(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045896
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
G06F11/34 176
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154510
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智広
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA34
5B042MA01
5B042MA04
5B042MA05
5B042MA15
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】情報処理装置が省エネルギー状態へ遷移中および情報処理装置の電源をOFFする直前のログ情報も必要に応じて取得可能とする情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、不揮発性の記憶媒体を有する複数の外部デバイスと、ログ情報の出力先とする前記外部デバイスおよび前記ログ情報の情報量を、前記ログ情報の出力先として利用可能な前記外部デバイスのうち最大容量の前記外部デバイスに合わせて変更して、前記最大容量の外部デバイスに対して前記ログ情報を出力するLog管理カーネルモジュールと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性の記憶媒体を有する複数の外部デバイスと、
ログ情報の出力先とする前記外部デバイスおよび前記ログ情報の情報量を、前記ログ情報の出力先として利用可能な前記外部デバイスのうち最大容量の前記外部デバイスに合わせて変更して、前記最大容量の外部デバイスに対して前記ログ情報を出力するLog管理カーネルモジュールと、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記Log管理カーネルモジュールは、前記情報処理装置の電源制御処理中に異常が発生する兆候がある場合に、前記ログ情報を前記外部デバイスに出力する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記Log管理カーネルモジュールは、前記情報処理装置の稼働中に前記外部デバイスへのアクセスの異常が発生している場合に、前記ログ情報を前記外部デバイスへ出力する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記Log管理カーネルモジュールは、前記情報処理装置におけるソフトウェアのエラーの発生回数が閾値以上となった場合に、前記ログ情報を前記外部デバイスに出力する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記Log管理カーネルモジュールは、前記情報処理装置の機能のうちエラーの発生回数が閾値以上となった前記機能を使用するデバイスドライバの前記ログ情報のみを前記外部デバイスに出力する、請求項1から4のいずれか一に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記Log管理カーネルモジュールは、前記情報処理装置のOSのカーネル内の前記ログ情報に出力レベルが設定されている場合、前記ログ情報の出力先の前記外部デバイスに応じて、出力する前記ログ情報を切り替える、請求項1から4のいずれか一に記載の情報処理装置。
【請求項7】
不揮発性の記憶媒体を有する複数の外部デバイスを備える情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
Log管理カーネルモジュールが、ログ情報の出力先とする前記外部デバイスおよび前記ログ情報の情報量を、前記ログ情報の出力先として利用可能な前記外部デバイスのうち最大容量の前記外部デバイスに合わせて変更する工程と、
前記最大容量の外部デバイスに対して前記ログ情報を出力する工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
不揮発性の記憶媒体を有する複数の外部デバイスを備える情報処理装置が有するコンピュータを、
ログ情報の出力先とする前記外部デバイスおよび前記ログ情報の情報量を、前記ログ情報の出力先として利用可能な前記外部デバイスのうち最大容量の前記外部デバイスに合わせて変更して、前記最大容量の外部デバイスに対して前記ログ情報を出力するLog管理カーネルモジュール、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ログ保存領域を節約するために、機器(情報処理装置の一例)に関する使用状態の測定値を監視して、当該測定値が所定の基準値を超える機能に関するログ情報だけ保存する技術が開発されている。また、ログ情報の出力レベルを設定しておき、主にログ情報の出力先としている外部デバイスに優先度の高いログ情報を保存していき、当該外部デバイスのログ保存領域が閾値を超えた場合に、他の外部デバイスにログ情報の保存先を変更する技術が開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のログ情報の保存方式は、ログ情報をメモリ上に出力しておき、機器の使用状態に応じて、定期的に、必要なログ情報を、不揮発性の記憶媒体を有する外部デバイスに保存することで、ログ情報を後から取り出すことを可能としている。
【0004】
しかしながら、機器が省エネルギー状態へ遷移中および機器の電源をOFFする際は、順次、外部デバイスへの電源供給が断たれてしまうため、外部デバイスに対してログ情報を保存することが困難である。
【0005】
この問題に対して、常時、電源が供給されるRTC(Real Time Clock)のレジスタ上に、ログ情報を記録していく方法もあるが、RTCのレジスタ上に保存できるログ情報に制限があること、ログ情報を保存する処理に時間がかかるため、電源処理等、タイミングに制約のある処理中に行われると、動作異常になること等の問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、情報処理装置が省エネルギー状態へ遷移中および情報処理装置の電源をOFFする直前のログ情報も必要に応じて取得可能とする情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、不揮発性の記憶媒体を有する複数の外部デバイスと、ログ情報の出力先とする前記外部デバイスおよび前記ログ情報の情報量を、前記ログ情報の出力先として利用可能な前記外部デバイスのうち最大容量の前記外部デバイスに合わせて変更して、前記最大容量の外部デバイスに対して前記ログ情報を出力するLog管理カーネルモジュールと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、情報処理装置が省エネルギー状態へ遷移中および情報処理装置の電源をOFFする直前のログ情報も必要に応じて取得可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施の形態にかかる情報処理装置を適用した画像形成装置のハードウェア構成図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置を制御するソフトウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるログ情報の記録処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるログ情報の記録処理の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるログ情報の記録処理の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるログ情報の記録処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態にかかる情報処理装置を適用した画像形成装置のハードウェア構成図である。本実施の形態にかかる画像形成装置100は、
図1に示すように、画像形成手段112およびコントローラ101を有する。また、本実施の形態にかかる画像形成装置100は、
図1に示すように、インターネット等のネットワークを介して、外部装置111と通信可能に接続されている。ここで、外部装置111は、印刷指示および画像形成装置10の制御を行う機能を果たす。
【0012】
コントローラ101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104、画像処理手段105、操作部106、HDD(Hard Disk Drive)107、SD(Secure Digital)メモリカード108、およびNVRAM(Non-Volatile RAM)109、NIC(Network Interface Card)110を有する。
【0013】
CPU102は、OS(Operating System)および制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100の動作を制御する機能を果たす。RAM104は、CPU102の作業領域として使用される揮発性メモリである。ROM103は、CPU102が実行するプログラムが格納される不揮発性メモリである。CPU102が、ROM103に記憶されるプログラムをRAM104上に展開して実行する。
【0014】
操作部106は、ユーザの操作情報の入力を受け付け、ユーザへの情報表示の機能を果たす。また、HDD107、SDメモリカード108、NVRAM109は、外部記憶装置として機能する。HDD107は、画像データ、文書データ、画像形成装置100上で実行される各種プログラム、フォントデータ、システム情報、ユーザ情報等の各種データを蓄積する大容量の記憶装置である。
【0015】
SDメモリカード108は、画像形成装置100本体が元から備えていない機能を後から追加する場合、画像形成装置100の更新等で使用する。NVRAM109は、画像形成装置100等の機器の設定値等を保存するために用いる小容量の記憶装置である。また、これらの外部記憶装置は、画像形成装置100のログ情報を蓄積するためにも使用される。NIC110は、画像形成装置100と外部装置111とのネットワーク経由でのデータ通信を制御するネットワーク制御部である。
【0016】
画像形成手段112は、プロッタ113およびスキャナ114を有する。プロッタ113は、コントローラ101から画像処理結果の画像データに基づく、画像の印刷出力を行う機能を果たす。スキャナ114は、紙等の記憶媒体に記録された画像をスキャンし、当該スキャンして得られる画像データをコントローラ101に転送する画像読取装置である。
【0017】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置を制御するソフトウェア構成の一例を示す図である。次に、
図2を用いて、本実施の形態にかかる画像形成装置100を制御するソフトウェア構成の一例について説明する。
【0018】
本実施の形態では、画像形成装置100は、
図2に示すように、コントローラ101上において、BIOS(Basic Input / Output System)またはモニタプログラムがOS(Operating System)201を起動する。本実施の形態では、OS201は、Log管理カーネルモジュール207、HDDドライバ208、SDカードドライバ209、NVRAMドライバ210、およびRTCドライバ211を含む。ここで、HDDドライバ208、SDカードドライバ209、NVRAMドライバ210、およびRTCドライバ211は、画像形成装置100が有する不揮発性の記憶媒体である外部デバイス(例えば、HDD107、SDメモリカード108、NVRAM109、RTC)のドライバである。
【0019】
そして、画像形成装置100は、当該OS201上において、コピーアプリケーション202、プリンタアプリケーション203、スキャナアプリケーション204、FAXアプリケーション205、およびLog管理モジュール206を並列に実行する。本実施の形態では、Log管理モジュール206は、状態監視部206aおよびLog保存部206bを有する。
【0020】
状態監視部206aは、画像形成装置100(情報処理装置の一例)の構成、当該画像形成装置100の過去の動作履歴および動作異常の発生記録等に基づいて、画像形成装置100が有するソフトウェアおよびデバイスのうち、動作異常が頻発しているソフトウェアおよびデバイスを特定する。そして、状態監視部206aは、特定したソフトウェアおよびデバイスの情報(以下、ソフトウェアデバイス情報という)をLog保存部206bに通知する。
【0021】
Log保存部206bは、状態監視部206aから通知されるソフトウェアデバイス情報、および各モジュールがメモリ上に書き出したログ情報を、定期的に外部デバイスに記録するために、Log管理カーネルモジュール207のインタフェースを呼び出す。
【0022】
Log管理カーネルモジュール207は、Log保存部206bから受け取るソフトウェアデバイス情報およびログ情報に基づいて、ログ情報を外部デバイスに出力するか否かを判断する。また、Log管理カーネルモジュール207は、ログ情報を外部デバイスに出力する場合、どの外部デバイスに出力するかを判定する。
【0023】
Log管理カーネルモジュール207は、画像形成装置100の稼働中にLog保存部206bから外部デバイスへのログ情報の書き出しの要求があった場合、その時点で利用可能な外部デバイスのうち最大容量を持つ外部デバイスを特定する。次いで、Log管理カーネルモジュール207は、特定した外部デバイスに対して、メモリ上に書き込まれているログ情報を出力する。
【0024】
具体的には、Log管理カーネルモジュール207は、ログ情報の出力先とする外部デバイスおよびログ情報の容量(情報量)を、ログ情報の出力先として利用可能な外部デバイスのうち最大容量の外部デバイスに合わせて変更する。その後、Log管理カーネルモジュール207は、最大容量の外部デバイスに対して、容量を変更したログ情報を出力する。
【0025】
これにより、メモリ上に保存していたログ情報を外部デバイスに書き出す際に、その時点で利用可能な外部デバイスを走査してログ情報の出力先を切り替えることができる。その結果、画像形成装置100が省エネルギー状態への遷移中および画像形成装置100の電源をOFFする直前等であっても、画像形成装置100の障害解析に必要なログ情報を保存することができる。また、画像形成装置100が省エネルギー状態へ遷移中および画像形成装置100の電源をOFFする直前のログ情報も必要に応じて取得可能となる。
【0026】
また、OS201内部のカーネルのログ情報も、Log管理カーネルモジュール207を経由させて、外部デバイスに出力する必要があるか否かを判断する。また、画像形成装置100が省エネルギー状態への遷移時や画像形成装置100の電源のOFFへの移行中のカーネルのログ情報についても、Log管理カーネルモジュール207において、外部デバイスに出力する必要があるか否かを判断する。そして、Log管理カーネルモジュール207は、外部デバイスに出力する必要があると判断したログ情報を、外部デバイスに対して直接出力する。
【0027】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるログ情報の記録処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図4~6は、本実施の形態にかかる画像形成装置におけるログ情報の記録処理の一例を説明するための図である。次に、
図3~6を用いて、が省エネルギー状態に移行する場合または画像形成装置100の電源をOFFする処理中に外部デバイスの電源を順番に落としていく際のログ情報の記録処理の流れの一例について説明する。
【0028】
OS201のカーネルの起動時に、OS201が有するデバイスドライバ(例えば、HDDドライバ208、SDカードドライバ209、NVRAMドライバ210、RTCドライバ211)は、Log管理カーネルモジュール207へ、ログ情報の保存処理を行うインタフェースを呼び出す(ステップS300)。その際、各デバイスドライバは、Log管理カーネルモジュール207に対して、外部デバイスの容量(情報量)、当該外部デバイスにアクセスするための直接出力関数等の外部デバイス情報を通知する。
【0029】
Log管理カーネルモジュール207は、各デバイスドライバから通知される外部デバイス情報に基づいて、外部デバイスの容量および直接出力関数を含むLog保存処理用リストである外部デバイスリスト(
図4参照)を作成する(ステップS301)。また、は、OS201のカーネルの起動処理後、各ユーザプロセスの実行を開始する(ステップS302)。
【0030】
Log管理モジュール206の状態監視部206aは、定期的に、画像形成装置100等の機器の動作状況(例えば、画像形成装置100の構成を示す機器構成情報、画像形成装置100の動作履歴)を取得する(ステップS303)。次いで、状態監視部206aは、動作状況(例えば、機器構成情報、動作履歴)、およびモジュール対応表(
図5参照)に基づいて、障害およびそれに準ずるエラーが発生している機能が利用するソフトウェア(例えば、コピーアプリ、プリントアプリ)および外部デバイス(例えば、HDD、SDカード)を特定する。
【0031】
具体的には、状態監視部206aは、各ソフトウェアおよび外部デバイス(より具体的には、外部デバイスのデバイスドライバ)から、エラー識別情報(SC通知)を取得する。画像形成装置100には、予め、エラー識別情報毎に、エラーの発生頻度、およびエラーの原因となる構成モジュール(例えば、ソフトウェアの名称であるソフト名、デバイスドライバの名称であるデバイスドライバ名、ソフトウェア内の処理を特定する情報)を紐付けたモジュール対応表(テーブルデータ。
図5参照。)が予め記憶されている。状態監視部206aは、モジュール対応表を参照して、エラーの原因となったソフトウェアを特定する。状態監視部206aは、エラー識別情報毎、またはエラーの原因となったソフトウェア毎に、エラーの発生頻度を含むモジュール対応表(
図5参照)を作成する。
【0032】
図3に戻り、状態監視部206aは、特定したソフトウェアおよび外部デバイス等の動作情報をLog保存部206bに通知する。Log保存部206bは、定期的に、状態監視部206aから通知される動作情報をLog管理カーネルモジュール207に通知する(ステップS304)。Log管理カーネルモジュール207は、Log保存部206bから動作情報を取得する(ステップS305)。
【0033】
その後、ユーザ操作によって、画像形成装置100の電源制御処理が開始されると、各デバイスドライバは、電源制御処理によって外部デバイスへの給電を停止する際に、外部デバイスリスト(
図4参照)から、自身の外部デバイス情報を削除する。ここで、電源制御処理は、画像形成装置100の電源状態を遷移させる処理である。本実施の形態では、電源制御処理は、画像形成装置100を省エネルギー状態へ移行する処理、および画像形成装置100の電源をOFFする処理を含む。
【0034】
具体的には、各デバイスドライバは、当該デバイスドライバの停止処理(すなわち、電源制御処理)を行う場合に、Log管理カーネルモジュール207へ停止処理を実行することを通知する。Log管理カーネルモジュール207は、停止処理を実行することが通知されたデバイスドライバに対応する外部デバイス情報を外部デバイスリスト(
図4参照)から削除して、当該外部デバイスリストを更新する。
【0035】
図3に戻り、Log管理カーネルモジュール207は、電源制御処理の実行中、カーネルを含むソフトウェアおよび外部デバイスのログ情報の出力処理に際して、画像形成装置100の電源状態が遷移中か否かを判定する。また、Log管理カーネルモジュール207は、Log保存部206bから通知されるソフトウェアおよびデバイスに基づいて、外部デバイスにログ情報を出力するか否かを判定する(ステップS306)。さらに、Log管理カーネルモジュール207は、動作異常(エラー)が頻発している機能および当該機能が使用しているデバイスドライバのログ情報の出力か否かを判定する(ステップS306)。そして、Log管理カーネルモジュール207は、外部デバイスに出力するログ情報が、動作異常が頻発している機能が使用しているデバイスドライバのログ情報の出力である場合、当該ログ情報を出力する。
【0036】
すなわち、Log管理カーネルモジュール207は、画像形成装置100の電源制御処理中に異常が発生する兆候がある場合に、ログ情報を外部デバイスに出力する。これにより、画像形成装置100が省エネルギー状態へ遷移中および画像形成装置100の電源をOFFする処理中にログ情報を出力することができるので、外部デバイスに対するログ情報の保存によるオーバヘッドが大きくなることを防止できる。
【0037】
例えば、Log管理カーネルモジュール207は、画像形成装置100の稼働中に外部デバイスへのアクセスの異常が発生しているか否かを判定する。本実施の形態では、Log管理カーネルモジュール207は、画像形成装置100の稼働中に作成したモジュール対応表(
図5参照)において、エラーの発生頻度が「高」になっている構成モジュールに、各デバイスドライバが含まれているか否かを判定する。そして、Log管理カーネルモジュール207は、外部デバイスへのアクセスの異常が発生している場合に、ログ情報を外部デバイスに出力する。これにより、外部デバイスへのアクセスの異常による電源制御処理の異常が発生する可能性が高い場合にのみ、ログ情報を残すことができる。
【0038】
また、例えば、Log管理カーネルモジュール207は、ソフトウェアのエラーが高頻度に発生しているか否かを判定する。本実施の形態では、Log管理カーネルモジュール207は、画像形成装置100の稼働中に作成したモジュール対応表(
図5参照)において、エラーの発生頻度が「高」になっている構成モジュールに、各ソフトウェアが含まれているか否かを判定する。すなわち、Log管理カーネルモジュール207は、画像形成装置100におけるソフトウェアのエラーの発生回数が閾値以上となった場合に、ログ情報を外部デバイスに出力する。これにより、画像形成装置100の電源制御処理中に異常が発生する可能性が高い場合にのみログ情報を残すことができる。
【0039】
さらに、例えば、Log管理カーネルモジュール207は、高頻度でエラーが発生している機能が使用するデバイスドライバのログ情報の出力か否かを判定する。本実施の形態では、Log管理カーネルモジュール207は、エラーの発生頻度が「高」となっている構成モジュールであるデバイスドライバである「xxxドライバ」のみを出力対象として、「xxxドライバ」のログ情報の出力であるか否かを判定する。すなわち、Log管理カーネルモジュール207は、画像形成装置100の機能のうちエラーの発生回数が閾値以上となった機能を使用するデバイスドライバのログ情報のみを外部デバイスに出力する。これにより、外部デバイスの容量によって全てのログ情報を保存することができない場合に、必要なログ情報のみを重点的に残すことができる。
【0040】
図3に戻り、外部デバイスにログ情報を出力する場合、Log管理カーネルモジュール207は、外部デバイスリスト(
図4参照)に基づいて、ログ情報の出力先の外部デバイスを決定し、当該決定した外部デバイスに対してログ情報を直接出力する(ステップS307)。
図4に示す外部デバイスリストからは、電源制御処理の進行によって、外部デバイス情報が削除される。そのため、Log管理カーネルモジュール207は、更新後の外部デバイスリスト(
図4参照)において、稼働中のデバイスドライバの中から、ログ情報の出力先の外部デバイスを決定する。本実施の形態では、Log管理カーネルモジュール207は、
図4に示す外部デバイスリストを参照して、稼働中の外部デバイスのうち、最も容量の大きい外部デバイスをログ情報の出力先の外部デバイスに決定する。これにより、外部デバイスの電源状態が遷移中であっても、異常が頻発している機能のログ情報を外部デバイスに出力することができるので、当該機能の不具合の解消までの時間を短縮することができる。
【0041】
本実施の形態では、エラーの発生頻度を3段階に分けているが、エラーの発生頻度が高いからと言って、全てのログ情報を出力対象とすると、画像形成装置100が正常に動作しなくなってしまう可能性がある。そのため、Log管理カーネルモジュール207は、
図6に示すように、カーネル内の直接出力関数にログレベルを設定しておき、ログ情報の出力先(書き出し先)の外部デバイスによって、どのレベルまでのログ情報を出力するかを変更しても良い。すなわち、Log管理カーネルモジュールは、画像形成装置100のOS201のカーネル内のログ情報にログレベル(出力レベル)が設定されている場合、ログ情報の出力先の外部デバイスに応じて、出力するログ情報を切り替える。これにより、必要最低限のログ情報を出力することが可能となる。ここで、ログレベルは、ログ情報の重要度である。
【0042】
具体的には、
図4に示す外部デバイスリストに対して、ログレベルの列を追加し、予め、カーネル内部のログ情報の出力をDBG_PRINTFのマクロに統一しておく。第1引数は、現在出力先のデバイスのIDを示している。これは、電源がOFFになった外部デバイスが削除される際に更新され、最大の容量を持つ外部デバイスのIDを大域変数とする。第2引数がログレベルを示しており、値が小さいほど重量度が高いログ情報であることを示す。Log管理カーネルモジュール207は、ステップS307においてログ情報を出力する際に、DRPRINTFの第2引数に設定されているログレベルと、第1引数のIDが示す行のログレベルとを比較する。そして、Log管理カーネルモジュール207は、「DRPRINTFの第1引数のIDが示す行のログレベル≧DPRINTFの第2引数に設定されているログレベル」であれば出力対象として、直接出力関数を用いて外部デバイスへログ情報を出力する。
【0043】
例えば、Log管理カーネルモジュール207は、
図6に示す外部デバイスリストにおいて、ログ情報の出力を行う時点で、HDDが利用可能な状態であればHDDを出力対象とし、HDDの電源がOFFされている場合にはHDDを出力対象としない。すなわち、容量に余裕がある場合のみ出力されるログレベルは高くないログレベルを示している。これにより、外部デバイスの容量に応じて必要なログ情報のみを残すことが可能となる。
【0044】
このように、本実施の形態にかかる画像形成装置100によれば、メモリ上に保存していたログ情報を外部デバイスに書き出す際に、その時点で利用可能な外部デバイスを走査してログ情報の出力先を切り替えることができる。その結果、画像形成装置100が省エネルギー状態への遷移中および画像形成装置100の電源をOFFする直前等であっても、画像形成装置100の障害解析に必要なログ情報を保存することができる。
【0045】
上記で説明した実施の形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本実施の形態における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0046】
なお、情報処理装置は、通信機能を備えた装置であれば、画像形成装置100に限られない。情報処理装置は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0047】
なお、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、ROM103等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0048】
さらに、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0049】
本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、上述した各部(Log管理モジュール206、状態監視部206a、Log管理カーネルモジュール207)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU102等のプロセッサが上記ROM103からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、Log管理モジュール206、状態監視部206a、Log管理カーネルモジュール207が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0050】
100 画像形成装置
102 CPU
103 ROM
104 RAM
200 BIOSまたはモニタプログラム
201 OS
206 Log管理モジュール
206a 状態監視部
206b Log保存部
207 Log管理カーネルモジュール
208 HDDドライバ
209 SDカードドライバ
210 NVRAMドライバ
211 RTCドライバ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】