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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050136
(43)【公開日】2023-04-10
(54)【発明の名称】組成物及びそれを含有する発光素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/00 20230101AFI20230403BHJP
【FI】
H05B33/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147452
(22)【出願日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2021160165
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲員 慎一
(72)【発明者】
【氏名】佐々田 敏明
(72)【発明者】
【氏名】浅田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】安倍 太一
(72)【発明者】
【氏名】飯島 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 孝和
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 謙
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC04
3K107DD59
3K107DD60
3K107DD64
3K107DD67
3K107DD68
3K107DD69
(57)【要約】
【課題】外部量子効率が優れる発光素子の製造に有用な組成物を提供すること、及び、当該組成物を含有する発光素子の提供。
【解決手段】式(1)で表される金属錯体及び高分子化合物(A)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、低分子化合物(B)及び高分子化合物(B)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、式(H-1)で表される化合物、並びに、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物からなる群より選択される少なくとも2種の化合物と、を含有する組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される金属錯体及び前記式(1)で表される金属錯体から水素原子1個以上を除いた基を有する構成単位を含む高分子化合物(A)からなる群より選択される少なくとも1種と、
ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、sp炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種とを環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する低分子化合物(B)、並びに、前記低分子化合物(B)から水素原子1個以上を除いた基を有する構成単位を含む高分子化合物(B)からなる群より選択される少なくとも1種と、
式(H-1)で表される化合物、並びに、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物からなる群より選択される少なくとも2種と、
を含有する、組成物。
【化1】


[式中、
Mは、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
は1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表す。但し、Mがロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは2である。
及びEは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。E及びEが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
環Lは、芳香族複素環を表し、該環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環Lは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環Lが有していてもよい置換基と、環Lが有していてもよい置換基とは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
-G-Aは、アニオン性の2座配位子を表す。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、又は、A及びAとともに2座配位子を構成する原子団を表す。A-G-Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【化2】

[式中、
ArH1及びArH2は、それぞれ独立に、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
H1は、0以上の整数を表す。
H1は、2価の基を表し、該2価の基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。
ArH1とArH2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。LH1とArH1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。LH1とArH2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。]
【化3】


[式中、
X1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。ArX2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。ArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。RX2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。RX3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【化4】


[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレ
ン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【請求項2】
前記環Lが、5員環を含む芳香族複素環又は6員環を含む芳香族複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよく、且つ、前記環Lが、5員環若しくは6員環を含む芳香族炭化水素環、又は、5員環若しくは6員環を含む芳香族複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記環Lが、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素環、又は、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記環Lが、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、これらの環は置換基を有していてもよく、且つ、前記環Lが、ベンゼン環、フルオレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記環Lが、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、これらの環は置換基を有していてもよく、且つ、前記環Lが、ベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記縮合複素環骨格(b)が、ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を環内に含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記縮合複素環骨格(b)が、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記低分子化合物(B)が、式(1-1)で表される化合物、式(1-2)で表される化合物又は式(1-3)で表される化合物である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【化5】


[式中、
Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、-N(Ry)-で表される基、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が
複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
及びYは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、-N(Ry)-で表される基、-B(Ry)-で表される基、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
Ryは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Ryが複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。
とArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。YとArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。YとArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。YとArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。YとArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。YとArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。]
【請求項9】
前記Y、前記Y及び前記Yが、酸素原子、硫黄原子又は-N(Ry)-で表される基である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記Y、前記Y及び前記Yが、-N(Ry)-で表される基である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた有機層とを有する発光素子であり、
前記有機層が、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の組成物を含有する層である、発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組成物及びそれを含有する発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子等の発光素子は、ディスプレイ及び照明の用途に好適に使用することが可能である。発光素子の発光層に用いられる発光材料として、例えば、特許文献1では、化合物H1と、金属錯体と、化合物B1とを含有する組成物が記載されている。
【0003】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/203209号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の組成物を用いて作製される発光素子は、外部量子効率が必ずしも十分ではない。
そこで、本開示の一実施形態は、外部量子効率が優れる発光素子の製造に有用な組成物を提供すること、及び、当該組成物を含有する発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の<1>~<12>を提供する。
【0007】
<1> 式(1)で表される金属錯体及び上記式(1)で表される金属錯体から水素原子1個以上を除いた基を有する構成単位を含む高分子化合物(A)からなる群より選択される少なくとも1種と、
ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、sp炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種とを環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する低分子化合物(B)、並びに、上記低分子化合物(B)から水素原子1個以上を除いた基を有する構成単位を含む高分子化合物(B)からなる群より選択される少なくとも1種と、
式(H-1)で表される化合物、並びに、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物からなる群より選択される少なくとも2種と、
を含有する、組成物。
【0008】
【化2】
【0009】
[式中、
Mは、ロジウム原子、パラジウム原子、イリジウム原子又は白金原子を表す。
は1以上の整数を表し、nは0以上の整数を表す。但し、Mがロジウム原子又はイリジウム原子の場合、n+nは3であり、Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、n+nは2である。
及びEは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。E及びEが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
環Lは、芳香族複素環を表し、該環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環Lは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
環Lが有していてもよい置換基と、環Lが有していてもよい置換基とは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
-G-Aは、アニオン性の2座配位子を表す。A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。Gは、単結合、又は、A及びAとともに2座配位子を構成する原子団を表す。A-G-Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0010】
【化3】
【0011】
[式中、
ArH1及びArH2は、それぞれ独立に、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
H1は、0以上の整数を表す。
H1は、2価の基を表し、該2価の基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。
ArH1とArH2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。LH1とArH1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。LH1とArH2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。]
【0012】
【化4】
【0013】
[式中、
X1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。ArX2が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。ArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。RX2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。RX3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0014】
【化5】
【0015】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
<2> 上記環Lが、5員環を含む芳香族複素環又は6員環を含む芳香族複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよく、且つ、上記環Lが、5員環若しくは6員環を含む芳香族炭化水素環、又は、5員環若しくは6員環を含む芳香族複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、上記<1>に記載の組成物。
<3> 上記環Lが、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素環、又は、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、上記<1>又は<2>に記載の組成物。
<4> 上記環Lが、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、これらの環は置換基を有していてもよく、且つ、上記環Lが、ベンゼン環、フルオレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の組成物。
<5> 上記環Lが、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、これらの環は置換基を有していてもよく、且つ、上記環Lが、ベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の組成物。
<6> 上記縮合複素環骨格(b)が、ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を環内に含む、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の組成物。
<7> 上記縮合複素環骨格(b)が、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の組成物。
<8> 上記低分子化合物(B)が、式(1-1)で表される化合物、式(1-2)で表される化合物又は式(1-3)で表される化合物である、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の組成物。
【0016】
【化6】
【0017】
[式中、
Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、-N(Ry)-で表される基、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
及びYは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、-N(Ry)-で表される基、-B(Ry)-で表される基、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
Ryは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Ryが複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。
とArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。YとArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。YとArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。YとArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環
を形成してもよい。YとArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。YとArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよい。]
<9> 上記Y、上記Y及び上記Yが、酸素原子、硫黄原子又は-N(Ry)-で表される基である、上記<8>に記載の組成物。
<10> 上記Y、上記Y及び上記Yが、-N(Ry)-で表される基である、上記<8>又は<9>に記載の組成物。
<11> 正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有する、上記<1>~<10>のいずれか1つに記載の組成物。
<12> 陽極と、陰極と、上記陽極及び上記陰極の間に設けられた有機層とを有する発光素子であり、
上記有機層が、上記<1>~<11>のいずれか1つに記載の組成物を含有する層である、発光素子。
【発明の効果】
【0018】
本開示の一実施形態によれば、外部量子効率が優れる発光素子の製造に有用な組成物を提供することができる。また、本開示の一実施形態によれば、当該組成物を含有する発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0020】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0021】
「室温」とは、25℃を意味する。
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、イオン結合、共有結合又は配位結合を意味する。
【0022】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×10以下の化合物を意味する。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10以上(例えば、1×10~1×10)である重合体を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。高分子化合物中に2個以上存在する構成単位は、一般に、「繰り返し単位」とも呼ばれる。
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
高分子化合物の末端基は、発光素子の発光特性等の観点から、安定な基であることが好ましい。
高分子化合物の末端基としては、好ましくは、高分子化合物の主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素-炭素結合を介して高分子化合物の主鎖と結合するアリール基又は1価の複素環基が挙げられる。
【0023】
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~10である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~20であり、より好ましくは4~10である。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が、置換基で置換された基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基及び6-エチルオキシヘキシル基)であってもよい。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~20であり、より好ましくは4~10である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、及び、該基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
「アルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~20であり、好ましくは1~15であり、より好ましくは1~10である。
アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
「シクロアルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~20であり、好ましくは4~10であり、より好ましくは5~7である。
シクロアルキレン基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキレン基としては、例えば、シクロヘキシレン基、及び、該基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0024】
「芳香族炭化水素基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基を「アリール基」ともいう。芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基を「アリーレン基」ともいう。
芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~40であり、より好ましくは6~20である。
「芳香族炭化水素基」としては、例えば、単環式の芳香族炭化水素(例えば、ベンゼンが挙げられる。)、又は、多環式の芳香族炭化水素(例えば、ナフタレン、インデン、ナフトキノン、インデノン及びテトラロン等の2環式の芳香族炭化水素;アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、アントラキノン、フェナントキノン及びフルオレノン等の3環式の芳香族炭化水素;ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン及びベンゾフルオレン等の4環式の芳香族炭化水素;ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、インデノフルオレン及びベンゾフルオランテン等の5環式の芳香族炭化水素;スピロビフルオレン等の6環式の芳香族炭化水素;並びに、ベンゾスピロビフルオレン及びアセナフトフルオランテン等の7環式の芳香族炭化水素が挙げられる。)から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。芳香族炭化水素基は、単環式の芳香族炭化水素又は多環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が複数結合した基であってもよい。芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。
【0025】
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは3~20であり、より好ましくは4~10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは3~20であり、より好ましくは4~10である。
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロヘキシルオキシ基、及び、該基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~40であり、より好ましくは6~20である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよい。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、ピレニルオキシ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0026】
「複素環基」とは、複素環式化合物から環を構成する原子(炭素原子又はヘテロ原子)に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基である「芳香族複素環基」が好ましい。複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子p個(pは、1以上の整数を表す。)を除いた基を「p価の複素環基」ともいう。芳香族複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子p個を除いた基を「p価の芳香族複素環基」ともいう。
「芳香族複素環式化合物」としては、例えば、アゾール、チオフェン、フラン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン及びカルバゾール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン及びベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物が挙げられる。
複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~60であり、好ましくは2~40であり、より好ましくは3~20である。複素環基のヘテロ原子数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、通常1~30であり、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、更に好ましくは1~3である。
複素環基としては、例えば、単環式の複素環式化合物(例えば、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピロール、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ジアザベンゼン及びトリアジンが挙げられる。)、又は、多環式の複素環式化合物(例えば、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、アザインドール、ジアザインドール、ベンゾジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチオフェンジオキシド、ベンゾチオフェンオキシド及びベンゾピラノン等の2環式の複素環式化合物;ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンジオキシド、ジベンゾチオフェンオキシド、ジベンゾピラノン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、アクリドン、フェナザボリン、フェノホスファジン、フェノセレナジン、フェナザシリン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン及びジアザフェナントレン等の3環式の複素環式化合物;ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾカルバゾール、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン及びベンゾナフトチオフェン等の4環式の複素環式化合物;ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール及びジアザインデノカルバゾール等の5環式の複素環式化合物;カルバゾロカルバゾール、ベンゾインドロカルバゾール及びベンゾインデノカルバゾール等の6環式の複素環式化合物;並びに、ジベンゾインドロカルバゾール及びジベンゾインデノカルバゾール等の7環式の複素環式化合物が挙げられる。)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。複素環基は、単環式の複素環式化合物又は多環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が複数結合した基であってもよい。複素環基は置換基を有していてもよい。
【0027】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0028】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基(即ち、第2級アミノ基又は第3級アミノ基、より好ましくは第3級アミノ基)が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基が複数存在する場合、それらは同一で異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で更に置換された基が挙げられる。
置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(メチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で更に置換された基が挙げられる。
【0029】
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~30であり、好ましくは3~20であり、より好ましくは3~10である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは4~20であり、より好ましくは4~10である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは4~20であり、より好ましくは5~10である。
アルケニル基及びシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタトリエニル基、ノルボルニレニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2~30であり、好ましくは3~10である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~10である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~10である。
アルキニル基及びシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよい。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。シクロアルキニル基としては、例えば、シクロオクチニル基、及び、該基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0030】
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基である。架橋基としては、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基(即ち、式(XL-1)~式(XL-19)で表される基から選ばれる少なくとも1種の基)が好ましく、より好ましくは、式(XL-1)~式(XL-4)、式(XL-7)~式(XL-10)又は式(XL-14)~式(XL-19)で表される架橋基であり、更に好ましくは、式(XL-1)、式(XL-3)、式(XL-7)、式(XL-9)、式(XL-10)又は式(XL-16)~式(XL-19)で表される架橋基であり、特に好ましくは、式(XL-1)、式(XL-16)又は式(XL-17)~式(XL-19)で表される架橋基であり、とりわけ好ましくは、式(XL-1)又は式(XL-17)で表される架橋基である。
(架橋基A群)
【0031】
【化7】
【0032】
[式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0~5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。*1は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよく、該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0033】
「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。置換基は架橋基であってもよい。なお、置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。また、置換基が複数存在する場合、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよいが、環を形成しないことが好ましい。
【0034】
「2価の基」としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R)-で表される基、-B(R)-で表される基、-P(R)-で表される基、-(O=)P(R)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基、-Se-で表される基、-S(=O)-で表される基、-S(=O)-で表される基及び-C(=O)-で表される基が挙げられる。2価の基は、これらの基が複数結合した基であってもよい。2価の基は置換基を有していてもよい。該置換基が複
数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。Rは、水素原子又は置換基を表す。
としては、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基、ハロゲン原子及びシアノ基が挙げられ、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
【0035】
本明細書中、最低三重項励起状態のエネルギー準位と最低一重項励起状態のエネルギー準位との差の絶対値(以下、「ΔEST」ともいう。)の値の算出は、以下の方法で求められる。まず、B3LYPレベルの密度汎関数法により、化合物の基底状態を構造最適化する。その際、基底関数としては、6-31G*を用いる。そして、得られた構造最適化された構造を用いて、B3LYPレベルの時間依存密度汎関数法により、化合物のΔESTを算出する。但し、6-31G*が使用できない原子を含む場合は、該原子に対してはLANL2DZを用いる。なお、量子化学計算プログラムとしては、Gaussian09を用いて計算する。
【0036】
<組成物>
本開示の組成物は、式(1)で表される金属錯体及び高分子化合物(A)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物(A)」ともいう。)と、低分子化合物(B)及び高分子化合物(B)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物(B)」ともいう。)と、式(H-1)で表される化合物、並びに、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物(以下、「第1の高分子化合物」ともいう。)からなる群より選択される少なくとも2種の化合物(以下、「第1の化合物」ともいう。)と、を含有する組成物である。即ち、本実施形態の組成物は、化合物(A)と、化合物(B)と、2種以上の第1の化合物とを含有する組成物である。
【0037】
本開示の組成物は、例えば、発光素子用組成物として好適に用いることができる。また、本開示の組成物を含む発光素子(以下、「本開示の発光素子」ともいう。)は、外部量子効率がより優れる。
【0038】
本開示の組成物は、化合物(A)及び化合物(B)を、それぞれ、1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。本開示の組成物は、第1の化合物を、2種のみ含有していてもよく、3種以上含有していてもよい。
【0039】
本開示の組成物において、化合物(A)、化合物(B)及び2種以上の第1の化合物の合計の含有量は、組成物(例えば、発光素子用組成物であり、以下、同様である。)としての機能が奏される範囲であればよい。
本開示の組成物の一実施形態において、化合物(A)、化合物(B)及び2種以上の第1の化合物の合計の含有量は、例えば、組成物の全量基準で1~100質量%であってもよく、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは10~100質量%であり、より好ましくは30~100質量%であり、更に好ましくは50~100質量%であり、特に好ましくは70~100質量%であり、とりわけ好ましくは90~100質量%である。
本開示の組成物において、化合物(B)の含有量は、組成物としての機能が奏される範囲であればよい。本開示の組成物の一実施形態において、化合物(B)の含有量は、化合物(A)、化合物(B)及び2種以上の第1の化合物の合計の含有量を100質量部とした場合、例えば、0.01~99質量部であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.01~90質量部であり、より好ましくは0.05~70質量部であり、更に好ましくは0.1~50質量部であり、特に好ましくは0.5~30質量部であり、とりわけ好ましくは1~10質量部である。
本開示の組成物において、化合物(A)の含有量は、組成物としての機能が奏される範囲であればよい。本開示の組成物の一実施形態において、化合物(A)の含有量は、化合物(A)、化合物(B)及び2種以上の第1の化合物の合計の含有量を100質量部とした場合、例えば、0.01~99質量部であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.1~95質量部であり、より好ましくは0.5~90質量部であり、更に好ましくは1~70質量部であり、特に好ましくは5~50質量部であり、とりわけ好ましくは10~30質量部である。
【0040】
本開示の組成物において、1種の第1の化合物の含有量は、組成物としての機能が奏される範囲であればよい。本開示の組成物の一実施形態において、1種の第1の化合物の含有量は、2種以上の第1の化合物の合計の含有量を100質量部とした場合、例えば、0.1~100質量部であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは1~99質量部であり、より好ましくは10~90質量部であり、更に好ましくは20~80質量部であり、特に好ましくは30~70質量部であり、とりわけ好ましくは40~60質量部である。
本開示の組成物において、2種の第1の化合物の合計の含有量は、組成物としての機能が奏される範囲であればよい。本開示の組成物の一実施形態において、2種の第1の化合物の合計の含有量は、2種以上の第1の化合物の合計の含有量を100質量部とした場合、例えば、1~100質量部であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは10~100質量部であり、より好ましくは30~100質量部であり、更に好ましくは50~100質量部であり、特に好ましくは70~100質量部であり、とりわけ好ましくは90~100質量部である。
【0041】
本開示の組成物において、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、2種以上の第1の化合物のうち、少なくとも1種は、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物であることが好ましく、2種以上の第1の化合物のうち、少なくとも2種の組み合わせが、式(H-1)で表される化合物と、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物との組み合わせであることがより好ましい。
【0042】
本開示の組成物の一実施形態において、2種以上の第1の化合物同士は、物理的、化学的又は電気的な相互作用することが好ましい。この相互作用により、例えば、本開示の組成物の発光特性、電荷輸送特性又は電荷注入特性を向上又は調整することが可能となり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れる。
また、本開示の組成物の一実施形態において、2種以上の第1の化合物同士の相互作用、及び/又は、本開示の組成物を含有する層(例えば、発光層)の膜質等の改善等により、本開示の組成物の発光特性、電荷輸送特性及び/又は電荷注入特性がより優れたものとなり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れる。
【0043】
本開示の組成物の一実施形態において、化合物(A)と化合物(B)と第1の化合物とは、物理的、化学的又は電気的に相互作用することが好ましい。この相互作用により、例えば、本開示の組成物の発光特性、電荷輸送特性又は電荷注入特性を向上又は調整することが可能となり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れる。
【0044】
本開示の組成物の一実施形態において、発光材料を一例として説明すれば、第1の化合物と化合物(A)と化合物(B)とが電気的に相互作用し、第1の化合物から化合物(A)へ効率的に電気エネルギーを渡し、更に、化合物(A)から化合物(B)へ効率的に電気エネルギーを渡すことで、化合物(B)をより効率的に発光させることができ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れる。
【0045】
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、第1の化合物は、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性から選ばれる少なくとも1つの機能を有することがより好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、化合物(A)は、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性から選ばれる少なくとも1つの機能を有することがより好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、化合物(B)は、発光性を有することがより好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、第1の化合物の有する最低励起一重項状態(S)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、化合物(A)の有する最低励起一重項状態(S)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、第1の化合物の有する最低励起一重項状態(S)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、化合物(B)の有する最低励起一重項状態(S)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、化合物(A)の有する最低励起一重項状態(S)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、化合物(B)の有する最低励起一重項状態(S)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、第1の化合物の有する最低励起三重項状態(T)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、化合物(A)の有する最低励起三重項状態(T)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、第1の化合物の有する最低励起三重項状態(T)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、化合物(B)の有する最低励起三重項状態(T)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、化合物(A)の有する最低励起三重項状態(T)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、化合物(B)の有する最低励起三重項状態(T)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
【0046】
化合物(A)としては、本開示の発光素子を湿式法で作製できるので、化合物(B)を溶解することが可能な溶媒に対して溶解性を示すものであることが好ましい。
第1の化合物としては、本開示の発光素子を湿式法で作製できるので、化合物(B)及び化合物(A)を溶解することが可能な溶媒に対して溶解性を示すものであることが好ましい。
【0047】
本開示の組成物の一実施形態において、第1の化合物は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ホスト材料、アシストドーパント材料又はドーパント材料であることが好ましく、ホスト材料又はアシストドーパント材料であることがより好ましく、ホスト材料であることが更に好ましい。
本開示の組成物の一実施形態において、化合物(A)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ホスト材料、アシストドーパント材料又はドーパント材料であることが好ましく、アシストドーパント材料又はドーパント材料であることがより好ましく、アシストドーパント材料であることが更に好ましい。
本開示の組成物の一実施形態において、化合物(B)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ホスト材料、アシストドーパント材料又はドーパント材料であることが好ましく、アシストドーパント材料又はドーパント材料であることがより好ましく、ドーパント材料であることが更に好ましい。
【0048】
本開示の組成物の一実施形態において、ホスト材料は、アシストドーパント材料と、物理的、化学的又は電気的に相互作用する材料であることが好ましい。本開示の組成物の一実施形態において、ホスト材料は、ドーパント材料と、物理的、化学的又は電気的に相互作用する材料であることが好ましい。本開示の組成物の一実施形態において、アシストドーパント材料は、ドーパント材料と、物理的、化学的又は電気的に相互作用する材料であることが好ましい。本開示の組成物の一実施形態において、ホスト材料とアシストドーパント材料とドーパント材料とは物理的、化学的又は電気的に相互作用することが好ましい。これらの相互作用により、例えば、本開示の組成物の発光特性、電荷輸送特性又は電荷注入特性を向上又は調整することが可能となり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れる。
【0049】
本開示の組成物において、発光材料を一例として説明すれば、ホスト材料とアシストドーパント材料とドーパント材料とが電気的に相互作用し、ホスト材料からアシストドーパント材料へ効率的に電気エネルギーを渡し、更に、アシストドーパント材料からドーパント材料へ効率的に電気エネルギーを渡すことで、ドーパント材料をより効率的に発光させることができ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れる。
【0050】
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ホスト材料は、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性から選ばれる少なくとも1つの機能を有することがより好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、アシストドーパント材料は、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性から選ばれる少なくとも1つの機能を有することがより好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ドーパント材料は、発光性を有することが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、ホスト材料の有する最低励起一重項状態(S)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、アシストドーパント材料の有する最低励起一重項状態(S)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、ホスト材料の有する最低励起一重項状態(S)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ドーパント材料の有する最低励起一重項状態(S)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、アシストドーパント材料の有する最低励起一重項状態(S)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ドーパント材料の有する最低励起一重項状態(S)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、ホスト材料の有する最低励起三重項状態(T)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、アシストドーパント材料の有する最低励起三重項状態(T)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、ホスト材料の有する最低励起三重項状態(T)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ドーパント材料の有する最低励起三重項状態(T)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
上記観点から、本開示の組成物の一実施形態において、アシストドーパント材料の有する最低励起三重項状態(T)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ドーパント材料の有する最低励起三重項状態(T)より高いエネルギー準位であることが好ましい。
【0051】
本開示の組成物において、ホスト材料、アシストドーパント材料及びドーパント材料の合計の含有量は、組成物としての機能が奏される範囲であればよい。本開示の組成物の一実施形態において、ホスト材料、アシストドーパント材料及びドーパント材料の合計の含有量は、例えば、組成物の全量基準で1~100質量%であってもよく、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは10~100質量%であり、より好ましくは30~100質量%であり、更に好ましくは50~100質量%であり、特に好ましくは70~100質量%であり、とりわけ好ましくは90~100質量%である。
本開示の組成物において、ドーパント材料の含有量は、組成物としての機能が奏される範囲であればよい。本開示の組成物の一実施形態において、ドーパント材料の含有量は、ホスト材料、アシストドーパント材料及びドーパント材料の合計の含有量を100質量部とした場合、例えば、0.01~99質量部であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.01~90質量部であり、より好ましくは0.05~70質量部であり、更に好ましくは0.1~50質量部であり、特に好ましくは0.5~30質量部であり、とりわけ好ましくは1~10質量部である。
本開示の組成物において、アシストドーパント材料の含有量は、組成物としての機能が奏される範囲であればよい。本開示の組成物の一実施形態において、アシストドーパント材料の含有量は、ホスト材料、アシストドーパント材料及びドーパント材料の合計の含有量を100質量部とした場合、例えば、0.01~99質量部であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.1~95質量部であり、より好ましくは0.5~90質量部であり、更に好ましくは1~70質量部であり、特に好ましくは5~50質量部であり、とりわけ好ましくは10~30質量部である。
【0052】
アシストドーパント材料としては、本開示の発光素子を湿式法で作製できるので、ドーパント材料を溶解することが可能な溶媒に対して溶解性を示すものであることが好ましい。ホスト材料としては、本開示の発光素子を湿式法で作製できるので、アシストドーパント材料及びドーパント材料を溶解することが可能な溶媒に対して溶解性を示すものであることが好ましい。
【0053】
[化合物(B)]
化合物(B)は、低分子化合物(B)及び高分子化合物(B)からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0054】
(低分子化合物(B))
低分子化合物(B)は、ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、sp炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する低分子化合物である。
低分子化合物(B)において、縮合複素環骨格(b)が窒素原子を含む場合、縮合複素環骨格(b)に含まれる窒素原子のうち、少なくとも1つは二重結合を形成していない窒素原子であることが好ましく、縮合複素環骨格(b)に含まれる窒素原子の全てが二重結合を形成していない窒素原子であることがより好ましい。
低分子化合物(B)は、遷移金属元素を含まない低分子化合物(即ち、典型元素のみから構成される低分子化合物)であることが好ましい。
【0055】
縮合複素環骨格(b)の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~60であり、好ましくは5~40であり、より好ましくは10~25である。
縮合複素環骨格(b)のヘテロ原子数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、通常2~30であり、好ましくは2~15であり、より好ましくは2~10であり、更に好ましくは2~5であり、特に好ましくは2又は3である。
縮合複素環骨格(b)のホウ素原子数は、置換基のホウ素原子数を含めないで、通常1~10であり、好ましくは1~5であり、より好ましくは1~3であり、更に好ましくは1である。
縮合複素環骨格(b)の酸素原子、硫黄原子、セレン原子、sp炭素原子及び窒素原子の合計個数は、置換基の原子数を含めないで、通常1~20であり、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、更に好ましくは1~3であり、特に好ましくは2である。
【0056】
縮合複素環骨格(b)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種とを環内に含むことが好ましく、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含むことがより好ましく、ホウ素原子と二重結合を形成していない窒素原子とを環内に含むことが更に好ましい。
【0057】
縮合複素環骨格(b)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは3~12環式縮合複素環骨格であり、より好ましくは3~6環式縮合複素環骨格であり、更に好ましくは5環式縮合複素環骨格である。
【0058】
縮合複素環骨格(b)は、縮合複素環骨格(b)を含む複素環基(b’)を有する化合物ということもできる。
【0059】
複素環基(b’)は、ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、sp炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種とを環内に含む、多環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であってよく、該基は置換基を有していてもよい。
複素環基(b’)において、多環式の複素環式化合物は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種とを環内に含む、多環式の複素環式化合物であり、より好ましくは、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む、多環式の複素環式化合物であり、更に好ましくは、ホウ素原子と二重結合を形成していない窒素原子とを環内に含む、多環式の複素環式化合物である。
複素環基(b’)において、多環式の複素環式化合物は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは3~12環式の複素環式化合物であり、より好ましくは3~6環式の複素環式化合物であり、更に好ましくは5環式の複素環式化合物である。
【0060】
複素環基(b’)が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基がより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基が更に好ましく、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基が特に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0061】
複素環基(b’)が有していてもよい置換基における、アリール基としては、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン又はフルオレンから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、フェニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
複素環基(b’)が有していてもよい置換基における、1価の複素環基としては、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン又はフェノチアジンから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン又はトリアジンから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
複素環基(b’)が有していてもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、複素環基(b’)が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0062】
複素環基(b’)が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基がより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基が更に好ましく、アルキル基又はシクロアルキル基が特に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
複素環基(b’)が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、複素環基(b’)が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0063】
「二重結合を形成していない窒素原子」とは、他の3つの原子とそれぞれ単結合で結合する窒素原子を意味する。
「環内に二重結合を形成していない窒素原子を含む」とは、環内に-N(-R)-(式中、Rは水素原子又は置換基を表す。)又は式:
【0064】
【化8】
【0065】
で表される基を含むことを意味する。
【0066】
低分子化合物(B)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、熱活性化遅延蛍光(TADF)性化合物であることが好ましい。
ここで、熱活性化遅延蛍光性化合物とは、熱活性化遅延蛍光性を有する化合物である。
【0067】
低分子化合物(B)のΔESTは、2.0eV以下であってもよく、1.5eV以下であってもよく、1.0eV以下であってもよく、0.80eV以下であってもよいが、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.60eV以下であり、より好ましくは0.55eV以下であり、更に好ましくは0.50eV以下である。また、低分子化合物(B)のΔESTは、0.001eV以上であってもよく、0.01eV以上であってもよく、0.10eV以上であってもよく、0.20eV以上であってもよく、0.30eV以上であってもよく、0.40eV以上であってもよい。
【0068】
低分子化合物(B)の分子量は、好ましくは1×10~5×10であり、より好ましくは2×10~3×10であり、更に好ましくは3×10~1.5×10であり、特に好ましくは4×10~1×10である。
【0069】
低分子化合物(B)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、式(1-1)、式(1-2)又は式(1-3)で表される化合物であることが好ましく、式(1-2)又は式(1-3)で表される化合物であることがより好ましく、式(1-2)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0070】
Ar、Ar及びArは、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単環式若しくは2環式~6環式の芳香族炭化水素、又は、単環式若しくは2環
式~6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素、又は、単環式、2環式若しくは3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、更に好ましくは、単環式の芳香族炭化水素又は単環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、ピリジン又はジアザベンゼンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、とりわけ好ましくは、ベンゼンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar、Ar及びArが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、複素環基(b’)が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0071】
は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、酸素原子、硫黄原子、-N(Ry)-で表される基又はアルキレン基であり、より好ましくは、酸素原子、硫黄原子又は-N(Ry)-で表される基であり、更に好ましくは、-N(Ry)-で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0072】
及びYは、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、-N(Ry)-で表される基、-B(Ry)-で表される基、アルキレン基又はシクロアルキレン基であり、より好ましくは、単結合、酸素原子、硫黄原子、-N(Ry)-で表される基、-B(Ry)-で表される基又はアルキレン基であり、更に好ましくは、酸素原子、硫黄原子、-N(Ry)-で表される基又はアルキレン基であり、特に好ましくは、酸素原子、硫黄原子又は-N(Ry)-で表される基であり、とりわけ好ましくは、-N(Ry)-で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0073】
及びYにおけるアリーレン基としては、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン又はフルオレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、フェニレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
及びYにおける2価の複素環基としては、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン又は5,10-ジヒドロフェナジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン又は5,10-ジヒドロフェナジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン又はトリアジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
、Y及びYにおけるアルキレン基としては、好ましくは、メチレン基、エチレ
ン基又はプロピレン基であり、より好ましくはメチレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0074】
本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、Y、Y及びYの全てが、酸素原子、硫黄原子又は-N(Ry)-で表される基であることが好ましく、Y、Y及びYの全てが、-N(Ry)-で表される基であることがより好ましい。
【0075】
、Y及びYが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、複素環基(b’)が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0076】
Ryは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ryにおけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、複素環基(b’)が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ryが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、複素環基(b’)が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0077】
とArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、低分子化合物(B)の合成が容易なので、環を形成しないことが好ましい。
とArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合において、2価の基としては、好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R)-で表される基、-B(R)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基又は-Se-で表される基であり、より好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、-N(R)-で表される基、-B(R)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基又は-Se-で表される基であり、更に好ましくは、アルキレン基、-N(R)-で表される基、-O-で表される基又は-S-で表される基であり、特に好ましくは、-O-で表される基、-S-で表される基又は-N(R)-で表される基であり、とりわけ好ましくは、-N(R)-で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
とArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合において、2価の基におけるアリーレン基、2価の複素環基及びアルキレン基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Y及びYにおけるアリーレン基、2価の複素環基及びアルキレン基の例及び好ましい範囲と同じである。
とArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合において、2価の基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Y及びYが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
とArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合において、2価の基におけるRの例及び好ましい範囲は、Ryの例及び好ましい範囲と同じである。
【0078】
とArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、低分子化合物(B)の合成が容易なので、環を形成しないことが好ましい。YとArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、YとArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
とArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、低分子化合物(B)の合成が容易なので、環を形成しないことが好ましい。YとArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、YとArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
とArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、低分子化合物(B)の合成が容易なので、環を形成しないことが好ましい。YとArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、YとArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
とArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、低分子化合物(B)の合成が容易なので、環を形成しないことが好ましい。YとArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、YとArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
とArとは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、低分子化合物(B)の合成が容易なので、環を形成しないことが好ましい。YとArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、YとArとが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0079】
低分子化合物(B)としては、下記式で表される化合物、及び、後述の化合物B1が例示される。なお、式中、Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Zが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0080】
【化9】
【0081】
【化10】
【0082】
低分子化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長は、好ましくは380nm以上であり、より好ましくは400nm以上であり、更に好ましくは420nm以上であり、特に好ましくは440nm以上である。低分子化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長は、好ましくは750nm以下であり、より好ましくは620nm以下であり、更に好ましくは570nm以下であり、特に好ましくは495nm以下であり、とりわけ好ましくは480nm以下である。
低分子化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは40nm以下であり、更に好ましくは30nm以下であり、特に好ましくは25nm以下である。
化合物の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は、化合物を、キシレン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解させ、希薄溶液を調製し(1×10-6質量%~1×10-3質量%)、該希薄溶液のPLスペクトルを室温で測定することで評価することができる。化合物を溶解させる有機溶媒としては、キシレンが好ましい。
【0083】
(高分子化合物(B))
高分子化合物(B)は、低分子化合物(B)から水素原子1個以上を除いた基を有する構成単位(以下、「構成単位(B)」ともいう。)を含む高分子化合物である。
構成単位(B)は、高分子化合物(B)の合成が容易なので、好ましくは、低分子化合物(B)から水素原子1個以上5個以下を除いた基を有する構成単位であり、より好ましくは、低分子化合物(B)から水素原子1個以上3個以下を除いた基を有する構成単位であり、更に好ましくは、低分子化合物(B)から水素原子1個又は2個を除いた基を有する構成単位である。
構成単位(B)は、高分子化合物(B)の合成が容易であり、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、式(BP-1)、式(BP-2)又は式(BP-3)で表される構成単位であり、より好ましくは、式(BP-1)又は式(BP-2)で表される構成単位である。
【0084】
【化11】
【0085】
[式中、
BP1は、低分子化合物(B)から水素原子1個を除いた基を表す。
BP2は、低分子化合物(B)から水素原子2個を除いた基を表す。
BP3は、低分子化合物(B)から水素原子3個を除いた基を表す。
BP1は、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(RBP1)-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。RBP1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。LBP1が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
BP1は、0以上10以下の整数を表す。
ArBP1は、炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0086】
BP1は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又は2価の複素環基であることが好ましく、アルキレン基又はアリーレン基であることがより好ましく、アリーレン基であることが更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
BP1におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、後述のArY1におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
BP1におけるアルキレン基としては、好ましくは、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基であり、より好ましくはメチレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
BP1の例及び好ましい範囲は、後述のRX1~RX3の例及び好ましい範囲と同じである。
【0087】
BP1は、好ましくは0~5の整数であり、好ましくは0~3の整数であり、より好ましくは0又は1であり、更に好ましくは0である。
【0088】
ArBP1における炭化水素基としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基及び置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基が挙げられる。ArBP1における炭化水素基は、これらの基が複数結合した基を含む。
ArBP1において、脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基又はシクロアルキレン基から水素原子nBP1個を除いた基が挙げられ、好ましくは、アルキレン基から水素原子nBP1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。このアルキレン基の例及び好ましい範囲としては、後述のLH1におけるアルキレン基の例及び好ましい範囲が挙げられる。
ArBP1において、芳香族炭化水素基としては、アリーレン基から水素原子nBP1個を除いた基が挙げられ、この基は置換基を有していてもよい。このアリーレン基の例及び好ましい範囲としては、後述のArY1におけるアリーレン基の例及び好ましい範囲が挙げられる。
ArBP1における複素環基としては、2価の複素環基から水素原子nBP1個を除いた基が挙げられ、この基は置換基を有していてもよい。この2価の複素環基の例及び好ましい範囲としては、後述のArY1における2価の複素環基の例及び好ましい範囲が挙げられる。
BP1及びArBP1が有していてもよい置換基の例及び好ましい例は、後述のArY1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0089】
構成単位(B)としては、例えば、下記式で表される構成単位が挙げられる。
【0090】
【化12】
【0091】
【化13】
【0092】
[式中、
TSは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。複数存在するRTSは、同一でも異なっていてもよい。]
【0093】
TSにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、後述のArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
TSが有してもよい置換基の例及び好ましい範囲は、後述のArY1で表される基が有してもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0094】
高分子化合物(B)に含まれる構成単位(B)の含有量は、高分子化合物(B)としての機能が奏される範囲であればよい。高分子化合物(B)に含まれる構成単位(B)の含有量は、高分子化合物(B)に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、例えば、0.01~100モル%であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.05~90モル%であり、より好ましくは0.1~70モル%であり、更に好ましくは0.2~50モル%であり、特に好ましくは0.5~30モル%であり、とりわけ好ましくは1~10モル%である。構成単位(B)は、高分子化合物(B)中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0095】
高分子化合物(B)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、後述の式(X)で表される構成単位及び後述の式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を更に含むことが好ましい。即ち、高分子化合物(B)は、後述の式(X)で表される構成単位及び後述の式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位と、構成単位(B)とを含む高分子化合物であることが好ましい。
高分子化合物(B)が、後述の式(X)で表される構成単位及び後述の式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位と、構成単位(B)とを含む場合、構成単位(B)と、後述の式(X)で表される構成単位及び後述の式(Y)で表される構成単位とは異なることが好ましい。
高分子化合物(B)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、後述の式(Y)で表される構成単位を更に含むことが好ましい。
高分子化合物(B)は、高分子化合物(B)の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、後述の式(X)で表される構成単位を更に含むことが好ましい。
高分子化合物(B)は、高分子化合物(B)の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率が更に優れるので、後述の式(X)で表される構成単位及び後述の式(Y)で表される構成単位を更に含むことが好ましい。
【0096】
高分子化合物(B)が後述の式(X)で表される構成単位を含む場合、後述の式(X)で表される構成単位の含有量は、高分子化合物(B)としての機能が奏される範囲であればよい。高分子化合物(B)が後述の式(X)で表される構成単位を含む場合、後述の式(X)で表される構成単位の含有量は、高分子化合物(B)に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、例えば、0.01~99.9モル%であり、高分子化合物(B)の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.05~90モル%であり、より好ましくは0.1~70モル%であり、更に好ましくは0.2~50モル%であり、特に好ましくは0.5~30モル%であり、とりわけ好ましくは1~10モル%である。
式(X)で表される構成単位は、高分子化合物(B)中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0097】
高分子化合物(B)が式(Y)で表される構成単位を含む場合、式(Y)で表される構成単位の含有量は、高分子化合物(B)としての機能が奏される範囲であればよい。高分子化合物(B)が式(Y)で表される構成単位を含む場合、式(Y)で表される構成単位の含有量は、高分子化合物(B)に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、例えば、1~99.99モル%であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは10~99.95モル%であり、より好ましくは30~99.9モル%であり、更に好ましくは50~99.8モル%であり、特に好ましくは70~99.5モル%であり、とりわけ好ましくは90~99モル%である。
式(Y)で表される構成単位は、高分子化合物(B)中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0098】
高分子化合物(B)が、式(X)で表される構成単位及び/又は式(Y)で表される構成単位、並びに、構成単位(B)を含む場合、式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位及び構成単位(B)の合計の含有量は、高分子化合物(B)としての機能が奏される範囲であればよい。高分子化合物(B)が、式(X)で表される構成単位及び/又は式(Y)で表される構成単位、並びに、構成単位(B)を含む場合、式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位及び構成単位(B)の合計の含有量は、高分子化合物(B)に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、例えば、1~100モル%であり、高分子化合物(B)の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは10~100モル%であり、より好ましくは30~100モル%であり、更に好ましくは50~100モル%であり、特に好ましくは70~100モル%であり、とりわけ好ましくは90~100モル%である。
【0099】
高分子化合物(B)としては、例えば、高分子化合物BP-1~BP-4が挙げられる。ここで、「その他」とは、構成単位(B)、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
【0100】
【表1】
【0101】
[表中、p、q、r及びsは、各構成単位のモル比率(モル%)を表す。p+q+r+s=100であり、且つ、70≦p+q+r≦100である。]
【0102】
高分子化合物(B)は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合した共重合体であることが好ましい。
【0103】
高分子化合物(B)のポリスチレン換算の数平均分子量の例及び好ましい範囲は、後述の第1の高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量の例及び好ましい範囲と同じである。高分子化合物(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量の例及び好ましい範囲は、後述の第1の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量の例及び好ましい範囲と同じである。
【0104】
(高分子化合物(B)の製造方法)
高分子化合物(B)は、後述の第1の高分子化合物の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0105】
[化合物(A)]
化合物(A)は、式(1)で表される金属錯体及び高分子化合物(A)からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0106】
(式(1)で表される金属錯体)
式(1)で表される金属錯体は、低分子化合物であることが好ましい。
式(1)で表される金属錯体の分子量は、好ましくは、3×10~1×10であり、より好ましくは、4×10~7×10あり、更に好ましくは、5×10~5×10であり、特に好ましくは、6×10~3×10であり、とりわけ好ましくは、7×10~2×10である。
【0107】
Mは、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、イリジウム原子又は白金原子であることが好ましく、イリジウム原子であることがより好ましい。
Mがロジウム原子又はイリジウム原子の場合、nは2又は3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
Mがパラジウム原子又は白金原子の場合、nは2であることが好ましい。
【0108】
及びEの少なくとも一方が炭素原子であることが好ましく、E及びEが炭素原子であることがより好ましい。
式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、EとEとは同一であることが好ましい。また、式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、Eが複数存在する場合、複数存在するEのうち、少なくとも2つが同一であることが好ましく、複数存在するEのすべてが同一であることがより好ましい。また、式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、Eが複数存在する場合、複数存在するEのうち、少なくとも2つが同一であることが好ましく、複数存在するEのすべてが同一であることがより好ましい。
【0109】
環Lにおける芳香族複素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20であり、更に好ましくは1~10であり、特に好ましくは1~5であり、とりわけ好ましくは1~3である。
環Lにおける芳香族複素環のヘテロ原子数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~10であり、更に好ましくは1~5であり、特に好ましくは1~3である。
環Lとしては、例えば、前述の複素環基の項で例示した芳香族複素環の中で、環内に1つ以上の窒素原子を含む芳香族複素環が挙げられ、該芳香族複素環は置換基を有していてもよい。この中でも、環Lは、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、5員環を含む芳香族複素環又は6員環を含む芳香族複素環であり、より好ましくは、環内に2つ以上4つ以下の窒素原子を含む5員環を含む芳香族複素環、又は、環内に1つ以上4つ以下の窒素原子を含む6員環を含む芳香族複素環であり、更に好ましくは、環内に2つ又は3つの窒素原子を含む5員環を含む芳香族複素環、又は、環内に1つ又は2つの窒素原子を含む6員環を含む芳香族複素環であり、特に好ましくは、環内に2つ又は3つの窒素原子を含む5員環を含む芳香族複素環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。但し、環Lが6員の芳香族複素環である場合、Eは炭素原子であることが好ましい。
環Lは、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族複素環であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、更に好ましくは、ピリジン環、アザナフタレン環、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、特に好ましくは、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、とりわけ好ましくは、トリアゾール環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、環Lが複数存在する場合、複数存在する環Lのうち、少なくとも2つが同一であることが好ましく、複数存在する環Lのすべてが同一であることがより好ましい。
【0110】
環Lにおける芳香族炭化水素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは6~60であり、より好ましくは6~40であり、更に好ましくは6~20である。
環Lにおける芳香族炭化水素環としては、例えば、前述の芳香族炭化水素基の項で例示した芳香族炭化水素環が挙げられ、好ましくは、5員環又は6員環を含む芳香族炭化水素環であり、これらの芳香族炭化水素環は置換基を有していてもよい。この中でも、環Lにおける芳香族炭化水素環は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、前述の芳香族炭化水素基の項で例示した、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素環(好ましくは5員環又は6員環を含む芳香族炭化水素環)であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環又はジヒドロフェナントレン環であり、更に好ましくは、ベンゼン環又はフルオレン環であり、特に好ましくは、ベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環Lにおける芳香族複素環の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは1~60であり、より好ましくは2~40であり、更に好ましくは3~20である。環Lにおける芳香族複素環のヘテロ原子数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、更に好ましくは1~3である。
環Lにおける芳香族複素環としては、例えば、前述の複素環基の項で例示した芳香族複素環が挙げられ、好ましくは、5員環又は6員環を含む芳香族複素環であり、これらの芳香族複素環は置換基を有していてもよい。この中でも、環Lにおける芳香族複素環は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、前述の複素環基の項で例示した、単環式、2環式又は3環式の芳香族複素環(好ましくは、5員環又は6員環を含む芳香族複素環)であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、更に好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、特に好ましくは、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
環Lは、本開示の発光素子の外部量子効率が更に優れるので、好ましくは、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素環(好ましくは、5員環若しくは6員環を含む芳香族炭化水素環)、又は、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族複素環(好ましくは、5員環若しくは6員環を含む芳香族複素環)であり、より好ましくは、ベンゼン環、フルオレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であり、更に好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であり、特に好ましくは、ベンゼン環であり、これらの環は置換基を有していてもよい。
式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、環Lが複数存在する場合、複数存在する環Lのうち、少なくとも2つが同一であることが好ましく、複数存在する環Lのすべてが同一であることがより好ましい。
【0111】
本開示の発光素子の外部量子効率が更に優れるので、環Lが、5員環を含む芳香族複素環(好ましくは、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族複素環)又は6員環を含む芳香族複素環(好ましくは、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族複素環)であり、且つ、環Lが、5員環若しくは6員環を含む芳香族炭化水素環(好ましくは、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素環)、又は、5員環若しくは6員環を含む芳香族複素環(好ましくは、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族複素環)であることが好ましく、環Lがピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、且つ、環Lがベンゼン環、フルオレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環であることがより好ましく、環Lがピリジン環、ジアザベンゼン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、且つ、環Lがベンゼン環、ピリジン環又はジアザベンゼン環であることが更に好ましく、環Lがピリジン環、アザナフタレン環、ジアゾール環又はトリアゾール環であり、且つ、環Lがベンゼン環であることが特に好ましく、環Lがジアゾール環又はトリアゾール環であり、且つ、環Lがベンゼン環であることがとりわけ好ましく、環Lがトリアゾール環であり、且つ、環Lがベンゼン環であることがとりわけより好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0112】
環L及び環Lが有していてもよい置換基(以下、「一次置換基」ともいう。)としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基(以下、「二次置換基」ともいう。)を有していてもよい。
【0113】
環L及び環Lのうちの少なくとも1つは、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、一次置換基を有することが好ましい。
式(1)で表される金属錯体において、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが一次置換基を有し、且つ、環L及び環Lが複数存在する場合、複数存在する環L及び環Lのうちの少なくとも1つの環が一次置換基を有していればよいが、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、複数存在する環L及び環Lのうちの少なくとも2つが一次置換基を有することが好ましく、複数存在する環L及び環Lのうちの少なくとも3つが一次置換基を有することがより好ましい。また、式(1)で表される金属錯体において、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが一次置換基を有し、且つ、環L及び環Lが複数存在する場合、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、複数存在する環Lのうちの少なくとも2つが一次置換基を有すること、又は、複数存在する環Lのうちの少なくとも2つが一次置換基を有することが好ましく、複数存在する環Lの全てが一次置換基を有すること、又は、複数存在する環Lの全てが一次置換基を有することがより好ましく、複数存在する環Lの全てが一次置換基を有することが更に好ましい。
式(1)で表される金属錯体において、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが一次置換基を有する場合、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが有する一次置換基の個数は、通常1個~10個であり、式(1)で表される金属錯体を容易に合成でき、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは1個~5個であり、より好ましくは1個~3個であり、更に好ましくは1個又は2個である。
式(1)で表される金属錯体において、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが一次置換基を有し、且つ、Mがロジウム原子又はイリジウム原子である場合、環L及び環Lが有する一次置換基の合計の個数は、通常、1個~30個であり、式(1)で表される金属錯体を容易に合成でき、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは1個~18個であり、より好ましくは2個~12個であり、更に好ましくは3個~6個である。
式(1)で表される金属錯体において、環L及び環Lのうちの少なくとも1つが一次置換基を有し、且つ、Mがパラジウム原子又は白金原子である場合、環L及び環Lが有する一次置換基の合計の個数は、通常、1個~20個であり、式(1)で表される金属錯体を容易に合成でき、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは1個~12個であり、より好ましくは1個~8個であり、更に好ましくは2個~4個である。
【0114】
一次置換基におけるアリール基としては、好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、フェニル基、ナフチル基又はフルオレニル基であり、更に好ましくは、フェニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
一次置換基における1価の複素環基としては、好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環又はトリアジン環から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
一次置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、一次置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0115】
二次置換基(一次置換基が更に有していてもよい置換基)の例及び好ましい範囲は、一次置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
二次置換基は更に置換基(以下、「三次置換基」ともいう。)を有していてもよい。三次置換基(二次置換基が更に有していてもよい置換基)の例及び好ましい範囲は、一次置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
三次置換基は更に置換基(以下、「四次置換基」ともいう。)を有していてもよい。四次置換基(三次置換基が更に有していてもよい置換基)としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、式(1)で表される金属錯体を容易に合成できるので、更に置換基を有さないことが好ましい。
二次置換基、三次置換基及び四次置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、一次置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0116】
(アニオン性の2座配位子)
1-G1-A2で表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記式で表される配位子が挙げられる。但し、A1-G1-A2で表されるアニオン性の2座配位子は、添え字n1でその数を定義されている配位子とは異なる。
【0117】
【化14】
【0118】
[式中、*は、Mと結合する部位を表す。]
【0119】
式(1)で表される金属錯体としては、例えば、以下に示す金属錯体が例示される。
【0120】
【化15】
【0121】
【化16】
【0122】
【化17】
【0123】
【化18】
【0124】
【化19】
【0125】
(高分子化合物(A))
高分子化合物(A)は、式(1)で表される金属錯体から水素原子1個以上を除いた基を有する構成単位(以下、「構成単位(A)」ともいう。)を含む高分子化合物である。
構成単位(A)は、高分子化合物(A)の合成が容易なので、好ましくは、式(1)で表される金属錯体から水素原子1個以上5個以下を除いた基を有する構成単位であり、より好ましくは、式(1)で表される金属錯体から水素原子1個以上3個以下を除いた基を有する構成単位であり、更に好ましくは、式(1)で表される金属錯体から水素原子1個又は2個を除いた基を有する構成単位である。
構成単位(A)は、高分子化合物(A)の合成が容易であり、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、式(AP-1)、式(AP-2)又は式(AP-3)で表される構成単位であり、より好ましくは、式(AP-1)又は式(AP-2)で表される構成単位であり、更に好ましくは、式(AP-1)で表される構成単位である。
【0126】
【化20】
【0127】
[式中、
AP1は、式(1)で表される金属錯体から水素原子1個を除いた基を表す。
AP2は、式(1)で表される金属錯体から水素原子2個を除いた基を表す。
AP3は、式(1)で表される金属錯体から水素原子3個を除いた基を表す。
AP1は、それぞれ独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(RAP1)-で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。RAP1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。LAP1が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
AP1は、0以上10以下の整数を表す。
ArAP1は、炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0128】
AP1の例及び好ましい範囲は、LBP1の例及び好ましい範囲と同じである。
AP1の例及び好ましい範囲は、RBP1の例及び好ましい範囲と同じである。
AP1の例及び好ましい範囲は、nBP1の例及び好ましい範囲と同じである。
ArAP1の例及び好ましい範囲は、ArBP1の例及び好ましい範囲と同じである。
【0129】
構成単位(A)としては、例えば、下記式で表される構成単位が挙げられる。
【0130】
【化21】
【0131】
【化22】
【0132】
【化23】
【0133】
【化24】
【0134】
【化25】
【0135】
【化26】
【0136】
【化27】
【0137】
[式中、
は、-CH=で表される基又は-N=で表される基を表す。Zが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
は、水素原子又は一次置換基を表す。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0138】
高分子化合物(A)に含まれる構成単位(A)の含有量は、高分子化合物(A)としての機能が奏される範囲であればよい。高分子化合物(A)に含まれる構成単位(A)の含有量は、高分子化合物(A)に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、例えば、0.01~100モル%であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.1~99モル%であり、より好ましくは0.5~90モル%であり、更に好ましくは1~70モル%であり、特に好ましくは5~50モル%であり、とりわけ好ましくは10~30モル%である。構成単位(A)は、高分子化合物(A)中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0139】
高分子化合物(A)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、後述の式(X)で表される構成単位及び後述の式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を更に含むことが好ましい。即ち、高分子化合物(A)は、後述の式(X)で表される構成単位及び後述の式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位と、構成単位(A)とを含む高分子化合物であることが好ましい。
高分子化合物(A)が、後述の式(X)で表される構成単位及び後述の式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位と、構成単位(A)とを含む場合、構成単位(A)と、後述の式(X)で表される構成単位及び後述の式(Y)で表される構成単位とは異なることが好ましい。
高分子化合物(A)は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、後述の式(Y)で表される構成単位を更に含むことが好ましい。
高分子化合物(A)は、高分子化合物(A)の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、後述の式(X)で表される構成単位を更に含むことが好ましい。
高分子化合物(A)は、高分子化合物(A)の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、後述の式(X)で表される構成単位及び後述の式(Y)で表される構成単位を更に含むことが好ましい。
【0140】
高分子化合物(A)が後述の式(X)で表される構成単位を含む場合、後述の式(X)で表される構成単位の含有量は、高分子化合物(A)としての機能が奏される範囲であればよい。高分子化合物(A)が後述の式(X)で表される構成単位を含む場合、後述の式(X)で表される構成単位の含有量は、高分子化合物(A)に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、例えば、0.01~99.9モル%であり、高分子化合物(B)の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.05~90モル%であり、より好ましくは0.1~70モル%であり、更に好ましくは0.2~50モル%であり、特に好ましくは0.5~30モル%であり、とりわけ好ましくは1~10モル%である。
式(X)で表される構成単位は、高分子化合物(A)中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0141】
高分子化合物(A)が式(Y)で表される構成単位を含む場合、式(Y)で表される構成単位の含有量は、高分子化合物(A)としての機能が奏される範囲であればよい。高分子化合物(A)が式(Y)で表される構成単位を含む場合、式(Y)で表される構成単位の含有量は、高分子化合物(A)に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、例えば、0.1~99.99モル%であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは1~99.9モル%であり、より好ましくは10~99.5モル%であり、更に好ましくは30~99モル%であり、特に好ましくは50~95モル%であり、とりわけ好ましくは70~90モル%である。
式(Y)で表される構成単位は、高分子化合物(A)中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0142】
高分子化合物(A)が、式(X)で表される構成単位及び/又は式(Y)で表される構成単位、並びに、構成単位(A)を含む場合、式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位及び構成単位(A)の合計の含有量は、高分子化合物(A)としての機能が奏される範囲であればよい。高分子化合物(A)が、式(X)で表される構成単位及び/又は式(Y)で表される構成単位、並びに、構成単位(A)を含む場合、式(X)で表される構成単位、式(Y)で表される構成単位及び構成単位(A)の合計の含有量は、高分子化合物(A)に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、例えば、1~100モル%であり、高分子化合物(A)の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは10~100モル%であり、より好ましくは30~100モル%であり、更に好ましくは50~100モル%であり、特に好ましくは70~100モル%であり、とりわけ好ましくは90~100モル%である。
【0143】
高分子化合物(A)としては、例えば、高分子化合物AP-1~AP-4が挙げられる。ここで、「その他」とは、構成単位(A)、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
【0144】
【表2】
【0145】
[表中、p、q、r及びsは、各構成単位のモル比率(モル%)を表す。p+q+r+s=100であり、且つ、70≦p+q+r≦100である。]
【0146】
高分子化合物(A)は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合した共重合体であることが好ましい。
【0147】
高分子化合物(A)のポリスチレン換算の数平均分子量の例及び好ましい範囲は、後述の第1の高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量の例及び好ましい範囲と同じである。高分子化合物(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量の例及び好ましい範囲は、後述の第1の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量の例及び好ましい範囲と同じである。
【0148】
(高分子化合物(A)の製造方法)
高分子化合物(A)は、後述の第1の高分子化合物の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0149】
[第1の化合物]
第1の化合物は、式(H-1)で表される化合物及び第1の高分子化合物からなる群より選択される少なくとも2種である。
【0150】
本開示の組成物において、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、2種以上の第1の化合物のうち、少なくとも1種は第1の高分子化合物であることが好ましく、2種以上の第1の化合物のうち、少なくとも2種の組み合わせは、2種の第1の高分子化合物の組み合わせ、又は、第1の高分子化合物と式(H-1)で表される化合物との組み合わせであることがより好ましく、2種以上の第1の化合物のうち、少なくとも2種の組み合わせは、第1の高分子化合物と式(H-1)で表される化合物との組み合わせであることが更に好ましい。
【0151】
本開示の組成物において、第1の高分子化合物及び式(H-1)で表される化合物の合計の含有量は、組成物としての機能が奏される範囲であればよい。本開示の組成物において、第1の高分子化合物及び式(H-1)で表される化合物の合計の含有量は、2種以上の第1の化合物の合計の含有量を100質量部とした場合、例えば、1~100質量部であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは10~100質量部であり、より好ましくは30~100質量部であり、更に好ましくは50~100質量部であり、特に好ましくは70~100質量部であり、とりわけ好ましくは90~100質量部である。
本開示の組成物において、2種以上の第1の化合物のうち、少なくとも1種が第1の高分子化合物である場合、第1の高分子化合物の含有量は、組成物としての機能が奏される範囲であればよい。本開示の組成物において、2種以上の第1の化合物のうち、少なくとも1種が第1の高分子化合物である場合、第1の高分子化合物の含有量は、2種以上の第1の化合物の合計の含有量を100質量部とした場合、例えば、0.1~100質量部であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは1~99質量部であり、より好ましくは10~90質量部であり、更に好ましくは20~80質量部であり、特に好ましくは30~70質量部であり、とりわけ好ましくは40~60質量部である。
本開示の組成物において、2種以上の第1の化合物のうち、少なくとも1種が式(H-1)で表される化合物である場合、式(H-1)で表される化合物の含有量は、組成物としての機能が奏される範囲であればよい。本開示の組成物において、2種以上の第1の化合物のうち、少なくとも1種が式(H-1)で表される化合物である場合、式(H-1)で表される化合物の含有量は、2種以上の第1の化合物の合計の含有量を100質量部とした場合、例えば、0.1~100質量部であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは1~99質量部であり、より好ましくは10~90質量部であり、更に好ましくは20~80質量部であり、特に好ましくは30~70質量部であり、とりわけ好ましくは40~60質量部である。
【0152】
(式(H-1)で表される化合物)
式(H-1)で表される化合物は、低分子化合物であることが好ましい。
本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、式(H-1)で表される化合物の分子量は、好ましくは1×10~5×10であり、より好ましくは2×10~3×10であり、更に好ましくは3×10~1.5×10であり、特に好ましくは4×10~1×10である。
式(H-1)で表される化合物は、化合物(B)と異なる化合物であることが好ましく、化合物中に、縮合複素環骨格(b)を有さない化合物であることがより好ましい。
【0153】
ArH1及びArH2におけるアリール基は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2~7環式の芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2~5環式の芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArH1及びArH2におけるアリール基は、本開示の発光素子の外部量子効率が更に優れるので、好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、インデノフルオレン又はベンゾフルオランテンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン又はベンゾフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン又はアントラセンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0154】
ArH1及びArH2における1価の複素環基は、縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であることが好ましく、この基は置換基を有していてもよい。ArH1及びArH2における1価の複素環基において、縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物としては、例えば、前述の複素環基の項で説明した複素環式化合物の中で、ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、sp炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種とを環内に含まない複素環式化合物が挙げられる。
ArH1及びArH2における1価の複素環基は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2~7環式の複素環式化合物(好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式又は2~7環式の複素環式化合物)から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2~5環式の複素環式化合物(好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式又は2~5環式の複素環式化合物)から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物(好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物)から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、3環式の複素環式化合物(好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、3環式の複素環式化合物)から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArH1及びArH2における1価の複素環基は、本開示の発光素子の外部量子効率が更に優れるので、好ましくは、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピロール、ジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、アザインドール、ジアザインドール、ベンゾジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン、ジアザフェナントレン、ベンゾカルバゾール、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン、ベンゾナフトチオフェン、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール又はジアザインデノカルバゾールから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン、ベンゾナフトチオフェン、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール又はジアザインデノカルバゾールから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン又は5,10-ジヒドロフェナジンから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン又はカルバゾールから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン又はカルバゾールから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0155】
ArH1及びArH2における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基であるアリール基の例及び好ましい範囲は、ArH1及びArH2におけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。アミノ基が有する置換基である1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、ArH1及びArH2における1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0156】
本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、ArH1及びArH2の少なくとも1つは、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、ArH1及びArH2の両方が、アリール基又は1価の複素環基であることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArH1及びArH2におけるアリール基及び1価の複素環基としては、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素、又は、単環式、2環式若しくは3環式の複素環式化合物(好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基が好ましく、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン又はカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基がより好ましく、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基又はジベンゾフリル基が更に好ましく、フェニル基、ナフチル基又はカルバゾリル基が特に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0157】
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基としては、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、特に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArH1及びArH2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0158】
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、特に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArH1及びArH2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0159】
H1における2価の基としては、好ましくは、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R)-で表される基、-(O=)P(R)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基、-S(=O)-で表される基又は-C(=O)-で表される基であり、より好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R)-で表される基、-O-で表される基又は-S-で表される基であり、更に好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又は2価の複素環基であり、特に好ましくは、アリーレン基又は2価の複素環基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
H1における2価の基の少なくとも1つは、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又は2価の複素環基であり、より好ましくは、アリーレン基又は2価の複素環基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0160】
H1における2価の基において、アリーレン基は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2~7環式の芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2~5環式の芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
H1における2価の基において、アリーレン基は、本開示の発光素子の外部量子効率が更に優れるので、好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、インデノフルオレン又はベンゾフルオランテンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン又はベンゾフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン又はアントラセンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0161】
H1における2価の基において、2価の複素環基は、縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物から、環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であることが好ましく、この基は置換基を有していてもよい。LH1における2価の基において、2価の複素環基における縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物としては、前述の複素環基の項で説明した複素環式化合物の中で、ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、sp炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種とを環内に含まない複素環式化合物が挙げられる。
H1における2価の基において、2価の複素環基は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2~7環式の複素環式化合物(好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式又は2~7環式の複素環式化合物)から環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2~5環式の複素環式化合物(好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式又は2~5環式の複素環式化合物)から環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物(好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物)から環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、3環式の複素環式化合物(好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、3環式の複素環式化合物)から環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
H1における2価の基において、2価の複素環基は、本開示の発光素子の外部量子効率が更に優れるので、好ましくは、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピロール、ジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、アザインドール、ジアザインドール、ベンゾジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン、ジアザフェナントレン、ベンゾカルバゾール、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン、ベンゾナフトチオフェン、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール又はジアザインデノカルバゾールから環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、ベンゾカルバゾール、アザベンゾカルバゾール、ジアザベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン、ベンゾナフトチオフェン、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザインドロカルバゾール、ジアザインドロカルバゾール、アザインデノカルバゾール又はジアザインデノカルバゾールから環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン又は5,10-ジヒドロフェナジンから環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン又はカルバゾールから環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、とりわけ好ましくは、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン又はカルバゾールから環を構成する原子(好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0162】
H1における2価の基において、アルキレン基としては、好ましくは、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基であり、より好ましくはメチレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0163】
H1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0164】
H1における2価の基において、Rは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
H1における2価の基において、Rにおけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArH1及びArH2におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
H1における2価の基において、Rが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0165】
H1は、通常、0以上10以下の整数であり、好ましくは0以上7以下の整数であり、より好ましくは1以上5以下の整数であり、更に好ましくは1以上3以下の整数であり、特に好ましくは1又は2である。
【0166】
ArH1とArH2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、式(H-1)で表される化合物の合成が容易なので、環を形成しないことが好ましい。
ArH1とArH2とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合において、2価の基としては、好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、-N(R)-で表される基、-(O=)P(R)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基、-S(=O)-で表される基又は-C(=O)-で表される基であり、より好ましくは、アルキレン基、シクロアルキレン基、-N(R)-で表される基、-O-で表される基又は-S-で表される基であり、更に好ましくは、アルキレン基、-O-で表される基又は-S-で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArH1とArH2とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合において、2価の基におけるアリーレン基、2価の複素環基及びアルキレン基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、LH1におけるアリーレン基、2価の複素環基及びアルキレン基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArH1とArH2とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合において、2価の基におけるRの例及び好ましい範囲は、LH1の2価の基におけるRの例及び好ましい範囲と同じである。
ArH1とArH2とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合において、2価の基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0167】
H1とArH1とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、式(H-1)で表される化合物の合成が容易なので、環を形成しないことが好ましい。LH1とArH1とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、ArH1とArH2とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
H1とArH2とは、直接結合して、又は、2価の基を介して結合して、環を形成してもよいが、式(H-1)で表される化合物の合成が容易なので、環を形成しないことが好ましい。LH1とArH2とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲は、ArH1とArH2とが、2価の基を介して結合して、環を形成する場合における2価の基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0168】
式(H-1)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0169】
【化28】
【0170】
【化29】
【0171】
【化30】
【0172】
【化31】
【0173】
(第1の高分子化合物)
第1の高分子化合物は、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物である。
第1の高分子化合物は、高分子化合物(A)及び高分子化合物(B)とは異なる高分子化合物であることが好ましく、構成単位(A)及び構成単位(B)を含まない高分子化合物であることがより好ましい。
【0174】
第1の高分子化合物は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
第1の高分子化合物が式(Y)で表される構成単位を含む場合、第1の高分子化合物中に含まれる式(Y)で表される構成単位の含有量は、第1の高分子化合物としての機能が奏される範囲であればよい。第1の高分子化合物が式(Y)で表される構成単位を含む場合、第1の高分子化合物中に含まれる式(Y)で表される構成単位の含有量は、第1の高分子化合物に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、例えば、1~100モル%であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは10~100モル%であり、より好ましくは30~100モル%であり、更に好ましくは50~100モル%であり、特に好ましくは70~100モル%であり、とりわけ好ましくは90~100モル%である。
第1の高分子化合物において、式(Y)で表される構成単位は、第1の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0175】
第1の高分子化合物は、第1の高分子化合物の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。
第1の高分子化合物が式(X)で表される構成単位を含む場合、第1の高分子化合物中に含まれる式(X)で表される構成単位の含有量は、第1の高分子化合物としての機能が奏される範囲であればよい。第1の高分子化合物が式(X)で表される構成単位を含む場合、第1の高分子化合物中に含まれる式(X)で表される構成単位の含有量は、第1の高分子化合物に含まれる構成単位の合計の含有量に対して、例えば、0.01~100モル%であり、第1の高分子化合物の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.05~90モル%であり、より好ましくは0.1~70モル%であり、更に好ましくは0.2~50モル%であり、特に好ましくは0.5~30モル%であり、とりわけ好ましくは1~10モル%である。
第1の高分子化合物において、式(X)で表される構成単位は、第1の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0176】
第1の高分子化合物は、第1の高分子化合物の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率が更に優れるので、式(Y)で表される構成単位及び式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。
第1の高分子化合物が式(Y)で表される構成単位及び式(X)で表される構成単位を含む場合、第1の高分子化合物中に含まれる式(Y)で表される構成単位及び式(X)で表される構成単位の合計の含有量は、第1の高分子化合物としての機能が奏される範囲であればよい。第1の高分子化合物が式(Y)で表される構成単位及び式(X)で表される構成単位を含む場合、第1の高分子化合物中に含まれる式(Y)で表される構成単位及び式(X)で表される構成単位の合計の含有量は、例えば、1~100モル%であり、第1の高分子化合物の正孔輸送性が優れ、且つ、本開示の発光素子の外部量子効率が更に優れるので、好ましくは10~100モル%であり、より好ましくは30~100モル%であり、更に好ましくは50~100モル%であり、特に好ましくは70~100モル%であり、とりわけ好ましくは90~100モル%である。
【0177】
・式(Y)で表される構成単位
ArY1で表されるアリーレン基は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArY1で表される2価の複素環基は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン又は5,10-ジヒドロフェナジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子、より好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン又はフェノチアジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子、より好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲は、それぞれ、ArY1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
【0178】
ArY1において、「少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基」としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0179】
【化32】
【0180】
ArY1は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、置換基を有していてもよいアリーレン基であることが好ましい。
【0181】
ArY1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基、フッ素原子又は架橋基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基又は架橋基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基又は架橋基であり、特に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は架橋基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
ArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
ArY1で表される基が有してもよい置換基における1価の複素環基は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、単環式又は2環式~6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン又は5,10-ジヒドロフェナジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子)に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン又はフェノチアジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子)に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
ArY1で表される基が有してもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0182】
ArY1で表される基が有してもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基、フッ素原子又は架橋基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基又は架橋基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は架橋基であり、特に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又は架橋基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
ArY1で表される基が有してもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0183】
式(Y)で表される構成単位は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、式(Y-1)又は式(Y-2)で表される構成単位である。
【0184】
【化33】
【0185】
[式中、
Y1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基、フッ素原子又は架橋基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
Y1は、-C(RY2-、-C(RY2)=C(RY2)-又は-C(RY2-C(RY2-で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基、フッ素原子又は架橋基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
【0186】
Y1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基又は架橋基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は架橋基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基又は架橋基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0187】
式(Y-1)において、RY1の少なくとも1つは(好ましくは、RY1の少なくとも2つは)、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基、フッ素原子又は架橋基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基又は架橋基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は架橋基であり、特に好ましくは、アルキル基又は架橋基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0188】
Y2は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基又は架橋基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は架橋基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は架橋基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0189】
Y1及びRY2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
Y1及びRY2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArY1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0190】
Y1は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、-C(RY2-又は-C(RY2-C(RY2-で表される基であり、より好ましくは、-C(RY2-で表される基である。
【0191】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位が挙げられる。
【0192】
【化34】
【0193】
【化35】
【0194】
【化36】
【0195】
【化37】
【0196】
【化38】
【0197】
【化39】
【0198】
【化40】
【0199】
【化41】
【0200】
【化42】
【0201】
【化43】
【0202】
【化44】
【0203】
【化45】
【0204】
【化46】
【0205】
【化47】
【0206】
【化48】
【0207】
【化49】
【0208】
・式(X)で表される構成単位
X1及びaX2は、通常0~10の整数であり、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0~5の整数であり、より好ましくは0~3の整数であり、更に好ましくは0~2の整数であり、特に好ましくは0又は1である。
【0209】
X1、RX2及びRX3は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
X1、RX2及びRX3におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0210】
ArX1、ArX2、ArX3及びArX4は、本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
ArX1、ArX2、ArX3及びArX4におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArY1におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
ArX2及びArX4における少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、ArY1における少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
【0211】
ArX1~ArX4及びRX1~RX3で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArY1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0212】
式(X)で表される構成単位としては、下記式で表される構成単位が挙げられる。
【0213】
【化50】
【0214】
【化51】
【0215】
【化52】
【0216】
【化53】
【0217】
【化54】
【0218】
【化55】
【0219】
【化56】
【0220】
第1の高分子化合物としては、例えば、高分子化合物HP-1~HP-3が挙げられる。
【0221】
【表3】
【0222】
[表中、p、q及びrは、各構成単位のモル比率(モル%)を示す。p+q+r=100であり、且つ、100≧p+q≧70である。その他の構成単位とは、式(Y)で表される構成単位及び式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。]
【0223】
第1の高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合した共重合体であることが好ましい。
本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、第1の高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは5×10~1×10であり、より好ましくは1×10~5×10であり、更に好ましくは2×10~2×10である。本開示の発光素子の外部量子効率がより優れるので、第1の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1×10~2×10であり、より好ましくは2×10~1×10であり、更に好ましくは5×10~9×10である。
【0224】
(第1の高分子化合物の製造方法)
第1の高分子化合物は、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897-1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応及びKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
上記重合方法において、単量体を仕込む方法としては、単量体全量を反応系に一括して仕込む方法、単量体の一部を仕込んで反応させた後、残りの単量体を一括、連続又は分割して仕込む方法、単量体を連続又は分割して仕込む方法等が挙げられる。
遷移金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒等が挙げられる。
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独又は組み合わせて行う。第1の高分子化合物の純度が低い場合、例えば、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0225】
[その他の成分]
本開示の組成物は、化合物(A)と、化合物(B)と、2種以上の第1の化合物と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤及び溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含有する組成物であってもよい。但し、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料は、化合物(A)、化合物(B)及び第1の化合物とは異なる。
【0226】
化合物(A)と、化合物(B)と、2種以上の第1の化合物と、溶媒とを含有する組成物(以下、「インク」と言う。)は、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ-コート法、ノズルコート法等の湿式法を用いた発光素子の作製に好適である。
インクの粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、インクジェットプリント法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりを防止するために、好ましくは25℃において1mPa・s~20mPa・sである。
【0227】
インクに含まれる溶媒は、該インク中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒が好ましい。溶媒としては、例えば、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、4-メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒;イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0228】
インクにおいて、溶媒の含有量は、化合物(A)と化合物(B)と2種以上の第1の化合物との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、1000質量部~1000000質量部である。
【0229】
(正孔輸送材料)
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、トリフェニルアミン及びその誘導体、N,N’-ジ-1-ナフチル-N,N’-ジフェニルベンジジン(α-NPD)、並びに、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(m-トリル)ベンジジン(TPD)等の芳香族アミン化合物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン及びトリニトロフルオレノン等の電子受容性部位が結合された化合物でもよい。
本開示の組成物において、正孔輸送材料が含まれる場合、正孔輸送材料の含有量は、化合物(A)と化合物(B)と2種以上の第1の化合物との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0230】
(電子輸送材料)
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
本開示の組成物において、電子輸送材料が含まれる場合、電子輸送材料の含有量は、化合物(A)と化合物(B)と2種以上の第1の化合物との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0231】
(正孔注入材料及び電子注入材料)
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
本開示の組成物の一実施形態において、正孔注入材料及び/又は電子注入材料が含まれる場合、正孔注入材料及び電子注入材料の含有量は、各々、化合物(A)と化合物(B)と2種以上の第1の化合物との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0232】
・イオンドープ
正孔注入材料又は電子注入材料は、イオンがドープされていてもよい。例えば、正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは1×10-5S/cm~1×10S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
正孔注入材料又は電子注入材料にドープするイオンの種類は、例えば、正孔注入材料であればアニオンが挙げられ、電子注入材料であればカチオンが挙げられる。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン及び樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0233】
(発光材料)
発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする燐光発光性化合物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、式(Y)で表される構成単位及び/又は式(X)で表される構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。
【0234】
燐光発光性化合物としては、例えば、以下に示す金属錯体が挙げられる。
【0235】
【化57】
【0236】
本開示の組成物の一実施形態において、発光材料が含まれる場合、発光材料の含有量は、化合物(A)と化合物(B)と2種以上の第1の化合物との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、1~1000質量部である。
発光材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0237】
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、化合物(A)、化合物(B)及び第1の化合物と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
本開示の組成物の一実施形態において、酸化防止剤が含まれる場合、酸化防止剤の含有量は、化合物(A)と化合物(B)と2種以上の第1の化合物との合計の含有量を100質量部とした場合、通常、0.001~10質量部である。
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0238】
<膜>
本開示の膜は、上述した本開示の組成物を含有する。
本開示の膜は、発光素子における発光層として好適である。本開示の膜は、例えば、インクを用いて、湿式法により作製することができる。また、本開示の膜は、例えば、真空蒸着法等の乾式法により作製することができる。本開示の膜を乾式法により作製する方法としては、例えば、上述の組成物を蒸着する方法、及び、化合物(A)、化合物(B)及び2種以上の第1の化合物を共蒸着する方法が挙げられる。
膜の厚さは、通常、1nm~10μmである
【0239】
<発光素子>
本開示の発光素子は、上述の組成物を含有する。
本開示の発光素子は、例えば、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた上述の組成物を含有する有機層と、を備えるものであってよい。
【0240】
[層構成]
本開示の組成物を含有する層は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選ばれる1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を、上述した膜の作製と同様の方法を用いて形成することができる。
【0241】
発光素子は、陽極と陰極の間に発光層を有する。本開示の発光素子は、正孔注入性及び正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性及び電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層及び電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
【0242】
正孔輸送層、電子輸送層、発光層、正孔注入層及び電子注入層の材料としては、本開示の組成物の他、各々、上述した正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、正孔注入材料及び電子注入材料等が挙げられる。
【0243】
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料及び発光層の材料は、発光素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層及び発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。
【0244】
本開示の発光素子において、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法等の乾式法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法等の湿式法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法等の湿式法が挙げられる。積層する層の順番、数及び厚さは、例えば、外部量子効率等を勘案して調整する。
【0245】
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、カルシウム-アルミニウム合金が挙げられる。
陽極及び陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
【0246】
[用途]
本開示の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の光源、照明用の光源、有機EL照明、コンピュータ、テレビ及び携帯端末等の表示装置(例えば、有機ELディスプレイ及び有機ELテレビ)として好適に用いることができる。
【実施例0247】
以下、実施例によって本開示の一実施形態を更に詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0248】
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、移動相にテトラヒドロフランを用い、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により求めた。なお、SECの各測定条件は、次のとおりである。
測定する高分子化合物を約0.05質量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。移動相は、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED-B(ポリマーラボラトリーズ社製)を用いた。検出器にはUV-VIS検出器(株式会社島津製作所製、商品名:SPD-10Avp)を用いた。
【0249】
NMRは、下記の方法で測定した。
5~10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl3)、重テトラヒドロフラン、重ジメチルスルホキシド、重アセトン、重N,N-ジメチルホルムアミド、重トルエン、重メタノール、重エタノール、重2-プロパノールまたは重塩化メチレンに溶解させ、NMR装置(Agilent社製、商品名:INOVA300またはMERCURY 400VX)を用いて測定した。
【0250】
化合物のΔESTの値の算出は、以下のようにして行った。
まず、B3LYPレベルの密度汎関数法により、化合物の基底状態を構造最適化した。その際、基底関数として、6-31G*を用いた。
そして、得られた構造最適化された構造を用いて、B3LYPレベルの時間依存密度汎関数法により、化合物のΔESTを算出した。なお、量子化学計算プログラムとして、Gaussian09を用いて計算した。
【0251】
化合物の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は、分光光度計(日本分光株式会社製、FP-6500)により室温にて測定した。化合物をキシレンに、約8×10-4質量%の濃度で溶解させたキシレン溶液を試料として用いた。励起光としては、波長325nmの紫外(UV)光を用いた。
【0252】
<化合物H1~H3、金属錯体MC1、化合物B1及び化合物ET1の合成及び入手>
化合物H1~H3、化合物ET1及び化合物B1は、Luminescence Technology社製を用いた。
金属錯体MC1は、特開2013-147551号公報に記載の方法に従って合成した。
【0253】
【化58】
【0254】
化合物B1のΔESTは、0.49eVであった。化合物B1の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は452nmであった。化合物B1の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、22nmであった。
【0255】
<化合物M1~M11、金属錯体MC2及び化合物B2の合成及び入手>
化合物M1は、国際公開第2015/145871号に記載の方法に従って合成した。
化合物M2は、国際公開第2013/146806号に記載の方法に従って合成した。
化合物M3は、国際公開第2005/049546号に記載の方法に従って合成した。
化合物M4は、特開2010-189630号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M5は、国際公開第2013/146806号に記載の方法に従って合成した。
化合物M6は、アルドリッチ社製を用いた。
化合物M7は、国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した。
化合物M8は、市販品を用いた。
化合物M9は、国際公開第2016/031639号に記載の方法に従って合成した。
化合物M10は、国際公開第2013/191088号に記載の方法に準じて合成した。
化合物M11は、国際公開第2015/145871号に記載の方法に従って合成した。
金属錯体MC2は、特開2015-144260号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物B2は、国際公開第2019/004248号に記載の方法に従って合成した。
【0256】
【化59】
【0257】
【化60】
【0258】
【化61】
【0259】
【化62】
【0260】
<高分子化合物HTL-1の合成>
高分子化合物HTL-1は、化合物M1、化合物M2及び化合物M3を用いて、国際公開第2015/145871号に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HTL-1のMnは2.3×10であり、Mwは1.2×10であった。
高分子化合物HTL-1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位とが、45:5:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0261】
<高分子化合物ET1の合成>
(高分子化合物ET1aの合成)
高分子化合物ET1aは、特開2012-33845号公報に記載の方法に従って合成した化合物ET1-1、及び、特開2012-33845号公報に記載の方法に従って合成した化合物ET1-2を用いて、特開2012-33845号公報に記載の方法に従って合成した。
【0262】
【化63】
【0263】
高分子化合物ET1aのMnは5.2×10であった。
【0264】
高分子化合物ET1aは、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物ET1-1から誘導される構成単位と、化合物ET1-2から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成された共重合体である。
【0265】
(高分子化合物ET1の合成)
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、高分子化合物ET1a(200mg)、テトラヒドロフラン(20mL)及びエタノール(20mL)を加え、55℃に加熱した。その後、そこへ、水(2mL)に溶解させた水酸化セシウム(200mg)を加え、55℃で6時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、減圧濃縮することにより、固体を得た。得られた固体を水で洗浄した後、減圧乾燥させることにより、高分子化合物ET1(150mg、薄黄色固体)を得た。得られた高分子化合物ET1のNMRスペクトルにより、高分子化合物ET1aのエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。
【0266】
【化64】
【0267】
(高分子化合物BP1の合成)
高分子化合物BP1は、化合物M8、化合物M9、化合物M7及び上記化合物B2を用
いて、国際公開第2019/004248号に記載の方法に従って合成した。高分子化合物BP1のMnは、4.5×10であり、Mwは1.1×10であった。
高分子化合物BP1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M8から誘導される構成単位と、化合物M9から誘導される構成単位と、化合物M7から誘導される構成単位と、化合物B2から誘導される構成単位とが、45:5:49:1のモル比で構成された共重合体である。
【0268】
(高分子化合物HP1の合成)
高分子化合物HP1は、化合物M4、化合物M5、化合物M2及び化合物M6を用いて、特開2015-144260号公報の記載の方法に準じて合成した。高分子化合物HP1のMnは6.6×10であり、Mwは7.5×10であった。
高分子化合物HP1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位とが、30:10:10:50のモル比で構成された共重合体である。
【0269】
(高分子化合物HP2の合成)
高分子化合物HP2は、化合物M4、化合物M5、化合物M2、化合物M6及び金属錯体MC2を用いて、特開2015-144260号公報の記載の方法に従って合成した。高分子化合物HP2のMnは5.5×10であり、Mwは1.4×10であった。
高分子化合物HP1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位と、金属錯体MC2から誘導される構成単位とが、30:10:10:35.5:14.5のモル比で構成された共重合体である。
【0270】
(高分子化合物HP3の合成)
高分子化合物HP3は、化合物M4、化合物M10及び化合物M11を用いて、国際公開第2015/0088511号に記載の方法に従って合成した。
高分子化合物HP3のMnは8.5×104であり、Mwは2.2×10であった。
高分子化合物HP-3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M10から誘導される構成単位と、化合物M11から誘導される構成単位とが、50:26:24のモル比で構成された共重合体である。
【0271】
<実施例D1> 発光素子D1の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚さでITO膜を付けることにより、陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるND-3202(日産化学工業株式会社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、塗膜を形成した。塗膜を形成した基板を大気雰囲気下において、ホットプレート上で50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0272】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物HTL-1を0.7質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより、正孔輸送層を形成した。この加熱により、高分子化合物HTL-1は、架橋した状態となった。
【0273】
(発光層の形成)
トルエンに、化合物H1、高分子化合物HP1、金属錯体MC1及び化合物B1(化合物H1/高分子化合物HP1/金属錯体MC1/化合物B1=36.5質量%/36.5質量%/25質量%/2質量%)を1.5質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0274】
(電子輸送層の形成)
2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノールに、高分子化合物ET1を0.4質量%の濃度で溶解させた。得られた2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール溶液を用いて、発光層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより電子輸送層を形成した。
【0275】
(陰極の形成)
電子輸送層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、陰極を形成した基板をガラス基板で封止することにより、発光素子D1を作製した。
【0276】
(発光素子の評価)
発光素子D1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D1の200cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0277】
<比較例CD1> 発光素子CD1の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成CD1)とした以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD1を作製した。
【0278】
(発光層の形成CD1)
トルエンに、化合物H1、金属錯体MC1及び化合物B1(化合物H1/金属錯体MC1/化合物B1=73質量%/25質量%/2質量%)を1.8質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0279】
発光素子CD1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD1の200cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0280】
<比較例CD2> 発光素子CD2の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成CD2)とした以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD2を作製した。
【0281】
(発光層の形成CD2)
トルエンに、高分子化合物HP1、金属錯体MC1及び化合物B1(高分子化合物HP1/金属錯体MC1/化合物B1=73質量%/25質量%/2質量%)を1.5質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0282】
発光素子CD2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD2の200cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0283】
実施例D1及び比較例CD1~CD2の結果を表4に示す。発光素子CD2の外部量子効率を1.00としたときの発光素子D1及びCD1の外部量子効率の相対値を示す。
【0284】
【表4】
【0285】
<実施例D2> 発光素子D2の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成D2)とした以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D2を作製した。
【0286】
(発光層の形成D2)
トルエンに、化合物H1、高分子化合物HP1、金属錯体MC1及び高分子化合物BP1(化合物H1/高分子化合物HP1/金属錯体MC1/高分子化合物BP1=36.5質量%/36.5質量%/25質量%/2質量%)を1.5質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0287】
(発光素子の評価)
発光素子D2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D2の200cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0288】
<比較例CD3> 発光素子CD3の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成CD3)とした以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD3を作製した。
【0289】
(発光層の形成CD3)
トルエンに、化合物H1、高分子化合物HP2及び化合物BP1(化合物H1/高分子化合物HP2/高分子化合物BP1=73質量%/25質量%/2質量%)を1.5質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0290】
発光素子CD3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD3の200cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0291】
実施例D2及び比較例CD3の結果を表5に示す。発光素子CD3の外部量子効率を1.00としたときの発光素子D2の外部量子効率の相対値を示す。
【0292】
【表5】
【0293】
<実施例D3> 発光素子D3の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成D3)とした以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D3を作製した。
【0294】
(発光層の形成D3)
トルエンに、化合物H1、化合物H2、金属錯体MC1及び化合物B1(化合物H1/化合物H2/金属錯体MC1/化合物B1=36.5質量%/36.5質量%/25質量%/2質量%)を1.8質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0295】
(発光素子の評価)
発光素子D3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D3の6000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0296】
<実施例D4> 発光素子D4の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成D4)とした以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D4を作製した。
【0297】
(発光層の形成D4)
トルエンに、化合物H1、高分子化合物HP3、金属錯体MC1及び化合物B1(化合物H1/高分子化合物HP3/金属錯体MC1/化合物B1=36.5質量%/36.5質量%/25質量%/2質量%)を1.4質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0298】
(発光素子の評価)
発光素子D4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D4の6000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0299】
<実施例D5> 発光素子D5の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成D5)とした以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D5を作製した。
【0300】
(発光層の形成D5)
トルエンに、化合物H2、高分子化合物HP3、金属錯体MC1及び化合物B1(化合物H2/高分子化合物HP3/金属錯体MC1/化合物B1=36.5質量%/36.5質量%/25質量%/2質量%)を1.4質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0301】
(発光素子の評価)
発光素子D5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D5の6000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0302】
<実施例D6> 発光素子D6の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成D-6)とした以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D6を作製した。
【0303】
(発光層の形成D6)
トルエンに、化合物H3、高分子化合物HP3、金属錯体MC1及び化合物B1(化合物H3/高分子化合物HP3/金属錯体MC1/化合物B1=36.5質量%/36.5質量%/25質量%/2質量%)を1.1質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0304】
(発光素子の評価)
発光素子D6に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D6の6000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0305】
<比較例CD4> 発光素子CD4の作製と評価
実施例D1の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成CD4)とした以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD4を作製した。
【0306】
(発光層の形成CD4)
トルエンに、高分子化合物HP3、金属錯体MC1及び化合物B1(高分子化合物HP3/金属錯体MC1/化合物B1=73質量%/25質量%/2質量%)を1.0質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0307】
発光素子CD4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD4の6000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0308】
実施例D3~D6及び比較例CD4の結果を表6に示す。発光素子CD4の外部量子効率を1.00としたときの発光素子D3~D6の外部量子効率の相対値を示す。
【0309】
【表6】
【0310】
<実施例D7> 発光素子D7の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚さでITO膜を付けることにより、陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるND-3202(日産化学工業株式会社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、塗膜を形成した。塗膜を形成した基板を大気雰囲気下において、ホットプレート上で50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0311】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物HTL-1を0.7質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより、正孔輸送層を形成した。この加熱により、高分子化合物HTL-1は、架橋した状態となった。
【0312】
(発光層の形成)
トルエンに、化合物H1、化合物H2、金属錯体MC1及び化合物B1(化合物H1/化合物H2/金属錯体MC1/化合物B1=36.5質量%/36.5質量%/25質量%/2質量%)を1.8質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0313】
(電子輸送層の形成)
2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノールに、化合物ET2を0.4質量%の濃度で溶解させた。得られた2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール溶液を用いて、発光層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより電子輸送層を形成した。
【0314】
(陰極の形成)
電子輸送層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、陰極を形成した基板をガラス基板で封止することにより、発光素子D7を作製した。
【0315】
(発光素子の評価)
発光素子D7に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D7の2000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0316】
<比較例CD5> 発光素子CD5の作製と評価
実施例D7の(発光層の形成)を前記(発光層の形成CD1)とした以外は、実施例D7と同様にして、発光素子CD5を作製した。
【0317】
発光素子CD5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD5の2000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0318】
<比較例CD6> 発光素子CD6の作製と評価
実施例D7の(発光層の形成)を以下の下記(発光層の形成CD6)とした以外は、実施例D7と同様にして、発光素子CD6を作製した。
【0319】
(発光層の形成CD6)
トルエンに、化合物H2、金属錯体MC1及び化合物B1(化合物H2/金属錯体MC1/化合物B1=73質量%/25質量%/2質量%)を1.8質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0320】
発光素子CD6に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD5の2000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0321】
実施例D7及び比較例CD5~CD6の結果を表7に示す。発光素子CD5の外部量子効率を1.00としたときの発光素子D7及び比較例CD6の外部量子効率の相対値を示す。
【0322】
【表7】
【0323】
<実施例D8> 発光素子D8の作製と評価
実施例D7の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成D8)とした以外は、実施例D7と同様にして、発光素子D8を作製した。
【0324】
(発光層の形成D8)
トルエンに、化合物H1、化合物H3、金属錯体MC1及び化合物B1(化合物H1/化合物H3/金属錯体MC1/化合物B1=36.5質量%/36.5質量%/25質量%/2質量%)を1.8質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0325】
(発光素子の評価)
発光素子D8に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D8の3000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0326】
<実施例D9> 発光素子D9の作製と評価
実施例D7の(発光層の形成)前記(発光層の形成D4)とした以外は、実施例D7と同様にして、発光素子D9を作製した。
【0327】
(発光素子の評価)
発光素子D9に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D9の3000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0328】
<実施例D10> 発光素子D10の作製と評価
実施例D7の(発光層の形成)を以下の(発光層の形成D10)とした以外は、実施例D7と同様にして、発光素子D10を作製した。
【0329】
(発光層の形成D10)
トルエンに、化合物H2、化合物H3、金属錯体MC1及び化合物B1(化合物H1/化合物H3/金属錯体MC1/化合物B1=36.5質量%/36.5質量%/25質量%/2質量%)を1.8質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより、発光層を形成した。
【0330】
(発光素子の評価)
発光素子D10に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D10の3000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0331】
<実施例D11> 発光素子D11の作製と評価
実施例D7の(発光層の形成)を前記(発光層の形成D5)とした以外は、実施例D7と同様にして、発光素子D11を作製した。
【0332】
(発光素子の評価)
発光素子D11に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D11の3000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0333】
<実施例D12> 発光素子D12の作製と評価
実施例D7の(発光層の形成)を前記(発光層の形成D6)とした以外は、実施例D7と同様にして、発光素子D12を作製した。
【0334】
(発光素子の評価)
発光素子D12に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D12の3000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0335】
<比較例CD7> 発光素子CD7の作製と評価
実施例D7の(発光層の形成)を前記(発光層の形成CD4)とした以外は、実施例D7と同様にして、発光素子CD7を作製した。
【0336】
発光素子CD7に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子CD7の3000cd/mにおける外部量子効率[%]及びCIE色度座標を測定した。
【0337】
実施例D8~D12及び比較例CD7の結果を表8に示す。発光素子CD7の外部量子効率を1.00としたときの発光素子D8~D12の外部量子効率の相対値を示す。
【0338】
【表8】
【0339】
表4~表8から、第1の化合物を少なくとも2種含有する組成物を含む実施例の発光素子は、第1の化合物を1種含有する組成物を含む比較例の発光素子に比べ、外部量子効率に優れることが分かる。