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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046415
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20230329BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20230329BHJP
   G09B 19/02 20060101ALI20230329BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20230329BHJP
   A61B 5/11 20060101ALN20230329BHJP
【FI】
G09B19/00 G
A63B71/06 E
G09B19/02 F
G16H10/00
A61B5/11 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020028228
(22)【出願日】2020-02-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、国立研究開発法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 センター・オブ・イノベーションプログラム『自分で守る健康社会拠点』委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】512286484
【氏名又は名称】PST株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】大宮 康宏
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 雄一
(72)【発明者】
【氏名】徳野 慎一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 政和
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB31
4C038VB35
5L099AA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単に認知機能を測定可能な情報処理装置を提供することである。
【解決手段】本発明は、情報処理装置10であって、被験者が第1の行動を実行したときの、該第1の行動の成績である第1の成績を測定する第1の測定手段と、前記被験者が前記第1の行動と異なる第2の行動を実行したときの、該第2の行動の成績である第2の成績を測定する第2の測定手段と、前記被験者が前記第1の行動と前記第2の行動とを並列に実行したときの、該第1の行動の成績である第3の成績及び該第2の行動の成績である第4の成績を測定する第3の測定手段と、前記第1の成績、前記第2の成績、前記第3の成績及び前記第4の成績を被験者に提供する提供手段と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者が第1の行動を実行したときの、該第1の行動の成績である第1の成績を測定する第1の測定手段と、
前記被験者が前記第1の行動と異なる第2の行動を実行したときの、該第2の行動の成績である第2の成績を測定する第2の測定手段と、
前記被験者が前記第1の行動と前記第2の行動とを並列に実行したときの、該第1の行動の成績である第3の成績及び該第2の行動の成績である第4の成績を測定する第3の測定手段と、
前記第1の成績、前記第2の成績、前記第3の成績及び前記第4の成績を被験者に提供する提供手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の行動は歩行であり、
前記第2の行動は計算である、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の成績及び前記第3の成績は、所定歩数の歩行を行うのに要した時間であり、
前記第2の成績及び前記第4の成績は、所定数の計算の実行に要した時間である、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2の測定手段、及び前記第3の測定手段は、前記計算を音声で出題し、該計算の解答を音声で受け付ける、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の測定手段、前記第2の測定手段、及び前記第3の測定手段は、前記第1の行動及び前記第2の行動の案内を音声で行う、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の成績、前記第2の成績、前記第3の成績及び前記第4の成績の履歴を記憶する記憶手段を更に備え、
前記提供手段は、前記記憶手段に記憶された前記履歴を被験者に提供する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置で実行される方法であって、
被験者が第1の行動を実行したときの、該第1の行動の成績である第1の成績を測定する第1の測定工程と、
前記被験者が前記第1の行動と異なる第2の行動を実行したときの、該第2の行動の成績である第2の成績を測定する第2の測定工程と、
前記被験者が前記第1の行動と前記第2の行動とを並列に実行したときの、該第1の行動の成績である第3の成績及び該第2の行動の成績である第4の成績を測定する第3の測定工程と、
前記第1の成績、前記第2の成績、前記第3の成績及び前記第3の成績を被験者に提供する提供工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、方法、及びプログラムに関し、詳しくは、対象者の認知機能の低下等の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、体力の衰えの確認などのために、対象者の各種能力を測定する要望が高まっている。例えば特許文献1には、対象者の体力を測定する体力測定方法が開示されている。この特許文献1に記載の体力測定方法では、対象者の生活空間における動作に関する生活データに基づき、対象者の体力を推定するようにしている。ここで、対象者の生活空間における動作に関する生活データとは、例えばドアノブを握る力のデータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-204451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、対象者の能力のうちの体力を推定することが出来るが、他の能力の測定は出来ない。最近では、認知機能について注目され、その測定が必要になってきた。しかしながら、認知機能の測定のためには複雑なテストを受ける必要があり、被験者の負担が大きいという問題があった。このため、簡単な方法で認知機能を測定可能な技術の提供が望まれていた。
【0005】
本発明は、簡単に認知機能を測定可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、情報処理装置であって、被験者が第1の行動を実行したときの、該第1の行動の成績である第1の成績を測定する第1の測定手段と、前記被験者が前記第1の行動と異なる第2の行動を実行したときの、該第2の行動の成績である第2の成績を測定する第2の測定手段と、前記被験者が前記第1の行動と前記第2の行動とを並列に実行したときの、該第1の行動の成績である第3の成績及び該第2の行動の成績である第4の成績を測定する第3の測定手段と、前記第1の成績、前記第2の成績、前記第3の成績及び前記第4の成績を被験者に提供する提供手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単に認知機能を測定可能な情報処理装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】情報処理装置10の表示画面の一例を示す図である。
図3】(A)は、図2の表示画面において選択ボタン125がタッチされた場合に表示する画面の一例を示す図である。(B)は、第1の行動の成績である第1の成績を表示する画面の一例を示す図である。
図4】第1の行動の測定処理を示すフローチャートである。
図5】(A)は、図2の表示画面において選択ボタン126がタッチされた場合に表示する画面の一例を示す図である。(B)は、第2の行動の成績である第2の成績を表示する画面の一例を示す図である。
図6】第2の行動の測定処理を示すフローチャートである。
図7】(A)は、図2の表示画面において選択ボタン128がタッチされた場合に表示する画面の一例を示す図である。(B)は、シングルタスクにおける第1の行動の成績である第1の成績、シングルタスクにおける第2の行動の成績である第2の成績、デュアルタスクにおける第1の行動の成績である第3の成績、及びデュアルタスクにおける第2の行動の成績である第4の成績を表示する画面の一例を示す図である。
図8】第1の行動及び第2の行動を並列して行う場合の測定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例0010】
図1は、本発明の実施例1に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、全体の動作を制御する制御部11と、各種の入出力を行う入出力部12と、各種データやプログラム等を記憶する記憶部13と、各種状態を検出するセンサ部14と、例えば偏心モータを駆動することで情報処理装置10を振動させる駆動部15と、外部との通信を行う通信部16とを有し、各構成同士が信号を送受信可能なように電気的に接続されて構成されている。
【0011】
情報処理装置10は、例えばコンピュータであり、スマートフォン、PDA、タブレット、又はノートパソコンなどの、被験者が携帯可能な装置であることが望ましい。ただし、情報処理装置10は、被験者が携帯せずに設置位置に固定されたコンピュータでもよい。この場合、被験者は、コンピュータの操作、コンピュータへの情報の入力、コンピュータからの情報の受け取りを音声で行うようにすればよい。またこの場合、後述する被験者が歩行した歩数の検出は、コンピュータに設けたカメラで被験者を撮影し、画像解析で歩数を求めるようにしてもよい。PDAは、Personal Digital Assistantの略称である。本実施例では、情報処理装置10はスマートフォンである。
【0012】
制御部11は、例えばCPU、MCU又はMPUと呼ばれる装置であり、例えば記憶部13に記憶されたプログラムが実行される。CPUはCentral Processing Unitの略称である。MCUはMicro Controller Unitの略称である。MPUはMicro Processor Unitの略称である。
【0013】
入出力部12は、情報処理装置10を操作する被験者に対する入出力を行う装置である。入出力部12は、ディスプレイ、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、マイク、及びスピーカなどによる、情報や信号の入出力を行う。
【0014】
記憶部13は、例えば、ROM、RAM、HDD、又はフラッシュメモリといった装置であり、制御部11で実行するプログラムや各種データを記憶する。ROMは、Read Only Memoryの略称である。RAMは、Random Access Memoryの略称である。HDDは、Hard Disk Driveの略称である。
【0015】
センサ部14は、例えば、距離センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、方位計、及びGPS受信機を含む。制御部11は、例えば、センサ部14の距離センサによって、情報処理装置10に操作者が近接していることを検出する。制御部11は、例えば、センサ部14の加速度センサによって所定の加速度を検出したことにより、情報処理装置10を携帯する被験者が歩行して1歩進んだことを検出する。制御部11は、GPS受信機によって情報処理装置10を携帯する被験者の移動距離を検出するようにしてもよい。なお、センサ部14は、歩速センサを含む。歩速センサは、センサ部14が有する各センサやタイマーを用いて、情報処理装置10を携帯する被験者が歩行する速度を測定する。
【0016】
駆動部15は、例えば偏心モータを含む。制御部11は、例えば、駆動部15の偏心モータを駆動することで、情報処理装置10を振動させ、情報処理装置10の携帯者に対する報知を行うことが出来る。通信部16は、外部との通信を行う。通信部16による通信は、有線通信でもよいし、無線通信でもよい。通信部16による通信は、如何なる通信方式でもよい。制御部11は、通信部16によって、音声やデータの送受信を行うことが出来る。制御部11は、後述する測定結果を、通信部16によって外部機器に送信するようにしてもよい。
【0017】
図2は、情報処理装置10の表示画面の一例を示す図である。本実施例では、情報処理装置10の入出力部12は、タッチパネル121を有する。制御部11は、操作者によるタッチパネル121の操作に応じて、認知機能測定に係る処理を実行するプログラムを記憶部13から読み出して実行する。制御部11は、認知機能測定に係る処理の実行により、図2に示す画面をタッチパネル121に表示する。
【0018】
制御部11は、タッチパネル121の表示エリア122に、現在実行中のプログラムに関連する内容を表示する。図2の例では、制御部11は、表示エリア122に、「軽度認知症チェック!」という文字を表示している。被験者が認知機能の測定に拒否反応を示す場合には、情報処理装置10の操作者の操作に応じて、制御部11は、タッチパネル121に「軽度認知症チェック!」という文字を表示しない設定を行うようにしてもよい。
【0019】
制御部11は、タッチパネル121の表示エリア123に、現在の表示画面の種類に関連する内容を表示する。図2の例では、制御部11は、表示エリア123に、「ホーム」という文字を表示している。図2の例では、制御部11が表示エリア123に「ホーム」と表示することで、図2の画面がホーム画面すなわち、プログラムを実行したときに中心となる画面(例えば最初に表示する画面)であることを示している。
【0020】
制御部11は、タッチパネル121の表示エリア124に、認知機能の測定に係る測定メニューを表示する。制御部11は、表示エリア124に、シングルタスクすなわち被験者が一つの行動を行う際の測定に関するメニューを表示する。図2の例では、制御部11は、表示エリア124に、第1の行動としての歩行を被験者が行う場合の選択ボタン125を表示している。また、図2の例では、制御部11は、表示エリア124に、第2の行動としての計算を被験者が行う場合の選択ボタン126を表示している。
【0021】
制御部11は、タッチパネル121の表示エリア127に、認知機能の測定に係る測定メニューを表示する。制御部11は、表示エリア127に、デュアルタスクすなわち被験者が並列に二つの行動を行う際の測定に関するメニューを表示する。図2の例では、制御部11は、表示エリア127に、第1の行動としての歩行及び第2の行動としての計算を被験者が行う場合の選択ボタン128を表示している。
【0022】
制御部11は、タッチパネル121の表示エリア129に、認知機能の測定履歴に関する選択ボタン129を表示する。制御部11は、選択ボタン129がタッチされたことを検知すると、記憶部13に記憶されている測定履歴をタッチパネル121に表示する。測定履歴の記憶部13への記憶については、後述する。
【0023】
(第1の測定手段)
図3(A)は、図2の表示画面において選択ボタン125がタッチされた場合に表示する画面の一例を示す図である。図4は、第1の行動の測定処理を示すフローチャートである。ステップS401において、制御部11は、被験者によりタッチパネル121の選択ボタン125がタッチされたことを検知する。ステップS402において、制御部11は、タッチパネル121に図3(A)の表示画面を表示する。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア130に、現在実行中の測定に関連する内容を表示する。図3(A)の例では、制御部11は、表示エリア130に、「シングルタスク-歩行」という文字を表示している。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア131に、第1の行動の説明を表示する。図3(A)の例では、制御部11は、表示エリア131に、「歩行速度について測定します」という文字を表示している。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア132に、被験者が第1の行動を進める上での案内を表示する。図3(A)の例では、制御部11は、表示エリア132に、「通話時のように耳にスマートフォンを当てると指示音声が流れます」という文字を表示している。
【0024】
続いて、ステップS403において、制御部11は、センサ部14の距離センサによって、被験者の耳がスマートフォンである情報処理装置10に近接しているかを判断する。被験者の耳がスマートフォンである情報処理装置10に近接していない場合(ステップS403:No)は、ステップS403で待つ。被験者の耳がスマートフォンである情報処理装置10に近接している場合(ステップS403:Yes)は、ステップS404に進む。ステップS404において、制御部11は、入出力部12のスピーカによって、被験者が第1の行動を進める上での案内のうち開始案内を音声で出力する。本実施例では、制御部11は、スピーカによって「これから歩行速度の測定を始めます 3、2、1、スタート いつものように歩いてください」と音声出力する。音声データは、記憶部13に予め記憶されており、制御部11は、記憶部13から音声データを読み出して、スピーカによって音声出力する。
【0025】
続いて、ステップS405において、制御部11は、センサ部14の歩速センサによって、情報処理装置10を携帯する被験者の歩行速度の測定を開始する。その後。ステップS406において、制御部11は、所定時間(本実施例では20秒)の経過を待つ(ステップS403:No)。ステップS406において、制御部11は、所定時間(本実施例では20秒)を経過したならば(ステップS403:Yes)。ステップS407に進む。ステップS407において、制御部11は、センサ部14の歩速センサによって、情報処理装置10を携帯する被験者の歩行速度の測定を停止する。
【0026】
続いて、ステップS408において、制御部11は、入出力部12のスピーカによって、被験者が第1の行動を進める上での案内のうち終了案内を音声で出力する。本実施例では、制御部11は、スピーカによって「歩くのをやめて 耳からスマートフォンを離してください」と音声出力する。その後、ステップS409において、制御部11は、タッチパネル121に図3(B)の表示画面を表示する。図3(B)は、第1の行動の成績である第1の成績を表示する画面の一例を示す図である。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア130に、現在実行中の測定に関連する内容を表示する。図3(B)の例では、制御部11は、表示エリア130に、「シングルタスク-歩行」という文字を表示している。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア133に、第1の成績を表示する。図3(B)の例では、制御部11は、表示エリア133に、「測定結果 11.0秒 10歩ほど歩いた時間を計測」という文字を表示している。その後、制御部11は、所定の操作(例えばタッチパネル121の不図示のボタンのタッチ)を検出することにより、図2のホーム画面を表示する。
【0027】
(第2の測定手段)
図5(A)は、図2の表示画面において選択ボタン126がタッチされた場合に表示する画面の一例を示す図である。図6は、第2の行動の測定処理を示すフローチャートである。ステップS601において、制御部11は、被験者によりタッチパネル121の選択ボタン126がタッチされたことを検知する。ステップS602において、制御部11は、タッチパネル121に図5(A)の表示画面を表示する。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア130に、現在実行中の測定に関連する内容を表示する。図5(A)の例では、制御部11は、表示エリア130に、「シングルタスク-計算」という文字を表示している。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア131に、第2の行動の説明を表示する。図5(A)の例では、制御部11は、表示エリア131に、「計算速度について測定します」という文字を表示している。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア132に、被験者が第2の行動を進める上での案内を表示する。図5(A)の例では、制御部11は、表示エリア132に、「通話時のように耳にスマートフォンを当てると指示音声が流れます」という文字を表示している。
【0028】
続いて、ステップS603において、制御部11は、センサ部14の距離センサによって、被験者の耳がスマートフォンである情報処理装置10に近接しているかを判断する。被験者の耳がスマートフォンである情報処理装置10に近接していない場合(ステップS603:No)は、ステップS603で待つ。被験者の耳がスマートフォンである情報処理装置10に近接している場合(ステップS603:Yes)は、ステップS604に進む。ステップS604において、制御部11は、入出力部12のスピーカによって、被験者が第2の行動を進める上での案内のうち開始案内を音声で出力する。本実施例では、制御部11は、スピーカによって「これから計算速度の測定を始めます 3、2、1、スタート 100-7は?」と音声出力する。ここでは、制御部11は、計算問題の第1問としてスピーカによって「100-7」を音声出力している。制御部11は、入出力部12のマイクによって、被験者による計算問題の解答としての音声入力を受け付けた場合は、次の問題をスピーカによる音声出力で出題する。計算問題の音声データは、記憶部13に予め複数記憶されており、制御部11は、その中からランダムに問題を抽出して出題する。なお、計算問題の出題は、引き算の問題のみを出題するものとする。なお、計算問題は、第1の所定数(例えば100)から第2の所定数(例えば7)を引き続ける問題としてもよい。この場合、出題の音声出力は最初の「100-7」だけ行い、これに対して、被験者は、100から7を順に引いた数である、93、86、79、72、65を順に音声で解答する。
【0029】
続いて、ステップS605において、制御部11は、所定時間(ここでは20秒)を経過したか、又はすべての計算問題(ここでは5問)を解答したかを判断する。ステップS605においてNoの場合、制御部11は、スピーカによって出題を続ける。ステップS605においてYesの場合、制御部11は、ステップS606に進む。計算問題が最初の「100-7」だけを音声出力して以降は順に7を引くような問題の場合には、ステップS605においてNoの場合、制御部11は、音声出力せずにステップS605で待つようにしてもよい。
【0030】
ステップS606において、制御部11は、入出力部12のスピーカによって、被験者が第2の行動を進める上での案内のうち終了案内を音声で出力する。本実施例では、制御部11は、スピーカによって「耳からスマートフォンを離してください」と音声出力する。その後、ステップS607において、制御部11は、タッチパネル121に図5(B)の表示画面を表示する。図5(B)は、第2の行動の成績である第2の成績を表示する画面の一例を示す図である。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア130に、現在実行中の測定に関連する内容を表示する。図5(B)の例では、制御部11は、表示エリア130に、「シングルタスク-計算」という文字を表示している。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア133に、第2の成績を表示する。図5(B)の例では、制御部11は、表示エリア133に、「測定結果 11.0秒 引き算した時間を計測」という文字を表示している。その後、制御部11は、所定の操作(例えばタッチパネル121の不図示のボタンのタッチ)を検出することにより、図2のホーム画面を表示する。
【0031】
(第3の測定手段)
図7(A)は、図2の表示画面において選択ボタン128がタッチされた場合に表示する画面の一例を示す図である。図8は、第1の行動及び第2の行動を並列して行う場合の測定処理を示すフローチャートである。ステップS801において、制御部11は、被験者によりタッチパネル121の選択ボタン128がタッチされたことを検知する。ステップS802において、制御部11は、タッチパネル121に図7(A)の表示画面を表示する。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア130に、現在実行中の測定に関連する内容を表示する。図7(A)の例では、制御部11は、表示エリア130に、「デュアルタスク」という文字を表示している。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア131に、第1の行動及び第2の行動を並列して行う行動(以下「デュアルタスク」という)の説明を表示する。図7(A)の例では、制御部11は、表示エリア131に、「軽度認知症について測定します」という文字を表示している。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア132に、被験者がデュアルタスクを進める上での案内を表示する。図7(A)の例では、制御部11は、表示エリア132に、「通話時のように耳にスマートフォンを当てると指示音声が流れます」という文字を表示している。
【0032】
続いて、ステップS803において、制御部11は、センサ部14の距離センサによって、被験者の耳がスマートフォンである情報処理装置10に近接しているかを判断する。被験者の耳がスマートフォンである情報処理装置10に近接していない場合(ステップS803:No)は、ステップS803で待つ。被験者の耳がスマートフォンである情報処理装置10に近接している場合(ステップS803:Yes)は、ステップS804に進む。ステップS804において、制御部11は、センサ部14の歩速センサによって、情報処理装置10を携帯する被験者の歩行速度の測定を開始する。続くステップS805において、制御部11は、入出力部12のスピーカによって、被験者がデュアルタスクを進める上での案内のうち開始案内を音声で出力する。本実施例では、制御部11は、スピーカによって「これから計算速度の測定を始めます 3、2、1、スタート 歩きながら100から7を引き続けてください」と音声出力する。これに対して、被験者は、100から7を順に引いた数である、93、86、79、72、65を順に音声で解答する。
【0033】
続いて、ステップS806において、制御部11は、所定時間(ここでは20秒)を経過したか、又は所定問題数(ここでは5問)の計算問題を解答したかを判断する。ステップS806においてNoの場合、制御部11は、ステップS806で待つ。ステップS806においてYesの場合、制御部11は、ステップS807に進む。
【0034】
ステップS807において、制御部11は、センサ部14の歩速センサによって、情報処理装置10を携帯する被験者の歩行速度の測定を停止する。続いて、ステップS808において、制御部11は、入出力部12のスピーカによって、被験者がデュアルタスクを進める上での案内のうち終了案内を音声で出力する。本実施例では、制御部11は、スピーカによって「歩くのをやめて 耳からスマートフォンを離してください」と音声出力する。その後、ステップS809において、制御部11は、タッチパネル121に図7(B)の表示画面を表示する。図7(B)は、シングルタスクにおける第1の行動の成績である第1の成績、シングルタスクにおける第2の行動の成績である第2の成績、デュアルタスクにおける第1の行動の成績である第3の成績、及びデュアルタスクにおける第2の行動の成績である第4の成績を表示する画面の一例を示す図である。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア130に、現在実行中の測定に関連する内容を表示する。図7(B)の例では、制御部11は、表示エリア130に、「デュアルタスク」という文字を表示している。制御部11は、タッチパネル121の表示エリア133に、第1の成績、第2の成績、第3の成績、及び第4の成績を表示する。図7(B)の例では、第1の成績は「歩行速度11.0秒」であり、第2の成績は「計算速度11.0秒」であり、第3の成績は「歩行速度20.0秒」であり、第4の成績は「計算速度20.0秒」である。また、図7(B)の例では、制御部11は、表示エリア133に、「歩行にかかる時間がデュアルタスク時では9.0秒増加しています」という文字を表示している。その後、制御部11は、所定の操作(例えばタッチパネル121の不図示のボタンのタッチ)を検出することにより、図2のホーム画面を表示する。
【0035】
本実施例の情報処理装置10によれば、歩行及び計算を単独で行った場合と、歩行と計算を同時に行った場合とで、要した時間を比較して表示し、この時間の比較に応じて認知機能の劣化を推定することが出来る。このことにより、本実施例の情報処理装置10は簡単に認知機能を測定することが出来る。
【0036】
なお、制御部11は、例えばステップS404、S405、S604、S804、S805の開始のタイミング、及びステップS407、S408、S608、S807、S808の終了のタイミングで、駆動部15により情報処理装置10を振動させ、状況を被験者に報知するようにしてもよい。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではない。本発明の目的は、上述の実施例の機能を実現するプログラムコード(コンピュータプログラム)を格納した記憶媒体をシステムあるいは装置に供給し、供給されたシステムあるいは装置のコンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、上述した実施形態では、コンピュータがプログラムを実行することにより、各処理部として機能するものとしたが、処理の一部または全部を専用の電子回路(ハードウェア)で構成するようにしても構わない。本発明は、説明された特定の実施例に限定されるものではなく、各実施例の各構成同士の置換を含み、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 情報処理装置
11 制御部
12 入出力部
13 記憶部
14 センサ部
15 駆動部
16 通信部

図1
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図8