(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048702
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】逆並列サイリスタの故障検出方法及び電力制御装置
(51)【国際特許分類】
H02M 1/00 20070101AFI20230331BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20230331BHJP
G05F 1/455 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
H02M1/00 N
H02M1/08 321A
G05F1/455 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158164
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】荻野 貴史
【テーマコード(参考)】
5H420
5H740
【Fターム(参考)】
5H420BB14
5H420CC04
5H420DD03
5H420EA03
5H420EA44
5H420EB06
5H420FF03
5H420FF04
5H420LL01
5H420LL04
5H740BA01
5H740BB03
5H740BB08
5H740BC01
5H740JA01
5H740MM01
5H740MM11
(57)【要約】
【課題】サイリスタの故障を検出する逆並列サイリスタの故障検出方法及び電力供給装置を提供する。
【解決手段】並列かつ逆向きに接続される第1サイリスタ及び第2サイリスタを有し、交流電源から負荷に供給する電力を制御する逆並列サイリスタの故障検出方法であって、前記第2サイリスタの出力指令を停止し、かつ、前記第1サイリスタに出力指令して、前記負荷に供給される電圧または電流を第1検出値として検出するステップと、前記第1サイリスタの出力指令を停止し、かつ、前記第2サイリスタに出力指令して、前記負荷に供給される電圧または電流を第2検出値として検出するステップと、前記第1検出値と前記第2検出値との差分に基づいて、前記逆並列サイリスタの故障を判定するステップと、を有する、逆並列サイリスタの故障検出方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列かつ逆向きに接続される第1サイリスタ及び第2サイリスタを有し、交流電源から負荷に供給する電力を制御する逆並列サイリスタの故障検出方法であって、
前記第2サイリスタの出力指令を停止し、かつ、前記第1サイリスタに出力指令して、前記負荷に供給される電圧または電流を第1検出値として検出するステップと、
前記第1サイリスタの出力指令を停止し、かつ、前記第2サイリスタに出力指令して、前記負荷に供給される電圧または電流を第2検出値として検出するステップと、
前記第1検出値と前記第2検出値との差分に基づいて、前記逆並列サイリスタの故障を判定するステップと、を有する、
逆並列サイリスタの故障検出方法。
【請求項2】
前記第1検出値と前記第2検出値との差分に基づいて、前記逆並列サイリスタの故障を判定するステップは、
前記第1検出値と前記第2検出値との差分が所定の第1閾値以上の場合、前記逆並列サイリスタを故障と判定する、
請求項1に記載の逆並列サイリスタの故障検出方法。
【請求項3】
前記第1サイリスタ及び前記第2サイリスタの出力指令を停止して、前記負荷に供給される電圧または電流を第3検出値として検出するステップと、
前記第3検出値に基づいて、前記逆並列サイリスタの故障を判定するステップと、を有する、
請求項1または請求項2に記載の逆並列サイリスタの故障検出方法。
【請求項4】
前記第3検出値に基づいて、前記逆並列サイリスタの故障を判定するステップは、
前記第3検出値が所定の第2閾値以上の場合、前記逆並列サイリスタを故障と判定する、
請求項3に記載の逆並列サイリスタの故障検出方法。
【請求項5】
前記負荷は、電気絶縁性材料からなる部材内に設けられたヒータである、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の故障検出方法。
【請求項6】
並列かつ逆向きに接続される第1サイリスタ及び第2サイリスタを有し、交流電源から負荷に供給する電力を制御する逆並列サイリスタと、
前記逆並列サイリスタを制御する制御部と、を備える電力制御装置であって、
前記制御部は、
前記第2サイリスタの出力指令を停止し、かつ、前記第1サイリスタに出力指令して、前記負荷に供給される電圧または電流を第1検出値として検出するステップと、
前記第1サイリスタの出力指令を停止し、かつ、前記第2サイリスタに出力指令して、前記負荷に供給される電圧または電流を第2検出値として検出するステップと、
前記第1検出値と前記第2検出値との差分に基づいて、前記逆並列サイリスタの故障を判定するステップと、を実行可能に構成される、
電力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、逆並列サイリスタの故障検出方法及び電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置には、基板を加熱するためのヒータが設けられている。ヒータの出力を制御する部品として、逆並列サイリスタが設けられている。
【0003】
特許文献1には、逆並列に接続される第1サイリスタ及び第2サイリスタの故障を検出する逆並列サイリスタの故障検出器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
逆並列サイリスタにおいて、いずれか一方のサイリスタが故障した場合に、故障を検出することが求められている。
【0006】
一の側面では、本開示は、サイリスタの故障を検出する逆並列サイリスタの故障検出方法及び電力供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、並列かつ逆向きに接続される第1サイリスタ及び第2サイリスタを有し、交流電源から負荷に供給する電力を制御する逆並列サイリスタの故障検出方法であって、前記第2サイリスタの出力指令を停止し、かつ、前記第1サイリスタに出力指令して、前記負荷に供給される電圧または電流を第1検出値として検出するステップと、前記第1サイリスタの出力指令を停止し、かつ、前記第2サイリスタに出力指令して、前記負荷に供給される電圧または電流を第2検出値として検出するステップと、前記第1検出値と前記第2検出値との差分に基づいて、前記逆並列サイリスタの故障を判定するステップと、を有する、逆並列サイリスタの故障検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
一の側面によれば、サイリスタの故障を検出する逆並列サイリスタの故障検出方法及び電力供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】ヒータに電力を供給する電源装置の構成を示す図の一例。
【
図3】逆並列サイリスタの故障状態によるヒータに供給される電力の一例。
【
図4】逆並列サイリスタの故障検出方法を説明するフローチャートの一例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
<基板処理装置>
本実施形態の基板処理装置100について、
図1を用いて説明する。
図1は、基板処理装置100の断面図の一例である。
【0012】
基板処理装置100は、例えばアルミニウム等により筒体に形成された処理容器101を有している。処理容器101の内部には、基板Wを載置する載置台102が配置されている。載置台102は、例えばアルミニウムやニッケル等からなる基部と、基部の上に配置される電気絶縁性材料(誘電体材料)からなる部材と、を有する。電気絶縁性材料からなる部材は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)のセラミックスで形成される。電気絶縁性材料からなる部材の内部には、ヒータ103が設けられている。ヒータ103は、電源装置(後述する
図2参照)から給電されることにより発熱し、載置台102及び載置台102に載置された基板Wを温度調整する。また、電気絶縁性材料からなる部材に複数の区画が形成され、各区画に独立して給電可能なヒータ103がそれぞれ設けられる構成であってもよい。この場合、各区画のヒータ103に対応して、電源装置がそれぞれ設けられる。載置台102には、基板搬送用の3本の基板支持ピン(図示せず)が載置台102の表面に対して突没可能に設けられている。
【0013】
処理容器101の底部には、排気口111が設けられている。排気口111には、排気管112が接続されている。排気管112には、圧力調整を行うスロットルバルブ113および真空ポンプ114が接続されており、処理容器101内が真空引き可能となっている。一方、処理容器101の側壁には、基板搬出入口121が形成されており、基板搬出入口121はゲートバルブGにより開閉可能となっている。そして、ゲートバルブGを開放した状態で基板Wの搬入出が行われる。
【0014】
処理容器101の天壁中央には、ガス導入口131が設けられている。ガス導入口131には、ガス供給配管132が接続されている。ガス供給配管132には、処理に用いられる処理ガスを供給するためのガス供給源133が接続されている。また、ガス供給配管132には、ガス流量制御器、バルブ等よりなるガス制御部134が介装されている。
【0015】
このように構成される基板処理装置100においては、ゲートバルブGを開けて、基板Wを載置台102上に載置した後、ゲートバルブGを閉じ、処理容器101内を真空ポンプ114により排気してスロットルバルブ113によって処理容器101内を所定の圧力に調整するとともに、ヒータ103により載置台102上の基板Wを所定温度に温度調整する。そして、ガス供給源133からガス供給配管132およびガス導入口131を介して処理容器101内に処理ガスを供給し、基板Wに所望の処理を施す。
【0016】
なお、基板処理装置100の構成は、
図1に示す構成に限られるものではない。基板処理装置100は、処理容器101内にプラズマを生成して基板Wに処理を施すプラズマ処理装置であってもよい。
【0017】
次に、ヒータ103に電力を供給する電源装置について、
図2を用いて説明する。
図2は、ヒータ103に電力を供給する電源装置の構成を示す図の一例である。
【0018】
電源装置は、交流電源10と、逆並列サイリスタ20と、制御部30と、を備える。逆並列サイリスタ20および制御部30は、交流電源10からヒータ(負荷)103供給する電力を制御する電力制御装置を構成する。
【0019】
交流電源10は、逆並列サイリスタ20を介して、ヒータ103に交流電力を供給する。
【0020】
逆並列サイリスタ20は、並列かつ逆向きに接続される第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22を有する。第1サイリスタ21は、制御部30の温度制御部31から出力指令によって導通(ON)して交流電源10からの正の電圧をヒータ103に出力し、交流電源10からの交流電圧が負の電圧となると遮断(OFF)する。第2サイリスタ22は、制御部30の温度制御部31から出力指令によって導通(ON)して交流電源10からの負の電圧をヒータ103に出力し、交流電源10からの交流電圧が正の電圧となると遮断(OFF)する。
【0021】
載置台102には、載置台102の温度を検出する温度検出部41が設けられている。また、電源装置には、ヒータ103に供給される交流電圧を検出する電圧検出部42が設けられている。また、電源装置には、ヒータ103に供給される交流電流を検出する電流検出部43が設けられている。
【0022】
制御部30は、温度制御部31と、故障判定部32と、を有する。
【0023】
温度制御部31は、出力指令のタイミングを制御することで、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22を制御する。これにより、温度制御部31は、ヒータ103に供給する電力を制御し、ヒータ103の温度を制御する。温度制御部31は、載置台102の目標温度が入力される。また、温度制御部31は、温度検出部41で検出する載置台102の検出温度が入力される。温度制御部31は、目標温度及び温度検出部41の検出温度に基づいて、検出温度が目標温度に近づくように第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22を制御する。
【0024】
故障判定部32は、逆並列サイリスタ20(第1サイリスタ21、第2サイリスタ22)の故障を判定する。故障判定部32は、電圧検出部42で検出するヒータ103の供給電圧が入力される。また、故障判定部32は、電流検出部43で検出するヒータ103の供給電流が入力される。
【0025】
ここで、逆並列サイリスタ20の故障モードは、以下の3つに分類される。
【0026】
第1の故障モードは、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22のうち一方がショート(ON)故障した場合である。
【0027】
第2の故障モードは、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22のうち一方がオープン(OFF)故障した場合である。
【0028】
第3の故障モードは、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22の両方が故障した状態である。即ち、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22の両方がオープン(OFF)故障した場合、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22の両方がショート(ON)故障した場合、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22のうち一方がオープン(OFF)故障し他方がショート(ON)故障した場合である。
【0029】
図3は、逆並列サイリスタ20の故障状態によるヒータ103に供給される電力の一例を示す。各グラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示す。また、交流電源10の交流波形を実線で示す。また、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22がONすることによりヒータ103に供給される電圧を網掛け(ドットのハッチング)を付して示す。なお、電圧検出部42で検出される電圧は、網掛け(ドットのハッチング)の面積に対応する。
【0030】
また、上段は、逆並列サイリスタ20が通常(故障なし)の状態を示す。中段は、正側の第1サイリスタ21がショート(ON)故障した場合を示す。下段は、正側の第1サイリスタ21がオープン(OFF)故障した場合を示す。
【0031】
また、左列の「制御時」は、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22を制御した場合を示す。中央列の「+側出力」は、正側の第1サイリスタ21を制御し、負側の第2サイリスタ22をOFFのままに制御した場合を示す。右列の「-側出力」は、負側の第2サイリスタ22を制御し、正側の第1サイリスタ21をOFFのままに制御した場合を示す。
【0032】
ここで、通常時において、上段左側のグラフに示すように、温度制御部31は、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22の出力指令のタイミングを制御することにより、ヒータ103に供給される電力を制御し、ヒータ103の温度を制御することができる。
【0033】
一方、一方のサイリスタ(第1サイリスタ21)がショート故障した時において、中段左側のグラフに示すように、温度制御部31は、第2サイリスタ22の出力指令のタイミングを制御することで、ヒータ103に供給される電力を増減させることができ、ヒータ103の温度を制御することができる。
【0034】
また、一方のサイリスタ(第1サイリスタ21)がオープン故障した時において、下段左側のグラフに示すように、温度制御部31は、第2サイリスタ22の出力指令のタイミングを制御することで、ヒータ103に供給される電力を増減させることができ、ヒータ103の温度を制御することができる。
【0035】
このように、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22の一方が故障している場合であっても、表面上は、ヒータ103の温度を制御することができる。このような第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22の一方が故障している状態で、ヒータ103の使用を継続すると、ヒータ103が破損するおそれがある。このため、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22の一方が故障した場合でも、逆並列サイリスタ20の故障を検出する故障検出方法が求められる。
【0036】
<故障検出方法>
逆並列サイリスタ20の故障検出方法について、
図4を用いて説明する。
図4は、逆並列サイリスタ20の故障検出方法を説明するフローチャートの一例である。なお、以下に示す処理は、基板処理装置100が基板Wに処理を施すタイミングとは異なるタイミング(例えば、基板処理装置100のアイドル中、載置台102の昇温処理中等)に実行される。
【0037】
ステップS101において、制御部30の温度制御部31は、ヒータ103の温度を制御する。温度制御部31は、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22の出力指令のタイミングを制御することで、ヒータ103に供給される電力を制御し、ヒータ103の温度を制御する。
【0038】
ステップS102において、制御部30の故障判定部32は、ヒータ103の温度が制御可能か否かを判定する。ヒータ103の温度が制御可能でない場合(S102・NO)、制御部30の処理はステップS103に進む。一方、ヒータ103の温度が制御可能である場合(S102・YES)、制御部30の処理はステップS104に進む。
【0039】
ステップS103において、制御部30の故障判定部32は、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22の両方が故障(第3の故障モード)したと判定する。そして、制御部30の故障検出処理を終了する。
【0040】
ステップS104において、制御部30の温度制御部31は、ヒータ103の出力を停止する。即ち、温度制御部31は、所定の時間、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22への出力指令を停止する。制御部30の故障判定部32は、この状態における電圧検出部42で検出される電圧(第3検出値)及び電流検出部43で検出される電流(第3検出値)を記憶する。
【0041】
なお、電圧検出部42、電流検出部43がコンデンサを有する構成において、コンデンサの放電時間を考慮して、停止時間を決定する。
【0042】
ステップS105において、制御部30の故障判定部32は、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22が正常に動作しているか否かを判定する。ここで、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22のうち一方がショート(ON)故障している場合、電圧検出部42で検出される電圧(第3検出値)及び電流検出部43で検出される電流(第3検出値)がゼロ付近とはならない。このため、故障判定部32は、電圧検出部42で検出される電圧(第3検出値)が所定の閾値(第2閾値)未満の場合、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22が正常に動作していると判定する。一方、故障判定部32は、電圧検出部42で検出される電圧(第3検出値)が所定の閾値(第2閾値)以上の場合、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22が正常に動作していないと判定する。なお、電圧検出部42で検出される電圧に代えて、電流検出部43で検出される電流に基づいて判定してもよい。第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22が正常に動作していない場合(S105・NO)、制御部30の処理はステップS106に進む。一方、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22が正常に動作している場合(S105・YES)、制御部30の処理はステップS107に進む。
【0043】
ステップS106において、制御部30の故障判定部32は、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22のうち一方がショート故障(第1の故障モード)したと判定する。そして、制御部30の故障検出処理を終了する。
【0044】
ステップS107において、制御部30の温度制御部31は、一方の第1サイリスタ21のみをONとなるように出力指令し、他方の第2サイリスタ22はOFFとなるように出力指令を停止する。制御部30の故障判定部32は、この状態における電圧検出部42で検出される電圧(第1検出値)及び電流検出部43で検出される電流(第1検出値)を記憶する。
【0045】
ステップS108において、制御部30の温度制御部31は、他方の第2サイリスタ22のみをONとなるように出力指令し、一方の第1サイリスタ21はOFFとなるように出力指令を停止する。制御部30の故障判定部32は、この状態における電圧検出部42で検出される電圧(第1検出値)及び電流検出部43で検出される電流(第1検出値)を記憶する。
【0046】
ステップS109において、制御部30の故障判定部32は、ステップS106において検出した電圧(第1検出値)とステップS107において検出した電圧(第1検出値)との差分は閾値以内か否かを判定する。または、制御部30の故障判定部32は、ステップS106において検出した電流(第1検出値)とステップS107において検出した電流(第1検出値)との差分は閾値以内か否かを判定する。差分は閾値(第1閾値)以内でない場合(S109・NO)、制御部30の処理はステップS110に進む。一方、差分は閾値(第1閾値)以内である場合(S109・YES)、制御部30の処理はステップS111に進む。
【0047】
ステップS110において、制御部30の故障判定部32は、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22のうち一方がオープン故障(第2の故障モード)したと判定する。そして、制御部30の故障検出処理を終了する。
【0048】
ステップS111において、制御部30の故障判定部32は、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22に異常なし(故障なし)と判定する。そして、制御部30の故障検出処理を終了する。
【0049】
このように、本実施形態に係る逆並列サイリスタ20の故障検出方法によれば、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22のいずれか一方が故障した場合であっても、サイリスタの故障を検出することができる。これにより、ヒータ103が破損することを防止することができる。
【0050】
例えば、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22に故障がない場合、ステップS107において検出される電圧は、
図3の上段中央列のグラフの網掛け部の面積に対応する。また、ステップS108において検出される電圧は、
図3の上段右列のグラフの網掛け部の面積に対応する。このため、ステップS107の第1検出値とステップS108の第2検出値との差分は、ゼロに近づく。
【0051】
一方、第1サイリスタ21のオープン故障時において、ステップS107において検出される電圧は、
図3の下段中央列のグラフに示すようにゼロとなる。一方、ステップS108において検出される電圧は、
図3の下段右列のグラフの網掛け部の面積に対応する。このため、ステップS107の第1検出値とステップS108の第2検出値との差分は大きくなる。このため、制御部30の故障判定部32は、これらの差分をに基づいて、逆並列サイリスタ20の故障を判定することができる。
【0052】
なお、第1サイリスタ21のショート故障時において、ステップS107の処理で検出される電圧は、
図3の中段中央列のグラフの網掛け部の面積に対応する。また、ステップS108において検出される電圧は、
図3の中段右列のグラフの網掛け部の面積に対応する。このため、ステップS107の第1検出値とステップS108の第2検出値との差分は大きくなる。このため、ステップS107からステップS109に示す処理によって、第1サイリスタ21のショート故障も判定することができる。
【0053】
また、電気絶縁性材料からなる部材に複数の区画が形成され、各区画に独立して給電可能なヒータ103がそれぞれ設けられるマルチヒータにおいて、いずれかのヒータに対応する逆並列サイリスタ20に故障が派生した場合、電気絶縁性材料からなる部材内に温度差が生じて電気絶縁性材料からなる部材やヒータ103が破損するおそれがある。本実施形態に係る逆並列サイリスタ20の故障検出方法によれば、第1サイリスタ21及び第2サイリスタ22のいずれか一方の故障も検出することができるので、電気絶縁性材料からなる部材やヒータ103が破損することを防止することができる。
【0054】
なお、ステップS104において、電圧検出部42で検出される電圧(第3検出値)及び電流検出部43で検出される電流(第3検出値)のうち、一方が閾値(第2閾値)未満であって、他方が閾値(第2閾値)以上である場合、電圧検出部42または電流検出部43の検出値にオフセットが発生していると検出することができる。
【符号の説明】
【0055】
100 基板処理装置
102 載置台
103 ヒータ
10 交流電源
20 逆並列サイリスタ
21 第1サイリスタ
22 第2サイリスタ
30 制御部
31 温度制御部
32 故障判定部
41 温度検出部
42 電圧検出部
43 電流検出部