(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046883
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230329BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230329BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230329BHJP
H01L 21/324 20060101ALI20230329BHJP
H01L 21/22 20060101ALI20230329BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/205
H01L21/302 101G
H01L21/324 R
H01L21/22 511S
C23C16/455
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155723
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】神田 達輝
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 優作
(72)【発明者】
【氏名】竹林 雄二
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA14
4K030AA16
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA40
4K030BA44
4K030CA04
4K030EA05
4K030EA06
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA06
4K030KA23
4K030KA41
4K030LA02
4K030LA15
5F004AA01
5F004BB19
5F004BB24
5F004BB28
5F004BB29
5F004BD04
5F004CA04
5F004CB12
5F045AA08
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5F045AB40
5F045AC03
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5F045EK06
5F045EK22
5F045EM10
5F045GB05
5F045GB15
(57)【要約】
【課題】基板に対する処理にあたり、当該基板の面内に均一にガスを供給することを可能にする。
【解決手段】基板を支持する基板支持具を収容する反応管と、反応管に収容された基板支持具に支持される基板に対して、反応管の側方から基板の面内方向に沿ってガスを供給するガス供給ノズルと、を備え、ガス供給ノズルは、前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記端縁近傍部における前記面内方向の直交方向の開口寸法が前記中央部における前記面内方向の直交方向の開口寸法よりも大きく形成されているガス噴出口を有する技術が提供される
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する基板支持具を収容する反応管と、
前記反応管に収容された前記基板支持具に支持される前記基板に対して、前記反応管の側方から前記基板の面内方向に沿ってガスを供給するガス供給ノズルと、を備え、
前記ガス供給ノズルは、前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記端縁近傍部における前記面内方向の直交方向の開口寸法が前記中央部における前記面内方向の直交方向の開口寸法よりも大きく形成されているガス噴出口を有する
基板処理装置。
【請求項2】
前記ガス噴出口は、前記基板の面内方向の開口寸法が前記基板の面内方向の直交方向の開口寸法の4倍以上10倍以下に形成されている
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ガス供給ノズルは、前記ガス噴出口に連通するガス経路に狭小部を有する
請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板を支持する基板支持具を反応管に収容する工程と、
前記反応管に収容された前記基板支持具に支持される前記基板に対して、前記反応管の側方から前記基板の面内方向に沿ってガスを供給するとともに、当該供給を前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記端縁近傍部における前記面内方向の直交方向の開口寸法が前記中央部における前記面内方向の直交方向の開口寸法よりも大きく形成されているガス噴出口を有するガス供給ノズルから行って、前記基板を処理する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項5】
基板を支持する基板支持具を反応管に収容する手順と、
前記反応管に収容された前記基板支持具に支持される前記基板に対して、前記反応管の側方から前記基板の面内方向に沿ってガスを供給するとともに、当該供給を前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記端縁近傍部における前記面内方向の直交方向の開口寸法が前記中央部における前記面内方向の直交方向の開口寸法よりも大きく形成されているガス噴出口を有するガス供給ノズルから行って、前記基板を処理する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程で用いられる基板処理装置として、バッチ式縦型処理装置がある。バッチ式縦型処理装置は、複数枚の基板(ウエハ)を基板支持具(ボート)に支持した状態で処理炉内に収容し、その処理炉内の基板に対して当該基板の面内方向に沿ってガスを供給しつつ、当該基板に対する処理(例えば、成膜処理や熱処理等)を行うように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板に対する処理にあたり、当該基板の面内に均一にガスを供給することを可能にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、
基板を支持する基板支持具を収容する反応管と、
前記反応管に収容された前記基板支持具に支持される前記基板に対して、前記反応管の側方から前記基板の面内方向に沿ってガスを供給するガス供給ノズルと、を備え、
前記ガス供給ノズルは、前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記端縁近傍部における前記面内方向の直交方向の開口寸法が前記中央部における前記面内方向の直交方向の開口寸法よりも大きく形成されているガス噴出口を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板に対する処理にあたり、当該基板の面内に均一にガスを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の主要部の構成を示す断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る基板処理装置のガス供給ノズルの一構成例を示す説明図であり、(a)は
図1におけるA-A断面を示す図、(b)は
図2(a)におけるB矢視の一例を示す図、(c)は
図2(a)におけるB矢視の他の例を示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る基板処理装置のガス供給ノズルの他の構成例を示す説明図であり、(a)は
図1におけるA-A断面を示す図、(b)は
図3(a)におけるC矢視の一例を示す図、(c)は
図3(a)におけるC矢視の他の例を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る基板処理工程の流れを示すフローチャートである。
【
図6】本開示の一実施形態に係る基板処理装置のガス供給ノズルからのガスの流れを示す説明図であり、(a)はガス供給ノズルの一構成例におけるガスの流れを示す図、(b)は比較例におけるガスの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0009】
以下の説明で例に挙げる基板処理装置は、半導体装置の製造工程で用いられるもので、処理対象となる基板に対して所定のプロセス処理を行うように構成されたものである。
処理対象となる基板は、例えば、半導体装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体基板としてのシリコンウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)である。なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
ウエハに対して行う所定のプロセス処理(以下、単に「処理」ということもある。)としては、例えば、成膜処理、アニール処理(改質処理)、酸化処理、拡散処理、エッチング処理、プリクリーニング処理、チャンバクリーニング処理等がある。本実施形態では、特に成膜処理を行う場合を例に挙げる。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
まず、本実施形態に係る基板処理装置の構成について、主に
図1~
図4を用いて説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面上の各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
(処理室)
図1に示すように、本実施形態に係る基板処理装置100は、反応管120を備えて構成されている。
【0012】
反応管120の外側には、加熱手段(加熱機構)としてのヒータ110が配設されている。ヒータ110は、反応管120の内部、特に後述するインナーチューブ130の内部を加熱するものである。ヒータ110は、上下方向に複数のブロックに分けたゾーンヒータ(
図1の例では、3つのゾーンヒータ111,112,113)に分割されていてもよい。その場合、各ゾーンヒータ111,112,113は、後述する温度センサ191,192,193のデータに基づいて、加熱状態を個別に制御することが可能となる。
【0013】
反応管120の内側には、インナーチューブ130が配設されている。インナーチューブ130は、例えば石英(SiO2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料で構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ130の筒内には、ウエハ101を処理するための処理室201が形成されることになる。
【0014】
インナーチューブ130は、筒内に基板支持具(ボート)140を収容可能に構成されている。基板支持具140は、複数枚(例えば、25~200枚)のウエハ101を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させた状態で、支持(保持)するように構成されている。つまり、基板支持具140は、複数枚のウエハ101を、それぞれの間隔を空けて多段に配列させた状態で、支持するものである。基板支持具140は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料によって形成される。このような基板支持具140において、複数枚のウエハ101は、仕切板支持部141により支持される複数の仕切板142によって、それぞれの間が仕切られるようになっている。仕切板142の一番上には、天板143がある。
【0015】
基板支持具140は、支柱144を介して、反応管120の外部に設けられたボートエレベータ160と接続している。ボートエレベータ160は、インナーチューブ130に対する基板支持具140の出し入れを行うものである。つまり、ボートエレベータ160は、基板支持具140をインナーチューブ130の内部から外部(インナーチューブ130の下部)へ取り出したり、またはその逆に基板支持具140をインナーチューブ130の外部(インナーチューブ130の下部)から内部へ挿入したりするようになっている。また、ボートエレベータ160は、インナーチューブ130の内部に挿入した基板支持具140を、必要に応じて回転させるようになっている。
【0016】
そのために、ボートエレベータ160は、支柱144を支持するテーブル164、テーブル164に搭載された上テーブル168、テーブル164に固定されて支柱144を回転駆動する回転駆動モータ161、テーブル164を上下方向に駆動する上下駆動モータ162、上下駆動モータ162と接続するボールねじ163、テーブル164に固定されてボールねじ163と螺合するボールナット165、テーブル164の上下方向の動きをガイドするガイド軸166、テーブル164に固定されてテーブル164のガイド軸166に沿った上下方向の動きを受けるボール軸受け167を備えている。そして、ボートエレベータ160は、上下駆動モータ162を駆動させて、上テーブル168が架台フレーム171の上面1711に当接するまで上昇させることにより、基板支持具140に支持されたウエハ101をインナーチューブ130の内部に配置させることができる。この状態で、上テーブル168が架台フレーム171の上面1711に当接して、これにより反応管120の内部の機密が保たれるようになるので、図示していない真空排気手段(真空ポンプ)により排気管121から真空排気すれば、反応管120の内部を真空状態に維持することができる。
【0017】
反応管120の側方には、インナーチューブ130の内部(すなわち、処理室となる部分)にガスを供給するためのガス供給部150が配設されている。ガス供給部150は、基板支持具140に支持されるウエハ101の上下方向のピッチ(間隔)に合わせてウエハ101ごとにガスを供給できるように、
図1に示した断面の同一面内に複数備えた構成となっている。そして、複数のガス供給部150は、いずれも、インナーチューブ130の内部で基板支持具140に支持されるウエハ101の表面に対して、そのウエハ101の面内方向に沿ってガスを供給すべく、略平行な方向に取り付けられている。なお、ガス供給部150の具体的な構成については、詳細を後述する。
【0018】
このようなガス供給部150に対応して、インナーチューブ130には、ガス供給部150の先端部分に対向する箇所に、ガス供給部150から供給されるガスをインナーチューブ130の内部に導入するように、複数のガス導入穴131が形成されている。
【0019】
一方、ガス導入穴131が形成された箇所に対向するインナーチューブ130の壁面には、スリット132が形成されている。そして、スリット132を通じて、複数のガス導入穴131から供給されたガスのうち、基板支持具140に支持されたウエハ101の表面を含むインナーチューブ130の内部での反応に寄与しなかったガスが、インナーチューブ130の内部から反応管120の側に排出されるようになっている。なお、スリット132を通ってインナーチューブ130の内部から反応管120の側に排出されたガスは、排気管121を通って、図示していない排気手段により反応管120の外部に排出される。
【0020】
反応管120の内側には、反応管120の内壁の側部の温度を測定する温度測定部190が配設されている。温度測定部190は、第1~第3のゾーンヒータ111,112,113の対応する位置に、それぞれ温度センサ191,192,193が設置されており、ヒータ110で加熱中の反応管120の内部の温度を計測するようになっている。
【0021】
(ガス供給部)
ガス供給部150は、インナーチューブ130の内部にガスを供給するものであるが、そのために本体部151の内部に導入管152を挿入した構成を有している。導入管152は、インナーチューブ130内の基板支持具140に支持されるウエハ101の表面に対して、そのウエハ101の面内方向に沿ってガスを供給するガス供給ノズルとして機能するもので、その内部にガスが流れるガス経路153が形成されている。
【0022】
導入管152におけるインナーチューブ130の側の端部は、ガス経路153を流れてきたガスが噴出されるガス噴出口を有しており、当該インナーチューブ130に形成されたガス導入穴131の直前に位置するように配置されている。ガス噴出口については、詳細を後述する。
一方、導入管152におけるガス噴出口とは反対の側には、ガス導入部154及びナット156が装着されている。ガス導入部154は、導入管152にガスを供給するために当該導入管152と連通するガス導入管155を備えている。
そして、導入管152が挿入された本体部151には、ガス導入部154の側に、金属製の突起部カバー157が取り付けられている。
【0023】
導入管152と連通するガス導入管155は、図示せぬガス供給源に接続されており、当該ガス供給源からのガスが供給されるようになっている。なお、ガス供給源からは、図示せぬガス種切換え手段により、種類の異なるガスが切り替えられて供給され得るものとする。種類の異なるガスとしては、例えば原料ガスと反応ガスと不活性ガスとがある。
【0024】
このような構成のガス供給部150は、ガス供給源でガス種を切り替えることにより、ガス導入管155及び導入管152を通じて、インナーチューブ130の内部に、原料ガス、反応ガスまたは不活性ガスを選択的に供給することができる。
【0025】
(ガス供給ノズル)
ここで、ガス供給部150において、ガス供給ノズルとして機能する導入管152と、その導入管152が有するガス噴出口158について、さらに詳しく説明する。
【0026】
図2(a)に示すように、導入管152におけるインナーチューブ130の側の端部には、ガス経路153と連通するガス噴出口158が設けられている。そして、ガス噴出口158からは、ガス経路153を流れてきたガスである原料ガス、反応ガスまたは不活性ガスが、インナーチューブ130内の基板支持具140に支持されるウエハ101に向けて噴出されるようになっている。
【0027】
ガス噴出口158は、例えば、
図2(b)に示すように、ガス噴出先(すなわちインナーチューブ130の側)からみた平面形状が、水平姿勢で支持されるウエハ101の面内方向(すなわち水平方向)に沿って延びる長辺を有する矩形状に形成されている。さらに具体的には、ガス噴出口158は、面内方向(水平方向)の開口寸法D1が当該面内方向の直交方向(垂直方向)の開口寸法D2の4倍以上10倍以下に形成された矩形状となっている。また、開口寸法D1は、ウエハ101の径より小さい寸法で形成されている。なお、ここでの開口寸法D1,D2は、それぞれ最大寸法であるものとする。
【0028】
ただし、ガス噴出口158は、矩形状に限定されるものではなく、例えば、
図2(c)に示すように、ウエハ101の面内方向(すなわち水平方向)の端縁近傍部158aと中央部158bとで、中央部158bが狭くなる平面形状に形成されたものであってもよい。つまり、ガス噴出口158は、端縁近傍部158aにおける面内方向の直交方向(垂直方向)の開口寸法D2が、中央部158bにおける面内方向の直交方向(垂直方向)の開口寸法D3よりも大きく形成されている平面形状のものであってもよい。その場合であっても、面内方向(水平方向)の開口寸法D1は、その直交方向(垂直方向)の開口寸法D2の4倍以上10倍以下に形成されているものとする。
【0029】
また、導入管152には、例えば、
図2(a)に示すように、ガス経路153の途中のガス噴出口158の近傍部分に、ガス経路153を絞って断面積を狭くする狭小部159が設けられていてもよい。ガス経路153に狭小部159を有する導入管152は、いわゆるラバールノズルを構成することになる。つまり、導入管152は、ガス経路153に狭小部159を有するラバールノズルであってもよい。
【0030】
以上に、導入管152及びガス噴出口158の具体例を説明したが、導入管152及びガス噴出口158は、かかる具体例に限定されず、例えば、以下に説明するような構成のものであってもよい。具体的には、例えば
図3(a)に示すように、ガス供給ノズルとしての導入管152は、ガス経路153として、原料ガス又は反応ガスといった処理ガスが流れるガス経路153aと、不活性ガスが流れるガス経路153bとを、それぞれ別々に有していてもよい。このうち、処理ガスが流れるガス経路153aは、狭小部159を有するラバールノズルであってもよい。
【0031】
ガス経路153a,153bを別々に有する場合、導入管152は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、ガス噴出口158として、処理ガスを噴出するガス噴出口158cと、不活性ガスを噴出するガス噴出口158dと、を有することになる。このうち、処理ガスを噴出するガス噴出口158cについては、面内方向(水平方向)の開口寸法D1は、その直交方向(垂直方向)の開口寸法D2の4倍以上10倍以下に形成されているものとする。
【0032】
また、処理ガスを噴出するガス噴出口158aは、例えば、
図3(c)に示すように、端縁近傍部158aと中央部158bとを有し、端縁近傍部158aにおける面内方向の直交方向(垂直方向)の開口寸法が、中央部158bにおける面内方向の直交方向(垂直方向)の開口寸法よりも大きく形成されている平面形状のものであってもよい。その場合の平面形状は、必ずしも直線状の構成片のみによって構成されたものである必要はなく、図例のように円弧状の辺部分を含む形状のものであってもよい。このことは、
図2に示した構成例の場合においても同様である。
【0033】
(コントローラ)
また、
図1に示すように、本実施形態に係る基板処理装置100は、当該基板処理装置100全体を制御する制御部(制御手段)としてのコントローラ180を備えて構成されている。
【0034】
コントローラ180は、
図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)180a、RAM(Random Access Memory)180b、記憶装置180c、入出力ポート(I/Oポート)180dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM180b、記憶装置180c、I/Oポート180dは、内部バス180eを介して、CPU180aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ180には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置181や、外部記憶装置182が接続することが可能なように構成されている。
【0035】
RAM180bは、CPU180aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0036】
記憶装置180cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体で構成されている。記憶装置180c内には、基板処理装置100の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ及びデータベース等が読み出し可能に格納されている。
なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ180に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。
以下、このプログラムレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プログラムレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0037】
I/Oポート180dは、ヒータ110や、ボートエレベータ160の上下駆動モータ162、回転駆動モータ161、図示していない基板搬入口、マスフローコントローラ、真空ポンプ等に接続されている。
【0038】
なお、本開示における「接続」とは、各部が物理的なケーブルで繋がっているという意味も含むが、各部の信号(電子データ)が直接または間接的に送信/受信可能になっているという意味も含む。例えば、各部の間に、信号を中継する機材や、信号を変換または演算する機材が設けられていても良い。
【0039】
CPU180aは、記憶装置180cからの制御プログラムを読み出して実行するとともに、コントローラ180からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置180cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU180aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ヒータ110への電力供給動作や、ボートエレベータ160の上下駆動モータ162、回転駆動モータ161の回転動作、図示していない基板搬入口の開閉動作などを制御することが可能なように構成されている。
【0040】
なお、コントローラ180は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)182を用意し、係る外部記憶装置182を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ180を構成することができる。
【0041】
コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置182を介して供給する場合に限らない。例えば、ネットワーク183(インターネットや専用回線)等の通信手段を用い、外部記憶装置182を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置180cや外部記憶装置182は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置180c単体のみを含む場合、外部記憶装置182単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合が有る。
【0042】
(2)基板処理工程
次に、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、上述した構成の基板処理装置100を用いて、ウエハ101に対する処理を行う基板処理工程について説明する。
【0043】
ここでは、基板処理工程として、ウエハ101上にシリコン含有膜としてのSiO2(酸化シリコン)層を形成する成膜工程を例に挙げる。かかる工程は、上述した基板処理装置100の反応管120の内部で実行される。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作は、コントローラ180の記憶装置180cに記憶されたプログラム実行によって制御される。
【0044】
図5は、本実施形態に係る基板処理工程の流れを示すフローチャートである。
【0045】
(プロセス条件設定:S1101)
図5に示すように、基板処理工程としての成膜工程に際して、まず、コントローラ180のCPU180aは、記憶装置180cに格納されているプロセスレシピ及び関連するデータベースを読み込んで、プロセス条件を設定する。プロセスレシピの主な項目としては、ガス流量、温度データ、処理サイクル数等がある。
【0046】
(基板搬入:S1102)
プロセス条件の設定後は、基板支持具140に新たなウエハ101を1枚ずつ搭載して支持した状態で、ボートエレベータ160の上下駆動モータ162を駆動して基板支持具140を上昇させ、基板支持具140を反応管120の内側に設置されたインナーチューブ130の内部に搬入する。
【0047】
(圧力調整:S1103)
基板支持具140の搬入後は、その基板支持具140がインナーチューブ130の内部に搬入された状態のまま、反応管120の内部を図示していない真空ポンプによって排気管121から真空排気する。そして、読み込んだプロセスレシピに基づいて、反応管120の内部が所望の圧力(真空度)となるように調整する。
【0048】
(温度調整:S1104)
さらに、反応管120の内部が真空排気された状態で、反応管120の内部をヒータ110によって加熱する。その際、反応管120の内部が所望の温度分布となるように、温度センサ191,192,193で計測した温度情報を用い、ヒータ110の各ゾーンヒータ111,112,113の通電量(印加電圧)がフィードバック制御される。この温度制御は、少なくともウエハ101に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0049】
また、このとき、ボートエレベータ160の回転駆動モータ161を作動して、基板支持具140を一定の速度で回転させる。その際、温度センサ191,192,193で計測した温度情報を用い、ウエハ101の表面近傍における複数個所の予測温度が予め設定した温度よりも高い場合には、回転駆動モータ161の作動を制御して基板支持具140の回転速度を予め設定した回転速度よりも上げ、予測温度が予め設定した温度よりも低い場合には、回転駆動モータ161の作動を制御して基板支持具140の回転速度を予め設定した回転速度よりも下げる、といったことを行うようにしてもよい。
【0050】
(所定層形成工程:S1105)
その後、第1の層を形成するために、以下のような詳細なステップを実行する。
【0051】
(原料ガス供給:S11051)
まず、インナーチューブ130の内部に収容されたウエハ101に対して、そのウエハ101を支持する基板支持具140の回転速度を予め設定した速度に維持した状態で、ガス供給部150の導入管152から第1ガスとしての原料ガスを流量調整された状態で供給する。このとき、原料ガスは、導入管152のガス噴出口158から噴出されて、ガス導入穴131を通ってインナーチューブ130の内部に到達する。
これにより、基板支持具140に支持されたウエハ101に対してSi2Cl6ガスが供給されることとなる。供給する第1ガスの流量は、一例として、0.002~1slm(Standard liter per minute)の範囲、より好ましくは、0.1~1slmの範囲に設定する。
このとき、第1ガスと一緒に、キャリアガスとしての不活性ガスを供給するようにしてもよい。キャリアガスの流量は、一例として、0.01~5slmの範囲、より好ましくは、0.5~5slmの範囲に設定する。
【0052】
インナーチューブ130の内部への第1ガスの供給により、ウエハ101(表面の下地膜)上には、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さの第1層が形成される。
【0053】
なお、導入管152から供給された原料ガスおよびキャリアガスのうち、ウエハ101の表面での反応に寄与しなかったガスは、インナーチューブ130に形成されたスリット132から反応管120の側に流出して排気管121から排気される。
【0054】
(原料ガス排気:S11052)
原料ガスとしての第1ガスの供給を所定の時間行って、ウエハ101の表面に第1層を形成した後は、第1ガスの供給を停止する。そして、図示していない真空ポンプにより反応管120の内部を真空排気し、インナーチューブ130を含む反応管120内に残留する未反応もしくは第1層形成に寄与した後の第1ガスを、インナーチューブ130及び反応管120の内部から排除する。
【0055】
このとき、導入管152からの不活性ガスの供給を維持する。不活性ガスはパージガスとして作用し、反応管120の内部に残留する未反応もしくは第1層形成に寄与した後の第1ガスをインナーチューブ130及び反応管120の内部から排除する効果を高めることができる。
【0056】
(反応ガス供給:S11053)
インナーチューブ130及び反応管120の内部の残留ガスを除去した後は、インナーチューブ130の内部に収容されたウエハ101に対して、ガス供給部150の導入管152から反応ガスである第2ガスを流量調整された状態で供給する。このとき、第2ガスは、導入管152のガス噴出口158から噴出されて、ガス導入穴131を通ってインナーチューブ130の内部に到達する。
これにより、基板支持具140に支持されたウエハ101に対してO2ガスが供給されることとなる。供給する第2ガスの流量は、一例として、0.2~10slmの範囲、より好ましくは、1~5slmの範囲に設定する。
【0057】
このとき、導入管152からのキャリアガスの供給を停止して、キャリアガスが第2ガスと一緒に反応管120の内部に供給されないようにする。すなわち、第2ガスは、キャリアガスで希釈されることなく、反応管120及びインナーチューブ130の内部に供給されるようにして、形成される層の成膜レートを向上させることが可能にする。このときのヒータ110の温度は、原料ガス供給ステップ(S11051)と同様の温度に設定する。
【0058】
これにより、反応管120及びインナーチューブ130の内部に流れているガスは、第2ガスのみとなる。第2ガスは、原料ガス供給ステップ(S11051)でウエハ101上に形成された第1層の少なくとも一部と置換反応する。置換反応の際には、第1層に含まれる例えばSiと第2ガスに含まれるOとが結合して、ウエハ101上にSiとOとを含む第2の層としてのSiO2層が形成される。
【0059】
(反応ガス排気:S11054)
反応ガスである第2ガスの供給を所定の時間行って、ウエハ101上に第2層を形成した後は、第2ガスの供給を停止する。そして、原料ガス排気(S11052)と同様の処理手順により、反応管120の内部及びインナーチューブ130の内部に残留する未反応もしくはSiO2層の形成に寄与した後のO2ガスや反応副生成物を、反応管120の内部及びインナーチューブ130の内部から排除する。
【0060】
(所定回数実施判断:S11055)
以上のような第2層形成工程(S1105)を構成する原料ガス供給(S11051)~反応ガス排気(S11054)の各ステップを順に行うサイクルを1回以上となる所定回数行うことにより、ウエハ101上に、所定の厚さ(例えば0.1~2nm)の第2層を形成する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましく、例えば10~80回ほど行うことが好ましく、より好ましくは10~15回ほど行うことにより、ウエハ101の表面には、均一な膜厚分布を有する薄膜を形成することができる。
【0061】
つまり、上述した一連の各ステップ(S11051~S11055)を所定の回数繰り返して実行することで、ウエハ101上に所定の厚さの第2層を形成して、第2層形成工程(S1105)を終了する。
【0062】
(パージ・大気圧復帰:S1106)
第2層形成工程(S1105)の終了後は、導入管152からキャリアガスとしての不活性ガスを反応管120の内部及びインナーチューブ130の内部へ供給しつつ、排気管121からガスの排気を行う。このとき、不活性ガスは、パージガスとして作用する。これにより、反応管120の内部及びインナーチューブ130の内部は、不活性ガスでパージされ、残留するガスや副生成物等が反応管120内から除去される。また、ヒータ110のブロック化された各ゾーンヒータ111,112,113への電力印加を停止することによりヒータ110による加熱を停止し、ボートエレベータ160の回転駆動モータ161の作動を停止して、基板支持具140の回転を停止する。
【0063】
(基板搬出:S1107)
その後は、ボートエレベータ160の上下駆動モータ162を作動させて、基板支持具140を反応管120のインナーチューブ130から下降させ、基板支持具140から表面に所定の厚さの薄膜が形成されたウエハ101を取り出す。
【0064】
(降温:S1108)
そして、ヒータ110の各ゾーンヒータ111,112,113への電力印加を停止した状態でヒータ110の温度を降下させて、ウエハ101に対する処理、すなわち上述した一連の基板処理工程を終了する。
【0065】
(3)ウエハに対するガスの流れ
次に、上述した基板処理工程における第2層形成工程(S1105)にて、ウエハ101に対してガス(特に、原料ガス又は反応ガスといった処理ガス)を供給する際のガスの流れについて説明する。
【0066】
図6は、本実施形態に係る基板処理装置のガス供給ノズルからのガスの流れを示す説明図である。
【0067】
ここで、本実施形態におけるガスの流れの説明に先立ち、一般的なノズル構成によるガスの流れについて簡単に説明する。
【0068】
一般的なノズル構成としては、例えば、
図6(b)に示すように、導入管252が有するガス噴出口258の平面形状が丸孔状であるものが挙げられる。このような丸孔状のガス噴出口258から処理ガスを噴出すると、ノズル中心流速が高い凸状の流速分布になる。そのため、ガス噴出先のウエハ面上では、ガス流の渦ができ、そこで処理ガスが滞留してしまうおそれがある。処理ガスが滞留してしまうと、その滞留ガスが熱に晒されることで、例えば原料ガスであれば高分解の状態となり、その結果としてウエハ上で分解度の差(ムラ)が生じてしまい得る。また、ノズル中心から遠い場所ではガス流が低流速となり、ここでも分解度が高くなってしまい得る。つまり、導入管252が有するガス噴出口258が丸孔状である場合には、ウエハの面内に均一に処理ガスを供給することが困難になるおそれがある。
【0069】
これに対して、本実施形態において、導入管152が有するガス噴出口158は、例えば、
図6(a)に示すように、ウエハ101の面内方向(水平方向)の開口寸法D1が当該面内方向の直交方向(垂直方向)の開口寸法D2の4倍以上10倍以下となる形状に形成されている。つまり、縦方向(垂直方向)に対して横方向(水平方向)を4~10倍程度に広げた幅の広い形状となっている。このような幅広形状のガス噴出口158から処理ガスを噴出すると、横方向(水平方向)に幅広くガスを供給することが可能となるので、上述した丸孔状の場合に比べて、ノズル中心流速が高くなるのを低減させた流速分布、すなわち凸状となる度合いを抑えたの流速分布になる。そのため、ガス噴出先のウエハ101の面上において、ガス流の渦のない層流を作り出すことが可能となり、処理ガスの滞留が生じないようにすることができる。つまり、ウエハ101の面内に均一にガスを供給して、その結果として当該ウエハ101上での分解度の差(ムラ)を抑制することが可能となる。
【0070】
流速分布が凸状となるのを抑えてガス流の渦のない層流を作り出すためには、ガス噴出口158における開口寸法D1が開口寸法D2の4倍以上10倍以下、好ましくは6倍以上8倍以下であることが望ましい。開口寸法D1が開口寸法D2の4倍未満であると、ノズル中心流速の低減に十分ではなく、流速分布が凸状となる度合いを抑えられないおそれがある。また、開口寸法D1が開口寸法D2の10倍を超えていると、導入管152全体の大きさの制約から、開口寸法D2の大きさを十分に確保できず、ウエハ101に対して必要十分な流量のガス供給を行うことが困難になるおそれがある。
【0071】
また、ガス噴出口158が端縁近傍部158aと中央部158bとを有し、端縁近傍部158aの開口寸法D2が中央部158bの開口寸法D3よりも大きく形成されていれば、ウエハ101の面内でのガスの流れのコンダクタンスを調整する上で好適なものとなる。具体的には、中央部158bがガスを噴出する際の抵抗(絞り)となるので、例えば、端縁近傍部158aからのガス流量の増大により、ウエハ中心から離れた箇所(例えば、図中における点E)にも高流速のガスを供給すること可能となる。したがって、ウエハ101の面内に対して満遍なく(ムラなく)ガスを噴出することが可能となり、当該ウエハ101の面内に均一にガスを供給する上で非常に好ましいものとなる。なお、開口寸法D1は、ウエハ101の径より小さい寸法で形成されている。
【0072】
また、ガス経路153の途中に狭小部159が設けられており、これにより導入管152がラバールノズルを構成していれば、狭小部159からガス噴出口158までの間について、ガス経路153が徐々に幅広となるテーパ形状として、ガスの流れの剥離、流れの拡大損失を抑えた構造とすることができる。つまり、狭小部159からガス噴出口158までの間でのガス流のエネルギー損失を抑えて、高流速が得られるようになる。したがって、凸状の流速分布を抑えて渦のない層流化を図ることが可能となり、ウエハ101の面内に均一にガスを供給する上で非常に好ましいものとなる。
【0073】
なお、以上に説明したガスの流れは、主として処理ガスについてのものであり、例えばパージガスとして作用する不活性ガスについては適用外であってもよい。つまり、処理ガスについては、ウエハ101の面内に均一にガスを供給することが、所定層形成工程(S1105)における原料ガス供給(S11051)及び反応ガス供給(S11053)での処理結果に大きな影響を及ぼすが、パージガスとして作用する不活性ガスについては、残留ガス等の排除が可能であれば、必ずしも流速分布が凸状となるのを抑える必要はない。したがって、導入管152及びガス噴出口158は、
図3に示すように、処理ガスを噴出するガス噴出口158cと不活性ガスを噴出するガス噴出口158dとをそれぞれ別々に有していてもよい。
【0074】
なお、第1ガス(シリコン含有ガス)としては、例えば、Si2Cl6(六塩化二ケイ素)が用いられ、第2ガス(酸素含有ガス)としては、O2(酸素)(又はO3(オゾン)又はH2O(水))が用いられ、キャリアガス(不活性ガス)としては、N2(窒素)ガス、又はAr(アルゴン)ガス等が用いられる。
【0075】
上記に説明した例においては、基板101上に、例えば、SiO2膜を形成する例について説明したが、本実施例はこれに限られるものではない。例えば、SiO2膜の替わりに、Si3N4(窒化シリコン)膜、又はTiN(窒化チタン)膜を形成することもできる。また、これらの膜に限るものでは無い。例えば、W、Ta、Ru、Mo、Zr、Hf、Al、Si、Ge、Ga等又は、これら元素と同族の元素、で構成される元素単体の膜や、これら元素と窒素との化合物膜(窒化膜)、これら元素と酸素との化合物膜(酸化膜)等にも適用することが可能である。なお、これらの膜を形成する際には、上述のハロゲン含有ガスや、ハロゲン元素、アミノ基、シクロペンタ基、酸素(O)、炭素(C)、アルキル基、等の少なくともいずれかを含むガスを用いることができる。
【0076】
(4)実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0077】
(a)本実施形態において、ガス供給ノズルとしての導入管152におけるガス噴出口158は、ウエハ101の面内方向の開口寸法D1が当該面内方向の直交方向の開口寸法D2の4倍以上10倍以下に形成されている。そのため、ウエハ101の面内方向に幅広くガスを供給することが可能となり、ノズル中心流速が高くなるのを低減させた流速分布(すなわち、凸状となる度合いを抑えた流速分布)とすることができる。
したがって、本実施形態によれば、ガス噴出先のウエハ101の面上において、ガス流の渦のない層流を作り出すことが可能となり、処理ガスの滞留が生じないようになるので、ウエハ101の面内に均一にガスを供給して当該ウエハ101上での分解度の差(ムラ)を抑制することが可能となる。
つまり、本実施形態によれば、ウエハ101に対する処理にあたり、当該ウエハ101の面内に均一にガスを供給することができ、例えばウエハ101に対する処理が成膜処理であれば、当該ウエハ101上に形成された膜の面内均一性および段差被覆性を向上させることができる。
【0078】
(b)本実施形態のように、ガス噴出口158の端縁近傍部158aと中央部158bとで、端縁近傍部158aの開口寸法D2が中央部158bの開口寸法D3よりも大きく形成されていれば、中央部158bがガスを噴出する際の抵抗(絞り)となるので、ウエハ中心から離れた箇所にも高流速のガスを供給すること可能となる。
したがって、本実施形態によれば、ウエハ101の面内でのガスの流れのコンダクタンスを調整して、ウエハ101の面内に対して満遍なく(ムラなく)ガスを噴出することが可能となり、当該ウエハ101の面内に均一にガスを供給する上で非常に好ましいものとなる。
【0079】
(c)本実施形態のように、ガス供給ノズルとしての導入管152がガス経路153に狭小部159を有するラバールノズルであれば、狭小部159からガス噴出口158までの間について、ガスの流れの剥離、流れの拡大損失を抑えた構造とすることができる。
したがって、本実施形態によれば、狭小部159からガス噴出口158までの間でのガス流のエネルギー損失を抑えて高流速が得られるようになり、これにより凸状の流速分布を抑えて渦のない層流化を図ることが可能となるので、ウエハ101の面内に均一にガスを供給する上で非常に好ましいものとなる。
【0080】
(5)変形例等
以上に、本開示の各実施形態を具体的に説明したが、本開示が上述の各実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【0081】
例えば、上述した実施形態では、ガス噴出口158において、
図2(c)及び
図3(c)に示すように、端縁近傍部158aと中央部158bとで中央部158bが狭く絞られている場合を例に挙げたが、本開示はこれに限られるものではなく、
図2(b)及び
図3(b)に示すように、平面形状が矩形状に形成されていてもよい。また、矩形状に限らず、例えば長円状に形成されていてもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、導入管152がラバールノズルである場合を例に挙げたが、本開示はこれに限られるものではない。つまり、導入管152におけるガス噴出口158の近傍は、狭小部159やテーパ形状の部分等がなくても構わない。さらには、テーパ形状の部分を有する場合に、その部分は滑らかな面である必要はなく、段状の面によって構成されていてもよい。
【0082】
また、例えば、上述した実施形態では、ウエハ101上にSiO2膜を形成する例について説明したが、本開示はこれに限られるものではない。例えば、SiO2膜の代わりに、Si3N4(窒化シリコン)膜、又はTiN(窒化チタン)膜を形成することもできる。また、これらの膜に限るものでは無い。例えば、W、Ta、Ru、Mo、Zr、Hf、Al、Si、Ge、Ga等又は、これら元素と同族の元素、で構成される元素単体の膜や、これら元素と窒素との化合物膜(窒化膜)、これら元素と酸素との化合物膜(酸化膜)等にも適用することが可能である。なお、これらの膜を形成する際には、上述のハロゲン含有ガスや、ハロゲン元素、アミノ基、シクロペンタ基、酸素(O)、炭素(C)、アルキル基、等の少なくともいずれかを含むガスを用いることができる。
【0083】
また、例えば、上述した実施形態では、基板処理工程として成膜処理を例に挙げたが、本開示はこれに限られるものではない。すなわち、本開示は、処理対象の基板にガスを供給して行う処理であれば、成膜処理の他に、アニール処理、拡散処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。さらに、本開示は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、エッチング装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも適用できる。また、本開示は、これらの装置が混在していてもよい。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0084】
(6)本開示の好ましい態様
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
【0085】
[付記1]
本開示の一態様によれば、
基板を支持する基板支持具を収容する反応管と、
前記反応管に収容された前記基板支持具に支持される前記基板に対して、前記反応管の側方から前記基板の面内方向に沿ってガスを供給するガス供給ノズルと、を備え、
前記ガス供給ノズルは、前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記端縁近傍部における前記面内方向の直交方向の開口寸法が前記中央部における前記面内方向の直交方向の開口寸法よりも大きく形成されているガス噴出口を有する
基板処理装置が提供される。
【0086】
[付記2]
好ましくは、
前記ガス噴出口は、前記基板の面内方向の開口寸法が前記基板の面内方向の直交方向の開口寸法の4倍以上10倍以下に形成されたガス噴出口を有する
付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0087】
[付記3]
好ましくは、
前記ガス供給ノズルは、前記ガス噴出口に連通するガス経路に狭小部を有する
付記1または2に記載の基板処理装置が提供される。
【0088】
[付記4]
好ましくは、
前記ガス噴出口は、ガス噴出先からみた平面形状が、前記基板の面内方向に沿って延びる長辺を有する矩形状に形成されている
付記1~3のいずれか一つに記載の基板処理装置が提供される。
【0089】
[付記5]
好ましくは、
前記ガス噴出口は、前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記中央部が狭くなる平面形状に形成されている
付記1~3のいずれか一つに記載の基板処理装置が提供される。
【0090】
[付記6]
好ましくは、
前記ガス噴出口の開口寸法は、前記基板の径より小さく形成されている
付記1~5のいずれか一つに記載の基板処理装置が提供される。
【0091】
[付記7]
好ましくは、
前記ガス経路に流れるガスは、処理ガスである
付記3に記載の基板処理装置が提供される。
【0092】
[付記8]
好ましくは、
前記ガス供給ノズルは、前記ガス経路とは別の不活性ガスを供給するガス経路を有する
付記7に記載の基板処理装置が提供される。
【0093】
[付記9]
好ましくは、
前記基板支持具は、前記基板を複数支持するように構成され、
前記ガス供給ノズルは、複数の前記基板それぞれに対してガスを供給するように複数設けられる
付記1~6のいずれか一つに記載の基板処理装置が提供される。
【0094】
[付記10]
本開示の他の一態様によれば、
基板を支持する基板支持具を反応管に収容する工程と、
前記反応管に収容された前記基板支持具に支持される前記基板に対して、前記反応管の側方から前記基板の面内方向に沿ってガスを供給するとともに、当該供給を前記面内方向の開口寸法が当該面内方向の直交方向の開口寸法の4倍以上10倍以下に形成されたガス噴出口を有するガス供給ノズルから行って、前記基板を処理する工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0095】
[付記11]
本開示のさらに他の一態様によれば、
基板を支持する基板支持具を反応管に収容する手順と、
前記反応管に収容された前記基板支持具に支持される前記基板に対して、前記反応管の側方から前記基板の面内方向に沿ってガスを供給するとともに、当該供給を前記面内方向の開口寸法が当該面内方向の直交方向の開口寸法の4倍以上10倍以下に形成されたガス噴出口を有するガス供給ノズルから行って、前記基板を処理する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【符号の説明】
【0096】
100…基板処理装置、101…基板、120…反応管、140…基板支持具(ボート)、150…ガス供給部、158…ガス噴出口、158a…端縁近傍部、158b…中央部
【手続補正書】
【提出日】2022-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する基板支持具を収容する反応管と、
前記反応管に収容された前記基板支持具に支持される前記基板に対して、前記反応管の側方から前記基板の面内方向に沿ってガスを供給するガス供給ノズルと、を備え、
前記ガス供給ノズルは、前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記端縁近傍部における前記面内方向の直交方向の開口寸法が前記中央部における前記面内方向の直交方向の開口寸法よりも大きく形成されているガス噴出口を有する
基板処理装置。
【請求項2】
前記ガス噴出口は、前記基板の面内方向の開口寸法が前記基板の面内方向の直交方向の開口寸法の4倍以上10倍以下に形成されたガス噴出口を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ガス供給ノズルは、前記ガス噴出口に連通するガス経路に狭小部を有する請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ガス噴出口は、ガス噴出先からみた平面形状が、前記基板の面内方向に沿って延びる長辺を有する矩形状に形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ガス噴出口は、前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記中央部が狭くなる平面形状に形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記ガス噴出口の開口寸法は、前記基板の径より小さく形成されている請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記ガス経路に流れるガスは、処理ガスである請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記ガス供給ノズルは、前記ガス経路とは別の不活性ガスを供給するガス経路を有する請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板支持具は、前記基板を複数支持するように構成され、
前記ガス供給ノズルは、複数の前記基板それぞれに対してガスを供給するように複数設けられる請求項1~6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板を支持する基板支持具を反応管に収容する工程と、
前記反応管に収容された前記基板支持具に支持される前記基板に対して、前記反応管の側方から前記基板の面内方向に沿ってガスを供給するとともに、当該供給を前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記端縁近傍部における前記面内方向の直交方向の開口寸法が前記中央部における前記面内方向の直交方向の開口寸法よりも大きく形成されているガス噴出口を有するガス供給ノズルから行って、前記基板を処理する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項11】
基板を支持する基板支持具を反応管に収容する手順と、
前記反応管に収容された前記基板支持具に支持される前記基板に対して、前記反応管の側方から前記基板の面内方向に沿ってガスを供給するとともに、当該供給を前記基板の面内方向の端縁近傍部と中央部とで、前記端縁近傍部における前記面内方向の直交方向の開口寸法が前記中央部における前記面内方向の直交方向の開口寸法よりも大きく形成されているガス噴出口を有するガス供給ノズルから行って、前記基板を処理する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。