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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046986
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230329BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G15/20 525
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021155864
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】大島 裕範
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA08
2H033BA06
2H033BA51
2H033BA54
2H033BA55
2H033BA56
2H033BA57
2H033BB01
2H033BB28
2H270LA01
2H270LA10
2H270LA24
2H270LA29
2H270LA44
2H270LA99
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD15
2H270RA13
2H270RA14
2H270RA16
2H270RB01
2H270RC05
2H270RC16
(57)【要約】
【課題】特別なクリーニングウェブを用いることなく、かつ単一の検知手段によりクリーニングウェブの残量を効率的かつ効果的に検知可能な定着装置を提供する。
【解決手段】定着部材30と、定着部材30との間に定着ニップ部Nを形成する加圧部材31とを備え、記録媒体Pにトナー像を定着させる定着装置であって、定着部材30の表面に付着した残留トナーを除去するクリーニング手段122を備え、クリーニング手段122は、定着部材30の表面を払拭するクリーニングウェブ41と、ウェブ保持部材44と、巻取部材46と、押圧部材45と、ウェブ保持部材44に保持されたクリーニングウェブ41の残量を検知する単一の検知手段と、を備え、検知手段は、クリーニングウェブ41の残量に応じて変位するフィラー40及びフィラー40を検出するセンサ42を有し、ウェブニアエンド状態と、ウェブエンド状態とをそれぞれ検知する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段により加熱される回転体である定着部材と、前記定着部材との間に定着ニップ部を形成する加圧部材とを備え、前記定着ニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を搬送し、前記記録媒体にトナー像を定着させる定着装置であって、
前記定着部材の表面に付着した残留トナーを除去するクリーニング手段を備え、
前記クリーニング手段は、前記定着部材の表面を払拭するクリーニングウェブと、前記クリーニングウェブを送り出し可能に保持するウェブ保持部材と、前記クリーニングウェブを巻き取り可能な巻取部材と、前記クリーニングウェブを前記定着部材へ押圧する押圧部材と、前記ウェブ保持部材に保持された前記クリーニングウェブの残量を検知する単一の検知手段と、を備え、
前記検知手段は、前記クリーニングウェブの残量に応じて変位するフィラー及び前記フィラーを検出するセンサを有し、前記クリーニングウェブ切れが間近であるウェブニアエンド状態と、クリーニングウェブ切れであるウェブエンド状態とをそれぞれ検知することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記検知手段の前記センサが、前記ウェブ保持部材に保持された前記クリーニングウェブの残量が十分にある状態ではオフ、前記ウェブニアエンド状態でオン、さらに前記ウェブエンド状態で再度オフとなることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記フィラーは、前記クリーニングウェブの残量が十分にある状態では前記センサに検出されず、前記ウェブニアエンド状態で前記センサに検出される位置に変位し、前記ウェブエンド状態で前記センサに検知されない位置に変位することを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記センサがフォトセンサであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
前記巻取部材の駆動モータ、及び前記駆動モータのトルク変動に伴う電流値の変化を検出する手段をさらに備え、前記電流値の変化から前記巻取部材に巻き取られた前記クリーニングウェブの量を算出し、前記検知手段により検知された前記クリーニングウェブの残量の状態と対比することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記駆動モータのトルク変動に伴う電流値を、温度条件、電源電圧の値、及び装置の水平状態の少なくともいずれかにより補正することを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の定着装置としては、加熱手段を有する定着部材と加圧部材とにより形成される定着ニップに、トナー像を担持した記録媒体(用紙)を通過させ、熱と圧力とを与えることによりトナー像を記録媒体に定着するものが知られている。
また、巻取可能に構成したクリーニングウェブを定着部材の表面に押し当て、定着部材表面をクリーニングする手段を設けた構成も知られている。
【0003】
クリーニング手段としては、例えば、クリーニングウェブの終端が固定されたウェブ保持部材と、クリーニングウェブの先端が固定され、回転してクリーニングウェブを巻取る巻取部材と、クリーニングウェブを定着部材に押圧する押圧部材とを備える構成が知られている。クリーニングウェブを巻取部材により巻取ることで、ウェブ保持部材から繰り出される新しいウェブで定着部材の表面を払拭することができる。このため、定着部材に対するクリーニング機能は、経時でも低下することがなく良好に行われる。
【0004】
このようなクリーニング装置において、ウェブ保持部材に巻き着けられているクリーニングウェブの残量または使用量を検知して、残量が少ない場合には新しいクリーニングウェブに交換するように警告する機構を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
クリーニングウェブの残量不足のまま装置の動作を継続すると、画像品質の低下や、駆動モータ及びギヤの破損等の不具合を招くおそれがある。また、クリーニングウェブ交換の警告が表示された後も印刷を継続した場合、クリーニングウェブが完全に無くなりエラーにより装置が緊急停止してしまうおそれもある。
クリーニングウェブ残量については、クリーニングウェブ切れが間近であるウェブニアエンド状態と、クリーニングウェブ切れであるウェブエンド状態をそれぞれ検知可能であることが求められる。
【0006】
このような問題に対し、特許文献1の装置では、ウェブ残量検知センサにより、クリーニングウェブ(定着ウェブ)に設けられた残量を示す切欠を検出する構成が開示されている。切欠と対応した所定のコピー可能残数を表示可能とすることで、オペレータが適切なタイミングでウェブ交換を行うことができることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の装置では、コピー可能残数と対応する切欠が形成されたクリーニングウェブを使用する必要がある。そのため、消耗品のコスト面で課題がある。また、切欠が検知可能となる位置にセンサを精度よく配設する必要があり、単一の検知手段では十分な検知効率や検知効果を得ることが容易ではないという課題がある。
【0008】
そこで本発明は、特別なクリーニングウェブを用いることなく、かつ単一の検知手段によりクリーニングウェブの残量を効率的かつ効果的に検知可能な定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、加熱手段により加熱される回転体である定着部材と、前記定着部材との間に定着ニップ部を形成する加圧部材とを備え、前記定着ニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を搬送し、前記記録媒体にトナー像を定着させる定着装置であって、前記定着部材の表面に付着した残留トナーを除去するクリーニング手段を備え、前記クリーニング手段は、前記定着部材の表面を払拭するクリーニングウェブと、前記クリーニングウェブを送り出し可能に保持するウェブ保持部材と、前記クリーニングウェブを巻き取り可能な巻取部材と、前記クリーニングウェブを前記定着部材へ押圧する押圧部材と、前記ウェブ保持部材に保持された前記クリーニングウェブの残量を検知する単一の検知手段と、を備え、前記検知手段は、前記クリーニングウェブの残量に応じて変位するフィラー及び前記フィラーを検出するセンサを有し、前記クリーニングウェブ切れが間近であるウェブニアエンド状態と、クリーニングウェブ切れであるウェブエンド状態とをそれぞれ検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特別なクリーニングウェブを用いることなく、かつ単一の検知手段によりクリーニングウェブの残量を効率的かつ効果的に検知可能な定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図2】本発明に係る定着装置の外観の概略斜視図である。
図3】本発明に係る定着装置の外観の概略斜視図である。
図4】本発明に係る定着装置の構成の一例を示す模式図である。
図5】クリーニングウェブ残量と検知手段の位置関係を示す説明図である。
図6】クリーニングウェブ残量と検知手段の位置関係を示す説明図である。
図7】クリーニングウェブ残量と検知手段の位置関係を示す説明図である。
図8】クリーニングウェブ残量と検知手段の位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の定着装置及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
〔画像形成装置〕
本発明に係る画像形成装置の一実施形態について図1を参照して説明する。
図1は画像形成装置を示す概略構成図であり、具体的にはモノクロ画像を形成可能な複写印刷機である。また、PC接続によりプリンタとしても機能する。
【0014】
なお、本実施形態の画像形成装置は複写機であるため、スキャナとして機能する原稿読取部を有しているが、PCオンライン出力専用機、所謂プリンタバージョン等でコントローラを内蔵する場合は原稿読取部を省略しても良い。
【0015】
以下、本実施形態の画像形成装置の概略構成及び動作について説明する。
画像形成装置は、照明装置、光学系及びCCDイメージセンサ等を内部に収めたスキャナを有する。
スキャナの上方には原稿自動読み取り装置(以下、「ADFユニット」という(ADF:Auto Document Feeder))100を設けている。ADFユニット100は原稿を自動搬送し、コンタクトガラスの読取面に原稿を送る。
【0016】
オペレータは圧板一体型のADFユニット100に原稿をセットし、操作パネル上の機能選択キーでモードを選択し、液晶画面の表示内容を確認しつつ、テンキーやファンクションキー等を操作して所望の画像形成条件を設定する。
【0017】
原稿読取部102で読み取られた画像信号は、SBU(Sensor Board Unit)にてA/D(Analog/Digital)変換された後、レーザ書き込みユニット107からのレーザ光として照射される。レーザ光はレーザ書き込みユニット107のシリンダレンズにより集光され、ポリゴンミラーにより主走査方向にライン走査され、感光体ドラム108上に静電潜像を形成する。
【0018】
現像ユニット110は、感光体ドラム108の周囲にドラムクリーニングユニット105、帯電チャージャ106を備えている。感光体ドラム108上の帯電には、帯電チャージャ106が用いられる。
帯電チャージャ106には、PSU(Power Supply Unit)からリセプタクル、電極端子、導電性軸受け等を介して高電圧が印加される。
【0019】
トナー補給部109から随時供給されるトナーと、予め現像ユニット110内に充填されていた現像剤は、内部の搬送スクリューにより攪拌混合されつつ現像ローラへと運ばれる。磁力により静電吸着しているトナーはマイナスに帯電している。
【0020】
現像ローラに担持された二成分現像剤は,現像ローラ下方に配設されたドクタブレードやケーシング等の現像剤穂立ち規制部材によって適量規制された後、その二成分中の摩擦帯電したトナーがバイアス電圧に依り感光体ドラム108上へと移動し、静電潜像に応じて選択的に付着する。
【0021】
現像ユニット110内部のトナー濃度は、底面位置に配置されたトナー濃度センサによってその帯電量から検出される。
転写後の感光体ドラム108上に残存する未転写のトナーは、ドラムクリーニングユニット105内に設けられたクリーニングブレードで掻き落とされ、廃トナーボトル119へと搬送、回収される。
【0022】
また、現像ユニット110の周囲には、トナー飛散を防止するためのマイラーやスポンジ状材料からなる入口シールが適宜設けられている。
【0023】
感光体ドラム108上のトナーで形成された顕像は、中間転写ベルトユニット113上に一旦転写される。
用紙搬送部114により搬送されレジストローラ部を通過した記録媒体は、感光体ドラム108と中間転写ベルトユニット113とのニップ間を通過する際、転写部からのプラス帯電により中間転写ベルトユニット113上のトナーが転写される。
【0024】
トナーが転写された記録媒体(用紙)は、定着装置(定着ユニット)121に搬送され、一定の温度と圧力が加えられてトナー画像が熱融着される。
定着装置121内の定着ローラには、サーミスタを設けて表面温度検出を行い、ヒータのON/OFF制御を行っている。サーミスタは、接触型であっても非接触型であってもよい。また、温度過昇防止の為に温度ヒューズが設けられている。
【0025】
本実施形態の定着装置121は、少なくとも定着部材(定着ローラ)、加熱手段、及び加圧部材を備える。加圧部材(加圧ローラ)は例えば、定着部材に当接して回転する中空の部材であり定着ニップ部を形成する。定着ニップ部はカムにより加圧脱圧が制御されている。加圧部材の内部には加熱部材を備えていてもよい。
なお、定着装置121のその他の構成については後述する。
【0026】
トナー画像が熱融着された記録媒体は、定着分離板により加熱部材及び定着部材から分離された後、反転排紙ユニット120を経て、または設定条件に応じて両面印刷された後、排紙トレイ125に排出される。なお、後処理装置等が接続されている場合は、その接続された装置の記録媒体入口へ搬送される。
また、画像形成装置は、本体移動用キャスタ124を備えている。
【0027】
本実施形態の画像形成装置は、上述の構成及び動作により、電子写真方式による画像形成が行われる。
【0028】
〔定着装置〕
次に、本発明に係る定着装置121の構成について図2図4に基づき説明する。
本実施形態の定着装置121は、図1に示した画像形成装置の外部へ引き出し可能に搭載されている。
本実施形態の定着装置121は、定着部材(定着ローラ)30と、定着部材30に当接して定着ニップ部を形成する加圧部材(加圧ローラ)31と、トナー画像定着後の記録媒体(用紙)Pを分離する分離部材を有する分離ユニット13と、を備えている。
【0029】
定着装置121の外観の概略斜視図を図2及び図3に示す。
図2は分離ユニット13を閉鎖位置で固定した状態を示し、図3は分離ユニット13を完全に開放した状態を示した図である。
【0030】
本実施形態の定着装置121は、固定部材22を備えている。従来の定着装置では、分離ユニット13が自重で落下してしまわないよう、開閉補助部材25としてコイルバネ等を備え、その張力で開閉時の重量バランスを保っている。しかしながら、コイルバネの張力が不十分であると保持力も不足し、分離ユニット13が自重で落下してしまうことがある。これに対し、本実施形態の定着装置121は、固定部材22により開放位置と閉鎖位置との間の所望の位置で分離ユニット13を固定させることができ、分離ユニット13の不用意な落下や移動を防止することができる。
【0031】
本実施形態の定着装置121において、分離ユニット13を揺動回転させ、開閉するための動作は、固定部材22及び操作ノブ23を手動で動かすことにより行われる。
まず、付勢部材26を押しつけつつ、左手で固定部材22をスライド移動させながら、右手で操作ノブ23を23aの位置(図2参照)に起こすことによりロックが解除され、分離ユニット13が開閉可能となる。
【0032】
図4は、本発明に係る定着装置121の構成の一例を示す模式図である。
本実施形態の定着装置121は、加熱手段により加熱される回転体である定着部材30と、定着部材30との間に定着ニップ部Nを形成する加圧部材31とを備え、定着ニップ部Nに未定着トナー像を担持した記録媒体Pを搬送し、記録媒体Pにトナー像を定着させる。
また、定着部材30の表面に付着した残留トナーを除去するクリーニング手段122を備えている。
クリーニング手段122は、定着部材30の表面を払拭するクリーニングウェブ41と、クリーニングウェブ41を送り出し可能に保持するウェブ保持部材44と、クリーニングウェブ41を巻き取り可能な巻取部材46と、クリーニングウェブ41を定着部材30へ押圧する押圧部材45と、ウェブ保持部材44に保持されたクリーニングウェブ41の残量を検知する単一の検知手段と、を備えている。
単一の検知手段は、クリーニングウェブ41の残量に応じて変位するフィラー40及びフィラー40を検出するセンサ42を有し、クリーニングウェブ切れが間近であるウェブニアエンド状態と、クリーニングウェブ切れであるウェブエンド状態とをそれぞれ検知する。
【0033】
定着ニップ部Nで溶融されるトナーは、定着ニップ部Nを通過した後にそのすべてが記録媒体Pに定着するのではなく、一部が定着部材30の表面に付着し、定着部材30の回転に伴って移動することとなる。定着部材30に移行したトナーが、定着部材30と接触する加圧部材31や、次に通紙される記録媒体P等に付着し、これらを汚してしまうという不具合があった。
この不具合を未然に防ぐために、本実施形態の定着装置121には、定着部材30の表面に付着したトナーを清掃するクリーニング手段122が設けられている。
【0034】
クリーニング手段122は、定着部材30の表面を払拭するクリーニングウェブ41と、ウェブ保持部材44と、巻取部材46と、押圧部材45とを備えている。
クリーニングウェブ41としては、定着部材30の表面の残留トナーを払拭できる長尺状のものであれば公知のものを使用することができ、例えば、不織布等が挙げられる。具体的には、繊維シート、ウェブ等で、繊維が一方向またはランダムに配向しており、交流、および/または融着、および/または接着によって繊維間が結合されたものである。天然繊維としては綿、羊毛、麻、パルプ、絹等が挙げられ、化学繊維としてはレーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル繊維、ビニロン、アラミド繊維等が挙げられる。
巻取部材46が駆動モータ43により駆動され、巻き取り方向に回転することにより、クリーニングウェブ41の未使用の部分(定着部材30と当接していない部分)がウェブ保持部材44側から送り出され、移動する。
クリーニング動作を続けることにより、ウェブ保持部材44に巻かれたロール状のクリーニングウェブ41の径は減少し、巻取部材46に巻き取られるロール状のクリーニングウェブ41の径は増大する。
【0035】
クリーニングウェブ41の残量に応じて変位するフィラー40の一端は、ウェブ保持部材44に巻かれたクリーニングウェブ41の外周面に当接し、未使用のクリーニングウェブ41の残量変化、すなわちロール径の変化に伴い変位する。
フィラー40の変位は、例えば、支点を中心とした回動である。
【0036】
図5図8に基づき、クリーニングウェブ41の残量と検知手段の位置関係を説明する。
図5図8は、クリーニング手段122を模式的に示す説明図であり、各図の(a)は、クリーニングウェブ41側の断面図(構成側面図)であり、各図の(b)は、(a)を側板50の手前側とした場合の奥側構成側面図である。なお、各図の(b)には、ウェブ保持部材44に巻かれたクリーニングウェブ41の外周とフィラー40の視認できない部分を破線で示している。
【0037】
図5図8に示すように、検知手段のフィラー40は、ウェブ保持部材44に巻かれたクリーニングウェブ41の外周面に当接する当接部40aと、センサ42により検出される被検出部40bを有する部材であり、支点40cを中心に回動し、変位する。
【0038】
センサ42は、変位するフィラー40を検知可能なものであれば公知のものを使用することができ、例えば、光を利用して物体(フィラー40)の有無や位置を検出する光センサ等が挙げられる。
光センサとしては、透過型のフォトインタラプタ、反射型のフォトリフレクタが好ましい。フォトインタラプタは、発光部と受光部とが対向して配設され、発光部からの光を、通過するフィラーの被検出部40bが遮るのを受光部で検出するセンサである。フォトリフレクタは、発光部からの光をフィラーの被検出部40bに反射させ、反射光を受光部で検出するセンサである。
【0039】
図5(a)及び図5(b)は、クリーニングウェブ41が新品(未使用のクリーニングウェブの割合が100%)の状態におけるフィラー40とセンサ42の位置関係を示している。
ウェブ保持部材44に巻かれたクリーニングウェブ41の残量が十分にある状態では、外周41aにフィラーの当接部40aが当接し、フィラーの被検出部40bはセンサ42から離れた位置にあるため、センサ42は「検知オフ」となる。
【0040】
図6(a)及び図6(b)は、クリーニングウェブ41がウェブニアエンド状態(未使用のクリーニングウェブの割合が20%程度)の状態におけるフィラー40とセンサ42の位置関係を示している。
ウェブ保持部材44に巻かれたクリーニングウェブ41の残量が少なく、クリーニングウェブ切れが間近であるウェブニアエンド状態では、外周41bにフィラーの当接部40aが当接する。図5の外周41aに当接していた位置から支点40cを中心に回動することによりフィラーの被検出部40bがセンサ42に検知される位置に変位し、センサ42は「検知オン」となる。
【0041】
図7(a)及び図7(b)は、クリーニングウェブ41がウェブエンド状態(未使用のクリーニングウェブの割合が2~3%程度)の状態におけるフィラー40とセンサ42の位置関係を示している。
ウェブ保持部材44に巻かれたクリーニングウェブ41の残量ほぼ無く、クリーニングウェブ切れであるウェブエンド状態では、外周41cにフィラーの当接部40aが当接する。図6の外周41bに当接していた位置から支点40cを中心にさらに回動することによりフィラーの被検出部40bがセンサ42に検知されない位置に変位し、センサ42は再度「検知オフ」となる。
【0042】
図8(a)及び図8(b)は、未使用のクリーニングウェブ41の割合が0%の状態におけるフィラー40とセンサ42の位置関係を示している。
ウェブ保持部材44に巻かれたクリーニングウェブ41の残量は無く、ウェブ保持部材44の芯金41dにフィラーの当接部40aが当接する。図7の外周41cに当接していた位置から支点40cを中心にさらに回動するが、フィラーの被検出部40bはセンサ42に検知されない位置にあり、センサ42は「検知オフ」の状態が継続する。
【0043】
図5図8に示したように、本実施形態の定着装置が備えるクリーニング手段において、検知手段のセンサ42は、ウェブ保持部材44に保持されたクリーニングウェブ41の残量が十分にある状態ではオフ、ウェブニアエンド状態でオン、さらにウェブエンド状態で再度オフとなる。
【0044】
フィラー40は、クリーニングウェブ41の残量が十分にある状態ではセンサ42に検出されず、ウェブニアエンド状態でセンサ42に検出される位置に変位し、ウェブエンド状態でセンサ42に検知されない位置に変位する。
【0045】
すなわち、単一のフィラー40の被検出部40bが、単一のセンサ42を通過する前、通過中、通過後にあるときの信号を、それぞれクリーニングウェブ41の残量が十分な状態、ウェブニアエンド状態、ウェブエンド状態であると判断することにより、特別なクリーニングウェブを用いることなく、単一の検知手段によりクリーニングウェブの残量を効率的かつ効果的に検知することができる。
【0046】
本実施例の定着装置は、図4に示すように、巻取部材46の駆動モータ43、及び制御手段11を備えている。
また、駆動モータ43のトルク変動に伴う電流値の変化を検出する手段をさらに備え、電流値の変化から巻取部材46に巻き取られたクリーニングウェブ41の量を算出し、検知手段(センサ42)により検知されたクリーニングウェブ41の残量の状態と対比する構成とすることができる。
【0047】
駆動モータ43のトルク変動と、センサ42による検知結果とを比較することで、クリーニングウェブ41の残量の検知精度をより向上させることができる。
【0048】
駆動モータ43のトルク変動に伴う電流値は、温度条件、電源電圧の値、及び装置の水平状態の少なくともいずれかにより補正することが好ましい。
【0049】
また、クリーニングウェブ41の新品交換時に初期化を実施し、使用開始直後(初期)の電流値を検出し、この値を用いて電流値の変動を補正する態様であってもよい。
【0050】
上述の構成を備える本実施形態の定着装置は、特別なクリーニングウェブを用いることなく、コストアップや誤作動の発生を防止しながら、単一の検知手段によりクリーニングウェブの残量を容易に、また効率的かつ効果的に検知可能である。
【符号の説明】
【0051】
30 定着部材
31 加圧部材
40 フィラー
40a 当接部
40b 被検知部
40c 支点
41 クリーニングウェブ
42 センサ
43 駆動モータ
44 ウェブ保持部材
45 押圧部材
46 巻取部材
50 側板
121 定着装置
122 クリーニング手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】実開平5-90505号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8