(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048475
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理装置、基板処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/318 20060101AFI20230331BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
H01L21/318 C
H01L21/31 C
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157805
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 涛
(72)【発明者】
【氏名】原田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】今村 友紀
(72)【発明者】
【氏名】奥田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】野田 孝暁
【テーマコード(参考)】
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
5F045AA15
5F045AB31
5F045AB34
5F045AC00
5F045AC03
5F045AC05
5F045AC07
5F045AC11
5F045AC12
5F045AC14
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045AD08
5F045AD09
5F045AE15
5F045AE17
5F045AE19
5F045AE21
5F045BB07
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EE17
5F045EF03
5F045EH04
5F045EH18
5F045EK06
5F058BA20
5F058BC12
5F058BC20
5F058BD16
5F058BF07
5F058BF24
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
5F058BJ01
(57)【要約】
【課題】低温であっても、膜中の窒素濃度を所望の濃度にすることが可能となる。
【解決手段】(a)基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する工程と、(b)基板に対して炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する工程と、(c)基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する工程と、(d)基板に対して酸素を含有するガスを供給する工程と、(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する工程と、
(b)前記基板に対して炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する工程と、
(c)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する工程と、
(d)前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する工程と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
(f)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給することなく、前記基板上に少なくとも所定元素、炭素及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、をさらに有し、
(e)と(f)を行うサイクルを1回以上の第2回数を行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内の前記基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する第1の供給系と、
前記処理室内の前記基板に対して炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する第2の供給系と、
前記処理室内の前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する第3の供給系と、
前記処理室内の前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する第4の供給系と、
前記処理室内において、
(a)基板に対して前記第1ガスを供給する処理と、
(b)前記基板に対して前記第2ガスを供給する処理と、
(c)前記基板に対して前記プラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する処理と、
(d)前記基板に対して前記酸素を含有するガスを供給する処理と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成することを行わせるように、前記第1乃至第4の供給系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項4】
(a)基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する工程と、
(b)前記基板に対して炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する工程と、
(c)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する工程と、
(d)前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する工程と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項5】
基板処理装置の処理室内において、
(a)基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する手順と、
(b)前記基板に対して炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する手順と、
(c)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する手順と、
(d)前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する手順と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、基板処理装置、基板処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン等の所定元素含有ガスと、炭素及び窒素含有ガスと、酸素含有ガスと、を供給するサイクルを繰り返して、基板上に、所定元素、酸素、炭素、及び窒素を含有する膜を形成する処理が行われることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の成膜温度よりも低温で同膜を形成する場合、膜中の窒素濃度が減少することがある。
【0005】
本開示の目的は、低温であっても、膜中の窒素濃度を所望の濃度にすることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
(a)基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する工程と、
(b)前記基板に対して1分子中に少なくとも炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する工程と、
(c)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する工程と、
(d)前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する工程と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、低温であっても、膜中の窒素濃度を所望の濃度にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一態様に係る基板処理装置の概略構成例であって、処理炉部分を概略縦断面図で示す図である。
【
図2】
図1に示す処理炉のA-A線概略横断面図である。
【
図3】本開示の一態様に係る基板処理装置の制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【
図4】
図4(A)は、基板の表面に第1層が形成された後の基板の断面図である。
図4(B)は、基板の表面に第2層が形成された後の基板の断面図である。
図4(C)は、基板の表面に第3層が形成された後の基板の断面図である。
図4(D)は、基板の表面に第4層が形成された後の基板の断面図である。
【
図5】本開示の一態様に係る成膜工程におけるガス供給のタイミングを示す図である。
【
図6】本開示の一態様に係る成膜工程におけるガス供給のタイミングの変形例を示す図である。
【
図7】本開示の一態様に係る成膜工程におけるガス供給のタイミングの変形例を示す図である。
【
図8】本開示の一態様に係る成膜工程におけるガス供給のタイミングの変形例を示す図である。
【
図9】
図9(A)は、シリコン酸炭窒化層の第1積層例を示す図である。
図9(B)は、シリコン酸炭窒化層の第2積層例を示す図である。
図9(C)は、シリコン酸炭窒化層の第3積層例を示す図である。
図9(D)は、シリコン酸炭窒化層の第4積層例を示す図である。
図9(E)は、シリコン酸炭窒化層の第5積層例を示す図である。
【発明を実施するための態様】
【0009】
<本開示の一態様>
以下、本開示の一態様について、主に、
図1~
図5を参照しつつ説明する。
【0010】
なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は温度調整器(加熱部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0012】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0013】
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。反応管203の下部開口端部に設けられた環状のフランジとシールキャップ219の上面との間にはシール部材(以下Oリング)220が配置され、両者の間は気密にシールされている。少なくとも、反応管203およびシールキャップ219により処理室201が形成されている。この処理室201内で基板としてのウエハ200に対する処理が行われる。
【0014】
シールキャップ219上にはボート217を支持するボート支持台218が設けられている。
【0015】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように構成されている。
【0016】
シールキャップ219の処理室201と反対側にはボート217を回転させるボート回転機構267が設けられている。
【0017】
シールキャップ219は反応管203の外部に設けられた昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。
【0018】
以上の処理炉202は、ウエハ200が配列されたボート217がボート支持台218で支持されながら処理室201に挿入されるように構成されている。
【0019】
処理室201内には、ノズル410,420,430が設けられている。ノズル410にはガス供給管232aが接続され、ノズル420にはガス供給管232bが接続され、ノズル430にはガス供給管232cが接続されている。
【0020】
ガス供給管232a~232cには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a~241c、開閉弁であるバルブ243a~243cがそれぞれ設けられている。バルブ243aよりも下流側には、ガス供給管232d,232e,232fがそれぞれ接続されている。バルブ243bよりも下流側には、ガス供給管232gが接続されている。バルブ243cよりも下流側には、ガス供給管232hが接続されている。ガス供給管232d~232hには、ガス流の上流側から順に、MFC241d~241hおよびバルブ243d~243hがそれぞれ設けられている。
【0021】
ガス供給管232a~232cの下流側の端部は、ノズル410~430の端部にそれぞれ接続されている。
【0022】
ノズル410は、反応管203の内壁とウエハ200との間における円筒状の空間に設けられている。ノズル410の側面には処理ガスを供給する多数のガス供給孔411が設けられている。
【0023】
ノズル420は、ガス分散空間(放電室、放電空間)であるバッファ室423内に設けられている。
【0024】
バッファ室423は、反応管203の内壁とバッファ室壁424とにより形成されている。バッファ室壁424のウエハ200と隣接する壁にはガスを供給するガス供給孔425が設けられている。
【0025】
ノズル420は、バッファ室423の一端側に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って設けられている。ノズル420の側面にはガスを供給するガス供給孔421が設けられている。
【0026】
ノズル430は、ガス分散空間(放電室、放電空間)であるバッファ室433内に設けられている。
【0027】
バッファ室433は、反応管203の内壁とバッファ室壁434とにより形成されている。バッファ室壁434のウエハ200と隣接する壁にはガスを供給するガス供給孔435が設けられている。
【0028】
ノズル430は、バッファ室433の一端側に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って設けられている。ノズル430の側面にはガスを供給するガス供給孔431が設けられている。
【0029】
バッファ室423内には、棒状電極471,472が配設されている。棒状電極471,472は、それぞれ、電極保護管451,452により覆われることで保護されている。棒状電極471は、整合器271を介して高周波(RF:Radio Frequency)電源270に接続され、棒状電極472は基準電位であるアース272に接続されている。この結果、棒状電極471、棒状電極472間のプラズマ生成領域にプラズマが生成される。主に、棒状電極471,472、電極保護管451,452、バッファ室423およびガス供給孔425により第1のプラズマ発生構造429が構成される。
【0030】
バッファ室433内には、棒状電極481,482が配設されている。棒状電極481,482は、それぞれ、電極保護管461,462により覆われることで保護されている。第1のプラズマ発生構造429と同様に、棒状電極481,482間のプラズマ生成領域にプラズマが生成される。主に、棒状電極481,482、電極保護管461,462、バッファ室433およびガス供給孔435により第2のプラズマ発生構造439が構成される。
【0031】
なお、本態様により発生したプラズマをリモートプラズマと呼ぶ。リモートプラズマは、電極間で生成したプラズマをガスの流れ等により被処理物表面に輸送してプラズマ処理を行う。プラズマに含まれる活性種は、バッファ室423のガス供給孔425およびバッファ室433のガス供給孔435を介してウエハ200の外周からウエハ200の中心方向に供給される。
【0032】
反応管203の下部に排気口230が設けられている。排気口230は排気管231に接続されている。
【0033】
ガス供給管232aからは、処理ガスであり、所定元素を含有する第1ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル410を介して処理室201内へ供給される。
【0034】
ガス供給管232bからは、処理ガスであり、窒素(N)を含有するガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル420を介して処理室201内へ供給される。
【0035】
ガス供給管232cからは、処理ガスであり、窒素(N)を含有するガスが、MFC241c、バルブ243c、ノズル430を介して処理室201内へ供給される。
【0036】
ガス供給管232dからは、処理ガスであり、1分子中に少なくとも炭素(C)及び窒素(N)を含有する第2ガスが、MFC241d、バルブ243d、ノズル410を介して処理室201内へ供給される。
【0037】
ガス供給管232eからは、処理ガスであり、酸素(O)を含有するガスが、MFC241e、バルブ243e、ノズル410を介して処理室201内へ供給される。
【0038】
ガス供給管232f~232hからは、不活性ガスが、それぞれMFC241f~241h、バルブ243f~243h、ガス供給管232a~232c、ノズル410,420,430を介して処理室201内へ供給される。不活性ガスは、パージガス、キャリアガス、希釈ガス等として作用する。
【0039】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、第1の供給系(第1ガス供給系、原料供給系とも称することができる)が構成される。主に、ガス供給管232d、MFC241d、バルブ243dにより、第2の供給系(第2ガス供給系とも称することができる)が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243b及びガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cにより、第3の供給系(N含有ガス供給系とも称することができる)が構成される。主に、ガス供給管232e、MFC241e、バルブ243eにより、第4の供給系(O含有ガス供給系、酸化ガス供給系とも称することができる)が構成される。主に、ガス供給管232f~232h、MFC241f~241h、バルブ243f~243hにより、不活性ガス供給系が構成される。
【0040】
排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができるように構成されている。更に、APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。
【0041】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度を所望の温度分布へと設定することができる。
【0042】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0043】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する半導体装置の製造方法(基板処理方法)の手順や条件などが記載されたプロセスレシピなどが、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法(基板処理方法)における各工程(各ステップ)をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0044】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241h、バルブ243a~243h、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、高周波電源270、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0045】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すことが可能なように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241hによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a~243hの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、高周波電源270から供給される高周波電力の制御、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0046】
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ、SSD等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0047】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハ200上に所定元素、O、C及びNを含む膜を形成するための処理シーケンスの例について、主に、
図5を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0048】
本態様における処理シーケンスとして、ここでは、
(a)ウエハ200に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する工程と、
(b)ウエハ200に対して1分子中に少なくともC及びNを含有する第2ガスを供給する工程と、
(c)ウエハ200に対してプラズマにより活性化されたNを含有するガスを供給する工程と、
(d)ウエハ200に対してOを含有するガスを供給する工程と、
(a)から(d)を非同時に行うサイクルを2回以上行うことにより、ウエハ200上に所定元素、O、C、及びNを少なくとも含有する膜を形成する例を示している。
【0049】
本明細書では、上述の(a)から(d)を、この順で非同時に行うサイクルを所定回数行う処理シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の他の態様や変形例等の説明においても、同様の表記を用いる。
【0050】
(第1ガス→第2ガス→N含有ガス*→O含有ガス)×n(nは2以上の整数)
ここで、N含有ガス*は、プラズマにより活性化されたN含有ガス供給を示している。
【0051】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0052】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構によりシャッタが移動させられて、反応管203の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。
【0053】
(圧力調整および温度調整)
その後、処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の処理温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。処理室201内の排気、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0054】
(成膜工程)
その後、以下に示すステップS1~ステップS8を行う。
【0055】
[第1ガス供給:ステップS1]
バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へ第1ガスを流す。第1ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル410を介して処理室201内へ供給され、排気口230より排気される。このとき、ウエハ200に対して第1ガスが供給される。このとき、バルブ243f~243hを開き、ノズル410~430のそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0056】
ステップS1において第1ガスを供給する際における処理条件としては、
処理温度:450~550℃
処理圧力:1~1200Pa、好ましくは20~200Pa
第1ガス供給流量:0.1~1.5slm、好ましくは0.1~0.5slm
第1ガス供給時間:10~60秒、好ましくは20~40秒
不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):0~10slm、好ましくは3~7slm
が例示される。
【0057】
なお、本明細書における「1~1200Pa」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「1~1200Pa」とは「1Pa以上1200Pa以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。なお、処理温度とはウエハ200の温度のことを意味し、処理圧力とは処理室201内の圧力のことを意味する。なお、供給流量として0slmとの記載がある場合には、その物質を供給しないケースを意味する。これらは、以下の説明においても同様である。
【0058】
第1ガスとしては、所定元素(例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)等)を含有するガスを用いることができる。第1ガスは、ウエハ200の表面における吸着サイト(例えば、NH終端)への吸着性の観点から、例えば、ハロゲンを含むことが好ましい。第1ガスは、ハロゲンとして、例えば、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、および、ヨウ素(I)のうち少なくともいずれかを含むことが好ましく、中でも、Clを含むことがより好ましい。
【0059】
第1ガスとしては、例えば、ハロシラン系ガスを用いることが好ましく、中でも、クロロシラン系ガスを用いることがより好ましい。ここで、ハロシランとは、ハロゲン元素を置換基として有するシランを意味し、クロロシランとは、塩素(Cl)を置換基として有するシランを意味する。ハロシランに含まれるハロゲン元素としては、例えば、上述のハロゲン元素、具体的には、Cl、F、Br、I等が挙げられる。第1ガスとしては、特に、1分子中に含まれるSiの数が、2つ以上(好ましくは2つ)であるハロシランを用いることが好ましく、中でも、1分子中に含まれるSiの数が、2つ以上(好ましくは2つ)であるクロロシランを用いることが好ましい。さらには、第1ガスとしては、分子内にSi-Si結合を有するハロシランを用いることがより好ましく、中でも、分子内にSi-Si結合を有するクロロシランを用いることがより好ましい。
【0060】
第1ガスとしては、例えば、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、略称:HCDS)ガス、モノクロロシラン(SiH3Cl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiH2Cl2、略称:DCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl3、略称:TCS)ガス、テトラクロロシラン(SiCl4、略称:STC)ガス、オクタクロロトリシラン(Si3Cl8、略称:OCTS)ガス等のクロロシラン系ガスを用いることができる。また、第1ガスとしては、例えば、テトラフルオロシラン(SiF4)ガス、ジフルオロシラン(SiH2F2)ガス等のフルオロシラン系ガスや、テトラブロモシラン(SiBr4)ガス、ジブロモシラン(SiH2Br2)ガス等のブロモシラン系ガスや、テトラヨードシラン(SiI4)ガス、ジヨードシラン(SiH2I2)ガス等のヨードシラン系ガスを用いることができる。
【0061】
また、第1ガスとしては、例えば、ジメチルジクロロシラン((CH3)2SiCl2)ガス、トリメチルクロロシラン((CH3)3SiCl)ガス、1,1,2,2-テトラクロロ-1,2-ジメチルジシラン((CH3)2Si2Cl4、略称:TCDMDS)ガス、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラメチルジシラン((CH3)4Si2Cl2、略称:DCTMDS)ガス等のアルキルクロロシラン系ガスや、ジメチルジフルオロシラン((CH3)2SiF2)ガス、トリメチルフルオロシラン((CH3)3SiF)ガス等のアルキルフルオロシラン系ガスや、ジメチルジブロモシラン((CH3)2SiBr2)ガス、トリメチルブロモシラン((CH3)3SiBr)ガス等のアルキルブロモシラン系ガスや、ジメチルジヨードシラン((CH3)2SiI2)ガス、トリメチルヨードシラン((CH3)3SiI)ガス等のアルキルヨードシラン系ガスを用いることができる。
【0062】
また、第1ガスとしては、例えば、ビス(トリクロロシリル)メタン((SiCl3)2CH2、略称:BTCSM)ガス、1,2-ビス(トリクロロシリル)エタン((SiCl3)2C2H4、略称:BTCSE)ガス等のアルキレンクロロシラン系ガスや、1,1,3,3-テトラクロロ-1,3-ジシラシクロブタン(C2H4Cl4Si2、略称:TCDSCB)ガス等のSiとCとで構成される環状構造およびハロゲン元素を含む化合物のガスを用いることができる。
【0063】
また、第1ガスとしては、例えば、モノクロロゲルマン(GeH3Cl)ガス、ジクロロゲルマン(GeH2Cl2)ガス、トリクロロゲルマン(GeHCl3)ガス、テトラクロロゲルマン(GeCl4)ガス等のクロロゲルマン系ガスや、テトラフルオロゲルマン(GeF4)ガス等のフルオロゲルマン系ガスや、テトラブロモゲルマン(GeBr4)ガス等のブロモゲルマン系ガスや、テトラヨードゲルマン(GeI4)ガス等のヨードゲルマン系ガスを用いることができる。
【0064】
また、第1ガスとしては、例えば、テトラクロロチタン(TiCl4)ガス、テトラフルオロチタン(TiF4)ガス、テトラブロモチタン(TiBr4)ガス、テトラヨードチタン(TiI4)ガス等のハロゲン化金属化合物のガスを用いることができる。
【0065】
第1ガスとしては、上述したもののうち1以上を用いることができる。第1ガスがSiを含む場合、第1ガスはSiソースとして作用し、第1ガスがGeを含む場合、第1ガスはGeソースとして作用し、第1ガスがTiを含む場合、第1ガスはTiソースとして作用する。第1ガスとしては、上述の中でも、ハロシランおよびハロゲン化金属のうち少なくともいずれかであることが好ましい。
【0066】
不活性ガスとしては、例えば、窒素(N2)ガスや、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。この点は、後述する不活性ガスを用いる各ステップにおいても同様である。不活性ガスは、パージガス、キャリアガス、希釈ガス等として作用する。
【0067】
そして、
図4(A)に示すように、上述の処理条件下でウエハ200に対して第1ガスを供給することにより、ウエハ200の表面に所定元素を含有する第1層300が形成される。第1層300は、ウエハ200の表面への、所定元素を含有する原料分子の物理吸着や化学吸着、原料分子の一部が解離した物質の化学吸着、第1ガスの熱分解物の堆積等により形成される。つまり、第1層300としては、少なくとも、第1ガスに含まれる、膜を構成する所定元素(例えば、シリコン(Si))を含む層が形成される。また、第1ガスが、所定元素以外の元素(例えば、ハロゲン元素)を含む場合には、この所定元素以外の元素も第1層300に含まれてもよい。例えば第1ガスとしてクロロシラン系ガスを用いた場合、Siを含有するSi含有層である第1層300が形成される。
【0068】
[残留ガス除去:ステップS2]
ウエハ200の表面に第1層300が形成された後、バルブ243aを閉じ、処理室201内への第1ガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する第1ガスや第1層300が形成される際に発生したガス状物質等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243f~243hを開き、ノズル410~430を介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。ノズル410~430より供給される不活性ガスは、パージガスとして作用し、これにより、処理室201内がパージされる(パージ)。
【0069】
ステップS2においてパージを行う際における処理条件としては、
処理温度:450~550℃
処理圧力:1~500Pa、好ましくは20~100Pa
不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):0~10slm、好ましくは1~5slm
不活性ガス供給時間:5~60秒、好ましくは20~40秒
が例示される。
【0070】
[第2ガス供給:ステップS3]
ステップS3では、ウエハ200に対して第2ガスを供給する。
【0071】
具体的には、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内へ第2ガスを流す。第2ガスは、MFC241dにより流量調整され、ノズル410を介して処理室201内へ供給され、排気口230より排気される。このとき、ウエハ200に対して第2ガスが供給される。このとき、バルブ243f~243hを開き、ノズル410~430のそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0072】
ステップS3において第2ガスを供給する際における処理条件としては、
処理温度:450~550℃
処理圧力:1~1200Pa、好ましくは600~1000Pa
第2ガス供給流量:0.1~1.5slm、好ましくは0.2~0.8slm
第2ガス供給時間:10~120秒、好ましくは10~60秒
が例示される。他の処理条件は、ステップS1における処理条件と同様とすることができる。
【0073】
第2ガスとしては、1分子中に少なくとも炭素(C)と窒素(N)を含有するガスを用いることができる。第2ガスは、改質効果の観点から、例えば、C、N及びHを含むことが好ましい。すなわち、第2ガスとしては、例えば、アミン系ガスや有機ヒドラジン系ガス等を用いることができる。
【0074】
アミン系ガスとしては、例えば、トリエチルアミン((C2H5)3N、略称:TEA)ガス、モノエチルアミン((C2H5)NH2、略称:MEA)ガス、ジエチルアミン((C2H5)2NH、略称:DEA)ガス等のエチルアミン系ガスや、モノメチルアミン((CH3)NH2、略称:MMA)ガス、ジメチルアミン((CH3)2NH、略称:DMA)ガス、トリメチルアミン((CH3)3N、略称:TMA)ガス等のメチルアミン系ガスを用いることができる。なお、アミン系ガスは、N及びH含有ガスでもある。
【0075】
有機ヒドラジン系ガスとしては、例えば、モノメチルヒドラジン((CH3)HN2H2、略称:MMH)ガス、ジメチルヒドラジン((CH3)2N2H2、略称:DMH)ガス、トリメチルヒドラジン((CH3)2N2(CH3)H、略称:TMH)ガス等のメチルヒドラジン系ガスを用いることができる。なお、有機ヒドラジン系ガスは、N及びH含有ガスでもある。
【0076】
第2ガスとしては、上述したもののうち1以上を用いることができる。第2ガスが、C及びNを含む場合、第2ガスは、Nソースとして作用するだけでなく、Cソースとしても作用する。
【0077】
上述の処理条件下でウエハ200に対して第2ガスを供給することにより、
図4(B)に示すように、ウエハ200の表面に第2層400が形成される。第2層400は、ウエハ200表面に形成された第1層300の表面と1分子中にC及びNを含有する第2ガスとを反応させることで形成される。この反応により、第2ガスに含まれるC及びNを、第1層300の表面に吸着させることができる。すなわち、第1層300の表面にC及びN含有層が形成される。その結果として、所定元素、C及びNを含有する第2層400が形成される。つまり、ステップS3では、第2ガスの第1層300への化学吸着等により、所定元素を含有する第1層300を、所定元素、C及びNを含有する第2層400へと改質させることができる。そのため、ステップS3を、C及びNを含有する第2ガスによる改質ステップと称することもできる。例えば第1ガスとしてクロロシラン系ガスを、第2ガスとしてアミン系ガスを用いた場合に、Si含有層である第1層300が、Si、C及びNを含有する第2層400、すなわち、シリコン炭窒化(SiCN)層へと改質される。
【0078】
第2層400を形成する際、第1層300に含まれていた不純物(例えば、Cl等)は、第2ガスによる第1層300の改質反応の過程において、第1層300から除去される。これにより、第2層400は、ステップS1で形成された第1層300に比べてCl等の不純物が少ない層となる。なお、第1層300から除去された不純物は、ガス状物質を構成することで、処理室201外へと排除される。
【0079】
[残留ガス除去:ステップS4]
ウエハ200表面に第2層400が形成された後、バルブ243dを閉じ、処理室201内への第2ガスの供給を停止する。そして、上述のステップS2におけるパージと同様の処理手順、処理条件により、処理室201内に残留する第2ガスや第2層400が形成される際に発生したガス状物質等を処理室201内から排除する(パージ)。
【0080】
ここで、High-k膜の成膜工程を450~550℃の低温で行うことが要求されている。
しかし、成膜工程を450~550℃の低温で行うと、第2層400におけるNの添加量(含有量、濃度)が低下してしまう場合がある。膜中のNの含有量が低下すると、ドライエッチング耐性の低下(悪化)等の膜質の低下にもつながる。
そこで、本開示においては、ステップS4の後に次のステップS5、ステップS6を行って、膜中のNの含有量(濃度)を向上させることとしている。
【0081】
[プラズマにより活性化されたN含有ガス供給:ステップS5]
ステップS4が終了した後、ステップS5を行う。ステップS5では、ウエハ200に対してプラズマにより活性化されたNを含有するN含有ガスを供給する。
【0082】
具体的には、バルブ243b,243cを開き、ガス供給管232b,232c内へN含有ガスを流す。N含有ガスは、MFC241b,241cにより流量調整され、ノズル420,430を介してバッファ室423,433内に供給される。このとき、高周波電力を印加することで、バッファ室423,433内にそれぞれ供給されたN含有ガスはプラズマ励起され、活性種としてガス供給孔425,435から処理室201内に供給されつつ排気口230より排気される。このとき、ウエハ200に対してプラズマにより活性化されたN含有ガスが供給される。このとき、バルブ243fを開き、ノズル410を介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0083】
ステップS5においてプラズマにより活性化されたN含有ガスを供給する際における処理条件としては、
処理温度:450~550℃
処理圧力:40~60Pa
N含有ガス供給流量:0.1~10slm、好ましくは0.5~3slm
プラズマ化されたN含有ガスの供給時間:15~30秒、好ましくは20秒
高周波電力:50~400W、好ましくは100~300W
が例示される。他の処理条件は、ステップS1における処理条件と同様とすることができる。
【0084】
N含有ガスとしては、NおよびH含有ガスを用いることができる。NおよびH含有ガスとして、窒化水素系ガスを用いることができる。窒化水素系ガスとして、例えば、アンモニア(NH3)ガス、ジアゼン(N2H2)ガス、ヒドラジン(N2H4)ガス、N3H8ガス等を用いることができる。
【0085】
上述の処理条件下でウエハ200に対してプラズマにより活性化されたN含有ガスを供給することにより、プラズマにより活性化されたN含有ガスが、第2層400と反応する。これにより第2層400は窒化されて、
図4(C)に示すように、所定元素、C及びNを含有する第3層500へと改質される。すなわち、プラズマにより活性化されたN含有ガスを供給することにより、膜中のN含有量を増加させ、各分子の結合を強固にすることができる。つまり、第2層400よりもN濃度の高い、及び結合が強固な、所定元素、C及びNを含有する第3層500へと改質される。例えば、第1ガスとしてクロロシラン系ガスを、第2ガスとしてアミン系ガスを、N含有ガスとして窒化水素系ガスを用いた場合に、シリコン炭窒化(SiCN)層へと改質される。
【0086】
[残留ガス除去:ステップS6]
ウエハ200表面に第3層500が形成された後、バルブ243b,243cを閉じ、処理室201内へのN含有ガスの供給を停止する。そして、上述のステップS2におけるパージと同様の処理手順、処理条件により、処理室201内に残留するプラズマにより活性化されたN含有ガスや第3層500が形成される際に発生したガス状物質等を処理室201内から排除する(パージ)。
【0087】
[O含有ガス供給:ステップS7]
ステップS7では、ウエハ200に対してOを含有するO含有ガスを供給する。
【0088】
具体的には、バルブ243eを開き、ガス供給管232e内へO含有ガスを流す。O含有ガスは、MFC241eにより流量調整され、ノズル410を介して処理室201内へ供給され、排気口230より排気される。このとき、ウエハ200に対してO含有ガスが供給される。このとき、バルブ243f~243hを開き、ノズル410~430のそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0089】
ステップS7においてO含有ガスを供給する際における処理条件としては、
処理温度:450~550℃
処理圧力:1~1200Pa、好ましくは600~1000Pa
O含有ガス供給流量:0.1~10slm、好ましくは0.5~5slm
O含有ガス供給時間:1~30秒、好ましくは1~15秒、より好ましくは1~6秒
が例示される。他の処理条件は、ステップS1における処理条件と同様とすることができる。
【0090】
O含有ガスとしては、改質効果の観点から、例えば、Oを含むか、O及びHを含むか、O及びNを含むか、O及びCを含むことが好ましい。すなわち、O含有ガスとしては、例えば、O含有ガス、O及びH含有ガス、O及びN含有ガス、O及びC含有ガス等を用いることができる。なお、O含有ガスは、ノンプラズマの雰囲気下で熱励起させて用いるだけでなく、プラズマ励起させて用いることもできる。つまり、O含有ガスは、プラズマ状態に励起させたO含有ガスであってもよい。
【0091】
O含有ガスとしては、例えば、酸素(O2)ガス、オゾン(O3)ガス等を用いることができる。O及びH含有ガスとしては、例えば、水蒸気(H2Oガス)、過酸化水素(H2O2)ガス、O2ガス+水素(H2)ガス、O3ガス+H2ガス等を用いることができる。O及びN含有ガスとしては、例えば、一酸化窒素(NO)ガス、亜酸化窒素(N2O)ガス、二酸化窒素(NO2)ガス、O2ガス+NH3ガス、O3ガス+NH3ガス等を用いることができる。O及びC含有ガスとしては、例えば、二酸化炭素(CO2)ガス、一酸化炭素(CO)ガス等を用いることができる。
【0092】
なお、本明細書において「O2ガス+H2ガス」というような2つのガスの併記記載は、O2ガスとH2ガスとの混合ガスを意味している。混合ガスを供給する場合は、2つのガスを供給管内で混合(プリミックス)させた後、処理室201内へ供給するようにしてもよいし、2つのガスを異なる供給管より別々に処理室201内へ供給し、処理室201内で混合(ポストミックス)させるようにしてもよい。
【0093】
O含有ガスとしては、上述したもののうち1以上を用いることができる。O含有ガスは、Oソースとして作用する。O含有ガスが、O及びNを含む場合、O含有ガスは、Nソースとして作用することもある。また、O含有ガスが、O及びCを含む場合、O含有ガスは、Cソースとして作用することもある。
【0094】
上述の処理条件下でウエハ200に対してO含有ガスを供給することにより、
図4(D)に示すように、ウエハ200の表面に第4層600が形成される。O含有ガスと第3層500との反応により、O含有ガスに含まれるOを第3層500に取り込ませることができ、結果として、Oを取り込んだ第4層600が形成される。つまり、ステップS7では、酸化により、所定元素、C及びNを含有する第3層500を、所定元素、C、N及びOを含有する第4層600へと改質(酸化)させることができる。そのため、ステップS7を、O含有ガスによる改質ステップと称することもできる。また、第4層600を、酸素含有層または酸化層(改質層)と称することもできる。例えば、第1ガスとしてクロロシラン系ガスを、第2ガスとしてアミン系ガスを、N含有ガスとして窒化水素系ガスを用いて、本ステップにおいてO含有ガスを用いた場合に、Si、C及びNを含有する第3層500が、Si、C、N及びOを含有する第4層600、すなわち、シリコン酸炭窒化(SiOCN)層へと改質される。このように、本態様では、ステップS5において、プラズマ窒化を採用することにより膜中のN濃度を高濃度にすることができる。
【0095】
[残留ガス除去:ステップS8]
ウエハ200表面に第4層600が形成された後、バルブ243eを閉じ、処理室201内へのO含有ガスの供給を停止する。そして、上述のステップS2におけるパージと同様の処理手順、処理条件により、処理室201内に残留するO含有ガスや第4層600が形成される際に発生したガス状物質等を処理室201内から排除する(パージ)。
【0096】
(所定回数実施)
上述の、ステップS1~ステップS8を非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを2回以上(第1回数)行うことにより、または、ステップS1~ステップS8をこの順番に非同時に行うサイクルを1回以上(第1回数)行うことにより、ウエハ200の表面上に少なくとも所定元素、O、C及びNを含有する第4層600である膜600が形成される。例えば、膜600としてSiOCN膜が形成される。
【0097】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ウエハ200の表面に膜600が形成された後、ノズル410~430のそれぞれからパージガスとしての不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気口230より排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0098】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、反応管203の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0099】
(3)他の態様
次に、上述した態様における成膜工程の変形例について詳述する。以下の変形例では、上述した態様と異なる点のみ詳述する。
【0100】
(変形例1)
本変形例では、上述した態様における成膜工程とステップS3のみ異なる。本変形例では、
図6に示すように、ステップS5に加えて、ステップS3において、ウエハ200に対してプラズマにより活性化された第2ガスを供給する。具体的には、ステップS3において、第2ガスがノズル420から供給され、ステップS5において、N含有ガスがノズル430から供給されるようにする。つまり、ステップS3では、第1のプラズマ発生構造429を用いて第2ガスをプラズマ化し、ステップS5では、第2のプラズマ発生構造439を用いてN含有ガスをプラズマ化する。そして、上述したステップS1、S2を行った後に、以下に示すステップS3を行い、その後、上述したステップS4~S8を行う。
【0101】
(第1ガス→第2ガス*→N含有ガス*→O含有ガス)×n(nは2以上の整数)
ここで、第2ガス*は、プラズマにより活性化された第2ガス供給を示している。
【0102】
[プラズマにより活性化された第2ガス供給:ステップS3]
第2ガスは、ノズル420を介してバッファ室423内に供給される。このとき、高周波電力の印加により、バッファ室423内に供給された第2ガスはプラズマ励起され、活性種としてガス供給孔425から処理室201内に供給されつつ排気口230より排気される。このとき、ウエハ200に対してプラズマにより活性化された第2ガスが供給される。このとき、バルブ243f,243hを開き、ノズル410,430を介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0103】
ステップS3においてプラズマにより活性化された第2ガスを供給する際における処理条件としては、
処理温度:450~550℃
処理圧力:930Pa
第2ガスの供給流量:0.1~0.5slm
プラズマ化された第2ガスの供給時間:12秒
高周波電力:50~400W、好ましくは100~300W
が例示される。他の処理条件は、ステップS1における処理条件と同様とすることができる。
【0104】
上述の処理条件下でウエハ200に対してプラズマにより活性化された第2ガスを供給することにより、1分子中にC及びNを含有する第2ガスが分解されて、ウエハ200上に形成された第1層300と反応する。すなわち、第1層300に、Cが取り込まれつつ、窒化される。つまり、第1層300を、Cがより取り込まれて窒化された、所定元素、C及びNを含有する第2層400へと改質させることができる。このように、本変形例によれば、
図5で示した成膜方法と比べて、第2ガスをも活性化させることにより、第2層400のNをより高濃度にすることができる。
【0105】
(変形例2)
本変形例では、上述した態様における成膜工程のステップS5とステップS6を行わない。そして、
図7に示すように、ステップS3において、ウエハ200に対してプラズマにより活性化された第2ガスを供給する。具体的には、ステップS3において、第2ガスがノズル420,430から供給されるようにする。つまり、ステップS3では、第1のプラズマ発生構造429と第2のプラズマ発生構造439を用いる。そして、上述したステップS1、S2を行った後に、以下に示すステップS3を行い、上述したステップS4、S7、S8を行う。
【0106】
(第1ガス→第2ガス*→O含有ガス)×n(nは2以上の整数)
【0107】
[プラズマにより活性化された第2ガス供給:ステップS3]
第2ガスは、ノズル420,430を介してバッファ室423,433内に供給される。このとき、高周波電力の印加により、バッファ室423,433内にそれぞれ供給された第2ガスはプラズマ励起され、活性種としてガス供給孔425,435から処理室201内に供給されつつ排気口230より排気される。このとき、ウエハ200に対してプラズマにより活性化された第2ガスが供給される。このとき、バルブ243fを開き、ノズル410を介して処理室201内へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0108】
このような方法により、第2ガスを活性化させることなく導入して形成された膜や、第2ガスの導入の後にNを活性化させることなく導入して形成された膜と比べて、膜中におけるNの含有量を増加させることができる。なお、上述した変形例1におけるステップS3と比較して、プラズマにより活性化された第2ガスの供給時間を長くしてもよい。このように、プラズマにより活性化された第2ガスの供給時間を長くすることにより、ステップS5を行わなくても、膜中におけるNの含有量をより増加させることができる。また、上述した態様および変形例1と比較してステップ数(工数)を少なくすることができ、スループットを向上させることができる。なお、本変形例におけるステップS3における他の処理条件は、上述した変形例1における処理条件と同様でもよい。ただし、膜中におけるNの含有量をより増加させる方法として、上述した活性化された第2ガスの供給時間を長くする方法以外に、活性時に供給されるRFパワーを上げてもよい。
【0109】
(変形例3)
本変形例では、上述した態様における成膜工程のステップS5をステップS3と同時に行う。すなわち、
図8に示すように、ステップS3において、ウエハ200に対して第2ガスを供給するのと同時にプラズマにより活性化されたN含有ガスを供給する。つまり、上述したステップS1、S2を行った後に、ステップS3と同時にステップS5を行って、残留ガス除去を行った後、上述したステップS7、S8を行う。
【0110】
(第1ガス→第2ガス+N含有ガス*→O含有ガス)×n(nは2以上の整数)
【0111】
本変形例によれば、上述した態様および変形例1と比較して、第2ガスおよびN含有ガスの同時供給を採用することにより、パージ工程を省くことができ、処理時間を短縮することができ、スループットを向上させることができる。また、処理室201内に第2ガスを供給するのと同時にプラズマにより活性化されたN含有ガスを供給するため、第2ガスも間接的にプラズマ励起されることとなる。このため、プラズマを使用せずに成膜した場合と比べ、膜中のN濃度を高めることができる。
【0112】
本開示によれば、低温のプロセスであっても、プラズマにより窒化を強化することにより、高温で形成されたSiOCN膜と同様(同等)な低誘電率及びウェットエッチングレートを有しつつ、良好なドライエッチング耐性を有するSiOCN膜を得ることが可能となる。
【0113】
(4)積層例
図9(A)~
図9(E)は、上述の成膜工程により形成される膜を用いた積層例を示す。
【0114】
ここで、上述した態様及び各変形例により形成される膜600は、プラズマにより活性化されたN含有ガスを供給して形成されるため、プラズマ励起によって、膜中のCが脱離してしまい、膜中のC濃度が低下してしまう可能性が考えられる。
【0115】
そこで、本開示においては、ウエハ200上にプラズマにより活性化されたN含有ガスを供給することにより形成された所定元素、C、O及びNを含有する膜と、ウエハ200上にプラズマにより活性化されたN含有ガスを供給することなく形成された所定元素、C及びNを少なくとも含有する膜と、を積層(ラミネート)させる。これにより、膜中のC及びN濃度の両方を維持することが可能となる。すなわち、このようなプラズマを適用して形成した膜とプラズマの非適用により形成した膜の積層構造を採用することにより、この積層膜におけるそれぞれ所望のC及びN濃度を有するSiOCN膜を得ることが可能となる。
【0116】
具体的には、例えば、ウエハ200上にプラズマにより活性化されたN含有ガスを供給することにより形成されたSiO(C)N膜と、プラズマにより活性化されたN含有ガスを供給することなく形成されたSi(O)CN膜と、を積層させる。この積層プロセスを採用することにより、膜中における適宜所望なC及びN濃度の両方を維持することが可能となる。例えば、プラズマにより活性化されたN含有ガスを供給することにより形成されたSiO(C)N膜は、Nの濃度を増加させることができることから所望のN濃度を有することができる。一方、プラズマにより活性化されたN含有ガスを供給することなく形成されたSi(O)CN膜は、Nの濃度は増加されてはいないが、C抜けが発生しないため、所望のC濃度を有することができる。また、積層膜(ラミネート膜ともいう)における各プロセスの実行サイクル数の比率を調整することにより、積層膜中のCとNの濃度のバランスを調整することとしている。ここで、SiO(C)N膜は、SiOCN膜又はSiON膜を意味しており、Si(O)CN膜は、SiOCN膜又はSiCN膜を意味している。
【0117】
膜600は、上述した基板処理装置を用いて上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS8を行って形成される所定元素、C、O及びNを含有する膜である。
【0118】
膜700は、上述した基板処理装置を用いて上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS4を行って、ウエハ200上にプラズマにより活性化されたN含有ガスを供給することなく形成される所定元素、C及びNを含有する膜である。すなわち、膜700は、実質的に酸素を含まない膜である。
【0119】
膜800は、上述した基板処理装置を用いて上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS4、ステップS7及びステップS8を行って、プラズマにより活性化されたN含有ガスを供給することなく形成される所定元素、C、O及びNを含有する膜である。
【0120】
なお、膜700、膜800を形成する際の処理温度は、上述した膜600を形成する際の処理温度と同じ450~550℃としている。
【0121】
図9(A)は、第1積層例を示す図である。
図9(A)では、上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS8を非同時に行うサイクルを2回以上行う際に、各サイクルで形成される膜600に含まれるC濃度やN濃度がそれぞれ異なるように行う。つまり、処理条件を異なるようにして形成された膜600を複数積層して積層膜を形成する。例えば、ウエハ200の最表面(最上層)の膜600のN濃度を多くすることにより、例えば、ドライエッチングに対するエッチング耐性が向上するようにする。また、ウエハ200の最下層の膜600のC濃度を10%程度にすることにより、リーク電流が少なくなるようにする。すなわち、各膜600のC濃度やN濃度を調整するようにして積層膜を形成する。すなわち、使用用途に応じて、各膜600中のC濃度とN濃度がそれぞれ異なるようにそれぞれの膜600を形成する。
【0122】
ここで、各膜600のC濃度は、以下のような方法によって変更することが可能である。例えば、C濃度を減らすには、C含有ガスである第2ガスの分圧を下げる、N含有ガスの供給量を増やす、プラズマ窒化(プラズマにより活性化されたN含有ガス供給)の時間を増やす、酸化(O含有ガス供給)の時間を増やす等により行うことができる。また、C濃度を増やすには、例えばC含有ガスである第2ガスの分圧を上げる、N含有ガスの供給量を減らす、プラズマ窒化(プラズマにより活性化されたN含有ガス供給)の時間を減らす、酸化(O含有ガス供給)の時間を減らす等により行うことができる。
【0123】
図9(B)は、第2積層例を示す図である。
図9(B)では、上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS4、ステップS7及びステップS8を行って膜800を形成し、その後にステップS1~ステップS4を行って膜700を形成し、その後にステップS1~ステップS8を非同時に行うサイクルを2回以上行って膜600を形成して積層膜を形成する。すなわち、膜600に適用されるようなプラズマ処理を適用せずに所定元素、C、O及びNを含有する膜800を形成する工程と、膜600に適用されるようなプラズマ処理を適用せずにC及びNを含有し、実質的にOを含まない膜700を形成する工程と、を非同時に行うサイクルを1回(第2回数)行った後に、膜600膜を形成する工程を行うサイクルを2回以上(第1回数)行うことにより、ウエハ200上に所定元素、O、C、及びNを少なくとも含有する膜を形成する。すなわち、ウエハ200の最表面の膜600のみ複数回行って形成する。ウエハ200の最下層である下地としてC濃度の高い膜800を形成し、最表面にN濃度の高い膜600を形成する。
【0124】
膜700は、例えば、以下のような工程で成膜される。
(第1ガス→第2ガス)×n(nは1以上の整数)
膜800は、例えば、以下のような工程で成膜される。
(第1ガス→第2ガス→O含有ガス)×n(nは1以上の整数)
【0125】
上述した第1回数と第2回数は異なってよい。そして、第1回数と第2回数を調整することにより、ウエハ200上に形成される所定元素、O、C及びNを少なくとも含有する膜に含まれるCとNの比率を変更することができる。すなわち、膜中のC及びNの濃度バランスを調整することができる。
【0126】
ここで、トランジスタゲートのサイドウォールスペーサ膜としてSiOCN膜を使用する場合、積層膜として使用する場合は、例えば、各膜厚は数Åであって、積層膜としての膜厚は、20~30Åである。また、トレンチ等の埋め込みに使用する場合のSiOCN膜の膜厚は、例えば、50~300Åである。このように、用途によってSiOCN膜の必要な膜厚は異なる。ここで、膜800と膜600の間の膜700を厚くし過ぎるとリーク電流が増加する可能性がある。さらに、膜700を薄くし過ぎるとプラズマ窒化の際にCが抜けてしまう場合がある。そのため、Cが10%程度残るように、膜700の膜厚を調整する。
【0127】
なお、上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS4、ステップS7及びステップS8を行って膜800を形成する工程と、ステップS1~ステップS4を行って膜700を形成する工程と、ステップS1~ステップS8を行って膜600を形成する工程と、所定回数繰り返し行って積層膜を形成しても良い。すなわち、膜800を形成する工程と、膜700を形成する工程と、膜600を形成する工程と、を非同時に行うサイクルを1回以上(第3回数)行うことにより、ウエハ200上に所定元素、O、C、及びNを少なくとも含有する膜を形成するようにしてもよい。
【0128】
ここで、第3回数は、上述した第1回数と異なる。そして、第1回数と第3回数とを調整することにより、ウエハ200上に形成される所定元素、O、C及びNを少なくとも含有する膜に含まれるCとNの比率を変更することができ、膜中のC及びNの濃度バランスを調整することができる。
【0129】
図9(C)は、第3積層例を示す図である。
図9(C)では、上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS4を行って膜700を形成し、その後にステップS1~ステップS4、ステップS7及びステップS8を行って膜800を形成し、その後にステップS1~ステップS8を非同時に行うサイクルを2回以上行って膜600を形成して積層膜を形成する。すなわち、膜600に適用されるようなプラズマ処理を適用せずにC及びNを含有し、実質的にOを含まない膜700を形成する工程と、膜600に適用されるようなプラズマ処理を適用せずに所定元素、C、O及びNを含有する膜800を形成する工程と、を非同時に行うサイクルを1回(第2回数)行った後に、膜600膜を形成する工程を行うサイクルを2回以上(第1回数)行うことにより、ウエハ200上に所定元素、O、C、及びNを少なくとも含有する膜を形成する。すなわち、ウエハ200の最表面の膜600のみ複数回行って形成する。このように、ウエハ200の最下層の下地としてOを含有しない膜700を形成することにより、例えば、膜700の下にゲートメタルが存在する場合にゲートメタルの酸化を抑制することができる。
【0130】
そして、第1回数と第2回数を調整することにより、ウエハ200上に形成される所定元素、O、C及びNを少なくとも含有する膜に含まれるCとNの比率を変更することができ、膜中のC及びNの濃度バランスを調整することができる。
【0131】
なお、上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS4を行って膜700を形成する工程と、ステップS1~ステップS4、ステップS7及びステップS8を行って膜800を形成する工程と、ステップS1~ステップS8を行って膜600を形成する工程と、を所定回数繰り返し行って積層膜を形成しても良い。すなわち、膜700を形成する工程と、膜800を形成する工程と、膜600を形成する工程と、をこの順で非同時に行うサイクルを1回以上(第3回数)行うことにより、ウエハ200上に所定元素、O、C、及びNを少なくとも含有する膜を形成するようにしてもよい。また、
図9(B)および
図9(C)では、膜600、700および800が積層された構成を示しているが、プラズマ処理が適用された膜600と、プラズマ処理が適用されていない膜700および膜800のいずれかが積層された構成でもよい。この2種類の膜を積層することにより、膜中のCおよびNの濃度バランスを調整することができる。例えば、ラミネート膜としてのSiOCN膜が、全体として第1N濃度と第1C濃度を有するように、同膜を形成したいとする。この場合、プラズマ処理を適用して形成した膜の窒素濃度を、第1N濃度よりも高い第2N濃度に設定することができる。この場合、この膜のC濃度は第1C濃度よりも低い可能性がある。一方、プラズマ処理を適用せずに成膜した膜の炭素濃度を、第1C濃度よりも高い第2C濃度に設定することができる。この場合、この膜のN濃度は、第1N濃度よりも低い可能性がある。これらの膜を適宜組み合わせることにより、上述の所望の濃度を有する膜を積層膜全体として得ることができる。このような方法を用いて、例えば、高温で成膜されたSiOCN膜と、誘電率、ウェットエッチングレート、ドライエッチング耐性等の観点で同等な膜質を有するSiOCN膜を、低温下であっても作成することが可能となる。
【0132】
ここで、第3回数は、上述した第1回数と異なってもよい。そして、第1回数と第3回数とを調整することにより、ウエハ200上に形成される所定元素、O、C及びNを少なくとも含有する膜に含まれるCとNの比率を変更することができ、膜中のC及びNの濃度バランスを調整することができる。
【0133】
図9(D)は、第4積層例を示す図である。
図9(D)では、上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS8を行って膜600を形成し、その後にステップS1~ステップS4を行って膜700を形成し、その後にステップS1~ステップS8を所定回数繰り返し行って膜600を形成して積層膜を形成する。すなわち、膜600を形成する工程と、膜700を形成する工程を非同時に行うサイクルを1回(第2回数)行った後に、膜600膜を形成する工程を行うサイクルを2回以上(第1回数)行うことにより、ウエハ200上に所定元素、O、C、及びNを少なくとも含有する膜を形成する。すなわち、ウエハ200の最表面の膜600のみ複数回行って形成し、膜600の間に膜700を形成する。すなわち、膜600の間に、実質的にOを含まないC濃度の高い膜700を形成する。つまり、ウエハ200の最表面の膜600と最下面の膜600とでC濃度やN濃度が異なるよう積層膜を形成することができる。また、膜600の間に膜700を形成することによりプラズマによるCの減少を抑制して、積層膜のC濃度の低下を抑制することができる。また、膜700は、数Åとして比誘電率であるk値に影響を与えなくすることもできる。
【0134】
また、使用用途に応じて、ウエハ200の最下層の膜600中のC濃度とN濃度と、最表面の膜600中のC濃度とN濃度と、を異なるようにする。第1回数と第2回数を調整することにより、ウエハ200上に形成される所定元素、O、C及びNを含有する膜に含まれるCとNの比率を変更することができ、膜中のC及びNの濃度バランスを調整することができる。
【0135】
なお、上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS8を行って膜600を形成する工程と、ステップS1~ステップS4を行って膜700を形成する工程と、ステップS1~ステップS8を行って膜600を形成する工程と、をこの順に所定回数繰り返し行って積層膜を形成しても良い。すなわち、膜600を形成する工程と、膜600に適用されるようなプラズマ処理を適用せずにC及びNを含有し、実質的にOを含まない膜700を形成する工程と、膜600を形成する工程と、をこの順で非同時に行うサイクルを1回以上(第3回数)行うことにより、ウエハ200上に所定元素、O、C、及びNを少なくとも含有する膜を形成するようにしてもよい。また、使用用途に応じて、ウエハ200の最下層の膜600中のC濃度とN濃度と、最表面の膜600中のC濃度とN濃度と、を異なるようにしてもよい。
【0136】
図9(E)は、第5積層例を示す図である。
図9(E)では、上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS8を行って膜600を形成し、その後にステップS1~ステップS4、ステップS7及びステップS8を行って膜800を形成し、その後にステップS1~ステップS8を所定回数繰り返し行って膜600を形成して積層膜を形成する。すなわち、膜600を形成する工程と、膜600に適用されるようなプラズマ処理を適用せずに所定元素、C、O及びNを含有する膜800を形成する工程と、を非同時に行うサイクルを1回(第2回数)行った後に、膜600膜を形成する工程を行うサイクルを2回以上(第1回数)行うことにより、ウエハ200上に所定元素、O、C、及びNを少なくとも含有する膜を形成する。すなわち、ウエハ200の最表面の膜600のみ複数回行って形成し、膜600の間に膜800を形成する。つまり、ウエハ200の最表面の膜600と最下面の膜600とでC濃度やN濃度が異なるよう積層膜を形成することができる。また、膜600の間に膜800を形成することによりCの補充が可能となり、プラズマ処理による積層膜におけるC濃度の低下を抑制することができる。なお、上述の態様では、各ステップを非同時に行う例について説明したが、膜特性に影響を与えない限りにおいては、各ステップを同時に行う期間を有していてもよい。
【0137】
そして、第1回数と第2回数を調整することにより、ウエハ200上に形成される所定元素、O、C及びNを少なくとも含有する膜に含まれるCとNの比率を変更することができ、膜中のC及びNの濃度バランスを調整することができる。
【0138】
なお、上述した態様における成膜工程のステップS1~ステップS8を行って膜600を形成する工程と、ステップS1~ステップS4、ステップS7及びステップS8を行って膜800を形成する工程と、ステップS1~ステップS8を行って膜600を形成する工程と、をこの順に所定回数繰り返し行って積層膜を形成しても良い。すなわち、膜600を形成する工程と、膜800を形成する工程と、膜600を形成する工程と、を非同時に行うサイクルを1回以上(第3回数)行うことにより、ウエハ200上に所定元素、O、C、及びNを少なくとも含有する膜を形成するようにしてもよい。
【0139】
以上のように、本開示によれば、使用用途に応じて、積層膜における各層の形成順や、各層の膜厚や、組み合わせを変えることができる。
【0140】
また、上述した態様及び変形例により形成される膜は、MOSトランジスタのサイドウォールスペーサや、トレンチや溝等の凹部の埋め込み等に用いることができる。
【0141】
以上に、本開示の態様、変形例及び積層例を具体的に説明したが、本開示は上述の態様、変形例及び積層例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0142】
<本開示の好ましい態様>
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
【0143】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
(a)基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する工程と、
(b)前記基板に対して1分子中に少なくとも炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する工程と、
(c)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する工程と、
(d)前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する工程と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法、または基板処理方法が提供される。
【0144】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、
(f)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給することなく、前記基板上に少なくとも所定元素、炭素及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、をさらに有し、
(e)と(f)を非同時に行うサイクルを1回以上の第2回数を行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する。
【0145】
(付記3)
付記2に記載の方法であって、
前記第1回数と前記第2回数は異なる。
【0146】
(付記4)
付記2又は3に記載の方法であって、前記第1回数と前記第2回数を調整することにより、前記所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜に含まれる炭素と窒素の比率を変更する。
【0147】
(付記5)
付記2に記載の方法であって、
(g)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給することなく、前記基板上に少なくとも所定元素、炭素、酸素及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、をさらに有し、
(e)、(f)及び(g)を非同時に行うサイクルを1回以上の第3回数行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する。
【0148】
(付記6)
付記5に記載の方法であって、
前記第1回数と前記第3回数は異なる。
【0149】
(付記7)
付記6に記載の方法であって、前記第1回数と前記第3回数を調整することにより、前記所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜に含まれる炭素と窒素の比率を変更する。
【0150】
(付記8)
付記1に記載の方法であって、
(e)では、(a)から(d)を行うサイクルを少なくとも2回行う際に、各サイクルで形成される所定元素、酸素、炭素、及び窒素を含有する膜に含まれる炭素濃度がそれぞれ異なるように行う。
【0151】
(付記9)
付記1に記載の方法であって、
(e)では、(a)から(d)を行うサイクルを少なくとも2回行う際に、各サイクルで形成される所定元素、酸素、炭素、及び窒素を含有する膜に含まれる窒素濃度がそれぞれ異なるように行う。
【0152】
(付記10)
付記2に記載の方法であって、(f)の後に(e)を行う。
【0153】
(付記11)
付記10に記載の方法であって、(e)では、(a)から(d)を、少なくとも2回以上行う。
【0154】
(付記12)
付記5に記載の方法であって、(f)の後に(g)を行う。
【0155】
(付記13)
付記12に記載の方法であって、(g)の後に(f)を行う。
【0156】
(付記14)
付記2に記載の方法であって、(e)では、(a)から(d)を、複数回行い、(f)を、複数回の(a)から(d)の間に行う。
【0157】
(付記15)
本開示の他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内の前記基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する第1の供給系と、
前記処理室内の前記基板に対して1分子中に少なくとも炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する第2の供給系と、
前記処理室内の前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する第3の供給系と、
前記処理室内の前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する第4の供給系と、
前記処理室内において、
(a)基板に対して前記第1ガスを供給する工程と、
(b)前記基板に対して前記第2ガスを供給する工程と、
(c)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する工程と、
(d)前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する工程と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成することを行わせるように、前記第1乃至第4の供給系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0158】
(付記16)
本開示のさらに他の態様によれば、
基板処理装置の処理室内において、
(a)基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する手順と、
(b)前記基板に対して1分子中に少なくとも炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する手順と、
(c)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する手順と、
(d)前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する手順と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【0159】
(付記17)
本開示のさらに他の態様によれば、
(a)基板上にプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給して、少なくとも所定元素、炭素、酸素及び窒素を含有する膜を形成する工程と、
(b)前記基板上にプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給することなく、少なくとも所定元素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、を有し、
(a)及び(b)を行うサイクルを少なくとも1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する半導体装置の製造方法が提供される。
【0160】
(付記18)
付記17に記載の方法であって、(b)において、前記少なくとも所定元素、炭素及び窒素を少なくとも含有する膜は、実質的に酸素を含まない膜である。
【0161】
(付記19)
付記17に記載の方法であって、(a)の後に(b)を実施し、その後、複数回(a)を実施する。
【0162】
(付記20)
付記17に記載の方法であって、(a)、(b)、(a)を、この順で複数回実施する。
【0163】
(付記21)
付記19または20に記載の方法であって、各(a)において形成される膜のうち少なくとも2回の工程で形成される各膜の炭素の濃度は、異なる。
【0164】
(付記22)
付記19または20に記載の方法であって、各(a)において形成される膜のうち少なくとも2回の工程で形成される各膜の窒素の濃度は、異なる。
【0165】
(付記23)
付記17に記載の方法であって、
(c)前記基板上にプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給することなく、少なくとも所定元素、炭素、酸素及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、をさらに有し、
(a)から(c)を行うサイクルを少なくとも1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する。
【符号の説明】
【0166】
200 ウエハ(基板)
201 処理室
202 処理炉
203 反応管
121 コントローラ(制御部)
【手続補正書】
【提出日】2022-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する工程と、
(b)前記基板に対して炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する工程と、
(c)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する工程と、
(d)前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する工程と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、
(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項2】
(f)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給することなく、前記基板上に少なくとも所定元素、炭素及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、をさらに有し、
(e)と(f)を行うサイクルを1回以上の第2回数を行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第1回数と前記第2回数は異なる、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第1回数と前記第2回数を調整することにより、前記所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜に含まれる炭素と窒素の比率を変更する、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
(g)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給することなく、前記基板上に少なくとも所定元素、炭素、酸素及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、をさらに有し、
(e)、(f)及び(g)を非同時に行うサイクルを1回以上の第3回数行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記第1回数と前記第3回数は異なる、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記第1回数と前記第3回数を調整することにより、前記所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜に含まれる炭素と窒素の比率を変更する、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項8】
(e)では、(a)から(d)を行うサイクルを少なくとも2回行う際に、各サイクルで形成される所定元素、酸素、炭素、及び窒素を含有する膜に含まれる炭素濃度がそれぞれ異なるように行う、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項9】
(e)では、(a)から(d)を行うサイクルを少なくとも2回行う際に、各サイクルで形成される所定元素、酸素、炭素、及び窒素を含有する膜に含まれる窒素濃度がそれぞれ異なるように行う、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項10】
(f)の後に(e)を行う、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項11】
(e)では、(a)から(d)を、少なくとも2回以上行う、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
(f)の後に(g)を行う、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項13】
(g)の後に(f)を行う、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
(e)では、(a)から(d)を、複数回行い、(f)を、複数回の(a)から(d)の間に行う、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記第2ガスは水素を更に含有する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記第2ガスは、アミン系ガスおよび有機ヒドラジン系ガスのうち少なくともいずれかを含む、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内の前記基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する第1の供給系と、
前記処理室内の前記基板に対して炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する第2の供給系と、
前記処理室内の前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する第3の供給系と、
前記処理室内の前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する第4の供給系と、
前記処理室内において、
(a)基板に対して前記第1ガスを供給する処理と、
(b)前記基板に対して前記第2ガスを供給する処理と、
(c)前記基板に対して前記プラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する処理と、
(d)前記基板に対して前記酸素を含有するガスを供給する処理と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、
(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成することを行わせるように、前記第1乃至第4の供給系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項18】
(a)基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する工程と、
(b)前記基板に対して炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する工程と、
(c)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する工程と、
(d)前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する工程と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、
(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
基板処理装置の処理室内において、
(a)基板に対して所定元素を含有する第1ガスを供給する手順と、
(b)前記基板に対して炭素及び窒素を含有する第2ガスを供給する手順と、
(c)前記基板に対してプラズマにより活性化された窒素を含有するガスを供給する手順と、
(d)前記基板に対して酸素を含有するガスを供給する手順と、
(e)(a)から(d)を行うサイクルを2回以上の第1回数行うことにより、または、
(a)から(d)をこの順番に行うサイクルを1回以上行うことにより、前記基板上に所定元素、酸素、炭素、及び窒素を少なくとも含有する膜を形成する手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。