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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047481
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】エッチング方法及びエッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230330BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156416
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 郁弥
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 裕輔
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA09
5F004BA09
5F004BB11
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004CA03
5F004CA06
5F004CA08
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA13
5F004DA14
5F004DA15
5F004DA24
5F004DA26
5F004DA29
5F004DB01
5F004EA05
5F004EA06
5F004EA07
5F004EA28
(57)【要約】
【課題】エッチングにより形成されるパターンの垂直加工性を向上する。
【解決手段】エッチング方法は、工程a)と工程b)と工程c)と工程d)と工程e)とを含む。工程a)は、酸素及び窒素を含まないシリコン含有膜と、シリコン含有膜上に形成されたマスクとを有する基板を提供する。工程b)は、ハロゲン含有ガスを含む第1処理ガスのプラズマによりシリコン含有膜をエッチングして、凹部を形成する。工程c)は、酸素含有ガスと、炭素、水素及びフッ素を含むガスとを含む第2処理ガスのプラズマにより凹部に酸化膜を形成する。工程d)は、工程c)の後に、第1処理ガスのプラズマによりシリコン含有膜をさらにエッチングする。工程e)は、工程c)及び工程d)を予め設定された回数繰り返し実行する。当該エッチング方法は、工程e)において、工程c)及び工程d)の少なくとも一方の処理条件を変更することにより、形成する酸化膜の厚みを変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)酸素及び窒素を含まないシリコン含有膜と、前記シリコン含有膜上に形成されたマスクとを有する基板を提供する工程と、
b)ハロゲン含有ガスを含む第1処理ガスのプラズマにより前記シリコン含有膜をエッチングして、凹部を形成する工程と、
c)酸素含有ガスと、炭素、水素及びフッ素を含むガスとを含む第2処理ガスのプラズマにより前記凹部に酸化膜を形成する工程と、
d)前記c)の後に、前記第1処理ガスのプラズマにより前記シリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、
e)前記c)及び前記d)を予め設定された回数繰り返し実行する工程と
を含み、
前記e)において、前記c)及び前記d)の少なくとも一方の処理条件を変更することにより、形成する前記酸化膜の厚みを変更する、エッチング方法。
【請求項2】
前記e)において、前記第2処理ガスにおける前記酸素含有ガスと前記炭素、水素及びフッ素を含むガスとの流量比を前記処理条件として変更することにより、形成する前記酸化膜の厚みを変更する、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記e)において、前記c)及び前記d)を少なくともn(nは2以上の自然数)回以上繰り返し実行し、
(n-1)回目までの前記c)において、前記酸素含有ガスに対する前記炭素、水素及びフッ素を含むガスの流量比を最大値に設定し、
n回目以降の前記c)において、当該流量比を前記最大値よりも低い値に変更することにより、形成する前記酸化膜の厚みを変更する、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記酸素含有ガスに対する前記炭素、水素及びフッ素を含むガスの流量比は、0.3以下である、請求項2又は3に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記e)において、前記c)の処理時間と前記d)の処理時間との比を前記処理条件として変更することにより、形成する前記酸化膜の厚みを変更する、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記e)において、前記c)及び前記d)を少なくともn(nは2以上の自然数)回以上繰り返し実行し、
(n-1)回目までの前記c)及び前記d)において、前記c)の処理時間に対する前記d)の処理時間の比を最小値に設定し、
n回目以降の前記c)及び前記d)において、当該比を前記最小値よりも高い値に変更することにより、形成する前記酸化膜の厚みを変更する、請求項5に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記c)の処理時間に対する前記d)の処理時間の比は、0.5以上5.0以下である、請求項5又は6に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記ハロゲン含有ガスは、
塩素含有ガス及び臭素含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つのハロゲン含有ガスである、請求項1~7のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記塩素含有ガスは、
Cl2、SiCl4及びHClからなる群から選択される少なくとも一つの塩素含有ガスである、請求項8に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記臭素含有ガスは、
HBr及びBr2からなる群から選択される少なくとも一つの臭素含有ガスである、請求項8に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記酸素含有ガスは、
O2、CO、CO2及びSO2からなる群から選択される少なくとも一つの酸素含有ガスである、請求項1~10のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記炭素、水素及びフッ素を含むガスは、CxHyFz(x、y、及びzは、自然数)ガス、並びにCxFy(x及びyは、自然数)ガス及びH2ガスを含む混合ガスの群から選択される少なくとも1種である、請求項1~11のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記炭素、水素及びフッ素を含むガスは、CH3F、CH2F2及びCHF3からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~11のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記炭素、水素及びフッ素を含むガスは、CF4ガス及びH2ガスである、請求項1~11のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記シリコン含有膜は、
シリコン膜、シリコンゲルマニウム膜、ドープシリコン膜、又は、これらの膜からなる群から選択される少なくとも2つの膜を含む積層膜である、請求項1~14のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記ドープシリコン膜は、
ボロンドープシリコン膜又はリンドープシリコン膜である、請求項15に記載のエッチング方法。
【請求項17】
処理空間を提供する処理チャンバと、
前記処理チャンバの内部に設けられ、基板を載置可能な載置台と、
前記処理チャンバの内部に処理ガスを供給するためのガス供給部と、
各部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
a)酸素及び窒素を含まないシリコン含有膜と、前記シリコン含有膜上に形成されたマスクとを有する基板を提供する工程と、
b)ハロゲン含有ガスを含む第1処理ガスのプラズマにより前記シリコン含有膜をエッチングして、凹部を形成する工程と、
c)酸素含有ガスと、炭素、水素及びフッ素を含むガスとを含む第2処理ガスのプラズマにより前記凹部に酸化膜を形成する工程と、
d)前記c)の後に、前記第1処理ガスのプラズマにより前記シリコン含有膜をさらにエッチングする工程と、
e)前記c)及び前記d)を所定回数繰り返し実行する工程と
を実行し、
前記e)において、前記c)及び前記d)の少なくとも一方の処理条件を変更することにより、形成する前記酸化膜の膜厚を変更する、エッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エッチング方法及びエッチング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコン膜及びパターンマスクが下から順に積層された基板のシリコン膜をハロゲン含有ガスのプラズマによりエッチングする技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-37091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エッチングにより形成されるパターンの垂直加工性を向上することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるエッチング方法は、工程a)と工程b)と工程c)と工程d)と工程e)とを含む。工程a)は、酸素及び窒素を含まないシリコン含有膜と、シリコン含有膜上に形成されたマスクとを有する基板を提供する工程である。工程b)は、ハロゲン含有ガスを含む第1処理ガスのプラズマによりシリコン含有膜をエッチングして、凹部を形成する工程である。工程c)は、酸素含有ガスと、炭素、水素及びフッ素を含むガスとを含む第2処理ガスのプラズマにより凹部に酸化膜を形成する工程である。工程d)は、工程c)の後に、第1処理ガスのプラズマによりシリコン含有膜をさらにエッチングする工程である。工程e)は、工程c)及び工程d)を予め設定された回数繰り返し実行する工程である。当該エッチング方法は、工程e)において、工程c)及び工程d)の少なくとも一方の処理条件を変更することにより、形成する酸化膜の厚みを変更する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、エッチングにより形成されるパターンの垂直加工性を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るエッチング方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図2A図2Aは、実施形態に係るエッチング方法の各工程における基板の状態の一例を示す図である。
図2B図2Bは、実施形態に係るエッチング方法の各工程における基板の状態の一例を示す図である。
図2C図2Cは、実施形態に係るエッチング方法の各工程における基板の状態の一例を示す図である。
図2D図2Dは、実施形態に係るエッチング方法の各工程における基板の状態の一例を示す図である。
図2E図2Eは、実施形態に係るエッチング方法の各工程における基板の状態の一例を示す図である。
図3図3は、酸化膜形成工程の一例を説明する図である。
図4図4は、酸化膜形成工程の一例を説明する図である。
図5図5は、酸化膜形成工程の一例を説明する図である。
図6図6は、実施形態に係るエッチング方法において用いる条件の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るエッチング装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
以下、実施形態の説明において、基板上に形成されるパターンの方向を説明する際には、基板表面に対して略垂直な方向を厚み方向または縦方向と呼ぶ。また、基板表面と略平行な方向を横方向と呼ぶ。基板が略円盤状の場合には、円盤の中心から円周に向かう基板表面と平行な方向を径方向とも呼ぶ。
【0010】
以下の説明中、「パターン」とは基板上に形成された形状全般を指す。パターンはホール、トレンチ、ラインアンドスペース、マスク、基板上に形成された複数の形状全体を指す。また、「凹部」とは基板上に形成されたパターンのうち、基板の厚み方向に窪んだ形状の部分を指す。また、凹部は、窪んだ形状の内周面である「側壁」、窪んだ形状の底部分である「底部」、および、側壁と連続する、側壁近傍の基板表面である「頂部」を有する。また、頂部の角に囲まれた空間を「開口」と呼ぶ。なお、「開口」という用語は、凹部の底部および側壁により囲まれる空間全体または空間の任意の位置を指すためにも使用する。
【0011】
ところで、高アスペクト比のパターンを形成するためのエッチングを行う際に基板に形状異常が発生することが知られている。例えば、縦方向に凹部を形成する際に凹部の内周面が横方向に膨らむ形状異常が発生することがある。このような形状異常はボーイングと呼ばれる。
【0012】
これに対し、ボーイングの発生を抑制するために凹部側壁に保護膜を形成する手法が提案されている。かかる手法として、例えば、酸素含有ガス及びハイドロフルオロカーボンガスを含む処理ガスのプラズマにより凹部側壁に保護膜である酸化膜を形成する手法がある。
【0013】
ボーイングが発生する位置は、基板上に形成されている膜の種類が変わる位置の直下であることが多い。例えば、エッチング対象であるシリコン膜の上にエッチングの際のマスクとなる層が積層されている場合、マスクとシリコン膜との間でエッチングレートが異なる。すなわち、マスクからシリコン膜に切り替わる位置でエッチング量が増え、マスク直下で横方向に開口が膨らみ、ボーイングが発生してしまう可能性が高い。ボーイングの発生は、エッチングにより形成されるパターンの垂直加工性を悪化させる要因となる。
【0014】
そこで、エッチングにより形成されるパターンの垂直加工性を向上することができる技術が期待されている。
【0015】
(実施形態に係るエッチング方法の流れの一例)
図1は、実施形態に係るエッチング方法の流れの一例を示すフローチャートである。図2A図2Eは、実施形態に係るエッチング方法の各工程における基板の状態の一例を示す図である。
【0016】
まず、基板200を提供する(ステップS101、図2A)。基板200は、積層された複数の層を有する。例えば、基板200は、シリコン含有膜201と、シリコン含有膜201上に形成されたマスク202とを有する(図2A参照)。シリコン含有膜201は、酸素及び窒素を含まないシリコン含有膜である。マスク202は、所定パターンを有する膜である。基板200に対して、複数回数の処理を実行する。図1中、処理の実行回数を「N」で示し、処理開始時に「N=1」と設定されるものとする。
【0017】
次に、ハロゲン含有ガスを含む第1処理ガスのプラズマによりシリコン含有膜201をエッチングする(ステップS102、図2B)。エッチングにより、シリコン含有膜201に凹部300を含むパターンが形成される。また、パターンが基板200上に形成される過程で、パターンの頂部にエッチングにより生じた副生成物250が付着する。
【0018】
次に、酸素含有ガスと、炭素、水素及びフッ素を含むガスとを含む第2処理ガスのプラズマにより凹部300に保護膜である酸化膜400を形成する(ステップS103、図2C)。酸化膜400は、凹部300の底部及び側壁を被覆するように形成される。酸化膜400の形成と同時に、第2処理ガスのプラズマに含まれるフッ素ラジカルにより、パターンの頂部から副生成物250が除去される。
【0019】
ここで、図3図5を参照して、酸化膜400の形成工程(ステップS103、図2C)の一例について説明する。図3図5は、酸化膜形成工程の一例を説明する図である。図3図5においては、凹部300内に位置するシリコン含有膜201の表面Sfが示されている。
【0020】
図3に示すように、シリコン含有膜201は、Si-Si結合からなるシリコンの結晶格子を構成している。酸素含有ガスと、炭素、水素及びフッ素を含むガスとを含む第2処理ガスのプラズマが生成されると、酸素ラジカル、フッ素ラジカル及び水素ラジカルが酸素含有ガスと、炭素、水素及びフッ素を含むガスとから解離する。酸素ラジカル、フッ素ラジカル及び水素ラジカルは、凹部300内に位置するシリコン含有膜201の表面Sfに吸着する。
【0021】
フッ素ラジカルは、シリコン結晶の格子間距離よりも原子半径が小さいため、表面Sfから深さ方向に侵入する。フッ素ラジカルは、酸素ラジカルよりも電気陰性度が高いため、表面Sfに吸着するとシリコンの結晶格子から電子を引き抜きフッ素の負イオン(F-)を形成する。フッ素の負イオン(F-)は、シリコンの結晶格子内部に侵入し、正に荷電したシリコンと反応する。これにより、フッ素の負イオン(F-)は、Si-Si結合を切断してイオン性結合であるSi-F結合を形成する。
【0022】
フッ素ラジカルは、図4に示すように、シリコンの未結合手(ダングリングボンド)及びSi-F結合を形成しながらシリコン含有膜201内に侵入する。そして、シリコンの未結合手に対して酸素、水素又はフッ素が結合する。これにより、Si-O結合、Si-H 結合及びSi-F結合が形成される。
【0023】
酸素を含む結合は、O-Si-O結合を形成して安定化する。シリコン含有膜201内の表層のフッ素は水素と結合してHFガスとして取り除かれ、シリコン含有膜201の表層に占めるフッ素の割合は減少する。これにより、図5に示すように、シリコン含有膜201の表層(つまり、凹部300の底部及び側壁)には、シリコン及び酸素が主成分である、高純度且つ高品質の酸化膜400が形成される。また、酸化膜400の形成工程では、第2処理ガスに酸素含有ガスだけでなく炭素、水素及びフッ素を含むガスが含まれる。これにより、酸化膜400の形成工程では、O2ガスのみを用いて酸化膜を形成する場合と比較して、酸化時間を短くすることができることから、トータルのエッチング時間を短くすることができる。その結果、スループットを改善することができる。
【0024】
図1及び図2の説明に戻る。次に、第1処理ガスのプラズマによりシリコン含有膜201をさらにエッチングする(ステップS104、図2D)。シリコン含有膜201をさらにエッチングすることにより、凹部300がより深くなる。エッチングにより、酸化膜400のうち、凹部300の底部を被覆する部分が除去され、凹部300の側壁を被覆する部分が残存する。
【0025】
次に、実行回数が予め設定された回数に達したか否かを判定する(ステップS105)。実行回数が予め設定された回数に達したと判定した場合(ステップS105、Yes)、処理は終了する。実行回数が予め設定された回数に達していないと判定した場合(ステップS105、No)、回数を更新し(ステップS106、N=N+1)、酸化膜形成工程(ステップS103)及びエッチング工程(ステップS104)を再度実行する。
【0026】
その後、実行回数が予め設定された回数に達するまでステップS103からステップS104までの処理が繰り返される。実行回数が予め設定された回数に達すると処理は終了する。酸化膜形成工程(ステップS103)及びエッチング工程(ステップS104)が繰り返されることで、図2Eに示す形状が得られる。
【0027】
図1の処理中、繰り返し実行される酸化膜形成工程(ステップS103)及びエッチング工程(ステップS104)の少なくとも一方の処理条件は、形成する酸化膜400の厚みが変更されるように、変更される。具体的には、凹部300の深さが比較的に浅い段階においては、酸化膜400の厚みが最大となるようにステップS103及びステップS104の少なくとも一方の処理条件を設定する。そして、エッチングの繰り返しにより凹部300の深さが所定値に達したときに、酸化膜400の厚みが減少するようにステップS103及びステップS104の少なくとも一方の処理条件を変更する。
【0028】
エッチングにおいては、マスク202がシリコン含有膜201に切り替わる位置(例えば、図2CにおいてR1に示す位置)においてボーイングが発生することが多い。マスク202からシリコン含有膜201に切り替わる位置は、凹部300を含むパターンの開口上部に位置する。そこで、実施形態に係るエッチング方法では、凹部300の深さが比較的に浅い段階における酸化膜400の厚みが最大となるように処理条件を変更することにより、エッチング後のボーイングの発生を抑制する。その結果、実施形態に係るエッチング方法によれば、エッチングにより形成されるパターンの垂直加工性を向上することができる。
【0029】
なお、シリコン含有膜201は、シリコン膜、シリコンゲルマニウム膜、ドープシリコン膜、又は、これらの膜からなる群から選択される少なくとも2つの膜を含む積層膜であってもよい。ドープシリコン膜は、ボロンドープシリコン膜又はリンドープシリコン膜であってもよい。
【0030】
マスク202は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜又はシリコンカーバイド膜であってもよい。マスク202は、タングステン(W)、チタン(Ti)又はハフニウム(Hf)等の金属を含有してもよい。
【0031】
また、ステップS102及びステップS104のエッチング工程においては、第1処理ガスに含まれるハロゲン含有ガスとして、塩素含有ガス及び臭素含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つのハロゲン含有ガスを使用することができる。塩素含有ガスは、Cl2、SiCl4及びHClからなる群から選択される少なくとも一つの塩素含有ガスを使用することができる。臭素含有ガスは、HBr及びBr2からなる群から選択される少なくとも一つの臭素含有ガスを使用することができる。
【0032】
また、ステップS103の酸化膜形成工程においては、第2処理ガスに含まれる酸素含有ガスとして、O2、CO、CO2及びSO2からなる群から選択される少なくとも一つの酸素含有ガスを使用することができる。
【0033】
また、ステップS103の酸化膜形成工程においては、炭素、水素及びフッ素を含むガスとして、CxHyFz(x、y、及びzは、自然数)ガス、並びにCxFy(x及びyは、自然数)ガス及びH2ガスを含む混合ガスの群から選択される少なくとも1種を使用することができる。例えば、炭素、水素及びフッ素を含むガスとして、CH3F、CH2F2及びCHF3からなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。また、例えば、炭素、水素及びフッ素を含むガスとして、CF4ガス及びH2ガスを使用することができる。
【0034】
(酸化膜の厚みを変更するための処理条件)
上記のように、実施形態に係るエッチング方法では、エッチングの繰り返しにより凹部300の深さが所定値に達するまでに、形成する酸化膜400の厚みを変更する。例えば、凹部300の深さが比較的に浅い段階における酸化膜400の厚みが最大となるように処理条件を変更する。
【0035】
かかるエッチング方法を実現するために変更すべき処理条件として、例えば、以下の2つの処理条件がある。
(1)第2処理ガスにおける酸素含有ガスと炭素、水素及びフッ素を含むガスとの流量比
(2)酸化膜形成工程(ステップS103)の処理時間とエッチング工程(ステップS104)の処理時間との比
【0036】
まず、処理条件として、第2処理ガスにおける酸素含有ガスと炭素、水素及びフッ素を含むガスとの流量比を変更することにより、形成する酸化膜400の厚みを変更する場合を説明する。酸化膜形成工程(ステップS103)及びエッチング工程(ステップS104)を少なくともn(nは2以上の自然数)回以上繰り返し実行する。
【0037】
そして、(n-1)回目までの酸化膜形成工程(ステップS103)において、酸素含有ガスに対する炭素、水素及びフッ素を含むガスの流量比を最大値に設定する。その後、n回目以降の酸化膜形成工程(ステップS103)において、酸素含有ガスに対する炭素、水素及びフッ素を含むガスの流量比を最大値よりも低い値に変更することにより、形成する酸化膜400の厚みを変更する(減少させる)。酸素含有ガスに対する炭素、水素及びフッ素を含むガスの流量比は、例えば、0.3以下である。
【0038】
このように、凹部300の深さが比較的に浅い段階における酸化膜400の厚みが最大となるように酸素含有ガスに対する炭素、水素及びフッ素を含むガスの流量比を変更することにより、ボーイングが発生しやすい箇所に最大の厚みの酸化膜400を形成できる。
【0039】
次いで、処理条件として、酸化膜形成工程(ステップS103)の処理時間とエッチング工程(ステップS104)の処理時間との比を変更することにより、形成する酸化膜400の厚みを変更する場合を説明する。酸化膜形成工程(ステップS103)及びエッチング工程(ステップS104)を少なくともn(nは2以上の自然数)回以上繰り返し実行する。
【0040】
そして、(n-1)回目までの酸化膜形成工程(ステップS103)及びエッチング工程(ステップS104)において、酸化膜形成工程の処理時間に対するエッチング工程の処理時間の比を最小値に設定する。その後、n回目以降の酸化膜形成工程及びエッチング工程において、酸化膜形成工程の処理時間に対するエッチング工程の処理時間の比を最小値よりも高い値に変更することにより、形成する酸化膜400の厚みを変更する(減少させる)。酸化膜形成工程の処理時間に対するエッチング工程の処理時間の比は、例えば、0.5以上5.0以下である。
【0041】
このように、凹部300の深さが比較的に浅い段階における酸化膜400の厚みが最大となるように酸化膜形成工程の処理時間に対するエッチング工程の処理時間の比を変更することにより、ボーイングが発生しやすい箇所に最大の厚みの酸化膜400を形成できる。
【0042】
(処理条件の変更例)
図6は、実施形態に係るエッチング方法において用いる条件の一例を示す図である。図6の例では条件として、「回数」、「処理時間(酸化膜形成)」、「処理時間(エッチング)」を設定している。「回数」は、処理の回数、すなわち何回目の処理であるかを示す。「処理時間(酸化膜形成)」は、対応する回数の処理における酸化膜形成工程(図1、ステップS103)の処理時間を示す。「処理時間(エッチング)」は、対応する回数の処理におけるエッチング工程(図1、ステップS104)の処理時間を示す。
【0043】
図6の例では、回数が1回以上4回以下のときに酸化膜形成工程の処理時間に対するエッチング工程の処理時間の比を最小値である1.5(=15/10)に設定する。その後、回数が5回以上40回以下のときに酸化膜形成工程の処理時間に対するエッチング工程の処理時間の比を最小値よりも高い3.5(=35/10)に変更する。図6の例は、処理が進んで凹部300の深さが所定値に達するまで処理時間の比を最小値に設定して酸化膜400の厚みを最大の厚みに維持し、その後に処理時間の比を下げて酸化膜400の厚みを減少させる条件である。なお、実施形態に係るエッチング方法において用いる処理時間の比の条件は特に限定されない。例えば、処理が進んで凹部300の深さが所定値に達するまで処理時間の比を最小値に設定し、その後に処理時間の比を徐々に下げる条件を用いてもよい。
【0044】
(実施形態に係るエッチング装置の構成例)
図7は、実施形態に係るエッチング装置の一例を示す図である。図7に示すエッチング装置はプラズマ処理システムである。以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。
【0045】
プラズマ処理システムは、誘導結合プラズマ処理装置(以下、単にプラズマ処理装置ともいう)1及び制御部2を含む。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。プラズマ処理チャンバ10は、誘電体窓101を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11、ガス導入部及びアンテナ14を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。アンテナ14は、プラズマ処理チャンバ10上又はその上方(すなわち誘電体窓101上又はその上方)に配置される。プラズマ処理チャンバ10は、誘電体窓101、プラズマ処理チャンバ10の側壁102及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。
【0046】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。基台は、導電性部材を含む。基台の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0047】
ガス導入部は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。一実施形態において、ガス導入部は、中央ガス注入部(CGI:Center Gas Injector)13を含む。中央ガス注入部13は、基板支持部11の上方に配置され、誘電体窓101に形成された中央開口部に取り付けられる。中央ガス注入部13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス流路13b、及び少なくとも1つのガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス流路13bを通過してガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。なお、ガス導入部は、中央ガス注入部13に加えて又はその代わりに、側壁102に形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0048】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介して中央ガス注入部13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0049】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及びアンテナ14に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオンを基板Wに引き込むことができる。
【0050】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、アンテナ14に結合され、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、アンテナ14に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0051】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、バイアスDC生成部32aを含む。一実施形態において、バイアスDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、バイアスDC信号を生成するように構成される。生成されたバイアスDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、バイアスDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。種々の実施形態において、バイアスDC信号は、パルス化されてもよい。なお、バイアスDC生成部32aは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0052】
アンテナ14は、1又は複数のコイルを含む。一実施形態において、アンテナ14は、同軸上に配置された外側コイル及び内側コイルを含んでもよい。この場合、RF電源31は、外側コイル及び内側コイルの双方に接続されてもよく、外側コイル及び内側コイルのうちいずれか一方に接続されてもよい。前者の場合、同一のRF生成部が外側コイル及び内側コイルの双方に接続されてもよく、別個のRF生成部が外側コイル及び内側コイルに別々に接続されてもよい。
【0053】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0054】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0055】
(実施形態の効果)
上記実施形態に係るエッチング方法は、工程a)と工程b)と工程c)と工程d)と工程e)とを含む。工程a)は、酸素及び窒素を含まないシリコン含有膜(例えば、シリコン含有膜201)と、シリコン含有膜上に形成されたマスク(例えば、マスク202)とを有する基板(例えば、基板200)を提供する工程である。工程b)は、ハロゲン含有ガスを含む第1処理ガスのプラズマによりシリコン含有膜をエッチングして、凹部(例えば、凹部300)を形成する工程である。工程c)は、酸素含有ガスと、炭素、水素及びフッ素を含むガスとを含む第2処理ガスのプラズマにより凹部に酸化膜(例えば、酸化膜400)を形成する工程である。工程d)は、工程c)の後に、第1処理ガスのプラズマによりシリコン含有膜をさらにエッチングする工程である。工程e)は、工程c)及び工程d)を予め設定された回数繰り返し実行する工程である。当該エッチング方法は、工程e)において、工程c)及び工程d)の少なくとも一方の処理条件を変更することにより、形成する酸化膜の厚みを変更する。これにより、実施形態によれば、エッチングにより形成されるパターンの垂直加工性を向上することができる。
【0056】
また、上記実施形態に係るエッチング方法は、工程e)において、第2処理ガスにおける酸素含有ガスと炭素、水素及びフッ素を含むガスとの流量比を処理条件として変更することにより、形成する酸化膜の厚みを変更してもよい。これにより、実施形態によれば、エッチングの繰り返しにより深くなる凹部の深さに応じて、形成する酸化膜の厚みを微細に調整できる。
【0057】
また、上記実施形態に係るエッチング方法は、工程e)において、工程c)及び工程d)を少なくともn(nは2以上の自然数)回以上繰り返し実行してもよい。また、エッチング方法は、(n-1)回目までの工程c)において、酸素含有ガスに対する炭素、水素及びフッ素を含むガスの流量比を最大値に設定してもよい。また、エッチング方法は、n回目以降の工程c)において、当該流量比を最大値よりも低い値に変更することにより、形成する酸化膜の厚みを変更してもよい。また、酸素含有ガスに対する炭素、水素及びフッ素を含むガスの流量比は、0.3以下であってもよい。これにより、実施形態によれば、エッチングによりパターンのボーイングが発生しやすい箇所に最大の厚みの酸化膜を形成できる。
【0058】
また、上記実施形態に係るエッチング方法は、工程e)において、工程c)の処理時間と行程d)の処理時間との比を処理条件として変更することにより、形成する酸化膜の厚みを変更してもよい。これにより、実施形態によれば、エッチングの繰り返しにより深くなる凹部の深さに応じて、形成する酸化膜の厚みを微細に調整できる。
【0059】
また、上記実施形態に係るエッチング方法は、工程e)において、工程c)及び工程d)を少なくともn(nは2以上の自然数)回以上繰り返し実行してもよい。また、上記実施形態に係るエッチング方法は、(n-1)回目までの工程c)及び工程d)において、工程c)の処理時間に対する行程d)の処理時間の比を最小値に設定してもよい。また、上記実施形態に係るエッチング方法は、n回目以降の工程c)及び工程d)において、当該比を最小値よりも高い値に変更することにより、形成する酸化膜の厚みを変更してもよい。また、工程c)の処理時間に対する行程d)の処理時間の比は、0.5以上5.0以下であってもよい。これにより、実施形態によれば、エッチングによりパターンのボーイングが発生しやすい箇所に最大の厚みの酸化膜を形成できる。
【0060】
また、上記実施形態において、ハロゲン含有ガスは、塩素含有ガス及び臭素含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つのハロゲン含有ガスであってよい。また、塩素含有ガスは、Cl2、SiCl4及びHClからなる群から選択される少なくとも一つの塩素含有ガスであってよい。また、臭素含有ガスは、HBr及びBr2からなる群から選択される少なくとも一つの臭素含有ガスであってよい。また、酸素含有ガスは、O2、CO、CO2及びSO2からなる群から選択される少なくとも一つの酸素含有ガスであってよい。また、炭素、水素及びフッ素を含むガスは、CxHyFz(x、y、及びzは、自然数)ガス、並びにCxFy(x及びyは、自然数)ガス及びH2ガスを含む混合ガスの群から選択される少なくとも1種であってよい。また、炭素、水素及びフッ素を含むガスは、CH3F、CH2F2及びCHF3からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。また、炭素、水素及びフッ素を含むガスは、CF4ガス及びH2ガスであってよい。また、シリコン含有膜は、シリコン膜、シリコンゲルマニウム膜、ドープシリコン膜、又は、これらの膜からなる群から選択される少なくとも2つの膜を含む積層膜であってよい。また、ドープシリコン膜は、ボロンドープシリコン膜又はリンドープシリコン膜であってよい。これにより、実施形態によれば、エッチングにより基板上の種々のシリコン含有膜に形成されるパターンの垂直加工性を向上することができる。
【0061】
以上、実施形態について説明してきたが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上述した実施形態は、多様な形態で具現され得る。また、上述した実施形態は、請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 プラズマ処理装置
2 制御部
2a コンピュータ
2a1 処理部
2a2 記憶部
2a3 通信インターフェース
10 プラズマ処理チャンバ
10e ガス排出口
10s プラズマ処理空間
11 基板支持部
13 中央ガス注入部
13a ガス供給口
13b ガス流路
13c ガス導入口
14 アンテナ
20 ガス供給部
21 ガスソース
22 流量制御器
30 電源
31 RF電源
31a 第1のRF生成部
31b 第2のRF生成部
32 DC電源
32a バイアスDC生成部
40 排気システム
101 誘電体窓
102 側壁
111 本体部
111a 中央領域
111b 環状領域
112 リングアセンブリ
200 基板
201 シリコン含有膜
202 マスク
250 副生成物
300 凹部
400 酸化膜
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7