IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KOKUSAI ELECTRICの特許一覧

特開2023-47086半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム
<>
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図1
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図2
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図3
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図4
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図5
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図6
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図7
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図8
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図9
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図10
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図11
  • 特開-半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047086
(43)【公開日】2023-04-05
(54)【発明の名称】半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230329BHJP
   H01L 21/314 20060101ALI20230329BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/314
C23C16/52
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156016
(22)【出願日】2021-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠沢 宗人
(72)【発明者】
【氏名】上田 修
(72)【発明者】
【氏名】京極 貴規
(72)【発明者】
【氏名】浅井 一秀
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA03
4K030FA01
4K030FA10
4K030GA05
4K030GA13
4K030HA01
4K030JA09
4K030JA11
4K030KA15
4K030KA39
4K030KA41
4K030LA15
5F045AA08
5F045AA15
5F045AF03
5F045BB03
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EB02
5F045EB08
5F045EB10
5F045EE02
5F045EE04
5F045EE14
5F045EE18
5F045EE19
5F045EF03
5F045EF09
5F045EG02
5F045EH12
5F045EK06
5F045EM10
5F045EN05
5F045GB04
5F045GB16
5F058BA06
5F058BF07
5F058BF37
5F058BG01
5F058BG02
5F058BG03
5F058BG04
(57)【要約】
【課題】特に長時間に及ぶ成膜工程中に生じた大気圧の変動にレシピを対応させることで、期待される成膜結果を得る。
【解決手段】基板の処理条件に従って基板を処理する工程と、前記基板を処理する工程と並行して大気圧データを収集する工程と、収集した前記大気圧データを用いて前記基板の処理条件を調整する工程と、前記処理条件に従って前記基板処理の制御を行う工程と、を有する半導体デバイスの製造方法。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理条件に従って基板を処理する工程と、
前記基板を処理する工程と並行して大気圧データを収集する工程と、
収集した前記大気圧データを用いて前記基板の処理条件を調整する工程と、
前記処理条件に従って前記基板処理の制御を行う工程と、
を有する半導体デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記基板の処理条件を調整する工程では、
前記大気圧データから平均値を算出する工程と、
算出した前記大気圧データの平均値とあらかじめ作成されたモデルから成膜時間を取得する工程と、取得した前記成膜時間から前記基板の処理条件を再取得する工程と、を有する
請求項1に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項3】
あらかじめ定められた条件が成就されると前記基板を処理する工程を中断し、
前記基板を処理する工程中断後に前記基板の処理条件を調整する工程で前記基板の処理条件を再取得し、
再取得した前記基板の処理条件に従って前記基板を処理する工程を再開する、
請求項2に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項4】
基板を処理する処理室を備える基板処理装置と、
前記基板の処理と並行して大気圧データを収集する気圧測定器と、
前記気圧測定器が収集した大気圧データを用いて前記基板の処理条件の調整を行う調整部と、
前記調整した処理条件に従って前記基板処理装置における前記基板の処理の制御を行う制御部と、
を有する基板処理システム。
【請求項5】
基板の処理条件に従って基板を処理する手順と、
前記基板を処理する手順と並行して大気圧データを収集する手順と、
収集した前記大気圧データを用いて前記基板の処理条件を調整する手順と、
前記処理条件に従って前記基板処理の制御を行う手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイスの製造方法、基板処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の制御部は、基板上に半導体を成膜する手順及び条件(たとえば、成膜に使用する温度、ガス流量、圧力等)を示すファイル(以下、「レシピ」と称する。)をメモリカードやディスク等の記憶装置に保存している。レシピは成膜の種別(たとえば膜厚)に応じて複数種類が用意されている。ユーザは製造しようとする半導体デバイスの種別に応じ最適なレシピを制御部に読み込ませ、それを実行する事で半導体の成膜を行っている。しかし、気圧変動等の外因により、期待する成膜結果を得ることができない場合がある。
【0003】
気圧の変動に対応するための一般的なやり方としては、下記特許文献1記載の技術のように、レシピを実行する前に現在の大気圧を測定し、その大気圧に応じた最適な成膜時間を算出し、レシピ内の成膜ステップ時間を補正した後、レシピを開始する方法を行っている。但し、長い成膜時間を要するレシピの場合、成膜工程中に大気圧が大きく変動する可能性が高い。この場合、従来のようにレシピ開始前に成膜ステップ時間を補正するだけでは、レシピに期待される成膜結果を得ることが難しいことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-195566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、成膜工程中に生じた大気圧の変動にレシピを対応させることで、期待される成膜結果を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
基板の処理条件に従って基板を処理する工程と、
前記基板を処理する工程と並行して大気圧データを収集する工程と、
収集した前記大気圧データを用いて前記基板の処理条件を調整する工程と、
前記処理条件に従って前記基板処理の制御を行う工程と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、成膜工程中に生じた大気圧の変動にレシピを対応させることで、期待される成膜結果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の基板処理システムを示すブロック図である。
図2図1のブロック図における基板処理装置の概要を示すブロック図である。
図3図1のブロック図における群管理装置の概要を示すブロック図である。
図4】基板処理装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図5図4の基板処理装置における処理炉の概略構成図である。
図6図5の処理炉の横断面図である。
図7】従来の成膜工程の各ステップを時系列に沿って示す模式図である。
図8】本開示の成膜工程の各ステップを時系列に沿って示す模式図である。
図9】ステップ時間調整モデルの概要をグラフで示す。
図10】成膜時間と膜厚との関係の一例をグラフで示す。
図11】実施形態の半導体デバイスの製造方法をフローチャートで示す。
図12】実施形態の半導体デバイスの製造方法をシーケンス図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面はあくまで模式図であって、図に示す各部の大きさや各部相互間の大きさの比率は実際の装置を必ずしも反映していない。また、各図で共通に現れる符号は、各図の説明において言及されていない場合であっても共通の構成を指し示すものである。
【0010】
(1)基板処理システム
図1は、本実施形態の基板処理システムを示すブロック図である。図2は、図1のブロック図における基板処理装置の概要を示すブロック図である。図3は、図1のブロック図における群管理装置の概要を示すブロック図である。図4は、基板処理装置の一例を模式的に示す斜視図である。図5は、図4の基板処理装置における処理炉の概略構成図である。図6は、図5の処理炉の横断面図である。
【0011】
図1に示すように、この基板処理システム1は、複数の基板処理装置2と、群管理装置400と、気圧測定器500とから構成され、互いにネットワークを介し接続されている。基板処理装置2は、図2に示すように、処理室201(図5参照)を備えた処理炉202と、処理炉202における基板の処理の制御を行う主コントローラ300とを備える。主コントローラ300は、制御部310と、記憶部320と、表示操作部330と、外部記憶部340と、通信部350とを備える。制御部310は、CPUにより構成され、記憶部320及び外部記憶部340に記憶された、基板の処理条件としてのレシピデータ及び装置パラメータ等の各種データに基づき、記憶部320に記憶された処理炉202の制御プログラムを実行する。表示操作部330は、ユーザが主コントローラ300を操作する際のインターフェースである。通信部350は、後述の群管理装置400との通信を行う。
【0012】
群管理装置400は、制御部410と、記憶部420と、調整部430と、上記主コントローラ300との通信を行う通信部450と、外部機器が接続されるI/Oポート440とを備える。群管理装置400には、I/Oポート440を介して気圧測定器500が接続される。制御部410はCPUにより構成され、記憶部420に記憶された群管理装置400の制御プログラムを実行する。記憶部420は、群管理装置400の制御プログラムの他、後述するステップ時間調整モデルを格納するとともに、I/Oポート440を介して気圧測定器500から入力された大気圧データを、基板の処理条件としてのレシピデータの調整に用いられる装置データとして格納する。調整部430は、記憶部420に格納された装置データをステップ時間調整モデルに当てはめ、レシピデータの調整を実行する。通信部450は、調整部430が調整したレシピデータを主コントローラ300へ送信する。これを受信した主コントローラ300の制御部310は、レシピデータの調整を行いこれに基づき処理炉202を制御する。
【0013】
本実施形態の基板処理装置2の構成を、図4を参照しつつ説明する。図4に示されているように、シリコン等で構成される基板200を複数収納したカセット100が使用されている本開示の基板処理装置2は、筐体101を備えている。カセット搬入搬出口(図示せず)の筐体101内側にはカセットステージ(基板収容器受渡し台)105が設置されている。カセット100はカセットステージ105上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、カセットステージ105上から搬出されるようになっている。カセットステージ105は、工程内搬送装置によって、カセット100内の基板200が垂直姿勢となり、カセット100の基板出し入れ口が上方向を向くように載置される。カセットステージ105は、カセット100を筐体後方に右回り縦方向90°回転し、カセット100内の基板200が水平姿勢となり、カセット100の基板出し入れ口が筐体後方を向くように動作可能となるよう構成されている。
【0014】
筐体101内の前後方向の略中央部には、カセット棚(基板収容器載置棚)109が設置されており、カセット棚109は複数段複数列にて複数個のカセット100を保管するように構成されている。カセット棚109にはカセット100が収納される移載棚123が設けられている。また、カセットステージ105の上方には予備カセット棚110が設けられ、予備的にカセット100を保管するように構成されている。カセットステージ105とカセット棚109との間には、カセット100を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ(基板収容器昇降機構)115とカセット移載機114とで構成されており、カセットエレベータ115とカセット移載機114との連続動作により、カセットステージ105、カセット棚109、予備カセット棚110との間で、カセット100を搬送するように構成されている。
【0015】
カセット棚109の後方には、基板200を水平方向に回転ないし直動可能な基板移載機112及び基板移載機112を昇降させるための移載エレベータ113とで構成されている。移載エレベータ113は、筐体101の右側端部に設置されている。これら、移載エレベータ113及び基板移載機112の連続動作により、基板移載機112のツイーザ(基板保持体)111を基板200の載置部として、ボート(基板保持手段)217に対して基板200を装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0016】
筐体101の後部上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)116により開閉されるように構成されている。処理炉202の下方にはボート217を処理炉202に昇降させる昇降機構としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)121が設けられ、ボートエレベータ121の昇降台に連結された連結具としての昇降部材122には蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。基板保持手段であるボート217は複数本のボート柱部221を備えており、複数枚(たとえば、50枚~150枚程度)の基板200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0017】
図4に示されているように、カセット棚109の上方には、ダクト124から流入する外気を清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット118が設けられておりクリーンエアを前記筐体101の内部に流通させるように構成されている。
【0018】
次に、本開示の基板処理装置2の動作について説明する。図4に示されているように、カセット100はカセット搬入搬出口から搬入され、カセットステージ105の上に基板200が垂直姿勢であって、カセット100の基板出し入れ口が上方向を向くように載置される。その後、カセット100は、カセットステージ105によって、カセット100内の基板200が水平姿勢となり、カセット100の基板出し入れ口が筐体後方を向けるように、筐体後方に右周り縦方向90°回転させられる。次に、カセット100は、カセット棚109ないし予備カセット棚110の指定された棚位置へ自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、カセット棚109ないし予備カセット棚110から移載棚123に移載されるか、又は直接移載棚123に搬送される。
【0019】
カセット100が移載棚123に移載されると、基板200はカセット100から基板移載機112のツイーザ111によって基板出し入れ口を通じてピックアップされ、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217に基板200を受け渡した基板移載機112はカセット100に戻り、次の基板200をボート217に装填する。
【0020】
あらかじめ指定された枚数の基板200がボート217に装填されると、炉口シャッタ116によって閉じられていた処理炉202の下端部が、炉口シャッタ116によって、開放される。続いて、基板200群を保持したボート217はシールキャップ219がボートエレベータ121によって上昇されることにより、処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0021】
ローディング後は、処理炉202にて基板200に任意の処理が実施される。処理後は、上述の逆の手順で、基板200及びカセット100は筐体101の外部へ払出される。
【0022】
次に、上述した処理炉202について図5及び図6に基づいて詳細に説明する。図5は、本開示の実施の形態で好適に用いられる縦型の基板処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面で示す。図6は、本開示の実施の形態で好適に用いられる縦型の基板処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を横断面で示す。
【0023】
本実施の形態で用いられる基板処理装置2は制御部310(図2参照)を有する主コントローラ300を備える。この主コントローラ300により基板処理装置2及び処理炉202を構成する各部の動作等が制御される。
【0024】
加熱装置(加熱手段)であるヒータ207の内側に、基板200を処理する反応容器として反応管203が設けられ、この反応管203の下端開口は蓋体であるシールキャップ219により気密部材であるOリング220を介して気密に閉塞され、少なくとも、反応管203、及びシールキャップ219により処理室201を形成している。シールキャップ219にはボート支持台218を介して基板保持手段であるボート217が立設され、ボート支持台218はボート217を保持する保持体となっている。そして、ボート217は処理室201に挿入される。ボート217のボート柱部221にはバッチ処理される複数の基板200が水平姿勢で管軸方向に多段に積載される。ヒータ207は処理室201に挿入された基板200を所定の温度に加熱する。
【0025】
処理室201へは複数種類、ここでは2種類のガスを供給する供給経路としての2本のガス供給管232a、232bが設けられる。ここでは第1のガス供給管232aからは流量制御装置(流量制御手段)である第1のマスフローコントローラ241a及び開閉弁である第1のバルブ243aを介し、さらに後述する反応管203内に形成されたバッファ室237を介して処理室201に反応ガスが供給され、第2のガス供給管232bからは流量制御装置(流量制御手段)である第2のマスフローコントローラ241b、開閉弁である第2のバルブ243b、ガス溜め247、及び開閉弁である第3のバルブ243cを介し、さらに後述するガス供給部249を介して処理室201に反応ガスが供給されている。
【0026】
処理室201はガスを排気するガス排気管231により第4のバルブ243dを介して排気装置(排気手段)である真空ポンプ246に接続され、真空排気されるようになっている。また、この第4のバルブ243dは弁を開閉して処理室201の真空排気・真空排気停止ができ、さらに弁開度を調節して圧力調整可能になっている開閉弁である。
【0027】
処理室201を構成している反応管203の内壁と基板200との間における円弧状の空間には、反応管203の下部より上部の内壁に基板200の積載方向に沿って、ガス分散空間であるバッファ室237が設けられており、そのバッファ室237の基板200と隣接する壁の端部にはガスを供給する供給孔である第1のガス供給孔248aが設けられている。この第1のガス供給孔248aは反応管203の中心へ向けて開口している。この第1のガス供給孔248aは、下部から上部にわたってそれぞれ同一の開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。
【0028】
そしてバッファ室237の第1のガス供給孔248aが設けられた端部と反対側の端部には、ノズル233が、やはり反応管203の下部より上部にわたり基板200の積載方向に沿って配設されている。そしてノズル233には複数のガスを供給する供給孔である第2のガス供給孔248bが設けられている。この第2のガス供給孔248bの開口面積は、バッファ室237と処理室201の差圧が小さい場合には、ガスの上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチとするとよいが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくするとよい。
【0029】
本実施の形態においては、第2のガス供給孔248bの開口面積を上流側から下流側にかけて徐々に大きくしている。このように構成することで、第2の各ガス供給孔248bよりガスの流速の差はあるが、流量はほぼ同量であるガスをバッファ室237に噴出させている。そして、バッファ室237内において、各第2のガス供給孔248bより噴出したガスの粒子速度差が緩和された後、第1のガス供給孔248aより処理室201に噴出させている。よって、各第2のガス供給孔248bより噴出したガスは、各第1のガス供給孔248aより噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとすることができる。
【0030】
さらに、バッファ室237に、細長い構造を有する第1の電極である第1の棒状電極269及び第2の電極である第2の棒状電極270が上部より下部にわたって電極を保護する保護管である電極保護管275に保護されて配設され、この第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270のいずれか一方は整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は基準電位であるアースに接続されている。この結果、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。
【0031】
この電極保護管275は、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270のそれぞれをバッファ室237の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237に挿入できる構造となっている。ここで、電極保護管275の内部は外気(大気)と同一雰囲気であると、電極保護管275にそれぞれ挿入された第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270はヒータ207の加熱で酸化されてしまう。そこで、電極保護管275の内部は窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270の酸化を防止するための不活性ガスパージ機構が設けられる。
【0032】
さらに、第1のガス供給孔248aの位置より、反応管203の内周を120°程度回った内壁に、ガス供給部249が設けられている。このガス供給部249は、ALD法による成膜において基板200へ、複数種類のガスを1種類ずつ交互に供給する際に、バッファ室237とガス供給種を分担する供給部である。
【0033】
このガス供給部249もバッファ室237と同様に基板200と隣接する位置に同一ピッチでガスを供給する供給孔である第3のガス供給孔248cを有し、下部では第2のガス供給管232bが接続されている。
【0034】
第3のガス供給孔248cの開口面積はガス供給部249内と処理室201内の差圧が小さい場合には、ガスの上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチとするとよいが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって開口面積を大きくするか開口ピッチを小さくするとよい。本実施の形態においては、第3のガス供給孔248aの開口面積を上流側から下流側にかけて徐々に大きくしている。
【0035】
反応管203内の中央部には複数枚の基板200を多段に同一間隔で載置するボート柱部221を有するボート217が設けられており、このボート217は図中省略のボートエレベータ機構により反応管203に出入りできるようになっている。また処理の均一性を向上する為にボート217を回転するための回転装置(回転手段)であるボート回転機構267が設けてあり、ボート回転機構267を回転することにより、ボート支持台218に保持されたボート217を回転するようになっている。
【0036】
制御手段としての主コントローラ300は、第1、第2のマスフローコントローラ241a、241b、第1~第4のバルブ243a、243b、243c、243d、ヒータ207、真空ポンプ246、ボート回転機構267、図中省略のボート昇降機構、高周波電源273、整合器272に接続されており、第1、第2のマスフローコントローラ241a、241bの流量調整、第1~第3のバルブ243a、243b、243cの開閉動作、第4のバルブ243dの開閉及び圧力調整動作、ヒータ207温度調節、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節、ボート昇降機構の昇降動作制御、高周波電源273の電力供給制御、整合器272によるインピーダンス制御が行われる。
【0037】
以上より、本実施形態の基板処理システム1は、内部に収容した基板200を処理する処理室201を備える基板処理装置2と、前記基板200の処理と並行して周期的に大気圧データを収集する気圧測定器500と、前記気圧測定器500が収集した大気圧データを用いて前記基板200の処理条件の調整を行う調整部430と、前記調整された処理条件に従って前記基板処理装置2における前記基板200の処理の制御を行う制御部310と、を有する。すなわち、レシピデータは主コントローラ300の記憶部320が保有し、群管理装置400はネットワークを介し、このレシピデータの参照や書き換えができる。群管理装置400の調整部430は、気圧測定器500が測定して得た大気圧データから、記憶部420が格納するステップ時間調整モデル(以下、「STA」と略す。)を参照してレシピデータの調整を行う。
【0038】
なお、上記主コントローラ300の記憶部320若しくは外部記憶部340又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体には、基板200の処理条件を取得する条件取得手順と、取得した基板200の処理条件に従って基板200を処理する基板処理手順と、前記基板処理手順と並行して周期的に大気圧データを収集するデータ収集手順と、収集した前記大気圧データに基づいて前記基板200の処理条件を調整する調整手順と、をコンピュータによって基板処理装置2に実行させる、基板処理装置の制御プログラムが記録されている。
【0039】
(2)レシピデータ調整方法
本実施形態におけるレシピデータの調整方法を説明する前に、一般的に行われているレシピデータの調整方法の一例を図7に示す従来の成膜工程を参照しつつ説明する。ここで、図7においては、記載されている各ステップが左から右へ時系列的に順に実行されることを表しており、これについては後述する図8についても同様である。
【0040】
まず、主コントローラ300の制御部310が、記憶部320から所要のレシピデータを取得すると、準備(STANDBY)ステップにおいて、ボート217に基板200が装填される(図4参照)。成膜工程の準備が整ったら、次に、ボート搬入(B.LOAD(= Boat LOADing))ステップにおいて、基板200を保持したボート217が処理室201内へ搬入される。そして、真空ポンプ246を作動させガス排気管231(図5及び図6参照)を通じて、スロー排気(SP(= Slow Purge))ステップ、引き続きメイン排気(MP(= Main Purge))ステップが実行され、処理室201内が真空状態とされる。
【0041】
ここで、レシピデータにおける成膜時間を調整するトリガとなるステップである、大気圧調整(ATM1(= ATMosphere))ステップが実行される。このステップでは、群管理装置400が、気圧測定器500が測定した現在の大気圧データから、STAを参照して現時点で最適な成膜時間を算出する。そして、調整部430が、レシピデータの成膜時間を算出された成膜時間で書き換えた上で、成膜(DEPO(= DEPOsit))ステップにおいて、この算出された成膜時間の間、各ガス供給孔248a、248b、248c(図6参照)を通じて成膜ガスが処理室201に供給され、基板200上に成膜処理がされた半導体デバイスが製造される。成膜時間が経過すると、成膜ガスの供給を停止して、処理室201内の真空状態を解除してから、ボート搬出(B.ULOAD(= Boat UnLOADing))ステップによって成膜されて半導体デバイスとなった基板200が装填されたボート217が処理室201から搬出され、成膜工程は終了(END)する。
【0042】
以上より、上記に示すレシピデータ調整方法では、DEPOステップの開始前に、その時点で最適な成膜時間が算出され、レシピデータ内の成膜時間が書き換えられる。しかしながら、この書き換えはDEPOステップ開始前に1回のみ行われるため、DEPOステップが開始した後に大気圧が変動しても、その変動した大気圧に応じた成膜時間の調整を行うことが難しく、期待した成膜結果とならない場合がある。
【0043】
上記一般的に行われているレシピデータの調整方法の一例に対し、本実施形態におけるレシピデータの調整方法の一例を、図8及び図3を参照しつつ説明する。まず、主コントローラ300の制御部310が、記憶部320から所要のレシピデータを取得した後の、STANDBYステップ、B.LOADステップ、SPステップ及びMPステップについては、従来の調整方法と同様である。
【0044】
そして、第1成膜(DEPO1)ステップにおいて、取得したレシピデータにおける成膜時間の一部(たとえば、90%)の間だけ、成膜ガスが処理室201に供給され、基板200上に成膜処理がされる。このステップと並行して、群管理装置400の制御部410は、一定周期(たとえば、1秒ごと)で気圧測定器500が測定した大気圧データを取得し、これをその都度、装置データとして記憶部420に格納する。そして、DEPO1ステップの終了時に、格納された大気圧データの平均値が算出される。
【0045】
次いで、ATM1ステップにおいて、群管理装置400が、STAを参照して、算出された大気圧データの平均値に対応する成膜時間を算出する。そして、調整部430が、算出された成膜時間から、既に実行済みの成膜時間を減じて得られる調整成膜時間を算出した上で、この調整成膜時間の間、第2成膜(DEPO2)ステップがDEPO1ステップと同様に実行され、基板200上に成膜処理がされた半導体デバイスが製造される。そして、前記と同様にB.ULOADステップが実行されて、成膜工程は終了(END)する。
【0046】
上記の通り、本実施形態の調整方法は、成膜ステップの間の大気圧の変動に応じて、レシピデータの成膜時間を調整することができるので、特に成膜時間が長時間に及ぶ場合にも、期待される成膜結果で半導体デバイスを得ることが可能となる。なお、上記の例では、成膜ステップを前半部と後半部に分け、前半部で得た平均値をSTAに当てはめて最適な成膜時間を算出し、これに基づき後半部の時間を調整している。たとえば、前半部と後半部との割合はたとえば上述のように9:1とすることができるが、もちろん、この割合に固定されるものでなく、レシピデータにおける成膜時間の長さなどに応じ調整は可能である。また、最適な成膜時間の算出に、レシピデータの成膜時間の前半部における大気圧データの平均値を使用するため、前半部の比率が大きければ大きいほど最適な成膜時間に近づけることは可能となる一方で、後半部が短くなりすぎると調整に必要な時間が足りなくなる場合があるため、前半部と後半部との比率は適切に設定する必要がある。なお、成膜時間の前半部で既に最適な成膜時間を経過してしまっているような場合は、後半部の成膜時間を割愛して成膜工程を終了してしまうことも可能である。
【0047】
(4)ステップ時間調整モデル(STA)
上記でも言及したステップ時間調整モデル(STA)について、図9を参照しつつ詳述する。通常、レシピデータは、成膜時の大気圧が1気圧(1013hPa)であることを前提に作成されている。そのため、成膜工程の開始時に大気圧が1気圧でない場合は、基板200上の成膜速度がレシピデータで期待される成膜速度とは当然異なることになるため、この点を配慮して成膜時間を補正する必要がある。このような成膜開始時点の大気圧値と、これに対する最適な成膜時間との関係はモデル化でき、そのモデルがSTAである。ただしSTAには、成膜時の温度や圧力などの、成膜時間以外の条件が考慮されていないため、このような条件を同一にして使用する事が前提となる。したがって、必ずレシピと組み合わせて使用する必要がある。
【0048】
このモデルは、気圧値に対し最適な成膜ステップ時間を導く一次関数のグラフで、これを使用する事で1気圧以外の大気圧でも最適な成膜時間に補正し成膜ができる。ここで、基準となる気圧(たとえば、1気圧)をPとして、この時の最適な成膜時間がT(たとえば、3600秒)であるとする。なお、このTがレシピデータに設定されている成膜時間で、このモデルの基準となる。また、P以外の適当な気圧値(たとえば、1100hPa)をPとして、これに応じた最適な成膜時間(たとえば、3684秒)をあらかじめ求めておき、これをTとする。そして、(P,T)及び(P,T)の2点を通る一次関数のグラフが、STAである。このSTAに基づき、ATM1ステップで得られた気圧Pに対する最適な成膜時間Tは、下記式(1)にて算出することができる。
【0049】
={(T-T)P+(T-T)}/(P-P)・・・式(1)
【0050】
そして、前記した図8のDEPO1ステップで得られた大気圧の平均値を上記式(1)のPに代入すれば、調整された成膜時間としてのTを求めることができる。
【0051】
なお、半導体デバイスに必要とされる膜厚が異なる場合、基準となる気圧Pに対する成膜時間は上記Tとは異なる場合がある。このTとは異なる成膜時間がT’である場合、ATM1ステップで得られた気圧Pに対する最適な成膜時間T’は、上記式(1)で一旦Tを求めてから、下記式(2)により求めることができる。
【0052】
’=T(T’/T)+T’・・・式(2)
【0053】
たとえば、STAにおいて、1気圧(1013hPa)のPに対する成膜時間Tが3600秒である場合、同じPに対して成膜時間(T’)が7200秒である膜厚の半導体デバイスを製造しようとするときは、
’/T=7200/3600=2
であるから、ATM1ステップで得られた気圧Pに対する成膜時間Tをまず式(1)で求めてから、これを式(2)に当てはめて、この半導体デバイスに最適な成膜時間T’を、
’=2T+T
と求めることができる。
【0054】
以上により、基準となる気圧Pに対する成膜時間が異なるレシピデータに対しても、同一のSTAを適用して、気圧の変動に応じた最適な成膜時間を求めることができる。
【0055】
なお、STAは、あらかじめ成膜時間以外は同一の条件下で、様々な成膜時間に対して得られた膜厚の結果を実験により求めた結果得られるものである。たとえば、図10に示すような実験結果では、成膜時間と膜厚とは比例関係ではなく、短い成膜時間では傾きが急であるが、成膜時間が長くなるにつれて傾きが緩やかになってくる。
【0056】
本開示で使用するSTAはステップ時間と膜厚結果の実験結果からモデルを作るが、図10に示す様に酸化膜と時間の関係は完全な比例でなく立ち上がりが急で後半は安定する曲線を描くため、モデルを生成する際には、長時間レシピに適したデータを使用すべきである。これより図10では、左右2つの近似曲線のうち、右側の近似直線を採用する。
【0057】
以下、本実施形態の半導体デバイスの製造方法について、図11のフローチャートと図12のシーケンス図を参照しつつ説明する。
【0058】
本実施形態の半導体デバイスの製造方法は、基板の処理条件が取得される条件取得工程(S100)と、取得された基板の処理条件に従って基板が処理される基板処理工程(S200)と、前記基板処理工程と並行して周期的に大気圧データが収集されるデータ収集工程(S220)と、収集された前記大気圧データに基づいて前記基板の処理条件が調整される調整工程(S300)と、を有するものである。そして、前記調整された処理条件で前記基板処理工程が継続される(S400)。ここで、前記調整工程では、収集された前記大気圧データの平均値があらかじめ作成されたモデル(図9参照)に当てはめられることで得られた前記基板の処理条件が再取得される(S330)。
【0059】
なお、あらかじめ定められた条件が成就されると前記基板処理工程が中断され(S230)、前記基板処理工程の中断後に前記調整工程で前記基板の処理条件が再取得され(S330)、再取得された前記基板の処理条件に従って前記基板処理工程が再開される(S410)。なお、このあらかじめ定められた条件は、前記基板処理工程の処理開始からの所定時間の経過、又は、前記基板処理工程の所要時間に対する所定割合に相当する時間の経過のいずれかである(S230)。
【0060】
より詳しくは、まず、S100に示す段階で、基板処理装置2において制御部310が記憶部320から、基板の処理条件としてのレシピデータを取得する条件取得工程が実行される。
【0061】
次いで、S200のDEPO1ステップ(図8参照)において、S210に示す段階で、取得されたレシピデータに従って基板が処理される基板処理工程のうち、成膜時間の前半部が基板処理装置2で開始される。ここで、レシピデータの一部として記録されている成膜時間は、前半部と後半部とに分割され、DEPO1ステップではこのうち前半部の時間にわたり成膜処理が行われる。前半部と後半部とは、所定の割合(たとえば、9:1)で分割されていてもよいし、また、前半部を所定時間として、その余の時間を後半部としてもよい。
【0062】
基板処理工程が実行されるのと並行して、S200に示す段階で、群管理装置400は、周期的(たとえば、1秒ごと)に、気圧測定器500から大気圧データを収集するデータ収集工程が実行される。収集された大気圧データは、群管理装置400の記憶部420に格納される(図12参照)。
【0063】
そして、S230に示す段階で、制御部410によって、あらかじめ定められた条件として、成膜時間の前半部が経過したかどうかが判断される。経過していないと判断された場合は、成膜処理及び大気圧データの取得及び格納が続行される。一方、成膜時間の前半部が経過したと判断された場合は、あらかじめ定められた条件が成就されたとして、基板処理工程は中断され、S300のATM1ステップ(図8参照)へ進み、収集された前記大気圧データに基づいて前記基板の処理条件が調整される調整工程が実行される。
【0064】
調整工程では、まず、S310に示す段階で、群管理装置400の調整部430が、基板の処理条件としての成膜時間を調整する。具体的には、記憶部420に格納された大気圧データの平均値を算出する。次いで、S320に示す段階で、あらかじめ作成されたモデルであるSTA(図9参照)にこの平均を当てはめて、基板の処理条件である成膜時間が算出される。さらに、S330に示す段階で、この算出された成膜時間から、既に成膜処理が実行されている前半部の時間を減じて、後半部の時間が算出される。算出された後半部の時間は、群管理装置400の通信部450から基板処理装置2の通信部350へ送信され、基板処理装置2の制御部はこの後半部の時間で成膜時間を再設定する。
【0065】
なお、記憶部420に格納された大気圧データの取得に失敗した場合、あるいは大気圧データの保存に失敗した場合は、S310での大気圧データ平均値の算出時に、1気圧を大気圧データの平均値として扱う。
【0066】
基板処理装置2では、S400のDEPO2ステップ(図8参照)において、この調整された処理条件、すなわち後半部の時間を再取得して、S410に示す段階で、この処理条件に従って中断されていた基板処理工程が再開される。再開された基板処理工程は、S420に示す段階で後半部の時間の経過が判断されるまで継続される。
【0067】
以上述べたように、本実施形態では、レシピデータの成膜時間を前半部と後半部とに分割する。前半部では、成膜処理を行うと同時に大気圧データを取得及び格納する。前半部が終了すると大気圧データを元に成膜時間の調整が行われ、調整された成膜時間から後半部の成膜時間が算出される。そして、後半部の時間の間、成膜処理が再び係属される。以上によって、成膜処理の前半部の間で生じた大気圧の変化に応じて、後半部の成膜時間を調整することができる。よって、成膜処理の間で大気圧の変化が生じても、所望の膜厚を有する半導体デバイスを製造することが可能となっている。
【0068】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0069】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
基板の処理条件に従って基板を処理する工程と、
前記基板を処理する工程と並行して大気圧データを収集する工程と、
収集した前記大気圧データ用いて前記基板の処理条件を調整する工程と、
前記処理条件に従って前記基板処理の制御を行う工程と、
を有する半導体デバイスの製造方法が提供される。
【0070】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
前記調整した処理条件で前記基板を処理する工程を継続する。
【0071】
(付記3)
付記1に記載の方法であって、前記基板を処理する工程では、一定周期で前記大気圧データを取得するように構成する。
【0072】
(付記4)
付記1~3のいずれか1つに記載の方法であって、好ましくは、
前記基板の処理条件を調整する工程では、収集した前記大気圧データの平均値があらかじめ作成されたモデルに当てはめられることで得られた前記基板の処理条件を再取得する。
【0073】
(付記5)
付記4に記載の方法であって、好ましくは、
前記あらかじめ作成されたモデルは、ステップ時間と膜厚結果の実験結果より作成される。
【0074】
(付記6)
付記1~5のいずれか1つに記載の方法であって、好ましくは、
あらかじめ定められた条件が成就されると前記基板を処理する工程を中断し、
前記基板を処理する工程中断後に前記基板の処理条件を調整する工程で前記基板の処理条件を再取得し、
再取得した前記基板の処理条件に従って前記基板を処理する工程を再開する。
【0075】
(付記7)
付記1~6のいずれか1つに記載の方法であって、好ましくは、
前記あらかじめ定められた条件は、前記基板を処理する工程の処理開始からの所定時間の経過、又は、前記基板を処理する工程の所要時間に対する所定割合に相当する時間の経過のいずれかである。
【0076】
(付記8)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
大気圧データの収集あるいは取得に失敗した場合は、基準となる気圧を前記大気圧データの平均値として扱い、あらかじめ作成されたモデルに当てはめることで前記基板の処理条件を再取得する。
【0077】
(付記9)
本開示のさらに他の態様によれば、
基板を処理する処理室を備える基板処理装置と、
前記基板の処理と並行して大気圧データを収集する気圧測定器と、
前記気圧測定器が収集した大気圧データを用いて前記基板の処理条件の調整を行う調整部と、
前記調整した処理条件に従って前記基板処理装置における前記基板の処理の制御を行う制御部と、
を有する基板処理システムが提供される。
【0078】
(付記10)
本開示のさらに他の態様によれば、
基板の処理条件に従って基板を処理する手順と、
前記基板を処理する手順と並行して大気圧データを収集する手順と、
収集した前記大気圧データを用いて前記基板の処理条件を調整する手順と、
前記処理条件に従って前記基板処理の制御を行う手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム、又は、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【符号の説明】
【0079】
1 基板処理システム
2 基板処理装置
200 基板
201 処理室
310 制御部
430 調整部
500 気圧測定器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12