(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051517
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】発光モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G03B 15/02 20210101AFI20230404BHJP
H01L 33/52 20100101ALI20230404BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G03B15/02 S
H01L33/52
H01L31/02 B
G03B15/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162266
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】一島 洋
(72)【発明者】
【氏名】原 里誌
【テーマコード(参考)】
5F142
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
5F142BA02
5F142CA11
5F142CG03
5F142CG24
5F142CG43
5F142DA02
5F142DA14
5F142DA73
5F142DB16
5F142DB33
5F142DB52
5F142DB54
5F142EA02
5F142EA34
5F142GA21
5F149EA11
5F149EA14
5F149EA16
5F149JA03
5F149JA06
5F149JA09
5F149JA12
5F849EA11
5F849EA14
5F849EA16
5F849JA03
5F849JA06
5F849JA09
5F849JA12
(57)【要約】
【課題】電子部品の動作を損なうことなく、レンズ越しの見栄えのよい発光モジュール及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】発光装置の製造方法S10は、基板と、基板上に載置された発光素子及び受光素子と、発光素子及び受光素子と対向するレンズと、を備える発光モジュールの製造方法であって、発光素子及び受光素子が隣接して配置された基板を準備する準備工程S11と、受光素子を被覆部材により覆う被覆工程S12と、レンズを発光素子及び受光素子に対向させて配置するレンズ配置工程S13とを含み、被覆工程は、発光素子から遠い側となる受光素子の一側に被覆部材を滴下する第1滴下工程S12aと一側に滴下した被覆部材と発光素子の側面とに接するように、発光素子から近い側となる受光素子の他側にを被覆部材を滴下する第2滴下工程S12bと、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に載置された発光素子及び受光素子と、前記発光素子及び前記受光素子と対向するレンズと、を備える発光モジュールの製造方法であって、
前記発光素子及び前記受光素子が隣接して配置された基板を準備する準備工程と、
前記受光素子を被覆部材により覆う被覆工程と、
前記レンズを前記発光素子及び前記受光素子に対向させて配置するレンズ配置工程とを含み、
前記被覆工程は、前記発光素子から遠い側となる前記受光素子の一側に前記被覆部材を滴下する第1滴下工程と、一側に滴下した前記被覆部材と前記発光素子の側面とに接するように、前記発光素子から近い側となる前記受光素子の他側に前記被覆部材を滴下する第2滴下工程と、を含む発光モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記被覆工程において、
前記第1滴下工程は、前記受光素子の一側に沿って前記被覆部材を前記受光素子の一側の上面に複数回滴下し、
前記第2滴下工程は、前記受光素子の他側に沿って前記被覆部材を前記受光素子の他側の上面に複数回滴下する、請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記発光素子及び前記受光素子は平面視において矩形であり、
前記発光素子及び前記受光素子は平面視において矩形の一辺同士が対向するように前記基板上に載置されている請求項1又は請求項2に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記受光素子は前記基板とワイヤを介して接続されており、
前記被覆工程は、前記ワイヤに前記被覆部材を滴下する第3滴下工程を含む請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項5】
平面視で、前記他側から前記一側に向かう方向において、
前記発光素子と前記受光素子とが離隔する最大距離は、前記受光素子から前記基板の端部までの最大距離よりも小さい請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記被覆工程は、前記被覆部材の滴下をジェットディスペンサを用いて行う請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記被覆工程は、前記被覆部材として、着色物質を含有する透光性樹脂を用いる請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に隣接して載置された発光素子及び受光素子と、
前記発光素子及び前記受光素子と対向する位置に前記発光素子及び前記受光素子から離隔して配置されたレンズと、
前記発光素子の上面を露出し、前記受光素子の上面を覆う被覆部材と、を備え、
前記受光素子は、前記発光素子から近い側の上面に受光部を有し、
平面視において、前記受光素子を覆う前記被覆部材の頂部は前記受光部と離隔し、前記発光素子から遠い側の上面上に位置する発光モジュール。
【請求項9】
前記発光素子を複数備え、
前記レンズは、前記発光素子に対応するレンズ部を複数有する複眼レンズである請求項8に記載の発光モジュール。
【請求項10】
平面視において、前記レンズの直下に前記受光素子が配置されている請求項8又は請求項9に記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、タブレット端末、スマートフォン等のフラッシュに利用される発光モジュールとして、発光素子とレンズを組み合わせた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光モジュールでは、レンズの範囲に配置される電子部品がレンズ越しに見えてしまうと見栄えがよくない。このため、発光モジュールにおいて、レンズ越しに電子部品が目立たないようにすることが望まれている。
本開示に係る実施形態は、レンズ越しの見栄えがよい発光モジュール及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る発光モジュールの製造方法は、基板と、前記基板上に載置された発光素子及び受光素子と、前記発光素子及び前記受光素子と対向するレンズと、を備える発光モジュールの製造方法であって、前記発光素子及び前記受光素子が隣接して配置された基板を準備する準備工程と、前記受光素子を被覆部材により覆う被覆工程と、前記レンズを前記発光素子及び前記受光素子に対向させて配置するレンズ配置工程とを含み、前記被覆工程は、前記発光素子から遠い側となる前記受光素子の一側に前記被覆部材を滴下する第1滴下工程と一側に滴下した前記被覆部材と前記発光素子の側面とに接するように、前記発光素子から近い側となる前記受光素子の他側に前記被覆部材を滴下する第2滴下工程と、を含む。
【0006】
本開示の実施形態に係る発光モジュールは、基板と、前記基板上に隣接して載置された発光素子及び受光素子と、前記発光素子及び前記受光素子と対向する位置に前記発光素子及び前記受光素子から離隔して配置されたレンズと、前記発光素子の上面を露出し、前記受光素子の上面を覆う被覆部材と、を備え、前記受光素子は、前記発光素子から近い側の上面に受光部を有し、平面視において、前記受光素子を覆う前記被覆部材の頂部は前記受光部と離隔し、前記発光素子から遠い側の上面上に位置する構成である。そして、受光部の上面の被覆部材が頂部から遠い側の上面の被覆部材よりも薄くなるように前記被覆部材が配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る実施形態によれば、受光素子の動作を損なうことなく、レンズ越しの見栄えがよい発光モジュール及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る発光モジュールを用いたモバイル機器の一部を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1のII-II線における拡大断面図である。
【
図3】実施形態に係る発光モジュールのレンズを除いた状態を模式的に示す平面図である。
【
図4】実施形態に係る発光モジュールの受光素子の状態を模式的に示す拡大断面図である。
【
図5】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【
図6A】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を模式的に示す断面図である。
【
図6B】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を模式的に示す断面図である。
【
図6C】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を模式的に示す断面図である。
【
図7A】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を模式的に示す平面図である。
【
図7B】実施形態に係る発光モジュールの製造方法を模式的に示す平面図である。
【
図8】実施形態に係る発光モジュールの製造方法の応用例を示すフローチャートでる。
【
図9】実施形態に係る発光モジュールの製造方法の応用例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る発光モジュールの実施形態について説明する。
なお、以下の説明において参照する図面は、本発明を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、平面図、断面図の間において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称および符号については原則として同一または同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。
【0010】
また、本発明の各実施形態に係る発光モジュールにおいて、方向を示す「X」、「Y」、「Z」などは、状況に応じて入れ替わるものである。本明細書において、「上」、「下」、「右」、「左」などは、説明のために参照する図面において構成要素間の相対的な位置を示すものであって、特に断らない限り絶対的な位置を示すことを意図したものではない。また、本明細書において、「被覆部材」とは、硬化前の樹脂の状態と、硬化後の固体物とで同じ用語を適宜用いる。
【0011】
(実施形態)
[発光モジュールの構成]
まず、
図1~
図4を参照して、本発明の実施形態に係る発光モジュールの構成について説明する。
図1は、実施形態に係る発光モジュールを用いたモバイル機器の一部を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1のII-II線における拡大断面図である。
図3は、実施形態に係る発光モジュールのレンズを除いた状態を模式的に示す平面図である。
図4は、実施形態に係る発光モジュールの受光素子の状態を模式的に示す拡大断面図である。
発光モジュール100は、例えばカメラCAのフラッシュモジュールを構成するものである。発光モジュール100は、カメラCAと共に、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル機器の筐体90に組み込まれている。筐体90は、例えば、樹脂、金属等からなる本体部と、筐体90内に組み込まれた発光モジュール100のレンズ70を覆うカバーガラス80と、を備えている。なお、筐体90はカバーガラス80を備えていなくてもよく、この場合、発光モジュール100は、レンズ70がカバーガラス80を介することなく、直接、本体部から露出するように設置される構成でもよい。
【0012】
発光モジュール100は、基板40と、基板40上に載置された発光素子1及び受光素子10と、発光素子1及び受光素子10と対向する位置に発光素子1及び受光素子10から離隔して配置されたレンズ70と、発光素子1の上面を露出し、受光素子10の上面を覆う被覆部材30と、を備えている。さらに、発光モジュール100において、受光素子10は、発光素子1から近い側の上面に受光部12を有し、平面視において、受光素子10を覆う被覆部材30の頂部30Aは受光部12と離隔し、発光素子1から遠い側の上面上に位置している。つまり、平面視において、被覆部材30の頂部と、受光部12とは重ならない。なお、発光モジュール100では、発光素子1は、発光素子1を少なくとも1個を有する発光装置5として基板40上に載置されている。ここでは、一例として、発光モジュール100が、発光素子1を1つ有する発光装置5を複数(例えば4つ)備え、レンズ70として発光素子1の数に対応するレンズ部を複数(例えば4つ)有する複眼レンズを備える構成の発光モジュール100について説明する。なお、本明細書において、平面視が矩形の発光装置5を、平面視が矩形の発光素子1として説明する場合がある。以下、発光モジュール100の各構成について説明する。
【0013】
基板40は、絶縁性の基材と基材の上面の所定位置に配置された導体配線41とを備える。基板40は、発光素子1及び受光素子10を支持する部材である。
基体は、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等のセラミック基板、アルミニウム、銅等の金属基板、ガラスエポキシ等の樹脂基板等を挙げることができる。また、導体配線41は、発光素子1及び受光素子10に電力を供給する配線であり、基体に所定形状にパターニングされている。導体配線41は、基体を貫通する配線部と、基体の下面から露出する配線部とを介して外部電源に接続される。この導体配線41は、金属材料を用いることができ、例えば、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、チタン(Ti)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)等の単体金属またはこれらの金属を含む合金を好適に用いることができる。さらに好ましくは、光反射性に優れた銀(Ag)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)等の単体金属またはこれらの金属を含む合金を用いることができる。
【0014】
基板40は、その表面に、発光装置5上面の外観色と同系色となるレジスト層を備えることが好ましい。なお、基板40の表面に設けるレジスト層は、白色であっても構わない。基板40の表面を被覆するレジスト層は、導体配線41の保護の役割をする。また、レジスト層は、反射性物質を含有していてもよく、これにより発光モジュール100の光取出効率を高めることもできる。なお、基板40の平面視における形状は、矩形や円形等の任意の形状とすることができる。
【0015】
発光装置5は裏面に正負の素子電極2を備え、素子電極2は基板40の導体配線41に接続して配置されている。発光装置5は、1個以上の発光素子1と、発光素子1の光取出面上に載置される透光性部材3と、発光素子1の側面を被覆する保護部材4を備える。透光性部材3の側面は、保護部材4で被覆されていてもよく、保護部材4から露出して発光装置5の側面を構成していてもよい。発光装置5は、一例として、平面視形状が矩形状の発光素子を有する。ここでは、4つの平面視形状が矩形状の発光装置5が、平面視において矩形の一辺同士が対向するように2行2列に配列されて、基板40に載置されている。発光装置5は、平面視において、レンズ70と重なる位置に載置される。発光装置5は、ここでは、白色光を発光するように形成されている。
【0016】
発光素子1は、例えばサファイア等の透光性の支持基板と半導体層とを備えている。半導体層は、例えば、支持基板側から順に、n側半導体層と活性領域とp側半導体層とを備えている。紫外光や、青色光から緑色光の可視光を発光可能な発光素子1としては、例えば、窒化物半導体であるInXAlYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y<1)等で表されるGaN系やInGaN系を用いることができる。なお、発光素子1の平面視形状は、例えば矩形状であるが、円形、楕円形、三角形、六角形等の多角形であってもよい。
発光素子1は、同一面側に正負の素子電極2(2a,2b)を有するものが好ましく、これにより、基板40にフリップチップ実装することができる。なお、発光素子1は、正負の電極2(2a,2b)と、基板40の導体配線41とが、バンプや導電ペースト、半田等の接合部材を介して電気的に接続されている。
【0017】
透光性部材3は、平面視形状が略矩形状の板状の部材であり、発光素子1の上面を覆うように発光素子1上に配置されている。透光性部材3は、透光性の樹脂や、セラミックス、ガラス等の無機物を用いて形成することができる。樹脂としては、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂又はその変性樹脂が好適である。なお、ここでの透光性とは、発光素子1からの光の60%以上を透過し得る性質を指す。さらに、透光性部材3は、光拡散部材や発光素子1からの光の少なくとも一部を波長変換する蛍光体を含有してもよい。蛍光体を含有する透光性部材3としては、上述した樹脂材料、セラミックス、ガラス等に蛍光体を含有させたものや、蛍光体の焼結体等が挙げられる。
【0018】
蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2又はAgInSe2)等を用いることができる。
【0019】
KSAF系蛍光体としては、下記式(I)で表される組成を有していてよい。
M2[SipAlqMnrFs] (I)
【0020】
式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含んでよい。Mnは4価のMnイオンであってよい。p、q、r及びsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、5.9≦s≦6.1を満たしていてよい。好ましくは、0.95≦p+q+r≦1.05又は0.97≦p+q+r≦1.03、0<q≦0.03、0.002≦q≦0.02又は0.003≦q≦0.015、0.005≦r≦0.15、0.01≦r≦0.12又は0.015≦r≦0.1、5.92≦s≦6.05又は5.95≦s≦6.025であってよい。例えば、K2[Si0.946Al0.005Mn0.049F5.995]、K2[Si0.942Al0.008Mn0.050F5.992]、K2[Si0.939Al0.014Mn0.047F5.986]で表される組成が挙げられる。このようなKSAF系蛍光体によれば、輝度が高く、発光ピーク波長の半値幅の狭い赤色発光を得ることができる。
【0021】
例えば、発光素子1として青色発光素子を用い、透光性部材3が黄色蛍光体を含むことにより白色光を発光する発光装置5が得られる。
透光性部材3に含まれる光拡散部材としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などを用いることができる。
【0022】
保護部材4は、発光素子1の側面を保護する部材であり、発光素子1の側面を直接的に又は間接的に被覆する。保護部材4は透光性部材3の側面を被覆していてもよい。透光性部材3の上面は、保護部材4から露出し、発光装置5の発光面(つまり主たる光取り出し面)を構成する。保護部材4は、例えば高い光反射性を有することが好ましい。保護部材4は、例えば光反射性物質を含有する樹脂を用いることができる。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、ムライト等が挙げられる。また、樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂を母材とすることが好ましい。なお、保護部材4は、必要に応じて、可視光に対して透光性を有する部材で構成することもできる。
【0023】
受光素子10は、基板40に電気的に接続される。発光モジュール100は、受光素子10のほかに、ツェナーダイオード、サーミスタ、コンデンサ等の電子部品20を備えていてもよい。ここで受光素子10は、一例として、平面視形状が矩形状であり、全体的には直方体形状である。そして、受光素子10は、レンズ70から離隔し、かつ、レンズ70と受光部12とが対向する位置で基板40上に配置される。なお、他の電子部品20は、レンズ70に対向するように基板40上に配置されていてもよく、レンズ70と対向しないように配置されていてもよい。例えば、受光素子10は、レンズ70の直下に配置され、基板40の導体配線41とワイヤ13を介して接続されている。ワイヤ13は、一例として、
図7に示すように、平面視矩形状の受光素子10において、平面視で受光素子5と発光装置5とが対向する方向と直交する方向に配置されている。つまり、ワイヤ13は、ここでは、対向する二辺において、受光素子10の一方の辺を跨いで2本が配置され、受光素子10の他方の辺を跨いで2本が配置され、それぞれが基板40と接続されている。また、受光素子10は、一例として、
図3及び
図4に示すように、平面視矩形状の発光装置5と、平面視において矩形の一辺同士が対向するように配置されている。
【0024】
発光素子1及び受光素子10は、基板40上に隣接して配置されている。受光素子10は、平面視で、発光素子10から近い側となる他側から発光素子10から遠い側となる一側に向かう方向において、発光素子1を含む発光装置5と受光素子10とが離隔する最大距離D1は、受光素子10から基板40の端部までの最大距離D2よりも小さくなるように配置されている。
受光素子10は、素子筐体11と素子筐体11の上面に配置される受光部12とを備える。受光部12は、受光素子10の上面において、中央より他側に偏った位置で素子筐体11から露出している。ここでは、受光素子10は、受光部12が発光素子1のより近くに位置するように基板40に載置されている。受光素子10は、一例としてレンズ70を介して受光する光の強度により発光装置5の駆動電流を制御するための部品である。そのため、受光素子10は、受光部12上に配置される被覆部材30の厚みが大きいと、制御の動作が正常に機能しない虞がある。
【0025】
なお、電子部品20は、一般的にその外観色が黒色又は黒色に近い色で形成されている。そのため、受光素子10を含む電子部品20は、被覆部材30で被覆することが好ましく、これにより、レンズ70を介して外観の黒色が外部から視認されにくくすることができる。さらに、受光素子10のように受けた光を電気信号に変換する電子部品においては、レンズ越しの見栄えと共に、被覆部材30により受光機能が損なわれないことが求められる。
【0026】
図2及び
図3に示すように、被覆部材30は、レンズ70に対向する位置にある受光素子10の上面を被覆している。被覆部材30は、着色物質を含有する透光性の部材である。受光素子10を被覆する被覆部材30において、受光部12上を被覆する被覆部材30の厚みは、受光素子10の機能を損なわないために、より薄いことが好ましい。例えば、受光素子10を被覆する被覆部材30の頂部30Aが、受光部12上から離隔し、発光素子1から遠い側となる一側の上面上に位置することが好ましい。つまり、被覆部材30は、発光素子1から近い側となる他側の上面31を被覆する厚みが、基板40の端部側となる一側の上面32を被覆する厚みよりも薄くなるように受光素子10上に配置されている。このように、被覆部材30において、被覆部材30の他側の上面31の厚みを、一側の上面32の厚みより相対的に薄くすることで、受光素子10の動作を妨げないように被覆部材30の厚みを調整することができる。
【0027】
被覆部材30は、受光素子10上に、例えはジェットディスペンサ等の吐出装置により液状の樹脂を滴下することで配置することができる。被覆部材30は、発光素子1から出射しレンズ70に向かう光を妨げないように、レンズ70と離隔して配置される。被覆部材30は、発光装置5の発光面(つまり蛍光体或いは光拡散部材を含有する透光性部材3の上面)、及び/又は、基板上に形成されたレジスト層と同系色となるように、着色物質を含有して形成されることが好ましい。或いは、被覆部材30は、白色となるように着色物質を含有して形成される。また、被覆部材30は、一例として、受光素子10の上面及び側面の全てを被覆している。
【0028】
被覆部材30は、ここでは、受光素子10の上面及び他の複数の電子部品20の上面に配置されている。受光素子10を除く複数(例えば4つ)の電子部品20は、上面に受光部等の光学機能面を備えない。このため、電子部品20の上面を被覆する被覆部材30は、その厚みが略同じ厚み、または上面中央に頂部が位置するように配置されている。これに対し、上面に光学機能面を有する受光素子10を被覆する被覆部材30は、受光素子10の受光部12が位置する他側の厚みが一側よりも薄くなるように配置されている。なお、被覆部材30の厚みの下限は、着色物質を含有させて電子部品20の黒色が透けて見えない厚みであればよい。なお、被覆部材30は、電子部品20の種類や形状、高さに応じて厚みが異なるように配置されていてもよい。
【0029】
被覆部材30は、母材として、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂を使用することができる。また、被覆部材30は着色物質を含有する。着色物質としては、蛍光体、顔料及び染料のいずれか1つ以上を含む。蛍光体としては、透光性部材3に含有される蛍光体と同様の物が挙げられる。顔料としては、例えば無機系材料や有機系材料を用いたものが挙げられる。
【0030】
無機系材料としては、例えば、べんがら(Fe2O3)、鉛丹(Pb3O4)、酸化チタン(TiO2)、酸化クロム(Cr2O3)、チタンニッケルアンチモン系酸化物、チタンニッケルバリウム系酸化物、チタンクロムアンチモン系酸化物、チタンクロムニオブ系酸化物などが挙げられる。有機系材料として、例えば、アントラキノン系、アゾ系、キナクリドン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、モノアゾ系、ジスアゾ系、ピラゾロン系、ベンツイミダゾロン系、キノキサリン系、アゾメチン系、イソイソドリノン系などが挙げられる。染料としては、例えば、アントラキノン系染料、メチン系染料、アゾメチン系染料、オキサジン系染料、アゾ系染料、スチリル系染料、クマリン系染料、ポルフィリン系染料、ジベンゾフラノン系染料、ジケトピロロピロール系染料、ロダミン系染料、キサンテン系染料、ピロメテン系染料などが挙げられる。なお、顔料および染料は、基本的に発光素子1からの光を異なる波長に変換しないものがよい。
被覆部材30は、着色物質を母材に含有させている。そして、被覆部材30は、着色物質により白色或いは透光性部材3と同系色となるように形成されることが好ましい。なお、同系色とは、マクアダム楕円で15ステップ相当の範囲に含まれるものとする。
【0031】
前記したように、被覆部材30は、着色物質を含有し、受光素子10の上面を覆い、レンズ70を通して電子部品20が視認されにくくなるようにしている。また、被覆部材30は、受光部12を被覆する被覆部材の厚みをより薄くすることで、被覆部材30を透過する光を受光する受光素子10の動作を損なうことなく、レンズ70越しの見栄えをよくすることができる。
【0032】
図1乃至
図3に示すように、レンズ70は、発光装置5の上にレンズフレーム71を介して配置されている。レンズフレーム71は、発光装置5と離隔して、樹脂等の接着部材を用いて基板40に取り付けられる。レンズフレーム71は、レンズ70を基板40から離隔して支持することができるように、ここでは、レンズ70に一体となるように配置されている。なお、レンズフレーム71は、基板40と共に、発光モジュール100が取り付けられるモバイル全体の支持基板60にも当接して支持できるように設置されている。また、レンズ70は、平面視において、レンズ70が発光素子1の光出射面全体を覆うように配置される。レンズ70の平面視における外形は、例えば矩形、円形、楕円形が挙げられる。レンズ70は、当該分野で公知の材料によって、公知の製造方法により製造することができる。材料としては、樹脂またはガラス等が挙げられる。これら材料内には、光拡散部材等が含有されていてもよい。
【0033】
レンズ70は、ここでは、一例としてフレネルレンズを使用している。フレネルレンズは、凹凸が形成された一方の面を発光装置5側に向けて、発光装置5から出射される光線を入射させて、平坦な他方の面から出射させるように配置されている。レンズ70としてフレネルレンズを用いることで、レンズ70の厚みを薄くすることができる。そのため、発光モジュール100の光源である発光素子1からの光取り出し長さを短くすることが可能になる。また、レンズ70を薄く形成することで、発光装置5との間に空気層を配置し易くなる。この空気層を配置することで、発光装置5からの光の広がりを調節することができる。なお、レンズ70は、発光装置5の数に対応してレンズ部を有している。一例として、レンズ70は、発光装置5を4つ備えている場合には、フレネルレンズで構成される4つのレンズ部を備える複眼レンズである。
【0034】
<発光モジュールの動作>
上記した構成の発光モジュール100は、導体配線41を介して外部電源から発光素子1に電流が供給され、発光素子1が発光する。この発光素子1の光は、発光素子1の上面からレンズ70を介して外部に取り出される。また、発光モジュール100は、受光素子10を備えることから、カメラのフラッシュモジュールとして用いた際に、受光部12側の被覆部材30が薄く被覆されているので、受光素子10の動作を損なうことなく、被写体の環境の明るさに合わせて自動でフラッシュの光を適切に発光させることができる。そして、発光モジュール100は、受光素子10を被覆する被覆部材30を備えることにより、受光素子10が外部から視認されにくく、レンズ越しの見栄えが良い。
【0035】
[発光モジュールの製造方法]
次に、
図5~
図9を参照して発光モジュールの製造方法について説明する。なお、
図5に示すように、ここでは、発光モジュールの製造方法として、発光素子1を有する発光装置5を4つ備えると共に、発光装置5に隣接する受光素子10を1つ有する発光モジュール100の製造方法について説明する。また、
図7Bにおいて滴下された被覆部材30の数値1~6は、被覆部材30が滴下される順番を示している。発光モジュールの製造方法S10は、基板と、基板上に載置された発光素子及び受光素子と、発光素子及び受光素子と対向するレンズと、を備える発光モジュールの製造方法S10であって、発光素子及び受光素子が隣接して配置された基板を準備する準備工程S11と、受光素子を被覆部材により覆う被覆工程S12と、レンズを発光素子及び受光素子に対向させて配置するレンズ配置工程S13とを含み、被覆工程S12は、発光素子から遠い側となる受光素子の一側に被覆部材を滴下する第1滴下工程S12aと一側に滴下した被覆部材と発光素子の側面とに接するように、発光素子から近い側となる受光素子の他側に被覆部材を滴下する第2滴下工程S12bと、を含む。
【0036】
準備工程S11は、発光素子1及び受光素子10を載置した基板40を準備する工程である。準備工程S11では、発光素子1が基板40の設置領域に載置されると共に、受光素子10が載置された基板40を準備する。準備工程S11では、発光素子1はパッケージ化されていないチップの状態で基板40上に載置してもよいが、発光素子1がパッケージ化された発光装置5の状態で基板40上に載置してもよい。なお、準備工程S11で準備された発光素子1及び受光素子10は平面視において矩形であり、発光素子1及び受光素子10は平面視において矩形の一辺同士が対向するように基板40上に隣接して載置されている。ここでは、発光素子1として、平面視矩形状の4つの発光装置5が、全体として矩形状となるように2行2列に配列され、基板40上に配置されている。そして、準備工程S11で準備された受光素子10は、基板40にワイヤ13を介して接続されている。さらに、準備工程S11で準備された基板40と発光素子1及び受光素子10との位置関係としては、平面視で、他側から一側に向かう方向(つまり発光素子1と受光素子10とが対向する方向において、発光素子1と受光素子10とが離隔する最大距離D1は、受光素子10から基板40の端部までの最大距離D2よりも小さくなるように配置されている。なお、製造工程における個片化前の集合基板の状態においては、基板40の端部とは、個片化後の基板40の端部であってもよく、また、レンズの直下に位置する領域の端部であってもよい。
【0037】
被覆工程S12は、受光素子10を被覆部材30により覆う工程である。被覆工程S12は、発光素子1から遠い側となる受光素子10の一側に被覆部材30aを滴下する第1滴下工程S12aと、一側に滴下した被覆部材30aと発光素子1の側面とに接するように、発光素子1から近い側となる受光素子10の他側に被覆部材30bを滴下する第2滴下工程S12bと、を含む。第1滴下工程S12a及び第2滴下工程S12bは、被覆部材30(30a、30b)の滴下は、ジェットディスペンサNRを用いて行うことができる。なお、ジェットディスペンサNRにより被覆部材30を滴下するため、滴下される被覆部材30は、前記したような着色物質を含有する液状の樹脂である。
図6A及び
図7Bに示すように、第1滴下工程S12aは、受光素子10の一側に沿って被覆部材30aを受光素子10の一側の上面に複数回滴下している。第1滴下工程S12aは、一例として、受光素子10の一側の辺に沿ってここでは3回滴下することで、受光素子10の素子筐体11の半分を覆うように被覆部材30aを滴下している。なお、滴下される回数は、受光素子10の一辺の長さにより設定され、特にその回数は制限されるものではない。
【0038】
第1滴下工程S12aでは、発光素子1から遠い側となる受光素子10の一側の上面に被覆部材30aを滴下する。つまり、第1滴下工程S12aにおいて、被覆部材30aは、受光部12の直上からは滴下されない。滴下された被覆部材30aは、滴下時の衝撃により、受光素子10の一側の上面及び側面を覆うように被覆部材30aが広がる。次に、第2滴下工程S12bにおいて、受光素子10の他側の上面に被覆部材30bを滴下する。つまり、第2滴下工程S12bにおいて、被覆部材30bは、他側の上面に位置する受光部12の上方から、好ましくは受光部12の直上から滴下される。なおこの際、他側の上面への滴下は、滴下される被覆部材30bが第1滴下工程S12aで滴下された被覆部材30aと接する位置に行う。この第2滴下工程S12bにより滴下された被覆部材30bは、第1滴下工程S12aで滴下された被覆部材30aと一体化すると共に、一体化した被覆部材30が受光素子10の他側の側面及び他側の側面と対向する発光素子1の側面を覆うように広がる。
【0039】
このように、第1滴下工程S12a及び第2滴下工程S12bにより、受光素子10の上面と受光素子10の一側の側面及び他側の側面とが被覆部材30で覆われる。第2滴下工程S12bで滴下された被覆部材30bは、発光素子1の側面に接するよりも先に、第1滴下工程S12aで滴下された被覆部材30aと接して一体化するため、一体化した樹脂の表面張力により、被覆部材30bの発光素子1側への這い上がりが抑制される。さらに、第2滴下工程S12bにおける被覆部材30bの滴下時の衝撃により、一体化した樹脂において他側から一側に向かう応力が作用する。これにより、第2滴下工程S12bで滴下された被覆部材30bは他側の上面に留まる又は発光素子側に広がるよりも、一側寄りに偏って配置されやすくなる。このようにして、被覆部材30の頂部30Aが一側に偏って形成されることになる。したがって、第1滴下工程S12a及び第2滴下工程S12bにより滴下された被覆部材30は、
図6C及び
図4で示すように頂部30Aよりも発光素子1側となる受光部12上を覆う他側の上面31では、頂部30Aを境に反対側となる一側の上面32よりも、被覆部材30が薄く被覆されることになる。
そして、発光素子1と受光素子10とが離隔する最大距離D1が、受光素子10から基板40の端部までの最大距離D2よりも小さいことにより、つまり、受光素子10から基板40の端部までの距離が大きいことにより、第1滴下工程S12aで滴下される被覆部材30aは一側の側面に広がりやすく、第2滴下工程S12bで生じる応力を吸収し、他側への樹脂の流動を抑制することができる。
【0040】
このように、被覆工程S12では、第1滴下工程S12a及び第2滴下工程S12bを介して、受光素子10の一側と他側とに分けてそれぞれ被覆部材30a、30bを滴下することで、受光素子10の受光部12側を被覆する被覆部材30の他側の上面31を一側の上面32よりも薄くなるように被覆し、受光素子10の動作を妨げることのない厚みを構成している。また、被覆部材30で覆われることにより、受光素子10の外観がレンズ70越しに視認されにくい状態となっている。被覆部材30は、例えば、発光装置5の発光面を構成する透光性部材3の外観の色彩と同系色の外観となるように形成される。なお、被覆部材30は、例えば白色など、発光装置5の保護部材4と同系色となるように形成されていても構わない。
また、被覆工程S12において、上面に光学機能面を含まない電子部品20においては、被覆部材30は、一回の滴下で一つの電子部品20を覆ってもよい。また、受光素子10以外の電子部品20を被覆部材30で覆う場合には、前記した第1滴下工程S12a及び第2滴下工程S12bの前に行うことや、後に行うこと、あるいは、第1滴下工程S12aと第2滴下工程S12bとの間に行うこととしても構わない。
【0041】
レンズ配置工程S13は、レンズ70を発光素子1及び受光素子10に対向させて配置する工程である。レンズ配置工程S13では、発光装置5及び受光素子10が載置された基板40上に、レンズ70をレンズフレーム71を介して固定している。レンズ70は、一例として、略円形のフレネルレンズを発光装置5の上に設置している。このとき、発光装置5の上面とレンズ70とが離間するように、レンズフレーム71を基板40の上に固定する。
以上の工程S11~S13により、発光モジュール100を製造することができる。
なお、基板40の表面にレジスト層を形成する場合には、マスク等を用いて発光装置5及び受光素子10を含む電子部品20の載置領域以外にレジスト層を形成する。レジスト層は、公知の材料を用いて公知の方法で形成することができる。レジスト層は準備工程S11で形成してもよいし、準備工程S11で予めレジスト層が形成された基板40を準備してもよい。
【0042】
このように、発光モジュールの製造方法S10では、被覆工程S12を第1滴下工程S12a及び第2滴下工程S12bとして分けて行うことで、被覆部材30の他側の上面31を一側の上面32よりも薄くなるように被覆することができる。そのため、発光モジュール100では、受光素子10の動作を損なうことなく、受光素子10の外観形状や外観色(主に黒色)が視認されにくい状態になっている。つまり、発光モジュール100は、受光素子10の動作を損なうことなく、レンズ越しの見栄えがよい発光モジュールとすることができる。
【0043】
なお、応用例として、発光モジュール100及び発光モジュールの製造方法で説明した被覆部材30は、被覆工程S12において、例えば、
図8に示すように、第3被覆工程S12cを含む構成としても構わない。なお、既に説明した構成及び工程は、同じ符号を付して適宜省略する場合がある。
発光モジュール100Aは、ここでは、発光素子1を有する発光装置5を2つ基板40に載置している。そして、発光モジュール100Bでは、受光素子10を覆う被覆部材30の範囲が、前記した構成よりも広がっている。このように、受光素子10を覆う被覆部材30の範囲を広げることで、確実に被覆部材30により受光素子10を覆うことができる。
【0044】
発光モジュール100Bを製造するには、以下に示すように発光モジュールの製造方法S10Aを行っている。すなわち、発光モジュールの製造方法S10Aでは、既に説明した準備工程S11と、被覆工程S12と、レンズ配置工程S13とを行い、被覆工程S12が、第1滴下工程S12aと、第2滴下工程S12bと、第3滴下工程S12cとを行う手順である。なお、ここで説明する第3滴下工程S12cは、第1滴下工程S12a及び第2滴下工程S12bに対して、異なる滴下工程であることを示すために「第3」としており、第2滴下工程S12bの次に行うことに限定されるものではない。また、
図9において滴下された被覆部材の数値1~8は、滴下された順番を示している。
【0045】
第3滴下工程S12cでは、
図9に示sすように、受光素子10のワイヤ13を覆うようにジェットディスペンサNRを使用して被覆部材30を滴下している。なお、第3滴下工程S12cでは、第1滴下工程S12aを行う前に、受光素子10の左側のワイヤ13を覆うように被覆部材30を滴下し、その後、第1滴下工程S12aが終了後、受光素子10の右側のワイヤ13を覆うように被覆部材30を滴下しても構わない。また、第3滴下工程S12cは、第1滴下工程S12aの前に行ってもよく、また、第2滴下工程S12bを終了してから行っても構わない。
このように、発光モジュールの製造方法S10Aでは、第3滴下工程S12cを行うことで、より確実に受光素子10を被覆部材30で覆うことができることから、斜め方向からモジュールの発光面を視認した際にも受光素子10を視認されにくくすることができる。
【0046】
なお、
図1乃至
図4において、発光装置5は、そのうちの2つが白色の光を発光し、他の2つがアンバー色の光を発光するように、発光素子1の発光波長や透光性部材に含有される蛍光体が選択されることとしてもよい。ここで、アンバー色とは、JIS規格Z8110における黄色のうちの長波長領域と黄赤の短波長領域とからなる領域や、安全色彩のJIS規格Z9101による黄色の領域と黄赤の短波長領域に挟まれた領域の色度範囲が該当し、例えば、ドミナント波長で言えば、580nm~600nmの範囲に位置する領域をいう。なお、透光性部材3に含まれる赤色蛍光体の一例として、例えば窒化物系蛍光体を含むことが好ましく、サイアロン系蛍光体(SiAlON系蛍光体)の他、(Sr0.97Eu0.03)
2Si
5N
8、(Ca0.985Eu0.015)
2Si
5N
8、(Sr0.679Ca0.291Eu0.03)
2Si
5N
8、等が挙げられる。なお、赤色蛍光体が含有される透光性部材3の母材としては、前記した樹脂材料、ガラス等を用いることができる。
なお、透光性部材に含まれる蛍光体としては上述した蛍光体の他に、その他公知の蛍光体を用いることができる。またこれらの蛍光体を組み合わせて用いることにより、所望の発光色の発光装置とすることができる。
【0047】
さらに、
図1乃至
図4において、発光装置5は、そのうちの2つが白色の光を発光し、他の2つがアンバー色の光を発光する場合、基板40は、白色の2つの発光装置5を載置する第1領域と、アンバー色の他の2つの発光装置5を載置する第2領域とを備え、第1領域は、2つの発光装置の蛍光体を含有する透光性部材3と同系色の黄色のレジスト層が基材表面に設けられ、第2領域は、他の2つの発光装置5の蛍光体を含有する透光性部材3と同じ同系色のアンバー色のレジスト層が基材表面に設けられる構成としてもよい。なお、第1領域及び第2領域に設けたレジスト層は、形成される配線の保護膜としても機能する。さらに、レジスト層は、反射性物質を含有させてもよく、これにより発光モジュール100の光取り出し効率が向上する。
【0048】
また、レンズ70は、発光装置5の数に対応した単眼レンズ或いは複眼レンズを用いる構成としてもよい。複眼レンズのレンズ面は、フレネルレンズに形成されていることが好ましい。フレネルレンズは、凹凸が形成された一方の面を発光装置5側に向けて、平坦な他方の面から光を出射させるように配置されている。
【0049】
さらに、発光装置5の数は、既に説明したように4つとすることや、2つ、3つ或いは5つ以上とするようにしてもよい。そして、発光装置の数に対応して複眼レンズのレンズ部の数も増える構成となる。また、4つの発光装置を使用する場合には、行列方向に整列した発光装置において、白色光を照射する発光装置5を第1行目の第1列目と、第2行目の第2列目とに配置し、アンバー色を照射する発光装置5を、第1行目の第2列目と、第2行目の第1列目とに配置し、交互でアレイ状に設けることとしてもよい。そのため、発光モジュール100は、受光素子10を周囲の部材の色と同系色の被覆部材30で被覆することにより、各発光色で照度分布の偏りが生じないようにすることができる。また、発光モジュール100は、発光装置5の調色光においても、照射範囲内を均一な発光色で照射することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 発光素子
2 素子電極
3 透光性部材
4 保護部材
5 発光装置
10 受光素子
11 素子筐体
12 受光部
13 ワイヤ
20 電子部品
30 被覆部材
30A 頂部
30a 被覆部材
30b 被覆部材
31 他側の上面(被覆部材)
32 一側の上面(被覆部材)
40 基板
41 導体配線
60 支持基板
70 レンズ
71 レンズフレーム
80 カバーガラス
90 筐体
100、100A 発光モジュール
NR ジェットディスペンサ
S10、S10A 発光モジュールの製造方法
S11 準備工程
S12 被覆工程
S13 レンズ配置工程
S12a 第1滴下工程
S12b 第2滴下工程
S12c 第3滴下工程