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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023047993
(43)【公開日】2023-04-06
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/28 20060101AFI20230330BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20230330BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20230330BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20230330BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20230330BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
H01L21/28 301S
C23C16/42
C23C16/455
H01L21/28 A
H01L21/90 C
H01L21/205
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157218
(22)【出願日】2021-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】我妻 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 将久
(72)【発明者】
【氏名】中村 麻由子
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 隆
(72)【発明者】
【氏名】横山 敦
(72)【発明者】
【氏名】崔 光杓
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
5F004
5F033
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA03
4K030AA04
4K030AA06
4K030AA16
4K030AA17
4K030BA18
4K030BA48
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA01
4K030EA05
4K030EA06
4K030EA11
4K030FA03
4K030GA02
4K030GA12
4K030HA01
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4K030JA09
4K030JA10
4K030LA15
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4M104BB25
4M104CC01
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4M104DD84
4M104EE17
4M104FF21
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4M104GG09
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4M104HH16
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5F045DP03
5F045EF05
5F045HA02
5F045HA13
(57)【要約】
【課題】凹部を有する基板において、凹部の底部に選択的に金属シリサイド膜を成膜する基板処理方法及び基板処理システムを提供する。
【解決手段】エピタキシャル成長によって形成されたエピタキシャル層を有する下地部と、前記下地部の上に形成され前記エピタキシャル層を露出させる貫通部を有する絶縁膜と、を有する基板を準備する工程と、前記貫通部の側壁よりも前記貫通部から露出する前記エピタキシャル層の表面にシリコン膜を形成する工程と、前記貫通部の側壁よりも前記エピタキシャル層の表面に形成された前記シリコン膜の上に金属膜を成膜し、前記シリコン膜と前記金属膜を反応させて、金属シリサイド膜を形成する工程と、を有する、基板処理方法。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャル成長によって形成されたエピタキシャル層を有する下地部と、前記下地部の上に形成され前記エピタキシャル層を露出させる貫通部を有する絶縁膜と、を有する基板を準備する工程と、
前記貫通部の側壁よりも前記貫通部から露出する前記エピタキシャル層の表面にシリコン膜を形成する工程と、
前記貫通部の側壁よりも前記エピタキシャル層の表面に形成された前記シリコン膜の上に金属膜を成膜し、前記シリコン膜と前記金属膜を反応させて、金属シリサイド膜を形成する工程と、を有する、
基板処理方法。
【請求項2】
前記シリコン膜を形成する工程は、
シリコン含有ガスを供給して、シリコン膜を形成する工程と、
ハロゲン含有ガスを供給して、前記貫通部の側壁に形成された前記シリコン膜を除去する工程と、を有する、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記シリコン膜を形成する工程は、
前記シリコン膜を形成する工程と、前記シリコン膜を除去する工程と、を繰り返す、
請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記シリコン膜を形成する工程は、
シリコン含有ガス及びハロゲン含有ガスを同時に供給する工程を有する、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記シリコン含有ガスは、SiHガス、Siガス、SiHClガス、Siガス、Si10ガスのうち少なくとも1つを含み、
前記ハロゲン含有ガスは、Clガス、HBrガス、ClFガスのうち少なくとも1つを含む、
請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記金属膜を成膜し、前記金属シリサイド膜を形成する工程は、
金属含有ガス及び還元ガスを供給して、プラズマを生成し、該プラズマに前記基板をさらして前記金属膜を成膜する工程を有する、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記金属含有ガスは、TiClガス、TiBrガスのうち少なくとも1つを含み、
前記還元ガスは、Hガスのうち少なくとも1つを含む、
請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記絶縁膜は、SiNまたはSiOであり、
前記エピタキシャル層は、SiまたはSiGeを含む、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記シリコン膜を形成する工程の前に、
前記貫通部から露出する前記エピタキシャル層の表面に形成された酸化膜を除去する工程を有する、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記酸化膜を除去する工程、前記シリコン膜を形成する工程、前記金属膜を成膜し、前記金属シリサイド膜を形成する工程は、真空を破らずに実施される、
請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
エピタキシャル成長によって形成されたエピタキシャル層を有する下地部と、前記下地部の上に形成され前記エピタキシャル層を露出させる貫通部を有する絶縁膜と、を有する基板に対して、前記貫通部から露出する前記エピタキシャル層の表面に形成された酸化膜を除去する第1の処理装置と、
前記貫通部の側壁よりも前記貫通部から露出する前記エピタキシャル層の表面にシリコン膜を形成する第2の処理装置と、
前記貫通部の側壁よりも前記エピタキシャル層の表面に形成された前記シリコン膜の上に金属膜を成膜し、前記シリコン膜と前記金属膜を反応させて、金属シリサイド膜を形成する第3の処理装置と、を備える、
基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンタクトホールやトレンチ等のパターンの底部のシリコンの表面に形成された自然酸化膜を除去する酸化膜除去方法が開示されている。また、特許文献1には、自然酸化膜の除去後に金属膜を成膜し、パターンの底部のシリコンと金属膜を反応させて、パターンの底部にコンタクトを形成するコンタクト形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-148193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、凹部を有する基板において、凹部の底部に選択的に金属シリサイド膜を成膜する基板処理方法及び基板処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様の基板処理方法は、エピタキシャル成長によって形成されたエピタキシャル層を有する下地部と、前記下地部の上に形成され前記エピタキシャル層を露出させる貫通部を有する絶縁膜と、を有する基板を準備する工程と、前記貫通部の側壁よりも前記貫通部から露出する前記エピタキシャル層の表面にシリコン膜を形成する工程と、前記貫通部の側壁よりも前記エピタキシャル層の表面に形成された前記シリコン膜の上に金属膜を成膜し、前記シリコン膜と前記金属膜を反応させて、金属シリサイド膜を形成する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、凹部を有する基板において、凹部の底部に選択的に金属シリサイド膜を成膜する基板処理方法及び基板処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】基板処理システムの構成例を示す概略図である。
図2】処理装置の構成例を示す概略図の一例である。
図3】処理装置の構成例を示す概略図の一例である。
図4】処理装置の構成例を示す概略図の一例である。
図5】基板処理システムの基板処理方法を説明するフローチャートの一例である。
図6】各工程における基板の断面図の一例である。
図7】ステップS104に示す処理におけるSi膜の成膜結果を示すグラフの一例である。
図8】アモルファスシリコン膜及び結晶性シリコン膜におけるエッチングレートの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0009】
〔基板処理システム〕
一実施形態に係る基板処理システムについて、図1を用いて説明する。図1は、基板処理システムの構成例を示す概略図である。
【0010】
図1に示されるように、基板処理システムは、処理装置101~104と、真空搬送室200と、ロードロック室301~303と、大気搬送室400と、ロードポート501~503と、制御部600と、を備える。
【0011】
処理装置101~104は、それぞれゲートバルブG11~G14を介して真空搬送室200と接続されている。処理装置101~104内は所定の真空雰囲気に減圧され、その内部にてウエハ等の基板Wに所望の処理を施す。処理装置101は、基板Wの凹部の底部に形成された自然酸化膜を除去する装置である。処理装置102は、基板Wの凹部の底部に選択的にシリコン膜(以下、Si膜ともいう。)を成膜する装置である。処理装置103は、基板Wに金属膜を成膜することにより、基板Wの凹部の底部に選択的に金属シリサイド膜を形成する装置である。処理装置104は、処理装置101~103のいずれかと同じ装置であってもよく、別の処理を行う装置であってもよい。なお、処理装置101~103については、図2~4を用いて後述する。
【0012】
真空搬送室200内は、所定の真空雰囲気に減圧されている。真空搬送室200には、減圧状態で基板Wを搬送可能な搬送機構201が設けられている。搬送機構201は、処理装置101~104、ロードロック室301~303に対して、基板Wを搬送する。搬送機構201は、例えば2つの搬送アーム202a,202bを有する。
【0013】
ロードロック室301~303は、それぞれゲートバルブG21~G23を介して真空搬送室200と接続され、ゲートバルブG31~G33を介して大気搬送室400と接続されている。ロードロック室301~303内は、大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替えることができるようになっている。
【0014】
大気搬送室400内は、大気雰囲気となっており、例えば清浄空気のダウンフローが形成されている。大気搬送室400内には、基板Wのアライメントを行うアライナ401が設けられている。また、大気搬送室400には、搬送機構402が設けられている。搬送機構402は、ロードロック室301~303、後述するロードポート501~503のキャリアC、アライナ401に対して、基板Wを搬送する。
【0015】
ロードポート501~503は、大気搬送室400の長辺の壁面に設けられている。ロードポート501~503は、基板Wが収容されたキャリアC又は空のキャリアCが取り付けられる。キャリアCとしては、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)を利用できる。
【0016】
制御部600は、基板処理システムの各部を制御する。例えば、制御部600は、処理装置101~104の動作、搬送機構201,402の動作、ゲートバルブG11~G14,G21~G23,G31~G33の開閉、ロードロック室301~303内の雰囲気の切り替え等を実行する。制御部600は、例えばコンピュータであってよい。
【0017】
なお、基板処理システムの構成はこれに限られるものではない。基板処理システムは、複数の基板Wを1つの処理装置で処理する多枚葉装置を有する構成であってもよい、また、真空搬送室も多枚葉装置がゲートバルブを介して接続される構成であってもよく、複数の真空搬送装置が接続される構成であってもよい。
【0018】
〔処理装置101〕
次に、処理装置101について、図2を用いて説明する。図2は、処理装置101の構成例を示す概略図の一例である。処理装置101は、減圧状態の処理容器1内で基板Wの凹部の底部に形成された自然酸化膜を除去する装置である。
【0019】
図2に示されるように、処理装置101は、処理容器1と、載置台2と、シャワーヘッド3と、排気部4と、ガス供給機構5と、RF電力供給部8と、制御部9とを有している。
【0020】
処理容器1は、アルミニウム等の金属により構成され、略円筒状を有している。処理容器1は、基板Wを収容する。処理容器1の側壁には基板Wを搬入又は搬出するための搬入出口11が形成され、搬入出口11はゲートバルブ12(図1に示すゲートバルブG11)により開閉される。処理容器1の本体の上には、断面が矩形状をなす円環状の排気ダクト13が設けられている。排気ダクト13には、内周面に沿ってスリット13aが形成されている。排気ダクト13の外壁には、排気口13bが形成されている。排気ダクト13の上面には、絶縁体部材16を介して処理容器1の上部開口を塞ぐように天壁14が設けられている。排気ダクト13と絶縁体部材16との間はシールリング15で気密に封止されている。区画部材17は、載置台2(およびカバー部材22)が後述する処理位置へと上昇した際、処理容器1の内部を上下に区画する。
【0021】
載置台2は、処理容器1内で基板Wを水平に支持する。載置台2は、基板Wに対応した大きさの円板状に形成されており、支持部材23に支持されている。載置台2は、AlN等のセラミックス材料や、アルミニウムやニッケル合金等の金属材料で形成されており、内部に基板Wを加熱するためのヒータ21が埋め込まれている。ヒータ21は、ヒータ電源(図示せず)から給電されて発熱する。そして、載置台2の上面の近傍に設けられた熱電対(図示せず)の温度信号によりヒータ21の出力を制御することで、基板Wが所定の温度に制御される。載置台2は、基板Wを静電吸着するための静電チャックを備えていてもよい。静電チャックを設けることで、基板Wが載置台2の表面に静電吸着するので、基板Wの温度を高精度で制御することができる。また、載置台2には、内部に流路を形成し、外部からの温調冷媒を通流、循環させてもよい。載置台2には、上面の外周領域及び側面を覆うようにアルミナ等のセラミックスにより形成されたカバー部材22が設けられている。
【0022】
載置台2の底面には、載置台2を支持する支持部材23が設けられている。支持部材23は、載置台2の底面の中央から処理容器1の底壁に形成された孔部を貫通して処理容器1の下方に延び、その下端が昇降機構24に接続されている。昇降機構24により載置台2が支持部材23を介して、図1で示す処理位置と、その下方の二点鎖線で示す基板Wの搬送が可能な搬送位置との間で昇降する。支持部材23の処理容器1の下方には、鍔部25が取り付けられており、処理容器1の底面と鍔部25の間には、処理容器1内の雰囲気を外気と区画し、載置台2の昇降動作にともなって伸縮するベローズ26が設けられている。
【0023】
処理容器1の底面の近傍には、昇降板27aから上方に突出するように3本(2本のみ図示)の基板支持ピン27が設けられている。基板支持ピン27は、処理容器1の下方に設けられた昇降機構28により昇降板27aを介して昇降する。基板支持ピン27は、搬送位置にある載置台2に設けられた貫通孔2aに挿通されて載置台2の上面に対して突没可能となっている。基板支持ピン27を昇降させることにより、搬送機構(図示せず)と載置台2との間で基板Wの受け渡しが行われる。
【0024】
シャワーヘッド3は、処理容器1内に処理ガスをシャワー状に供給する。シャワーヘッド3は、金属製であり、載置台2に対向するように設けられており、載置台2とほぼ同じ直径を有している。シャワーヘッド3は、処理容器1の天壁14に固定された本体部31と、本体部31の下に接続されたシャワープレート32とを有している。本体部31とシャワープレート32との間にはガス拡散空間33が形成されており、ガス拡散空間33には処理容器1の天壁14及び本体部31の中央を貫通するようにガス導入孔36が設けられている。シャワープレート32の周縁部には下方に突出する環状突起部34が形成されている。環状突起部34の内側の平坦面には、ガス吐出孔35が形成されている。載置台2が処理位置に存在した状態では、載置台2とシャワープレート32との間に処理空間38が形成され、カバー部材22の上面と環状突起部34とが近接して環状隙間39が形成される。
【0025】
排気部4は、処理容器1の内部を排気する。排気部4は、排気口13bに接続された排気配管41と、排気配管41に接続された真空ポンプや圧力制御バルブ等を有する排気機構42とを有する。処理に際しては、処理容器1内のガスがスリット13aを介して排気ダクト13に至り、排気ダクト13から排気配管41を通って排気機構42により排気される。
【0026】
ガス供給機構5は、処理容器1内に処理ガスを供給する。ガス供給機構5は、ガス供給部50aを有する。
【0027】
ガス供給部50aは、ガス供給ライン50bを介してエッチングガスを処理容器1内に供給する。エッチングガスとして、ハロゲン含有ガス(例えば、Cガス、HFガス、CFガス)、NHガス、Hガス、不活性ガス等を処理容器1内に供給する。
【0028】
ガス供給ライン50bには、上流側から流量制御器50c及びバルブ50dが介設されている。ガス供給ライン50bのバルブ50dの下流側は、ガス導入孔36に接続されている。ガス供給部50aから供給されるガスは処理容器1内に供給される。ガス供給部50aから処理容器1へのガスの供給及び停止は、バルブ50dの開閉により行われる。
【0029】
また、処理装置101は、容量結合プラズマ装置であって、載置台2が下部電極となり、シャワーヘッド3が上部電極となる。下部電極となる載置台2は、コンデンサ(図示せず)を介して接地されている。
【0030】
上部電極となるシャワーヘッド3は、RF電力供給部8によって高周波電力(以下、「RFパワー」ともいう。)が印加される。RF電力供給部8は、給電ライン81、整合器82及び高周波電源83を有する。高周波電源83は、高周波電力を発生する電源である。高周波電力は、プラズマの生成に適した周波数を有する。高周波電力の周波数は、例えば450KHz~100MHzの範囲内の周波数である。高周波電源83は、整合器82及び給電ライン81を介してシャワーヘッド3の本体部31に接続されている。整合器82は、高周波電源83の出力リアクタンスと負荷(上部電極)のリアクタンスを整合させるための回路を有する。なお、RF電力供給部8は、上部電極となるシャワーヘッド3に高周波電力を印加するものとして説明したが、これに限られるものではない。下部電極となる載置台2に高周波電力を印加する構成であってもよい。
【0031】
制御部9は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROM又は補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、処理装置101の動作を制御する。制御部9は、処理装置101の内部に設けられていてもよく、外部に設けられていてもよい。制御部9が処理装置101の外部に設けられている場合、制御部9は、有線又は無線等の通信手段によって、処理装置101を制御できる。
【0032】
〔処理装置102〕
次に、処理装置102について、図3を用いて説明する。図3は、処理装置102の構成例を示す概略図の一例である。処理装置102は、減圧状態の処理容器1内で基板Wの凹部の底部に選択的にSi膜を成膜する装置である。
【0033】
図3に示されるように、処理装置102は、処理容器1と、載置台2と、シャワーヘッド3と、排気部4と、ガス供給機構5と、制御部9とを有している。なお、処理装置102において、処理装置101(図2参照)と重複する構成については、説明を省略する。
【0034】
ガス供給機構5は、処理容器1内に処理ガスを供給する。ガス供給機構5は、シリコン含有ガス供給部51aと、ハロゲン含有ガス供給部52aと、不活性ガス供給部55aと、を有する。
【0035】
シリコン含有ガス供給部51aは、ガス供給ライン51bを介してシリコン含有ガスを処理容器1内に供給する。シリコン含有ガスとして、例えば、SiHガス、Siガス、SiHClガス、Siガス、Si10ガス等のガスのうち少なくとも1つを含むガスを用いることができる。
【0036】
ガス供給ライン51bには、上流側から流量制御器51c及びバルブ51dが介設されている。ガス供給ライン51bのバルブ51dの下流側は、ガス供給ライン57を介してガス導入孔36に接続されている。シリコン含有ガス供給部51aから供給されるシリコン含有ガスは処理容器1内に供給される。シリコン含有ガス供給部51aから処理容器1へのシリコン含有ガスの供給及び停止は、バルブ51dの開閉により行われる。
【0037】
ハロゲン含有ガス供給部52aは、ガス供給ライン52bを介してハロゲン含有ガスを処理容器1内に供給する。ハロゲン含有ガスとして、例えば、Clガス、HBrガス、ClFガス等のガスのうち少なくとも1つを含むガスを用いることができる。
【0038】
ガス供給ライン52bには、上流側から流量制御器52c及びバルブ52dが介設されている。ガス供給ライン52bのバルブ52dの下流側は、ガス供給ライン57を介してガス導入孔36に接続されている。ハロゲン含有ガス供給部52aから供給されるハロゲン含有ガスは処理容器1内に供給される。ハロゲン含有ガス供給部52aから処理容器1へのハロゲン含有ガスの供給及び停止は、バルブ52dの開閉により行われる。
【0039】
不活性ガス供給部55aは、ガス供給ライン55bを介して不活性ガスを処理容器1内に供給する。不活性ガスとして、例えば、Arガス等を用いることができる。
【0040】
ガス供給ライン55bには、上流側から流量制御器55c及びバルブ55dが介設されている。ガス供給ライン55bのバルブ55dの下流側は、ガス供給ライン57を介してガス導入孔36に接続されている。不活性ガス供給部55aから供給される不活性ガスは処理容器1内に供給される。不活性ガス供給部55aから処理容器1への不活性ガスの供給及び停止は、バルブ55dの開閉により行われる。
【0041】
〔処理装置103〕
次に、処理装置103について、図4を用いて説明する。図4は、処理装置103の構成例を示す概略図の一例である。処理装置103は、減圧状態の処理容器1内で基板Wに金属膜を成膜する装置である。金属膜を成膜することで、基板Wの凹部の底部に選択的に金属シリサイド膜を形成する。
【0042】
図4に示されるように、処理装置103は、処理容器1と、載置台2と、シャワーヘッド3と、排気部4と、ガス供給機構5と、RF電力供給部8と、制御部9とを有している。なお、処理装置102において、処理装置101(図2参照)と重複する構成については、説明を省略する。
【0043】
ガス供給機構5は、処理容器1内に処理ガスを供給する。ガス供給機構5は、金属含有ガス供給部53aと、還元ガス供給部54aと、不活性ガス供給部56aと、を有する。
【0044】
金属含有ガス供給部53aは、ガス供給ライン53bを介して金属含有ガスを処理容器1内に供給する。金属含有ガスとして、例えば、TiClガス、TiBrガス等のガスのうち少なくとも1つを含むガスを用いることができる。
【0045】
ガス供給ライン53bには、上流側から流量制御器53c及びバルブ53dが介設されている。ガス供給ライン53bのバルブ53dの下流側は、ガス供給ライン57を介してガス導入孔36に接続されている。金属含有ガス供給部53aから供給される金属含有ガスは処理容器1内に供給される。金属含有ガス供給部53aから処理容器1への金属含有ガスの供給及び停止は、バルブ53dの開閉により行われる。
【0046】
還元ガス供給部54aは、ガス供給ライン54bを介して還元ガスを処理容器1内に供給する。還元ガスとして、例えば、Hガス等を用いることができる。
【0047】
ガス供給ライン54bには、上流側から流量制御器54c及びバルブ54dが介設されている。ガス供給ライン54bのバルブ54dの下流側は、ガス供給ライン57を介してガス導入孔36に接続されている。還元ガス供給部54aから供給される還元ガスは処理容器1内に供給される。還元ガス供給部54aから処理容器1への還元ガスの供給及び停止は、バルブ54dの開閉により行われる。
【0048】
不活性ガス供給部56aは、ガス供給ライン56bを介して不活性ガスを処理容器1内に供給する。不活性ガスとして、例えば、Arガス等を用いることができる。
【0049】
ガス供給ライン56bには、上流側から流量制御器56c及びバルブ56dが介設されている。ガス供給ライン56bのバルブ56dの下流側は、ガス供給ライン57を介してガス導入孔36に接続されている。不活性ガス供給部56aから供給される不活性ガスは処理容器1内に供給される。不活性ガス供給部56aから処理容器1への不活性ガスの供給及び停止は、バルブ56dの開閉により行われる。
【0050】
〔基板処理方法〕
次に、一実施形態に係る基板処理システムの基板処理方法について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、基板処理システムの基板処理方法を説明するフローチャートの一例である。図6は、各工程における基板Wの断面図の一例である。
【0051】
ステップS101において、制御部600は、基板Wを準備する。制御部600は、搬送機構402、ゲートバルブG31を制御して、キャリアCに収容された基板Wを、大気搬送室400を介して、大気雰囲気のロードロック室301に搬送する。制御部600は、ロードロック室301を制御して、ロードロック室301の室内を真空雰囲気に減圧する。制御部600は、搬送機構201、ゲートバルブG21,G11を制御して、ロードロック室301から処理装置101に基板Wを搬送し、処理装置101の載置台2に基板Wを載置する。そして、処理装置101の制御部9は、昇降機構24を制御して、載置台2を搬送位置から処理位置に上昇させる。
【0052】
ここで、図6(a)は、準備された基板Wの一例を示す。基板Wは、下地部700と、下地部700の上に形成された絶縁膜710と、を有する。下地部700は、例えばSiまたはSiGeで形成される。絶縁膜710は、例えばSiNまたはSiOで形成される。絶縁膜710には、下地部700の表面を露出させるように貫通部720が形成される。即ち、基板Wの表面には、凹部が形成され、凹部の底部には、下地部700の表面が露出する。
【0053】
下地部700は、エピタキシャル成長によって形成された結晶性シリコン膜であるエピタキシャル層701を有する。例えば、Fin型チャネル電界効果トランジスタにおいて、ソース及びドレインは、SiまたはSiGeをエピタキシャル成長させることにより形成される。また、貫通部720から露出する下地部700の表面(凹部の底部)には、自然酸化膜702が形成されている。
【0054】
ステップS102において、制御部600は、処理装置101を制御して、貫通部720から露出する下地部700の表面に形成された自然酸化膜702を除去する。
【0055】
処理装置101は、例えば、RF電力供給部8によって上部電極となるシャワーヘッド3に高周波電力を印加し、ガス供給部50aから処理容器1内にエッチングガス(例えば、Cガス)、不活性ガスなどを供給することにより、基板Wの自然酸化膜702をプラズマエッチングして除去する。また、処理装置101は、例えば、ガス供給部50aから処理容器1内にエッチングガス(例えば、HFガス)、反応性ガス(例えば、NHガス)を供給することにより、基板Wの自然酸化膜702をケミカルエッチングして除去する。なお、処理装置101で行われる自然酸化膜702の除去方法は、これらに限られるものではない。
【0056】
ここで、図6(b)は、自然酸化膜702が除去された基板Wの一例を示す。自然酸化膜702を除去することにより、貫通部720から露出する下地部700の表面は、結晶性シリコン膜であるエピタキシャル層701の表面が露出する。
【0057】
ステップS103において、制御部600は、基板Wを処理装置101から処理装置102に真空搬送する。処理装置101の制御部9は、昇降機構24を制御して、載置台2を処理位置から搬送位置に下降させる。制御部600は、搬送機構201、ゲートバルブG11,G12を制御して、処理装置101から処理装置102に基板Wを搬送し、処理装置102の載置台2に基板Wを載置する。そして、処理装置102の制御部9は、昇降機構24を制御して、載置台2を搬送位置から処理位置に上昇させる。
【0058】
ステップS104において、制御部600は、処理装置102を制御して、基板WにSi膜を成膜する。
【0059】
処理装置102は、例えば、シリコン含有ガス供給部51aから処理容器1内にシリコン含有ガス(例えば、モノシラン(SiH)ガス、ジシラン(Si)ガス、トリシラン(Si)ガス、テトラシラン(Si10)ガス、塩素含有化合物ガスであるモノクロロシラン(SiHCl)ガス、ジクロロシラン(SiHCl)ガス、トリクロロシラン(SiHCl)ガス、シリコンテトラクロライド(SiCl)ガス、ヘキサクロロジシラン(SiCl)ガス)を供給することにより、基板WにSi膜を成膜する。
【0060】
ここで、図6(c)は、処理装置102の処理によって、Si膜が成膜された基板Wの一例を示す。
【0061】
凹部の底部には、SiまたはSiGeで形成されるエピタキシャル層701が形成されている。このため、凹部の底部には、エピタキシャル層701からエピタキシャル成長して結晶性シリコン膜が成膜される。これにより、エピタキシャル層701の膜厚を増加させることができる。一方、SiNまたはSiOで形成される絶縁膜710の上面及び貫通部720の側壁には、アモルファスシリコン膜703が成膜される。このように、Si膜が成膜される下地の差異によって、凹部の底部に結晶性シリコン膜(エピタキシャル層701)を成膜し、凹部の側面及び上面にアモルファスシリコン膜703を成膜することができる。
【0062】
図7は、ステップS104に示す処理におけるSi膜の成膜結果を示すグラフの一例である。図7(a)はSiの下地にSi膜を成膜した場合を示し、図7(b)はSiGeの下地にSi膜を成膜した場合を示す。また、横軸を深さ(nm)とし、縦軸を元素濃度(At%)として、EDX解析を行い、Si膜が形成されているかの確認を行った。
【0063】
また、Si膜は、載置台温度500~600℃、圧力1~10Torr、シリコン含有ガスとしてSiガス10~100sccm、不活性ガスとしてArガス100~5000sccmの成膜条件で成膜した。
【0064】
図7(a)および図7(b)の結果から、下地がSi、SiGeともにSi膜が成膜できることが確認できた。
【0065】
また、シリコン含有ガスとしてSiガスを用いる場合、Si膜を成膜する際の基板Wの温度を400℃から580℃に制御することにより、エピタキシャル層701の表面(凹部の底部)に結晶性シリコン膜が成膜され、絶縁膜710の上面及び貫通部720の側壁(凹部の側壁)にアモルファスシリコン膜が成膜される。また、シリコン含有ガスとしてSi10ガスを用いる場合、基板Wの温度を350℃から480℃に制御することにより、エピタキシャル層701の表面(凹部の底部)に結晶性シリコン膜が成膜され、絶縁膜710の上面及び貫通部720の側壁(凹部の側壁)にアモルファスシリコン膜が成膜される。
【0066】
図5及び図6に戻り、ステップS105において、制御部600は、処理装置102を制御して、アモルファスシリコン膜703を選択的にエッチングする。
【0067】
処理装置102は、例えば、ハロゲン含有ガス供給部52aから処理容器1内にハロゲン含有ガス(例えば、Clガス、HBrガス、ClFガス)を供給することにより、基板Wに成膜されたSi膜をケミカルエッチングする。
【0068】
ここで、アモルファスシリコン膜及び結晶性シリコン膜のエッチングレートについて、図8を用いて説明する。図8は、アモルファスシリコン膜及び結晶性シリコン膜におけるエッチングレートの一例を示すグラフである。横軸は、温度の逆数1000/T[1/℃]を示す。縦軸は、エッチングレート[nm/min]を示す。また、アモルファスシリコン膜(a-Si)におけるエッチングレートを実線で示し、結晶性シリコン膜(Epi Si)におけるエッチングレートを破線で示す。
【0069】
ここでは、ハロゲン含有ガスとしてClガスを用いて、アモルファスシリコン膜及び結晶性シリコン膜をケミカルエッチングした。図8のグラフに示す例において、アモルファスシリコン膜におけるエッチングレートは、結晶性シリコン膜におけるエッチングレートの10倍程度となる。これにより、処理装置102は、アモルファスシリコン膜703を選択的にエッチングすることができる。
【0070】
ここで、図6(d)は、処理装置102の処理によって、アモルファスシリコン膜703が選択的にエッチングされた基板Wの一例を示す。絶縁膜710の上面及び貫通部720の側壁に成膜されたアモルファスシリコン膜703がエッチングされる。
【0071】
このように、ステップS104及びステップS105の処理によって、凹部の底部に、選択的に結晶性シリコン膜を成膜することができる。
【0072】
なお、ステップS104に示すシリコン含有ガスを供給する工程と、ステップS105に示すハロゲン含有ガスを供給する工程と、を順次行うものとして説明したが、これに限られるものではない。
【0073】
例えば、シリコン含有ガス及びハロゲン含有ガスを同時に供給する構成であってもよい。これにより、絶縁膜710の上面及び貫通部720の側壁にアモルファスシリコン膜703が成膜されることを抑制しつつ、凹部の底部に結晶性シリコン膜(エピタキシャル層701)を成膜することができる。
【0074】
また、ステップS104に示すシリコン含有ガスを供給する工程と、ステップS105に示すハロゲン含有ガスを供給する工程と、を繰り返す構成であってもよい。これにより、凹部の底部に、選択的に結晶性シリコン膜を成膜することができる。
【0075】
ステップS106において、制御部600は、基板Wを処理装置102から処理装置103に真空搬送する。処理装置102の制御部9は、昇降機構24を制御して、載置台2を処理位置から搬送位置に下降させる。制御部600は、搬送機構201、ゲートバルブG12,G13を制御して、処理装置102から処理装置103に基板Wを搬送し、処理装置103の載置台2に基板Wを載置する。そして、処理装置103の制御部9は、昇降機構24を制御して、載置台2を搬送位置から処理位置に上昇させる。
【0076】
ステップS107において、制御部600は、処理装置103を制御して、基板Wに金属膜(Ti膜)を成膜する。
【0077】
処理装置103は、例えば、金属含有ガス供給部53aから処理容器1内に金属含有ガス(例えば、TiClガス、TiBrガス)を供給し、還元ガス供給部54aから処理容器1内に還元ガス(例えば、Hガス)を供給し、不活性ガス供給部56aから処理容器1内に不活性ガス(例えば、Arガス)を供給する。そして、RF電力供給部8によって上部電極となるシャワーヘッド3に高周波電力を印加し、プラズマを生成し、生成したプラズマに基板Wをさらすことにより、CVD(chemical vapor deposition)反応によって、基板Wに金属膜(Ti膜)を成膜する。
【0078】
ここで、凹部の底部において、エピタキシャル層701の上に金属膜(例えば、Ti膜)が成膜される。金属膜は、エピタキシャル層701と反応し、自己整合的に金属シリサイド膜(TiSi膜)730を形成する。
【0079】
また、絶縁膜710の上面及び貫通部720の側壁に形成された金属膜(Ti膜)は、TiClガスによってセルフエッチングされる。このため、絶縁膜710の上面及び貫通部720の側壁に金属膜(Ti膜)が成膜されることが抑制される。
【0080】
なお、金属膜はTi膜であり、金属シリサイド膜はTiSi膜であるものとして説明したが、これに限られるものではない。
【0081】
なお、処理の終了後、制御部600は、基板Wを処理装置103からロードロック室301に真空搬送する。処理装置103の制御部9は、昇降機構24を制御して、載置台2を処理位置から搬送位置に下降させる。制御部600は、搬送機構201、ゲートバルブG13,G21を制御して、処理装置103からロードロック室301に基板Wを搬送する。制御部600は、ロードロック室301を制御して、ロードロック室301の室内を大気雰囲気にする。制御部600は、搬送機構402、ゲートバルブG31を制御して、ロードロック室301から大気搬送室400を介してキャリアCに基板Wを搬送し、キャリアCに基板Wを収容する。
【0082】
一実施形態に係る基板処理システムの基板処理方法によれば、凹部を有する基板Wにおいて、凹部の底部に選択的に金属シリサイド膜730を成膜することができる。また、基板処理システムの基板処理方法によれば、ステップS105の処理によって、絶縁膜710の上面及び貫通部720の側壁に形成されるアモルファスシリコン膜703を除去することができる。これにより、ステップS107の処理によって基板Wに金属膜を成膜した際、絶縁膜710の上面及び貫通部720の側壁に金属シリサイド膜が形成されることを防止することができる。また、高アスペクト比の凹部の底部においても、好適に金属シリサイド膜730を成膜することができる。
【0083】
また、基板処理システムの基板処理方法によれば、ステップS104及びステップS105の処理によって、凹部の底部に形成される結晶性シリコン膜(エピタキシャル層701)の膜厚を増加させることができる。これにより、ステップS107の処理によって、金属膜と結晶性シリコン膜(エピタキシャル層701)とが反応することで形成される金属シリサイド膜730の膜厚を増加させることができる。
【0084】
このように、基板処理システムの基板処理方法によれば、基板Wの凹部の底部に形成される金属シリサイド膜730の膜厚を増加させるとともに、絶縁膜710の上面及び貫通部720の側壁に金属シリサイド膜が形成されることを防止することができる。
【0085】
また、例えば、エピタキシャル層701がFin型チャネル電界効果トランジスタのソース・ドレインである場合、金属シリサイド膜730であるコンタクトを凹部の底部に選択的に形成し、かつ、膜厚を制御(増加)させることができる。
【0086】
また、例えば、Gate-All-Around型電界効果トランジスタなどのように横方向に凹部を有するような構造や貫通部を有する構造でも本実施形態を適用することができる。
【0087】
また、Si膜の成膜において、プラズマを用いずに成膜する実施形態を説明したが、この限りではない。例えば、処理装置101のRF電力供給部8を処理装置102に適用して用いて、容量結合型プラズマでSi膜を成膜してもよい。また、容量結合型プラズマに限定することなく、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)、マイクロ波励起表面波プラズマ(SWP)、電子サイクロトン共鳴プラズマ(ECP)、またはヘリコン波励起プラズマ(HWP)など、適用可能である。
【0088】
また、複数の凹部のうち一方の凹部の底部がSiであって他方の凹部の底部がSiGeとなるような、下地部700の材質が混在するような場合であっても、それぞれの凹部の底部に選択的に結晶性シリコン膜を成膜し、成膜された結晶性シリコン膜と金属膜を反応させることができるので、金属シリサイド膜730の膜厚ばらつきを抑制することができる。
【0089】
以上、基板処理システムの実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0090】
101 処理装置(第1の処理装置)
102 処理装置(第2の処理装置)
103 処理装置(第3の処理装置)
200 真空搬送室
201 搬送機構
600 制御部
700 下地部
701 エピタキシャル層(シリコン膜、結晶性シリコン膜)
702 自然酸化膜
703 アモルファスシリコン膜
710 絶縁膜
720 貫通部
730 金属シリサイド膜
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8