IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特開2023-49451情報処理システム、システム、データ処理方法、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023049451
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】情報処理システム、システム、データ処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20230403BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20230403BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159190
(22)【出願日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田口 大悟
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
5L049BB67
(57)【要約】
【課題】第二のシステムからの応答に応じて、第一のシステムが電子データに関する処理を実行する情報処理システムを提供すること。
【解決手段】本発明は、端末装置50及び第二のシステム30とネットワークを介して通信可能な第一のシステム10を有する情報処理システム100であって、前記第一のシステムは、前記端末装置から電子データを受信する通信部と、前記通信部が受信した前記電子データに対する処理を第二のシステムに要求する処理実行部と、前記端末装置から受信した処理の変更要求に対する、前記第二のシステムからの応答に応じて、前記電子データに関する処理を実行するデータ管理部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置及び第二のシステムとネットワークを介して通信可能な第一のシステムを有する情報処理システムであって、
前記第一のシステムは、
前記端末装置から電子データを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記電子データに対する処理を前記第二のシステムに要求する処理実行部と、
前記端末装置から受信した処理の変更要求に対する、前記第二のシステムからの応答に応じて、前記電子データに関する処理を実行するデータ管理部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記応答は、前記第二のシステムにおける前記電子データの状態に基づいて決定され、
前記データ管理部は、前記第二のシステムにおける前記電子データの状態に応じて、前記電子データに関する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記データ管理部は、前記第二のシステムにおける前記電子データの状態と同じ状態に、前記電子データの状態を変更することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記処理の変更要求は、前記第二のシステムにおける前記電子データの処理の取り下げであり、
前記第二のシステムにおける前記電子データの状態が、前記第二のシステムによる処理が終了した状態である場合、
前記データ管理部は、前記第一のシステムにおける前記電子データの状態を、前記第二のシステムで前記電子データの処理が進んでいる旨の「有効」に設定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記処理の変更要求は、前記第二のシステムにおける前記電子データの処理の取り下げであり、
前記第二のシステムにおける前記電子データの状態が、前記第二のシステムによる処理が開始する前の状態である場合、
前記データ管理部は、前記第一のシステムにおける前記電子データを削除することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記処理の変更要求は、前記第二のシステムにおける前記電子データの処理の取り下げであり、
前記第二のシステムにおける前記電子データの状態が、前記第二のシステムによる処理が開始し、終了する前の状態である場合、
前記データ管理部は、前記第一のシステムにおける前記電子データの状態を、処理が取り下げられた旨の「却下」に設定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記処理の変更要求は、前記第二のシステムにおける前記電子データの処理の取り下げであり、
前記応答が、前記第二のシステムにおける前記電子データの処理の取り下げが不可である旨の場合、
前記第一のシステムにおける前記電子データの状態を「有効」に設定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記処理の変更要求は、前記第二のシステムにおける前記電子データの処理の取り下げであり、
前記応答が、前記電子データを削除する旨である場合、
前記データ管理部は、前記第一のシステムにおける前記電子データを削除することを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記処理の変更要求は、前記第二のシステムにおける前記電子データの処理の取り下げであり、
前記応答が、前記電子データに対する処理が取り下げられた旨の「取り下げ済」である場合、
前記データ管理部は、前記第一のシステムにおける前記電子データの状態を、処理が取り下げられた旨の「却下」に設定することを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第二のシステムは、前記処理の変更要求を受信した場合、前記第二のシステムにおける前記電子データの状態に応じて、前記電子データに関する処理を実行することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記第一のシステムは、
端末装置から前記電子データの一覧を要求された場合、前記第一のシステムにおける前記電子データの状態により前記電子データを区別した態様の画面を作成し、
前記端末装置は、前記電子データの状態に基づいて前記電子データを区別して前記電子データの一覧を表示することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記第一のシステムは、一連の処理を順番に実行するワークフローを実行するものであり、
前記ワークフローを開始する条件を満たしたか否かを判断するワークフロー制御部を有し、
前記通信部が端末装置から前記処理の変更要求を受信した場合、前記ワークフロー制御部が前記ワークフローを実行すると判断し、
前記処理実行部は、前記ワークフローとして、前記処理の変更要求を前記第二のシステムに送信し、
前記第二のシステムからの応答に応じて、前記電子データに関する処理を実行することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
端末装置及び第二のシステムとネットワークを介して通信可能なシステムであって、
前記端末装置から電子データを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記電子データに対する処理を第二のシステムに要求する処理実行部と、
前記端末装置から受信した処理の変更要求に対する、前記第二のシステムからの応答に応じて、前記電子データに関する処理を実行するデータ管理部と、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項14】
端末装置及び第二のシステムとネットワークを介して通信可能なシステムが行うデータ処理方法であって、
通信部が、前記端末装置から電子データを受信するステップと、
処理実行部が、前記通信部が受信した前記電子データに対する処理を第二のシステムに要求するステップと、
データ管理部が、前記端末装置から受信した処理の変更要求に対する、前記第二のシステムからの応答に応じて、前記電子データに関する処理を実行するステップと、
を有することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項15】
端末装置及び第二のシステムとネットワークを介して通信可能な情報処理装置を、
前記端末装置から電子データを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記電子データに対する処理を第二のシステムに要求する処理実行部と、
前記端末装置から受信した処理の変更要求に対する、前記第二のシステムからの応答に応じて、前記電子データに関する処理を実行するデータ管理部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、システム、データ処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子データに識別情報を付与して管理する電子データの管理方法が知られている。また、電子データを管理する第一のシステムが該電子データを第二のシステムに送信して処理させる処理方法も知られている。
【0003】
識別情報に基づいて、電子文書をサーバーに登録する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、画像形成装置が、読取文書データの識別情報を取得し、識別情報に対応する情報により、読取文書データの適切性を判断し、適正である場合、サーバーが、読取文書データに対応する電子文書を承認済として登録するシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、第二のシステムからの応答に応じて、第一のシステムが電子データに関する処理を実行していないという問題がある。例えば、第二のシステムが電子データに行う処理の変更要求をユーザーから第一のシステムが受け付けた場合、第二のシステムにおける電子データの状態によって、第一のシステムが行うべき適切な処理が異なる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、第二のシステムからの応答に応じて、第一のシステムが電子データに関する処理を実行する情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、端末装置及び第二のシステムとネットワークを介して通信可能な第一のシステムを有する情報処理システムであって、
前記第一のシステムは、前記端末装置から電子データを受信する通信部と、前記通信部が受信した前記電子データに対する処理を第二のシステムに要求する処理実行部と、前記端末装置から受信した処理の変更要求に対する、前記第二のシステムからの応答に応じて、前記電子データに関する処理を実行するデータ管理部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第二のシステムからの応答に応じて、第一のシステムが電子データに関する処理を実行する情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ドキュメント管理システムが行う電子データの管理方法の概略を説明する図である。
図2】情報処理システムの一例のシステム構成図である。
図3】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図4】ドキュメント管理システム、電子契約システム、及び、端末装置が有する機能をブロックに分けて説明する一例の機能ブロック図である。
図5】ドキュメント情報記憶部に記憶される一例のドキュメント情報を示す図である。
図6】メタデータ記憶部に記憶される一例のメタデータを示す図である。
図7】ワークフロー情報記憶部に記憶される一例のワークフロー情報を示す図である。
図8】電子契約システムのドキュメント情報記憶部に記憶される一例のドキュメント情報を示す図である。
図9】電子契約システムのステータス情報記憶部に記憶される一例のステータス情報を示す図である。
図10】ステータス変更対応情報記憶部に記憶される一例のステータス変更対応情報を示す図である。
図11A】ドキュメント管理システムがステータスの変更を電子契約システムに反映する手順を示す一例のシーケンス図である。
図11B】ドキュメント管理システムがステータスの変更を電子契約システムに反映する手順を示す一例のシーケンス図である。
図12】ステップS6の処理後のメタデータの一例を示す図である。
図13】ステップS17の処理後のメタデータの一例を示す図である。
図14】ステップS20の処理後のメタデータの一例を示す図である。
図15】端末装置が表示するドキュメント登録画面、メタデータ設定画面の一例を示す図である。
図16】端末装置が表示する一例の検索画面を示す図である。
図17】端末装置が表示する一例のドキュメント表示画面を示す図である。
図18】端末装置が表示する一例のステータス設定画面を示す図である。
図19】ドキュメント管理システムが取り下げ結果に応じて行う一例の処理の一覧を示す図である。
図20】ドキュメント管理システムが電子契約システムからの応答(取り下げ結果)に応じて行うドキュメント又はステータスに対する処理を説明する一例のフローチャート図である。
図21】端末装置が表示するステータス別の一例のドキュメント表示画面を示す図である。
図22】取り下げ要求に対する電子契約システムの処理を説明する一例のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、情報処理システムと情報処理システムが行うデータ処理方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<動作の概略>
図1は、ドキュメント管理システム10が行う電子データの管理方法の概略を説明する図である。ドキュメント管理システム10は種々のドキュメントを保存したり、処理したりする。また、ドキュメント管理システム10はドキュメントに対し一連の処理(ワークフロー)を実行したり、その際に電子契約システム30に処理の一部を依頼したりする場合がある。電子契約システム30は取引先との契約のやり取りや電子署名の付与を行う。このようなシステム構成において、本実施形態のドキュメント管理システム10は、電子契約システム30で処理する前のドキュメントと電子契約システム30で処理した後のドキュメントを対応付けて管理している。この対応付けを利用して、ユーザーは電子契約システム30によるドキュメントに対する処理の取り下げなどを、ドキュメント管理システム10に要求する。ドキュメント管理システム10は電子契約システム30からの応答に応じてドキュメントに関する処理を実行する。この概略を説明する。
【0011】
(1) ユーザーが端末装置50を操作してドキュメントの一例として契約書を作成し、端末装置50から契約書をドキュメント管理システム10(第一のシステムの一例)にアップロードする。ドキュメント管理システム10は契約書を保存し、ドキュメント管理システム10において契約書を「001」という識別情報で管理する。
【0012】
(2) 予め定められているワークフロー開始の条件を満たした場合、ドキュメント管理システム10はワークフローを実行する。ワークフローは、電子契約システム30(第二のシステムの一例)にドキュメントを送信し、戻り値として取得した電子契約システム30上で管理されている「00A」という識別情報を取得する。ドキュメント管理システム10は、「001」と「00A」を対応付けたメタデータを生成する。
【0013】
(3) ユーザーが、例えば、「001」で管理されるドキュメントの、電子契約システム30による処理の取り下げ要求(処理の変更の一例)をドキュメント管理システム10に対し要求する。
【0014】
(4) 処理の取り下げ要求によりドキュメント管理システム10がドキュメントのステータスを「取り下げ要求中」に変更する。取り下げ要求とは、電子契約システム30による処理の取り下げを要求することをいう。つまり、ユーザーは、ドキュメント管理システム10におけるステータスの変更により、電子契約システム30に処理の変更を要求できる。ステータスの変更がワークフロー開始の条件である場合、ドキュメント管理システム10はワークフローを実行する。ワークフローは、メタデータを参照して、識別情報「001」を「00A」に変換して、電子契約システム30に「00A」というドキュメントの取り下げを要求する。
【0015】
(5) 電子契約システム30は、「00A」で特定されるドキュメントのステータスに応じた応答をドキュメント管理システム10に返す。応答は、電子契約システム30におけるドキュメントのステータスに基づいて決定される。
【0016】
(6) ドキュメント管理システム10は、この応答、すなわち電子契約システム30において「00A」で特定されるドキュメントのステータスに応じた処理を、「001」で特定されるドキュメントに対し実行する。例えば、ドキュメント管理システム10はドキュメントを削除したり、ステータスを変更したりする。
【0017】
したがって、ドキュメント管理システム10は、ドキュメント管理システム10におけるドキュメントの識別情報と電子契約システム30の識別情報を対応付けて管理することで、ユーザーが、ドキュメント管理システム10でドキュメントに対し行った処理(ステータスの変更)を、電子契約システム30に反映させることができる。また、ドキュメント管理システム10は、電子契約システム30におけるドキュメントのステータスに応じて(電子契約システム30からの応答に応じて)、ドキュメントに関する処理を行うので、電子契約システム30によるドキュメントへの処理の進捗に対し齟齬がないように処理を実行できる。
【0018】
<用語について>
電子データとは、コンピュータの処理に使われるデータであり、電磁的記録媒体に保存される「電磁的記録」である。本実施形態では、電子データはドキュメントという用語で説明される。ドキュメントは、文書ともいう。ただし、文字を含むことは必須でない。ドキュメントと称しても、コンピュータが読み取り可能なデータを有していればよい。電子データは、動画や静止画などの画像データでもよい。
【0019】
処理とは、情報処理を意味し、数字、文字、物理量などによって表された情報についてコンピュータにより計算、分類、照合、その他の処理を行うことをいう。第二のシステムにより電子データが変化しなくてもよい。
【0020】
ワークフローとは、予め決まっている一連の処理をシステムがデータに対し順に施すこと又は一連の処理をいう。
【0021】
処理の変更要求とは、処理の中断、一時停止、取り下げ、処理内容の変更など、いったん、要求した処理を何らかの理由で変更することをいう。本実施形態では、取り下げ要求を例に説明するが、取り下げ要求には限られない。
【0022】
第二のシステムからの応答とは、ドキュメント管理システムからの要求がどのように処理されたか、又は、ドキュメント管理システム10が実行すべき処理の少なくとも一方を示す情報である。
【0023】
ドキュメント(電子データ)の状態とは、電子契約システム30においてドキュメントに対応付けられた情報である。状態は、例えば、処理の進捗、処理による結果(成功、失敗)等でよい。本実施形態では、状態はステータスという用語で説明される。
【0024】
電子データに関する処理とは、電子データ又はメタデータの少なくともいずれかについて何らかの処理であればよい。例えば、電子データに関する処理は、電子データの削除、修正、送信、メタデータの削除、修正、送信等をいう。
【0025】
<システム構成例>
次に、図2を参照して、情報処理システム100のシステム構成について説明する。図2は、情報処理システム100の一例のシステム構成図である。
【0026】
情報処理システム100は、少なくともドキュメント管理システム10を有している。情報処理システム100は、更に電子契約システム30を有していてもよい。ドキュメント管理システム10と電子契約システム30はネットワークを介して通信可能に接続されている。ドキュメント管理システム10と電子契約システム30は常に接続されていることまでは要せず、必要に応じて接続されればよい。また、ドキュメント管理システム10は端末装置50からの接続を受け付ける。ドキュメント管理システム10と端末装置50は常に接続されていることまでは要せず、必要に応じて接続されればよい。また、電子契約システム30は端末装置50からの接続を受け付ける。電子契約システム30と端末装置50は常に接続されていることまでは要せず、必要に応じて接続されればよい。
【0027】
ドキュメント管理システム10は、一台以上の情報処理装置である。ドキュメント管理システム10はドキュメントを管理するサービスを提供する。ドキュメント管理システム10は、ドキュメントにメタデータを付与してメタデータを利用したドキュメントの効率的な検索を可能にしている。また、ドキュメント管理システム10は、ドキュメントの管理を開始する前、又は、管理の開始後に、ドキュメントをワークフロー機能により処理するサービスを提供する。メタデータとはあるデータについてのデータであり、あるデータが付随して持つそのデータ自身についての付加的なデータをいう。詳細については後述する。
【0028】
ワークフロー機能では、第二のシステム(図2では電子契約システム30にて例示する)による処理も可能である。従来、ドキュメント管理システム10は、他のシステムにより処理されたドキュメントの識別情報を管理していなかった。本実施形態では、図1にて説明したように、情報処理システム100は、情報処理システム100と電子契約システム30におけるドキュメントの識別情報を対応付けて管理する。
【0029】
ドキュメント管理システム10は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、単一の情報処理装置によって実現されてもよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される形態をいう。ドキュメント管理システム10は、インターネット上に存在しても、オンプレミスに存在してもよい。
【0030】
電子契約システム30は一台以上の情報処理装置である。電子契約システム30は電子契約に関する処理を行う。電子契約システム30に決まった定義はないが、紙の契約書に印鑑を押す代わりに、インターネット上で電子データ(PDF形式の契約書)に電子署名やタイムスタンプを付与して契約を締結できるシステムである。契約の締結だけでなく、締結した契約書を保管し、契約の検索や、他システムとの連携なども行える。電子契約システム30上で承認や稟議ができるようにワークフロー機能を備えた場合もある。
【0031】
電子署名は、一例として以下のように作成される。ドキュメントに署名したいAさんは、ハッシュ関数を使ってドキュメントのハッシュ値を作成し、秘密鍵を使って、ハッシュ値を暗号化する。Aさんはドキュメントに電子署名を添付して保存する。ドキュメントが改ざんされていないか否かを知りたいBさんはAさんの公開鍵を使って電子署名を復号し、ドキュメントのハッシュ値を求めて両者を比較する。両者が一致すれば、ドキュメントが公開鍵に対応する秘密鍵の持ち主により作成されたこと、秘密鍵の持ち主以外に改ざんされていないことが証明される。また、Bさんは公開鍵が正当かどうかを証明書検証により確認する。証明書検証は、公開鍵に含まれる認証局の署名を認証局に問い合わせて検証することである。
【0032】
なお、電子契約システム30は、ドキュメント管理システム10がワークフローで使用する第二のシステムの一例である。第二のシステムは、以下でもよい。
・タイムスタンプシステム:タイムスタンプは、電子データが「いつ」の時点で存在し、それ以降改ざんされずに証拠性を保っている事を第三者的に証明する時刻の証明情報である。電子証明が、ドキュメントが改ざんされていないことを保証するのに対し、電子データが「いつ」の時点で存在したかも保証できる。
・ノイズ除去システム:ノイズ除去システムは、ドキュメントのノイズを除去するシステム。ノイズとは、署名などの必要な情報以外の不要な情報をいう。
・電子透かしシステム:電子透かしシステムは、ドキュメントに電子透かしを付与するシステム。電子透かしとは、画像や動画、音声などのデータに、関連する情報を人には知覚できない形で埋め込む技術をいう。専用のソフトウェアなどを用いることで埋め込まれた情報を検出することができる。
【0033】
電子契約システム30は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、単一の情報処理装置によって実現されてもよい。電子契約システム30は、インターネット上に存在しても、オンプレミスに存在してもよい。
【0034】
端末装置50は、ドキュメント管理システム10や電子契約システム30と通信する汎用的なコンピュータである。端末装置50ではWebブラウザが動作し、ドキュメント管理システム10又は電子契約システム30から受信した画面情報に基づいて各種の画面を表示する。ユーザーは、ドキュメント管理システム10に対し、ドキュメントの登録、ワークフローの実行、ドキュメントの検索等を行う。また、ユーザーは、電子契約システム30に対し、電子署名が付されたドキュメントの検索や閲覧等を行うことができる。
【0035】
端末装置50は、例えばPC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等であるが、Webブラウザが動作すればよい。なお、端末装置50ではWebブラウザに限らず、ドキュメント管理システム10や電子契約システム30に専用のアプリが動作してもよい。
【0036】
また、端末装置50は複合機(又はMFP(multifunction peripheral/product/printer))や電子黒板などの電子機器でもよい。例えば、複合機がスキャンした画像データ(ドキュメント)をドキュメント管理システム10に送信することで、複合機が端末装置50を代替できる。この他、端末装置50はテレビ会議端末、デジタルサイネージ、プロジェクタ等でもよい。電子黒板の場合、端末装置50は手書きデータをドキュメント管理システム10に送信する。テレビ会議端末の場合、端末装置50は音声データをドキュメント管理システム10に送信する。
<ハードウェア構成>
<<ドキュメント管理システム、電子契約システム、端末装置>>
ドキュメント管理システム10、電子契約システム30、端末装置50は例えば図3に示すハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。図3はコンピュータ500の一例のハードウェア構成図である。図3に示されているように、コンピュータ500は、コンピュータによって構築されており、図3に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0037】
これらのうち、CPU501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリや画像形成装置20等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0038】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。光学ドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としての光記憶媒体513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、光記憶媒体はCD,DVD、Blu-Ray(登録商標)等である。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0039】
<機能について>
次に、図4を参照して、ドキュメント管理システム10、電子契約システム30、及び、端末装置50が有する機能について説明する。図4は、ドキュメント管理システム10、電子契約システム30、及び、端末装置50が有する機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
【0040】
<<ドキュメント管理システム>>
ドキュメント管理システム10は、通信部11、画面生成部12、データ管理部13、ワークフロー制御部14、処理実行部15、HTML情報記憶部21、ドキュメント情報記憶部22、メタデータ記憶部23、及び、ワークフロー情報記憶部24、を有する。ドキュメント管理システム10が有するこれらの機能は、図3に示したコンピュータ500のCPU501がHD504に保存されたプログラムを実行することで実現される機能又は手段である。また、HTML情報記憶部21、ドキュメント情報記憶部22、メタデータ記憶部23、及び、ワークフロー情報記憶部24は、図3に示したコンピュータ500のHD504やRAM503等に構築される。HTML情報記憶部21、ドキュメント情報記憶部22、メタデータ記憶部23、及び、ワークフロー情報記憶部24は、ドキュメント管理システム10が有する場合に限らず、ネットワーク上にあればよい。
【0041】
通信部11は、端末装置50又は電子契約システム30と各種の情報を送受信する。本実施形態では、通信部11は端末装置50からドキュメントを受信し、各種の画面の画面情報を端末装置50に送信する。通信部11は、電子契約システム30にドキュメントや処理要求を送信し、電子契約システム30が処理した後のドキュメントとその識別情報を受信する。また、通信部11が取り下げ要求を電子契約システム30に送信し、電子契約システム30からドキュメントのステータスに応じた応答を受信する。
【0042】
画面生成部12は、HTML情報記憶部21を参照して、端末装置50が表示する各種の画面の画面情報を生成する。HTML情報記憶部21には、画面のひな形が保存されており、ひな形には各種のタグ、スクリプト言語のフォーマット、各タグの書式が予め設定されている。タグは、Webページに表示されるタイトル、文字、表、ラベル、ボタン等の配置を規定する。書式はCSS(Cascading Style Sheet)によりHTML文書の色、大きさ、又は、文字のフォント等を規定する。スクリプト言語のフォーマットは処理の内容を規定する。画面生成部12は、このひな形を用いて後述する検索画面やドキュメント一覧画面等を表示するための画面情報を生成する。画面情報は、HTML、XML、スクリプト言語、及びCSS等で記述されたプログラムであり、主にHTMLによりWebページの構造が規定され、スクリプト言語によりWebページの動作が規定され、CSSによりWebページのスタイルが規定される。なお、このようにWebページを動的に生成することで、サーバーとクライアントがインタラクティブに処理することを実現する仕組みをWebアプリという。Webアプリとは、Webブラウザ上で動作するプログラミング言語(たとえばJavaScript(登録商標))によるプログラムとWebサーバー側のプログラムが協調することによって動作し、Webブラウザ上で実行されるソフトウェア又はその仕組みを言う。
【0043】
データ管理部13は、端末装置50から送信されたドキュメントをメタデータと対応付けて管理する。データ管理部13は、ドキュメントの本体(ファイル)をドキュメント情報記憶部22に保存し、メタデータをメタデータ記憶部23に保存する。
【0044】
ワークフロー制御部14は、ワークフローの登録を受け付けると共に、ワークフロー情報記憶部24を参照し、開始トリガの監視、及び、処理実行部15の生成等を制御する。ワークフロー情報については後述する。
【0045】
処理実行部15は、ワークフローを実行するモジュールである。処理実行部15はワークフローそのものと称してもよい。処理実行部15は、ワークフロー制御部14により動的に生成されるインスタンスである。処理実行部15は、ワークフローの処理内容に応じた処理を自動的に実行する。処理実行部15は、ドキュメントごとに個別モジュールとし独立して動作する。処理実行部15の処理には、タスクのアサインや外部システムとのやり取りが含まれる。
【0046】
図5は、ドキュメント情報記憶部22に記憶されるドキュメント情報の一例を示す。ドキュメント情報は、各ドキュメントそのもの又はドキュメントの保存場所を表す。
【0047】
・ドキュメントIDは、ドキュメントを一意に識別する識別情報である。ドキュメントIDは重複しなければファイル名でもよいし、ファイルパスやURLでもよい。ユーザーはドキュメントIDを使ってドキュメントにアクセスすることができる。
【0048】
・ファイルパスは、各ドキュメントそのもの又はドキュメントの保存場所を表す。
【0049】
図6は、メタデータ記憶部23に記憶されるメタデータの一例を示す。メタデータは、各ドキュメントに付随して、ドキュメントを管理するための有用なデータである。以下、メタデータの各項目を説明する。なお、メタデータをデータのデータという場合がある。
【0050】
・ドキュメントIDは、ドキュメント情報記憶部22のドキュメントIDと同じものであり、ドキュメントを一意に識別する識別情報である。
【0051】
・ファイル名はドキュメントのファイル名である。
【0052】
・電子契約システムのドキュメントIDは、ドキュメント管理システム10に登録されたドキュメントの、電子契約システム30におけるドキュメントの識別情報である。該項目により、ドキュメント管理システム10は、ドキュメント管理システム10に登録されたドキュメントが、電子契約システム30で処理された場合にどのドキュメントであるかを容易に特定できる。
【0053】
・ドキュメント種類は、ドキュメントがどのような処理に使用されるものかを示す。電子契約システム30が処理する場合、図示するように契約関連のドキュメント種類が多くなるが、あくまで一例である。
【0054】
・契約開始日は、ドキュメントが契約に関するものである場合に、契約期間の開始日である。契約終了日は、同じく、契約期間の終了日である。ユーザーは契約開始日、契約終了日を変更できる。
【0055】
・ステータスは、ドキュメントの状態を表す。例えば、有効、却下、取り下げ要求中などがある。
有効:電子契約システム30で契約書の処理が進んでいる状態
却下:電子契約システム30で契約書が却下された状態
取り下げ要求中:ユーザーが、有効のドキュメントを電子契約システム30に対し取り下げ要求し、ドキュメント管理システム10が却下(却下できない場合もある)に変更するまでの過渡的な状態。つまり、ユーザーが契約書などの取り下げを要求した場合にその状態がメタデータに一時的に設定される。
【0056】
これらの状態はあくまで一例であり、別の状態があってもよいし、各状態の呼び名が異なってもよい。
【0057】
なお、ユーザーはドキュメントの登録時に、Webページにおいて、ファイル名、ドキュメント種類、契約開始日、契約終了日等を編集できる。つまり、ユーザーはメタデータを登録できる。更に、メタデータ記憶部23にどのような属性を登録するかをユーザーが設定できる。つまり、ユーザーはメタデータの項目を登録できる。これにより、ユーザーは検索に使用するドキュメントの属性をメタデータとして登録しておくことができる。したがって、メタデータ記憶部23の項目は図示するものに限定されない。
【0058】
また、メタデータはドキュメントごとに保存されるが、メタデータが存在しないドキュメントが存在してもよい。
【0059】
図7は、ワークフロー情報記憶部24に記憶されるワークフロー情報の一例を示す。ワークフロー情報は、ワークフローにより処理される一連の処理の内容を定義する。以下、ワークフロー情報の各項目を説明する。
【0060】
・ワークフローIDはワークフローの識別情報である。一意性があればワークフローの名称が識別情報でもよい。
【0061】
・開始トリガは、ワークフロー制御部14が処理実行部15を生成する(すなわち、処理実行部15がワークフローを開始する)条件である。この開始トリガを満たすイベントが発生すると、処理実行部15が自動的にワークフローの実行を開始する。したがって、ユーザーは明示的にワークフローを指定して実行を開始する必要がない。図示する開始トリガは一例に過ぎず、開始トリガが定期実行のワークフロー、開始トリガが決まったファイル名の登録のワークフロー等があってもよい。
【0062】
・フロー1、フロー2は、処理実行部15がワークフローの中で行う一連の処理を順番に示す。フロー1が一番目の処理であり、フロー2が二番目の処理を示す。図7では処理の数が2つだが、処理の数はいくつでもよいし、ワークフローによって異なってよい。
【0063】
例えば、ワークフローID=1のワークフローでは、ドキュメントの変更を開始トリガに、Aさんの審査処理、Bさんの承認処理が行われることを表している。ワークフローID=2のワークフローでは、ドキュメントの新規保存を開始トリガに、電子契約システム30にドキュメントを送信する処理が行われることを表している。ワークフローID=3のワークフローでは、メタデータの「ステータス」を「取り下げ要求中」に変更することを開始トリガに、電子契約システム30にドキュメントの取り下げ要求する処理が行われることを表している。
【0064】
<<電子契約システム>>
図4に戻って説明する。電子契約システム30は、通信部31、電子署名部32、ステータス情報記憶部38、ドキュメント情報記憶部39、及び、ステータス変更対応情報記憶部40を有する。電子契約システム30が有するこれらの機能は、図3に示したコンピュータ500のCPU501がHD504に保存されたプログラムを実行することで実現される機能又は手段である。また、ステータス情報記憶部38、ドキュメント情報記憶部39、及び、ステータス変更対応情報記憶部40は、図3に示したコンピュータ500のHD504やRAM503等に構築される。ステータス情報記憶部38、ドキュメント情報記憶部39、及び、ステータス変更対応情報記憶部40は、電子契約システム30が有するほか、ネットワーク上にあればよい。
【0065】
通信部31は、主に端末装置50と各種の情報を送受信する。本実施形態では、通信部31は、ドキュメント管理システム10からドキュメントを受信し、電子契約システム30が処理した後のドキュメントとその識別情報をドキュメント管理システム10に送信する。通信部31は、ドキュメント管理システム10からドキュメントに対する処理の取り下げ要求を受信し、ドキュメントのステータスに応じた応答を返す。
【0066】
電子署名部32は、契約に関する一連の処理や、契約が完了したことを証明する電子署名をドキュメントに付与したりする。電子署名部32は、契約等に使用したドキュメントをドキュメント情報記憶部39で管理し、各ドキュメントのステータスをステータス情報記憶部38で管理する。電子署名はあくまで一例であって、電子契約システム30に相当する第二のシステムは、タイムスタンプを付与したり、ドキュメントのノイズを除去したり、電子透かしを作成したりする。
【0067】
図8は、電子契約システム30のドキュメント情報記憶部39に記憶されるドキュメント情報の一例を示す。ドキュメント情報は、各ドキュメントそのもの又はドキュメントの保存場所を表す。
【0068】
・ドキュメントIDは、電子契約システム30においてドキュメントを一意に識別する識別情報である。ドキュメントIDは重複しなければファイル名でもよいし、ファイルパスでもよい。ユーザーはドキュメントIDを使ってドキュメントにアクセスすることができる。同じドキュメントであっても、電子契約システム30のドキュメントIDは、ドキュメント管理システム10におけるドキュメントIDとは異なる場合が多い。
【0069】
・ファイルパスは、各ドキュメントそのもの又はドキュメントの保存場所を表す。
【0070】
図9は、電子契約システム30のステータス情報記憶部38に記憶されるステータス情報の一例を示す。ステータス情報は、ドキュメントごとにそのステータス(状態)を示す。例えば以下の状態が存在する。これらの状態はあくまで一例であり、別の状態があってもよいし、各状態の呼び名が異なってもよい。
下書き中:電子契約システム30上にアップロードしただけで、電子契約システム30上での合意処理に入っていない状態
契約先確認中:電子契約システム30上で合意処理に入り、契約先の合意を待っている状態(契約処理が開始してから、終了するまでの状態)
合意済み:契約先との合意が締結している状態
却下:電子契約システム30に送信されたドキュメントの処理が取り下げられた状態
図10は、ステータス変更対応情報記憶部40に記憶されるステータス変更対応情報の一例を示す。ステータス変更対応情報は、電子契約システム30における現在のステータス別に、「取り下げ要求に対する結果」と「電子契約システム30内での結果通知後の処理」を示す。これは、電子契約システム30におけるドキュメントの処理状況(進捗)によっては、電子契約システム30によるドキュメントの処理の取り下げや、ステータスの変更が困難な場合があるためである。
【0071】
図10に示すように、電子署名部32は、取り下げ要求に対して「削除済」、「取り下げ済」、「取り下げ不可」の3パターンのステータスをドキュメント管理システム10に返す。
【0072】
・電子契約システムにおけるドキュメントのステータスが下書き中の場合
電子署名部32は「削除済」をドキュメント管理システム10に返す。下書き中は、電子契約システム30が行う合意処理の前である。また、契約が取り下げられたので、ドキュメントも不要になる。電子契約システム30上で処理していないものは履歴として残す必要がないためステータスを「削除済」にする。電子署名部32はドキュメントを削除する。なお、電子契約システム30がドキュメントを削除せずに、ステータスのみを変更してもよい。
【0073】
・電子契約システムにおけるドキュメントのステータスが契約先確認中の場合
電子署名部32は、「取り下げ済」をドキュメント管理システム10に返す。「取り下げ済」とは、電子契約システム30における処理を取り消したという意味である。電子契約システム30上での処理が始まったドキュメントは、合意前でも履歴を残すためにファイル自体を削除できないため、「取り下げ済」を返す。電子署名部32はステータスを「却下」に変更する。なお、電子契約システム30が取り下げ済を応答せずに、取り下げ不可を応答してもよい。
【0074】
・電子契約システムにおけるドキュメントのステータスが合意済みの場合
電子署名部32は、「取り下げ不可」をドキュメント管理システム10に返す。ドキュメントに基づいて合意済みの場合、取り下げできないので、電子契約システム30は「取り下げ不可」を返す。電子署名部32はステータスについては何もしない。
【0075】
・電子契約システムにおけるドキュメントのステータスが却下の場合
電子署名部32は、「取り下げ済」をドキュメント管理システム10に返す。電子契約システム30において処理を取り下げ済の場合(つまり、再度、取り下げ要求があったような場合)、「取り下げ済」が返される。電子署名部32はステータスについては何もしない。
【0076】
<<端末装置>>
端末装置50は、通信部51、表示制御部52、及び、操作受付部53を有する。これら各機能部は、端末装置50にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を図3に示したCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。なお、このプログラムはWebブラウザでもよいし、専用のアプリケーションでもよい。
【0077】
通信部51は、主にドキュメント管理システム10との間で各種の情報を送受信する。本実施形態では、通信部51は、各種の画面情報等をドキュメント管理システム10から受信し、ドキュメントやユーザーの入力内容をドキュメント管理システム10に送信する。
【0078】
表示制御部52は、各種の画面の画面情報を解釈してディスプレイ506に表示する。操作受付部53は、ディスプレイ506に表示された各種画面に対するユーザーの各種操作を受け付ける。
【0079】
<登録の処理の手順>
次に、図11を参照して、ドキュメント管理システムがドキュメントの登録を受け付け、ステータスの変更を電子契約システム30に反映する手順を説明する。図11は、ドキュメント管理システム10がステータスの変更を電子契約システム30に反映する手順を示すシーケンス図の一例である。
【0080】
S1:ドキュメント管理システム10が起動したり、ワークフロー情報記憶部24のワークフロー情報が更新されたりすると、ワークフロー制御部14が、ワークフロー情報記憶部24からワークフロー情報を取得する。管理者の操作でこの処理が行われてもよい。
【0081】
S2:ユーザーは端末装置50を操作して、ドキュメントの一例である契約書を作成する。ファイルの形式は問われないが、例えばPDFやWord(登録商標)等、汎用的な形式でも所定のアプリケーションの形式でもよい。なお、ドキュメントの作成をドキュメント管理システム10が支援してもよい。この場合、端末装置50は、ドキュメント管理システム10が提供するWebアプリを実行し、Webアプリの誘導に従って文字等を入力したり選択したりすると所望のドキュメントを作成できる。
【0082】
S3:次に、端末装置50は、画面生成部12が生成したドキュメント登録画面を表示し、ユーザーがこのドキュメント登録画面から契約書を情報処理システム100に送信する。ドキュメント登録画面の一例を図15(a)に示す。ユーザーはドキュメント登録画面で、契約書を情報処理システム100に送信する操作を端末装置50に入力する。
【0083】
また、端末装置50が契約書を情報処理システム100に送信すると、画面生成部12がメタデータ設定画面を生成して、通信部11がメタデータ設定画面の画面情報を端末装置50に送信する。端末装置50の通信部51がメタデータ設定画面の画面情報を受信し、表示制御部52がメタデータ設定画面を表示する。メタデータ設定画面の一例を図15(b)に示す。ユーザーは所望のメタデータの項目を設定し、値を入力する。端末装置50の操作受付部53が操作を受け付けて、通信部51がメタデータをドキュメント管理システム10に送信する。端末装置50がメタデータを送信することなく(又は、メタデータを送信した上で更に)、ドキュメント管理システム10側でメタデータを抽出してもよい。
【0084】
S4:ドキュメント管理システム10の通信部11が契約書とメタデータを受信し、画面生成部12はデータ管理部13に契約書とメタデータの保存を要求する。
【0085】
S5:データ管理部13は、契約書をドキュメント情報記憶部22に保存する。データ管理部13は、戻り値として保存したドキュメントID=「001」を取得する。
【0086】
S6:データ管理部13は、メタデータのドキュメントIDに「001」を設定する。また、データ管理部13は、契約開始日や契約終了日などをメタデータ記憶部23に保存する。
【0087】
図12は、ステップS6の処理後のメタデータを示す。なお、図12の説明では主に図6との装置を説明する。図12に示すように、ドキュメントの登録直後は、ドキュメントID、ドキュメント種類、契約開始日、契約終了日、及び、ステータス(有効)が登録される。なお、ステータス(有効)は初期値である。
【0088】
S7:図11に戻って説明する。データ管理部13は、ドキュメントID=「001」を指定して、ワークフロー制御部14にドキュメントが新たに保存されたことを通知する。ワークフローの開始トリガを満たすかどうかをワークフロー制御部14が判断するためである。
【0089】
S8:ワークフロー制御部14はワークフロー情報記憶部24の開始トリガを順番に参照し、開始トリガを満たしているか否かを判断する。説明のため、開始トリガを満たしているものとして説明する。なお、ドキュメントやイベントが複数のワークフローの開始トリガを満たす場合、ワークフロー制御部14は同時に処理実行部15を生成してもよいし、順番に処理実行部15を生成してもよい。以下では、ワークフローID=2の開始トリガを満たす場合を説明する。
【0090】
S9:開始トリガを満たしている場合、ワークフロー制御部14は、ドキュメントID=「001」のドキュメントを処理するための処理実行部15を生成する。したがって、処理実行部15とドキュメントID=「001」が対応付けられる。
【0091】
S10:処理実行部15は、ワークフロー情報の1つめの処理(フロー1)を実行するため、データ管理部13に、ドキュメントID=「001」のドキュメントの取得を要求する。
【0092】
S11:データ管理部13は、ドキュメントID=「001」のドキュメントをドキュメント情報記憶部22から取得する。
【0093】
S12:データ管理部13は、処理実行部15にドキュメントそのもの又はドキュメントの保存場所を通知する。
【0094】
S13:処理実行部15は、当該ワークフローに応じた処理を行うので、通信部11を介して、取得したドキュメントを電子契約システム30に送信する。
【0095】
S14:電子契約システム30の通信部31はドキュメントを受信し、電子署名部32がドキュメントをドキュメント情報記憶部39に保存する。電子署名部32は戻り値として、電子契約システム30上で管理されているドキュメントID=「00A」を取得する。
【0096】
S15:電子契約システム30の通信部31はドキュメントID=「00A」をドキュメント管理システム10に送信する。
【0097】
S16:ドキュメント管理システム10の通信部11は電子契約システム30におけるドキュメントID=「00A」を受信し、処理実行部15は、ドキュメントID=「00A」を指定してメタデータに「00A」の保存をデータ管理部13に要求する。
【0098】
S17:データ管理部13は、ドキュメントID=「001」に対応付けて、ドキュメントID=「00A」をメタデータ記憶部23に保存する。
【0099】
図13は、ステップS17の処理後のメタデータを示す。なお、図13の説明では主に図12との装置を説明する。図13に示すように、電子契約システム30における識別情報に「00A」が設定される。
【0100】
S18:図11に戻って説明する。次に、ユーザーが端末装置50を操作してドキュメント管理システム10に登録済みのドキュメントのステータスを変更する。例えば、ドキュメントの間違いに気づいたり、契約が不要になったりする場合、ユーザーがドキュメントに対する処理の取り下げを要求できる。
【0101】
端末装置50は、画面生成部12が生成したステータス設定画面を表示し、ユーザーがこのステータス設定画面に対しステータスの変更要求を入力する。ステータス設定画面、ステータス設定画面に遷移するまでの検索画面、及び、ドキュメント一覧画面を図16図18に示す。
【0102】
端末装置50の操作受付部53が操作を受け付けて、通信部51がドキュメントID=「001」と変更後のステータスをドキュメント管理システム10に送信する。ここでは、ユーザーがステータスを「取り下げ要求中」に変更する。
【0103】
S19:ドキュメント管理システム10の通信部11はステータスの変更要求を受信し、画面生成部12がステータスの変更要求をデータ管理部13に渡す。
【0104】
S20:データ管理部13は、ドキュメントID=「001」で特定されるメタデータのステータスを「取り下げ要求中」に変更する。
【0105】
図14は、ステップS20の処理後のメタデータを示す。なお、図14の説明では主に図13との装置を説明する。図14に示すように、メタデータのステータスが「取り下げ要求中」に変更された。
【0106】
S21:図11に戻って説明する。データ管理部13は、ドキュメントID=「001」を指定して、ワークフロー制御部14にステータスの変更(取り下げ要求)を通知する。ワークフローの開始トリガを満たすかどうかをワークフロー制御部14が判断するためである。
【0107】
S22:ワークフロー制御部14はワークフロー情報記憶部24の開始トリガを順番に参照し、開始トリガを満たしているか否かを判断する。説明のため、開始トリガを満たしているものとして説明する。以下では、ワークフローID=3の開始トリガを満たす場合を説明する。
【0108】
S23:開始トリガを満たしている場合、ワークフロー制御部14は、ドキュメントID=「001」のドキュメントを処理するための処理実行部15を生成する。したがって、処理実行部15とドキュメントID=「001」が対応付けられる。
【0109】
S24:処理実行部15は、ワークフロー情報の1つめの処理(フロー1)を実行するため、データ管理部13に、ドキュメントID=「001」のメタデータ(電子契約システム30におけるドキュメントID=「00A」)を要求する。
【0110】
S25:データ管理部13は、ドキュメントID=「001」に対応付けられている、電子契約システム30におけるドキュメントID=「00A」を取得する。
【0111】
S26:データ管理部13は、処理実行部15に電子契約システム30におけるドキュメントID=「00A」を通知する。
【0112】
S27:処理実行部15は、通信部11を介して、ドキュメントID=「00A」を指定してステータスの取得を電子契約システム30に要求する。
【0113】
S28:電子契約システム30の通信部31はステータスの取得要求を受信し、電子署名部32がドキュメントID=「00A」で特定されるドキュメントのステータスをステータス情報記憶部38から取得する。
【0114】
S29:また、処理実行部15は、通信部11を介して、ドキュメントID=「00A」を指定してステータスの変更(取り下げ要求)を電子契約システム30に送信する。
【0115】
S30:電子契約システム30の通信部31はステータスの変更要求を受信し、電子署名部32がドキュメントID=「00A」で特定されるドキュメントの取り下げ結果(電子契約システム30からの応答)を送信する。
【0116】
電子署名部32は、図10に基づいて、該当するドキュメントのステータスに基づいて取り下げの却下、取り下げ不可等を判断し、その結果をドキュメント管理システム10に通知する。また、電子署名部32は、必要に応じて電子契約システム30内で処理を実施する。ステップS30の処理の詳細を図22にて説明する。
【0117】
S31:電子契約システム30の通信部31は、ドキュメントのステータスに基づく応答(削除済、取り下げ済、取り下げ不可)をドキュメント管理システム10に送信する。ステップS31の処理の詳細を図20にて説明する。
【0118】
<<画面例>>
図15(a)は端末装置50が表示するドキュメント登録画面250の一例である。ドキュメント登録画面250は、ファイル名欄251、参照ボタン252、及び、保存ボタン253を有している。ユーザーは参照ボタン252を押下して、HD504等に保存したドキュメントを選択する。選択したドキュメントのファイル名がファイル名欄251に表示される。ユーザーが保存ボタン253を押下すると、端末装置50がファイル名欄251のドキュメントをドキュメント管理システム10に送信する。
【0119】
図15(b)は端末装置50が表示するメタデータ設定画面260の一例である。メタデータ設定画面260は、ドキュメント種類欄261、契約開始日欄262、及び、契約終了日欄263を有している。
【0120】
・ドキュメント種類欄261は、メタデータの一項目として、ドキュメント種類をユーザーが入力するための欄である。
【0121】
・契約開始日欄262は、メタデータの一項目として、契約開始日をユーザーが入力するための欄である。表示制御部52がカレンダーを表示して、操作受付部53が特定の日にちをユーザーから受け付けてよい。
【0122】
・契約終了日欄263は、メタデータの一項目として、契約終了日をユーザーが入力するための欄である。表示制御部52がカレンダーを表示して、操作受付部53が特定の日にち又は範囲をユーザーから受け付けてよい。
【0123】
ユーザーがメタデータを設定し確定ボタン264を押下することで、端末装置50がメタデータをドキュメント管理システム10に送信する。
【0124】
図16は、端末装置50が表示する検索画面210の一例を示す。ユーザーが端末装置50を操作して端末装置50を情報処理システム100に接続させる。情報処理システム100の画面生成部12はユーザー操作に応じて、検索画面を生成し、通信部11が端末装置50に検索画面の画面情報を送信する。
【0125】
検索画面210は、ドキュメント種類欄211、契約開始日欄212、契約終了日欄213、及び、検索ボタン214を有している。
【0126】
・ドキュメント種類欄211は、メタデータの項目のドキュメント種類を検索するための検索キーをユーザーが入力するための欄である。
【0127】
・契約開始日欄212は、メタデータの項目の契約開始日を検索するための検索キーをユーザーが入力するための欄である。表示制御部52がカレンダーを表示して、操作受付部53が特定の日にち又は範囲をユーザーから受け付けてよい。
【0128】
・契約終了日欄213は、メタデータの項目の契約終了日を検索するための検索キーをユーザーが入力するための欄である。表示制御部52がカレンダーを表示して、操作受付部53が特定の日にち又は範囲をユーザーから受け付けてよい。
【0129】
・検索ボタン214は、端末装置50が検索要求(ドキュメントの一覧)をドキュメント管理システム10に送信するためのボタンである。
【0130】
なお、図16は一例に過ぎず、ファイル名の入力欄やフリーキーワードの入力欄があってもよい。ドキュメントIDの入力欄があってもよい。検索ボタン214が押下されると、ドキュメント一覧画面220に遷移する。
【0131】
図17は、端末装置50が表示するドキュメント一覧画面220の一例を示す図である。ドキュメント一覧画面220は、検索に適合したドキュメントのファイル名221、ドキュメント種類222、契約開始日223、及び、契約終了日224の各項目を有している。すなわち、ドキュメント一覧画面220は、メタデータ記憶部23のメタデータの項目の少なくとも一部を、検索に適合したレコード(1行)ごとに表示する。図17では、ドキュメント種類が全て「基本契約」となっているので、検索画面210でユーザーがドキュメント種類欄に「基本契約」という検索キーを入力したと考えられる。
【0132】
各ドキュメントにはステータス変更ボタン226が表示される。ユーザーがステータスを変更したいドキュメントのステータス変更ボタン226を押下すると、端末装置50はステータス設定画面を表示する。ドキュメント一覧画面220からステータス設定画面への遷移は、端末装置50側で行っても、ドキュメント管理システム10が行ってもよい。
【0133】
なお、ユーザーが1つ以上のドキュメントを選択し、開くボタン225を押下した場合、選択されたドキュメントのファイル本体を端末装置50が表示できる。
【0134】
図18は、端末装置50が表示するステータス設定画面230の一例である。ステータス設定画面230は、一例として、ドキュメント種類欄231、契約開始日欄232、契約終了日欄233、及び、ステータス欄234を有している。ドキュメント種類欄231、契約開始日欄232、契約終了日欄233については、ドキュメント一覧画面220と同様、ユーザーが変更後の値を設定できる。
【0135】
ステータス欄234には現在のステータスが表示されると共に、ユーザーが選択しうるステータス(有効、却下、取り下げ要求中)がプルダウンメニューで選択可能である。ユーザーは、ステータスを変更して、確定ボタン235を押下する。これによりステップS18以降の処理が開始される。
【0136】
<ドキュメント管理システム側の処理>
図19は、取り下げ結果(電子契約システム30からの応答)に対するドキュメント管理システム10が行う処理の一覧を示す。本実施形態の取り下げ結果は、図10で説明したように削除済、取り下げ済、又は、取り下げ不可のいずれかである。
【0137】
・取り下げ結果が「削除済」の場合は、電子契約システム30内のファイルが削除されているため、同期をとるためにドキュメント管理システム10でもドキュメントを削除する。
【0138】
・取り下げ結果が「取り下げ済」の場合は、電子契約システム30内でファイルは削除されておらず、ステータスだけ変更されている。そのため、ドキュメント管理システム10は、ドキュメントを削除しないでメタデータだけを変更する。したがって、ドキュメント管理システム10では、ステータスが「取り下げ要求中」から「却下」に変更される。
【0139】
・取り下げ結果が「取り下げ不可」の場合は、電子契約システム30内でドキュメントのステータスが却下にならないため、ドキュメント管理システム10でのメタデータもそれに応じて「有効」に変更する。したがって、ドキュメント管理システム10では、ステータスが「取り下げ要求中」から「有効」に変更される。
【0140】
図20は、ドキュメント管理システム10が電子契約システム30からの応答(取り下げ結果)に応じて行うドキュメント又はステータスに対する処理を説明するフローチャート図である。図20の処理は、図11のステップS31における処理である。
【0141】
データ管理部13は、電子契約システム30からの応答が「削除済」か否かを判断する(S101)。
【0142】
ステップS101の判断がYesの場合、データ管理部13はドキュメントIDで特定されるドキュメントを削除する(S102)。データ管理部13はドキュメントの削除に伴いメタデータも削除する。
【0143】
ステップS101の判断がNoの場合、データ管理部13は、電子契約システム30からの応答が「取り下げ済」か否かを判断する(S103)。
【0144】
ステップS103の判断がYesの場合、データ管理部13はドキュメントIDで特定されるドキュメントのステータスを「却下」に変更する(S104)。すなわち、データ管理部13は、電子契約システム30による処理が開始し、終了する前の状態である場合(契約先確認中)、ドキュメントのステータス、処理が取り下げられた旨の「却下」に設定する。
【0145】
ステップS103の判断がNoの場合、データ管理部13はドキュメントIDで特定されるドキュメントのステータスを「有効」に変更する(S105)。
【0146】
こうすることで、ドキュメント管理システム10は電子契約システム30における契約の状態に応じてドキュメントのステータスを変更できる。
【0147】
<<ドキュメントの表示例>>
ドキュメント管理システム10におけるメタデータのステータスが「却下」の場合は、ドキュメント管理システム10は、ユーザーがステータスを判別できるようにドキュメントを表示する。
【0148】
図21は、端末装置50が表示するステータス別のドキュメント一覧画面240を示す図である。図21の説明では、主に図17との相違を説明する。図21では、ドキュメント一覧画面240は、有効ドキュメント欄241と却下ドキュメント欄242を有している。有効ドキュメント欄241には、ステータスが「有効」のドキュメントが表示され、却下ドキュメント欄242には、ステータスが「却下」のドキュメントが表示される。ドキュメント一覧画面240では、ドキュメントのステータスに基づいて、ドキュメントが区別された態様で表示される。
【0149】
なお、図21では、有効と却下の2つでドキュメントが区分されているが、取り下げ要求中のドキュメントがあれば、取り下げ要求中のドキュメントも区分して表示される。
【0150】
したがって、ユーザーは、ドキュメントがどの欄に表示されるかによって、ドキュメントのステータスを把握できる。
【0151】
<取り下げ要求に対する電子契約システムの処理>
図22を参照して、取り下げ要求に対する電子契約システム30の処理について説明する。電子契約システム30は、図10のステータス変更対応情報に基づいて取り下げ結果をドキュメント管理システム10に通知し、ドキュメントを削除したりステータスを変更したりする。
【0152】
図22は、取り下げ要求に対する電子契約システム30の処理を説明するフローチャート図である。この処理は図11のステップS30にて実行される。
【0153】
電子契約システム30の電子署名部32は、取り下げ要求されたドキュメントのステータスが下書き中か否かを判断する(S201)。
【0154】
ステップS201の判断がYesの場合、電子署名部32は、通信部31を介して、削除という取り下げ結果をドキュメント管理システム10に送信する(S202)。
【0155】
また、電子署名部32は、取り下げ要求されたドキュメントをドキュメント情報記憶部39から削除し、ステータスをステータス情報記憶部38から削除する(S203)。
【0156】
ステップS201の判断がNoの場合、電子契約システム30の電子署名部32は、取り下げ要求されたドキュメントのステータスが契約先確認中か否かを判断する(S204)。
【0157】
ステップS204の判断がYesの場合、電子署名部32は、通信部31を介して、却下という取り下げ結果をドキュメント管理システム10に送信する(S205)。
【0158】
また、電子署名部32は、取り下げ要求されたドキュメントのステータス情報記憶部38におけるステータスを却下に変更する(S206)。
【0159】
ステップS204の判断がNoの場合、電子契約システム30の電子署名部32は、取り下げ要求されたドキュメントのステータスが合意済みか否かを判断する(S207)。
【0160】
ステップS207の判断がYesの場合、電子署名部32は、通信部31を介して、取り下げ不可という取り下げ結果をドキュメント管理システム10に送信する(S208)。
【0161】
ステップS207の判断がNoの場合、電子契約システム30の電子署名部32は、取り下げ要求されたドキュメントのステータスが却下か否かを判断する(S209)。
【0162】
ステップS209の判断がYesの場合、電子署名部32は、通信部31を介して、却下という取り下げ結果をドキュメント管理システム10に送信する(S210)。
【0163】
このように、電子契約システム30は取り下げ要求されたドキュメントのステータスに応じた処理を実行できる。
【0164】
<主な効果>
以上説明したように、ドキュメント管理システム10は、ドキュメント管理システム10におけるドキュメントの識別情報と電子契約システム30におけるドキュメントの識別情報を対応付けて管理することで、ユーザーが、ドキュメント管理システム10でドキュメントに対し行った処理を、電子契約システム30に反映させることができる。ドキュメント管理システム10は、電子契約システム30におけるドキュメントのステータスに応じて、ドキュメントに関する処理を行うので、電子契約システム30によるドキュメントへの処理の進捗に対し齟齬がないように処理を実行できる。
【0165】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0166】
例えば、本実施形態では、ワークフローの実行過程でドキュメント管理システム10と電子契約システム30とが連携し、ドキュメントIDが紐付けられているが、ドキュメント管理システム10がワークフローを実行しなくてもよい。例えば、ユーザーがドキュメント管理システム10と電子契約システム30に対する処理を順番に指示してもよい。
【0167】
また、ドキュメント管理システム10が送信したドキュメントが1つでも、電子契約システム30が処理することで複数のドキュメントが生成されてよい。この場合、電子契約システム30が生成した各ドキュメントに識別情報が付与される。
【0168】
また、ワークフローが実行される場合、ワークフローには、ドキュメントのOCR→クラウドストレージへの保存を行うもの、メールやFAXの受信→クラウドストレージへの保存を行うもの等、種々のワークフローが存在する。ワークフローは、各処理をユーザーが設定することで生成できる。
【0169】
また、本実施形態では、第二のシステムとして、電子契約システム30、タイムスタンプシステム、ノイズ除去システム、電子透かしシステムを挙げたが、第二のシステムは、クラウドストレージ、OCR、翻訳、音声認識など、種々のシステムがある。
【0170】
また、本実施形態では、ドキュメント管理システム10におけるステータスの変更により、電子契約システム30への処理の変更要求をドキュメント管理システム10が受け付けている。しかし、ドキュメント管理システム10は、電子契約システム30への処理の変更要求を直接、受け付け、電子契約システム30に処理の変更を要求し、電子契約システム30からの応答に応じて、ドキュメント管理システム10のドキュメントに関する処理を実行してもよい。
【0171】
また、図4などの構成例は、ドキュメント管理システム10、電子契約システム30、及び、端末装置50による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。ドキュメント管理システム10、電子契約システム30、及び、端末装置50の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0172】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、ドキュメント管理システム10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0173】
更に、ドキュメント管理システム10は、本実施形態で開示された処理ステップ、例えば図11を様々な組み合わせで共有するように構成できる。ドキュメント管理システム10は、1つのサーバー装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0174】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0175】
10 ドキュメント管理システム
30 電子契約システム
50 端末装置
100 情報処理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0176】
【特許文献1】特開2008‐259211号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22