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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047897
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20230330BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H01L23/12 N
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157079
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 隆志
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316CC52
5E316DD25
5E316DD33
5E316EE33
5E316FF15
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】電子部品との接合強度を向上すること。
【解決手段】配線基板は、配線パターン及びパッドを備える第1配線層と、前記第1配線層を被覆するとともに、上面から前記第1配線層の配線パターン及びパッドの表面を露出させる第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上面に形成される第2絶縁層と、前記第2絶縁層を前記第1配線層のパッドまで貫通する開口部と、前記第2絶縁層の開口部に形成されて前記第1配線層のパッドに接続するとともに、一端が前記第2絶縁層の開口部から突出し、前記一端に前記第1配線層のパッドよりも幅が大きい頂部を有する接続端子とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターン及びパッドを備える第1配線層と、
前記第1配線層を被覆するとともに、上面から前記第1配線層の配線パターン及びパッドの表面を露出させる第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上面に形成される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層を前記第1配線層のパッドまで貫通する開口部と、
前記第2絶縁層の開口部に形成されて前記第1配線層のパッドに接続するとともに、一端が前記第2絶縁層の開口部から突出し、前記一端に前記第1配線層のパッドよりも幅が大きい頂部を有する接続端子と
を有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記第1配線層は、
前記パッドの周囲に位置する複数の配線パターンを備え、
前記接続端子の前記頂部は、
前記第2絶縁層の上面において前記複数の配線パターンの少なくとも一つと平面視で重複する位置まで広がっていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1絶縁層の下面に形成される第2配線層と、
前記第1絶縁層を貫通して、前記第2配線層と前記第1配線層のパッドとを接続するビアと
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記接続端子の前記第2絶縁層の開口部内に位置する部分は、
前記頂部から前記第1配線層のパッドへ向かうにつれて幅が小さくなるテーパ形状を有し、
前記ビアは、
前記第2配線層から前記第1配線層のパッドへ向かうにつれて幅が小さくなるテーパ形状を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1絶縁層の下面に形成され、前記第2配線層を被覆する第3絶縁層と、
前記第3絶縁層の下面に形成される第3配線層と、
前記第3絶縁層を貫通して、前記第3配線層と前記第2配線層とを接続するビアと
をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項6】
支持体上に、配線パターン及びパッドを備える第1配線層を形成する工程と、
前記支持体上に、前記第1配線層を被覆する第1絶縁層を形成する工程と、
前記支持体を除去して、前記第1絶縁層の上面から前記第1配線層の配線パターン及び前記パッドを露出させる工程と、
前記第1絶縁層の上面に第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2絶縁層に、前記第1配線層のパッドまで貫通する開口部を形成する工程と、
前記第2絶縁層の開口部に、前記第1配線層のパッドに接続するとともに、一端が前記第2絶縁層の開口部から突出する接続端子を形成する工程とを有し、
前記接続端子を形成する工程は、
前記第2絶縁層の開口部から突出する一端に、前記第1配線層のパッドよりも幅が大きい頂部を有する前記接続端子を形成する
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記支持体を除去する工程の前に、前記第1絶縁層に、前記パッドまで貫通する開口部を形成する工程と、
前記開口部が形成された前記第1絶縁層の下面に第2配線層を形成する工程と
をさらに有し、
前記第2配線層を形成する工程では、
前記第1絶縁層の開口部に、前記第1絶縁層を貫通するビアが形成され、前記第2配線層と前記パッドとが前記ビアによって接続される
ことを特徴とする請求項6に記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1絶縁層の下面に前記第2配線層を被覆する第3絶縁層を形成する工程と、
前記第3絶縁層に、前記第2配線層まで貫通する開口部を形成する工程と、
前記第3絶縁層の下面に第3配線層を形成する工程と
をさらに有し、
前記第2絶縁層を形成する工程は、
第3絶縁層を形成する工程と並行して行われ、
前記第2絶縁層に開口部を形成する工程は、
前記第3絶縁層に開口部を形成する工程と並行して行われ、
前記接続端子を形成する工程は、
前記第3配線層を形成する工程と並行して行われ、
前記第3配線層を形成する工程では、
前記第3絶縁層の開口部に、前記第3絶縁層を貫通するビアが形成され、前記第3配線層と前記第2配線層とが前記ビアによって接続される
ことを特徴とする請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体チップなどの電子部品が搭載される配線基板には、半導体チップなどの電子部品との接続端子が形成される。接続端子は、配線層とのショート不良を回避する観点から、配線層を被覆する絶縁層とは異なる他の絶縁層に設けられることがある。
【0003】
このような接続端子を有する配線基板は、例えば支持体を用いて作製される。具体的には、支持体上に配線パターン及びパッドを備える配線層が形成され、配線層を被覆する絶縁層が形成され、その後、支持体が除去され、露出した絶縁層の露出面に他の絶縁層が積層される。そして、接続端子は、配線層を被覆する絶縁層とは異なる他の絶縁層に、例えばセミアディティブ法により形成される。すなわち、接続端子は、他の絶縁層に、絶縁層の露出面における配線層のパッドまで貫通する開口部が形成され、他の絶縁層の開口部において、例えば電解銅めっきが施されることにより、形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-63801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、配線層を被覆する絶縁層とは異なる他の絶縁層に接続端子を有する配線基板においては、接続端子における電子部品との接合強度が十分ではないという問題がある。
【0006】
すなわち、上述した配線基板においては、接続端子の他の絶縁層の開口部から突出する頂部の幅は、開口部の底部において露出する配線層のパッドの幅と概ね等しいのが一般的である。配線層のパッドは、配線パターンと隣接して配置されている。このため、配線パターンの配置が微細化されて配線層のパッドの幅が小さくなるほど、この配線層のパッドの幅と等しい接続端子の頂部の幅も小さくなる。結果として、接続端子の頂部と電子部品の電極との接続面積が小さくなり、接続端子における電子部品との接合強度が低下するおそれがある。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、電子部品との接合強度を向上することができる配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する配線基板は、一つの態様において、配線パターン及びパッドを備える第1配線層と、前記第1配線層を被覆するとともに、上面から前記第1配線層の配線パターン及びパッドの表面を露出させる第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上面に形成される第2絶縁層と、前記第2絶縁層を前記第1配線層のパッドまで貫通する開口部と、前記第2絶縁層の開口部に形成されて前記第1配線層のパッドに接続するとともに、一端が前記第2絶縁層の開口部から突出し、前記一端に前記第1配線層のパッドよりも幅が大きい頂部を有する接続端子とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する配線基板一つの態様によれば、電子部品との接合強度を向上することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る配線基板の構成を示す図である。
図2図2は、第2絶縁層の上面の接続端子の頂部周辺を拡大して示す平面透視図である。
図3図3は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図4図4は、支持体の具体例を示す図である。
図5図5は、第1配線層形成工程の具体例を示す図である。
図6図6は、第1絶縁層形成工程の具体例を示す図である。
図7図7は、開口部形成工程の具体例を示す図である。
図8図8は、第2配線層形成工程の具体例を示す図である。
図9図9は、支持体除去工程の具体例を示す図である。
図10図10は、第2絶縁層及び第3絶縁層形成工程の具体例を示す図である。
図11図11は、開口部形成工程の具体例を示す図である。
図12図12は、接続端子及び第3配線層形成工程の具体例を示す図である。
図13図13は、ソルダーレジスト層形成工程の具体例を示す図である。
図14図14は、切断工程の具体例を示す図である。
図15図15は、半導体チップ搭載工程の具体例を示す図である。
図16図16は、変形例に係る配線基板の構成を示す図である。
図17図17は、変形例に係る半導体装置の製造方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図18図18は、支持体除去工程の具体例を示す図である。
図19図19は、第2絶縁層形成工程の具体例を示す図である。
図20図20は、開口部形成工程の具体例を示す図である。
図21図21は、接続端子形成工程の具体例を示す図である。
図22図22は、ソルダーレジスト層形成工程の具体例を示す図である。
図23図23は、切断工程の具体例を示す図である。
図24図24は、半導体チップ搭載工程の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する配線基板及び配線基板の製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る配線基板10の構成を示す図である。図1においては、配線基板10の断面を模式的に示している。図1に示す配線基板10は、例えば半導体チップを搭載する半導体装置の基板として利用することが可能である。
【0013】
配線基板10は、積層構造となっており、ビルドアップ層100及びソルダーレジスト層200、300を有する。ビルドアップ層100は、さらに、第1層110、第2層120及び第3層130に分かれる。以下においては、図1に示すように、ソルダーレジスト層300が最下層であり、ソルダーレジスト層200が最上層であるものとして説明するが、配線基板10は、例えば上下反転して用いられても良く、任意の姿勢で用いられて良い。
【0014】
第1層110は、導電性の第1配線層111と絶縁性の第1絶縁層112と導電性の第2配線層113とから形成される層である。第1配線層111は、例えば銅や銅合金などの金属を用いて形成される。第1配線層111には、配線パターン111a及びパッド111bが含まれる。第1絶縁層112は、第1配線層111の裏面(下面)および側面を被覆しており、第1絶縁層112の上面112aから第1配線層111の配線パターン111a及びパッド111bの表面が露出する。第1絶縁層112は、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びシアネート樹脂等の耐熱性を有し、非感光性及び熱硬化性の絶縁樹脂を用いて形成される。第2配線層113は、第1絶縁層112の下面112bに形成される。第2配線層113は、例えば例えば銅や銅合金などの金属を用いて形成される。第2配線層113と第1配線層111のパッド111bとは、第1絶縁層112を貫通するビア114によって接続される。
【0015】
第2層120は、第1層110の上方に隣接して積層され、絶縁性の第2絶縁層121から形成される層である。第2絶縁層121は、第1絶縁層112の上面112aに、第1配線層111の配線パターン111a及びパッド111bの露出面を被覆するように形成される。第2絶縁層121は、ビルドアップ層100の上面側の最外絶縁層である。第2絶縁層121の材料は、例えば第1絶縁層112と同様とすることができる。
【0016】
ビルドアップ層100の第2層120(つまり、第2絶縁層121)側は、例えば半導体チップなどの電子部品が搭載される面である。半導体チップが搭載される位置においては、第2絶縁層121に開口部121aが形成される。第2絶縁層121は、非感光性の熱硬化性樹脂を用いて形成されるため、レーザ加工により開口部121aを形成することが可能である。
【0017】
開口部121aには、第1配線層111のパッド111bと半導体チップの電極とを接続する接続端子410が形成される。接続端子410の開口部121aから突出する頂部411は、第1配線層111のパッド111bよりも幅が大きく、第2絶縁層121の上面において開口部121aの周囲の所定範囲まで広がっている。
【0018】
接続端子410の頂部411の幅が第1配線層111のパッド111bの幅よりも大きいため、配線パターン111aの配置が微細化されてパッド111bの幅が小さくなっても、接続端子410の頂部411の表面積の減少を抑制することができる。そして、例えば半導体チップが接続端子410の上方に搭載される場合、接続端子410の頂部411と半導体チップの電極との接続面積が大きくなり、接続端子410における半導体チップとの接合強度を向上することができる。なお、接続端子410の頂部411が第2絶縁層121の上面において広がる範囲については、後述する。
【0019】
第3層130は、第1層110の下方に隣接して積層され、絶縁性の第3絶縁層131と導電性の第3配線層132とから形成される層である。第3絶縁層131は、第1絶縁層112の下面112bに、第2配線層113を被覆するように形成される。第3絶縁層131は、ビルドアップ層100の下面側の最外絶縁層である。第3絶縁層131の材料は、例えば第1絶縁層112と同様とすることができる。第3配線層132は、第3絶縁層131の下面に形成される。第3配線層132の材料は、例えば第1配線層111と同様とすることができる。第3絶縁層131を介して隣接する第3配線層132及び第2配線層113は、必要に応じて第3絶縁層131を貫通するビア133によって接続される。
【0020】
ソルダーレジスト層200は、ビルドアップ層100の上面側の最外層である第2層120を被覆する層である。ソルダーレジスト層200は、例えばアクリル樹脂及びポリイミド樹脂等の絶縁性の感光性樹脂からなる層であり、絶縁層の1つである。なお、ソルダーレジスト層200は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性の非感光性樹脂を用いて形成されても良い。
【0021】
配線基板10のソルダーレジスト層200側は、例えば半導体チップなどの電子部品の搭載面に対応する領域である。半導体チップの搭載面に対応する位置には、ソルダーレジスト層200に開口部201が形成され、開口部201の底面において接続端子410の頂部411が露出する。ソルダーレジスト層200が感光性樹脂を用いて形成される場合には、露光・現像により開口部201を形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層200が非感光性樹脂を用いて形成される場合には、レーザ加工により開口部201を形成することが可能である。
【0022】
ソルダーレジスト層300は、ビルドアップ層100の下面側の最外層である第3層130の第3配線層132を被覆し、配線を保護する層である。ソルダーレジスト層300は、例えばアクリル樹脂及びポリイミド樹脂等の絶縁性の感光性樹脂からなる層であり、絶縁層の1つである。なお、ソルダーレジスト層300は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性の非感光性樹脂を用いて形成されても良い。
【0023】
配線基板10のソルダーレジスト層300側は、外部の部品や機器などに接続される面である。外部の部品や機器と電気的に接続する外部接続端子が形成される位置においては、ソルダーレジスト層300に開口部301が形成され、開口部301からビルドアップ層100の第3層130の第3配線層132が露出する。開口部301には、例えばはんだボールなどの外部接続端子が形成されても良い。また、はんだボールを設けずに、開口部301から露出する第3配線層132の部分を外部接続端子として用いても良い。ソルダーレジスト層300が感光性樹脂を用いて形成される場合には、露光・現像により開口部301を形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層300が非感光性樹脂を用いて形成される場合には、レーザ加工により開口部301を形成することが可能である。
【0024】
ここで、第2絶縁層121の上面において接続端子410の頂部411が広がる範囲について、図2を参照して説明する。図2は、第2絶縁層121の上面の接続端子410の頂部411周辺を拡大して示す平面透視図である。第2絶縁層121は、第1絶縁層112の上面112aに形成され、第1絶縁層112の上面112aにおいて露出する第1配線層111の配線パターン111a及びパッド111bの露出面を被覆している。図2の平面透視図には、第2絶縁層121によって被覆される第1配線層111の配線パターン111a及びパッド111bの露出面が示されている。そして、例えば図2に示すように、パッド111bの周囲に複数の配線パターン111aが位置する場合、接続端子410の頂部411は、第2絶縁層121の上面において複数の配線パターン111aの少なくとも一つと平面視で重複する位置まで広がっている。第1配線層111のパッド111bの径は、例えば60μm以上120μm以下の範囲内であり、接続端子410の頂部411の径は、例えば80μm以上である。また、パッド111bの周囲に位置する複数の配線パターン111aのピッチは、例えば10μm以上40μm以下の範囲内であり、配線パターン111aとパッド111bとのピッチは、例えば8μm以上12μm以下の範囲内である。例えば、パッド111bの径が60μm、複数の配線パターン111aのピッチが10μm、接続端子410の頂部411の径が80μmである場合、接続端子410の頂部411は、パッド111bを挟む2つの配線パターン111aと平面視で重複する。また、例えば、パッド111bの径が60μm、複数の配線パターン111aのピッチが10μm、接続端子410の頂部411の径が100μmである場合、接続端子410の頂部411は、パッド111bを挟む4つの配線パターン111aと平面視で重複する。図2には、接続端子410の頂部411がパッド111bを挟む4つの配線パターン111aと平面視で重複する状態が示されている。
【0025】
このように、接続端子410の頂部411が複数の配線パターン111aの少なくとも一つと平面視で重複する位置まで広がることにより、接続端子410の頂部411の表面積を増大させることができる。結果として、接続端子410の頂部411と半導体チップの電極との接続面積がより大きくなり、接続端子410と半導体チップとの接合強度をより向上することができる。
【0026】
次に、上記のように構成された配線基板10を有する半導体装置の製造方法について、具体的に例を挙げながら、図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の流れの一例を示すフローチャートである。
【0027】
まず、配線基板10を製造するベースとなる支持体500が準備される(ステップS101)。具体的には、例えば図4に示すように、基体501の平坦な上面に、第1金属層502及び第2金属層503が順に形成されることにより、支持体500が提供される。図4は、支持体500の具体例を示す図である。基体501は、例えばガラス繊維やアラミド繊維等の織布や不織布等の補強材にエポキシ系絶縁樹脂等を含侵させたプリプレグである。第1金属層502は、例えば銅からなる金属箔であり、上面に剥離層(不図示)を有する。第2金属層503は、例えば銅からなる金属箔であり、剥離層(不図示)を介して第1金属層502上に積層される。
【0028】
なお、支持体500上には、例えば格子状に、複数の配線基板形成領域500Aが設けられており、各配線基板形成領域500Aに対応する領域に配線基板10が形成される。すなわち、1枚の支持体500を用いて複数の配線基板10が形成される。
【0029】
支持体500が準備されると、第2金属層503上に第1配線層111が形成される(ステップS102)。具体的には、第2金属層503上に配線パターン形成部分及びパッド形成部分に開口を設けためっきレジスト層が形成され、めっきレジスト層の開口から露出する第2金属層503上に例えば電解銅めっきを施し、電解めっき層を形成する。めっきレジスト層は、例えばドライフィルムレジストを用いて形成されており、めっきレジスト層の開口は、例えばフォトリソグラフィ又はレーザ加工によって形成することが可能である。その後、例えば図5に示すようにめっきレジスト層を剥離液により除去することにより、配線パターン111a及びパッド111bを有する第1配線層111が形成される。図5は、第1配線層形成工程の具体例を示す図である。
【0030】
第1配線層111が形成されると、第2金属層503上に、第1配線層111を被覆する第1絶縁層112が形成される(ステップS103)。すなわち、例えば図6に示すように、第2金属層503上に、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びシアネート樹脂等の耐熱性を有し、非感光性及び熱硬化性の樹脂からなる第1絶縁層112が第1配線層111を被覆するように積層される。図6は、第1絶縁層形成工程の具体例を示す図である。第1絶縁層112は、第2金属層503上に、上下反転された状態で形成される。すなわち、第1絶縁層112の第2金属層503と接する面が上面112aとなり、第1絶縁層112の第2金属層503とは反対側に位置する面が下面112bとなる。
【0031】
第1絶縁層112のビア114が形成される位置には、開口部が形成される(ステップS104)。すなわち、例えば図7に示すように、第1絶縁層112を貫通し、第1配線層111のパッド111bまで到達する開口部112cが例えばレーザ加工によって形成される。図7は、開口部形成工程の具体例を示す図である。開口部112cの底面には、第1配線層111のパッド111bが露出する。開口部112cは、第1絶縁層112の下面112bから第1配線層111のパッド111bへ向かうにつれて幅(径)が小さくなるテーパ形状を有する。
【0032】
そして、開口部112cが形成された第1絶縁層112上に第2配線層113が形成される(ステップS105)。第2配線層113は、例えばセミアディティブ法により形成される。この場合、開口部112cの内壁面及び第1絶縁層112の下面112bに、例えば無電解銅めっきによってシード層を形成する。次いで、シード層上に配線パターン形成部分に開口を設けためっきレジスト層を形成する。次いで、めっきレジスト層の開口から露出するシード層上に例えば電解銅めっきを施し、電解めっき層を形成する。次いで、めっきレジスト層を除去する。この後、電解めっき層から露出するシード層をエッチングで除去することにより、第1絶縁層112の下面112bに、所望の配線パターンを有する第2配線層113が形成される。
【0033】
このとき、例えば図8に示すように、第1絶縁層112の開口部112cには、電解銅めっきが充填されることで第1絶縁層112を貫通するビア114が形成され、第2配線層113と第1配線層111のパッド111bとがビア114によって接続される。図8は、第2配線層形成工程の具体例を示す図である。開口部112cが第1絶縁層112の下面112bから第1配線層111のパッド111bへ向かうにつれて幅(径)が小さくなるテーパ形状を有するため、ビア114は、開口部112cに応じたテーパ形状を有する。すなわち、ビア114は、第1絶縁層112の下面112b上の第2配線層113から第1配線層111のパッド111bへ向かうにつれて幅(径)が小さくなるテーパ形状を有する。
【0034】
第2配線層113が形成されると、ビルドアップ層100の第1層110が得られる。すなわち、支持体500上に、第1配線層111、第1絶縁層112及び第2配線層113が形成された第1層110が形成される。
【0035】
第1層110が形成されると、第1層110から支持体500が除去される(ステップS106)。具体的には、まず、第1金属層502の剥離層(不図示)から第2金属層503よりも上層が剥離され、次いで、第1絶縁層112の上面112aと接する第2金属層503がエッチングにより除去される。これにより、例えば図9に示すように、第1絶縁層112の上面112aが露出するとともに、第1絶縁層112の上面112aにおいて第1配線層111の配線パターン111a及びパッド111bが露出する。図9は、支持体除去工程の具体例を示す図である。
【0036】
支持体500が除去されると、第1絶縁層112の上面112aに第2絶縁層121が形成されるとともに、第1絶縁層112の下面112bに第3絶縁層131が形成される(ステップS107)。すなわち、例えば図10に示すように、第1絶縁層112の上面112aに、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びシアネート樹脂等の耐熱性を有し、非感光性及び熱硬化性の樹脂からなる第2絶縁層121が積層される。また、第1絶縁層112の下面112bに、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びシアネート樹脂等の耐熱性を有し、非感光性及び熱硬化性の樹脂からなる第3絶縁層131が積層される。図10は、第2絶縁層及び第3絶縁層形成工程の具体例を示す図である。図10においては、図9に示す構造体を上下反転して示している。なお、第2絶縁層121の形成と第3絶縁層131の形成とは、必ずしも並行して行われなくても良く、任意の順序で行われても良い。
【0037】
そして、例えば図11に示すように、半導体チップが搭載される側の第2絶縁層121には、半導体チップとの接続端子410が設けられる位置に開口部121aが例えばレーザ加工によって形成される(ステップS108)。図11は、開口部形成工程の具体例を示す図である。開口部121aの底面には、第1配線層111のパッド111bが露出する。開口部121aは、第2絶縁層121の上面から第1配線層111のパッド111bへ向かうにつれて幅(径)が小さくなるテーパ形状を有する。一方、第3絶縁層131のビア133が形成される位置には、開口部131aが例えばレーザ加工によって形成される。開口部131aの底面には、第2配線層113が露出する。開口部131aは、第3絶縁層131の下面から第2配線層113へ向かうにつれて幅(径)が小さくなるテーパ形状を有する。なお、開口部121aの形成と開口部131aの形成とは、必ずしも並行して行われなくても良く、任意の順序で行われても良い。
【0038】
そして、第2絶縁層121の開口部121aに接続端子410が形成されるとともに、第3絶縁層131の下面に第3配線層132が形成される(ステップS109)。接続端子410は、例えばセミアディティブ法により形成される。すなわち、開口部121aの内壁面及び第2絶縁層121の上面に、例えば無電解銅めっきによってシード層を形成する。次いで、シード層上に接続端子形成部分に開口を設けためっきレジスト層を形成する。次いで、めっきレジスト層の開口から露出するシード層上に例えば電解銅めっきを施し、電解めっき層を形成する。次いで、めっきレジスト層を除去する。この後、電解めっき層から露出するシード層をエッチングで除去することにより、接続端子410が形成される。接続端子410は、例えば図12に示すように、第2絶縁層121の開口部121aの位置において、第1配線層111のパッド111bに接続する。図12は、接続端子及び第3配線層形成工程の具体例を示す図である。
【0039】
接続端子410の形成時には、第2絶縁層121の上面には、第1配線層111のパッド111bよりも幅(径)が大きい頂部411が形成される。すなわち、第2絶縁層121の上面においては、電解銅めっきが開口部121aの周囲の所定範囲まで広がった状態で析出することにより、第1配線層111のパッド111bよりも幅(径)が大きい頂部411が形成される。例えば、第1配線層111のパッド111bの周囲に複数の配線パターン111aが位置する場合、接続端子410の頂部411は、第2絶縁層121の上面において複数の配線パターン111aの少なくとも一つと平面視で重複する位置まで広がる。これにより、接続端子410の頂部411の表面積が第1配線層111のパッド111bの表面積と比べて大きくなる。その結果、例えば半導体チップが接続端子410の上方に搭載される場合、接続端子410の頂部411と半導体チップの電極との接続面積が大きくなり、接続端子410における半導体チップとの接合強度を向上することができる。
【0040】
また、開口部121aが第2絶縁層121の上面から第1配線層111のパッド111bへ向かうにつれて幅(径)が小さくなるテーパ形状を有するため、接続端子410の開口部121a内に位置する部分は、開口部121aに応じたテーパ形状を有する。すなわち、接続端子410の開口部121a内に位置する部分は、頂部411から第1配線層111のパッド111bへ向かうにつれて幅(径)が小さくなるテーパ形状を有する。接続端子410の開口部121a内に位置する部分のテーパ形状は、第2配線層113と第1配線層111のパッド111bとを接続するビア114のテーパ形状とは逆向きのテーパ形状である。これにより、第1配線層111のパッド111bの幅(径)が比較的に小さい場合であっても、接続端子410及びビア114をパッド111bに確実に接続することができ、パッド111bの周囲での配線パターン111aの配置の微細化を促進できる。
【0041】
一方、第3配線層132は、接続端子410と同様にセミアディティブ法により形成される。このとき、例えば図12に示すように、第3絶縁層131の開口部131aには、電解銅めっきが充填されることで第3絶縁層131を貫通するビア133が形成され、第3配線層132と第2配線層113とがビア133によって接続される。なお、接続端子410の形成と、第3配線層132の形成とは、必ずしも並行して行われなくても良く、任意の順序で行われても良い。
【0042】
接続端子410及び第3配線層132が形成されることにより、第1層110~第3層130からなるビルドアップ層100が完成する。そして、ビルドアップ層100の上面側の最外層である第2層120がソルダーレジスト層200によって被覆され、ビルドアップ層100の下面側の最外層である第3層130の第3配線層132がソルダーレジスト層300によって被覆される(ステップS110)。
【0043】
そして、例えば図13に示すように、半導体チップの搭載面に対応する側のソルダーレジスト層200には、半導体チップの搭載面に対応する位置に開口部201が形成される。開口部201の底面には、接続端子410の頂部411が露出する。一方、外部の部品や機器などに接続される側のソルダーレジスト層300には、外部接続端子が設けられる位置に開口部301が形成される。開口部301の底面には、第3配線層132が露出する。図13は、ソルダーレジスト層形成工程の具体例を示す図である。
【0044】
ソルダーレジスト層200、300として感光性樹脂が用いられる場合には、露光・現像によって開口部201、301を形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層200、300として非感光性樹脂が用いられる場合には、レーザ加工によって開口部201、301を形成することが可能である。
【0045】
ここまでの工程により、例えば図14に示すように、配線基板10と同等の構造を有する中間構造体が得られる。この中間構造体は、複数の配線基板10を含む集合体から構成されているため、個々の配線基板10を切り出す切断が行われる(ステップS111)。具体的には、図14に示す中間構造体が各配線基板形成領域500Aに対応する領域の内側に位置する切断線Aにおいて、例えばダイサー又はスライサーによって切断されることにより、配線基板10が得られる。図14は、切断工程の具体例を示す図である。
【0046】
そして、ビルドアップ層100の第2層120(つまり、第2絶縁層121)側には半導体チップが搭載され(ステップS112)、接続端子410と半導体チップの電極とが接続される。図15は、半導体チップ搭載工程の具体例を示す図である。
【0047】
具体的には、図15に示すように、半導体チップ610が接続端子410の上方に搭載され、半導体チップ610の電極611が例えばはんだ612などによって接続端子410の頂部411に接合される。このとき、接続端子410の頂部411の幅が第1配線層111のパッド111bの幅よりも大きいため、接続端子410の頂部411と半導体チップ610の電極611との接続面積が大きくなる。その結果、接続端子410における半導体チップ610との接合強度を向上することができる。また、このとき、接続端子410の頂部411が第2絶縁層121の上面よりも上方に突出しているため、頂部411の上面及び側面がはんだ612によって被覆される。
【0048】
そして、電極611と接続端子410の頂部411との接合部は、アンダーフィル樹脂613によって封止され、配線基板10に半導体チップ610が実装された半導体装置が完成する。電極611と接続端子410の頂部411との接合部においては、頂部411の上面及び側面がはんだ612によって被覆されている。このため、半導体装置は、第2絶縁層121に頂部411が埋め込まれ且つ頂部411の上面のみがはんだによって被覆される構造と比べて、電極611と接続端子410の頂部411との接合強度を向上することができる。なお、ソルダーレジスト層300の開口部301に、はんだボールなどの外部接続端子を形成しても良い。また、はんだボールを設けずに、ソルダーレジスト層300の開口部301から露出する第3配線層132の部分を外部接続端子として用いても良い。
【0049】
以上のように、実施形態に係る配線基板(例えば、配線基板10)は、第1配線層(例えば、第1配線層111)と、第1絶縁層(例えば、第1絶縁層112)と、第2絶縁層(例えば、第2絶縁層121)と、開口部(例えば、開口部121a)と、接続端子(例えば、接続端子410)とを有する。第1配線層は、配線パターン(例えば、配線パターン111a)及びパッド(例えば、パッド111b)を備える。第1絶縁層は、第1配線層を被覆するとともに、上面(例えば、上面112a)から第1配線層の配線パターン及びパッドの表面を露出させる。第2絶縁層は、第1絶縁層の上面に形成される。開口部は、第2絶縁層を第1配線層のパッドまで貫通する。接続端子は、第2絶縁層の開口部に形成されて第1配線層のパッドに接続するとともに、一端が第2絶縁層の開口部から突出し、一端に第1配線層のパッドよりも幅が大きい頂部(例えば、頂部411)を有する。これにより、実施形態に係る配線基板によれば、電子部品(例えば、半導体チップ610)との接合強度を向上することができる。
【0050】
また、実施形態に係る配線基板において、第1配線層は、パッドの周囲に位置する複数の配線パターンを備えても良い。そして、接続端子の頂部は、第2絶縁層の上面において複数の配線パターンの少なくとも一つと平面視で重複する位置まで広がっていても良い。これにより、実施形態に係る配線基板によれば、電子部品との接合強度をより向上することができる。
【0051】
また、実施形態に係る配線基板は、第2配線層(例えば、第2配線層113)と、ビア(例えば、ビア114)とをさらに有しても良い。第2配線層は、第1絶縁層の下面(例えば、下面112b)に形成されても良い。ビアは、第1絶縁層を貫通して、第2配線層と第1配線層のパッドとを接続しても良い。これにより、実施形態に係る配線基板によれば、第1絶縁層を介して隣接する第2配線層及び第1配線層のパッドを電気的に接続することができる。
【0052】
また、実施形態に係る配線基板において、接続端子の第2絶縁層の開口部内に位置する部分は、頂部から第1配線層のパッドへ向かうにつれて幅が小さくなるテーパ形状を有しても良い。ビアは、第2配線層から第1配線層のパッドへ向かうにつれて幅が小さくなるテーパ形状を有しても良い。これにより、実施形態に係る配線基板によれば、パッドの周囲での配線パターンの配置の微細化を促進できる。
【0053】
また、実施形態に係る配線基板は、第3絶縁層(例えば、第3絶縁層131)と、第3配線層(例えば、第3配線層132)と、ビア(例えば、ビア133)とをさらに有しても良い。第3絶縁層は、第1絶縁層の下面に形成され、第2配線層を被覆しても良い。第3配線層は、第3絶縁層の下面に形成されても良い。ビアは、第3絶縁層を貫通して、第3配線層と第2配線層とを接続しても良い。これにより、実施形態に係る配線基板によれば、絶縁層と配線層とから形成される層が積層されて構成されるビルドアップ層(例えば、ビルドアップ層100)の層数を適切に調整することができる。
【0054】
(変形例)
図16は、変形例に係る配線基板10の構成を示す図である。図16において、図1と同じ部分には同じ符号を付す。図16においては、配線基板10の断面を模式的に示している。図16に示す配線基板10は、積層構造となっており、ビルドアップ層100A及びソルダーレジスト層200、300を有する。ビルドアップ層100Aは、さらに、第1層110及び第2層120に分かれる。
【0055】
上記実施形態においては、ビルドアップ層100Aは、第1層110の上方に第2層120が積層され、第1層110の下方に第3層130が積層されて構成されるものとした。これに対して、変形例に係る配線基板10においては、ビルドアップ層100Aは、第3層130を有さず、ビルドアップ層100Aの層数は2である。このため、第1層110の第1絶縁層112は、ビルドアップ層100Aの下面側の最外絶縁層である。
【0056】
ソルダーレジスト層300は、ビルドアップ層100Aの下面側の最外層である第1層110の第2配線層113を被覆し、配線を保護する層である。
【0057】
配線基板10のソルダーレジスト層300側は、外部の部品や機器などに接続される面である。外部の部品や機器と電気的に接続する外部接続端子が形成される位置においては、ソルダーレジスト層300に開口部301が形成され、開口部301からビルドアップ層100Aの第1層110の第2配線層113が露出する。開口部301には、例えばはんだボールなどの外部接続端子が形成されても良い。また、はんだボールを設けずに、開口部301から露出する第2配線層113の部分を外部接続端子として用いても良い。
【0058】
次に、上記のように構成された配線基板10を有する半導体装置の製造方法について、具体的に例を挙げながら、図17を参照して説明する。図17は、変形例に係る半導体装置の製造方法の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図17において、ステップS201~S206の工程は、それぞれ図3のステップS101~S106の工程と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0059】
第1層110が形成されると、第1層110から支持体500が除去される(ステップS206)。これにより、例えば図18に示すように、第1絶縁層112の上面112aが露出するとともに、第1絶縁層112の上面112aにおいて第1配線層111の配線パターン111a及びパッド111bが露出する。図18は、支持体除去工程の具体例を示す図である。
【0060】
支持体500が除去されると、第1絶縁層112の上面112aに第2絶縁層121が形成される(ステップS207)。すなわち、例えば図19に示すように、第1絶縁層112の上面112aに、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びシアネート樹脂等の耐熱性を有し、非感光性及び熱硬化性の樹脂からなる第2絶縁層121が積層される。図19は、第2絶縁層形成工程の具体例を示す図である。図19においては、図18に示す構造体を上下反転して示している。
【0061】
そして、例えば図20に示すように、半導体チップが搭載される側の第2絶縁層121には、半導体チップとの接続端子410が設けられる位置に開口部121aが例えばレーザ加工によって形成される(ステップS208)。図20は、開口部形成工程の具体例を示す図である。開口部121aの底面には、第1配線層111のパッド111bが露出する。開口部121aは、第2絶縁層121の上面から第1配線層111のパッド111bへ向かうにつれて幅(径)が小さくなるテーパ形状を有する。
【0062】
そして、第2絶縁層121の開口部121aに接続端子410が形成される(ステップS209)。接続端子410は、例えばセミアディティブ法により形成される。すなわち、開口部121aの内壁面及び第2絶縁層121の上面に、例えば無電解銅めっきによってシード層を形成する。次いで、シード層上に接続端子形成部分に開口を設けためっきレジスト層を形成する。次いで、めっきレジスト層の開口から露出するシード層上に例えば電解銅めっきを施し、電解めっき層を形成する。次いで、めっきレジスト層を除去する。この後、電解めっき層から露出するシード層をエッチングで除去することにより、接続端子410が形成される。接続端子410は、例えば図21に示すように、第2絶縁層121の開口部121aの位置において、第1配線層111のパッド111bに接続する。図21は、接続端子形成工程の具体例を示す図である。
【0063】
接続端子410の形成時には、第2絶縁層121の上面には、第1配線層111のパッド111bよりも幅(径)が大きい頂部411が形成される。すなわち、第2絶縁層121の上面においては、電解銅めっきが開口部121aの周囲の所定範囲まで広がった状態で析出することにより、第1配線層111のパッド111bよりも幅(径)が大きい頂部411が形成される。例えば、第1配線層111のパッド111bの周囲に複数の配線パターン111aが位置する場合、接続端子410の頂部411は、第2絶縁層121の上面において複数の配線パターン111aの少なくとも一つと平面視で重複する位置まで広がる。これにより、接続端子410の頂部411の表面積が第1配線層111のパッド111bの表面積と比べて大きくなる。その結果、例えば半導体チップが接続端子410の上方に搭載される場合、接続端子410の頂部411と半導体チップの電極との接続面積が大きくなり、接続端子410における半導体チップとの接合強度を向上することができる。
【0064】
また、開口部121aが第2絶縁層121の上面から第1配線層111のパッド111bへ向かうにつれて幅(径)が小さくなるテーパ形状を有するため、接続端子410の開口部121a内に位置する部分は、開口部121aに応じたテーパ形状を有する。すなわち、接続端子410の開口部121a内に位置する部分は、頂部411から第1配線層111のパッド111bへ向かうにつれて幅(径)が小さくなるテーパ形状を有する。接続端子410の開口部121a内に位置する部分のテーパ形状は、第2配線層113と第1配線層111のパッド111bとを接続するビア114のテーパ形状とは逆向きのテーパ形状である。これにより、第1配線層111のパッド111bの幅(径)が比較的に小さい場合であっても、接続端子410及びビア114をパッド111bに確実に接続することができ、パッド111bの周囲での配線パターン111aの配置の微細化を促進できる。
【0065】
接続端子410が形成されることにより、第1層110及び第2層120からなるビルドアップ層100Aが完成する。そして、ビルドアップ層100Aの上面側の最外層である第2層120がソルダーレジスト層200によって被覆され、ビルドアップ層100の下面側の最外層である第1層110の第2配線層113がソルダーレジスト層300によって被覆される(ステップS210)。
【0066】
そして、例えば図22に示すように、半導体チップの搭載面に対応する側のソルダーレジスト層200には、半導体チップの搭載面に対応する位置に開口部201が形成される。開口部201の底面には、接続端子410の頂部411が露出する。一方、外部の部品や機器などに接続される側のソルダーレジスト層300には、外部接続端子が設けられる位置に開口部301が形成される。開口部301の底面には、第2配線層113が露出する。図22は、ソルダーレジスト層形成工程の具体例を示す図である。
【0067】
ソルダーレジスト層200、300として感光性樹脂が用いられる場合には、露光・現像によって開口部201、301を形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層200、300として非感光性樹脂が用いられる場合には、レーザ加工によって開口部201、301を形成することが可能である。
【0068】
ここまでの工程により、例えば図23に示すように、配線基板10と同等の構造を有する中間構造体が得られる。この中間構造体は、複数の配線基板10を含む集合体から構成されているため、個々の配線基板10を切り出す切断が行われる(ステップS211)。具体的には、図23に示す中間構造体が各配線基板形成領域500Aに対応する領域の内側に位置する切断線Aにおいて、例えばダイサー又はスライサーによって切断されることにより、配線基板10が得られる。図23は、切断工程の具体例を示す図である。
【0069】
そして、ビルドアップ層100の第2層120(つまり、第2絶縁層121)側には半導体チップが搭載され(ステップS212)、接続端子410と半導体チップの電極とが接続される。図24は、半導体チップ搭載工程の具体例を示す図である。
【0070】
具体的には、図24に示すように、半導体チップ610が接続端子410の上方に搭載され、半導体チップ610の電極611が例えばはんだ612などによって接続端子410の頂部411に接合される。このとき、接続端子410の頂部411の幅が第1配線層111のパッド111bの幅よりも大きいため、接続端子410の頂部411と半導体チップ610の電極611との接続面積が大きくなる。その結果、接続端子410における半導体チップ610との接合強度を向上することができる。また、このとき、接続端子410の頂部411が第2絶縁層121の上面よりも上方に突出しているため、頂部411の上面及び側面がはんだ612によって被覆される。
【0071】
そして、電極611と接続端子410の頂部411との接合部は、アンダーフィル樹脂613によって封止され、配線基板10に半導体チップ610が実装された半導体装置が完成する。電極611と接続端子410の頂部411との接合部においては、頂部411の上面及び側面がはんだ612によって被覆されている。このため、半導体装置は、第2絶縁層121に頂部411が埋め込まれ且つ頂部411の上面のみがはんだによって被覆される構造と比べて、電極611と接続端子410の頂部411との接合強度を向上することができる。なお、ソルダーレジスト層300の開口部301に、はんだボールなどの外部接続端子を形成しても良い。また、はんだボールを設けずに、ソルダーレジスト層300の開口部301から露出する第3配線層132の部分を外部接続端子として用いても良い。
【0072】
以上のように、変形例に係る配線基板において、接続端子は、第2絶縁層の開口部に形成されて第1配線層のパッドに接続するとともに、一端が第2絶縁層の開口部から突出し、一端に第1配線層のパッドよりも幅が大きい頂部(例えば、頂部411)を有する。これにより、変形例に係る配線基板によれば、電子部品(例えば、半導体チップ610)との接合強度を向上することができる。また、変形例に係る配線基板によれば、ビルドアップ層(例えば、ビルドアップ層100A)の層数を実施形態に係る配線基板と比べて減少させることができることから、厚み方向のサイズを小さくすることができる。
【0073】
(その他の変形例)
上記実施形態及び上記変形例においては、ビルドアップ層100、100Aの層数が2又は3であるものとしたが、4以上の層が積層されてビルドアップ層が構成されても良い。この場合、ビルドアップ層100、100Aの第1層110の下方に第3層130と同じ構造の層を順次積層すれば良い。
【符号の説明】
【0074】
10 配線基板
100、100A ビルドアップ層
111 第1配線層
111a 配線パターン
111b パッド
112 第1絶縁層
112a 上面
112b 下面
112c 開口部
113 第2配線層
114 ビア
121 第2絶縁層
121a 開口部
131 第3絶縁層
131a 開口部
132 第3配線層
133 ビア
200、300 ソルダーレジスト層
201、301 開口部
410 接続端子
411 頂部
500 支持体
500A 配線基板形成領域
501 基体
502 第1金属層
503 第2金属層
610 半導体チップ
611 電極
612 はんだ
613 アンダーフィル樹脂
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