と検出する。例えば、異常画像検出部140は、2秒間の間に、0.2秒毎に異常画像の検出を行い、20回に一度でも異常画像が検出された場合には、異常画像が検出されたと判断する。
【0052】
制御部120は、異常画像検出部140により異常画像が検出されたか否かを判断する(ステップS410)。異常画像が検出されなかった場合(ステップS410:No)、ステップS406に戻り、通信状況監視部190が、DDCラインにおけるHDCPシーケンスを監視する。
【0053】
一方、異常画像が検出された場合(ステップS410:Yes)、制御部120は、
図5に示すように、表示部170に対して、HDCPにより保護されたコンテンツ(映像信号)であるため表示できない旨のメッセージ通知(表示画像)を含む画面を表示する(ステップS411)。本実施の形態では、制御部120は、表示部170に現在表示されている画面を終了して、メッセージ通知を含む画面を表示しても良いし、半透明処理等によって、現在表示されている画面に対して、メッセージ通知を含む画面を合成して表示しても良い。
【0054】
このように、本実施の形態にかかる通信システムによれば、映像入力機能等のHDCPに非対応のシンク機器100において、表示不可能な映像が入力されていることをユーザに通知することができる。その結果、ユーザはシンク機器100の故障ではなく、ソース機器200側の映像に問題があることを認識することができ、サービスマンの訪問等の不要なサービスが行われることを防止できる。
【0055】
なお、本実施の形態のシンク機器100およびソース機器200で実行されるプログラムは、ROM803等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態のシンク機器100およびソース機器200で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0056】
さらに、本実施の形態のシンク機器100およびソース機器200で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のシンク機器100およびソース機器200で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0057】
本実施の形態のシンク機器100で実行されるプログラムは、上述した各部(HDMI受信部110、映像音声処理部130、異常画像検出部140、通信状況監視部190)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU801(プロセッサの一例)が上記ROM802からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、HDMI受信部110、映像音声処理部130、異常画像検出部140、通信状況監視部190が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0058】
本実施の形態のソース機器200で実行されるプログラムは、上述した各部(HDMI送信部210、映像音声処理部230)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサの一例)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、HDMI送信部210、映像音声処理部230が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0059】
100 シンク機器
110 HDMI受信部
111,211 DDC通信部
112 HDCP復号部
113 TMDS受信部
120,220 制御部
130,230 映像音声処理部
140 異常画像検出部
150 記録部
170 表示部
180,240 HDMIコネクタ
190 通信状況監視部
200 ソース機器
210 HDMI送信部
212 HDCP暗号部
213 TMDS送信部
801 CPU
802 ROM
803 RAM
808 操作部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特許第6312447号公報
【特許文献2】特開2008-252559号公報