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特開2023-47927被搬送物用張力制御装置、被搬送物搬送装置、液体吐出装置、及び画像形成装置
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  • 特開-被搬送物用張力制御装置、被搬送物搬送装置、液体吐出装置、及び画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047927
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】被搬送物用張力制御装置、被搬送物搬送装置、液体吐出装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/182 20060101AFI20230330BHJP
   B65H 23/195 20060101ALI20230330BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20230330BHJP
   B41J 15/16 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
B65H23/182
B65H23/195
B41J11/42
B41J15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157122
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】本多 領
【テーマコード(参考)】
2C058
2C060
3F105
【Fターム(参考)】
2C058AB02
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF57
2C058AF59
2C060CA13
2C060CB00
3F105AA01
3F105AB04
3F105BA02
3F105CA02
3F105CA06
3F105CB01
(57)【要約】
【課題】摩擦によらないで減速比を可変させる駆動伝達機構を備え、小型化が可能な被搬送物用張力制御装置を提供する。
【解決手段】駆動軸を回転駆動させる駆動源と、ロール状に巻かれた被搬送物の回転軸に駆動軸の回転駆動力を伝達させる駆動伝達機構と、を備え、駆動軸を複数有し、駆動伝達機構が、一の駆動軸の回転駆動力を減衰させて回転軸に伝達する遊星歯車機構を有し、遊星歯車機構が、一の駆動軸により回転する太陽歯車の回転数と他の駆動軸により回転する遊星キャリアの回転数によって規定される減衰比に基づいて、一の駆動軸の回転駆動力を回転軸に伝達する被搬送物用張力制御装置による。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を回転駆動させる駆動源と、
ロール状に巻かれた被搬送物の回転軸に前記駆動軸の回転駆動力を伝達させる駆動伝達機構と、
を備える被搬送物用張力制御装置であって、
前記駆動軸を複数有し、
前記駆動伝達機構は、
一の駆動軸の回転駆動力を減衰させて前記回転軸に伝達する遊星歯車機構を有し、
当該遊星歯車機構は、当該一の駆動軸により回転する太陽歯車の回転数と前記他の駆動軸により回転する遊星キャリアの回転数によって規定される減衰比に基づいて、前記一の駆動軸の回転駆動力を前記回転軸に伝達する、
ことを特徴とする被搬送物用張力制御装置。
【請求項2】
前記遊星歯車機構は、
前記一の駆動源と駆動連結している太陽歯車と、
前記太陽歯車と連結する複数の遊星歯車と、
前記遊星歯車を回転自在に保持し、前記太陽歯車と駆動連結していない前記他の駆動源と駆動連結し、前記太陽歯車と同軸上に配置される遊星歯車保持部材と、
前記遊星歯車と前記回転軸に連結され、前記太陽歯車と同軸上に配置され、当該太陽歯車よりもピッチ円の大きい内歯車と、
を有する請求項1に記載の被搬送物用張力制御装置。
【請求項3】
前記被搬送物を搬送する搬送部材よりも搬送方向の下流側の位置で当該被搬送物を媒体として巻取る媒体巻取装置と、前記搬送部材よりも搬送方向の上流側の位置で前記被搬送物を媒体として供給する媒体供給装置と、の少なくとも一方に、
請求項1又は2の被搬送物用張力制御装置を備えることを特徴とする被搬送物搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の被搬送物搬送装置における前記搬送部材よりも搬送方向の下流側であって、前記媒体巻取装置よりも搬送方向の上流側に配備されて前記被搬送物に液体を吐出して画像形成することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項3に記載の被搬送物搬送装置に請求項4に記載の液体吐出装置を配備して構成されることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物用張力制御装置、被搬送物搬送装置、液体吐出装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連帳のシート状媒体(以下、「媒体」と表記する。)を、ロール状に巻いたロールメディアから搬出可能に保持するロールメディア保持機構を備え、被搬送物としてのロールメディアに付与する張力を制御する被搬送物用張力制御装置が知られている。また、被搬送物用張力制御装置を備え、張力を付与しながらロールメディアを搬送する被搬送物搬送装置や、張力を付与されながら搬送されるロールメディアに液体を吐出する液体吐出装置、吐出された液体によって画像を形成する画像形成装置も知られている。
【0003】
ロールメディアに一定の張力を付与するには、対向配置されているロールメディア保持装置に保持されているロールメディアの外径に応じて駆動トルクを調整する制御を行う必要がある。
【0004】
そこで、摩擦による駆動伝達機構を用いて減速比を可変させることで、ロールメディアの外径に合わせて駆動トルクを可変させる技術が開示されている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術のように、摩擦による駆動伝達機構によってロールメディアへの駆動トルクを可変させるには、大きな摩擦力を生じさせる必要がある。結果として、駆動機構が大型化する、という課題がある。
【0006】
本発明は、摩擦によらないで減速比を可変させる駆動伝達機構を備え、小型化が可能な被搬送物用張力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、駆動軸を回転駆動させる駆動源と、ロール状に巻かれた被搬送物の回転軸に前記駆動軸の回転駆動力を伝達させる駆動伝達機構と、を備える被搬送物用張力制御装置であって、前記駆動軸を複数有し、前記駆動伝達手段は、一の駆動軸の回転駆動力を減衰させて前記回転軸に伝達する遊星歯車機構を有し、当該遊星歯車機構は、当該一の駆動軸により回転する太陽歯車の回転数と前記他の駆動軸により回転する遊星キャリアの回転数によって規定される減衰比に基づいて、前記一の駆動軸の回転駆動力を前記回転軸に伝達する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、摩擦によらないで減速比を可変させる駆動伝達機構により小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態の概略構成の一部透視斜視図。
図2】上記画像形成装置を側面方向から示す模式図。
図3】上記画像形成装置に備える液体吐出装置の一部透視平面図。
図4】上記画像形成装置が備える被搬送物搬送装置の一実施形態であるロール体保持装置の側面説明図。
図5】上記ロール体保持装置の背面説明図。
図6】上記ロール体保持装置が備える被搬送物用張力制御装置の縦断面図。
図7】上記被搬送物用張力制御装置が備える遊星歯車機構の軸方向投影図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態について説明する。まず、本発明に係る被搬送物搬送装置を備える液体吐出装置及び画像形成装置の実施形態であるインクジェットプリンタ100について、図1から図3を用いて説明する。図1は、インクジェットプリンタ100の外観を例示する斜視図である。図2は、インクジェットプリンタ100の側面を示す模式図である。図3は、インクジェットプリンタ100が備える液体吐出装置としての画像形成部104の要部を示す平面図である。
【0011】
図1に示すように、インクジェットプリンタ100はシリアル型画像形成装置であり、装置本体101と、装置本体101の下側に配置した給紙装置102と、給紙装置102とは対向する位置に配置される巻取装置103と、を備える。
【0012】
給紙装置102は、装置本体101と別体であって、装置本体101の下側に配置されてもよいし、図2に示すように、装置本体101と一体に構成してもよい。巻取装置103も給紙装置102と同様に、装置本体101と別体で装置本体101の下側に配置されてもよいし、図2に示すように装置本体101と一体に構成してもよい。
【0013】
なお、給紙装置102及び巻取装置103のいずれも、本発明に係る被搬送物搬送装置の実施形態に相当する。したがって、給紙装置102及び巻取装置103のいずれも、本発明に係る被搬送物用張力制御装置を含むものである。
【0014】
図2に示す装置本体101には、内部に、連長のシート状の媒体をロール状にしたロール紙112を給紙する媒体供給装置としての給紙装置102と、ロール紙112を巻き取る媒体巻取装置としての巻取装置103と、ロール紙112に画像を形成する画像形成部104とが配置されている。
【0015】
画像形成部104は、両側板に掛け渡されたガイド部材であるガイドロッド1及びガイドステー2に支持されたキャリッジ5が図3における矢印A方向(主走査方向、キャリッジ移動方向)に移動可能に構成されている。
【0016】
画像形成部104は、図3に示すように、主走査方向の一方側にはキャリッジ5を往復移動させる駆動源である主走査モータ8が配置されている。この主走査モータ8によって回転駆動される駆動プーリ9と主走査方向の他方側に配置された従動プーリ10との間にタイミングベルト11が掛け回されている。このタイミングベルト11にキャリッジ5のベルト保持部が固定され、主走査モータ8を駆動することによってキャリッジ5を主走査方向に往復移動させる。
【0017】
キャリッジ5には、媒体に液体を吐出して画像を形成されるための液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに液体を供給するヘッドタンクとを一体にした複数の記録ヘッド6a~6dを搭載している。以下の記載において、複数の記録ヘッド6a~6dの個々の区別をしないときは、単に「記録ヘッド6」と記載する。
【0018】
ここで、記録ヘッド6aと記録ヘッド6b~6dは主走査方向と直交する方向である副走査方向(矢印B方向)に1ヘッド分(1ノズル列分)位置をずらして配置されている。また、記録ヘッド6は、液滴を吐出する複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を下方に向けて搭載している。
【0019】
また、記録ヘッド6a~6dはいずれも2列のノズル列を有している。そして、記録ヘッド6a、6bからは、いずれのノズル列からも同色である黒色の液滴が吐出される。また、記録ヘッド6cからは、一方のノズル列からシアン(C)の液滴が吐出され、他方のノズル列は未使用ノズル列としている。さらに、記録ヘッド6dは、一方のノズル列からイエロー(Y)の液滴が吐出され、他方のノズル列からはマゼンタ(M)の液滴が吐出される。
【0020】
これにより、モノクロ画像については記録ヘッド6a、6bを使用して1回のスキャン動作(1回の主走査)で2ヘッド分の幅で画像を形成でき、カラー画像については例えば記録ヘッド6b~6dを使用して形成することができる。なお、ヘッド構成はこれに限るものではなく、複数の記録ヘッドを主走査方向に全て並べて配置するものでもよい。
【0021】
また、キャリッジ5の移動方向に沿ってエンコーダシート12が配置され、キャリッジ5にはエンコーダシート12を読取るエンコーダセンサ13が設けられている。これらのエンコーダシート12及びエンコーダセンサ13によってリニアエンコーダ14を構成し、リニアエンコーダ14の出力からキャリッジ5の位置及び速度を検出する。
【0022】
キャリッジ5の主走査領域のうち、記録領域では、給紙装置102からロール紙112が給送され、搬送手段21によってキャリッジ5の主走査方向と直交する方向(副走査方向、用紙搬送方向:図3における矢印B方向)に間欠的に搬送される。図1に示すように、記録ヘッド6のヘッドタンクには、装置本体101に交換可能に装着されるメインタンクであるインクカートリッジ60から供給チューブを介して各色のインクが供給される。また、キャリッジ5の主走査方向の一方側には、搬送ガイド部材25の側方に記録ヘッド6の維持回復を行う維持回復機構80が配置されている(図1参照)。
【0023】
また、図2に示すように、搬送手段21は、給紙装置102から給紙されるロール状媒体であるロール紙112を搬送する搬送ローラ23及び搬送ローラ23に対向配置した加圧ローラ24を有する。搬送ローラ23と加圧ローラ24が搬送部材に相当する。そして、搬送ローラ23の下流側に、複数の吸引穴が形成された搬送ガイド部材25と、搬送ガイド部材25の吸引穴から吸引を行う吸引手段としての吸引ファン26とを有する。
【0024】
この搬送手段21の下流側には、記録ヘッド6で画像が形成されたロール紙112を所定の長さで切断する切断手段としてのカッタが配置されている。
【0025】
給紙装置102に搭載されるロール紙112は、芯部材である紙管などの中空軸114に長尺のロール状媒体であるシート120(これが上記における「連長のシート状媒体としてのロールメディア」に相当する。)をロール状に巻き付けたものである。本実施形態では、ロール紙112として、ロール紙112の終端を糊付けなどの接着で中空軸114に固定したもの、又はロール紙112の終端を中空軸114に接着していない非固定のもののいずれも装着可能である。
【0026】
すでに示した図2に示すように、装置本体101側には、ガイド部材130と、排紙ガイド部材131が配置されている。ガイド部材130は、給紙装置102のロール紙112から引き出されるロール紙112をガイドする。排紙ガイド部材131は、ガイド部材130と搬送ガイド部材25の下流で吸引後のロール紙112をガイドする。
【0027】
巻取装置103は、芯部材である紙管などの中空軸115を有している。ロール紙112の先端が中空軸115にテープなどで接着させている。
【0028】
このように構成されたインクジェットプリンタ100において、画像形成処理を実行しているには、キャリッジ5を主走査方向に移動し、給紙装置102から給送されるロール紙112を、搬送手段21によって間欠的に送られる。そして、記録ヘッド6を画像情報(印字情報)に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、ロール紙112上に所要の画像が形成される。この画像が形成されたロール紙112は、排紙ガイド部材131に案内されて、巻取装置103内の中空軸115に巻きとられる。搬送ローラ23上のロール紙112は給紙装置102側、巻取装置103側それぞれからテンションが加えられながら搬送される。そのそれぞれのテンションが搬送精度に影響を与える。
【0029】
[被搬送物搬送装置の実施形態]
次に、本発明に係る被搬送物搬送装置の実施形態としてのロール体保持装置200について説明する。図4はロール体保持装置200の全体像を例示する側面図、図5は、ロール体保持装置200の背面図である。なお、ロール体保持装置200は、図1に例示するように、ロール紙112の両方の側端部分を保持するように構成されているものである。したがって、一対として対向配置されることでロール体保持装置200が構成される。
【0030】
これら対向する一対の構成は、それぞれにおいて同様のものであるから、以下の説明では、ロール体保持装置200の一方のみを示しながら、その構造及び動作を説明する。同様の構成のものがロール紙112の両方の側端部分を保持する位置に配置されることで、ロール紙112を上記のように搬送することが可能になる。
【0031】
図4及び図5に示すように、ロール体保持装置200は、外観が略四角柱状の箱体であって、その側面の一部、ロール紙112の部分に対向する面には、巻芯保持機構210が設けられている。また、ロール体保持装置200は、複数のスライダ220と、ロックレバー230と、を備える。ロール体保持装置200は、スライダ220を介して、ガイド部材としてガイドレール240に一方向のみに摺動可能に保持されている。ガイドレール240は、図1に示したように、給紙装置102及び巻取装置103の一部を構成し、ロール体保持装置200を、図1の矢印A方向と平行の方向に沿って移動可能に保持する。
【0032】
巻芯保持機構210は、ロール紙112の中空軸内に嵌入されて、ロール紙112を所定の位置で保持する。巻芯保持機構210のより詳細な説明は後述する。
【0033】
スライダ220は、ロール紙112の幅方向Wにおいて巻芯保持機構210の移動を可能にし、幅方向Wと直交する方向への巻芯保持機構210の移動を規制する移動案内部材である。スライダ220は、図5に示すようにガイドレール240が備えるガイド溝241によって、ロール紙112の幅方向Wへの移動及び移動規制がなされるように構成されている。スライダ220は、ロール体保持装置200の筐体の底面に設けられている。
【0034】
ロックレバー230は、ロール体保持装置200が幅方向Wに移動可能に保持されている状態において、スライダ220によってガイドレール240に保持されているロール体保持装置200の幅方向Wへの移動を規制する移動規制部材である。ロックレバー230が操作されると、スライダ220がガイド溝241の内壁に押圧されない状態から内壁に押圧される状態に遷移する。この操作により与えられる摩擦力により、ロール体保持装置200の移動が規制される。また、ロックレバー230の操作を逆にすることで、スライダ220がガイド溝241の内壁に押圧される状態から内壁に押圧されていない状態に遷移する。この操作によって、摩擦力は与えられない状態になり、ロール体保持装置200の移動が可能になる。
【0035】
すなわち、ロール体保持装置200は、ロックレバー230を操作することにより、ロール紙112の幅方向Wへの移動は規制されている状態(ロック状態)と、規制されていない状態(アンロック状態)の間で遷移可能になっている。なお、ロックレバー230は、巻芯保持機構210が設けられる面の反対面に設けられている。すなわち、ロックレバー230は、ロール紙112が保持される側の反対側であって、ユーザが操作しやすい側に配置されている。
【0036】
図5に示すように、スライダ220は、ロール体保持装置200の底面に取り付けられた突起状部材であって、ガイドレール240に設けられているガイド溝241の開口部分にロール紙112の幅方向Wから挿入され、幅方向Wには移動可能になっている。しかし、ロール紙112の幅方向Wと直交する方向への移動は、ガイド溝241の内壁に衝突して規制される。
【0037】
ガイドレール240は、図1に示す給紙装置102及び巻取装置103に含まれる構成であって、給紙装置102に固定される中空軸114及び巻取装置103に固定される中空軸115の長手方向に沿って配置されている。ガイドレール240は、ロール紙112の幅寸法よりも長尺であって、給紙装置102及び巻取装置103の底面を連結する位置に設けられる。
【0038】
ロール体保持装置200を用いてロール紙112を固定するときは、給紙装置102が備える一方のロール体保持装置200にロール紙112の中空部分としての中空軸114の一方の側端部分を保持させる。そして、中空軸114の一方の側端部分にもう一方のロール体保持装置200を保持可能位置に移動させて、ロックレバー230を操作してロール紙112の幅方向Wの位置を固定する。このとき、ロール紙112の軸心位置を固定するようにロール体保持装置200を移動して固定することができるので、簡易な操作によってロール紙112の軸芯位置を固定し保持することができる。
【0039】
[被搬送物用張力制御装置の実施形態]
次に、本発明に係る被搬送物用張力制御装置の一例であり、ロール体保持装置200が備える駆動伝達機構としての駆動力伝達機構250の構造について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、巻芯保持機構210と駆動力伝達機構250を含むロール体保持装置200を側方から見た縦断面図である。図7は、駆動力伝達機構250に含まれる遊星歯車機構260の軸方向投影図である。
【0040】
図6に示すように、ロール体保持装置200は、ロールメディアを保持する巻芯保持機構210と、巻芯保持機構210に駆動力を伝達するための駆動力伝達機構250と、を備えている。また、ロール体保持装置200は、駆動力伝達機構250により巻芯保持機構210を駆動する第一駆動源291及び第二駆動源292と、巻芯保持機構210と第一駆動源291と第二駆動源292と駆動力伝達機構250を保持するフレーム270を有している。第一駆動源291及び第二駆動源292のトルクや回転は、駆動力伝達機構250を介して巻芯保持機構210に伝達される。
【0041】
駆動力伝達機構250からのトルクや回転は、第一出力ギヤ251を介して第二出力ギヤ252に伝達される。第二出力ギヤ252は、駆動力出力軸253に固定されている。駆動軸としての駆動力出力軸253の端部の一方は、フレーム270に回転可能に支持されていて、他方の端部はフレーム270を貫通し、先端には巻芯保持機構210が固定されている。なお、第一出力ギヤ251は、後述する内歯車268の回転軸と同軸となる第一出力軸254に固定されている。
【0042】
すなわち、内歯車268が回転することで、第一出力ギヤ251が回転する。そして、第一出力ギヤ251に噛み合うように配置されている第二出力ギヤ252が回転し、巻芯保持機構210に内歯車268からの回転やトルクが伝達される。これによって、巻芯保持機構210がフレーム270に対して回転する。
【0043】
後述するとおり、内歯車268は、二つの駆動源(第一駆動源291、第二駆動源292)からの回転駆動力に基づいて回転して駆動軸に回転駆動力を伝達し、巻芯保持機構210の回転軸を回転駆動する。
【0044】
駆動力伝達機構250は、遊星歯車機構260により、第一駆動源291及び第二駆動源292のトルクや回転を内歯車268に伝達するように構成されている。遊星歯車機構260は、既に説明した第一出力ギヤ251と同軸であって、駆動力の出力側とつながる内歯車268を有している。また、遊星歯車機構260は、内歯車268と同軸上に第一駆動源291につながる太陽歯車261、内歯車268と太陽歯車261との間に配置される複数の遊星歯車263、複数の遊星歯車263を回転自由に保持する遊星歯車保持部材としての遊星キャリア264を有している。
【0045】
第一駆動源291からのトルクや回転は、第一駆動源291の回転軸に固定されている第一入力ギヤ265、第一入力ギヤ265と噛み合う第二入力ギヤ266、太陽歯車261の回転軸である太陽歯車保持軸262に第二入力ギヤ266の回転とトルクを伝達する第一トルクリミッタ267を介して太陽歯車261へと伝達される。
【0046】
第二駆動源292からのトルクや回転は、第二駆動源292の回転軸に固定されている第三入力ギヤ272、第三入力ギヤ272と噛み合う第四入力ギヤ273、外歯車271の回転軸である外歯車回転軸275に第四入力ギヤ273のトルクや回転を伝達する第二トルクリミッタ274を介して外歯車271へと伝達される。
【0047】
外歯車271は、遊星キャリア264に回転やトルクを伝達する。したがって、第二駆動源292からのトルクや回転は、外歯車271から遊星キャリア264へと伝達される。遊星キャリア264に設けられている複数の遊星歯車保持部269のそれぞれに、遊星歯車263が回転自在に保持されている。遊星歯車263は、内歯車268に対して噛み合っているので、遊星キャリア264の回転により遊星歯車263は内歯車268に対して回転する。
【0048】
すなわち、第一駆動源291からの回転及びトルクは、太陽歯車261を回転させて遊星歯車263を介して内歯車268へ伝達され、出力側へと伝達される。また、第二駆動源292からの回転及びトルクは、外歯車271を回転させて遊星キャリア264を回転させ、遊星歯車263を内歯車268に対して回転させることで、内歯車268へ伝達され、出力側へと伝達される。
【0049】
上記の構成を備える遊星歯車機構260における各歯車の配置関係と、各歯車のピッチ円の関係について説明する。図7に示すように、遊星歯車保持部269が回動する軌跡に相当する遊星歯車軌跡2641が内歯車ピッチ円2681と太陽歯車ピッチ円2611の中間付近に位置する。すなわち、内歯車ピッチ円2681は、太陽歯車ピッチ円2611よりも径が大きい。
【0050】
この構成によって、遊星歯車ピッチ円2631は太陽歯車ピッチ円2611と接し、内歯車ピッチ円2681とも接する状態になっている。すなわち、第一駆動源291からの入力によって駆動する太陽歯車261の回転及びトルクと、第二駆動源292からの入力によって駆動する遊星キャリア264の回転及びトルクは、上記式(1)にて示した減速比に基づいて、遊星歯車263から内歯車268へと伝達する。
【0051】
ここで、太陽歯車261の回転数を「Ns」、遊星キャリア264の回転数を「Nc」、太陽歯車261の歯数を「Zs」、内歯車268の歯数を「Zi」、太陽歯車261の歯数と内歯車268の歯数の比を「α」とする。すなわち、「α」は、「Zs/Zi」に相当する。そして、太陽歯車261の回転数と遊星キャリア264の回転数の比を「β」とする。すなわち、「β」は「Ns/Nc」に相当する。
【0052】
以上に基づくと、太陽歯車261から内歯車268の減速比は以下の式(1)で表される。
【0053】
減速比=(1+β)/(α+β)・・・式(1)
【0054】
ここで、「α」は、太陽歯車261の歯数と内歯車268の歯数の比である。したがって、どのような歯数の太陽歯車261と内歯車268を用いるかによって、一意に定まる固定値である。
【0055】
一方、「β」は太陽歯車261の回転数と遊星キャリア264の回転数の比である。すでに説明のとおり、太陽歯車261には、第一トルクリミッタ267を介して第一駆動源291からの回転駆動が入力される。また、遊星キャリア264には、第二トルクリミッタ274を介して第二駆動源292からの回転駆動が入力される。したがって、太陽歯車261の回転数と遊星キャリア264の回転数の比である「β」は、第一駆動源291と第二駆動源292の回転速度を制御することで可変可能な可変値である。
【0056】
以上に基づくと、遊星歯車機構260を備える駆動力伝達機構250では、第一駆動源291と第二駆動源292の回転数が所定の比率になるように制御することで、太陽歯車261から内歯車268までの伝達トルクの減衰比を調整することができる。言い換えると、太陽歯車261から内歯車268への回転駆動と、遊星キャリア264から内歯車268への回転駆動を調整することで、回転駆動の減衰比を所定の値にすることで、第一出力軸254への伝達トルクの大きさを制御することができる。したがって、駆動力出力軸253への伝達トルクの大きさを制御することができる。
【0057】
以上のように二つの駆動源の回転数を制御することで巻芯保持機構210に加わるトルクを調整することができる。
【0058】
図2を用いて説明したとおり、インクジェットプリンタ100は、搬送ローラ23と加圧ローラ24でシート120が保持されている状態で巻取装置103を反時計回りに回転させるとシート120が巻取装置103側に引っ張られることで、所定の張力がシート120に付与され。この張力により、巻取装置103においてシート120の巻き取りのための回転が停止して、巻芯保持機構210はロックされる。このロック時における第二駆動源292の駆動は、第二トルクリミッタ274のスリップトルクが遊星歯車機構260の減速比により調整されて、巻芯保持機構210に伝達される。その結果、シート120への張力の付与を調整することができる。
【0059】
以上説明したロールメディアにテンション付与する駆動力伝達機構250(被搬送物用張力制御装置)によれば、遊星歯車263を二つの駆動源による入力によって動作するように構成することにより、減速比を制御できる構成になる。当該構成によれば、二つの駆動源の入力を制御することによって出力側への回転及びトルクの減速比を制御することができるので、ロール紙112への駆動トルクを可変させことができる。その結果、シート120に加える張力を可変することができる。
【0060】
ずなわち、本実施形態に係る駆動力伝達機構250は、従来技術のように摩擦伝達の場合では駆動トルクを確保するためにベルトの接触面積確保や張力付与機構を追加するなど、通常の機構よりも大型になるところ、小型化を実現可能である。すなわち、駆動力伝達機構250は、遊星歯車機構260を用いる事によって摩擦力を発生させる機構を用いる必要がなく、小型の機構であっても減速比の可変を実現することができる。
【0061】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 :インクジェットプリンタ
120 :シート
200 :ロール体保持装置
210 :巻芯保持機構
250 :駆動力伝達機構
251 :第一出力ギヤ
252 :第二出力ギヤ
253 :駆動力出力軸
254 :第一出力軸
260 :遊星歯車機構
261 :太陽歯車
262 :太陽歯車保持軸
263 :遊星歯車
264 :遊星キャリア
265 :第一入力ギヤ
266 :第二入力ギヤ
267 :第一トルクリミッタ
268 :内歯車
270 :フレーム
271 :外歯車
272 :第三入力ギヤ
273 :第四入力ギヤ
274 :第二トルクリミッタ
275 :外歯車回転軸
291 :第一駆動源
292 :第二駆動源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2019-163116号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7