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特開2023-4738基板載置台、基板処理装置及び基板載置台の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004738
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】基板載置台、基板処理装置及び基板載置台の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230110BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20230110BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
C23C16/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106624
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 秀翔
【テーマコード(参考)】
4K030
5F131
【Fターム(参考)】
4K030GA02
5F131AA02
5F131CA06
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EB01
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】接着層の膜厚を管理すること。
【解決手段】静電チャック部材は、基板を静電吸着可能とされている。ベース部材は、静電チャック部材を支持する。接着層は、静電チャック部材及びベース部材を接着する。そして、ベース部材及び静電チャック部材の少なくとも一方は、接着された接着面に一体にスペーサ部が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を静電吸着可能な静電チャック部材と、
静電チャック部材を支持するベース部材と、
前記静電チャック部材及び前記ベース部材を接着する接着層と、
を有し、
前記ベース部材及び前記静電チャック部材の少なくとも一方は、接着された接着面に一体にスペーサ部が形成された
基板載置台。
【請求項2】
静電チャック部材は、セラミックスにより形成され、
前記ベース部材は、金属により形成された、
請求項1に記載の基板載置台。
【請求項3】
前記スペーサ部は、前記接着層による前記静電チャック部材と前記ベース部材を接着可能な強度を得つつ、前記接着面での伝熱特性の分布が均一となるように前記接着面に形成された
請求項1又は2に記載の基板載置台。
【請求項4】
前記スペーサ部は、前記接着面の面積の0.3%以下に形成された
請求項1~3の何れか1つに記載の基板載置台。
【請求項5】
前記ベース部材は、内部に温調媒体を流すための流路が形成された
請求項1~4の何れか1つに記載の基板載置台。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の基板載置台を有する基板処理装置。
【請求項7】
基板を静電吸着可能な静電チャック部材の第1の面、及び、前記静電チャック部材を支持するベース部材の第2の面の少なくとも一方に、一体にスペーサ部を形成する工程と、
前記静電チャック部材の第1の面と前記ベース部材の第2の面を接着剤により接着する工程と、
を有する基板載置台の製造方法。
【請求項8】
前記スペーサ部を形成する工程は、ブラスト加工、エッチング、グリーンシート、CVD(Chemical Vapor Deposition)何れかでスペーサ部を形成する
請求項7に記載の基板載置台の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板載置台、基板処理装置及び基板載置台の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基台と静電チャックを接着剤により接着した構成の載置台を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-27601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、接着層の膜厚を管理する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板載置台は、静電チャック部材と、ベース部材と、接着層とを有する。静電チャック部材は、基板を静電吸着可能とされている。ベース部材は、静電チャック部材を支持する。接着層は、静電チャック部材及びベース部材を接着する。そして、ベース部材及び静電チャック部材の少なくとも一方は、接着された接着面に一体にスペーサ部が形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、接着層の膜厚を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置の概略的な構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る基板支持部の概略的な構成の一例を示す図である。
図3図3は、従来の基台と静電チャックの接着の一例を説明する図である。
図4図4は、実施形態に係る基台と静電チャックの接着の一例を示す図である。
図5図5は、従来の基台と静電チャックを接着した状態の一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係る基台と静電チャックを接着した状態の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るスペーサ部をブラスト加工により形成する流れの一例を説明する図である。
図8図8は、実施形態に係るスペーサ部をグリーンシートにより形成する流れの一例を説明する図である。
図9図9は、実施形態に係る製造方法の処理順序の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本願の開示する基板載置台、基板処理装置及び基板載置台の製造方法の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、開示する基板載置台、基板処理装置及び基板載置台の製造方法が限定されるものではない。
【0009】
基板処理装置では、基板を安定して保持するため、基板を支持する基板載置台に静電チャックが設けられる。基板載置台は、基台と静電チャックとが接着剤により接着して構成される。接着剤を用いて基台と静電チャックを接着する際には、接着剤による接着層の膜厚管理のために、基台と静電チャックの間にスペーサと呼ばれる支柱が配置される。従来、このスペーサは、樹脂で形成されている。基台と静電チャックを接着剤により接着する際、荷重が加えられるが、スペーサが、この接着時の荷重によってつぶれてしまう。スペーサのつぶれ方は、常に変動するため、実質的には接着層の膜厚を管理できない。この結果、接着層の膜厚にばらつきが発生する。
【0010】
そこで、接着層の膜厚を管理する技術が期待されている。
【0011】
[実施形態]
[装置構成]
本開示の基板処理装置の一例について説明する。実施形態では、本開示の基板処理装置を、プラズマ処理を実施するプラズマ処理装置とした場合を例に説明する。図1は、実施形態に係るプラズマ処理装置1の概略的な構成の一例を示す図である。
【0012】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合プラズマ処理装置の構成例について説明する。容量結合プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
【0013】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。基台は、導電性部材を含む。基台の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。例えば、基板支持部11は、内部に温調媒体を流すための流路111cが本体部111に形成されている。流路111cは、基板Wが載置される中央領域111aに対応して、中央領域111aの全面に形成されている。流路111cには、冷媒、熱媒のような温調媒体が流れる。例えば、流路111cは、配管113を介してチラーユニット114と接続されている。チラーユニット114は、供給する冷媒の温度を制御可能とされている。プラズマ処理装置1は、チラーユニット114から温度を制御した冷媒(例えば冷却水)を流路111cに循環させることによって、基板支持部11の温度を制御可能な構成とされている。
【0014】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0015】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0016】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0017】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0018】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0019】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0020】
次に、実施形態に係る基板支持部11の構成について説明する。図2は、実施形態に係る基板支持部11の概略的な構成の一例を示す図である。
【0021】
基板支持部11は、基板Wを支持可能に構成されている。例えば、上述のように、基板支持部11の本体部111は、基板Wを支持するための基板支持面111aと、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面111bとを有する。基板Wは、本体部111の基板支持面111aに載置される。実施形態では、本体部111が、本開示の基板載置台に対応する。
【0022】
本体部111は、基台120及び静電チャック121を含む。基台120は、導電性部材を含む。例えば、基台120は、例えば、アルミニウムなどの導電性の金属により形成されている。基台120は、基板支持面111aの下方となる内部に流路111cが形成されている。
【0023】
静電チャック121は、例えば、セラミックなどの絶縁層と、当該絶縁層内に設けられた膜状の電極とを有している。静電チャック121は、内部に設けられた電極に不図示の電源から直流電圧が印加されことで静電引力を発生して、基板Wを引き付けて保持する。静電チャック121は、基台120に接着剤により接着されている。静電チャック121と基台120の間には、接着剤による接着層122が形成されている。
【0024】
このように、基板支持部11の本体部111は、基台120と静電チャック121とが接着剤により接着して構成される。
【0025】
ところで、従来、基台120と静電チャック121を接着する際には、接着層122の膜厚管理のために、樹脂で形成されたスペーサを支柱として設けていた。例えば、従来の基板載置台は、基台120又は静電チャック121の接着する接着面の中心位置や中心から同心円状の位置に複数のスペーサを配置し、接着面に接着剤を所定の厚さで塗布して基台120と静電チャック121を接着して製造する。図3は、従来の基台120と静電チャック121の接着の一例を説明する図である。基台120と静電チャック121の間には、スペーサ123が配置され、接着剤により接着されている。基台120と静電チャック121の間には、スペーサ123の周囲に接着剤による接着層122が示されている。スペーサ123は、ポリイミドなどの樹脂で形成されている。基台120と静電チャック121を接着剤により接着する際、荷重が加えられるが、スペーサ123が、この接着時の荷重によってつぶれてしまう。スペーサ123のつぶれ方は、常に変動するため、接着層122の膜厚を管理できない。例えば、スペーサ123の厚さを150μmに形成して接着層122の厚さを150μmとしようとしても、接着する際の荷重でスペーサ123がつぶれて接着層122の厚さが135μmから140μmとなってしまう。この結果、接着層122の膜厚にばらつきが発生し、接着層122の膜厚の均一性が低くなる。基板支持部11は、接着層122の膜厚の均一性が低いと、接着層122の伝熱特性の均一性が低下し、基板支持面111aの温度分布のばらつきが大きくなる。これにより、基板支持部11の基板支持面111aに載置した基板Wに基板処理を実施した場合に、温度分布のばらつきにより、基板Wの面内での基板処理結果の均一性が低下する場合がある。
【0026】
そこで、本実施形態では、基台120と静電チャック121の少なくとも一方に一体的にスペーサ部を形成する。以下では、静電チャック121に一体的にスペーサ部を形成する場合を例に説明する。
【0027】
図4は、実施形態に係る基台120と静電チャック121の接着の一例を示す図である。例えば、静電チャック121の基台120と接着する接着面121aに一体的にスペーサ部121bを形成する。本実施形態に係る本体部111は、スペーサ部121bの厚さによって、接着層122の膜厚を管理する。スペーサ部121bの厚さは、狙いたい接着層122の厚さに成形する。静電チャック121は、例えば、セラミックにより形成されている。スペーサ部121bは、静電チャック121を加工して一体的に形成するため、静電チャック121と同質、例えば、セラミックなどの剛性の高い素材で形成される。これにより、基台120と静電チャック121を接着剤により接着する際、荷重が加えられてもスペーサ部121bがつぶれることない。これにより、接着層122の膜厚を管理できる。この結果、基板支持部11は、接着層122の膜厚の均一性を高くでき、基板支持面111aの温度分布のばらつきを小さくできる。これにより、基板支持部11の基板支持面111aに載置した基板Wに基板処理を実施した場合に、基板Wの面内での基板処理結果の均一性の低下を抑制できる。
【0028】
実施形態に係る本体部111は、製造する場合、基台120又は静電チャック121の接着する接着面121aの中心位置や中心から同心円状の位置に複数のスペーサ部121bを形成する。そして、静電チャック121の接着面121aに接着剤を所定の厚さで塗布する。そして、基台120の静電チャック121と接着する接着面120aと静電チャック121の接着面121aを接着する。スペーサ部121bは、スペーサ123の場合と同じような配置で静電チャック121に形成することで、基台120と静電チャック121を安定して接着できる。また、スペーサ部121bは、剛性が高いため、スペーサ123の場合よりも、数を減らしても静電チャック121を安定して支持できる。
【0029】
ここで、従来のスペーサ123は、製造誤差等により厚さにばらつきが発生する場合があり、一部のスペーサ123が支柱として機能しない状態となる場合がある。図5は、従来の基台120と静電チャック121を接着した状態の一例を示す図である。図5では、基台120と静電チャック121の間に3つのスペーサ123a~123cが示されている。スペーサ123bは、スペーサ123a、123cよりも厚さが小さく、下面が基台120に接触しておらず、支柱として機能しない状態となっている。この場合、静電チャック121は、スペーサ123a、123cで支えられた状態となり、スペーサ123a、123cの間の部分に荷重がかかると撓みやすくなる。
【0030】
一方、本実施形態に係るスペーサ部121bは、高い精度で形成できる。例えば、ブラスト加工では、高さが1.5μm程度の誤差でスペーサ部121bを形成できる。図6は、本実施形態に係る基台120と静電チャック121を接着した状態の一例を示す図である。図6では、静電チャック121の接着面121aに3つのスペーサ部121bが示されている。3つのスペーサ部121bは、高い精度で同様の厚さに形成できるため、何れも下面が基台120に接触して支柱として機能する。これにより、3つのスペーサ部121bは、静電チャック121に荷重がかかった場合でも撓みを抑えて支持できる。
【0031】
また、スペーサ部121bは、剛性が高いため、スペーサ123の場合よりも、細くできる。例えば、従来、スペーサ123は、静電チャック121を支持するため、2mm程度の円柱形状とされる。一方、本実施形態では、スペーサ部121bを0.1mm程度の円柱形状としても静電チャック121を支持でできる。例えば、スペーサ部121bは、直径0.1mm~2.0mmの円柱形状に形成する。
【0032】
ところで、スペーサ123やスペーサ部121bは、接着層122と伝熱特性が異なる。このため、基板支持部11では、スペーサ123やスペーサ部121bの位置が基板支持面111aにおいて温度分布の特異点となりやすい。実施形態に係る本体部111では、スペーサ部121bを小さく形成できるため、スペーサ部121bが温度分布の特異点となることを抑制できる。
【0033】
スペーサ部121bは、接着層122による静電チャック121と基台120を接着可能な強度を得つつ、接着面での伝熱特性の分布が均一となるように接着面に形成する。基板支持面111aの温度分布の均一性を高めるには、静電チャック121の接着面121a内でのスペーサ部121bの面積の比率を大きくするか、又は小さくすることが好ましい。しかし、スペーサ部121bの面積の比率が大きくすると、接着層122の面積の比率が小さくなり、安定して接着できない場合がある。よって、静電チャック121の接着面121a内でのスペーサ部121bの面積の比率は、静電チャック121を安定して支持可能な範囲で小さくすることが好ましい。例えば、静電チャック121の接着面121a内でスペーサ部121bを形成する面積は、0.3%以下とすることが好ましい。これにより、基板支持面111aの温度分布の均一性を高めることができる。
【0034】
次に、スペーサ部121bを形成する加工方法について説明する。スペーサ部121bは、ブラスト加工、エッチング、グリーンシート、CVD(Chemical Vapor Deposition)などのより形成できる。
【0035】
図7は、実施形態に係るスペーサ部121bをブラスト加工により形成する流れの一例を説明する図である。図7の(A)~(C)は、スペーサ部121bをブラスト加工により形成する流れを模式的に示している。例えば、静電チャック121の基台120と接着する接着面121aのスペーサ部121bを設ける位置に、マスク124を施工する。次に、静電チャック121の接着面121aにブラスト加工を行う。これにより、接着面121aは、マスク124以外の部分が削られて凹み、マスク124の部分が残る。ブラスト完了後、マスク124を除去する。これにより、接着面121aには、凸状のスペーサ部121bが形成される。例えば、ブラスト加工では、高さが1.5μm程度の誤差でスペーサ部121bを形成できる。エッチングの場合は、ブラスト加工と同様に、スペーサ部121bを設ける位置にマスク124を施工してエッチングを行った後、マスク124を除去することでスペーサ部121bを形成できる。
【0036】
また、スペーサ部121bは、セラミック材料をシート状に形成したグリーンシートを積層した後、焼結することでも形成できる。図8は、実施形態に係るスペーサ部121bをグリーンシートにより形成する流れの一例を説明する図である。図8の(A)~(C)は、スペーサ部121bをグリーンシートにより形成する流れを模式的に示している。静電チャック121の接着面121aのスペーサ部121bを設ける位置に、グリーンシート125を必要な高さに対応して積層して設け、焼結する。これにより、接着面121aには、セラミックによる凸状のスペーサ部121bが形成される。CVDの場合は、スペーサ部121bを設ける位置以外にマスクを施工してCVDで成膜を行った後、マスクを除去することでスペーサ部121bを形成できる。
【0037】
基板支持部11の本体部111は、製造する工程において、ブラスト加工、エッチング、グリーンシート、CVDなどの工程が実施される場合がある。例えば、静電チャック121は、基板Wが載置される基板支持面111aにドットのパターンがブラスト加工により形成される。例えば、ドットのパターンを形成する製造工程を利用して、静電チャック121の接着面121aにスペーサ部121bを形成することで、新たに別な工程を追加することなく、スペーサ部121bを形成できる。
【0038】
なお、上述した実施形態では、静電チャック121の接着面121aにスペーサ部121bを形成する場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではない。基台120の接着面120aにスペーサ部を形成してもよい。この場合も、接着層122の膜厚を管理できる。
【0039】
次に、本体部111の製造方法について説明する。図9は、実施形態に係る製造方法の処理順序の一例を説明する図である。実施形態に係る製造方法では、最初に、静電チャック121の第1の面(接着面121a)、及び、基台120の第2の面(接着面120a)の少なくとも一方に、一体にスペーサ部を形成する(ステップS10)。例えば、静電チャック121の基台120と接着する接着面121aに、ブラスト加工、エッチング、グリーンシート、CVDなどのよりスペーサ部121bを形成する。
【0040】
実施形態に係る製造方法では、次に、静電チャック121の第1の面と基台120の第2の面を接着剤により接着し(ステップS10)、処理を終了する。例えば、静電チャック121の接着面121aに接着剤を所定の厚さで塗布する。そして、基台120の接着面120aと静電チャック121の接着面121aを接着する。
【0041】
実施形態に係る製造方法によれば、接着層122の膜厚を管理できる。
【0042】
以上のように、実施形態に係る基板載置台(本体部111)は、静電チャック部材(静電チャック121)と、ベース部材(基台120)と、接着層122とを有する。静電チャック部材は、基板Wを静電吸着可能とされている。ベース部材は、静電チャック部材を支持する。接着層122は、静電チャック部材及びベース部材を接着する。そして、ベース部材及び静電チャック部材の少なくとも一方は、接着された接着面(接着面120a、接着面121a)に一体にスペーサ部(スペーサ部121b)が形成されている。これにより、基板載置台は、荷重が加えられても、スペーサ部がつぶれることを抑制できるため、接着層122の膜厚を管理できる。この結果、基板載置台は、接着層122の膜厚の均一性を高くでき、温度分布のばらつきを小さくできる。
【0043】
また、静電チャック部材は、セラミックスにより形成されている。ベース部材は、金属により形成されている。これにより、基板載置台は、セラミックス又は金属によりスペーサ部を高剛性に形成でき、荷重が加えられても、スペーサ部がつぶれることを抑制できる。
【0044】
また、スペーサ部は、接着層による前記静電チャック部材と前記ベース部材を接着可能な強度を得つつ、前記接着面での伝熱特性の分布が均一となるように前記接着面に形成されている。これにより、基板載置台は、接着層122により静電チャック部材と、ベース部材を安定して接着しつつ、温度分布のばらつきを小さくできる。
【0045】
また、スペーサ部は、接着面の面積の75~92.4%に形成されている。これにより、基板載置台は、静電チャック部材とベース部材を安定して接着しつつ、接着面での温度分布の均一性を高めることができる。
【0046】
また、基板処理装置(プラズマ処理装置1)は、基板載置台(本体部111)を有する。これにより、基板処理装置は、基板載置台に載置した基板Wに基板処理(プラズマ処理)を実施した場合に、基板Wの面内での基板処理結果の均一性の低下を抑制できる。
【0047】
以上、実施形態について説明してきたが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上述した実施形態は、多様な形態で具現され得る。また、上述した実施形態は、請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0048】
例えば、上記の実施形態では、基板Wとして半導体ウェハにプラズマ処理を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。基板Wは、何れであってもよい。
【0049】
また、本開示に係る基板載置台は、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)装置だけでなく、その他の基板処理装置にも適用可能である。その他の基板処理装置としては、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)処理装置、ラジアルラインスロットアンテナを用いたプラズマ処理装置、ヘリコン波励起型プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)装置、電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR:Electron Cyclotron Resonance Plasma)装置等であってもよい。また、本開示に係る基板載置台は、プラズマ処理装置以外に、成膜装置や熱処理装置などの各種の基板処理装置に適用してもよい。
【0050】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 プラズマ処理装置
11 基板支持部
111 本体部
112 リングアセンブリ
120 基台
120a 接着面
121 静電チャック
121a 接着面
121b スペーサ部
122 接着層
123 スペーサ
124 マスク
125 グリーンシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9