IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 雪印メグミルク株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049347
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】チーズ類およびチーズ類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 19/08 20060101AFI20230403BHJP
   A23C 19/082 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A23C19/08
A23C19/082
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159031
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】村井 寛子
(72)【発明者】
【氏名】寺内 知子
【テーマコード(参考)】
4B001
【Fターム(参考)】
4B001AC03
4B001BC02
4B001BC07
4B001BC13
4B001EC99
(57)【要約】
【課題】高温時の糸引きの幅が大きく、耐熱性も良好なチーズ類を提供する。
【解決手段】チーズ類は、デンプンを4.5重量%以上、原料チーズを2.5~35重量%、前記デンプンの少なくとも一部としてアセチル化タピオカデンプンを全体で3.0~20重量%含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプンを4.5重量%以上、原料チーズを2.5~35重量%、前記デンプンの少なくとも一部としてアセチル化タピオカデンプンを全体で3.0~20重量%含有する、チーズ類。
【請求項2】
前記アセチル化タピオカデンプンが酢酸タピオカデンプンである、請求項1に記載のチーズ類。
【請求項3】
デンプンを10~30重量%含有する、請求項1または請求項2に記載のチーズ類。
【請求項4】
デンプンを4.5重量%以上、原料チーズを2.5~35重量%、前記デンプンの少なくとも一部としてアセチル化タピオカデンプンを全体で3.0~20重量%含有する、チーズ類の製造方法であって、
アセチル化タピオカデンプンを含むデンプンおよび原料チーズを配合する工程と、
前記工程で配合された原材料を混合し、pH及び水分を調整する工程と、
前記工程でpH及び水分が調整された原材料を加熱乳化する工程と、
前記工程で加熱乳化された原材料を冷却する工程と、
を有するチーズ類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チーズ類およびチーズ類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、加熱時のみではなく低温時においても良好な糸引き性を有するチーズ類、およびその製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-113125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高温域で提供される食材(中華まん、コロッケ等の総菜)の材料として使用されるチーズ類は、喫食時の温度帯で糸引き性のあるものが好まれる。従来も高温域で糸引き性を有するチーズ類は報告されていたが、これらは糸引きの幅が小さいものや、食材が提供されるまでの長時間高温で保持された場合に、糸引き性が低下するものであった。
本発明は、高温時の糸引きの幅が大きく、耐熱性も良好なチーズ類およびチーズ類の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することができる本発明のチーズ類は、デンプンを4.5重量%以上、原料チーズを2.5~35重量%、前記デンプンの少なくとも一部としてアセチル化タピオカデンプンを全体で3.0~20重量%含有する。
【0006】
上記課題を解決することができる本発明のチーズ類の製造方法は、
デンプンを4.5重量%以上、原料チーズを2.5~35重量%、前記デンプンの少なくとも一部としてアセチル化タピオカデンプンを全体で3.0~20重量%含有する、チーズ類の製造方法であって、
アセチル化タピオカデンプンを含むデンプンおよび原料チーズを配合する工程と、
前記工程で配合された原材料を混合し、pH及び水分を調整する工程と、
前記工程でpH及び水分が調整された原材料を加熱乳化する工程と、
前記工程で加熱乳化された原材料を冷却する工程と、
を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高温時の糸引きの幅が大きく、耐熱性も良好なチーズ類およびチーズ類の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係るチーズ類を説明する。実施形態に係るチーズ類は、プロセスチーズやチーズフード等、「乳および乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和26年12月27日厚生省令第52号)、公正競争規約の成分規格において規定されたものの他、乳主原等の当該技術分野における通常の意味を有する範囲のものを全て包含するものとする。本実施形態に係るチーズ類は、デンプンを4.5重量%以上、原料チーズを2.5~35重量%、前記デンプンの少なくとも一部としてアセチル化タピオカデンプンを全体で3.0~20重量%含有する。上記構成を備えるチーズ類は、加熱して伸ばした時に幅広に伸びることができ、かつ良好な耐熱性を備える。
【0009】
実施形態における原料チーズは特に限定されないが、クリームチーズ、ゴーダチーズ、モザレラチーズ、チェダーチーズ等のナチュラルチーズの他、プロセスチーズやチーズフード等を挙げることができる。これらを単独又は複数種組み合わせて使用することができるし、最終的に得られるチーズ類に必要な風味に合わせて、配合比を決定することができる。ただし、十分な糸引き性を付与する観点から、本実施形態におけるチーズ類は原料チーズを2.5~35重量%含む。原料チーズの含有量の下限は3.0、5.0、8.0重量%でもよく、上限は33、30、25、20、17、14重量%でもよい。
【0010】
実施形態におけるデンプンとしては、食品用途に用いられる広範なものを採用してもよい。例えば本実施形態において採用されるデンプンとしては、トウモロコシ由来デンプン(コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等)、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプンが挙げられる。また、本実施形態におけるデンプンは加工または未加工のデンプンも含みうる。加工としては、エーテル化処理、エステル化処理、酸化処理、架橋処理等が挙げられる。本実施形態におけるチーズ類は、デンプンを4.5重量%以上含むことで、加熱して伸ばした時に幅広に伸びることができる。また、本実施形態におけるチーズ類はデンプンを30重量%以下で含むと好ましい。デンプンの含有量の下限は6、10、15重量%でもよく、上限は25、20重量%でもよい。
【0011】
実施形態におけるアセチル化タピオカデンプンは、アセチル化による加工が施されたタピオカデンプンである。アセチル化タピオカデンプンには、アセチル化の加工のみが施された酢酸タピオカデンプンおよびアセチル化以外の加工がさらに施されたタピオカデンプンが含まれてもよい。アセチル化以外の加工としては、エーテル化処理、エステル化処理、酸化処理、架橋処理等が挙げられる。アセチル化タピオカデンプンは、酢酸タピオカデンプンおよびアセチル化リン酸架橋タピオカデンプンからなる群から選択される少なくとも1種であると好ましく、酢酸タピオカデンプンであるとさらに好ましい。本実施形態におけるアセチル化タピオカデンプンは、チーズ類の全重量に対して3.0~20重量%で含有される。チーズ類に含まれるアセチル化タピオカデンプンが3.0~20重量%であることで、チーズ類は加熱して伸ばした時に幅広に伸びることができ、かつ良好な耐熱性を備える。アセチル化タピオカデンプンの含有量の下限は4.5、5.0、6.0、7.0重量%でもよく、上限は17、14重量%でもよい。
【0012】
実施形態に係るチーズ類は、アセチル化タピオカデンプン以外のタピオカデンプンやコーンスターチをさらに含んでもよく、ヒドロキシプロピル化タピオカデンプンやヒドロキシプロピル化リン酸架橋コーンスターチ等を含んでもよい。アセチル化タピオカデンプン以外のデンプンの含有量は特に限定されないが、例えば下限を1、2、3重量%、上限を20、15、10重量%としてもよい。
【0013】
実施形態に係るチーズ類に使用できるその他の副原料は、特に限定されず、チーズ類の製造に使用するものであればいずれの原料を配合することができる。その他の副原料としては、例えば、溶融塩、チーズ類に使用できる溶融塩以外の乳化剤、安定剤(増粘多糖類、セルロース等)、pH調整剤、香料等の食品添加物のほか、乳タンパク質源としての乳素材、ゼラチン、寒天等の食品、動物油脂、植物油脂、風味付け等に使用するシーズニング等を例示することができる。例えば実施形態に係るチーズ類は、大豆油脂を3~35重量%含有してもよい。
【0014】
本実施形態におけるチーズ類のpHは4.5~6.5でもよく、5.0~6.0であると好ましい。また、本実施形態のチーズ類の水分は50~65%でもよく、55~60%であると好ましい。
【0015】
実施形態に係るチーズ類は、以下の糸引き試験の7.0cm引き伸ばし評価において、B評価以上であると好ましく、A評価であるとより好ましく、AA評価であると特に好ましい。また、以下の糸引き試験の10cm引き伸ばし評価において、C評価以上であると好ましく、B評価以上であるとより好ましく、A評価であると特に好ましい。
[糸引き試験]
60℃に加熱したチーズ類50gをカップに採取する。幅2.3cm、奥行き3cmのスプーン状の器具を使用し、毎秒2.5cmの速度でチーズ類を引き上げ、所定の高さまで引き上げた際のチーズ類の糸引きの幅を測定し、以下の評価基準に沿ってチーズ類の糸引き性を評価する。
(評価基準)
(1)7.0cm引き伸ばし評価
AA:高さ7.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が3.0cm以上であるもの。
A:高さ7.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が2.5cm以上3.0cm未満であるもの。
B:高さ7.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が2.0cm以上2.5cm未満であるもの。
C:高さ7.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が1.5cm以上2.0cm未満であるもの。
D:高さ7.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が1.5cm未満であるもの。
(2)10.0cm引き伸ばし評価
A:高さ10.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が2.5cm以上であるもの。
B:高さ10.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が2.0cm以上2.5cm未満であるもの。
C:高さ10.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が1.5cm以上2.0cm未満であるもの。
D:高さ10.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が1.5cm未満であるもの。
【0016】
実施形態に係るチーズ類は、以下の耐熱試験を行った場合の耐熱性の指標が50%以上であると好ましく、60%以上であるとより好ましい。
[耐熱試験]
サンプルリング(内径25mm、高さ15mm)に、チーズ類の内部に空洞ができないようにチーズ類を充填する。続いてサンプルリングに充填されたチーズ類を冷凍庫(-18℃)に入れ保形されるまで冷却し、その後サンプルリングからチーズ類を押し抜く。保形されたチーズ類を、水の入ったビーカーと共にシャーレに入れ、シャーレに蓋をして、150℃のオーブンにて8分間加熱する。加熱前後でのチーズ類の高さによって以下の式より耐熱性の指標を算出して評価する。
耐熱性(%)=[加熱後のチーズ類の高さ(mm)/加熱前のチーズ類の高さ(mm)]×100
【0017】
実施形態のチーズ類の製造方法について以下に説明する。実施形態のチーズ類の製造方法は、アセチル化タピオカデンプンを含むデンプンおよび原料チーズを配合する工程と、前記工程で配合された原材料を混合し、pH及び水分を調整する工程と、前記工程でpH及び水分が調整された原材料を加熱乳化する工程と、前記工程で加熱乳化された原材料を冷却する工程と、を有する。
【0018】
原材料を配合する工程では、上述したアセチル化タピオカデンプンを含むデンプンおよび原料チーズを配合してもよい。その後前記配合した原材料を混合し、pHを4.5~6.5、水分を50~65重量%に調整してもよい。デンプンの添加は単独でも他の副原料と混合後に添加してもよい。その後、pHおよび水分を調整した原材料を加熱乳化、冷却してチーズ類を製造してもよい。
【0019】
pHは、例えば、クエン酸、乳酸、重炭酸ナトリウム等のチーズ類のpH調整に用いる一般的なpH調整剤を用いて、調整できる。水分は、各原材料に含まれる水分量や加熱乳化時に増える水分量から原材料に添加する加水量を算出して加水することにより、調整できる。
【0020】
加熱乳化する工程において、加熱乳化に用いる乳化機としては、特に限定はなく、高速せん断型乳化機、ケトル型乳化機、縦型高速せん断式乳化機等のチーズの製造に使用される乳化機を用いることができる。乳化温度や撹拌速度等は一般的なチーズ類を製造する条件の範囲で製造することができるため特に限定されるものではないが、撹拌速度は500~2,000rpmが好ましく、1,200~1,800rpmがより好ましい。冷却する工程では、加熱乳化された乳化物を目的に応じた型に充填し、冷却する。冷却温度やスピードについては特に限定はないが、通常のチーズと同様に、速やかに10℃以下まで冷却保存することが望ましい。
【0021】
実施形態に係るチーズ類は、家庭用、業務用を問わず製品化でき、ピザ、ハンバーグ、中華まん、コロッケ等の総菜、フォンダンショコラやクッキーといった焼き菓子、蒸し饅頭、包餡するパンやトッピングするパンおよびパイ等のチーズとしての用途が例示できる。特に、高温時の糸引きの幅が大きく、耐熱性も良好であることから、ピザ、ハンバーグ、中華まん、コロッケ等の総菜等の、高温域で提供される食品の用途として好ましい。
【実施例0022】
以下の実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0023】
(チーズ類の製造)
表1および表2に示す組成のチーズ類(ID:1~ID:17)を製造した。チーズ類の製造に用いた各原料は以下の通りである。
・酢酸タピオカデンプン:グリコ栄養食品(株)製
・アセチル化リン酸架橋タピオカデンプン:グリコ栄養食品(株)製
・ヒドロキシプロピル化タピオカデンプン:松谷化学工業(株)製
・ヒドロキシプロピル化リン酸架橋コーンスターチ:松谷化学工業(株)製
・原料チーズ:ゴーダチーズ
・大豆油脂:大豆白絞油
・溶融塩:リン酸Na製剤またはクエン酸Na製剤
・pH調整剤:クエン酸
【0024】
原料チーズを粉砕し、大豆油脂およびデンプンと混合した。そして、pH調整剤を加えて、最終水分含量を調整するために水を添加した。さらに溶融塩を添加し、高せん断タイプのステファン型式乳化釜を用い、1500rpmで85℃まで加熱溶融した。85℃に到達後、そのままの回転数で30秒間撹拌保持した。加熱乳化したチーズ類を充填し、10℃以下まで冷却した。冷却後、以下の手順に従って、糸引き性、耐熱性の評価を実施した。
【0025】
[糸引き試験]
60℃に加熱したチーズ類50gをカップに採取した。幅2.3cm、奥行き3cmのスプーン状の器具を使用し、毎秒2.5cmの速度でチーズ類を引き上げ、所定の高さまで引き上げた際のチーズ類の糸引きの幅を測定し、以下の評価基準に沿ってチーズ類の糸引き性を評価した。7.0cm引き伸ばし評価においてB評価以上のものは高温時において糸引きの幅が大きく、良好な糸引き性を有すると評価した。また、7.0cm引き伸ばし評価においてA評価以上のものはさらに良好な糸引き性を有し、AA評価のものは特に良好な糸引き性を有すると評価した。また、10.0cm引き伸ばし評価において、C評価以上であるとより良好な糸引き性を有し、B評価以上であるとさらに良好な糸引き性を有し、A評価であると特に良好な糸引き性を有すると評価した。
(評価基準)
(1)7.0cm引き伸ばし評価
AA:高さ7.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が3.0cm以上であるもの。
A:高さ7.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が2.5cm以上3.0cm未満であるもの。
B:高さ7.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が2.0cm以上2.5cm未満であるもの。
C:高さ7.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が1.5cm以上2.0cm未満であるもの。
D:高さ7.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が1.5cm未満であるもの。
(2)10.0cm引き伸ばし評価
A:高さ10.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が2.5cm以上であるもの。
B:高さ10.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が2.0cm以上2.5cm未満であるもの。
C:高さ10.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が1.5cm以上2.0cm未満であるもの。
D:高さ10.0cmに引き伸ばした際のチーズ類の幅が1.5cm未満であるもの。
【0026】
[耐熱試験]
サンプルリング(内径25mm、高さ15mm)に、チーズ類の内部に空洞ができないようにチーズ類を充填した。続いてサンプルリングに充填されたチーズ類を冷凍庫(-18℃)に入れ保形されるまで冷却し、その後サンプルリングからチーズ類を押し抜いた。保形されたチーズ類を、水の入ったビーカーと共にシャーレに入れ、シャーレに蓋をして、150℃のオーブンにて8分間加熱した。加熱前後でのチーズ類の高さによって以下の式より耐熱性の指標を算出して評価した。
耐熱性(%)=[加熱後のチーズ類の高さ(mm)/加熱前のチーズ類の高さ(mm)]×100
耐熱(保形)性が50%以上のものは良好な耐熱性を有している。また、60%以上の耐熱性を示したチーズ類は、より好ましい耐熱性を発現したものである。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
表1および表2に示す結果より、デンプンを4.5重量%以上、原料チーズを2.5~35重量%、前記デンプンの少なくとも一部としてアセチル化タピオカデンプンを全体で3.0~20重量%含有するチーズ類は、加熱して伸ばした時に幅広に伸びることができ、かつ良好な耐熱性を備えることが確認された。また、チーズ類が酢酸タピオカデンプンを含む場合に、加熱して伸ばした時により良好に幅広に伸びることが確認された。また、チーズ類がデンプンを10~30重量%含有する場合に、加熱して伸ばした時に特に良好に幅広に伸び、かつ耐熱性がさらに良好となることが確認された。
【0030】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
【0031】
以下、上述した実施形態、実施例およびその変形から抽出される態様を列記する。
[項目1]
デンプンを4.5重量%以上、原料チーズを2.5~35重量%、前記デンプンの少なくとも一部としてアセチル化タピオカデンプンを全体で3.0~20重量%含有する、チーズ類。
[項目2]
前記アセチル化タピオカデンプンが酢酸タピオカデンプンである、項目1に記載のチーズ類。
[項目3]
デンプンを10~30重量%含有する、項目1または項目2に記載のチーズ類。
[項目4]
デンプンを4.5重量%以上、原料チーズを2.5~35重量%、前記デンプンの少なくとも一部としてアセチル化タピオカデンプンを全体で3.0~20重量%含有する、チーズ類の製造方法であって、
アセチル化タピオカデンプンを含むデンプンおよび原料チーズを配合する工程と、
前記工程で配合された原材料を混合し、pH及び水分を調整する工程と、
前記工程でpH及び水分が調整された原材料を加熱乳化する工程と、
前記工程で加熱乳化された原材料を冷却する工程と、
を有するチーズ類の製造方法。