(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048802
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】シート剥離装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230331BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B65H41/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158329
(22)【出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】青木 仁
(72)【発明者】
【氏名】木▲崎▼ 清貴
(72)【発明者】
【氏名】森田 由希
(72)【発明者】
【氏名】住谷 亮輔
【テーマコード(参考)】
3F108
5F131
【Fターム(参考)】
3F108JA05
5F131AA02
5F131BA53
5F131CA09
5F131CA53
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA07
5F131EA22
5F131EB01
5F131EB73
5F131EB81
5F131EC37
5F131EC62
5F131EC63
5F131EC64
5F131EC69
5F131EC72
5F131EC76
5F131EC77
(57)【要約】
【課題】被着体にダメージを与えることなく且つ保護シートを被着体から安定して剥離させるシート剥離装置を提供する。
【解決手段】シート剥離装置1は、被着体Wを保持して所定の移動方向に移動可能な搬送テーブル2と、剥離テープTを保護シートSに接着させるヒートスタンプ41と、を備え、ヒートスタンプ41は、剥離テープTにそれぞれ接触して剥離テープTを保護シートSに向けて押圧する複数のスタンプヘッド43、44、45を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に貼付された保護シートに剥離テープを介して剥離力を付与して、前記保護シートを剥離するシート剥離装置であって、
前記被着体を保持して所定の移動方向に移動可能な搬送手段と、
前記剥離テープを前記保護シートに接着させる接着手段と、
を備え、
前記接着手段は、前記剥離テープにそれぞれ接触して前記剥離テープを前記保護シートに向けて押圧する複数のスタンプヘッドを備えていることを特徴とするシート剥離装置。
【請求項2】
前記複数のスタンプヘッドは、前記移動方向において互いに離間して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート剥離装置。
【請求項3】
前記複数のスタンプヘッドは、前記移動方向に対して垂直な幅方向において互いに離間して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート剥離装置。
【請求項4】
前記複数のスタンプヘッドは、前記保護シートの周縁に沿って配置されていることを特徴とする請求項3に記載のシート剥離装置。
【請求項5】
各スタンプヘッドの前記剥離テープに接触する接触面は、略同一面積に設定されていることを特徴とする請求項4に記載のシート剥離装置。
【請求項6】
前記複数のスタンプヘッドのうち前記移動方向の前端に配置されたスタンプヘッドの前記剥離テープに接触する接触面は、前記移動方向の前方から後方に向かって漸次拡幅して形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のシート剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に貼付された保護シートを剥離するシート剥離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野では、シリコンウェハ等の半導体基板(以下、「被着体」という)の裏面を研削して薄くする工程があり、その工程では被着体の表面に粘着フィルム等から成る保護シートを貼り付けて、被着体の表面に形成されたデバイスを保護している。
【0003】
被着体に貼付された保護シートを剥離するシート剥離装置として、被着体に貼付された保護シートの端部に剥離テープを接着し、被着体を剥離テープに対して相対的に移動させることにより、剥離テープに剥離力を作用させて保護シートを被着体から剥離させる装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の装置では、剥離テープが大面積で保護シートと接着している場合、剥離テープと保護シートとの間の粘着力が過度に大きくなることがあり、剥離テープが保護シートを上方に引っ張って被着体から剥離させると、被着体が保護シートに追従するように大きく跳ね上がることがあり、被着体に割れ等のダメージを与える虞がある。
【0006】
一方、剥離テープが小面積で保護シートと接触している場合、剥離テープが保護シートに作用させる張力が剥離テープと保護シートとの粘着力に比べて大きく、剥離テープが保護シートから外れてしまう虞があった。
【0007】
そこで、被着体にダメージを与えることなく且つ保護シートを被着体から安定して剥離させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るシート剥離装置は、被着体に貼付された保護シートに剥離テープを介して剥離力を付与して、前記保護シートを剥離するシート剥離装置であって、前記被着体を保持して所定の移動方向に移動可能な搬送手段と、前記剥離テープを前記保護シートに接着させる接着手段と、を備え、前記接着手段は、前記剥離テープにそれぞれ接触して前記剥離テープを前記保護シートに向けて押圧する複数のスタンプヘッドを備えている。
【0009】
この構成によれば、接着手段の下面全面に亘って剥離テープと保護シートとを接着して剥離テープと保護シートとの接着力が過度に大きくなる場合と比べて、複数のスタンプヘッドが互いに離間した位置で剥離テープを保護シートにそれぞれ接着することにより、剥離テープと保護シートとの粘着力が低減されて、剥離テープを保護シートから剥離させる際に、被着体が保護シートに追従するように大きく跳ね上がることを抑制できる。
【0010】
さらに、複数のスタンプヘッドが互いに離間した位置で剥離テープを保護シートにそれぞれ接着することにより、剥離テープが保護シートに作用させる張力が剥離テープと保護シートとの接着力を上回り、剥離テープの一部が保護シートから外れた場合であっても、剥離テープの他の部分において剥離テープが保護シートに強固に接着された状態が維持されるため、剥離テープ全体が保護シートから剥離することを抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、被着体にダメージを与えることなく、保護シートを被着体から安定して剥離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシート剥離装置を示す斜視図。
【
図3】(a)は最縮状態のシリンダを備えている貼付手段を示す斜視図であり、(b)最伸状態のシリンダを備えている貼付手段を示す斜視図である。
【
図4】(a)はヒートスタンプを示す斜視図であり、(b)はヒートスタンプを示す底面図である。
【
図6】本発明の第1の変形例に係るシート剥離装置のヒートスタンプを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は底面図である。
【
図7】本発明の第2の変形例に係るシート剥離装置のヒートスタンプを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0014】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0015】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0016】
図1は、シート剥離装置1の斜視図である。
図2は、シート剥離装置1の側面図である。シート剥離装置1は、被着体Wの裏面研削を行うにあたって被着体Wの表面を保護するために粘着された保護シートS(BGテープ)を剥離するものである。被着体Wは、例えば、シリコンウェハ等の半導体基板であるが、これに限定されるものではない。
【0017】
被着体Wは、保護シートSを上面側にした状態でダイシングテープDTを介してリングフレームRFにマウントされたものである。ダイシングテープDTは、紫外線硬化テープ等である。
【0018】
シート剥離装置1は、被着体Wを載置する搬送テーブル2を備えている。搬送テーブル2の上面側には、吸着面21が設けられている。
【0019】
吸着面21は、図示しない真空源又は圧縮空気源に接続されている。真空源が起動すると、吸着面21に載置された被着体Wが吸着面21に吸着保持される。また、圧縮空気源が起動すると、被着体Wと吸着面21との吸着が解除される。
【0020】
搬送テーブル2は、図示しない移動手段を介して移動方向D1に移動可能に設けられている。なお、搬送テーブル2の移動速度は任意に変更可能であり、例えば、被着体Wを損傷することなく、保護シートSの剥離に要する時間を短縮するために、保護シートSの剥離初期では低速にし、保護シートSの剥離がある程度進行した後には高速にしても構わない。
【0021】
シート剥離装置1は、帯状の剥離テープTを繰り出し可能な繰出手段3を備えている。繰出手段3は、送りローラー31と、巻取ローラー32と、第1~第4のガイドローラー33~36と、ナイフエッジ37と、を備えている。
【0022】
送りローラー31は、帯状の剥離テープTを繰り出し可能に支持している。巻取ローラー32は、剥離テープTに繰出力を付与して巻き取る。第1~第4のガイドローラー33~36及びナイフエッジ37は、剥離テープTに張力を作用させるとともに剥離テープTの軌道を規制するように適当な位置に配置されている。
【0023】
シート剥離装置1は、剥離テープTを保護シートSに貼着する貼付手段4を備えている。貼付手段4は、
図3(a)、(b)に示すように、アクチュエータ41と、接着手段としてのヒートスタンプ42と、を備えている。
【0024】
アクチュエータ41は、例えば圧縮空気で駆動するエアシリンダである。アクチュエータ41は、フレーム41aと、ヒートスタンプ42が下端に設けられてフレーム41aに対して進退移動可能なロッド41bと、を備えている。
【0025】
図4(a)、(b)に示すように、ヒートスタンプ42の下面には、スタンプヘッド43、44、45が形成されている。スタンプヘッド43、44、45は、所定温度に昇温された状態で剥離テープTに押し付けられることにより、剥離テープTと保護シートSとを溶着させる。すなわち、ヒートスタンプ42は、剥離テープTへの投影面積全体で剥離テープTに接触するのではなく、スタンプヘッド43、44、45の各下面(接触面43a、44a、45a)でのみ剥離テープTに接触する。
【0026】
スタンプヘッド43、44、45は、移動方向D1の前方から後方に向かってこの順に僅かに隙間を空けて設けられている。また、接触面43a、44a、45aは、下面から視て短辺が移動方向D1と平行で、かつ長辺が移動方向D1に直交する幅方向D2に沿った略長方形状にそれぞれ形成されている。スタンプヘッド43、44、45の幅は、略同一に設定されている。また、スタンプヘッド43、44、45の長さは、この順で長く設定されている。すなわち、接触面43a、44a、45aは、この順で面積が広くなっている。
【0027】
なお、スタンプヘッド43、44、45は、単一のヒートスタンプ42に設けられたものに限定されず、複数のヒートスタンプにそれぞれ設けられても構わない。また、剥離テープTと保護シートSとを溶着させるスタンプヘッドの数は、2個であっても、4個以上であっても構わない。また、接触面43a、44a、45aの形状は、上述したものに限定されないことは言うまでもない。また、スタンプヘッド43、44、45は、幅方向D2において連続したものに限らず、幅方向D2において互いに離間して配置されても構わない。
【0028】
シート剥離装置1は、規制手段としての規制ローラー5を備えている。規制ローラー5の長さは、被着体Wの直径より大きく設定される。規制ローラー5は、保護シートSが剥離し始める位置(剥離開始位置)の略上方に約2~3mm程度離間して配置されている。規制ローラー5は、剥離テープTの繰出をスムーズに行えるように、図示しない略水平に取り付けられた支持軸回りに回転自在に設けられている。
【0029】
規制ローラー5の表面(ガイド面51)には、剥離テープTが不用意に付着しないよう、例えば、ガイド面51をフッ素樹脂でコーティングしたり、ガイド面51にローレット加工を施すのが好ましい。これにより、剥離テープTの繰出をスムーズに行うことができる。
【0030】
なお、規制手段は、上述した形態に限定されるものではなく、例えば、滑りの良い円弧状のガイド面を備えた扇形柱を用いて、剥離テープTの撓みを押えこむように撓み方向を規制するものであっても構わない。
【0031】
また、ガイド面51の滑りが良く、剥離テープTの繰出をスムーズに行えるのであれば、支持軸回りに回転不能に構成し、剥離テープTをガイド面51上で摺動させるように構成されても構わない。
【0032】
次に、シート剥離装置1の動作について、図面に基づいて説明する。
図5は、保護シートSを剥離する手順を示す図である。
【0033】
まず、厚み約20μm、直径約400mmの被着体Wを搬送テーブル2に吸着させた後に、
図5(a)に示すように、ヒートスタンプ42の下方に被着体Wの外周部が配置されるように、搬送テーブル2を移動させる。
【0034】
次に、
図5(b)に示すように、ロッド41bが全伸してヒートスタンプ42を降下させ、スタンプヘッド43、44、45が剥離テープTに接触して180℃のスタンプ温度で加熱・押圧することにより、剥離テープTと保護シートSとが、接触面43a、44a、45aでそれぞれ溶着される。剥離テープTと保護シートSとの溶着範囲は、接触面43a、44a、45aの形状に応じて設定される。すなわち、スタンプヘッド43による溶着範囲は、スタンプヘッド44による溶着範囲より小さく、スタンプヘッド44による溶着範囲は、スタンプヘッド45による溶着範囲より小さい。
【0035】
次に、
図5(c)に示すように、ロッド41bが全縮してヒートスタンプ42を上昇させた後に、
図5(d)に示すように、剥離開始位置を規制ローラー5に接近させるように(
図5(d)の紙面左側に向けて)、搬送テーブル2を移動させる。剥離テープTは、剥離開始位置より搬送テーブル2の進行方向の前方側に膨らむような側面から視て横向きの略U字状に撓む。
【0036】
次に、
図5(e)に示すように、搬送テーブル2をさらに移動させると、規制ローラー5が剥離テープTに接触して、規制ローラー5が剥離テープTの撓みを略垂直方向に、換言すれば、剥離テープTと保護シートSとで成す角度が小さくなるように、規制ローラー5が、剥離テープTの撓みを押え込む。
【0037】
次に、
図5(f)に示すように、搬送テーブル2をさらに移動させると、剥離テープTに作用する張力によって、剥離テープTの撓みが略垂直方向に押し込まれたまま、保護シートSを被着体Wから剥離する剥離力が保護シートSに作用する。なお、保護シートSが剥離し始める際の搬送テーブル2の移動速度は、例えば1mm/sに設定される。
【0038】
搬送テーブル2がさらに移動すると、保護シートSが被着体Wから剥離し始める。具体的には、まず、保護シートSの外周部が被着体Wから剥離する直前では、剥離テープTが規制ローラー5に接触することで下方に押え込まれるため、剥離テープTと保護シートSとで成す角度が小さい状態で撓んでいる。
【0039】
その後、搬送テーブル2が移動すると、保護シートSが被着体Wから剥離される。保護シートSの剥離は、保護シートSのうちスタンプヘッド43によって剥離テープTが溶着された位置から開始する。その後、搬送テーブル2の移動に伴って、保護シートSが被着体Wから徐々に剥離される。
【0040】
ところで、剥離テープTが保護シートSに作用させる張力が、剥離テープTと保護シートSとの粘着力を上回ると、剥離テープTが保護シートSから外れてしまうことがある。
【0041】
例えば、スタンプヘッド43によって小面積で溶着された領域では、剥離テープTと保護シートSとの粘着力が相対的に小さく、剥離テープTが保護シートSに作用させる単位面積当たりの張力が大きくなりがちで、剥離テープTが保護シートSから外れてしまう虞がある。
【0042】
しかしながら、スタンプヘッド43の移動方向D1の後方に位置するスタンプヘッド44、45がより広面積で剥離テープTと保護シートSとを溶着することにより、剥離テープTが保護シートSに作用させる単位面積当たりの張力が小さくなるため、スタンプヘッド44、45によって溶着された領域では剥離テープTと保護シートSとが溶着された状態を維持することができる。
【0043】
さらに、剥離テープTと保護シートSとが溶着される範囲は、ヒートスタンプ42の剥離テープTへの投影面積のうち接触面43a、44a、45aに限定されるため、剥離テープTが過度に広範囲で圧着硬化することに起因して薄い被着体Wが跳ね上がるように割れることを抑制できる。
【0044】
そして、
図5(f)に示すように、被着体Wの外周部の保護シートSが完全に剥離した後には、搬送テーブル2をさらに移動させて、保護シートS全面を被着体Wから剥離させる。
【0045】
このようにして、本実施形態に係るシート剥離装置1は、被着体Wに貼付された保護シートSに剥離テープTを介して剥離力を付与して、保護シートSを剥離するシート剥離装置1であって、被着体Wを保持して所定の移動方向D1に移動可能な搬送テーブル2と、剥離テープTを保護シートSに溶着させるヒートスタンプ42と、を備え、ヒートスタンプ42は、剥離テープTにそれぞれ接触して剥離テープTを保護シートSに向けて押圧する複数のスタンプヘッド43、44、45を備えているという構成とした。
【0046】
この構成によれば、ヒートスタンプ42の下面全面に亘って剥離テープTと保護シートSとを溶着して剥離テープTと保護シートSとの粘着力が過度に大きくなる場合と比べて、複数のスタンプヘッド43、44、45が互いに離間した位置で剥離テープTを保護シートSにそれぞれ溶着することにより、剥離テープTと保護シートSとの粘着力が低減されて、剥離テープTを保護シートSから剥離させる際に、被着体Wが保護シートSに追従するように大きく跳ね上がることを抑制できる。
【0047】
さらに、複数のスタンプヘッド43、44、45が互いに離間した位置で剥離テープTを保護シートSにそれぞれ溶着することにより、剥離テープTが保護シートSに作用させる張力が剥離テープTと保護シートSとの粘着力を上回り、剥離テープTの一部が保護シートSから外れた場合であっても、剥離テープTの他の部分において剥離テープTが保護シートSに強固に溶着された状態が維持されるため、剥離テープT全体が保護シートSから剥離することを抑制できる。
【0048】
また、本実施形態に係るシート剥離装置1は、スタンプヘッド43、44、45が、移動方向D1において互いに離間して設けられているという構成とした。
【0049】
この構成によれば、剥離テープTのうち移動方向D1の前方に位置する部分において剥離テープTが保護シートSから外れた場合であっても、剥離テープTのうち移動方向D1の後方に位置する部分では剥離テープTが保護シートSに強固に溶着された状態が維持されるため、搬送テーブル2の移動に伴って保護シートSを被着体Wから確実に剥離させることができる。
【0050】
なお、接着手段は、ヒートスタンプ42に限定されるものではなく、剥離テープTを保護シートSに接着可能なものであれば如何なるものであっても構わない。また、ヒートスタンプ42は、上述した下方から視て略長方形状のスタンプヘッド43、44、45を備えている構成に限定されるものではない。
【0051】
例えば、
図6(a)、(b)に示すように、下面に複数のスタンプヘッド46が設けられたヒートスタンプ42であっても構わない。スタンプヘッド46は、所定温度に昇温された状態で剥離テープTに押し付けられることにより、剥離テープTと保護シートSとを溶着させる。
【0052】
複数のスタンプヘッド46は、移動方向D1及び幅方向D2において互いに離間して配置されている。スタンプヘッド46の下面(接触面46a)は、下面から視て略円形状に形成されている。したがって、接触面46aは、移動方向D1において前方端から後方に向かって漸次拡幅して形成されている。
【0053】
また、スタンプヘッド46のうち最外周に配置されたスタンプヘッド46は、被着体Wの周縁に対向するように配置されている。なお、
図6(b)では、接触面46aが略同一面積に設定されているが、例えば、移動方向D1の前方から後方に向かって、接触面46aが徐々に拡大するように形成されても構わない。
【0054】
このようにして、本発明の第1の変形例に係るシート剥離装置1は、被着体Wに貼付された保護シートSに剥離テープTを介して剥離力を付与して、保護シートSを剥離するシート剥離装置1であって、被着体Wを保持して所定の移動方向D1に移動可能な搬送テーブル2と、剥離テープTを保護シートSに溶着させるヒートスタンプ42と、を備え、ヒートスタンプ42は、剥離テープTにそれぞれ接触して剥離テープTを保護シートSに向けて押圧する複数のスタンプヘッド46を備えているという構成とした。
【0055】
この構成によれば、ヒートスタンプ42の下面全面に亘って剥離テープTと保護シートSとを溶着して剥離テープTと保護シートSとの粘着力が過度に大きくなる場合と比べて、複数のスタンプヘッド46が互いに離間した位置で剥離テープTを保護シートSにそれぞれ溶着することにより、剥離テープTと保護シートSとの粘着力が低減されて、剥離テープTを保護シートSから剥離させる際に、被着体Wが保護シートSに追従するように大きく跳ね上がることを抑制できる。
【0056】
さらに、複数のスタンプヘッド46が互いに離間した位置で剥離テープTを保護シートSにそれぞれ溶着することにより、剥離テープTが保護シートSに作用させる張力が剥離テープTと保護シートSとの粘着力を上回り、剥離テープTの一部が保護シートSから外れた場合であっても、剥離テープTの他の部分において剥離テープTが保護シートSに強固に溶着された状態が維持されるため、剥離テープT全体が保護シートSから剥離することを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態に係るシート剥離装置1は、スタンプヘッド46が、移動方向D1において互いに離間して設けられているという構成とした。
【0058】
この構成によれば、剥離テープTのうち移動方向D1の前方に位置する部分において剥離テープTが保護シートSから外れた場合であっても、剥離テープTのうち移動方向D1の後方に位置する部分では剥離テープTが保護シートSに強固に溶着された状態が維持されるため、搬送テーブル2の移動に伴って保護シートSを被着体Wから確実に剥離させることができる。
【0059】
また、本実施形態に係るシート剥離装置1は、スタンプヘッド46が、幅方向D2において互いに離間して設けられているという構成とした。
【0060】
この構成によれば、ヒートスタンプ42の下面全面に亘って剥離テープTと保護シートSとを溶着して剥離テープTと保護シートSとの粘着力が過度に大きくなる場合と比べて、複数のスタンプヘッド46が幅方向D2に互いに離間した位置で剥離テープTを保護シートSにそれぞれ溶着することにより、剥離テープTと保護シートSとの粘着力が低減されて、剥離テープTを保護シートSから剥離させる際に、被着体Wが保護シートSに追従するように大きく跳ね上がることを抑制できる。
【0061】
また、本実施形態に係るシート剥離装置1は、複数のスタンプヘッド46のうち最外周に配置されたスタンプヘッド46が、保護シートSの周縁に沿って配置されているという構成とした。
【0062】
この構成によれば、保護シートSの周縁に沿って配置されたスタンプヘッド46の接触面46aにおいて保護シートSが被着体Wからそれぞれ剥離し始めることにより、剥離テープTを保護シートSから偏りなく剥離し始めることができる。
【0063】
また、本実施形態に係るシート剥離装置1は、複数のスタンプヘッド46の各接触面46aが、略同一面積に設定されているという構成とした。
【0064】
この構成によれば、各スタンプヘッド46が略同一面積で剥離テープTを保護シートSにそれぞれ溶着することにより、剥離テープT全体を保護シートSから偏りなく剥離することができる。
【0065】
また、本実施形態に係るシート剥離装置1は、複数のスタンプヘッド46のうち移動方向D1の前端に配置されたスタンプヘッド46の接触面46aが、移動方向D1の前方から後方に向かって漸次拡幅して形成されているという構成とした。
【0066】
この構成によれば、接触面46aのうち移動方向D1の前端において剥離力が集中して保護シートSが被着体Wから剥離し始め、その後、接触面46aのうち移動方向D1の後方に向かって広範囲に亘って保護シートSが被着体Wから剥離するため、剥離テープT全体を保護シートSから確実に剥離することができる。
【0067】
また、例えば、
図7(a)、(b)に示すように、下面にスタンプヘッド47、48が設けられたヒートスタンプ42であっても構わない。スタンプヘッド47、48は、所定温度に昇温された状態で剥離テープTに押し付けられることにより、剥離テープTと保護シートSとを溶着させる。
【0068】
スタンプヘッド47、48は、移動方向D1において互いに離間して配置されている。スタンプヘッド47の下面(接触面47a)は、下面から視て略三角形状に形成されている。また、接触面47aは、移動方向D1において前方端から後方に向かって漸次拡幅して形成されている。
【0069】
スタンプヘッド48の下面(接触面48a)は、下面から視て短辺が移動方向D1と平行かつ長辺が移動方向D1に直交する幅方向D2に沿った略長方形状に形成されている。接触面48aは、接触面47aより広く形成されている。なお、接触面47a、48aの形状は、上述したものに限定されるものではない。また、スタンプヘッド47、48は、幅方向D2において連続したものに限らず、幅方向D2において互いに離間して配置されても構わない。
【0070】
このようにして、本発明の第2の変形例に係るシート剥離装置1は、被着体Wに貼付された保護シートSに剥離テープTを介して剥離力を付与して、保護シートSを剥離するシート剥離装置1であって、被着体Wを保持して所定の移動方向D1に移動可能な搬送テーブル2と、剥離テープTを保護シートSに溶着させるヒートスタンプ42と、を備え、ヒートスタンプ42は、剥離テープTにそれぞれ接触して剥離テープTを保護シートSに向けて押圧する複数のスタンプヘッド47、48を備えているという構成とした。
【0071】
この構成によれば、ヒートスタンプ42の下面全面に亘って剥離テープTと保護シートSとを溶着して剥離テープTと保護シートSとの粘着力が過度に大きくなる場合と比べて、複数のスタンプヘッド47、48が互いに離間した位置で剥離テープTを保護シートSにそれぞれ溶着することにより、剥離テープTと保護シートSとの粘着力が低減されて、剥離テープTを保護シートSから剥離させる際に、被着体Wが保護シートSに追従するように大きく跳ね上がることを抑制できる。
【0072】
さらに、複数のスタンプヘッド47、48が互いに離間した位置で剥離テープTを保護シートSにそれぞれ溶着することにより、剥離テープTが保護シートSに作用させる張力が剥離テープTと保護シートSとの粘着力を上回り、剥離テープTの一部が保護シートSから外れた場合であっても、剥離テープTの他の部分において剥離テープTが保護シートSに強固に溶着された状態が維持されるため、剥離テープT全体が保護シートSから剥離することを抑制できる。
【0073】
また、本実施形態に係るシート剥離装置1は、スタンプヘッド47、48が、移動方向D1において互いに離間して設けられているという構成とした。
【0074】
この構成によれば、剥離テープTのうち移動方向D1の前方に位置する部分において剥離テープTが保護シートSから外れた場合であっても、剥離テープTのうち移動方向D1の後方に位置する部分では剥離テープTが保護シートSに強固に溶着された状態が維持されるため、搬送テーブル2の移動に伴って保護シートSを被着体Wから確実に剥離させることができる。
【0075】
また、本実施形態に係るシート剥離装置1は、移動方向D1の前端に配置されたスタンプヘッド47の接触面47aが、移動方向D1の前方から後方に向かって漸次拡幅して形成されているという構成とした。
【0076】
この構成によれば、接触面47aのうち移動方向D1の前端において剥離力が集中して保護シートSが被着体Wから剥離し始め、その後、接触面47aのうち移動方向D1の後方に向かって広範囲に亘って保護シートSが被着体Wから剥離するため、剥離テープT全体を保護シートSから確実に剥離することができる。
【0077】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。また、上述した実施形態及び各変形例は、互いに組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0078】
1 ・・・シート剥離装置
2 ・・・搬送テーブル(搬送手段)
21・・・吸着面
3 ・・・繰出手段
31・・・送りローラー
32・・・巻取ローラー
37・・・ナイフエッジ
4 ・・・貼付手段
41・・・アクチュエータ
42・・・ヒートスタンプ(接着手段)
43~48・・・スタンプヘッド
5 ・・・規制ローラー
51・・・ガイド面
DT・・・ダイシングテープ
RF・・・リングフレーム
S ・・・保護シート
T ・・・剥離テープ
W ・・・被着体