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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050435
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/54 20100101AFI20230404BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20230404BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160529
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】市原 良男
(72)【発明者】
【氏名】喜羽 大造
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA22
5F142BA24
5F142CA02
5F142CB14
5F142CB22
5F142CC14
5F142CC23
5F142CC26
5F142CC27
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142DA02
5F142DA12
5F142DB02
5F142DB12
5F142DB30
5F142FA01
5F142FA16
5F142FA18
5F142GA01
(57)【要約】
【課題】装置全体のコントラストを向上させることができる発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】それぞれ異なる発光波長を有する複数の発光素子と、前記複数の発光素子を配置する一対のリードと前記リードを保持する保持部材とを有する基体と、前記複数の発光素子を覆うレンズとを備え、前記レンズは、前記複数の発光素子ごとに上方に配置される複数のレンズ部と、該レンズ部に連続して形成され、前記基体の上面の一部と前記基体の側面の一部とを固定する少なくとも1つの固定部とを含み、前記レンズは、前記発光素子それぞれの発光波長に対応する同系色の着色剤を含有している発光装置。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる発光波長を有する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を配置する一対のリードと前記リードを保持する保持部材とを有する基体と、
前記複数の発光素子を覆うレンズと、を備え、
前記レンズは、前記複数の発光素子ごとに上方に配置される複数のレンズ部と、該レンズ部に連続して形成され、前記基体の上面の一部と前記基体の側面の一部とを固定する少なくとも1つの固定部と、を含み、
前記レンズは、前記発光素子それぞれの発光波長に対応する同系色の着色剤を含有している発光装置。
【請求項2】
前記基体は、2以上の一対の前記リードを含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記リードは、凹部を有し、
前記凹部に前記発光素子が配置されている請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基体は、さらに前記2以上のリードを固定する樹脂成形体を含む請求項2または3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記固定部が樹脂を含む請求項1から4のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
前記レンズ部は、前記発光素子の前記リードに配置された側とは反対の面の方向に形成され、
平面視にて、前記レンズ部の外縁の内側に前記発光素子が配置されている、請求項1から5のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
前記固定部は、前記基体の下面の少なくとも一部を固定している請求項1から6のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項8】
前記複数の発光素子の発光ピーク波長が、それぞれ、430nm以上490nm以下、495nm以上565nm以下、610nm以上700nm以下の範囲である請求項1から7のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項9】
前記基体は、430nm以上490nm以下の発光ピーク波長の第1発光素子、495nm以上565nm以下の発光波長の第2発光素子、610nm以上700nm以下の発光波長の第3発光素子を配置しており、
前記第1発光素子と前記第3発光素子の間に前記第2発光素子が直線上又は直線から外れた位置に配置されている請求項1から8のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項10】
前記複数の発光素子は、それぞれ、前記発光素子の上面上に配置された透光性部材を有する請求項1から9のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項11】
前記透光性部材は、蛍光体を含む請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
第1発光素子を載置した第1リードと第2発光素子を載置した第2リードとを樹脂を用いて固定する保持部材を有する基体を第1金型に挟む工程と、
前記第1発光素子の発光波長と同系色の第1着色剤を含有し、第1発光素子の上方に配置される第1レンズ部と、前記第1レンズ部に連続している前記基体の上面の少なくとも一部と、前記基体の側面の少なくとも一部を固定する第1固定部と、を含む第1レンズを形成する工程と、
前記第1金型を外す工程と、
前記基体を第2金型に挟む工程と、
前記第2発光素子の発光波長と同系色の第2着色剤を含有し、第2発光素子の上方に配置される第2レンズ部と、前記第2レンズ部に連続している前記基体の上面の少なくとも一部と、前記基体の側面の少なくとも一部を固定する第2固定部と、を含む第2レンズを形成する工程と、
前記第2金型を外す工程と、を含み、
前記第1金型は、第1空洞部を有し、
前記第1空洞部は、断面視において前記保持部材と接触することで前記第2発光素子の上方に形成され、
前記第2金型は、第2空洞部を有し、
前記第2空洞部は、断面視において前記第1固定部と接触することで前記第1レンズ部の上方に形成される、発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1レンズと前記第2レンズを、トランスファーモールドまたは射出成型によって形成する請求項12に記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1金型に挟む工程において、前記第1発光素子は前記第1リードにワイヤにて電気的に接続されており、
前記第1空洞部は、前記ワイヤの頂点の高さよりも高い、請求項12又は請求項13に記載の発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2空洞部は、前記第1レンズ部の頂点の高さよりも高い、請求項12から14のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1金型に挟む工程又は前記第2金型に挟む工程において、さらに第3発光素子を載置した第3リードを有する前記基体を用い、
前記第1レンズを形成する工程と前後又は同時に前記第3発光素子の発光波長と同系色の第3着色剤を含有し、第3発光素子の上方に配置される第3レンズ部と、前記第3レンズ部に連続している前記基体の上面の少なくとも一部と、前記基体の側面の少なくとも一部を固定する第3固定部と、を含む第3レンズを形成する工程を含む請求項12から請求項15のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、赤、緑、青の三原色の発光ダイオード(LED)を用いた発光装置が実用化されている(特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-088026号公報
【特許文献2】特開2000-181363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような発光装置においては、その用途に応じて、さらに、発光装置のコントラストを向上させることが求められている。
本開示は、コントラストを向上させることができる発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の発明を含む。
(1)それぞれ異なる発光波長を有する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を配置する一対のリードと前記リードを保持する保持部材とを有する基体と、
前記複数の発光素子を覆うレンズと、を備え、
前記レンズは、前記複数の発光素子ごとに上方に配置される複数のレンズ部と、該レンズ部に連続して形成され、前記基体の上面の一部と前記基体の側面の一部とを固定する少なくとも1つの固定部と、を含み、
前記レンズは、前記発光素子それぞれの発光波長に対応する同系色の着色剤を含有している発光装置。
(2)第1発光素子を載置した第1リードと第2発光素子を載置した第2リードとを樹脂を用いて固定する保持部材を有する基体を第1金型に挟む工程と、
前記第1発光素子の発光波長と同系色の第1着色剤を含有し、第1発光素子の上方に配置される第1レンズ部と、前記第1レンズ部に連続している前記基体の上面の少なくとも一部と、前記基体の側面の少なくとも一部を固定する第1固定部と、を含む第1レンズを形成する工程と、
前記第1金型を外す工程と、
前記基体を第2金型に挟む工程と、
前記第2発光素子の発光波長と同系色の第2着色剤を含有し、第2発光素子の上方に配置される第2レンズ部と、前記第2レンズ部に連続している前記基体の上面の少なくとも一部と、前記基体の側面の少なくとも一部を固定する第2固定部と、を含む第2レンズを形成する工程と、
前記第2金型を外す工程と、を含み、
前記第1金型は、第1空洞部を有し、
前記第1空洞部は、断面視において前記保持部材と接触することで前記第2発光素子の上方に形成され、
前記第2金型は、第2空洞部を有し、
前記第2空洞部は、断面視において前記第1固定部と接触することで前記第1レンズ部の上方に形成される、発光装置の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、コントラストを向上させることができる発光装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本開示の発光装置の第1実施形態を示した概略斜視図である。
図1B図1Aに示した発光装置の概略平面図である。
図1C図1Bの1C-1C’線の概略断面図である。
図2A】本開示の発光装置の第2実施形態を示した概略斜視図である。
図2B図2Aに示した発光装置の概略平面図である。
図3】本開示の発光装置の第3実施形態を示した概略平面図である。
図4】本開示の発光装置の製造方法の一実施形態を示したフローチャートである。
図5A】本開示の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図5B図5Aの5B-5B’線の概略断面図である。
図5C】本開示の別の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図6A】本開示の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図6B図6Aの6B-6B’線の概略断面図である。
図7A】本開示の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図7B図7Aの7B-7B’線の概略断面図である。
図8A】本開示の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図8B図8Aの8B-8B’線の概略断面図である。
図8C図8Aの8C-8C’線の概略断面図である。
図9A】本開示の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図9B図9Aの9B-9B’線の概略断面図である。
図10A】本開示の別の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図10B図10Aの10B-10B’線の概略断面図である。
図11A】本開示の別の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図11B図11Aの11B-11B’線の概略断面図である。
図12】本開示のさらに別の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図13A】本開示のさらに別の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図13B図13Aの13B-13B’線の概略断面図である。
図14A】本開示のさらに別の発光装置の製造方法を示す概略平面図である。
図14B図14Aの14B-14B’線の概略断面図である。
図15A】本開示の発光装置の第4実施形態を示した概略斜視図である。
図15B図15Aの15B-15B’線の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。ただし、以下に示す形態は、本開示の技術思想を具体化するための例示であって、本開示を以下に限定するものではない。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。さらに、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略する。本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
なお、発光装置の発光観測面側を上面側又は上方を称することがある。発光波長とは、発光素子から出射される光の発光ピーク波長を表すものとする。
【0009】
[第1実施形態]
本開示の発光装置の一実施形態について、主に図1Aから図2Bを用いて説明する。
図1Aは、本開示の発光装置の第1実施形態を示した概略斜視図である。図1Bは、図1Aに示した発光装置の概略平面図である。図1Cは、図1Bの1C-1C’線の概略断面図である。図2Aは、本開示の発光装置の第2実施形態を示した概略斜視図である。図2Bは、図2Aに示した発光装置の概略平面図である。
本開示の発光装置の一実施形態において、発光装置は、複数の発光素子と、基体と、レンズとを備える。基体は、複数の発光素子を配置する一対のリードと、リードを保持する保持部材とを含む。レンズは、複数の発光素子を覆い、複数の発光素子ごとに上方に配置される複数のレンズ部と、レンズ部に連続して形成され、基体の上面12aの一部と基体の側面12bの一部とを固定する少なくとも1つの固定部とを含む。また、レンズは、発光素子それぞれの発光波長に対応する同系色の着色剤を含有する。
【0010】
例えば、図1A~1Cに示す発光装置10は、複数、例えば、3つの発光素子11と、3つの発光素子11を配置する基体12と、レンズ13とを備える。以下、3つの発光素子をそれぞれ第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cと称する。レンズ13は、それぞれ、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cごとに、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cの発光波長と同系色の着色剤を含有し、かつ第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cのそれぞれの上方に配置される複数のレンズ部14と、レンズ部14に連続して形成され、基体12の上面12aの一部と基体12の側面12bの一部を固定する固定部15とを含む。以下、3つのレンズをそれぞれ第1レンズ13a、第2レンズ13b、第3レンズ13cと称する。3つのレンズ部をそれぞれ第1レンズ部14a、第2レンズ部14b、第3レンズ部14cと称する。3つの固定部をそれぞれ第1固定部15a、第2固定部15b、第3固定部15cと称する。発光装置10は、3つの発光素子と、3つのレンズ部と、レンズ部と一体となった3つの固定部とを有する発光装置10について表しているが、それぞれ2つでもよいし、4つ以上を有するものでもよい。
このような構成、特に、発光素子11の発光波長と同系色の着色剤を含有して、発光素子11ごとに配置されるレンズ13を有する発光装置10であることにより、発光素子11ごとに着色されたレンズ13の複数のレンズ部14のそれぞれは、発光装置10において近接して配置することができる。よって、遠方から発光装置を見た場合に、減法混色の作用により、明るさを低減させることなく、より一層コントラストを向上させることができる。
【0011】
(発光素子11)
図1A~1Cにおいて、発光装置10は、複数の発光素子11を含む。例えば、3つの発光素子、つまり、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cを含む。
発光素子11としては、発光ダイオードを用いるのが好ましい。発光素子11は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、窒化物半導体(InAlGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、ZnSe、GaPを用いたものが挙げられる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaP等を用いたものが挙げられる。さらに、これ以外の材料からなる発光素子を用いることもできる。発光素子は、n側半導体層と、p側半導体層と、n側半導体層とp側半導体層とに挟まれた活性層とを含む。活性層は、単一量子井戸(SQW)構造としてもよいし、複数の井戸層を含む多重量子井戸(MQW)構造としてもよい。発光素子の発光波長、大きさ等は目的に応じて適宜選択することができる。発光素子は、n側半導体層と、活性層と、p側半導体層とを含む発光部を複数含んでいてもよい。発光素子が複数の発光部を含む場合、それぞれの発光部において、発光波長が異なる井戸層を含んでいてもよいし、発光波長が同じ井戸層を含んでいてもよい。なお、発光波長が同じとは、数nm程度のばらつきがある場合も含む。複数の発光部の間の発光波長の組み合わせは、適宜選択することができる。例えば、発光素子が2つの発光部を含む場合、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または、緑色光と赤色光などの組み合わせが挙げられる。各発光部は、他の井戸層と発光波長が異なる井戸層を1以上含んでいてもよい。
発光素子11は、例えば、透光性の支持基板上に窒化物半導体層を積層させて形成され、支持基板側が発光素子の主な光取り出し面となる。支持基板は、例えば、研磨、レーザーリフトオフ等で除去してもよい。
発光素子11は、同一面側、つまり、光出射面とは反対側の面に正及び負の電極を有するものが好ましい。発光素子11は、電極が形成された面を下面として、後述する基体に対向させて基体上にフリップチップで配置してもよい。また、電極が形成された面を上面として、電極が形成された面の反対側の面を基体に対向させて、基体上にフェイスアップで配置してもよい。この場合、電極は、ワイヤにより、基体上の導電性の部材と電気的に接続される。
【0012】
複数の発光素子11は、全部が波長の異なる発光素子でもよいし、一部の波長が同じ又は異なる発光素子でもよい。具体的には、図1A~1Cに示すように、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cを用いる場合には、第1発光素子11aとして、430nm以上490nm以下の範囲の発光波長、第2発光素子11bとして、495nm以上565nm以下の範囲の発光波長及び第3発光素子11cとして、610nm以上700nm以下の範囲の発光波長の光を出射する発光素子を用いることが好ましい。なお、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cは、それぞれ2以上用いてもよい。
【0013】
複数の発光素子11は、後述する基体12上に配置されている。図1Bに示すように、複数の発光素子11は、上面視で直線状に配列されていてもよい。また、図2Bに示すように、複数の発光素子11は、基体12の中心線から外れた位置、例えばジグザグ状に配置されていてもよいし、基体12上にランダムに配置されていてもよい。複数の発光素子11は、波長の長い又は短いものから順に直線状又はジグザグ状に配置されていてもよいし、波長にかかわらず、直線状、ジグザグ状又はランダムに配置されていてもよい。
複数の発光素子11の配置は、例えば、各発光素子の波長による輝度バランスを考慮して決定することができる。具体的には、例えば、430nm以上490nm以下の発光波長の光を出射する発光素子、495nm以上565nm以下の発光波長の光を出射する発光素子、610nm以上700nm以下の発光波長の光を出射する発光素子の3つが配置されている場合、最短の波長の発光素子と最長の波長の発光素子との間に、それらの間の波長の発光素子を、配置することが好ましい。例えば、白色点灯させる場合に、430nm以上490nm以下の発光波長の光を出射する発光素子の輝度が1、495nm以上565nm以下の発光波長の光を出射する発光素子の輝度が7、610nm以上700nm以下の発光波長の光を出射する発光素子の輝度が3、となっている場合に白色に見える。そのため、最も輝度を必要とする波長の光を出射する発光素子を真中に配置することにより、良好な白色を得ることが可能となる。
発光素子11は、適当な接着部材、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン等の樹脂、Au-Sn共晶などの半田、低融点金属等のろう材、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト等を用いて、基体12上に配置することができる。特に、発光素子がフリップチップで基体上に配置される場合には、Auのバンプ、Au-Snの共晶等を用いて、基体上に接合することが好ましい。
【0014】
(透光性部材)
発光素子11は、発光素子11の上面上に透光性部材が配置されていてもよい。透光性部材は、発光素子11の上面上のみに配置されていてもよいし、後述するように、発光素子11の上面上から、発光素子11を配置する基体12、例えば、リード17の上にわたって配置されていてもよい。例えば、発光素子11が基体の凹部17a内に配置されている場合、透光性部材は、凹部内に配置されていることが好ましい。
透光性部材としては、発光素子11から出射される光の60%以上を透過するものが挙げられ、90%以上を透過するものが好ましい。
透光性部材は、ワイヤに対する応力の緩和、封止部材自体の耐光性、光の屈折率等を考慮して、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリレート樹脂、メタクリル樹脂(PMMA等)、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリノルボルネン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、変性エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂等の1種又は2種以上等の樹脂、液晶ポリマー、ガラス等、当該分野で通常用いられる材料から選択することができ、なかでも、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが好ましい。
透光性部材は、樹脂材料中に、波長変換物質を含有する材料によって形成することができる。波長変換物質は、発光素子から出射される光の波長を、異なる波長の光に変換する蛍光体、量子ドット等の波長変換物質を含む。
【0015】
蛍光体としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばY(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばLu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばTb(Al,Ga)12:Ce)系蛍光体、シリケート系蛍光体(例えば(Ba,Sr)SiO:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えばCaMg(SiOCl:Eu)が挙げられる。また、窒化物系蛍光体として、βサイアロン系蛍光体(例えばSi6-zAl8-z:Eu(0<z<4.2))、αサイアロン系蛍光体(例えばMz(Si,Al)12(O,N)16(0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y及びLaとCeを除くランタニド元素)、窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CASN又はSCASN)系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等が挙げられる。また、MaMbAl:Euで表される蛍光体(Maは、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mbは、Li、Na及びKからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.5≦x≦1.5、0.5≦y≦1.2、及び3.5≦z≦4.5を満たす)が挙げられる。さらに、SGS系蛍光体(例えばSrGa:Eu)が挙げられる。このほか、マンガン賦活フッ化物系蛍光体(例えば、A[M1-aMn]で表される蛍光体(Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNHからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、0<a<0.2)が挙げられる。マンガン賦活フッ化物系蛍光体の代表例としては、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体(例えばKSF(KSiF:Mn)、KSAF(K(Si,Al)F:Mn))が挙げられる。
透光性部材は、波長変換物質を含む層の単層又は複数層とすることができる。1つの透光性部材に、1種類又は複数種類の蛍光体を含んでいてもよい。複数種類の蛍光体は、混合して用いてもよいし、別々の層を積層させて用いてもよい。また、波長変換物質を含む層と、実質的に波長変換物質を含まない層との積層構造であってもよい。
透光性部材は、光拡散物質を含んでいてもよい。光拡散物質としては、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、アエロジル、ガラス、ガラスファイバー又はワラストナイト等のフィラー、窒化アルミニウム等、当該分野で通常用いられているもの等が挙げられる。
透光性部材は、例えば、射出成形、ポッティング成形、樹脂印刷法、トランスファーモールド法、圧縮成形等で成形することができる。
【0016】
(基体12)
発光装置10は、複数の発光素子11を配置する基体12を含む。基体12は、1つの基体上に複数の発光素子11を配置し得る部材であることが好ましい。
基体12の形状は、特に限定されないが、例えば、発光観測面側から見た平面形状が、円、楕円、正方形、長方形、多角形等及びこれらの変形(例えば、角を丸めた又は切欠した形状)が挙げられる。なかでも、四角形であることが好ましく、略長方形又は略正方形であることがより好ましい。また、少なくとも一面に、例えば、側面12bに、基体12を製造する際用いる金型との離型性を向上させるためのテーパを有していることが好ましい。基体12の上面12aには、発光装置の外光を散乱させてコントラストを向上させるために、微細な凹凸等を有していてもよい。
基体12を構成する材料は、特に限定されず、例えば、ガラスエポキシ、樹脂、セラミックス等の絶縁の材料、金属材料、これらの複合材料等が挙げられる。なかでも、基体は、加工性等の観点から、少なくとも一対(例えば、正負)のリード17とこれらのリード17を保持する保持部材18とを含むものが好ましい。リード17は、例えば、発光装置に搭載される発光素子の数に応じて、複数対含むものが好ましい。
【0017】
保持部材18は、例えば、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂等によって形成することができる。具体的には、エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、シリコーン変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂組成物;エポキシ変性シリコーン樹脂等の変性シリコーン樹脂組成物;ハイブリッドシリコーン樹脂;ポリイミド樹脂組成物、変性ポリイミド樹脂組成物;ポリフタルアミド(PPA);ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンサルファイド(PPS);液晶ポリマー(LCP);ABS樹脂;フェノール樹脂;アクリル樹脂;PBT樹脂等の樹脂が挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。これらの樹脂は、上述した光拡散物質、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウム、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)等の光反射材等を含んでいてもよい。特に、発光素子からの光、外光などが透過しにくい材料によって形成されていることが好ましく、機械的強度の高いものがより好ましい。例えば、基体は、発光装置のコントラストを向上させるため、発光装置の外光(多くの場合、太陽光)に対して光反射率が低い材料で形成されていることが好ましく、黒色又は黒色に近似した色であることが好ましい。そのために、アセチレンブラック、活性炭、黒鉛等のカーボン、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化コバルト、酸化モリブデンなどの遷移金属酸化物又は有色有機顔料等を含有していてもよい。保持部材18は、射出成形、トランスファーモールド等の公知の方法で製造することができる。
【0018】
リード17は、発光素子に電流を供給し得るものであればよく、当該分野で通常使用されている材料で形成することができる。具体的には、リードは、銅、アルミニウム、金、銀、プラチナ、チタン、タングステン、パラジウム、鉄、ニッケル等の金属又はこれらを含む合金等の単層又は積層層によって形成することができる。リード17は、発光素子からの光を効率よく取り出すために、その最表面が銀もしくは金又はこれらの合金等の反射率の高い材料で覆われていてもよい。これらの材料は、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ等によって被覆することができる。
リード17は、種々の形状及び厚みとすることができ、図5A~5Cに示すように、全て又は一部が同じ形状及び/又は同じ厚みであってもよいし、全て又は一部が異なる形状及び/又は異なる厚みであってもよい。複数のリード17は、例えば、その一部において、発光素子11を配置するためのxy平面を有することが好ましい。xy平面は、基体12の上面12aと一致する部位でもよいし、一致していなくてもよい。例えば、図1C及び5B等に示すように、リード17において、厚み方向(xy平面に直交するz軸方向)に発光素子11を配置するための凹部17aが形成されていてもよい。凹部17aは、内上面と内上面から基体12の上面12a方向に延びる内側面とによって画定されている。凹部17aを画定する内上面に発光素子11が載置されていることが好ましい。内上面この場合、リード17は、発光素子11を配置する内上面有する凹部17aと、凹部17aの周辺に内上面と平行であり、かつ、基体12の上面12aと同じ高さである平面部17bとから成ることが好ましい。凹部17aの中心点とチップの中心点とが一致するように配置することが好ましい。このようなリード17が凹部17aを有し、凹部17aに発光素子11を配置することにより、光の取り出し効率を向上させることができる。なお、凹部17aは、1つのリードに1つ配置されていてもよいし、複数配置されていてもよい。また、リード17は、他の一部において、外部との電気的な接続のために、図6Bに示すように、屈曲して厚み方向及び/又は平面部に平行な方向に延長していてもよい。リード17は、保持部材18の上面、下面又は側面においてその一部が露出していてもよいが、保持部材18の内部にその一部が埋設されて固定されていることが好ましい。また、リード17は、保持部材18の上面、下面又は側面から、突出していてもよい。
凹部17aの形状、大きさ及び位置は、発光素子の配置、要求される光学特性等を考慮して、適宜設定することができる。凹部の形状としては、平面形状がトラック形状、円、楕円、正方形、長方形、多角形等及びこれらの変形(例えば、角を丸めた又は切欠した形状)が挙げられる。凹部17aの内壁面は、内上面から垂直であってもよいし、内上面から広がるテーパ形状であってもよい。
【0019】
例えば、リード17は、1つの発光素子11を配置するための凹部17aを、3つ又は3つ以上備え、凹部17aは、上面視において直線状に配列されていてもよいし、基体12の中心線から外れた位置、例えばジグザグ状に配置されていてもよいし、ランダムに配置されていてもよい。基体12の上面視が、例えば、四角形の場合、リード17の凹部17aは、例えば、基体の一辺に対して平行な直線状又は平行な直線を形成し得るジグザグ状に配置されていることが好ましい。
図1A図1Bに示す場合、基体12は、平面形状が四角形であり、基体12の一辺に対して平行な直線状に、同一の形状の3つの凹部17aがそれぞれ等間隔で離間して配置するようにリード17が配置されていてもよい。また、基体12において、リード17の上面と保持部材18の上面とは同じ高さに形成されていることが好ましい。さらに、発光素子11とリード17とを電気的に接続しているワイヤの、リード17との接合部分を被覆するように第1樹脂19を配置していてもよい。第1樹脂19は、発光装置のコントラストを向上させるため、発光装置の外光(多くの場合、太陽光)に対して光反射率が低い材料で形成されていることが好ましく、黒色又は黒色に近似した色であることが好ましい。第1樹脂19は上述した保持部材18と同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。
リード17は、各発光素子を個別に駆動することができるように配置されていることが好ましい。
【0020】
(レンズ13)
発光装置10は、複数の発光素子11を覆うレンズ13を含む。レンズ13は、複数のレンズ部14と、少なくとも1つの固定部15とを有する。従って、レンズ13は、複数のレンズ部14によって発光素子11からの光を透過して、集光するために機能するとともに、固定部15によって複数のレンズ部14を発光素子11の周辺に固定する機能を備える部材である。
レンズ部14は、1つの発光素子11に対して1つ配置されており、1つの発光素子11の上方に配置されている。言い換えると、上述したxy平面に発光素子11が配置されている場合には、レンズ部14は、xy平面に直交するz軸方向に配置されている。発光素子11の光軸とレンズ部14の光軸とが一致することが好ましい。これにより、発光装置の指向特性の制御性を向上させることができる。
【0021】
レンズ部14の形状は、用いる発光素子、得ようとする発光装置の特性等に応じて、適宜設定することができ、当該分野で公知の形状とすることができる。例えば、レンズ部14は平面視において楕円形状を有していてもよい。楕円形の長軸は、所定方向(ここではx軸方向)に沿った長軸を有する。レンズ部14が楕円形状を有していることで、指向特性を、水平方向に広く、かつ、垂直方向に狭くなるように制御できる。また、垂直方向に指向特性が狭くなることで、垂直方向への配光を絞ることになる。そのため、正面方向の輝度を上げることができる。図1Aでは、レンズ部14は、平面視において、x軸方向に長軸を有する楕円形状を有するので、x軸方向に広く、y軸方向に狭い指向特性が得られる。また、レンズ部14が平面視において円形状を有していてもよい。レンズ部14が円形状を有していることで、発光観測面側への光の取出しを向上させることができる。また、全方向から同じ配光を得ることができる。
【0022】
レンズ13を形成する材料は、ガラス、樹脂等が挙げられるが、加工性等の観点から、樹脂、特に、透光性の上述した熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂等を用いることが好ましい。透光性とは、上述したように、発光素子11から出射される光の60%以上を透過する性質を意味し、90%以上を透過するものが好ましい。
レンズ部14は、発光素子11の発光波長と同系色の着色剤を含有する。着色剤としては、顔料及び染料等が挙げられる。着色剤は、レンズ部の成形時の熱等に耐えうる材料であり、成形性を阻害しにくいものが好ましい。着色剤は、粒径3.0μm以下が好ましく、100nm以上2.0μm以下がより好ましい。このような大きさの着色剤を用いることで、樹脂材料中に着色剤が均一に存在し、粒子間の隙間を狭くすることができるため、色むらを抑制することができる。同じ発光波長の発光素子11が複数ある場合、同系色の着色剤は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる発光波長の発光素子11が複数ある場合でも、発光素子11が同系色の光を出射するものであれば、同系色の着色剤は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。異なる発光波長の発光素子11が複数ある場合、発光素子11が異系色の光を出射するものであれば、着色剤はそれぞれ異なるものが含有されている。ここで、同系色とは、マンセル表色系(20色相)において、色相が色相環の3レンジ以内であり、且つ、明度が3レンジ以内であり、且つ、彩度が3レンジ以内であることを意味する。すなわち、マンセル表色系(20色相)の等色相面において、色相、明度、彩度とも両隣までが同系色とする。一方、異系色とは、同系色でないものを指す。着色剤は、当該分野で公知の色素又は顔料を用いることができる。例えば、430nm以上490nm以下の範囲の発光波長の発光素子に対しては、CoAl、CoO、CoSnO、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)、YInMnブルー、フタロシアニン、アントラキノン、インジゴイド等、495nm以上565nm以下の範囲の発光波長の発光素子に対しては、Cr、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、フタロシアニン、アゾメチン、ペリレン、イソインドリノン、イソインドリン、アゾメチン、アントラキノン、アントロン、キサンテン等、610nm以上700nm以下の範囲の発光波長の発光素子に対しては、鉛丹、酸化鉄赤(Fe)、キナクリドン、ジケトピロロピロール、アントラキノン、ペリレン、ペリノン、インジゴイド等及びCdSe、MnAl、SnCr、Auを含有するもの等が挙げられる。着色剤の含有量は、用いる色によって適宜設定することができるが、母材となる樹脂材料に対して、例えば、0.3%以上1.5%以下が挙げられ、好ましくは0.5%以上1.0%以下である。
【0023】
固定部15は、レンズ部14に連続して形成されている。固定部15は、基体12の上面12a、特に、発光素子11の周辺の基体12の上面12aの少なくとも一部を被覆するように配置されており、レンズ部14とともに基体12の上面12aの全部を被覆又は固定するものが好ましい。また、基体12の側面12bの少なくとも一部も被覆するように配置している。例えば、固定部15は、基体12の厚み方向(xy平面に直交するz軸方向)において、基体12の側面12bの一部又は全部を被覆又は固定するものが好ましく、特に、上面視において、基体12の全周を被覆又は固定するものがより好ましい。さらに、固定部15は、基体12の上面12aの少なくとも一部と、基体12の側面12bの少なくとも一部とを、連続して被覆していることがより好ましい。なお、固定部15は、基体12の下面の一部又は全部をさらに被覆するように配置していてもよい。ただし、基体12に含まれるリード17の少なくとも一部は、発光素子への電流の供給のために、固定部15から露出している。
レンズ部14に連続して形成される固定部15は、個々のレンズ部14に対応して個々に形成された複数の固定部15でもよいし、複数のレンズ部14に一体的に連続して形成された1つの固定部15であってもよい。複数の固定部15の場合、固定部15は、レンズ部14と同じ着色剤を含有することが好ましい。また、複数の固定部15は、離間することなく一体的に連結していることが好ましい。複数の固定部15のそれぞれの上面が揃うように形成されていることが好ましい。1つの固定部15の場合、基体12の上面12aのうち各レンズ部14の周辺少なくとも一部と、基体12の側面12bの少なくとも一部とが、各レンズ部14と同じ着色剤を含有することが好ましい。
レンズ13を構成するレンズ部14及び固定部15は、基体の下面以外の部位において、発光素子11の発光波長と同系色の着色剤を含有することが好ましい。
例えば、図1Aにおける固定部15は、基体12の平面形状が四角形である場合に、基体12の一辺に平行に、基体の一側面から、上面12aを通って、レンズ部と連続し、さらに他側面にまで延長しており、第1固定部15a、第2固定部15b、第3固定部15cは一体的に連結されている。
【0024】
[第2実施形態]
図1Aから図1Cに係る本開示の発光装置の第1実施形態は、発光素子11、凹部17a及びレンズ部14が直線状に配置されているのに対し、図2A及び2Bに係る本開示の発光装置の第2実施形態は、発光素子11、凹部17a及びレンズ部14がジグザク状に配置されている点で異なっている。
図2A及び2Bに示す発光装置10Aでは、レンズ23は、第1レンズ23a、第2レンズ23b、第3レンズ23cを含み、これら第1レンズ23a、第2レンズ23b、第3レンズ23cは、第1発光素子11a、第2発光素子11b、第3発光素子11cごとに、上方に第1レンズ部24a、第2レンズ部24b、第3レンズ部24cが配置されている。
ここでは、平面形状が四角形の基体22の一辺に対して平行な直線を形成し得るジグザグ状に、同一の形状の3つの凹部17aが配置されている。ここで、ジグザグ状とは、3つの発光素子11のうち少なくとも1つ(例えば、中央)が他の2つの発光素子11の中心を結ぶ線上に位置しないように配置されている場合をいう。また、4つ以上の場合は、例えば、隣合う発光素子が他の発光素子11の中心を結ぶ線上に位置しないように配置されている場合をいう。また、基体22の保持部材28が一部盛り上がって形成されていてもよい。ここでは、一対のリードのうち、凹部17aの形成されていないリードに、保持部材28が一部分盛り上がるように形成されていることが好ましい。
平面視においてこれらの第1レンズ部24a、第2レンズ部24b、第3レンズ部24cをそれぞれのレンズ部24が挟むように、基体22の上面22aから基体22の側面22bを被覆する第1固定部25a、第2固定部25b、第3固定部25cを有する。図2Aにおける固定部25は、基体12の平面形状が四角形である場合に、基体の一側面から、上面22aを通って、レンズ部と連続し、他側面にまで延長している。第1固定部25a、第2固定部25b、第3固定部25cは一体的に連結されている。平面視において、レンズ部が配置されている固定部25の上面は幅が広く形成されている。また、レンズ部が配置されていない固定部25の上面は、幅が狭く形成されている。そのため、固定部25の上面は一側面側から他側面側にかけて幅が広い部分と幅が狭い部分とが連続して形成されている。
【0025】
発光装置は、上述した部材以外の部材を備えていてもよい。例えば、発光素子を静電気及び過電圧から保護するため、ツェナーダイオード等の静電保護素子等が備えられていてもよい。
【0026】
[第3実施形態]
本開示の発光装置の第3実施形態として、主に図3を用いて説明する。
例えば、図3に示す発光装置10Bは、2つの発光素子11と、発光素子11を配置する基体12と、レンズ13とを備える。
図1Aから図1Cに係る本開示の発光装置の第1実施形態は、発光素子11、凹部17a及びレンズ部14をそれぞれ3つずつ有しているのに対し、図3に係る本開示の発光装置の第3実施形態である発光装置10Bは、発光素子11、凹部17a及びレンズ部14をそれぞれ2つずつ有している点で異なっている。
発光素子11は、例えば、第1発光素子11aと、第1発光素子11aよりも発光波長が長い第2発光素子11bとを含む。例えば、第1発光素子11aとして、610nm以上700nm以下の範囲の発光波長の光を出射する発光素子、第2発光素子11bとして、495nm以上565nm以下の範囲の発光波長の光を出射する発光素子を用いてもよい。これにより、アンバー色の光を出射する発光装置を得ることができる。これらの発光波長の光を出射する発光素子11は、第1発光素子11aと第2発光素子11bとをそれぞれ2以上用いてもよい。
【0027】
基体12は、x軸及びx軸に直交するy軸を有するxy平面を有する。第1発光素子及び第2発光素子は、基体のxy平面に配置されている。具体的には、上述したように、基体12は、2対のリード17と保持部材18とを含む。2つのリード17は、xy平面に凹部17aを有している。凹部17aの内上面は、xy平面と平行であることが好ましい。
基体12は、基体12の一辺に対して平行な直線状に、同一の形状の2つの凹部17aが離間して配置するようにリード17が配置されていてもよい。
レンズ13は、第1発光素子11aからの光を透過する第1レンズ13aと、第2発光素子11bからの光を透過する第2レンズ13bとを備える。
第1レンズ13aは、第1発光素子11aの発光波長と同系色の第1着色剤を含有する。また、第1レンズ13aは、第1レンズ部14aと、第1固定部15aとを有する。第1レンズ部14aは、xy平面に直交するz軸方向、つまり、xy平面の発光観測面側、言い換えると、第1発光素子11aの上方に配置されて、第1発光素子からの光を透過させる。第1固定部15aは、第1レンズ部14aに連続して形成されている。固定部15aは、基体12の上面12aの少なくとも一部と、基体12の側面12bの少なくとも一部を固定する。固定部15aは、平面視において基体12の全周と、基体12の上面12aの全部と、基体12の側面12bの厚み方向の一部とを連続していることが好ましい。
【0028】
第2レンズ13bは、第2発光素子11bの発光波長と同系色の第2着色剤を含有する。また、第2レンズ13bは、第2レンズ部14bと、第2固定部15bとを有する。第2レンズ部14bは、xy平面に直交するz軸方向、つまり、xy平面の発光観測面側、言い換えると、第2発光素子11bの上方に配置され、第2発光素子からの光を透過させる。第2固定部15bは、第2レンズ部14bに連続している基体12の上面12aの少なくとも一部と、基体12の側面12bの少なくとも一部を固定する。固定部15bは、平面視において基体12の全周と、基体12の上面の全部と、基体12の側面12bの厚み方向の一部とを連続していることが好ましい。
第1固定部15aと第2固定部15bとは、一体的に連続し配置されていることが好ましく、さらに、第1レンズ部14a及び第2レンズ部14bと、一体的に連続して配置されていることがより好ましい。
このような発光装置10Bでは、例えば、白色の光を得るために、第1発光素子11a及び第2発光素子11bに対して、青系及び黄色(緑等)系の着色剤を含有する第1レンズ13aと第2レンズ13bとを備えるレンズを有するものが挙げられる。
なお、上述した構成以外は、実質的に、発光装置10で説明したものと同様の構成を有することができる。
【0029】
[発光装置の製造方法1]
本開示の発光装置の製造方法の一実施形態は、第1発光素子を載置した第1リードと第2発光素子を載置した第2リードとを樹脂を用いて固定する樹脂成型体を有する基体を第1金型に挟む工程と、第1発光素子の発光波長と同系色の第1着色剤を含有し、第1発光素子の上方に配置される第1レンズ部と、第1レンズ部に連続している基体の上面12aの少なくとも一部と、基体の側面12bの少なくとも一部を固定する第1固定部と、を含む第1レンズを形成する工程と、第1金型を外す工程と、基体を第2金型に挟む工程と、第2発光素子の発光波長と同系色の第2着色剤を含有し、第2発光素子の上方に配置される第2レンズ部と、第2レンズ部に連続している基体の上面12aの少なくとも一部と、基体の側面12bの少なくとも一部を固定する第2固定部と、を含む第2レンズを形成する工程と、第2金型を外す工程と、を含んでいる。第1金型は、第1空洞部を有し、第1空洞部は、断面視において樹脂成形体と接触することで第2発光素子の上方に形成され、第2金型は、第2空洞部を有し、第2空洞部は、断面視において前記第1固定部と接触することで前記第1レンズ部の上方に形成されている。
【0030】
本開示の発光装置の製造方法の一実施形態について、図4から図9Bを用いて説明する。本開示の発光装置の製造方法の一実施形態において、発光装置の製造方法は、図4に示すように、基体を第1金型に挟む工程(S1)、第1レンズを形成する工程(S2)、第1金型を外す工程(S3)、基体を第2金型に挟む工程(S4)、第2レンズを形成する工程(S5)及び第2金型を外す工程(S6)を含む。
なお、以下の発光装置の製造方法の記載においては、「第1発光素子」、「第2発光素子」は、上述した「第1発光素子」、「第2発光素子」と同じ特定波長の発光素子を指すとは限らない。
【0031】
基体を第1金型に挟むために、まず、基体を準備する。
基体12を準備するために、リード17を形成する金属板を準備し、当該分野で公知の方法、例えば、打ち抜き加工、エッチング、めっき等によって、1つの発光装置を構成する1単位のリード17を準備する。1単位のリードは、例えば、図5A、5Bに示すように、凹部17aを有する3つリードと、それに対向する3つのリードとからなる3対のリード17を備えるものが挙げられる。
あるいは、図5Cに示すように、3つの凹部17aを有する1つのリードと、そのリードにそれぞれ対向する5つのリードとからなる3対のリード17Xを備えるものであってもよい。
なお、1単位のリードは、通常、リードフレームによって、複数単位が連結バーによって連結された状態で形成される。
【0032】
1単位のリード17を準備した後、これらのリード17を屈曲加工する。例えば、図6A、6Bに示すように、凹部17a及びその周辺を平面部17bとして、凹部17aとは反対側に1回、さらに凹部17a及びその周辺と略平行に1回等、適宜屈曲加工する。
屈曲加工の前後のいずれかにおいて、凹部17a内に、第1発光素子11y、第2発光素子11x、第3発光素子11zをそれぞれ配置し、一対のリードにワイヤによってそれぞれ電気的に接続することが好ましい。
得られたリード17を、基体12形成用、つまり、樹脂成形体形成用のキャビティを有する上下金型に挟む。そして、1単位のリード17、例えば、3対のリード17を一体的に固定する保持部材18の材料を、上下金型のキャビティに、トランスファー成形又は射出成形によって充填する。なかでも、トランスファー成形によって充填することが好ましい。そのために、保持部材18の材料を加熱して、軟化させてから、プランジャにより金型内のキャビティに圧入し、そのまま保持して保持部材18の材料を硬化させて、保持部材18を形成することができる。
【0033】
これによって、図7A、7Bに示すように、第1金型に挟む基体12を準備することができる。基体12は、上面12a及びそれに続く側面12bを有している。基体12は、xy平面を有する。また、基体12は、第1発光素子11yを載置した第1リードと、第2発光素子11xを載置した第2リードとを固定する保持部材18を有していてもよい。また、基体12は、さらに第3発光素子11zを載置した第3リードを有していてもよい。この場合、放熱経路を互いに分離できるので、各発光素子11で生じた熱を効率よく放熱できる。基体12は、第1発光素子11yと第2発光素子11xを載置したリードを固定する保持部材18を有していてもよい。この場合、発光素子11間の距離を小さくできる。したがって、基体12のxy平面の大きさを小さくすることができる。
なお、リード17の屈曲加工は、保持部材18を形成した後に行ってもよい。また、第1発光素子11y、第2発光素子11x、第3発光素子11zの載置は、保持部材18を形成した後に行ってもよい。
また、基体が、リードのみによって形成され、樹脂成形体を備えない場合には、リードを準備し、リードの上面に、好ましくはリードに形成された凹部内に各発光素子を載置し、任意にリードを屈曲加工し、これを、第1金型に挟む基体12として準備してもよい。
【0034】
(基体を第1金型に挟む工程:S1)
基体12を、図8Aから8Cに示すように、第1の上下金型31、32に挟む。第1金型は、上金型のみ、下金型のみを含むが、上下金型であることが好ましい。例えば、ここで用いられる第1の上下金型31、32は、真ん中の第1発光素子11yが配置されたリード17の凹部17a及びその周辺の平面部17b、つまり、基体12の上面12a及びそれに続く側面12bの一部を取り囲むキャビティ30Aを有する。なお、第1の上下金型31、32には、両側の第2発光素子11x、第3発光素子11zがそれぞれ配置されたリード17の凹部17a及びその周辺の平面部17bの上方に、それぞれ空洞部33、34が配置されている。空洞部33、34は、断面視において基体12の上面12aと接触していている。また、空洞部33、34は、リード17に載置された発光素子11を電気的に接続するワイヤに接触しない高さに形成されており、この場合、ワイヤの高さは、ワイヤの頂点の高さよりも高いことを指す。例えば、空洞部33、34の高さは、ワイヤの頂点からプラス0.1mm以上である。
このような第1の上下金型を用いる場合には、後述するように、各発光素子の発光波長に対応する着色剤を有するレンズ材料を用いて、トランスファー成形又は射出成形等を行う場合に、隣接するレンズ材料同士の接触による混合を回避することができ、適所に、適切な着色剤を含有するレンズを、それらの色の境界を明確にしたまま配置することができる。その結果、発光装置のコントラストを向上させることができる。
【0035】
(第1レンズを形成する工程:S2)
第1レンズを形成するために、第1レンズの材料を準備する。例えば、第1レンズが樹脂と着色剤とによって形成される場合、発光素子の発光波長と同系色の第1着色剤を準備し、適宜樹脂と混合する。
ここで、真ん中の第1発光素子11y、例えば、495nm以上565nm以下の発光波長の光を出射する発光素子に対して、第1着色剤として、緑色顔料を準備し、この着色剤を、熱硬化性樹脂に0.01重量%から2重量%で含有させた第1レンズの材料を準備する。第1レンズの材料は、あらかじめ熱硬化性樹脂に顔料を例えば3%から5%混合しておき、その後、混合した熱硬化性樹脂にさらに熱硬化性樹脂を加えて希釈したものでもよい。
この第1レンズの材料を、先の工程で、基体12を挟んだ第1の上下金型31、32内のキャビティに、トランスファー成形又は射出成形によって充填する。なかでも、トランスファー成形によって充填することが好ましい。そのために、第1レンズの材料を加熱して、軟化させてから、プランジャにより第1の上下金型31、32内のキャビティに圧入し、そのまま保持する。これによって、第1レンズ材料を硬化させることができ、第1レンズ13yを形成することができる。
【0036】
(第1金型を外す工程:S3)
続いて、第1の上下金型31、32内のキャビティで硬化した第1レンズ13yを、第1の上下金型31、32を外すことによって取り出す。
ここで形成された第1レンズ13yは、第1の上下金型31、32のキャビティに応じた形状となる。例えば、第1レンズ13yは、図8Aから8Cに示すように、基体12に配置された、好ましくは、の凹部17aの内上面上に配置された第1発光素子11yに対して、xy平面に直交するz軸方向に配置されている。第1レンズ13yは、第1発光素子11yからの光を透過させる第1レンズ部14yと、第1レンズ部14yに連続して形成され、基体12の上面12a少なくとも一部と、基体の側面12bの少なくとも一部とを固定する第1固定部15yを含む。
【0037】
(基体を第2金型に挟む工程:S4)
第1レンズ13yが形成された基体12を、図9A、9Bに示すように、第2の上下金型41、42に挟む。第2金型は、上金型のみ、下金型のみを含むが、上下金型であることが好ましい。ここで用いられる第2の上下金型41、42は、両側の第2発光素子11x、第3発光素子11zがそれぞれ配置されたリード17の凹部17a及びその周辺の平面部17b、つまり、基体12の上面12a及びそれに続く側面12bの一部をそれぞれ取り囲む2つのキャビティ40A、40Bを構成する形状を有する。このキャビティ40A、40Bは、いずれも、先に形成した第1レンズ13yの第1固定部15yに接触又は連結するように構成されている。また、第2の上金型41には、真ん中の第1発光素子11y上に形成された第1レンズ部14yを収容するとともに、その上方に、この第1レンズ部14yが接触等しないように空洞部43有する。空洞部43は、第1レンズ部14yの頂点の高さと同じか第1レンズ部14yの頂点の高さよりも高く形成されている。例えば、空洞部43は、第1レンズ部14yの頂点からプラス0.05mmした高さである。
【0038】
(第2レンズを形成する工程:S5)
第2レンズ13xを形成するために、第2レンズの材料を準備する。例えば、第2レンズ13xが樹脂と着色剤とによって形成される場合、第2発光素子11xの発光波長と同系色の第2着色剤を準備し、適宜樹脂と混合する。
ここで、第2発光素子11x、例えば、430nm以上490nm以下の発光波長の光を出射する発光素子に対して、第2着色剤として、青色顔料を準備し、この着色剤を、熱硬化性樹脂に0.01重量%から2重量%で含有させた第2レンズの材料を準備する。
この際、併せて、第3レンズを形成するために、第3レンズの材料を準備することが好ましい。例えば、第3レンズが樹脂と着色剤とによって形成される場合、第3発光素子11zの発光波長と同系色の第3着色剤を準備し、適宜樹脂と混合する。
つまり、第3発光素子11z、例えば、610nm以上700nm以下の発光波長の光を出射する発光素子に対して、第3着色剤として、赤色顔料を準備し、この着色剤を、熱硬化性樹脂に0.01重量%から2重量%で含有させた第3レンズの材料を準備する。
この第2レンズの材料及び第3レンズ材料を、先の工程で、基体12を挟んだ第2の上下金型41、42内のキャビティに、トランスファー成形又は射出成形によって、それぞれ充填する。なかでも、トランスファー成形によって充填することが好ましい。そのために、第2レンズの材料及び第3レンズの材料をそれぞれ加熱して、軟化させてから、各プランジャにより金型内のキャビティにそれぞれ圧入し、そのまま保持する。これによって、第2レンズ材料及び第3レンズ材料を硬化させて、第2レンズ13x及び第3レンズ13zを形成することができる。
【0039】
第2レンズ13xを形成する工程では、少なくとも第1固定部15yの側面の一部に第2レンズの材料が接触して第2レンズ13xが形成されることが好ましい。第2レンズ材料は、基体12の上面12aと第1レンズ部14yとの間に位置する第1固定部15yの側面に接触することがより好ましく、第1固定部15yの側面全てに接触することがさらに好ましい。
また、第3レンズ13zを形成する際、少なくとも第1固定部15yの側面の一部に第3レンズの材料が接触して第3レンズ13zが形成されることが好ましい。第3レンズ材料は、基体12の上面12aと第1レンズ部14yとの間に位置する第1固定部15yの側面に接触することがより好ましく、第1固定部15yの側面全てに接触することがさらに好ましい。
ここでは、1つの上下金型にプランジャが2つ設けられている場合を説明したが、例えば、第2レンズ13xと第3レンズ13zを形成する際に、第2レンズ13xを形成する金型と第3レンズ13zを形成する金型とが分かれていてもよい。
【0040】
(第2金型を外す工程:S6)
続いて、第2の上下金型41、42内のキャビティで硬化した、第2レンズ及び第3レンズを、第2金型を外すことによって、取り出す。
ここで形成される第2レンズ及び第3レンズは、第2の上下金型41、42のキャビティ40A、40Bに応じた形状となる。例えば、基体12に配置された、好ましくは、xy平面上に配置された発光素子に対して、xy平面に直交するz軸方向に配置され、第2発光素子x及び第3発光素子zからの光を透過させる第2レンズ部14x及び第3レンズ部14zと、第2レンズ部14x及び第3レンズ部14zにそれぞれ連続している基体12の上面12aの少なくとも一部と基体の側面12bの少なくとも一部とを固定する第2固定部15x及び第3固定部15zを含む。
ここで形成される第2レンズ13x及び第3レンズ13zは、第1固定部15yと一体的に形成することが好ましい。
なお、第2金型を外す工程の後、第3レンズ13zを形成する工程を行ってもよい。
このような方法によって、例えば、図1A~1Cに示した発光装置10を製造することができる。
また、例えば図2A図2Bに示した発光装置10Aは、第1の上下金型31、32や第2の上下金型41、42内におけるキャビティの形状を変更することによって同様に製造することができる。キャビティの形状は、例えば、平面視にて、レンズ部24が配置されている固定部25の上面は幅が広く形成され、レンズ部24が配置されていない固定部25の上面は、幅が狭く形成されているキャビティを使用することで製造することができる。
【0041】
[発光装置の製造方法の変形例]
本開示の別の発光装置の製造方法である変形例について、図10Aから図11Bを用いて説明する。
上述した発光装置の製造方法においては、第1の上下金型31、32と、第2の上下金型41、42とにそれぞれ対応するものを逆の順序で用いて発光装置を製造してもよい。
つまり、図10A、10Bに示すように、第1の上下金型として、上下金型51、52を用いてもよい。上下金型51、52は、両側の第2発光素子11x、第3発光素子11zがそれぞれ配置されたリード17の凹部17a及びその周辺の平面部17b、つまり、基体12の上面12a及びそれに続く側面12bの一部をそれぞれ取り囲むキャビティ50A、50Bを構成する形状を有する。また、上金型51には、真ん中の第1発光素子11yが配置されたリード17の凹部17a及びその周辺の平面部17bの上方に、空洞部53が配置されている。空洞部53、断面視において基体12の上面12aと接触していている。また、空洞部53、34は、リード17に載置された発光素子11yとリード17とを電気的に接続するワイヤに接触しない高さに形成されており、この場合、ワイヤの高さは、ワイヤの頂点の高さよりも高いことを指す。
【0042】
つまり、変形例では、第1の上下金型は、3以上の発光素子が載置された基体を挟むものであって、互いに隣接しない1又は複数の発光素子に対応する位置に上下金型のキャビティが配置され、それに隣接する発光素子に対応する位置に空洞部を配置することが好ましい。
【0043】
第1の上下金型として、上下金型51、52を用いることにより、両側の第2発光素子11x及び第3発光素子11zに対応する着色剤が含有された第2レンズ13x及び第3レンズ13zを形成することができる。第2レンズ13xは、第2レンズ部14x及び第2固定部15xを含み、第3レンズ13zは、第3レンズ部14z及び第3固定部15zを含む。
【0044】
次いで、図11A、11Bに示すように、第2の上下金型として、上下金型61、62を用いることができる。ここで用いられる上下金型61、62は、例えば、真ん中の第1発光素子11yが配置されたリード17の凹部17a及びその周辺の平面部17b、つまり、基体12の上面12a及びそれに続く側面12bの一部をそれぞれ取り囲むキャビティ60Aを構成する形状を有する。このキャビティ60Aは、先に形成した第2レンズ13x及び第3レンズ13zの第2固定部15x及び第3固定部15zの双方に接触又は連結するように構成されている。また、上金型61には、両側の第2発光素子11x、第3発光素子11z上に形成された第2レンズ部14x、第3レンズ部14z、第2固定部15x、第3固定部15zを収容するとともに、その上方に、これら第2レンズ部14x及び第3レンズ部14zが接触等しないように空洞部63、64を有する。空洞部63、64は、第2レンズ部14x、第3レンズ部14zの頂点の高さよりも高く形成されている。
【0045】
第2の上下金型として、上下金型61、62を用いることにより、真ん中の第1発光素子11yに対応する着色剤が含有された第1レンズ13yを形成することができる。第1レンズ13yは、第1レンズ部14y及び第1固定部15yを含む。第1固定部、第2固定部及び第3固定部は、それぞれ接触して一体的に形成することが好ましい。
なお、上述した以外の工程は、上述した発光装置の製造方法と同様に行うことにより、例えば、図1A~1Cに示した発光装置10を製造することができる。
【0046】
[発光装置の製造方法2]
本開示のさらに別の発光装置の製造方法について、図4図12から図14Bを用いて説明する。
本実施の形態において、発光装置の製造方法は、図4に示すように、基体を第1金型に挟む工程(S1)、第1レンズを形成する工程(S2)、第1金型を外す工程(S3)、基体を第2金型に挟む工程(S4)、第2レンズを形成する工程(S5)及び第2金型を外す工程(S6)を含む。
【0047】
基体12Yを第1金型に挟むために、まず、基体12Yを準備する。
ここで準備する基体12Yは、図12に示すように、凹部17aを有する2つリードと、それに対向する2つのリードとからなる2対のリード17Yを備える以外は、図5Aのリード17及び基体12と実質的に同様である。
【0048】
(基体を第1金型に挟む工程:S1)
得られた基体12Yを、図13A、13Bに示すように、第1の上下金型71、72に挟む。第1金型は、上金型のみ、下金型のみを含むが、上下金型であることが好ましい。ここで用いられる上下金型71、72は、第1発光素子11aとして、例えば、430nm以上490nm以下の範囲の発光波長の光を出射する発光素子が配置されたリード17Yの凹部17a及びその周辺の平面部17b、つまり、基体12の上面12a及びそれに続く側面12bの一部を取り囲むキャビティ70を構成する形状を有する。なお、第1の上下金型71、72には、隣接する第2発光素子11bが配置されたリード17Yの凹部17a及びその周辺の平面部17bの上方に、金型がワイヤと接触等しないように、空洞部73が配置されている。
【0049】
(第1レンズを形成する工程:S2)
第1レンズ13aを形成するために、第1レンズ13aの材料を準備する。ここでの第1レンズ13aの材料の準備は、上述した同様の工程と同様に行うことができる。
この第1レンズ13aの材料を、第1の上下金型71、72内のキャビティ70に、トランスファー成形又は射出成形によって充填し、そのまま保持する。これによって、第1レンズ材料を硬化させることができ、第1レンズ13aを形成することができる。
【0050】
(第1金型を外す工程:S3)
続いて、第1の上下金型71、72内のキャビティで硬化した、第1レンズ13aを、第1の上下金型71、72を外すことによって取り出す。
ここで形成される第1レンズ13aは、第1の上下金型71、72のキャビティ70に応じた形状となる。例えば、基体12Yに配置された、好ましくは、xy平面上に配置された発光素子に対して、xy平面に直交するz軸方向に配置され、第1発光素子11aからの光を透過させる第1レンズ部14aと、第1レンズ部14aに連続している基体の上面12aの少なくとも一部と基体の側面12bの少なくとも一部とを固定する第1固定部15aを含む。ここでは、第1固定部15aは、第1レンズ部14aに連結され、基体12Yの上面12aの全部と基体12Yの側面12bの厚み方向の一部であって、平面視で基体12Yの全周とを固定する第1固定部15aを含む。
【0051】
(基体を第2金型に挟む工程:S4)
得られた基体12Yを、図14A、14Bに示すように、第2の上下金型81、82に挟む。ここで用いられる第2の上下金型81、82は、第2発光素子11bとして、495nm以上565nm以下の発光素子が配置されたリード17Yの凹部17a及びその周辺、つまり、基体12Yの凹部17aの上面12aの一部及びそれに続く側面12bの一部を取り囲むキャビティ80を構成する形状を有する。このキャビティ80は、先に形成した第1固定部15aに接触又は連結するように構成されている。また、第2の上金型81には、第1発光素子11a上に形成された第1レンズ部14aを収容するとともに、その上方に、第1レンズ部14aが接触等しないように空洞部83を有する。空洞部83は、第1レンズ部14aの頂点の高さよりも高く形成されている。
【0052】
(第2レンズを形成する工程:S5)
第2レンズ13bを形成するために、第2レンズの材料を準備する。ここでの第2レンズの材料の準備は、上述した同様の工程と同様に行うことができる。
この第2レンズの材料を、第2の上下金型81、82内のキャビティ80に、トランスファー成形又は射出成形によって充填し、そのまま保持する。これによって、第2レンズ材料を硬化させることができ、第2レンズ13bを形成することができる。
【0053】
(第2金型を外す工程:S6)
続いて、上下金型内のキャビティで硬化した、第2レンズ13bを、第2の上下金型81、82を外すことによって、取り出すことができる。
ここで形成される第2レンズ13bは、第2の上下金型81、82のキャビティ80に応じた形状となるが、例えば、基体12Yに配置された、好ましくは、xy平面上に配置された発光素子に対して、xy平面に直交するz軸方向に配置され、第2発光素子11bからの光を透過させる第2レンズ部14bと、第2レンズ部14bに連続している基体12Yの上面12aの少なくとも一部と基体12Yの側面12bの少なくとも一部とを固定する第2固定部15bを含む。ここでは、第2固定部15bは、第2レンズ部14bに連結され、基体の全上面と基体の側面12bの厚み方向の一部であって、発光素子の全周とを固定する第2固定部15bを含む。第2レンズ13b、特に第2固定部15bは、第1固定部15aと一体的に形成されることが好ましい。
このような方法によって、例えば、図3に示した発光装置10Bを製造することができる。
【0054】
[第4実施形態]
本開示の発光装置の第4実施形態について、図15Aから15Bを用いて説明する。
図1Aから図1Cに係る本開示の発光装置の第1実施形態は、発光素子11がリード17に形成された凹部17aに配置されているのに対し、図15Aから図15Bに係る本開示の発光装置の第4実施形態は、発光素子11がリード17’と保持部材18’とからなる凹部17a’に配置されている点で異なっている。そのほかの構成については、上述の第1実施形態から第3実施形態と同様である。
凹部17a’は、内上面が保持部材18’から露出したリード17’からなり、内上面から基体12’の上面12a’方向へ延び、保持部材18’からなる内側面によって画定されている。
凹部17a’は、高反射性樹脂20を有していてもよい。高反射性樹脂20は、内上面に配置された発光素子の側面を少なくとも覆うことが好ましい。高反射性樹脂20は、透光性樹脂に、光反射性物質を分散させていうる。透光性樹脂としては、シリコーン樹脂、ジメチルシリコーン樹脂、フェニルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの透光性樹脂が挙げられる。また、光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが挙げられる。光反射性物質は、粒状、繊維状、薄板片状などが利用できるが、特に、繊維状のものは光反射部材の熱膨張率を低下させる効果も期待できるので好ましい。高反射性樹脂20は、発光素子11からの光に対する反射率を70%以上とする。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示の発光装置は、種々の用途の発光装置に好適に使用され得る。特に、屋外ディスプレイなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10、10A、10B 発光装置
11 発光素子
11a、11y 第1発光素子
11b、11x 第2発光素子
11c、11z 第3発光素子
12、12Y、22、12’ 基体
12a、12a’、22a 上面
12b、22b 側面
13、23 レンズ
13a、13y、23a 第1レンズ
13b、13x、23b 第2レンズ
13c、13z、23c 第3レンズ
14、24 レンズ部
14a、14y、24a 第1レンズ部
14b、14x、24b 第2レンズ部
14c、14z、24c 第3レンズ部
15、25 固定部
15a、15y、25a 第1固定部
15b、15x、25b 第2固定部
15c、15z、25c 第3固定部
17、17X、17Y、17’ リード
17a、17a’ 凹部
17b 平面部
18、18’ 保持部材
19 第1樹脂
20 高反射性樹脂
30A、40A、40B、50A、50B、60A、70、80 キャビティ
31、71 第1の上金型
32、72 第1の下金型
33、34、43、53、63、64、73、83 空洞部
41、81 第2の上金型
42、82 第2の下金型
51、61 上金型
52、62 下金型
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B