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特開2023-48964情報処理装置、データ管理方法、プログラム、情報処理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023048964
(43)【公開日】2023-04-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、データ管理方法、プログラム、情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/14 20190101AFI20230331BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230331BHJP
   G06F 16/907 20190101ALI20230331BHJP
【FI】
G06F16/14
H04N1/00 127A
G06F16/907
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044647
(22)【出願日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2021158290
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】宇藤 陽介
【テーマコード(参考)】
5B175
5C062
【Fターム(参考)】
5B175FB02
5C062AA05
5C062AA35
5C062AB38
5C062AC38
5C062AF02
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】外部サービスシステムにおける電子データの識別情報と、情報処理装置における電子データの識別情報とを対応付ける情報処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、端末装置と、電子データに対して所定の処理を行う外部サービスシステムと、ネットワークを介して接続される情報処理装置であって、前記端末装置から第一の電子データ及び処理の要求を受信する通信部と、前記第一の電子データを管理するための第一の識別情報を付与する識別情報管理部と、前記第一の電子データに対する処理の要求を前記外部サービスシステムに送信し、前記外部サービスシステムにおいて前記第一の電子データを管理するための第二の識別情報を前記外部サービスシステムから取得する処理要求部と、を有し、前記識別情報管理部は、前記処理要求部が取得した前記第二の識別情報を前記第一の識別情報と対応付けて管理することを特徴とする。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、電子データに対して所定の処理を行う外部サービスシステムと、ネットワークを介して接続される情報処理装置であって、
前記端末装置から第一の電子データ及び処理の要求を受信する通信部と、
前記第一の電子データを管理するための第一の識別情報を付与する識別情報管理部と、
前記第一の電子データに対する処理の要求を前記外部サービスシステムに送信し、前記外部サービスシステムにおいて前記第一の電子データを管理するための第二の識別情報を前記外部サービスシステムから取得する処理要求部と、を有し、
前記識別情報管理部は、前記処理要求部が取得した前記第二の識別情報を前記第一の識別情報と対応付けて管理することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置が管理する前記第一の電子データに関する情報を少なくとも含むユーザーの操作を受付可能な第一の画面を示す第一の画面情報を生成する画面生成部を有し、
前記通信部は、前記第一の画面情報を前記端末装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理要求部は、前記端末装置が前記第一の画面に対するユーザーの操作によって選択を受け付けた前記第一の電子データを示す前記第一の識別情報に対応付けられた第二の識別情報を指定して、前記外部サービスシステムから前記第二の識別情報に対応付けられている第二の電子データに関する情報を取得し、
前記画面生成部は、前記第二の電子データに関する情報を含む第二の画面情報を生成し、
前記通信部は、前記第二の画面情報を前記端末装置に送信することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第二の画面情報は、前記第二の電子データに関する情報として、前記第二の識別情報、又は、前記第二の電子データの保存先を示す情報を有することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第二の識別情報は、前記外部サービスシステムが付与したものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
端末装置と、電子データに対して所定の処理を行う外部サービスシステムと、ネットワークを介して接続される情報処理装置が行うデータ管理方法であって、
通信部が、前記端末装置から第一の電子データ及び処理の要求を受信するステップと、
識別情報管理部が、前記第一の電子データを管理するための第一の識別情報を付与するステップと、
処理要求部が、前記通信部が受信した前記第一の電子データに対する処理の要求を前記外部サービスシステムに送信し、前記外部サービスシステムにおいて前記第一の電子データを管理するための第二の識別情報を前記外部サービスシステムから取得するステップと、
識別情報管理部が、前記処理要求部が取得した前記第二の識別情報を前記第一の識別情報と対応付けて管理するステップと、
を有するデータ管理方法。
【請求項7】
端末装置と、電子データに対して所定の処理を行う外部サービスシステムと、ネットワークを介して接続される情報処理装置を、
前記端末装置から第一の電子データ及び処理の要求を受信する通信部と、
前記第一の電子データを管理するための第一の識別情報を付与する識別情報管理部と、
前記第一の電子データに対する処理の要求を前記外部サービスシステムに送信し、前記外部サービスシステムにおいて前記第一の電子データを管理するための第二の識別情報を前記外部サービスシステムから取得する処理要求部、として機能させ、
前記識別情報管理部は、前記処理要求部が取得した前記第二の識別情報を前記第一の識別情報と対応付けて管理するプログラム。
【請求項8】
端末装置と、前記端末装置とネットワークを介して接続される情報処理装置と、を有する情報処理システムであって、
前記端末装置は、電子データを前記情報処理装置へ送信し、
前記情報処理装置は、
前記端末装置から第一の電子データ及び処理の要求を受信する通信部と、
前記第一の電子データを管理するための第一の識別情報を付与する識別情報管理部と、
前記第一の電子データに対する処理の要求を電子データに対して所定の処理を行う外部サービスシステムに送信し、前記外部サービスシステムにおいて前記第一の電子データを管理するための第二の識別情報を前記外部サービスシステムから取得する処理要求部と、を有し、
前記識別情報管理部は、前記処理要求部が取得した前記第二の識別情報を前記第一の識別情報と対応付けて管理することを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、データ管理方法、プログラム、及び、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子データに識別情報を付与して管理する電子データの管理方法が知られている。また、電子データを管理する情報処理装置が該電子データを外部サービスシステムに送信して処理させる処理方法も知られている。
【0003】
識別情報に基づいて、電子文書をサーバーに登録する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、画像形成装置が、読取文書データの識別情報を取得し、識別情報に対応する情報により、読取文書データの適切性を判断し、適正である場合、サーバーが、読取文書データに対応する電子文書を承認済として登録するシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、外部サービスシステムにおける電子データの識別情報と、情報処理装置における電子データの識別情報とが対応付けられていないという問題がある。例えば、情報処理装置から外部サービスシステムへ電子データに対する処理の要求を行った場合、情報処理装置における電子データの管理は、外部サービスシステムにおける電子データの管理と連携していない。すなわち、情報処理装置では処理前の電子データと、処理後の電子データとが対応付けられていなかった。また、このためユーザーは、処理前の電子データと処理後の電子データの管理にそれぞれ異なるシステムを使用する必要があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、外部サービスシステムにおける電子データの識別情報と、情報処理装置における電子データの識別情報とを対応付ける情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、端末装置と、電子データに対して所定の処理を行う外部サービスシステムと、ネットワークを介して接続される情報処理装置であって、前記端末装置から第一の電子データ及び処理の要求を受信する通信部と、前記第一の電子データを管理するための第一の識別情報を付与する識別情報管理部と、前記第一の電子データに対する処理の要求を前記外部サービスシステムに送信し、前記外部サービスシステムにおいて前記第一の電子データを管理するための第二の識別情報を前記外部サービスシステムから取得する処理要求部と、を有し、前記識別情報管理部は、前記処理要求部が取得した前記第二の識別情報を前記第一の識別情報と対応付けて管理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外部サービスシステムにおける電子データの識別情報と、情報処理装置における電子データの識別情報とを対応付ける情報処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ドキュメント管理システムが行う電子データの管理方法の概略を説明する図である。
図2】情報処理システムの一例のシステム構成図である。
図3】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図4】ドキュメント管理システム、電子契約システム、及び、端末装置が有する機能をブロックに分けて説明する一例の機能ブロック図である。
図5】ドキュメント情報記憶部に記憶される一例のドキュメント情報を示す図である。
図6】メタデータ記憶部に記憶される一例のメタデータを示す図である。
図7】ワークフロー情報記憶部に記憶される一例のワークフロー情報を示す図である。
図8】識別子情報記憶部25に記憶される一例の識別子情報を示す図である。
図9】ドキュメント管理システムがドキュメントに識別情報を付与し管理する手順を示す一例のシーケンス図である。
図10】ワークフロー処理の過程で生成される一例の識別子情報を示す図である。
図11】ワークフロー処理後に生成される一例の識別子情報を示す図である。
図12】2つのドキュメントの統合例を示す図である。
図13】ユーザーがドキュメントを検索する手順を示す一例のシーケンス図である。
図14】端末装置が表示するドキュメント登録画面、メタデータ設定画面の一例を示す図である。
図15】端末装置が表示する一例の検索画面を示す図である。
図16】端末装置が表示する一例のドキュメント一覧画面を示す図である。
図17】端末装置が表示する一例のドキュメント表示画面を示す図である。
図18】端末装置が表示する一例のドキュメント表示画面を示す図である。
図19】ドキュメント管理システムが行う電子データの管理方法の概略を説明する図である(実施例2)。
図20】情報処理システムの一例のシステム構成図である(実施例2)。
図21】ドキュメント管理システム、電子契約システム、及び、端末装置が有する機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である(実施例2)。
図22】識別子情報記憶部が記憶する識別子情報を模式的に示す図である(実施例2)。
図23】処理後ドキュメント情報記憶部に記憶される処理後ドキュメント情報を模式的に示す図である(実施例2)。
図24】ドキュメント管理システムがドキュメント管理システムのドキュメントIDと外部サービスシステムのドキュメントIDを対応付けて保存する手順を説明するシーケンス図の一例である(実施例2)。
図25】ユーザーがドキュメントを検索する手順を説明するシーケンス図の一例である(実施例2)。
図26】ドキュメント表示画面の一例を示す図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、ドキュメント管理システムとドキュメント管理システムが行うデータ管理方法について図面を参照しながら説明する。
【実施例0010】
<動作の概略>
図1は、ドキュメント管理システム10が行う電子データの管理方法の概略を説明する図である。ドキュメント管理システム10は種々のドキュメントを保存したり、処理したりする。また、ドキュメント管理システム10はドキュメントに対し一連の処理(ワークフロー)を実行したり、その際に電子契約システム30に処理の一部を依頼したりする場合がある。電子契約システム30は取引先との契約のやり取りや電子署名の付与を行う。このようなシステム構成において、本実施形態のドキュメント管理システム10は、電子契約システム30で処理する前のドキュメントと電子契約システム30で処理した後のドキュメントを対応付けて管理する。
【0011】
(1) ユーザーが端末装置50を操作してドキュメントの一例として契約書を作成し、ドキュメント管理システム10にアップロードする。ドキュメント管理システム10は契約書を保存し、ドキュメントID=「A」(第一の識別情報の一例)を付与して管理する。
【0012】
(2) 予め定められているワークフロー開始の条件を満たした場合、ドキュメント管理システム10はワークフローを実行する。ワークフローは、電子契約システム30にドキュメントを送信し、戻り値として取得した電子契約システム30上で管理されているドキュメントID=「B」(第二の識別情報の一例)を取得する。
【0013】
(3) ワークフローは、所定のタイミングで電子契約システム30からドキュメントID=「B」で特定される締結済みドキュメントを取得する。ドキュメント管理システム10は締結済みドキュメントに対しドキュメントID=「C」(第三の識別情報の一例)を付与して管理する。したがって、ドキュメント管理システム10はドキュメントID=「A」~「C」によりドキュメントを紐付けておくことができる。
【0014】
以上の処理で、情報処理システム100は、3つのドキュメントID=「A」~「C」を対応付けて管理できる。したがって、ユーザーが例えばドキュメントを検索し、当該ドキュメントのドキュメントID=「A」を特定できれば、ドキュメント管理システム10はドキュメントID=「C」で特定される契約済みドキュメントも特定できる。また、情報処理システム100は、ドキュメントID=「B」で特定される契約済みドキュメントを電子契約システム30に要求することもできる。
【0015】
<用語について>
電子データとは、コンピュータで処理されるデータである。本実施形態では、電子データは、一例として、ドキュメントを含む。なお、ドキュメントは、文書ともいう。ただし、文字を含むことは必須でない。更に、電子データは、動画や静止画などの画像データでもよい。
【0016】
処理とは、情報処理を意味し、数字、文字、物理量などによって表された情報についてコンピュータにより計算、分類、照合、その他の処理を行うことをいう。
【0017】
ワークフローとは、予め決まっている一連の処理をシステムがデータに対し順に施すこと又は一連の処理をいう。
【0018】
紐付けとは、複数のものを関連付ける、対応付ける、又は、相互に結び付けることをいう。
【0019】
識別情報とは、様々な対象から特定の一つを識別又は特定するのに用いられる情報である。識別情報は、識別子やID(Identification)、とも呼ばれる。識別情報は、名称、符号、文字列、数値などの組み合わせでよい。
【0020】
対応付けとは、あるモノと他のモノとの間に何らかの関係を持たせることをいう。対応付けは、例えば、2つの識別情報がテーブル内の同じ行又は列に登録されることでもよいし、同じ情報がそれぞれに対応付けられることでもよい。
【0021】
<システム構成例>
次に、図2を参照して、情報処理システム100のシステム構成について説明する。図2は、情報処理システム100の一例のシステム構成図である。
【0022】
情報処理システム100は、少なくともドキュメント管理システム10を有している。情報処理システム100は、更に電子契約システム30を有していてもよい。ドキュメント管理システム10と電子契約システム30はネットワークを介して通信可能に接続されている。ドキュメント管理システム10と電子契約システム30は常に接続されていることまでは要せず、必要に応じて接続されればよい。また、ドキュメント管理システム10は端末装置50からの接続を受け付ける。ドキュメント管理システム10と端末装置50は常に接続されていることまでは要せず、必要に応じて接続されればよい。また、電子契約システム30は端末装置50からの接続を受け付ける。電子契約システム30と端末装置50は常に接続されていることまでは要せず、必要に応じて接続されればよい。
【0023】
ドキュメント管理システム10は、一台以上の情報処理装置である。ドキュメント管理システム10はドキュメントを管理するサービスを提供する。ドキュメント管理システム10は、ドキュメントにメタデータを付与してメタデータを利用したドキュメントの効率的な検索を可能にしている。また、ドキュメント管理システム10は、ドキュメントの管理を開始する前、又は、管理の開始後に、ドキュメントをワークフロー機能により処理するサービスを提供する。メタデータとはあるデータについてのデータであり、あるデータが付随して持つそのデータ自身についての付加的なデータをいう。詳細については後述する。
【0024】
ワークフロー機能では、電子契約システム30による処理も可能である。従来、ドキュメント管理システム10は、他のシステムにより処理されたドキュメントIDを管理していなかった。本実施形態では、図1にて説明したように、情報処理システム100が、情報処理システム100と電子契約システム30におけるドキュメントIDを対応付けて管理する。
【0025】
ドキュメント管理システム10は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、単一の情報処理装置によって実現されてもよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される形態をいう。ドキュメント管理システム10は、インターネット上に存在しても、オンプレミスに存在してもよい。
【0026】
電子契約システム30は一台以上の情報処理装置である。電子契約システム30は電子契約に関する処理を行う。電子契約システム30に決まった定義はないが、紙の契約書に印鑑を押す代わりに、インターネット上で電子データ(PDF形式の契約書)に電子署名やタイムスタンプを付与して契約を締結できるシステムである。契約の締結だけでなく、締結した契約書を保管し、契約の検索や、他システムとの連携なども行える。電子契約システム30上で承認や稟議ができるようにワークフロー機能を備えた場合もある。
【0027】
電子署名は、一例として以下のように作成される。ドキュメントに署名したいAさんは、ハッシュ関数を使ってドキュメントのハッシュ値を作成し、秘密鍵を使って、ハッシュ値を暗号化する。Aさんはドキュメントに電子署名を添付して保存する。ドキュメントが改ざんされていないか否かを知りたいBさんはAさんの公開鍵を使って電子署名を復号し、ドキュメントのハッシュ値を求めて両者を比較する。両者が一致すれば、ドキュメントが公開鍵に対応する秘密鍵の持ち主により作成されたこと、秘密鍵の持ち主以外に改ざんされていないことが証明される。また、Bさんは公開鍵が正当かどうかを証明書検証により確認する。証明書検証は、公開鍵に含まれる認証局の署名を認証局に問い合わせて検証することである。
【0028】
なお、電子契約システム30は、ドキュメント管理システム10がワークフローで使用する。電子契約システム30は、以下でもよい。
・タイムスタンプシステム:タイムスタンプは、電子データが「いつ」の時点で存在し、それ以降改ざんされずに証拠性を保っている事を第三者的に証明する時刻の証明情報である。電子証明が、ドキュメントが改ざんされていないことを保証するのに対し、電子データが「いつ」の時点で存在したかも保証できる。
・ノイズ除去システム:ノイズ除去システムは、ドキュメントのノイズを除去するシステム。ノイズとは、署名などの必要な情報以外の不要な情報をいう。
・電子透かしシステム:電子透かしシステムは、ドキュメントに電子透かしを付与するシステム。電子透かしとは、画像や動画、音声などのデータに、関連する情報を人には知覚できない形で埋め込む技術をいう。専用のソフトウェアなどを用いることで埋め込まれた情報を検出することができる。
【0029】
電子契約システム30は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、単一の情報処理装置によって実現されてもよい。電子契約システム30は、インターネット上に存在しても、オンプレミスに存在してもよい。
【0030】
端末装置50は、ドキュメント管理システム10や電子契約システム30と通信する汎用的なコンピュータである。端末装置50ではWebブラウザが動作し、ドキュメント管理システム10又は電子契約システム30から受信した画面情報に基づいて各種の画面を表示する。ユーザーは、ドキュメント管理システム10に対し、ドキュメントの登録、ワークフローの実行、ドキュメントの検索等を行う。また、ユーザーは、電子契約システム30に対し、電子署名が付されたドキュメントの検索や閲覧等を行うことができる。
【0031】
端末装置50は、例えばPC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等であるが、Webブラウザが動作すればよい。なお、端末装置50ではWebブラウザに限らず、ドキュメント管理システム10や電子契約システム30に専用のアプリが動作してもよい。
【0032】
また、端末装置50は複合機(又はMFP(multifunction peripheral/product/printer))や電子黒板などの電子機器でもよい。例えば、複合機がスキャンした画像データ(ドキュメント)をドキュメント管理システム10に送信することで、複合機が端末装置50を代替できる。この他、端末装置50はテレビ会議端末、デジタルサイネージ、プロジェクタ等でもよい。電子黒板の場合、端末装置50は手書きデータをドキュメント管理システム10に送信する。テレビ会議端末の場合、端末装置50は音声データをドキュメント管理システム10に送信する。
【0033】
<ハードウェア構成>
<<ドキュメント管理システム、電子契約システム、端末装置>>
ドキュメント管理システム10、電子契約システム30、端末装置50は例えば図3に示すハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。図3はコンピュータ500の一例のハードウェア構成図である。図3に示されているように、コンピュータ500は、コンピュータによって構築されており、図3に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0034】
これらのうち、CPU501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリや画像形成装置20等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0035】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。光学ドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としての光記憶媒体513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、光記憶媒体はCD,DVD、Blu-Ray(登録商標)等である。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0036】
<機能について>
次に、図4を参照して、ドキュメント管理システム10、電子契約システム30、及び、端末装置50が有する機能について説明する。図4は、ドキュメント管理システム10、電子契約システム30、及び、端末装置50が有する機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
【0037】
<<ドキュメント管理システム>>
ドキュメント管理システム10は、通信部11、画面生成部12、データ管理部13、ワークフロー制御部14、処理実行部15、HTML情報記憶部21、ドキュメント情報記憶部22、メタデータ記憶部23、ワークフロー情報記憶部24、及び、識別子情報記憶部25を有する。ドキュメント管理システム10が有するこれらの機能は、図3に示したコンピュータ500のCPU501がHD504に保存されたプログラムを実行することで実現される機能又は手段である。また、HTML情報記憶部21、ドキュメント情報記憶部22、メタデータ記憶部23、ワークフロー情報記憶部24、及び、識別子情報記憶部25は、図3に示したコンピュータ500のHD504やRAM503等に構築される。HTML情報記憶部21、ドキュメント情報記憶部22、メタデータ記憶部23、ワークフロー情報記憶部24、及び、識別子情報記憶部25は、ドキュメント管理システム10が有する場合に限らず、ネットワーク上にあればよい。
【0038】
通信部11は、端末装置50又は電子契約システム30と各種の情報を送受信する。本実施形態では、通信部11は端末装置50からドキュメントを受信し、各種の画面の画面情報を端末装置50に送信する。通信部11は、電子契約システム30にドキュメントを送信し、電子契約システム30が処理した後のドキュメントとそのドキュメントIDを受信する。
【0039】
画面生成部12は、HTML情報記憶部21を参照して、端末装置50が表示する各種の画面の画面情報を生成する。HTML情報記憶部21には、画面のひな形が保存されており、ひな形には各種のタグ、スクリプト言語のフォーマット、各タグの書式が予め設定されている。タグは、Webページに表示されるタイトル、文字、表、ラベル、ボタン等の配置を規定する。書式はCSS(Cascading Style Sheet)によりHTML文書の色、大きさ、又は、文字のフォント等を規定する。スクリプト言語のフォーマットは処理の内容を規定する。画面生成部12は、このひな形を用いて後述する検索画面やドキュメント一覧画面等を表示するための画面情報を生成する。画面情報は、HTML、XML、スクリプト言語、及びCSS等で記述されたプログラムであり、主にHTMLによりWebページの構造が規定され、スクリプト言語によりWebページの動作が規定され、CSSによりWebページのスタイルが規定される。なお、このようにWebページを動的に生成することで、サーバーとクライアントがインタラクティブに処理することを実現する仕組みをWebアプリという。Webアプリとは、Webブラウザ上で動作するプログラミング言語(たとえばJavaScript(登録商標))によるプログラムとWebサーバー側のプログラムが協調することによって動作し、Webブラウザ上で実行されるソフトウェア又はその仕組みを言う。
【0040】
データ管理部13は、端末装置50から送信されたドキュメントをメタデータと対応付けて管理する。データ管理部13は、ドキュメントの本体(ファイル)をドキュメント情報記憶部22に保存し、メタデータをメタデータ記憶部23に保存する。
【0041】
ワークフロー制御部14は、ワークフローの登録を受け付けると共に、ワークフロー情報記憶部24を参照し、開始トリガの監視、及び、処理実行部15の生成等を制御する。ワークフロー情報については後述する。
【0042】
処理実行部15は、ワークフローを実行するモジュールである。処理実行部15はワークフローそのものと称してもよい。処理実行部15は、ワークフロー制御部14により動的に生成されるインスタンスである。処理実行部15は、ワークフローの処理内容に応じた処理を自動的に実行する。処理実行部15は、ドキュメントごとに個別モジュールとし独立して動作する。処理実行部15の処理には、タスクのアサインや外部システムとのやり取りが含まれる。
【0043】
図5は、ドキュメント情報記憶部22に記憶されるドキュメント情報の一例を示す。ドキュメント情報は、各ドキュメントそのもの又はドキュメントの保存場所を表す。
【0044】
・ドキュメントIDは、ドキュメントを一意に識別する識別情報である。ドキュメントIDは重複しなければファイル名でもよいし、ファイルパスやURLでもよい。ユーザーはドキュメントIDを使ってドキュメントにアクセスすることができる。このドキュメントIDは処理前にデータ管理部13が付与したドキュメントID、又は、電子契約システム30が処理した後にデータ管理部13が付与したドキュメントIDである。
【0045】
・ファイルパスは、各ドキュメントそのもの又はドキュメントの保存場所を表す。
【0046】
図6は、メタデータ記憶部23に記憶されるメタデータの一例を示す。メタデータは、各ドキュメントに付随して、ドキュメントを管理するための有用なデータである。以下、メタデータの各項目を説明する。なお、メタデータをデータのデータという場合がある。
【0047】
・ドキュメントIDは、ドキュメント情報記憶部22のドキュメントIDと同じものであり、ドキュメントを一意に識別する識別情報である。
・ファイル名はドキュメントのファイル名である。
【0048】
・ドキュメント種類は、ドキュメントがどのような処理に使用されるものかを示す。電子契約システム30が処理する場合、図示するように契約関連のドキュメント種類が多くなるが、あくまで一例である。電子契約システム30が処理したドキュメントについてはその旨が付されてよい。
【0049】
・契約開始日は、ドキュメントが契約に関するものである場合に、契約期間の開始日である。契約終了日は、同じく、契約期間の終了日である。ユーザーは契約開始日、契約終了日を変更できる。
【0050】
・紐付け情報は、ドキュメント管理システム10に登録されたドキュメントと電子契約システム30で処理された後のドキュメントを紐付けるための識別情報である。図6の例では、ドキュメントID=「A」のドキュメントとドキュメントID=「C」のドキュメントが共通の「111」という紐付け情報で紐付けられている。紐付け情報により、ドキュメント管理システム10はドキュメント管理システム10に登録されたドキュメントが、電子契約システム30で処理された場合にどのドキュメントであるかを容易に特定できる。
【0051】
なお、ユーザーはドキュメントの登録時に、Webページにおいて、ファイル名、ドキュメント種類、契約開始日、契約終了日等を編集できる。つまり、ユーザーはメタデータを登録できる。更に、メタデータ記憶部23にどのような属性を登録するかをユーザーが設定できる。つまり、ユーザーはメタデータの項目を登録できる。これにより、ユーザーは検索に使用するドキュメントの属性をメタデータとして登録しておくことができる。したがって、メタデータ記憶部23の項目は図示するものに限定されない。
【0052】
また、図6では、紐付け情報によりドキュメント管理システム10に登録されたドキュメントと電子契約システム30で処理された後のドキュメントが紐付けられているが、テーブルに直接、ドキュメント管理システム10に登録されたドキュメントに、電子契約システム30で処理された後のドキュメントが対応付けられていてもよい。
【0053】
図7は、ワークフロー情報記憶部24に記憶されるワークフロー情報の一例を示す。ワークフロー情報は、ワークフローにより処理される一連の処理の内容を定義する。以下、ワークフロー情報の各項目を説明する。
【0054】
・ワークフローIDはワークフローの識別情報である。一意性があればワークフローの名称が識別情報でもよい。
【0055】
・開始トリガは、ワークフロー制御部14が処理実行部15を生成する(すなわち、処理実行部15がワークフローを開始する)条件である。この開始トリガを満たすイベントが発生すると、処理実行部15が自動的にワークフローの実行を開始する。したがって、ユーザーは明示的にワークフローを指定して実行を開始する必要がない。図示する開始トリガは一例に過ぎず、開始トリガが定期実行のワークフロー、開始トリガが決まったファイル名の登録のワークフロー等があってもよい。
【0056】
・フロー1、フロー2は、処理実行部15がワークフローの中で行う一連の処理を順番に示す。フロー1が一番目の処理であり、フロー2が二番目の処理を示す。図7では処理の数が2つだが、処理の数はいくつでもよいし、ワークフローによって異なってよい。
【0057】
例えば、ワークフローID=1のワークフローでは、メタデータの変更を開始トリガに、Aさんの審査処理、Bさんの承認処理が行われることを表している。ワークフローID=2のワークフローでは、ドキュメントが保存されたことを開始トリガに、電子契約システム30にドキュメントを送信し、定期的に、電子契約システム30から締結済みファイル(処理された後のファイル)を取得する処理が行われることを表している。
【0058】
図8は、識別子情報記憶部25に記憶される識別子情報の一例を示す。識別子情報は処理実行部15がワークフローの実行により得た、ドキュメント管理システム10が付与したドキュメントID(電子契約システム30による処理前のドキュメントID)と、電子契約システム30が付与したドキュメントIDを対応付けたものである。図8の識別子情報は、メタデータの紐付け情報の設定のために一時的に生成される。図8の識別子情報はワークフローが終了すると自動的に破棄される(メモリが解放される)。以下、ワークフロー情報の各項目を説明する。
【0059】
・ワークフローIDは、ワークフロー情報記憶部24のものと同じである。識別子情報により、ワークフローIDとドキュメントが対応付けられている。
【0060】
・処理前のドキュメントIDは、ワークフローが開始される前のドキュメント管理システム10におけるドキュメントIDである。処理前のドキュメントIDは、ドキュメント管理システム10が付与する。
【0061】
・電子契約システム30上のドキュメントIDは、ワークフローが電子契約システム30にドキュメントを登録する際に、電子契約システム30から返却される電子契約システム30におけるドキュメントIDである。電子契約システム30上のドキュメントIDは、電子契約システム30が付与する。
【0062】
・処理後のドキュメントIDは、電子契約システム30が処理したドキュメントをドキュメント管理システム10が取得して付与するドキュメントIDである。処理後のドキュメントIDは、ドキュメント管理システム10が付与する。
【0063】
このように、識別子情報により、同じドキュメントに対し3つの異なるドキュメントIDが付与され、互いに対応付けられている。なお、図8のドキュメントIDは、ドキュメントがドキュメント管理システム10に登録された直後の状態を示すため、処理前のドキュメントID「A」のみが設定されている。
【0064】
<<電子契約システム>>
図4に戻って説明する。電子契約システム30は、通信部31、及び、電子署名部32を有する。電子契約システム30が有するこれらの機能は、図3に示したコンピュータ500のCPU501がHD504に保存されたプログラムを実行することで実現される機能又は手段である。
【0065】
通信部31は、主に端末装置50と各種の情報を送受信する。本実施形態では、通信部31は、ドキュメント管理システム10からドキュメントを受信し、電子契約システム30が処理した後のドキュメントとそのドキュメントIDをドキュメント管理システム10に送信する。
【0066】
電子署名部32は、契約に関する一連の処理や、契約が完了したことを証明する電子署名をドキュメントに付与したりする。電子署名はあくまで一例であって、電子契約システムは、タイムスタンプを付与したり、ドキュメントのノイズを除去したり、電子透かしを作成したりする。
【0067】
<<端末装置>>
端末装置50は、通信部51と、表示制御部52と、及び、操作受付部53を有する。これら各機能部は、端末装置50にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を図3に示したCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。なお、このプログラムはWebブラウザでもよいし、専用のアプリケーションでもよい。
【0068】
通信部51は、主にドキュメント管理システム10との間で各種の情報を送受信する。本実施形態では、通信部51は、各種の画面情報等をドキュメント管理システム10から受信し、ドキュメントやユーザーの入力内容をドキュメント管理システム10に送信する。
【0069】
表示制御部52は、各種の画面の画面情報を解釈してディスプレイ506に表示する。操作受付部53は、ディスプレイ506に表示された各種画面に対するユーザーの各種操作を受け付ける。
【0070】
<登録の処理の手順>
次に、図9を参照して、ドキュメント管理システム10がドキュメントにドキュメントIDを付与する手順を説明する。図9は、ドキュメント管理システム10がドキュメントに3つのドキュメントIDを付与し管理する手順を示すシーケンス図の一例である。
【0071】
S1:ドキュメント管理システム10が起動したり、ワークフロー情報記憶部24のワークフロー情報が更新されたりすると、ワークフロー制御部14が、ワークフロー情報記憶部24からワークフロー情報を取得する。管理者の操作でこの処理が行われてもよい。
【0072】
S2:ユーザーは端末装置50を操作して、ドキュメントの一例である契約書を作成する。ファイルの形式は問われないが、例えばPDFやWord(登録商標)等、汎用的な形式でも所定のアプリケーションの形式でもよい。なお、ドキュメントの作成をドキュメント管理システム10が支援してもよい。この場合、端末装置50は、ドキュメント管理システム10が提供するWebアプリを実行し、Webアプリの誘導にしたがって文字等を入力したり選択したりすると所望のドキュメントを作成できる。
【0073】
S3:次に、端末装置50は、画面生成部12が生成したドキュメント登録用のWebページを表示し、ユーザーがこのWebページから契約書を情報処理システム100に送信する。ユーザーは契約書を情報処理システム100に送信する操作を端末装置50に入力する。また、ユーザーは所望のメタデータの項目を設定し、値を入力する。端末装置50の操作受付部53が操作を受け付けて、通信部51が契約書とメタデータをドキュメント管理システム10に送信する。端末装置50がメタデータを送信することなく(又は、メタデータを送信した上で更に)、ドキュメント管理システム10側でメタデータを抽出してもよい。
【0074】
S4:ドキュメント管理システム10の通信部11が契約書とメタデータを受信し、画面生成部12はデータ管理部13に契約書とメタデータの保存を要求する。
【0075】
S5:データ管理部13は、ドキュメントID=「A」を付与し、契約書に対応付けてドキュメント情報記憶部22に保存する。図9では、データ管理部13は、戻り値としてドキュメントID=「A」を取得しているが、いずれの場合でもデータ管理部13がドキュメントID=「A」を取得できる。
【0076】
S6:データ管理部13は、メタデータのドキュメントIDに「A」を設定する。また、データ管理部13は、ドキュメントID=「A」に対応付けてメタデータをメタデータ記憶部23に保存する。
【0077】
S7:データ管理部13は、ドキュメントID=「A」を指定して、ワークフロー制御部14にドキュメント(契約書)が新たに保存されたことを通知する。ワークフローの開始トリガを満たすかどうかをワークフロー制御部14が判断するためである。
【0078】
S8:ワークフロー制御部14はワークフロー情報記憶部24の開始トリガを順番に参照し、開始トリガを満たしているか否かを判断する。説明のため、開始トリガを満たしているものとして説明する。なお、ドキュメントやイベントが複数のワークフローの開始トリガを満たす場合、ワークフロー制御部14は同時に処理実行部15を生成してもよいし、順番に処理実行部15を生成してもよい。以下では、ワークフローID=2の開始トリガを満たす場合を説明する。
【0079】
S9:開始トリガを満たしている場合、ワークフロー制御部14は、ドキュメントID=「A」の契約書を処理するための処理実行部15を生成する。処理実行部15は、識別子情報記憶部25に、ワークフローIDとドキュメントID=「A」を保存する。したがって、ワークフローとドキュメントID=「A」が対応付けられる(図8参照)。
【0080】
S10:処理実行部15は、ワークフロー情報の1つめの処理(フロー1)を実行するため、データ管理部13に、ドキュメントID=「A」の契約書の取得を要求する。
【0081】
S11:データ管理部13は、ドキュメントID=「A」の契約書をドキュメント情報記憶部22から取得する。
【0082】
S12:データ管理部13は、処理実行部15に契約書そのもの又は契約書の保存場所を通知する。
【0083】
S13:処理実行部15は、当該ワークフローに応じた処理を行うので、取得した契約書を電子契約システム30に送信する。処理実行部15は戻り値として、電子契約システム30が付与し、管理に使用するドキュメントID=「B」を取得する。処理実行部15は、ドキュメントID=「A」に対応付けて、識別子情報記憶部25にドキュメントID=「B」を保存する。電子契約システム30では、処理に時間を要するので、処理実行部15がいったん、ドキュメントID=「B」を取得することで、ドキュメントID=「B」を指定して処理された後の契約書を電子契約システム30から取得できる。
【0084】
図10は、ステップS13の処理後の識別子情報を示す。なお、図10の説明では主に図8との差異を説明する。図10では、電子契約システム30上のドキュメントIDに「B」が登録されている。このように、識別子情報記憶部25ではドキュメント管理システム10におけるドキュメントID=「A」と、電子契約システム30におけるドキュメントID=「B」とを対応付けることができる。
【0085】
S14:図9に戻って説明する。処理実行部15はワークフロー情報の2つめの処理(フロー2)を実行するため、処理実行部15は、定期実行のタイミングまで待機する。
【0086】
S15:定期実行のタイミングになると、処理実行部15は、ドキュメントID=「B」を指定して、電子契約システム30から処理された後の(契約の締結済み)の契約書を取得する。
【0087】
S16:処理実行部15は、データ管理部13に処理された後の契約書の保存を要求する。
【0088】
S17:データ管理部13は、ドキュメントID=「C」を付与し、処理された後の契約書に対応付けてドキュメント情報記憶部22に保存する。図9では、データ管理部13は、戻り値として、処理された後の契約書のドキュメントID=「C」を取得しているが、いずれの場合でもデータ管理部13がドキュメントID=「C」を取得できる。
【0089】
S18:保存が終了したので、データ管理部13は、処理実行部15にドキュメントID=「C」を通知する。処理実行部15は、ドキュメントID=「A」「B」に対応付けて、識別子情報記憶部25にドキュメントID=「C」を保存する。
【0090】
図11は、ステップS18の処理後の識別子情報を示す。なお、図11の説明では主に図10との差異を説明する。図11では、処理後のドキュメントIDに「C」が登録されている。このように、識別子情報記憶部25ではドキュメント管理システム10が付与したドキュメントID=「A」(電子契約システム30による処理前のドキュメントID=A)と、電子契約システム30が付与したドキュメントID=「B」と、電子契約システム30付与した処理後のドキュメントIDを対応付けることができる。
【0091】
S19:図10に戻って説明する。処理実行部15は3つのドキュメントID=「A」「B」「C」を得たので、データ管理部13に、ドキュメントID=「A」とドキュメントID=「C」のドキュメントの紐づけを要求する。処理実行部15は、更に、ドキュメントID=「B」の紐づけを要求してもよい。
【0092】
S20:データ管理部13は、紐付け情報を付与し、ドキュメントID=「A」と「C」の紐付け情報の項目に共通の紐付け情報を設定する。こうすることで、ドキュメント管理システム10は、電子契約システム30で処理される前の契約書と、電子契約システム30で処理された契約書を対応付けて保存できる。
【0093】
なお、紐付け情報で紐付けるのでなく、データ管理部13は2つのドキュメントを統合してもよい。統合とは、ドキュメントID=「A」のドキュメントとドキュメントID=「C」のドキュメントが1つになったファイルを作成することである。
【0094】
図12は、2つのドキュメントの統合例を示す図である。図12では説明の便宜上、ドキュメントID=「A」のドキュメントとドキュメントID=「C」のドキュメントがそれぞれ1ページであるとする。2つのドキュメント201、202が統合され、新たなドキュメント200が生成されている。ドキュメント200では、ドキュメントID=「A」のドキュメント201が1ページ目、ドキュメントID=「C」のドキュメント203が2ページ目となっている。
【0095】
統合して生成されたドキュメント200には新たにドキュメントIDが付与され、メタデータ記憶部23にメタデータが保存される。この場合のメタデータは統合前のドキュメント201のメタデータでよい。また、電子契約システム30による処理前と処理後のドキュメントが統合されているので、紐付け情報は不要になる。
【0096】
<検索の処理の手順>
次に、図13を参照して、ユーザーがドキュメントを検索する手順を説明する。図13は、ユーザーがドキュメントを検索する手順を示すシーケンス図の一例である。
【0097】
S31:ユーザーが端末装置50を操作して端末装置50を情報処理システム100に接続させる。情報処理システム100の画面生成部12はユーザー操作に応じて、検索画面を生成し、通信部11が端末装置50に検索画面の画面情報を送信する。検索画面の一例を図15に示す。
【0098】
S32:端末装置50の通信部51は検索画面の画面情報を受信し、表示制御部52は、画面生成部12が生成した検索画面を表示する。ユーザーは検索キーを入力して端末装置50に検索を指示する。検索キーはメタデータ記憶部23に記憶されているメタデータであればよい。したがって、ユーザーは予め検索に使用するメタデータを登録しておくことが有効になる。操作受付部53が操作を受け付けて、通信部51が検索キーを指定して検索要求をドキュメント管理システム10に送信する。
【0099】
S33:ドキュメント管理システム10の通信部11は検索要求を受信し、画面生成部12が検索要求をデータ管理部13に渡す。
【0100】
S34,35:データ管理部13は検索キーでメタデータ記憶部23を検索し、検索結果を取得する。検索結果は、検索キーに適合するドキュメントのリスト(メタデータのレコードの集合)である。データ管理部13は、検索キーに適合するドキュメントだけでなく、検索キーに適合するドキュメントに紐付け情報で紐付けられているドキュメントのリストも取得してもよい。
【0101】
S36:データ管理部13は検索結果を画面生成部12に渡す。
【0102】
S37:画面生成部12は、検索結果を使用して、ドキュメント一覧画面(第一の画面の一例)を生成する。ドキュメント管理システム10の通信部11はドキュメント一覧画面の画面情報(第一の画面情報の一例)を端末装置50に送信する。端末装置50の通信部51はドキュメント一覧画面の画面情報を受信し、表示制御部52は、画面生成部12が生成したドキュメント一覧画面を表示する。ドキュメント一覧画面の一例を図16に示す。
【0103】
S38:ユーザーはドキュメント一覧画面からドキュメントを選択して端末装置50にドキュメントの取得を指示する。操作受付部53が操作を受け付けて、通信部51がドキュメントIDを指定してドキュメント要求をドキュメント管理システム10に送信する。
【0104】
S39:ドキュメント管理システム10の通信部11はドキュメント要求を受信し、画面生成部12がドキュメント要求をデータ管理部13に渡す。
【0105】
S40,41:データ管理部13はドキュメントIDでドキュメント情報記憶部22を検索し、ドキュメントを取得する。また、データ管理部13は、ドキュメントIDで特定されたドキュメントに紐付け情報で紐付けられているドキュメントをメタデータ記憶部23で特定し、該ドキュメント(ファイル名のみでもよい)もドキュメント情報記憶部22から取得する。
【0106】
S42:データ管理部13はこれらのドキュメントを画面生成部12に渡す。
【0107】
S43:画面生成部12は、ドキュメントIDで特定されたドキュメントと、該ドキュメントに紐付け情報で紐付けられているドキュメントを表示するためのドキュメント表示画面を生成する。ドキュメント管理システム10の通信部11はドキュメント表示画面の画面情報を端末装置50に送信する。端末装置50の通信部51はドキュメント表示画面の画面情報を受信し、表示制御部52は、画面生成部12が生成したドキュメント表示画面を表示する。ドキュメント表示画面の一例を図17図18に示す。
【0108】
<<画面例>>
図14(a)は端末装置50が表示するドキュメント登録画面250の一例である。ドキュメント登録画面250は、ファイル名欄251、参照ボタン252、及び、保存ボタン253を有している。ユーザーは参照ボタン252を押下して、HD504等に保存したドキュメントを選択する。選択したドキュメントのファイル名がファイル名欄251に表示される。ユーザーが保存ボタン253を押下すると、端末装置50がファイル名欄251のドキュメントをドキュメント管理システム10に送信する。
【0109】
図14(b)は端末装置50が表示するメタデータ設定画面260の一例である。メタデータ設定画面260は、ドキュメント種類欄261、契約開始日欄262、及び、契約終了日欄263を有している。
【0110】
・ドキュメント種類欄261は、メタデータの一項目として、ドキュメント種類をユーザーが入力するための欄である。
【0111】
・契約開始日欄262は、メタデータの一項目として、契約開始日をユーザーが入力するための欄である。表示制御部52がカレンダーを表示して、操作受付部53が特定の日にちをユーザーから受け付けてよい。
【0112】
・契約終了日欄263は、メタデータの一項目として、契約終了日をユーザーが入力するための欄である。表示制御部52がカレンダーを表示して、操作受付部53が特定の日にち又は範囲をユーザーから受け付けてよい。
【0113】
ユーザーがメタデータを設定し確定ボタン264を押下することで、端末装置50がメタデータをドキュメント管理システム10に送信する。
【0114】
図15は、端末装置50が表示する検索画面210の一例を示す。検索画面210は、ドキュメント種類欄211、契約開始日欄212、契約終了日欄213、及び、検索ボタン214を有している。
【0115】
・ドキュメント種類欄211は、メタデータの項目のドキュメント種類を検索するための検索キーをユーザーが入力するための欄である。
【0116】
・契約開始日欄212は、メタデータの項目の契約開始日を検索するための検索キーをユーザーが入力するための欄である。表示制御部52がカレンダーを表示して、操作受付部53が特定の日にち又は範囲をユーザーから受け付けてよい。
【0117】
・契約終了日欄213は、メタデータの項目の契約終了日を検索するための検索キーをユーザーが入力するための欄である。表示制御部52がカレンダーを表示して、操作受付部53が特定の日にち又は範囲をユーザーから受け付けてよい。
【0118】
・検索ボタン214は、端末装置50が検索要求をドキュメント管理システム10に送信するためのボタンである。
【0119】
なお、図15は一例に過ぎず、ファイル名の入力欄やフリーキーワードの入力欄があってもよい。ドキュメントIDの入力欄があってもよい。検索ボタン214が押下されると、ドキュメント一覧画面220に遷移する。
【0120】
図16は、端末装置50が表示するドキュメント一覧画面220の一例を示す図である。ドキュメント一覧画面220は、検索に適合したドキュメントのファイル名221、ドキュメント種類222、契約開始日223、及び、契約終了日224の各項目を有している。すなわち、ドキュメント一覧画面220は、メタデータ記憶部23のメタデータの項目の少なくとも一部を、検索に適合したレコード(1行)ごとに表示する。ドキュメント一覧画面220はユーザーの操作を受付可能である。図16では、ドキュメント種類が全て「基本契約」となっているので、検索画面210でユーザーがドキュメント種類欄に「基本契約」という検索キーを入力したと考えられる。
【0121】
ユーザーは1つ以上のドキュメントを選択し、開くボタン225を押下する。これにより、選択されたドキュメントのファイル本体を端末装置50が表示できる。
【0122】
図17は、ドキュメント表示画面230の一例である。ドキュメント表示画面230は、ドキュメント情報欄231とプレビュー欄232を有している。ドキュメント情報欄231は、第一ドキュメント欄233と第二ドキュメント欄234を有する。第一ドキュメント欄233は、ユーザーがドキュメント一覧画面220で選択したドキュメントのファイル名を表示する。第二ドキュメント欄234は、第一ドキュメント欄233のドキュメントと紐付け情報で紐付けられているドキュメントのファイル名を表示する。
【0123】
また、プレビュー欄232は、ユーザーがドキュメント情報欄231で選択した第一ドキュメント欄233又は第二ドキュメント欄234のドキュメントのプレビューを表示する。ドキュメントが表示された直後、プレビュー欄232に表示されるプレビューは、例えばドキュメントの1ページ目でよい。ボタン操作でユーザーがページ送りやページ戻り可能であるとよい。
【0124】
なお、図17では、第二ドキュメント欄234に1つのファイル名しか表示されていないが、第二ドキュメント欄234に複数のファイル名が表示される場合もある。例えば、ワークフローにおいて、電子契約システム30とは別のシステムが同じドキュメントに対し、更に処理するような場合である。
【0125】
また、図17では、ユーザーがドキュメント一覧画面220で選択したドキュメントと、該ドキュメントに紐付け情報で紐付けられているドキュメントが表示されているが、いずれか一方のみが表示されてよい。
【0126】
図18は、ドキュメント表示画面240の別の表示例である。図18のドキュメント表示画面240は、戻るボタン241、次へボタン242、及び、プレビュー欄243を有している。プレビュー欄243には、ユーザーがドキュメント一覧画面220で選択したドキュメント、及び、該ドキュメントと紐付け情報で紐付けられているドキュメントのプレビューを表示する。ユーザーは戻るボタン241、次へボタン242を押下して各ドキュメントのページを選択し、ページの端まで行くと、別のドキュメントを表示させることができる。
【0127】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態の情報処理システム100では、ドキュメント管理システム10が3つのドキュメントID=「A」「B「C」を対応付けて管理できる。したがって、ユーザーが例えばドキュメントを検索し、当該ドキュメントID=「A」を特定できれば、ドキュメント管理システム10はドキュメントID=「C」で特定される処理された後のドキュメントも特定できる。また、情報処理システム100は、ドキュメントID=「B」で特定される契約済みドキュメントを電子契約システム30に要求することもできる。
【実施例0128】
本実施例では、ドキュメント管理システム10がドキュメントを管理するためのドキュメントIDと、外部サービスシステムがドキュメントを管理するためのドキュメントIDとを対応付けて管理する情報処理システム100について説明する。
【0129】
<動作の概略>
図19は、ドキュメント管理システム10が行う電子データの管理方法の概略を説明する図である。なお、図19の説明では主に図1との相違を説明する。本実施例のドキュメント管理システム10は、外部サービスシステム60が処理する前のドキュメントと外部サービスシステム60が処理した後のドキュメントを対応付けて管理する。対応付けには上記のように、2つのドキュメントIDが使用される。
【0130】
(1) ユーザーが端末装置50を操作してドキュメントを作成し、ドキュメント管理システム10にアップロードする。ドキュメント管理システム10はドキュメント(第一の電子データの一例)を保存し、ドキュメントID=「A」(第一の識別情報の一例)を付与して管理する。
【0131】
(2) ドキュメント管理システム10は外部サービスシステム60にドキュメントの処理を要求する。後述するようにこの処理は外部サービスシステム60により異なりどのような処理であってもよい。外部サービスシステム60はドキュメントに処理を行い、外部サービスシステム60が付与しドキュメントの管理に使用するドキュメントID=「B」(第二の識別情報の一例)をドキュメント管理システム10に送信する。外部サービスシステム60は処理したドキュメント(第二の電子データの一例)をドキュメントID=「B」と対応づけて保存する。
【0132】
(3) ドキュメント管理システム10は、ドキュメントID=「A」,「B」を対応付けて保存する。
【0133】
以上の処理で、ドキュメント管理システム10は、ドキュメント管理システム10がドキュメントを管理するためのドキュメントID=「A」と、外部サービスシステム60がドキュメントを管理するためのドキュメントID=「B」を対応付けて管理できる。したがって、ユーザーは、 ドキュメント管理システム10を利用するだけでドキュメント管理システム10におけるドキュメントと外部サービスシステム60におけるドキュメントを管理できる。
【0134】
<システム構成例>
次に、図20を参照して、情報処理システム100のシステム構成について説明する。図20は、情報処理システム100の一例のシステム構成図である。なお、図20の説明では主に図2との相違を説明する。図2に示すように、本実施例では実施例1の電子契約システム30が外部サービスシステム60に置き換わっている。
【0135】
外部サービスシステム60は一台以上の情報処理装置である。外部サービスシステム60は、ドキュメント管理システム10から受信したドキュメントに対して所定の処理を実行する。例えば、処理として、OCR(Optical Character Reader)処理、PDF変換処理、映像の加工処理等の画像処理、テキストデータの音声データへの変換や音声データの加工処理等の音声処理、ファイルの結合処理、又は、電子契約処理等があるが、これらに限定されない。
【0136】
外部サービスシステム60は、ドキュメント管理システム10と一体でもよい。外部サービスシステム60は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、単一の情報処理装置によって実現されてもよい。外部サービスシステム60は、インターネット上に存在しても、オンプレミスに存在してもよい。
【0137】
<機能について>
図21は、本実施例において、ドキュメント管理システム10、外部サービスシステム60、及び、端末装置50が有する機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。なお、図21の説明では主に図4との相違を説明する。まず、端末装置の機能は図4と同様でよい。
【0138】
<<ドキュメント管理システム>>
本実施例では、ドキュメント管理システム10がワークフローを実行することまでは要しないため、ワークフローの実行に関する機能を有さない。このため、ワークフロー制御部14、処理実行部15、及び、ワークフロー情報記憶部24がない。ただし、本実施例においてワークフローが実行されても支障がない。
【0139】
一方、データ管理部13は、ドキュメント情報記憶部22に記憶されているドキュメント情報及びメタデータ記憶部23に記憶されているメタデータを管理する。ドキュメント情報記憶部22とメタデータ記憶部23の構成は実施例1と同様でよい。
【0140】
本実施例では、ドキュメント管理システム10が、処理要求部26と識別情報管理部27を有している。処理要求部26は、端末装置50が送信したドキュメントの処理を外部サービスシステム60に要求し、外部サービスシステム60が付与し、管理に使用するドキュメントIDを取得する。
【0141】
識別情報管理部27は、端末装置50が送信するドキュメントを識別するドキュメントID(第一の識別情報)を付与し、ドキュメントIDと、外部サービスシステム60が送信したドキュメントID(第二の識別情報)を識別子情報記憶部25に、対応付けて保存し、管理する。
【0142】
図22は、本実施例において識別子情報記憶部25が記憶する識別子情報を模式的に示す図である。図22に示すように、識別子情報記憶部25は、ドキュメント管理システム10におけるドキュメントIDと外部サービスシステム60におけるドキュメントIDを対応付けて記憶する。なお、外部サービスシステム60においてドキュメントを管理するためのドキュメントIDは、外部サービスシステム60が実際に処理する前に付与したものでもよい。
【0143】
<<外部サービスシステム>>
図21に戻って説明する。外部サービスシステム60は、通信部61、処理制御部62、処理部63、保存制御部64、及び、処理後ドキュメント情報記憶部65を有している。外部サービスシステム60が有するこれらの機能は、図3に示したコンピュータ500のCPU501がHD504に保存されたプログラムを実行することで実現される機能又は手段である。
【0144】
通信部61は、ドキュメント管理システム10と各種のデータの送受信を行う。本実施例では、通信部61は、処理対象のドキュメントをドキュメント管理システム10から受信し、外部サービスシステム60が付与し、ドキュメントの管理に使用するドキュメントIDをドキュメント管理システム10に送信する。
【0145】
処理制御部62は、外部サービスシステム60において予め設定されている処理を実行する。この処理はどのような処理でもよいが、上記のように、OCR処理、PDF変換処理、画像処理、音声処理、ファイルの結合処理、又は、電子契約処理等が挙げられる。処理制御部62は、外部サービスシステム60が複数の処理を実行する場合に実行する順番を制御する場合もある。また、処理制御部62は、処理を行う対象のドキュメントに、外部サービスシステム60におけるドキュメントIDを付与する。
【0146】
処理部63は、実際に処理を行うモジュールであり、処理制御部62が処理部63を呼び出すことでドキュメントに対し各種の処理を実行する。処理部63は、例えば、OCR処理、PDF変換処理、画像処理、音声処理、ファイルの結合処理、又は、電子契約処理等の処理ごとに用意されていてもよい。
【0147】
保存制御部64は、処理部63が処理を行ったドキュメントに、処理制御部62が付与したドキュメントIDを対応付けて処理後ドキュメント情報記憶部65に保存する。また、保存制御部64は、ドキュメント管理システム10から外部サービスシステム60におけるドキュメントIDを指定して、処理済みのドキュメントの送信要求を受信すると、該ドキュメントを、通信部61を介してドキュメント管理システム10に送信する。
【0148】
図23は、処理後ドキュメント情報記憶部65に記憶される処理後ドキュメント情報を模式的に示す。処理後ドキュメント情報は、外部サービスシステム60が処理した後のドキュメントに関する情報である。
【0149】
・ドキュメントIDの項目は、外部サービスシステム60が付与したドキュメントのドキュメントIDである。
【0150】
・ファイル名の項目は、処理部63が処理したドキュメントのファイル名である。保存制御部64は、元のファイル名に、外部サービスシステム60におけるドキュメントIDを加えるなどして、ファイル名を作成する。
【0151】
・処理日の項目は、処理部63がドキュメントを処理した日時、又は、保存制御部64が処理後のドキュメントを保存した日時である。
【0152】
<ドキュメント管理システムのドキュメントIDと外部サービスシステムのドキュメントIDの保存>
次に、図24を参照して、ドキュメントIDの保存手順を説明する。図24は、ドキュメント管理システム10が、ドキュメント管理システム10がドキュメントを管理するドキュメントIDと外部サービスシステム60がドキュメントを管理するドキュメントIDを対応付けて保存する手順を説明するシーケンス図の一例である。
【0153】
S51:ユーザーは端末装置50を操作して、ドキュメントを作成する。ドキュメントは、実施例1のように契約書でもよいし、ワープロソフトやプレゼンテーションソフト等のアプリケーションが生成した単なるファイルでもよい。ドキュメントの作成をドキュメント管理システム10が支援してもよい。この場合、端末装置50は、ドキュメント管理システム10が提供するWebアプリを実行し、Webアプリの誘導にしたがって文字等を入力したり選択したりすると所望のドキュメントを作成できる。
【0154】
次に、端末装置50は、画面生成部12が生成したドキュメント登録用のWebページを表示し、ユーザーがこのWebページからドキュメントを情報処理システム100に送信する。ユーザーはドキュメントを情報処理システム100に送信する操作を端末装置50に入力する。また、ユーザーは所望のメタデータの項目を設定し、値を入力する。端末装置50の操作受付部53が操作を受け付けて、通信部51がドキュメントとメタデータをドキュメント管理システム10に送信する。端末装置50がメタデータを送信することなく(又は、メタデータを送信した上で更に)、ドキュメント管理システム10側でメタデータを抽出してもよい。
【0155】
S52:ドキュメント管理システム10の通信部11がドキュメントとメタデータを受信し、画面生成部12はデータ管理部13にドキュメントとメタデータの保存を要求する。
【0156】
S53:データ管理部13は、ドキュメントID=「A」を付与し、ドキュメントに対応付けてドキュメント情報記憶部22に保存する。図24では、データ管理部13は、戻り値としてドキュメントID=「A」を取得しているが、いずれの場合でもデータ管理部13がドキュメントID=「A」を取得できる。
【0157】
S54:データ管理部13は、メタデータのドキュメントIDに「A」を設定する。また、データ管理部13は、ドキュメントID=「A」に対応付けて、メタデータをメタデータ記憶部23に保存する。
【0158】
S55:データ管理部13は、ドキュメントの処理要求を処理要求部26に通知する。
【0159】
S56:処理要求部26は、通信部11を介して、ドキュメントの処理要求を外部サービスシステム60に送信する。外部サービスシステム60が複数の処理を可能な場合、処理要求部26は処理内容を指定する。データ管理部13は、ドキュメントID=「A」を外部サービスシステム60に送信しなくてもよいが、送信してもよい。送信した場合、外部サービスシステム60も、ドキュメント管理システム10のドキュメントIDと外部サービスシステム60のドキュメントIDを対応付けて保存できる。
【0160】
S57:外部サービスシステム60の通信部61はドキュメントの処理要求を受信すると、処理制御部62がドキュメントに対し外部サービスシステム60におけるドキュメントID=「B」を付与する。ドキュメントIDの付与は、処理部63がドキュメントに対し処理を実行した後でもよい。処理制御部62は、要求された処理を処理部63に要求する。処理部63はドキュメントに対し処理を実行し、保存制御部64が、ドキュメントID=「B」と対応付けて処理後ドキュメント情報記憶部65に処理後のドキュメントを保存する。
【0161】
S58:外部サービスシステム60の通信部61は、外部サービスシステム60がドキュメントを管理するためのドキュメントID=「B」をドキュメント管理システム10に送信する。ドキュメント管理システム10の処理要求部26は、通信部11を介して、ドキュメントID=「B」を受信する。
【0162】
なお、ステップS58では外部サービスシステム60が処理後にドキュメントIDをドキュメント管理システム10に返しているが、外部サービスシステム60は処理要求を受信した直後にドキュメントIDをドキュメント管理システム10に返してもよい。
【0163】
S59:ドキュメントID=「A」を識別子情報記憶部25に保存するため、データ管理部13はドキュメントID=「A」の保存を識別情報管理部27に要求する。
【0164】
S60:ドキュメントID=「B」を識別子情報記憶部25に保存するため、処理要求部26はドキュメントID=「B」の保存を識別情報管理部27に要求する。
【0165】
S61:識別情報管理部27は、ドキュメントID=「A」と「B」を識別子情報記憶部25に対応付けて保存する。
【0166】
<<検索の処理の手順>>
次に、図25を参照して、本実施例において、ユーザーがドキュメントを検索する手順を説明する。なお、図25の説明では主に図13との相違を説明する。まず、ステップS71~S79は図13と同様でよい。
【0167】
S80:データ管理部13は、ユーザーが選択したドキュメントID=「A」に対応付けられている、外部サービスシステム60におけるドキュメントID=「B」を識別子情報記憶部25から取得する。
【0168】
S81:次に、データ管理部13は、ドキュメントID=「B」を指定して外部サービスシステム60におけるファイル名を、処理要求部26に要求する。
【0169】
S82:処理要求部26は、要求に応じて、通信部11を介して、ドキュメントID=「B」が対応付けられたドキュメントのファイル名を外部サービスシステム60に要求する。
【0170】
S83:外部サービスシステム60の通信部61は要求を受信し、保存制御部64がドキュメントID=「B」が対応付けられたドキュメントのファイル名を処理後ドキュメント情報記憶部65から取得する。通信部61は、ドキュメントID=「B」のドキュメントのファイル名をドキュメント管理システム10に送信する。なお、保存制御部64は、ファイル名にドキュメントの保存先を示すURLやファイルパスなどの保存先を埋め込むとよい。なお、外部サービスシステム60がファイルそのものをドキュメント管理システム10に送信してもよい。
【0171】
S84:ドキュメント管理システム10の処理要求部26は、通信部11を介して、ドキュメントID=「B」のドキュメントのファイル名を受信する。処理要求部26は、データ管理部13にドキュメントID=「B」のドキュメントのファイル名を返す。
【0172】
S85:データ管理部13はドキュメントID=「B」のドキュメントのファイル名を画面生成部12に渡す。
【0173】
S86:画面生成部12は、ドキュメントID=「A」「B」のドキュメントのファイル名を表示するためのドキュメント表示画面(第二の画面情報の一例)を生成する。ドキュメント表示画面のファイル名にはドキュメントID=「A」「B」の保存先が埋め込まれている。外部サービスシステム60がファイルそのものをドキュメント管理システム10に送信した場合、ドキュメント表示画面にファイルそのものが添付されてよい。
【0174】
ドキュメント管理システム10の通信部11はドキュメント表示画面の画面情報を端末装置50に送信する。端末装置50の通信部51はドキュメント表示画面の画面情報を受信し、表示制御部52は、画面生成部12が生成したドキュメント表示画面を表示する。ドキュメント表示画面の一例を図26に示す。
【0175】
<<画面例>>
本実施例において、端末装置50が表示する画面例について説明する。まず、図14のドキュメント登録画面250、メタデータ設定画面260、図15の検索画面210、図16のドキュメント一覧画面220については実施例1と同様でよい。
【0176】
図26は、本実施例のドキュメント表示画面270の一例である。図26の説明では、主に図17との相違を説明する。図26では、第二ドキュメント欄234に、第一ドキュメント欄233のドキュメントと識別子情報記憶部25においてドキュメントIDが対応付けられている、外部サービスシステム60が管理するドキュメントのファイル名「文書_A_B」を表示する。このように、ユーザーは、ドキュメント管理システム10に登録した文書を選択することで、外部サービスシステム60が管理するドキュメントのファイル名を特定できる。ファイル名「文書_A_B」にはファイル名とは別にドキュメントIDが添付されている。
【0177】
この外部サービスシステム60が管理するドキュメントのファイル名にはURLやファイルパスなどの保存先がリンクとして埋め込まれている場合がある。リンクは、外部サービスシステム60がドキュメントのファイル名をドキュメント管理システム10に送信する際に埋め込んでおく。これにより、ユーザーはマウス等のポインティングデバイスでドキュメントのファイル名を押下することで、外部サービスシステム60が処理したドキュメントを端末装置50に表示できる。
【0178】
<主な効果>
本実施例のドキュメント管理システム10は、ドキュメント管理システム10がドキュメントを管理するためのドキュメントID=「A」と、外部サービスシステムがドキュメントを管理するためのドキュメントID=「B」を対応付けて管理できる。したがって、ユーザーは、ドキュメント管理システム10を利用するだけでドキュメント管理システム10におけるドキュメントと外部サービスシステム60におけるドキュメントを管理できる。
【0179】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0180】
例えば、本実施形態では、ワークフローの実行過程でドキュメント管理システム10と電子契約システム30とが連携し、2つのドキュメントIDが紐付けられているが、ドキュメント管理システム10がワークフローを実行しなくてもよい。例えば、ユーザーがドキュメント管理システム10と電子契約システム30に対する処理を順番に指示してもよい。
【0181】
また、ドキュメント管理システム10が送信したドキュメントが1つでも、電子契約システム30が処理することで複数のドキュメントが生成されてよい。この場合、電子契約システム30が生成した各ドキュメントにドキュメントIDが付与される。
【0182】
また、ワークフローが実行される場合、ワークフローには、ドキュメントのOCR→クラウドストレージへの保存を行うもの、メールやFAXの受信→クラウドストレージへの保存を行うもの等、種々のワークフローが存在する。ワークフローは、各処理をユーザーが設定することで生成できる。
【0183】
また、本実施形態では、電子契約システム30、タイムスタンプシステム、ノイズ除去システム、電子透かしシステムを挙げたが、クラウドストレージ、OCR、翻訳、音声認識など、種々のシステムがある。
【0184】
また、図4図21などの構成例は、ドキュメント管理システム10、電子契約システム30、及び、端末装置50による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。ドキュメント管理システム10、電子契約システム30、及び、端末装置50の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0185】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、ドキュメント管理システム10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0186】
更に、ドキュメント管理システム10は、本実施形態で開示された処理ステップ、例えば図9図13図24図25等を様々な組み合わせで共有するように構成できる。ドキュメント管理システム10は、1つのサーバー装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0187】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0188】
本出願は、2021年9月28日に日本国特許庁に出願した特願2021-158290号に基づく優先権を主張するものであり、特願2021-158290号の全内容を本出願に援用する。
【符号の説明】
【0189】
10 ドキュメント管理システム
30 電子契約システム
50 端末装置
60 外部サービスシステム
100 情報処理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0190】
【特許文献1】特開2008‐259211号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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